JP2017145363A - 蓄冷材組成物及び蓄冷材 - Google Patents

蓄冷材組成物及び蓄冷材 Download PDF

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Abstract

【課題】−13℃以上−2℃以下の低温領域にて、融解温度を維持し、当該温度領域で安定した温度保持時間を発現し、容器破損における蓄冷材組成物の汚染を極力防止できる蓄冷材組成物及び蓄冷材を提供する。
【解決手段】蓄冷材組成物は、融解温度調整剤、ゲル化剤、及び水からなるゲル状水溶液であって、融解温度調整剤として尿素を2.0重量%以上20重量%以下含有し、−13℃以上−2℃以下の範囲に融解温度を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶液と吸水性樹脂とを主成分としたゲル化物からなる蓄冷材組成物及びこの蓄冷材組成物を備えた蓄冷材に関する。
従来より、種々の蓄冷材が開発されており、これら蓄冷材は、医薬品、検体、及び生鮮食料品の低温輸送や保存用の用途に使用されている。一般に、蓄冷材は、対象物の冷却目的に応じて、所望される低温の状態を長時間保持するという機能が要求される。
蓄冷材の種類としては、例えば、蓄冷材組成物の融解や凝固等の相転移に伴う吸収熱を利用した潜熱蓄冷材がある。この潜熱蓄冷材のうち、蓄冷材組成物として無機塩や無機水和塩などの無機材料を用いたものは、有機材料を用いたものに対して熱伝導率や潜熱量が大きく、不燃性である等の利点を有している。特に、無機材料を用いた蓄冷材組成物のうち、塩化ナトリウム水溶液を用いたものは、無毒性、低反応性、及び適度な溶解性などの利点を有している。
潜熱蓄冷材としては、冷却対象物によって必要とされる種々の温度域に対応したものを準備しておく必要がある。冷却の温度域を種々設定する方法として、無機塩水溶液の融解温度を変えることが提案されている。例えば、特許文献1には、水に溶解させる融解温度調整剤である無機塩等の混合比率を変えることが記載されている。
特開平11−80720号公報 特開平11−158462号公報
一般に、金属塩類等の無機材料や、アルコール、グリコール、グリセリン、糖類等の有機材料は、水の凝固/融解温度を0℃より低い温度に降下させる凝固/融解温度調整剤として作用する。しかしながら、これら物質を大量に添加すると、水の融解潜熱量が50%以下に大幅に減少して、所望される低温の状態を長時間保持することが困難となる場合がある。
一方、無機塩の水溶液自体を蓄冷材として使用することは、これを収納する容器が破損した場合に内容物である水溶液が漏出して周囲を汚染する問題や、蓄冷と放冷との繰返しの間に無機塩が部分的に析出し、析出した無機塩が収納容器の底部に沈降することにより水溶液の上部と下部とで無機塩の濃度差が生じ易くなって蓄冷温度の制御が困難となる問題などを有している。
このような問題を回避するため、特許文献2には、吸水性樹脂を添加して無機塩水溶液をゲル化し、得られたゲル化物を蓄冷材として使用することが記載されている。
無機塩水溶液の吸水性樹脂によるゲル化の機構は、吸水性樹脂が多数の編み目を形成し、個々の編み目の内部に無機塩水溶液が閉じ込めているものと考えられている。ゲル化物は、流動性に乏しいため、収納容器が破損した場合に内容物が漏洩してもゲル化物が流出せず周囲を汚染する可能性が非常に小さい。
しかしながら、塩類、とりわけ塩化ナトリウムのようなアルカリ金属塩の水溶液は、一般的に吸水性樹脂によるゲル化が困難であることから、ゲル化のためにその使用量を増大させる必要がある。使用量を増大させると水溶液の量を相対的に減少させてしまうこととなり、蓄冷能の低減につながる問題がある。
従って本発明の目的は、−13℃以上−2℃以下の温度領域における所望される低温の状態を長時間保持できる蓄冷材組成物及びこの蓄冷材組成物を備えた蓄冷材を提供することにある。
本発明の他の目的は、蓄冷材組成物を収納する容器が破損した場合でも、内容物である水溶液の漏出が防止できる蓄冷材組成物及びこの蓄冷材組成物を備えた蓄冷材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、蓄冷と放冷との繰返しの間に溶解物が部分的に析出することのない蓄冷材組成物及びこの蓄冷材組成物を備えた蓄冷材を提供することにある。
