JP2017139182A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】セルスタックの出力電圧の変動を抑制できる燃料電池システムを提供する。【解決手段】燃料電池システムが、燃料ガス及び酸化剤ガスを利用して発電する複数個の燃料電池セルを有するセルスタック9と、セルスタック9の温度を調節する温度調節手段と、セルスタック9の発電性能の経時変化の状態を示す指標を取得する変化指標取得手段20と、変化指標取得手段20が取得する発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至った後は、セルスタック9の温度が基準温度になるように温度調節手段の動作を制御する定常制御を実行し、並びに、変化指標取得手段20が取得する発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至る以前は、セルスタック9の温度が基準温度よりも高い温度になるように温度調節手段の動作を制御する初期制御を実行する制御手段Cとを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスを利用して発電するセルスタックを備える燃料電池システムに関する。
固体酸化物形燃料電池では、発電時間の経過と共に発電性能が変化する。例えば、固体酸化物形燃料電池のセルスタックを構成している部品の状態が温度によって変化して、出力電圧の低下を含む発電性能の特異な変化が現れることがある。このようなセルスタックの発電性能の変化は、セルスタックの運転初期の、部品が高温に曝され始めたときに現れる。例えば、集電材などのコーティングが高温に曝されるにつれて特性が変化して、その電気抵抗が変化することがある。
或いは、発電時間の経過と共にセルスタックの劣化が発生し、その劣化の進行に伴ってセルスタックの出力電圧が単調に低下し続けるといった問題が発生することもある。
尚、いずれの理由により生じる発電性能の変化であっても、セルスタックの温度を高くすれば、セルスタックの出力電圧を強制的に高めることは可能である。
特許文献1には、高温時にセルスタックが劣化することを考慮して、セルスタックが動作しているときの温度に制限を設けることが記載されている。但し、特許文献1では、セルスタックの累積稼働時間が長くなるに従ってその制限温度は高い値に設定される。つまり、経時的にセルスタックの劣化が進行したとしても、その劣化の進行と共にセルスタックの温度を高くすることで、その劣化による電圧低下が現れないようにしている。
特許5336818号公報
特許文献1に記載のように、出力電圧の低下を抑制するためにセルスタックの温度を上昇させた場合、その高温によってセルスタックの劣化が進行して、セルスタックの耐久性が低下するという問題がある。
また、特許文献1では、発電時間の経過と共に劣化が発生し、セルスタックの出力電圧が単調に低下し続けるといった問題への対処は行っているが、セルスタックの運転初期の、部品が高温に曝され始めたときに現れるセルスタックの発電性能の特異な変化への対処は行っていない。そのため、セルスタックの運転初期には、出力電圧の低下を含む発電性能の特異な変化が現れることになる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、セルスタックの出力電圧の変化を緩和しつつ、耐久性の低下を抑制できる燃料電池システムを提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、燃料ガス及び酸化剤ガスを利用して発電する複数個の燃料電池セルを有するセルスタックと、
前記セルスタックの温度を調節する温度調節手段と、
前記セルスタックの発電性能の経時変化の状態を示す指標を取得する変化指標取得手段と、
前記変化指標取得手段が取得する前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至った後は、前記セルスタックの温度が基準温度になるように前記温度調節手段の動作を制御する定常制御を実行し、並びに、前記変化指標取得手段が取得する前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至る以前は、前記セルスタックの温度が前記基準温度よりも高い温度になるように前記温度調節手段の動作を制御する初期制御を実行する制御手段とを備える点にある。
上記特徴構成によれば、初期制御を実行することで、セルスタックの出力電圧の低下を含む発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至る以前に、セルスタックの温度が基準温度よりも高い温度にされる。そのため、初期制御を実行している間は、少なくともセルスタックの出力電圧の低下が緩和される。
