JP2017141745A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関の制御装置に関し、点火時期の遅角と噴射燃料の増量とによるノック抑制制御の実行に伴う空燃比の変化を速やかに把握しつつ、ノック抑制制御を行えるようにすることを目的とする。【解決手段】筒内圧センサ30の出力値に基づいて燃焼安定性指標値および燃焼時期指標値を算出する。ノックを抑制する場合に、点火時期を遅角し、かつ、空燃比のリッチ化のために噴射燃料を増量するノック抑制制御を実行する。ノック抑制制御の開始前の燃焼サイクルの燃焼安定性指標値および燃焼時期指標値と、ノック抑制制御を実行した後の燃焼サイクルの燃焼安定性指標値および燃焼時期指標値と、燃焼安定性指標値と燃焼時期指標値と空燃比との関係を規定するマップMとに基づいて、ノック抑制制御の開始前の空燃比とノック抑制制御を開始した後の空燃比変化量ΔA/F、トルク変化量ΔTおよびNOx濃度変化量ΔNOxを推定する。【選択図】図3

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に関する。
例えば、特許文献1には、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える火花点火式の内燃機関が開示されている。この内燃機関では、ノックが発生した場合には、点火時期が遅角されるとともに圧縮行程における燃料噴射量が増やされる。
特開平4−187851号公報 特開2015−169149号公報
特許文献1に記載のように、ノック抑制のために、点火時期を遅角し、かつ空燃比のリッチ化のために噴射燃料を増量するノック抑制制御が行われる内燃機関が知られている。この噴射燃料の増量に伴う空燃比のリッチ化の度合いに応じて、エンジントルクの変化量が異なるものとなる。したがって、ノック抑制制御を実施した際に空燃比のリッチ化の度合いを速やかに把握できないと、リッチ化に起因するエンジントルクの変化あるいは排気エミッションの変化(NOx濃度の増加)を考慮したエンジン制御を適切に行うことが難しくなる可能性がある。
この発明は、上述のような課題に対処するためになされたもので、点火時期の遅角と噴射燃料の増量とによるノック抑制制御の実行に伴う空燃比、エンジントルクおよびNOx濃度のうちの少なくとも1つの変化を速やかに把握しつつ、ノック抑制制御を行えるようにした内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、気筒内の混合気に点火する点火装置と、前記気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、筒内圧を検出する筒内圧センサとを備える内燃機関を制御する。前記制御装置は、ノック検出手段と、指標値算出手段と、記憶手段と、ノック抑制実行手段と、推定手段とを備える。前記ノック検出手段は、ノックを検出する。前記指標値算出手段は、前記筒内圧センサの出力値に基づいて、燃焼安定性を示す燃焼安定性指標値と、燃焼時期を示す燃焼時期指標値とを算出する。前記記憶手段は、前記燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と、空燃比、トルク効率、トルク効率比もしくはNOx濃度との関係を規定する関係情報を記憶する。前記ノック抑制実行手段は、前記ノック検出手段の検出結果に基づいてノックを抑制する場合に、点火時期を遅角し、かつ、空燃比のリッチ化のために噴射燃料を増量するノック抑制制御を実行する。前記推定手段は、前記ノック抑制制御の開始前の第1の燃焼サイクルの前記燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と、前記ノック抑制制御を実行した後の第2の燃焼サイクルの前記燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と、前記関係情報とに基づいて、前記第1の燃焼サイクルと前記第2の燃焼サイクルとの間での空燃比、エンジントルクおよびNOx濃度の少なくとも1つについての変化量もしくは変化率を推定する。
本件発明者らは、燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と、空燃比、トルク効率、トルク効率比もしくはNOx濃度との間には、エンジン負荷の変化に関係なく概ね一定となる関係があることを見出した。本発明によれば、そのような関係にある燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と空燃比、トルク効率、トルク効率比もしくはNOx濃度との関係を規定する関係情報と、筒内圧センサの出力値に基づく燃焼安定性指標値および燃焼時期指標値の算出値を利用して、ノック抑制制御の開始前の第1の燃焼サイクルとノック抑制制御を実行した後の第2の燃焼サイクルとの間での空燃比、エンジントルクおよびNOx濃度の少なくとも1つについての変化量もしくは変化率を推定することができる。そして、本発明によれば、筒内圧センサの出力値を利用しているので、燃焼サイクル毎に燃焼安定性指標値および燃焼時期指標値の算出が可能である。このため、本発明によれば、点火時期の遅角と噴射燃料の増量とによるノック抑制制御の実行に伴う空燃比、エンジントルクおよびNOx濃度のうちの少なくとも1つの変化を速やかに把握しつつ、ノック抑制制御を行えるようになる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1で用いられる空燃比変化量ΔA/Fの推定手法を説明するための図である。 実施の形態1において実行される制御ルーチンを表したフローチャートである。 トルク変化量ΔTの推定に用いられる燃焼効率比Rcombおよび点火効率比Rrtdの算出手法の一例を説明するための図である。 NOx濃度変化量ΔNOxの推定に用いられる空燃比変化によるNOx濃度比R’afおよび点火時期変化によるNOx濃度比R’rtdの算出手法の一例を説明するための図である。
実施の形態1.