本願発明者らは、従来の問題点を解決するために、鋭意研究した結果、融解温度調整剤として尿素を用い、水に溶解した水溶液に吸水性樹脂を用いゲル化することで、−13℃以上−2℃以下の融解温度を有し、冷却対象物に必要とされる温度域、つまり、所望される低温の状態を長時間保持できる蓄冷材組成物を得られ、蓄冷材組成物を収納する容器が破損した場合でも、内容物である水溶液が漏出することによる汚染を防止でき、さらには、蓄冷と放冷との繰返しの間に溶解物が部分的に析出する問題をも解消できる蓄冷材組成物及びこの蓄冷材組成物を備えた蓄冷材を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、融解温度調整剤、ゲル化剤、及び水からなるゲル状水溶液であって、融解温度調整剤として尿素を2.0重量%以上20重量%以下含有し、−13℃以上−2℃以下の範囲に融解温度を有する蓄冷材組成物、及びこの蓄冷材組成物を備えた蓄冷材が提供される。
尿素含有量を2.0重量%以上20重量%以下の範囲で可変調整することにより、その含有量に応じた融解温度を得ることができる。尿素含有量が2.0重量%未満では、融解温度を−2℃以下とする温度調整が不十分であり、尿素含有量が20重量%を超えると融解温度が変わらなくなり可変調整することができなくなる。
ゲル化剤は、ポリアクリル酸塩系樹脂であることが好ましい。このポリアクリル酸塩系樹脂を0.4重量%以上1.0重量%以下含有し、水を79.0重量%以上97.6重量%以下含有することがより好ましく、ポリアクリル酸塩系樹脂を0.65重量%以上1.0重量%以下含有し、水を79.0重量%以上97.35重量%以下含有することがさらに好ましい。
本発明によれば、融解温度を再現性良くかつ安定的に可変調整でき、所望される低温の状態を長時間保持できると共に、蓄冷材組成物を収納する容器が破損した場合でも、内容物である水溶液が漏出することによる汚染を防止でき、さらには、蓄冷と放冷との繰返しの間に溶解物が部分的に析出することもなく、これにより、−13℃以上−2℃以下の範囲を維持して保管又は輸送するために有効に使用可能な蓄冷材組成物、及びこの蓄冷材組成物を備えた蓄冷材を得ることができる。
実施例1〜4の融解温度測定結果を表すグラフである。 比較例1〜8の融解温度測定結果を表すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について、具体例を示して説明する。
本実施形態の蓄冷材組成物は、相状態が、凝固状態(固体)から融解状態(液体)に相転移する際に熱エネルギーを吸収するものであり、潜熱型の蓄冷材に用いられる。
蓄冷材組成物の「融解温度」とは固体が融解して液体化する温度のことを言い、「凝固温度」とは液体が凝固して固体化する温度のことを言う。また、蓄冷材組成物からなる蓄冷材の融解温度とは、その主な部分の相状態が凝固状態(固体)から溶融状態(液体)に変化する際の温度のことを言い、蓄冷材の「凝固温度」とは、その主な部分の相状態が溶融状態(液体)から凝固状態(固体)に変化する際の温度のことを言う。主な部分とは、目安として50重量%を超える割合を占める部分を表す。例えば、蓄冷材の80重量%が固体で20重量%が液体の状態の場合、この蓄冷材の相状態は固体(凝固状態)とする。ここで、相状態とは、一般的な固体、液体又は気体の状態を表す。本実施形態では、主に、固体及び液体の相状態を利用する。
本実施形態の蓄冷材組成物は、融解温度が−13℃以上−2℃以下であり、尿素、ポリアクリル酸塩系樹脂、及び水を含有する。
本実施形態において、融解温度調整剤として使用する尿素は、融解温度を調整する効果が大きく、入手も容易で安価であり、適量を溶解配合した蓄冷材組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、大小の塊の集合体にならず、微細な粒子の集合体となり、柔軟性や流動性を有する微細な粒子の集合体を得ることができるという優れた作用を有している。
尿素の結晶構造には空孔が存在し、種々の化合物と安定な包接化合物を形成する特性があることが知られており、蓄冷材組成物を冷却固化させる際に、水と結合し、微細な粒子集合体となることを促進する作用も有すると考えられる。
本実施形態において、尿素、ポリアクリル酸塩系樹脂、水からなる水溶液における尿素の含有量は、2.0重量%以上20重量%以下の範囲であることが好ましい。
尿素含有量が2.0重量%未満の場合、融解温度を−2℃以下への温度調整が不十分となる傾向があり、尿素含有量が20重量%を超えると、それ以上増量しても融解温度が変わらず、−13℃より低い温度に調整することが困難となり、所望される融解温度−13℃以上−2℃以下を維持するために尿素を過剰に添加することは経済的に不合理である。