加えて、初期制御に引き続いて行われる定常制御により、セルスタックの温度が基準温度にされる。つまり、セルスタックの温度が高い状態は初期制御の間に限定され、定常制御ではセルスタックの温度は基準温度されるので、セルスタックの耐久性が高温によって低下するという問題の発生を回避できる。
従って、セルスタックの出力電圧の変化を緩和しつつ、耐久性の低下を抑制できる燃料電池システムを提供できる。
本発明に係る燃料電池システムの別の特徴構成は、前記変化指標取得手段は、前記セルスタックの累積の発電期間が所定期間に至ると、前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと判定する点にある。
セルスタックの発電性能の経時変化の傾向は、例えば同一機種のセルスタック等であれば同様になると考えてもよい。よって、セルスタックの発電性能の経時変化の傾向に関する情報、例えば、出力電圧の経時変化に関する情報を取得しておくこともできる。そして、セルスタックの累積の発電期間を計時すれば、予め取得していたセルスタックの発電性能の経時変化の傾向に関する情報を参照して、その時点での累積の発電期間のときのセルスタックの発電性能の状態を推測できる。つまり、変化指標取得手段は、セルスタックの累積の発電期間が所定期間に至ると、発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと判定できる。
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記変化指標取得手段は、前記セルスタックの出力電圧の経時変化の状態が所定の状態に至ると、前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと判定する点にある。
セルスタックの発電性能の経時変化の傾向は、例えば同一機種のセルスタック等であれば同様になると考えてもよい。よって、セルスタックの出力電圧の経時変化の傾向に関する情報を取得しておくこともできる。そして、セルスタックの出力電圧を測定すれば、予め取得していたセルスタックの出力電圧と発電性能の経時変化の傾向に関する情報とを参照して、その時点のセルスタックの出力電圧のときのセルスタックの発電性能の状態を推測できる。つまり、変化指標取得手段は、セルスタックの出力電圧の経時変化の状態が所定の状態に至ると、発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと判定できる。
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記制御手段は、前記初期制御において、前記温度調節手段によって前記セルスタックの温度を前記基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に低下させる低下処理を実行する点にある。
上記特徴構成によれば、初期制御を行わなければセルスタックの出力電圧が増加するような場合であっても、この低下処理を含む初期制御を行うことで、低下処理を行っている間、即ち、セルスタックの出力電圧を意図的に低下させている間は、セルスタックの出力電圧の増加が現れにくくなる。
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記制御手段は、前記初期制御において、前記温度調節手段によって前記セルスタックの温度を前記基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に増大させる増大処理と、当該増大処理の後に前記温度調節手段によって前記セルスタックの温度を前記基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に低下させる低下処理とを実行させる点にある。
上記特徴構成によれば、初期制御を行わなければセルスタックの出力電圧が急激に減少するような場合であっても、この増大処理及び低下処理を含む初期制御を行うことで、増大処理を行っている間、即ち、セルスタックの出力電圧を意図的に増大させている間は、出力電圧の急激な減少が現れにくくなる。また、増大処理によって基準電圧よりも高くなったセルスタックの温度を、その増大処理の後の低下処理によって低下させることで、セルスタックの耐久性が高温によって低下するという問題の発生を回避できる。
燃料電池システムの構成を示す図である。 セルスタックの出力電圧の推移を示す図である。 セルスタックの制御温度の推移を示す図である。 セルスタックの出力電圧の推移を示す図である。 セルスタックの制御温度の推移を示す図である。