まず、図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、火花点火式の内燃機関(一例として、ガソリンエンジン)10を備えている。内燃機関10の筒内には、ピストン12が設けられている。筒内におけるピストン12の頂部側には、燃焼室14が形成されている。燃焼室14には、吸気通路16および排気通路18が連通している。
吸気通路16の吸気ポートには、当該吸気ポートを開閉する吸気弁20が設けられており、排気通路18の排気ポートには、当該排気ポートを開閉する排気弁22が設けられている。また、吸気通路16には、電子制御式のスロットルバルブ24が設けられている。内燃機関10の各気筒には、燃焼室14内(筒内)に燃料を供給するための燃料噴射弁(一例として、直接噴射式燃料噴射弁)26、および、混合気に点火するための点火装置(点火プラグのみを図示)28が、それぞれ設けられている。さらに、各気筒には、筒内圧を検出するための筒内圧センサ30が組み込まれている。
さらに、本実施形態のシステムは、内燃機関10を制御する制御装置として、電子制御ユニット(ECU)40とともに、下記の各種アクチュエータを駆動するための駆動回路(図示省略)などを備えている。ECU40が信号を取り込むセンサには、上述した筒内圧センサ30に加え、クランク軸(図示省略)の近傍に配置されたクランク角センサ42、吸気通路16の入口付近に配置されたエアフローセンサ44、および、ノックを検出するためのノックセンサ46等のエンジン運転状態を取得するための各種センサが含まれる。ノックセンサ46としては、一例として、シリンダブロックに伝わる内燃機関10の振動を圧電素子によって検出する方式のセンサを用いることができる。
ECU40が操作信号を出すアクチュエータには、上述したスロットルバルブ24、燃料噴射弁26および点火装置28等のエンジン運転を制御するための各種アクチュエータが含まれる。また、ECU40は、筒内圧センサ30の出力信号を、クランク角度と同期させてAD変換して取得する機能を有している。これにより、AD変換の分解能が許す範囲で、任意のクランク角タイミングにおける筒内圧を検出することができる。さらに、ECU40は、クランク角度と筒内容積との関係を定めたマップをメモリ40aに記憶しており、そのようなマップを参照して、クランク角度に対応する筒内容積を算出することができる。
[実施の形態1の制御]
(筒内圧センサを利用したMFBの実測データの算出)
筒内圧センサ30とクランク角センサ42とを備える本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の各サイクルにおいて、クランク角度同期での筒内圧Pの実測データ(より具体的には、所定クランク角度毎の値として算出された筒内圧Pの集合)を取得することができる。得られた筒内圧Pの実測データと熱力学第1法則とを用いて、任意のクランク角度θでの筒内の熱発生量Qを次の(1)、(2)式にしたがって算出することができる。そして、算出された筒内の熱発生量Qの実測データ(所定クランク角度毎の値として算出された熱発生量Qの集合)を用いて、任意のクランク角度θにおける燃焼質量割合(以下、「MFB」と称する)を次の(3)式にしたがって算出することができる。そのうえで、MFBの算出処理を所定クランク角度毎に実行することで、クランク角度同期でのMFBの実測データ(実測MFBの集合)を算出することができる。MFBの実測データは、燃焼期間およびその前後の所定クランク角期間(ここでは、一例として、吸気弁20の閉じ時期IVCから排気弁22の開き時期EVOまでのクランク角期間)で算出される。
Figure 2017141745

Figure 2017141745
ただし、上記(1)式において、Vは筒内容積、κは筒内ガスの比熱比である。また、上記(3)式において、θminは燃焼開始点であり、θmaxは燃焼終了点である。
上記手法によって算出されたMFBの実測データによれば、MFBが特定割合α%となる時のクランク角度(以下、「特定割合燃焼点」と称し、「CAα」を付して示す)を算出することができる。次に、代表的な特定割合燃焼点CAαについて説明する。筒内の燃焼は、点火時期SAにて混合気に点火を行った後に着火遅れを伴って開始する。この燃焼の開始点(上記(3)式中のθmin)、すなわち、MFBが立ち上がる時のクランク角度をCA0と称する。CA0からMFBが10%となる時のクランク角度CA10までのクランク角期間(CA0−CA10)が初期燃焼期間に相当し、CA10からMFBが90%となる時のクランク角度CA90までのクランク角期間(CA10−CA90)が主燃焼期間に相当する。また、本実施形態では、MFBが50%となる時のクランク角度CA50を燃焼重心点として用いている。MFBが100%となる時のクランク角度CA100は、熱発生量Qが最大値に到達する燃焼終了点(上記(3)式中のθmax)に相当する。燃焼期間は、CA0からCA100までのクランク角期間として特定される。
(基本点火時期)
