JP2017145373A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Hidenobu Akaha
秀信 赤羽
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隆 京谷
康人 干川
Yasuto Hoshikawa
康人 干川
玲 川口
Rei Kawaguchi
玲 川口
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Abstract

【課題】強度が向上したタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】本発明のタイヤ用ゴム組成物は、無機粒子の粒子表面が、厚みが0.1〜5nmの炭素層で被覆された充填剤を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関する。
自動車用タイヤでは、走行安全性を確保するために、湿潤路面におけるウェットグリップ性能、耐摩耗性及び強度について、高水準の性能が要求される。斯かる高水準の性能を確保するため、ゴム組成物の組成やタイヤ形状等の観点から、様々な技術が提案されている。
例えば、ゴム組成物の組成について調整を図る技術としては、タイヤのウェットグリップ性能及び耐摩耗性の両性能をバランスよく両立させるために、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム等の無機充填剤を、タイヤ用ゴム組成物に用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1に示された技術は、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性のバランスを図れるものの、強度の観点では、未だ改善の余地があった。
特開2013−166824号公報
本発明は、強度が向上したタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、無機粒子の粒子表面が、厚みが0.1〜5nmの炭素層で被覆された充填剤を含む。本発明のタイヤ用ゴム組成物によれば、強度が向上したタイヤ用ゴム組成物となる。
本明細書において、「炭素層の被覆率」は、無機粒子の外表面の長さに対する、無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さの平均割合(%)を意味する。
本明細書において、「炭素層の表面割合」は、無機粒子の外表面の長さに対する、炭素層の最外表面の長さの平均割合(%)を意味する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記炭素層が、蒸着層であることが好ましい。この構成によれば、タイヤ用ゴム組成物の強度をより向上させることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記充填剤の窒素吸着比表面積が、50〜150m2/gである、ことが好ましい。この構成によれば、50m2/g以上であることでタイヤ用ゴム組成物の強度をさらに向上させることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記炭素層の被覆率が、80%以上であり、且つ、前記炭素層の表面割合が、80〜200%であることが好ましい。この構成によれば、タイヤ用ゴム組成物の強度をよりさらに向上させることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記炭素層が、2〜10層からなることが好ましい。この構成によれば、タイヤ用ゴム組成物の強度を特に向上させることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記炭素層が水素を含み、前記炭素層中の水素量が、1.0〜20at%であることが好ましい。この構成によれば、タイヤ用ゴム組成物の耐摩耗性を向上させることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記無機粒子が、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子及び水酸化アルミニウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。この構成によれば、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性能及び耐摩耗性を向上させることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記充填剤の平均粒子径が、0.01〜30μmであることが好ましい。
本発明によれば、強度が向上したタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。
図1は、本発明のタイヤ用ゴム組成物に含まれる充填剤の製造に用い得る、CVD層形成装置の概略を示した断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態を例示する。
(タイヤ用ゴム組成物)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、少なくとも、充填剤及びゴム成分を含み、さらに、必要に応じて、その他の成分を含む。本発明のタイヤ用ゴム組成物によれば、強度が向上したタイヤ用ゴム組成物を得ることができる。
本発明者らは、充填剤としての無機粒子について、ゴム補強性能を向上させる検討をしたところ、無機粒子の表面上に、所定の厚みの炭素層を形成すると、粒子に対する結合ゴム量が増加することを見出した。そして、このようにして得られた充填剤を、タイヤ用ゴム組成物に適用すると、タイヤ用ゴム組成物の強度が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。タイヤ用ゴム組成物の強度が著しく向上するメカニズムは明らかでないが、所定の厚みの炭素層を形成することにより、無機粒子とゴム成分との間の結合力が強化され、タイヤ用ゴム組成物内で充填剤が補強剤としてより効果的に作用できるためと考えられる。
<充填剤>
上記充填剤は、無機粒子の粒子表面が0.1〜5nmの炭素層で被覆されている。
前記炭素層は、炭素層成分中の炭素が80at%(原子%)以上の層であり、炭素以外の成分を含んでいてもよい。
前記炭素層と無機粒子の粒子表面との間は、炭素層と無機粒子とを接着するための成分が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。炭素層と無機粒子とを接着するための成分が介在していないと、充填剤を安価に製造できる点で有利である。