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成について説明する。
図1は、燃料電池システムの構成を示す図である。図示するように、燃料電池システムは、供給される蒸発用水を加熱して蒸発させる蒸発器6と、供給される原燃料ガスを、蒸発器6によって生成された水蒸気を用いて改質処理して、水素を含む改質ガスを生成する改質器7と、改質器7によって生成された改質ガスと供給される酸素とを利用して発電する複数の燃料電池セル8を有するセルスタック9と、セルスタック9で利用されなかった改質ガス及び酸素を燃焼させることで発生する燃焼熱を蒸発器6及び改質器7及びセルスタック9に与えることができる燃焼部10と、制御手段Cとを備える。
本実施形態では、蒸発器6に対して、原燃料供給路2を通して原燃料ガスが供給される。原燃料ガスは炭化水素を含むガスであり、例えば都市ガスである。原燃料供給路2を通して蒸発器6に供給される原燃料の量は、原燃料供給路2の途中に設けられる弁V1によって調節される。また、蒸発器6に対して、水供給路3を通して蒸発用水が供給される。水供給路3を通して蒸発器6に供給される蒸発用水の量は、水供給路3の途中に設けられる弁V2によって調節される。これら弁V1及び弁V2の動作は制御手段Cが制御する。蒸発器6には、後述する燃焼部10で発生した燃焼熱が伝達され、その熱によって蒸発用水の蒸発が行われる。また、蒸発器6では、生成された水蒸気と原燃料ガスとの混合も行われる。
尚、図1には示していないが、蒸発器6へ供給する前の原燃料ガスに含まれる硫黄成分(例えば、都市ガスが含有している付臭剤など)を除去するための脱硫器を設けてもよい。
改質器7には、蒸発器6で得られた原燃料ガスと水蒸気との混合ガスが供給される。そして、改質器7では、原燃料ガスの水蒸気改質が行われて、改質ガス(水素を主成分とするガス)が生成される。また、改質器7にも、後述する燃焼部10で発生した燃焼熱が伝達され、その熱によって改質反応が促進される。そして、改質器7で生成された改質ガスは、改質ガス供給路11を通ってガスマニホールド12に供給される。ガスマニホールド12には複数の燃料電池セル8が接続されており、ガスマニホールド12に供給された改質ガスが各燃料電池セル8へと分配される。
セルスタック9は、改質器7で生成された改質ガスが通流する燃料通流部(図示せず)と空気(即ち、酸化剤(酸素))が通流する空気通流部(図示せず)とを備えた複数の固体酸化物形の燃料電池セル8を電気的に直列接続した状態で備えて構成されている。図示は省略するが、燃料電池セル8は、燃料極と空気極との間に固体電解質層を備えた固体酸化物形に構成される。各燃料電池セル8では、燃料通流部を改質ガスが上向きに通流することで燃料極の全体に改質ガスが供給され、空気通流部を上向きに空気が通流することで空気極の全体に空気が供給され、それら改質ガス及び空気が発電反応に用いられる。そして、発電反応に供された後の排改質ガスは燃料通流部の上端の排出口から排出され、発電反応に供された後の排空気は空気通流部の上端の排出口から排出される。
本実施形態では、セルスタック9の温度を測定するセル温度センサTcを設けている。
セルスタック9の上方には、オフガス(即ち、各燃料電池セル8の燃料通流部から排出される排改質ガスと空気通流部から排出される排空気(即ち、酸素))を燃焼させる燃焼空間(即ち、燃焼部10)が形成される。つまり、セルスタック9により燃焼部10が実現される。加えて、蒸発器6及び改質器7が、燃焼部10として機能するセルスタック9の上方の燃焼空間に隣接して設けられている。その結果、燃焼部10で発生する燃焼熱によって、蒸発器6及び改質器7及びセルスタック9が加熱される。
尚、図示は省略するが、セルスタック9には、電気負荷としてのインバータなどが電気的に接続されている。インバータの動作は制御手段Cが制御する。つまり、制御手段Cは、セルスタック9の出力を変化させることができる。
上述した蒸発器6及び改質器7及びガスマニホールド12及びセルスタック9等は筐体1に収容されている。この筐体1の内部には、酸素供給路4を通して空気(酸素)が供給される。この酸素が、燃料電池セル8での発電反応に用いられ、及び、燃焼部10での排改質ガスの燃焼に用いられる。酸素供給路4を通して筐体1の内部に供給される酸素の量は、酸素供給路4に接続される送風機としてのブロアBによって調節される。ブロアBの動作は制御手段Cが制御する。
また、筐体1には、燃焼部10で発生した燃焼排ガスを外部に排出するための排気路5も接続されている。