基本点火時期は、内燃機関10の運転条件(主に、エンジン負荷率とエンジン回転速度)に応じた値として事前に設定され、メモリ40aに記憶されている。基本点火時期の候補となる点火時期は、MBT(Minimum Advance for Best Torque)点火時期とノック点火時期の2つである。ここでいうノック点火時期とは、所定の目標ノックレベル(例えば、ノック強度とノック頻度とに基づいて規定)が得られる点火時期のことである。ノックは、エンジン負荷が高いほど発生し易くなり、また、エンジン負荷が高いほど、発生するノックの強度が高くなる。低負荷側ではMBT点火時期の方が遅角側の値となり、高負荷側ではノック点火時期の方が遅角側の値となる。各エンジン負荷における基本点火時期としては、これらのMBT点火時期およびノック点火時期のうちで遅角側の値が選択される。
(ノック制御の概要)
内燃機関10における点火時期の制御は、上述した基本点火時期に対して点火時期遅角量(補正量)を加算して得られる点火時期を目標点火時期として実行される。本実施形態で想定する遅角要求は、ノックの抑制を目的とする遅角要求である。基本点火時期は、燃焼に関係する条件が標準的な条件(より具体的には、吸気温度、エンジン冷却水温度、および燃料のオクタン価などが標準値とされている条件)下での値としてメモリ40aに記憶されている。この標準的な条件に近い状態で内燃機関10が運転されている場合であれば、基本点火時期相当の目標点火時期によって目標ノックレベルを実現することができる。一方、例えば、吸気温度が標準値よりも高くなる場合、あるいは、標準値よりも低いオクタン価の燃料が使用される場合には、基本点火時期がそのまま使用されると、目標ノックレベルと比べてノックレベルが高くなる可能性がある。その結果、ノックレベルを目標ノックレベルに下げるために、点火時期の遅角が必要とされる。
ここで、ノック制御の一例を具体的に説明する。このノック制御に利用される点火時期遅角量は、以下の処理により学習されてメモリ40aに記憶される。この点火時期遅角量は、ノックの発生状況に応じて増減される。より具体的には、ノックセンサ46を用いて算出されるノック強度が判定閾値よりも大きい場合には、ノックが発生したと判定され、点火時期遅角量が所定量だけ大きく修正されてメモリ40aに記憶される。その結果、本判定後に燃焼が行われる気筒の目標点火時期が現在値に対して遅角される。一方、ノックが不発生であると判定される期間が所定期間継続した場合には、点火時期遅角量が所定量だけ小さく修正されてメモリ40aに記憶される。その結果、本判定後に燃焼が行われる気筒の目標点火時期が現在値に対して進角される。なお、点火時期遅角量の最小値はゼロであり、したがって、目標点火時期の進角側の限界値は、基本点火時期となる。
(ノック抑制制御とその課題)
前提として、本実施形態では、理論空燃比よりも大きなリーン空燃比にてリーンバーン運転が行われるようになっている。本実施形態では、リーンバーン運転中にノック制御によって点火時期を遅角した際の燃焼安定性の確保のために、点火時期の遅角とともに、空燃比のリッチ化のための噴射燃料の増量が実行される。本明細書中においては、このように噴射燃料の増量を伴って点火遅角を行う制御を「ノック抑制制御」と称する。ノック抑制制御によれば、噴射燃料の増量によって燃焼安定性の確保を図ることにより、点火遅角の実行に伴うトルク変動の増加を抑制しつつ、ノックを抑制できるようになる。
この噴射燃料の増量に伴う空燃比のリッチ化の度合いに応じて、エンジントルクの変化量が異なるものとなる。したがって、ノック抑制制御を実施した際に空燃比のリッチ化の度合いを速やかに把握できないと、リッチ化に起因するエンジントルクの変化を考慮したエンジン制御を適切に行うことが難しくなる可能性がある。
(SA−CA10およびCA50に基づく空燃比変化量ΔA/Fの推定)
図2は、本発明の実施の形態1で用いられる空燃比変化量ΔA/Fの推定手法を説明するための図である。図2(A)〜図2(D)は、エンジン回転速度が一定である条件の下で、一例としてCA50と空燃比とを軸として、SA−CA10とCA50と空燃比との関係をそれぞれ表した図である。より具体的には、図2(A)は、最も低負荷である時の関係を示し、図2(B)、図2(C)および図2(D)の順でエンジン負荷がより高い時の関係をそれぞれ示している。
図2の横軸であるSA−CA10は、燃焼安定性を示す燃焼指標値として本実施形態において用いられるパラメータである。SA−CA10は、点火時期からCA10までのクランク角期間(より具体的には、CA10から点火時期(SA)を引いて得られる差)である。また、図5の縦軸であるCA50(燃焼重心点)は、燃焼時期を示す燃焼指標値として本実施形態において用いられるパラメータである。
図2(A)〜図2(D)の各図には、複数の等SA−CA10ラインと、一本の基本点火時期のライン(目標ノックレベルライン)とが表されている。また、各図中の作動点p1〜p4は、事前に適合された作動点を示しており、したがって、ノックを抑制する必要がない場合には、この作動点p1〜p4が使用されることになる。なお、各作動点p1〜p4のSA−CA10は、同じ値とされている。