本実施形態において、蓄冷材組成物のゲル化のために用いる吸水性樹脂としては、樹脂内部の高イオン濃度に基づく浸透圧による吸水機能を示し、かつ三次元の分子構造を有する樹脂、例えば、ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリオキシエチレン樹脂、又はイソプレインマレイン酸系樹脂等の合成樹脂などが用いられる。上記の各種吸水性樹脂のうち、経済性、効果的な吸水効果によるゲル化発現の点より、ポリアクリル酸塩系樹脂が特に好ましい。
本実施形態においては、融解温度調整剤として、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩を使用せず、尿素を用いていることから、水溶液中のアルカリイオン濃度(アルカリ金属塩が塩化ナトリウムの場合、ナトリウムイオン)による影響がなく、吸水性樹脂のポリアクリル酸塩系樹脂内のイオン濃度に基づく浸透圧が保持でき、水溶液中のイオン濃度の増加による吸水性樹脂の吸水機能低下阻害が抑制でき、吸水性樹脂による効果的なゲル化の促進を図ることができる。
尿素、ポリアクリル酸塩系樹脂、及び水からなる水溶液における吸水性樹脂であるポリアクリル酸塩系樹脂の含有量としては、0.4重量%以上1.0重量%以下が好ましい。
ポリアクリル酸塩系樹脂の含有量が0.4重量%未満の場合、有効なゲル化が不十分になる傾向がある。必要となるゲル化を達成しうる限りにおいて1.0重量%の含有量を最大使用量とすることが好ましい。
吸水性樹脂であるポリアクリル酸塩系樹脂を添加した蓄冷材組成物は、ゲル化により、蓄冷材組成物を収納する容器が破損した場合でも、内容物である該水溶液の漏出が防止できる。また、蓄冷と放冷との繰返しの間に尿素等の溶解物が部分的に析出する相分離の問題を解決できる。さらには、ゲル化による水溶液粘度の増加により、熱放散速度を遅くすることで所望される低温の状態を長時間保持できるだけではなく、蓄冷材組成物を収納する容器内の蓄冷材組成物の対流を抑制することで、固体から液体への相変化速度を遅延することにより、所望される低温の状態を長時間保持できる効を果も併せ持つことができる。
本実施形態の蓄冷材組成物は、容器又は袋に充填されることにより、蓄冷材を形成する。
容器又は袋は、主に合成樹脂で形成されたものが適切である。蓄冷材組成物を充填する容器又は袋の素材である合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ナイロン又はポリエステルなどが適用可能である。
これらの素材は、1種類を単独で使用してもよく、耐熱性やバリアー性を高めるために、これらの素材のうち2種類以上を組み合わせて多層構造としたものを使用することもできる。
また、この容器又は袋の形状としては、特に限定されないが、熱交換率を高める観点から、表面積を大きく確保できる形状が好ましい。これらの容器又は袋に対して、蓄冷材組成物を予め凝固又は融解させた状態で充填し、蓄冷材として使用することができる。
以下、実施例1〜4及び比較例1〜8により本発明を詳しく説明するが、本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、これら実施例1〜4に限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1〜8に用いた原材料は以下のとおりである。
尿素:日産化学工業株式会社製 工業用粒状尿素
ポリアクリル酸ナトリウム:SDPグローバル株式会社製 サンフレッシュ ST−500D
塩化ナトリウム:日本食塩製造株式会社製 精製塩
プロピレングリコール:旭硝子株式会社製
実施例及び比較例中の測定、及び評価は、次の条件及び方法により行った。
<融解温度測定>
蓄冷材組成物500gをポリプロピレン製容器内(1000ml容器)に入れ、熱電対(K型熱電対SP−1−50−Y)の先端部が蓄冷材組成物の容量中心部になるよう配置したものを準備した。蓄冷材組成物が充填された容器をフリーザー[日本フリーザー社製 バイオフリーザーD396DF3]内に静置し、−35℃の温度で12時間冷却した。
その後、蓄冷材組成物が充填された容器を温度28℃に設定された恒温槽に移し、データロガー(GRAPHTEC社製 midi LOGGER GL820:20点測定式)を用い温度を計測した。その際の温度上昇過程において、蓄冷材組成物の温度変化を、横軸:時間、縦軸:温度でプロットし、固体から液体へ融解に伴う相変化に由来して、蓄冷材組成物の温度が変化せず定温を維持し始める温度を、融解開始温度として測定するとともに、定温を維持する時間を温度保持時間として評価した。