このような燃料電池システムで発電された電力を電気負荷に供給するとき、制御手段Cは、セルスタック9の出力(例えば出力電流など)を調節すると共に、適切な量の原燃料ガス及び酸素及び蒸発用水を筐体1の内部へと供給する。つまり、制御手段Cは、セルスタック9で消費される水素及び酸素の量を調節すること、改質器7で生成される水素の量を調節すること、燃焼部10での燃焼に利用される酸素の量を調節することを行う。
更に、制御手段Cは、燃焼部10で燃焼されるオフガスの量を調節できる。例えば、制御手段Cは、セルスタック9の出力を変化させない状態、即ち、セルスタック9で利用される改質ガスの量及び酸素の量を変化させない状態で、原燃料ガス及び酸素及び蒸発用水の供給量を増加又は減少させると、オフガスの量が増加又は減少する。そして、燃焼部10で発生する燃焼熱の量が増加又は減少して、筐体1の内部の温度(即ち、セルスタック9の温度)が上昇又は低下する。
以上のように、本実施形態では、原燃料ガスの供給量を調節する弁V1及び酸素の供給量を調節するブロアB及び蒸発用水の供給量を調節する弁V2は、セルスタック9の温度を調節する温度調節手段として機能する。
次に、制御手段Cが行うセルスタック9の発電制御について説明する。
図2は、セルスタック9の出力電圧の推移を示す図である。この例では、時刻t0に発電が開始されたとしている。図2において実線で示すのは、セル温度センサTcで測定されるセルスタック9の温度が基準温度Trで一定となるように温度調節手段を働かせながら、原燃料ガスの供給量及び酸素の供給量及び蒸発用水の供給量を所定量に維持した状態で、セルスタック9の出力電流が一定となるような発電運転を行ったときのセルスタック9の出力電圧の推移である。図示するように、セルスタック9の出力電圧は、時間経過と共に徐々に低下している。特に、時刻t0から時刻t2の間は、出力電圧が相対的に大きな低下率で低下している。それに対して、時刻t2以降は、セルスタック9の出力電圧は相対的に小さい低下率で低下している。尚、図2に記載したセルスタック9の出力電圧の推移は単に例示目的で記載したものであり、実際のセルスタック9の出力電圧の推移を正しく描いたものではない。
本実施形態において、燃料電池システムは、セルスタック9の発電性能の経時変化の状態を示す指標を取得する変化指標取得手段20を備える。図2に実線で示したようなセルスタック9の出力電圧の変化傾向は、例えば同一機種のセルスタック9であれば同様になると考えてもよい。よって、予め図2に実線で示したようなセルスタック9の出力電圧の推移に関する情報、即ち、セルスタック9の累積の発電期間に対するセルスタック9の出力電圧の関係を示す情報を取得して記憶部Mに記憶しておくこともできる。そして、変化指標取得手段20は、セルスタック9の累積の発電期間を計時すれば、記憶部Mに記憶した図2に実線で示したようなセルスタック9の出力電圧の推移に関する情報を参照して、その累積の発電期間のときのセルスタック9の発電性能の経時変化の状態を知ることができる。つまり、変化指標取得手段20は、セルスタックの累積の発電期間が所定期間に至ると、発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと(例えば、図2の時刻t2での発電性能に至ったと)判定できる。
制御手段Cは、変化指標取得手段20が取得する発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至った後は、セルスタック9の温度が基準温度になるように温度調節手段の動作を制御する定常制御を実行し、並びに、変化指標取得手段20が取得する発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至る以前は、セルスタック9の温度が基準温度よりも高い温度になるように温度調節手段の動作を制御する初期制御を実行する。具体的には、本実施形態では、制御手段Cは、図2に示した時刻t0から時刻t2の間では初期制御を行い、時刻t2以降では定常制御を行う。