図2(A)〜図2(D)中に示すラインL1〜L4は、それぞれ、図2(A)〜図2(D)のエンジン負荷状態における作動点p1〜p4が通る等SA−CA10ラインである。図2(B)〜図2(D)の各図にも、図2(A)に示すエンジン負荷状態のラインL1が描かれている。図2(B)〜図2(D)より、ラインL1が各図中のラインL2〜L4と概ね一致する傾向が得られることが分かる。このことから、SA−CA10とCA50と空燃比との関係が、エンジン負荷によらずに一定とみなせることが分かる。
図2の各図に示す関係によれば、筒内圧センサ30の出力値を利用して算出されるSA−CA10およびCA50に基づいて、各燃焼サイクルの空燃比(絶対値)を算出することができる。そこで、ECU40のメモリ40aには、図2に示すような傾向でSA−CA10とCA50と空燃比との関係を規定するマップ(以下、「マップM」と称する)が記憶されている。
そのうえで、本実施形態では、ノック抑制制御の開始前の燃焼サイクル(本発明における「第1の燃焼サイクル」に相当)CYC1のSA−CA10およびCA50とマップMとを用いて、燃焼サイクルCYC1の空燃比A/F1が算出される。また、ノック抑制制御(すなわち、点火遅角と噴射燃料の増量)を実行した後の燃焼サイクル(本発明における「第2の燃焼サイクル」に相当)CYC2のSA−CA10およびCA50とマップMとを用いて、燃焼サイクルCYC2の空燃比A/F2が算出される。そして、空燃比A/F1と空燃比A/F2との空燃比変化量ΔA/F(=A/F1−A/F2)が算出される。このようにして空燃比変化量ΔA/Fが推定される。
また、本実施形態では、上記のように算出される空燃比A/F1およびA/F2を用いて、ノック抑制制御の実施前後の燃焼サイクルCYC1と燃焼サイクルCYC2との間でのエンジントルクの変化量ΔTおよびNOx濃度(気筒内から排出されるNOxの濃度)の変化量ΔNOxのそれぞれの推定値が算出される。
(実施の形態1における具体的な処理)
次に、図3は、実施の形態1において実行される制御ルーチンを表したフローチャートである。なお、本ルーチンは、各気筒において排気弁22の開き時期を経過したタイミング(すなわち、MFBの実測データの算出の基礎となる筒内圧Pのデータの取得を終えたタイミング)で起動され、かつ、燃焼サイクル毎に繰り返し実行される。
図3に示すルーチンでは、ECU40は、まず、リーンバーン運転中であるか否かを判定する(ステップ100)。内燃機関10では、所定の運転領域において理論空燃比よりも大きな(リーンな)空燃比でのリーンバーン運転が行われるようになっている。ここでは、現在の運転領域がそのようなリーンバーン運転を行う運転領域に該当するか否かが判定される。ここでいう運転領域は、例えば、エンジン負荷率とエンジン回転速度とに基づいて規定することができる。エンジン負荷率は、例えば、エアフローセンサ44を用いて取得される吸入空気量と、エンジン回転速度とに基づいて算出することができる。
ECU40は、ステップ100においてリーンバーン運転中であると判定した場合には、ノック抑制のための点火時期の遅角要求があるか否かを判定する(ステップ102)。具体的には、一例として、ノックセンサ46を用いて算出されるノック強度が判定閾値よりも大きいか否かに基づいてノックの発生の有無が判定され、ノックが発生したと判定された場合には、点火時期の遅角要求が出される。
ECU40は、ステップ102において遅角要求があると判定した場合には、所定量だけ点火時期を遅角する点火時期の遅角指令を点火装置28に対して出力する(ステップ104)。その結果、本遅角指令後に行われる各気筒の燃焼サイクルで用いられる点火時期が所定量だけ遅角される。
次に、ECU40は、空燃比のリッチ化のための噴射燃料の増量指令を燃料噴射弁26に出力する(ステップ106)。ここでは、一例として、ステップ104の処理による点火時期の遅角量(上記所定量)に応じた量だけ噴射燃料が増量される。その結果、本増量指令後に行われる各気筒の燃焼サイクルで用いられる燃料噴射量が増やされる。このように、ステップ104および106の処理によって上述のノック抑制制御の実行指令が出される。
次に、ECU40は、今回の燃焼サイクルのSA−CA10およびCA50を算出する(ステップ108)。上述のように、CA10およびCA50は、筒内圧センサ30の出力値を利用して算出することができる。SA−CA10は、このように算出可能なCA10と上述の目標点火時期との差として算出することができる。また、ステップ108では、ECU40は、算出したSA−CA10およびCA50をメモリ40aに記憶する。メモリ40aに記憶されるSA−CA10およびCA50は、直近の1サイクルでの値であってもよいし、もしくは、例えば、直近の所定の複数サイクルでの値の平均値であってもよい。そして、記憶対象のSA−CA10およびCA50の値は、燃焼サイクルの経過とともに逐次更新されていく。
次に、ECU40は、今回の燃焼サイクルが、上述のノック抑制制御(点火遅角と噴射燃料の増量)を行った燃焼サイクルであるか否かを判定する(ステップ110)。その結果、本ステップ110の判定が成立する場合には、ECU40は、空燃比の変化量ΔA/Fを推定する(ステップ112)。