<ゲル化評価>
蓄冷材組成物100gをポリエチレン製フィルムからなる袋(幅150mm×長さ250mm)に充填し、充填口を熱圧着したサンプルを作製した。サンプルを23℃環境下、平らな机の上に1時間横置きにした状態で放置し、熱圧着した部分を約5mm開口し、内容物である蓄冷材組成物が充填袋から漏出し、周囲を汚染する面積を官能評価した。
○:漏出物汚染面積 100cm未満
△:漏出物汚染面積 100cm以上 400cm未満
×:漏出物汚染面積 400cm以上
(実施例1〜4、比較例1〜8)
蓄冷材組成物としては、主剤の水を、融解温度調整剤である尿素、塩化ナトリウム、又はプロピレングリコールを、ゲル化剤であるポリアクリル酸ナトリウムを表1に示す配合比率で含有する水溶液を調製した。得られた水溶液に関して、融解温度測定及びゲル化評価を行った。評価結果を、表1、図1及び図2に示す。
Figure 2017145363
表1及び図1から明らかなように、実施例1〜4では、−13℃以上−2℃以下の範囲で一定の融解温度を維持し、且つ所望の温度を保持できている。さらに、安定したゲル化状態を維持しており、容器からの漏出時の周囲への汚染が抑制できている。特に、尿素の含有量を、実施例2のごとく2.0重量%から、実施例4のごとく9.0重量%、実施例1又は3のごとく20重量%までの範囲で調整することにより、融解温度その含有量に応じて調整できることが分かる。
表1及び図2に表されているように、比較例1では、尿素が含有されていないため融解温度が0℃近傍で−2℃以下の温度保持が達成できていない。また、比較例2〜4では、尿素の含有量を変化させているのに、融解温度が−12.2℃と一定であり、含有量に応じた融解温度の低下が認められない。即ち、比較例2〜4では、融解温度−12.2℃は達成しているものの、温度に対して過剰な尿素含有量が必要となるため、経済的に好ましいとは言えない。
また、比較例5及び6では、ゲル化剤であるポリアクリル酸ナトリウムの含有量が少ないか又は含有されていないため、蓄冷材組成物のゲル化が不十分で、充填容器からの漏出による周囲汚染の防止が図られていない。なお、ゲル化剤であるポリアクリル酸ナトリウムの含有量が1.0重量%を超えると、ゲル化状態がやや悪化する(やや堅くなり生産性が悪くなる)ことが確認されている。ポリアクリル酸ナトリウムの含有量が0.4重量%未満となると比較例5に示すようにゲル化状態が悪化することも確認されている。
さらに、比較例7及び8では、融解温度調整材として尿素に代わり、塩化ナトリウム、プロピレングリコールを適用したが、所望される温度の保持時間が極端に短くなってしまう。
以上の結果から、本発明の蓄冷材組成物は、−13℃以上−2℃以下の範囲で、一定の融解温度を維持し、所望される温度保持時間を安定的に発現できることが判る。さらに、蓄冷材組成物の安定したゲル化の状態を保持でき、蓄冷材組成物が充填している容器からの漏出による周囲汚染防止が図ることができる。
以上述べた実施形態及び実施例は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明は、薬品、食品及びそれに関連する技術、医療技術をはじめとして、−13℃以上−2℃以下の低温の領域にて温度保持・維持を伴う輸送や管理の必要となるあらゆる分野に役立つものである。

Claims (5)

  1. 融解温度調整剤、ゲル化剤、及び水からなるゲル状水溶液であって、前記融解温度調整剤として尿素を2.0重量%以上20重量%以下含有し、−13℃以上−2℃以下の範囲に融解温度を有することを特徴とする蓄冷材組成物。
  2. 前記ゲル化剤が、ポリアクリル酸塩系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の蓄冷材組成物。
  3. 前記ポリアクリル酸塩系樹脂を0.4重量%以上1.0重量%以下含有し、前記水を79.0重量%以上97.6重量%以下含有することを特徴とする請求項2に記載の蓄冷材組成物。
  4. 前記ポリアクリル酸塩系樹脂を0.65重量%以上1.0重量%以下含有し、前記水を79.0重量%以上97.35重量%以下含有することを特徴とする請求項2に記載の蓄冷材組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄冷材組成物を備えたことを特徴とする蓄冷材。
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