図3は、セルスタック9の制御温度の推移を示す図である。図示するように、制御手段Cは、温度調節手段を働かせて、時刻t0から時刻t1の間に、セル温度センサTcで測定されるセルスタック9の制御温度を基準温度Trから温度T1まで徐々に上昇させる。このときの時刻t0から時刻t1の期間は、図2に示した、セルスタック9の出力電圧が大きな低下率で低下する期間(時刻t0から時刻t1の間)に対応する。また、制御手段Cは、温度調節手段を働かせて、時刻t1から時刻t2の間に、セル温度センサTcで測定されるセルスタック9の温度を温度T1から基準温度Trまで徐々に低下させる。この時刻t1から時刻t2の期間は、図2に示した、セルスタック9の出力電圧が大きな低下率で低下する期間(時刻t1から時刻t2の間)に対応する。このように、制御手段Cは、初期制御において、温度調節手段によってセルスタック9の温度を基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に増大させる増大処理と、当該増大処理の後に温度調節手段によってセルスタック9の温度を基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に低下させる低下処理とを実行させる。そして、温度調節手段を働かせてセルスタック9の制御温度を制御することで、図2に実線で示したような出力電圧で動作するはずであったセルスタック9を、図2に破線で示したような出力電圧で動作させるための初期制御を行う。
制御手段Cが、時刻t0から時刻t2の間で、セルスタック9の温度を図3に示したような制御温度に調節する初期制御を行った場合、セルスタック9の出力電圧は図2に破線で示したような値で推移する。実線で示す「初期制御なし」の出力電圧の推移と、破線で示す「初期制御あり」の出力電圧の推移とを比較した場合、破線で示す「初期制御あり」の出力電圧の方が、急激な低下を示すことなく、直線状に近い形で変化したことが分る。
また、制御手段Cは、変化指標取得手段20により時刻t2になったと判定されると、初期制御を中止して、定常制御を開始する。制御手段Cは、定常制御では、セルスタック9の温度が基準温度Trになるように温度調節手段の動作を制御する。
以上のように、本実施形態では、初期制御を実行することで、セルスタック9の出力電圧の低下を含む発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至る以前に、セルスタック9の温度が基準温度Trよりも高い温度にされる。そのため、初期制御を実行している間は、少なくともセルスタック9の出力電圧の低下が緩和される。特に、初期制御を行わなければセルスタック9の出力電圧が急激に減少するような場合であっても、この増大処理及び低下処理を含む初期制御を行うことで、増大処理を行っている間、即ち、セルスタック9の出力電圧を意図的に増大させている間は、出力電圧の急激な減少が現れにくくなる。また、増大処理によって基準電圧よりも高くなったセルスタック9の温度を、その増大処理の後の低下処理によって低下させることで、セルスタック9の耐久性が高温によって低下するという問題の発生を回避できる。
加えて、初期制御に引き続いて行われる定常制御により、セルスタック9の温度が基準温度Trにされる。つまり、セルスタック9の温度が高い状態は初期制御の間に限定され、定常制御ではセルスタック9の温度は基準温度Trされるので、セルスタック9の耐久性が高温によって低下するという問題の発生を回避できる。
<第2実施形態>
第2実施形態の燃料電池システムは、初期制御の内容が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の燃料電池システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図4は、セルスタック9の出力電圧の推移を示す図である。図4において実線で示すのは、セル温度センサTcで測定されるセルスタック9の温度が基準温度Trで一定となるように温度調節手段を働かせながら、原燃料ガスの供給量及び酸素の供給量及び蒸発用水の供給量を所定量に維持した状態で、セルスタック9の出力電流が一定となるような発電運転を行ったときのセルスタック9の出力電圧の推移である。図示するように、時刻t0から時刻t3の間は、出力電圧が相対的に大きな低下率で低下し、時刻t3から時刻t4の間は、出力電圧が増加している。そして、時刻t4以降は、セルスタック9の出力電圧は相対的に小さい低下率で低下している。尚、図4に記載したセルスタック9の出力電圧の推移は単に例示目的で記載したものであり、実際のセルスタック9の出力電圧の推移を正しく描いたものではない。
本実施形態において、燃料電池システムは、セルスタック9の発電性能の経時変化の状態を示す指標を取得する変化指標取得手段20を備える。図4に実線で示したようなセルスタック9の出力電圧の変化傾向は、同一機種のセルスタック9であれば同様になると考えてもよい。よって、予め図4に実線で示したようなセルスタック9の出力電圧の推移に関する情報、即ち、セルスタック9の累積の発電期間に対するセルスタック9の出力電圧の関係を示す情報を取得して記憶部Mに記憶しておくこともできる。そして、変化指標取得手段20は、セルスタック9の累積の発電期間を計時すれば、記憶部Mに記憶した図4に実線で示したようなセルスタック9の出力電圧の推移に関する情報を参照して、その累積の発電期間のときのセルスタック9の発電性能の経時変化の状態を知ることができる。つまり、変化指標取得手段20は、セルスタック9の累積の発電期間が所定期間に至ると、発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと(例えば、図4の時刻t4での発電性能に至ったと)判定する。