具体的には、メモリ40aに記憶されている上述のマップMを参照して、ノック抑制制御の開始前の燃焼サイクルCYC1のSA−CA10およびCA50に対応する空燃比A/F1が算出される。この算出に用いられるSA−CA10およびCA50として、ステップ108の処理による記憶値が取得されて利用される。そして、同様にマップMを参照して、ノック抑制制御を実行した後の燃焼サイクルCYC2(すなわち、今回の燃焼サイクル)のSA−CA10およびCA50に対応する空燃比A/F2が算出される。そのうで、算出された空燃比A/F1と空燃比A/F2との空燃比変化量ΔA/Fの推定値が算出される。ステップ112の処理によれば、今回のノック抑制制御の開始前の目標点火時期が基本点火時期(適合値)である場合には、基本点火時期での空燃比に対する変化量に相当する空燃比変化量ΔA/Fが推定される。
次に、ECU40は、エンジントルク変化量(以下、「単にトルク変化量」と略する)ΔTを推定する(ステップ114)。本ステップ114では、まず、遅角および増量後の燃焼サイクルCYC2のエンジントルクTrtdが、次の(4)式に従って算出される。
Figure 2017141745
ただし、上記(4)式において、Tbaseは、遅角および増量の開始前の燃焼サイクルCYC1のエンジントルクであり、「ベーストルク」と称する。Rafはノック抑制制御の実施前後での燃料の噴射量変化率である。RcombおよびRrtdは、それぞれ、ノック抑制制御の実施前後での燃焼効率比および点火効率比である。
ECU40には、目標点火時期が基本点火時期(適合値)であるときのベーストルクTbaseと、エンジン負荷率およびエンジン回転速度との関係を規定するマップ(図示省略)が記憶されている。したがって、トルク変化量ΔTの算出に用いる燃焼サイクルCYC1の目標点火時期が基本点火時期(適合値)である場合には、ベーストルクTbaseは、このマップを参照して算出される。ノック抑制制御によって遅角と増量とが2回以上行われた場合のベーストルクTbaseとしては、前回の遅角および増量を実施した後のエンジントルクTrtdが用いられる。このような処理を可能とするために、上記(4)式によるエンジントルクTrtdの算出値はメモリ40aに記憶されるものとする。
噴射量変化率Rafは、燃焼サイクルCYC2の燃料噴射量qrtdを、燃焼サイクルCYC1の燃料噴射量qbaseで除することにより算出することができる。燃料噴射量qrtdおよびqbaseは、ECU40が記憶している燃料噴射量の履歴を用いて、燃焼サイクルCYC2およびCYC1のそれぞれでの燃料噴射量の指令値(目標燃料噴射量)から取得することができる。
図4は、トルク変化量ΔTの推定に用いられる燃焼効率比Rcombおよび点火効率比Rrtdの算出手法の一例を説明するための図である。まず、図4(A)は、燃焼効率と空燃比(A/F)との関係を表した図である。図4(A)に示すように、燃焼効率は、リーン空燃比領域においては、空燃比がリーンになるにつれて上昇していく。これは、空燃比がリーンになることで、気筒内の混合気の比熱比が増加し、またポンプロスが低減するためである。ただし、燃焼効率は、図4(A)に示すように、ある空燃比A/F0において1(ピーク値)を示し、空燃比A/F0よりも空燃比がリーン化されると燃焼悪化に伴って低下する。ECU40のメモリ40aには、図4(A)に示すような傾向で燃焼効率と空燃比との関係を規定したマップ(図示省略)が記憶されている。本ステップ114では、そのようなマップを参照して、ステップ112で算出された空燃比A/F1およびA/F2のそれぞれに対応する燃焼効率が算出される。そして、これらの燃焼効率の比(A/F2での燃焼効率をA/F1での燃焼効率で除した値)である燃焼効率比Rcombが算出される。
また、図4(B)は、点火効率とCA50との関係を表した図である。図4(B)に示すように、点火効率は、MBT点火時期が得られるときのCA50において1(ピーク値)となり、このCA50よりもCA50が点火時期の調整によって進角または遅角されると低下する。ECU40のメモリ40aには、図4(B)に示すような傾向で点火効率とCA50との関係を規定したマップが記憶されている。本ステップ114では、そのようなマップを参照して、燃焼サイクルCYC1およびCYC2のそれぞれのCA50に対応する点火効率が算出される。そして、これらの点火効率の比(CYC2のCA50での点火効率をCYC1のCA50での点火効率で除した値)である点火効率比Rrtdが算出される。
上記(4)式の右辺の各パラメータは上述のように算出することができる。したがって、算出された上記各パラメータを(4)式に代入することで、燃焼サイクルCYC2(遅角および増量後)のエンジントルクTrtdを算出することができる。そして、算出されたエンジントルクTrtdとベーストルクTbaseとを用いて、トルク変化量ΔTの推定値を算出することができる。なお、このような処理によって算出可能なトルク変化量ΔTは、ノック抑制制御の実施の前後の空燃比A/F1、A/F2を利用して算出しているので、空燃比変化量ΔA/Fに基づく推定値であるともいえる。
次に、ECU40は、NOx濃度変化量ΔNOxを推定する(ステップ116)。本ステップ116では、まず、遅角および増量後の燃焼サイクルCYC2のNOx濃度NOxrtdが、次の(5)式に従って算出される。
Figure 2017141745
ただし、上記(5)式において、NOxbaseは、遅角および増量の開始前の燃焼サイクルCYC1のNOx濃度であり、「ベースNOx濃度」と称する。R’afはノック抑制制御の実施前後での空燃比変化によるNOx濃度比である。R’rtdは、ノック抑制制御の実施前後での点火時期変化(CA50変化)によるNOx濃度比である。
ECU40には、目標点火時期が基本点火時期(適合値)であるときのベースNOx濃度NOxbaseと、エンジン負荷率およびエンジン回転速度との関係を規定するマップ(図示省略)が記憶されている。したがって、NOx濃度変化量ΔNOxの算出に用いる燃焼サイクルCYC1の目標点火時期が基本点火時期(適合値)である場合には、ベースNOx濃度NOxbaseは、このマップを参照して算出される。ノック抑制制御によって遅角と増量とが2回以上行われた場合のベースNOx濃度NOxbaseとしては、前回の遅角および増量を実施した後のNOx濃度NOxrtdが用いられる。このような処理を可能とするために、上記(5)式によるNOx濃度NOxrtdの算出値はメモリ40aに記憶されるものとする。
図5は、NOx濃度変化量ΔNOxの推定に用いられる空燃比変化によるNOx濃度比R’afおよび点火時期変化によるNOx濃度比R’rtdの算出手法の一例を説明するための図である。まず、図5(A)は、NOx濃度と空燃比(A/F)との関係を表した図である。より具体的には、図5(A)は、NOx濃度がピークを示す理論空燃比近傍の空燃比よりもリーン側のリーン空燃比領域における関係を表している。このリーン空燃比領域では、図5(A)に示すように、NOx濃度は、空燃比がリーンになるにつれて低下していくという特性を有している。ECU40のメモリ40aには、図5(A)に示すような傾向でNOx濃度と空燃比との関係を規定したマップ(図示省略)が記憶されている。本ステップ116では、そのようなマップを参照して、ステップ112で算出された空燃比A/F1およびA/F2のそれぞれに対応するNOx濃度が算出される。そして、これらのNOx濃度の比(A/F2でのNOx濃度をA/F1でのNOx濃度で除した値)であるNOx濃度比R’afが算出される。
また、図5(B)は、NOx濃度とCA50との関係を表した図である。図5(B)に示すように、MBT点火時期が得られるときのCA50に対して点火時期(CA50)が遅角された場合には、NOx濃度は、CA50の遅角量が大きくなるにつれて低下する。ECU40のメモリ40aには、図5(B)に示すような傾向でNOx濃度とCA50との関係を規定したマップ(図示省略)が記憶されている。本ステップ116では、そのようなマップを参照して、燃焼サイクルCYC1およびCYC2のそれぞれのCA50に対応するNOx濃度が算出される。そして、これらのNOx濃度の比(CYC2のCA50でのNOx濃度をCYC1のCA50でのNOx濃度で除した値)であるNOx濃度比R’rtdが算出される。
上記(5)式の右辺の各パラメータは上述のように算出することができる。したがって、算出された上記各パラメータを(5)式に代入することで、燃焼サイクルCYC2(遅角および増量後)のNOx濃度NOxrtdを算出することができる。そして、算出されたNOx濃度NOxrtdとベースNOx濃度NOxbaseとを用いて、NOx濃度変化量ΔNOxの推定値を算出することができる。なお、このような処理によって算出可能なNOx濃度変化量ΔNOxは、ノック抑制制御の実施の前後の空燃比A/F1、A/F2を利用して算出しているので、空燃比変化量ΔA/Fに基づく推定値であるともいえる。
図2を参照して既述したように、本件発明者らは、SA−CA10(燃焼安定性指標値)とCA50(燃焼時期指標値)と空燃比との間には、エンジン負荷の変化に関係なく概ね一定となる関係があることを見出した。以上説明した図3に示すルーチンによれば、そのような関係にあるSA−CA10とCA50と空燃比との関係を規定するマップMと、筒内圧センサ30の出力値に基づくSA−CA10およびCA50の算出値とを利用して、ノック抑制制御(点火遅角と噴射燃料の増量)の実施前後での空燃比変化量ΔA/Fを推定することができる。そして、本手法によれば、筒内圧センサ30の出力値を利用しているので、燃焼サイクル毎にSA−CA10およびCA50の算出が可能である。このため、本手法によれば、ノック抑制制御を実施した後に上記空燃比変化量ΔA/Fを速やかに把握しつつ、ノック抑制制御を行えるようになる。