制御手段Cは、変化指標取得手段20が取得する発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至った後は、セルスタック9の温度が基準温度になるように温度調節手段の動作を制御する定常制御を実行し、並びに、変化指標取得手段20が取得する発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至る以前は、セルスタック9の温度が基準温度よりも高い温度になるように温度調節手段の動作を制御する初期制御を実行する。具体的には、本実施形態では、制御手段Cは、図4に示した時刻t0から時刻t4の間では初期制御を行い、時刻t4以降では定常制御を行う。
図5は、セルスタック9の制御温度の推移を示す図である。図示するように、制御手段Cは、温度調節手段を働かせて、時刻t0から時刻t3の間に、セル温度センサTcで測定されるセルスタック9の制御温度を基準温度Trよりも高い温度T2で一定に維持する。このときの時刻t0から時刻t3の期間は、図4に示した、セルスタック9の出力電圧が大きな低下率で低下する期間(時刻t0から時刻t3の間)に対応する。また、制御手段Cは、温度調節手段を働かせて、時刻t3から時刻t4の間に、セル温度センサTcで測定されるセルスタック9の温度を温度T2から基準温度Trまで徐々に低下させる。この時刻t3から時刻t4の期間は、図4に示した、セルスタック9の出力電圧が増加する期間(時刻t3から時刻t4の間)に対応する。このように、制御手段Cは、初期制御において、温度調節手段によってセルスタック9の温度を基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に低下させる低下処理を実行する。そして、温度調節手段を働かせてセルスタック9の制御温度を制御することで、図4に実線で示したような出力電圧で動作するはずであったセルスタック9を、図4に破線で示したような出力電圧で動作させるための初期制御を行う。
制御手段Cが、時刻t0から時刻t4の間で、セルスタック9の温度を図5に示したような制御温度に調節する初期制御を行った場合、セルスタック9の出力電圧は図4に破線で示したような値で推移する。実線で示す「初期制御なし」の出力電圧の推移と、破線で示す「初期制御あり」の出力電圧の推移とを比較した場合、破線で示す「初期制御あり」の出力電圧の方が、急激な増減を示すことなく、直線状に近い形で変化したことが分る。このように、初期制御を行わなければセルスタック9の出力電圧が増加するような場合であっても、この低下処理を含む初期制御を行うことで、低下処理を行っている間、即ち、セルスタック9の出力電圧を意図的に低下させている間は、セルスタック9の出力電圧の増加が現れにくくなる。
また、制御手段Cは、変化指標取得手段20により時刻t4になったと判定されると、初期制御を中止して、定常制御を開始する。制御手段Cは、定常制御では、セルスタック9の温度が基準温度Trになるように温度調節手段の動作を制御する。
<第3実施形態>
第3実施形態の燃料電池システムは、変化指標取得手段20の機能が上記実施形態と異なっている。以下に第3実施形態の燃料電池システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、変化指標取得手段20は、初期制御を行っている途中でのセルスタック9の出力電圧を常時監視している。この出力電圧は、実際の出力電圧を、原燃料ガスの供給量及び酸素の供給量及び蒸発用水の供給量を所定量に維持した状態で、セルスタック9の出力電流を所定値で一定となるような発電運転を行ったと仮定したときの換算値である。そして、変化指標取得手段20は、セルスタック9の出力電圧の経時変化の状態が所定の状態に至ると、発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと判定する。例えば第2実施形態の図4に示したように、「初期制御なし」では、時刻t3を経過すると、セルスタック9の出力電圧は上昇に転じる。そのため、セルスタック9の制御温度を温度T2のままで維持していると、「初期制御あり」での出力電圧も上昇に転じるはずである。従って、変化指標取得手段20は、セルスタック9の制御温度を温度T2に維持しているとき、出力電圧が増加するという所定の状態に至ると、セルスタック9の制御温度を低下させるべき時期が到来したと判定する。そして、制御手段Cは、変化指標取得手段20の判定結果に基づいて、セルスタック9の制御温度を一定の低下率で低下させ始める低下処理を行う。この制御により、時刻t3から時刻t4の間では、「初期制御なし」で示すような出力電圧の経時的な上昇と、セルスタック9の制御温度の低下により引き起こされる出力電圧の低下とがあたかも相殺されて、「初期制御あり」での出力電圧は一定の値を示す。