また、図3に示すルーチンによれば、マップMを参照して推定される空燃比A/F1およびA/F2を利用して、ノック抑制制御の実施の前後でのトルク変化量ΔTが推定される。ここで、噴射燃料の増量を行った場合のトルク変化量ΔTには、燃料噴射量の増加による変化分だけでなく、燃焼効率の変化分をも考慮することが望ましい。これらのトルク変化分がエンジン制御において加味されていないと、いわゆるトルクデマンド制御等のエンジントルクの制御に影響を及ぼし、内燃機関のドライバビリティの低下を招く可能性があるためである。この点に関し、本手法によれば、噴射量変化率Rafおよび燃焼効率比Rcombが加味されたトルク変化量ΔTを推定することができる。さらに、本手法によれば、点火効率比Rrtdをも加味してトルク変化量ΔTを推定することができる。
さらに付け加えると、ノック抑制制御を実施した際に空燃比のリッチ化の度合いを適切に把握できていないと、排気エミッション(NOxの排出)について次のような課題がある。すなわち、リーンバーン運転中のNOx濃度に応じていわゆるリッチスパイク制御を実行することがあるが、リッチ化の度合いを適切に把握できていないと、このリッチスパイク制御に影響を及ぼしてしまう。このことは、排気エミッションの悪化、もしくは過剰なリッチスパイク制御の実施による燃費悪化に繋がる可能性がある。さらには、いわゆる触媒OBDの判定に影響を及ぼす可能性もある。この点に関し、図3に示すルーチンによれば、マップMを参照して推定される空燃比A/F1およびA/F2を利用して、空燃比変化によるNOx濃度比R’afが加味された値として、ノック抑制制御の実施の前後でのNOx濃度変化量ΔNOxを推定することができる。このため、上述のリッチスパイク制御および触媒OBD等への適用に関して好ましいNOx濃度変化量ΔNOxの推定手法を提供することができる。また、本手法によれば、点火時期の変化によるNOx濃度比R’Rrtdをも加味してNOx濃度変化量ΔNOxを推定することができる。
なお、上述した実施の形態1においては、ECU40がステップ108の処理を実行することにより本発明における「指標値算出手段」が実現されており、ECU40がステップ102の判定が成立する場合にステップ104および106の処理を実行することにより本発明における「ノック抑制実行手段」が実現されており、そして、ECU40がステップ112の処理を実行することにより本発明における「推定手段」が実現されている。また、マップMを記憶するメモリ40aが本発明における「記憶手段」に相当している。
ところで、上述した実施の形態1においては、マップMを参照して推定される空燃比A/F1およびA/F2を用いて空燃比変化量ΔA/Fを推定する例について説明を行った。これに代え、ノック抑制制御の実施前後での空燃比変化率(A/F2をA/F1で除した値)が推定されるようになっていてもよい。また、同様に、トルク変化量ΔTに代え、トルク変化率が推定されるようになっていてもよいし、NOx濃度変化量ΔNOxに代え、NOx濃度変化率が推定されるようになっていてもよい。具体的には、(4)式を利用して2つのトルク値の比(Trtd/Tbase)を算出することで、ノック抑制制御の実施前後でのトルク変化率を算出することができる。また、(5)式を利用して2つのNOx濃度値の比(NOxrtd/NOxbase)を算出することで、ノック抑制制御の実施前後でのNOx濃度変化率を算出することができる。
また、上述した実施の形態1においては、燃焼安定性を示す燃焼指標値として、SA−CA10を例示した。しかしながら、本発明における「燃焼安定性指標値」は、燃焼安定性(より具体的には、主燃焼の安定性)を代表するパラメータであればよく、SA−CA10に代え、例えば、点火時期(SA)からCA10以外の任意の特定割合燃焼点CAα1までのクランク角期間を用いることができる。また、「燃焼時期指標値」については、燃焼時期を代表する指標値であればよく、例示したCA50に代え、例えば、筒内圧最大クランク角度θPmaxであってもよく、あるいは、CA50以外の任意の特定割合燃焼点CAα2であってもよい。
また、空燃比変化量ΔA/Fの推定精度の向上のために、SA−CA10(燃焼安定性指標値)とCA50(燃焼時期指標値)と空燃比との関係(例えば、マップMの各マップ値)は、吸気温度およびエンジン冷却水温度に基づいて補正されるようになっていてもよい。
また、実施の形態1においては、本発明に係る「関係情報」の一例としてマップMを用いる例について説明を行った。しかしながら、本発明に係る「関係情報」は、必ずしもマップという形態で構築されて制御装置内に記憶されているものに限られず、例えば、燃焼安定性指標値と燃焼時期指標値と空燃比との関係を規定する関係式という形態で構築および記憶されていてもよい。
また、実施の形態1においては、ノック抑制制御(点火時期の遅角と噴射燃料の増量)をリーンバーン運転中に行う例について説明を行った。しかしながら、本制御の適用対象は、リーンバーン運転に限られず、例えば、理論空燃比燃焼運転であってもよい。より具体的には、基本的にはリーンバーン運転中と比べて燃焼安定性が高くなるといえる理論空燃比燃焼運転中であっても、例えば、大量のEGRガスが導入される場合には、点火時期の遅角によってトルク変動が大きくなり易い。したがって、本制御は、このような場合においても、好適に適用することができる。
また、実施の形態1においては、シリンダブロックに伝わる振動を検出する方式のノックセンサ46を用いてノック検出を行う例について説明を行った。しかしながら、本発明の「ノック検出手段」は、上記方式のノックセンサ46に代え、例えば、筒内圧センサ30を用いてノックを検出するものであってもよい。具体的には、例えば、ノック検出のための所定クランク角期間における筒内圧センサ30の出力信号(すなわち、ノック判定用信号)の強度のピーク値がノック強度として算出されてもよく、あるいは、ノック判定用信号の強度の積分値がノック強度として算出されてもよい。
また、実施の形態1においては、各気筒に筒内圧センサ30を備える構成の内燃機関10を例に挙げた。しかしながら、本発明における空燃比変化量の推定を行ううえでは、筒内圧センサ30は少なくとも1つの気筒に備えられていればよい。したがって、例えば、特定の1つの気筒を代表気筒として筒内圧センサ30を設置し、この筒内圧センサ30の出力値に基づくSA−CA10およびCA50が算出されるようになっていてもよい。
また、SA−CA10等の燃焼安定性指標値とCA50等の燃焼時期指標値と「トルク効率」との関係を規定する関係情報を備えておくことで、筒内圧センサの出力値に基づく燃焼安定性指標値と燃焼時期指標値を利用して、ノック抑制制御の実施の前後でのそれぞれのトルク効率を直接的に(空燃比を介さずに)算出することもできる。ここでいうトルク効率とは、上述の燃焼効率と点火効率との積に相当する。したがって、このように算出されるトルク効率の比を算出することで、ノック抑制制御の実施前後でのトルク効率比を推定することができる。また、トルク効率比は、次のような手法によっても算出することができる。すなわち、基本点火時期(適合値)でのベースのトルク効率は事前に把握できる。このため、ベースのトルク効率に対するノック抑制制御の実施後のトルク効率の比に相当するトルク効率比と、燃焼安定性指標値および燃焼時期指標値との関係を規定する関係情報を備えておくことで、燃焼安定性指標値および燃焼時期指標値に基づいてトルク効率比を推定できるようになる。そして、これらの手法により算出されるトルク効率比は、(4)式中の燃焼効率比Rcombと点火効率比Rrtdとの積に相当する。したがって、トルク効率比を(4)式に代入することによって、空燃比を介さずにトルク変化量ΔTもしくはエンジントルク変化率を推定できるようになる。
上記のことはNOx濃度に関しても同様であり、燃焼安定性指標値と燃焼時期指標値とNOx濃度との関係を規定する関係情報を備えておくことで、筒内圧センサの出力値に基づく燃焼安定性指標値と燃焼時期指標値を利用して、ノック抑制制御の実施の前後でのそれぞれのNOx濃度を直接的に(空燃比を介さずに)算出することもできる。したがって、このように算出可能な2つのNOx濃度の差もしくは比を算出することにより、ノック抑制制御の実施前後でのNOx変化量ΔNOxもしくはNOx濃度変化率を、空燃比を介さずに推定できるようになる。
10 内燃機関
12 ピストン
14 燃焼室
16 吸気通路
18 排気通路
20 吸気弁
22 排気弁
24 スロットルバルブ
26 燃料噴射弁
28 点火装置
30 筒内圧センサ
40 電子制御ユニット(ECU)
40a メモリ
42 クランク角センサ
44 エアフローセンサ
46 ノックセンサ

Claims (1)

  1. 気筒内の混合気に点火する点火装置と、前記気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、筒内圧を検出する筒内圧センサとを備える内燃機関を制御する制御装置であって、
    ノックを検出するノック検出手段と、
    前記筒内圧センサの出力値に基づいて、燃焼安定性を示す燃焼安定性指標値と、燃焼時期を示す燃焼時期指標値とを算出する指標値算出手段と、
    前記燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と、空燃比、トルク効率、トルク効率比もしくはNOx濃度との関係を規定する関係情報を記憶する記憶手段と、
    前記ノック検出手段の検出結果に基づいてノックを抑制する場合に、点火時期を遅角し、かつ、空燃比のリッチ化のために噴射燃料を増量するノック抑制制御を実行するノック抑制実行手段と、
    前記ノック抑制制御の開始前の第1の燃焼サイクルの前記燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と、前記ノック抑制制御を実行した後の第2の燃焼サイクルの前記燃焼安定性指標値および前記燃焼時期指標値と、前記関係情報とに基づいて、前記第1の燃焼サイクルと前記第2の燃焼サイクルとの間での空燃比、エンジントルクおよびNOx濃度の少なくとも1つについての変化量もしくは変化率を推定する推定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115992766A (zh) * 2022-11-30 2023-04-21 东风汽车集团股份有限公司 一种发动机控制方法、系统、电子设备及存储介质

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