また、図4に示したように、「初期制御なし」では、時刻t4を経過すると、セルスタック9の出力電圧は低下に転じる。そのため、セルスタック9の制御温度を一定の低下率で低下させ続けていると、「初期制御あり」での出力電圧の低下率が急に大きくなるはずである。そのため、制御手段Cは、「初期制御あり」での出力電圧の低下率が設定値を超えて大きくなると、初期制御を終了して、上記実施形態と同様の定常制御を開始する。尚、制御手段Cは、セルスタック9の制御温度を基準温度Tr未満にさせることはない。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の燃料電池システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
<2>
上記実施形態では、温度調節手段が、原燃料ガスの供給量を調節する弁V1及び酸素の供給量を調節するブロアB及び蒸発用水の供給量を調節する弁V2によって実現される例を示したが、他の装置を温度調節手段として用いることもできる。例えば、温度調節手段としての電気ヒーターなどを用いて、セルスタック9の温度を調節することもできる。
<3>
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
本発明の燃料電池システムは、セルスタックの出力電圧の変動を抑制するために利用できる。
6 蒸発器
7 改質器
8 燃料電池セル
9 セルスタック
10 燃焼部
20 変化指標取得手段
C 制御手段

Claims (5)

  1. 燃料ガス及び酸化剤ガスを利用して発電する複数個の燃料電池セルを有するセルスタックと、
    前記セルスタックの温度を調節する温度調節手段と、
    前記セルスタックの発電性能の経時変化の状態を示す指標を取得する変化指標取得手段と、
    前記変化指標取得手段が取得する前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至った後は、前記セルスタックの温度が基準温度になるように前記温度調節手段の動作を制御する定常制御を実行し、並びに、前記変化指標取得手段が取得する前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至る以前は、前記セルスタックの温度が前記基準温度よりも高い温度になるように前記温度調節手段の動作を制御する初期制御を実行する制御手段とを備える燃料電池システム。
  2. 前記変化指標取得手段は、前記セルスタックの累積の発電期間が所定期間に至ると、前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと判定する請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記変化指標取得手段は、前記セルスタックの出力電圧の経時変化の状態が所定の状態に至ると、前記発電性能の経時変化の状態が所定の状態に至ったと判定する請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記制御手段は、前記初期制御において、前記温度調節手段によって前記セルスタックの温度を前記基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に低下させる低下処理を実行する請求項1〜3の何れか一項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記制御手段は、前記初期制御において、前記温度調節手段によって前記セルスタックの温度を前記基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に増大させる増大処理と、当該増大処理の後に前記温度調節手段によって前記セルスタックの温度を前記基準温度よりも高い温度を維持しながら徐々に低下させる低下処理とを実行させる請求項1〜3の何れか一項に記載の燃料電池システム。
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