また、無機粒子の表面の全てが炭素層と接していてもよいし、無機粒子の表面の一部が炭素層と接していなくてもよい。
<<無機粒子>>
上記無機粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子、水酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子、酸化カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化亜鉛粒子、アルミノケイ酸塩粒子、シリカ粒子、タルクの粒子、クレーの粒子、マイカの粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子、水酸化アルミニウム粒子が、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性能及び耐摩耗性を向上できる点で好ましく、アルミナ粒子は、特に、蒸着のし易さの点で有利である。
<<炭素層>>
上記炭素層としては、厚みが0.1nm〜5nmである限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、単層からなる層、複数層からなる層、厚みが均一な層、厚みが不均一な層、などが挙げられる。これらは1種単独でもよいし、2種以上でもよい。
これらの中でも、複数層からなる層が、タイヤ用ゴム組成物の強度を向上させやすい点で有利である。
−蒸着層−
上記炭素層は、蒸着層であることが好ましい。タイヤ用ゴム組成物の強度をより向上させることができるからである。
前記蒸着層は、上記無機粒子の表面に、炭素、炭化水素等を蒸着させて形成された層である。前記蒸着層は、公知のCVD法(化学気相成長法)又はPVD法(物理気相成長法)を用いて形成することができる。
前記蒸着層を構成する炭素原子は、ダイヤモンド構造、アモルファス構造、グラファイト構造、などの構造をとり得る。これらは1種の構造からなる場合もあり、複数の構造が混在する場合もある。
また、前記蒸着層は、水素原子、酸素原子、窒素原子等の非金属元素;アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属元素;半金属元素;等を含んでいてもよい。
−−CVD法−−
上記CVD法では、炭素又は炭化水素を気化し、熱や光によりエネルギーを与えたり、高周波でプラズマ化したりすることにより、炭素又は炭化水素の反応性を高め、無機粒子の表面に堆積させることにより、上記蒸着層を形成することができる。
前記CVD法の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱エネルギーを与えて基材に蒸着させる熱CVD法、光エネルギーを与えて基材に蒸着させる光CVD法、プラズマ化させて基材に蒸着させるプラズマCVD法、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、熱CVD法は、高価な設備を必要としないため、製造コストの点で有利である。
−−PVD法−−
上記PVD法では、炭素又は炭化水素を、物理的に無機粒子表面に堆積させることにより、上記蒸着層を形成させることができる。
前記PVD法の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング法、アークイオンプレーティング法、イオン蒸着法、イオンビーム法、レーザアブレーション法、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
−炭素層の厚み−
上記炭素層の厚みとしては、0.1〜5nmである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3〜2.0nmが好ましく、0.5〜1.5nmがより好ましい。
前記炭素層の厚みが、0.1nm以上であると、タイヤ用ゴム組成物の強度を向上させることができ、5nm以下であると、製造コストが高騰しない。前記炭素層の厚みが、前記好ましい範囲又は前記より好ましい範囲であると、同様の理由でより有利である。
上記炭素層の厚みは、上記充填剤の各粒子の断面構造の観察結果から測定し得る。具体的には、以下に説明する方法により測定し得る。
充填剤をアルコール系の溶媒(例えばエタノールなど)に十分に分散させ、その分散液の一部を透過型電子顕微鏡(TEM)用のグリッド(高分子支持膜付のCuメッシュ)に滴下し、24時間以上の真空乾燥後にグリッド試料をTEMにセットして、充填剤の粒子表面に被覆された炭素層の透過像を写真撮影する。任意に選択した50個の粒子について、撮影された炭素層のそれぞれの最大厚みを測定し、それぞれの粒子における炭素層の最大厚みの平均値を、炭素層の厚みとする。
−炭素層の被覆率−
上記炭素層の被覆率は、無機粒子の外表面の長さに対する、無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さの平均割合(%)を意味する。
前記炭素層の被覆率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が特に好ましい。
上記炭素層の被覆率は、上記TEMによる充填剤の各粒子の断面構造の観察結果から測定し得る。具体的には、撮影された充填剤の粒子の断面構造において、無機粒子の外表面の長さD1、及び無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さD2を測定する。そして、測定された長さD1及び長さD2を用いて、下記式(1)により、無機粒子の外表面の長さに対する、無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さの割合X(%)を算出する。
X(%)=(D2/D1)×100 ・・・(1)
前記Xを、50個の充填剤の粒子について測定し、その平均値を計算して、無機粒子の外表面の長さに対する、無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さの平均割合(炭素層の被覆率)とする。
ここで、前記Xは、断面構造からマニュアルで計算することもできるが、市販の画像解析ソフトを用いて計算することもできる。
−炭素層の表面割合−
上記炭素層の表面割合は、無機粒子の外表面の長さに対する、炭素層の最外表面の長さの平均割合(%)を意味する。
前記炭素層の表面割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80〜200%が好ましく、80〜180%がより好ましく、80〜150%が特に好ましい。
上記炭素層の表面割合は、上記TEMによる充填剤の粒子の断面構造の観察結果から測定し得る。具体的には、撮影された充填剤の粒子の断面構造において、無機粒子の外表面の長さD1、及び炭素層の最外表面の長さD3を測定する。そして、測定された長さD1及び長さD3を用いて、下記式(2)により、無機粒子の外表面の長さに対する、炭素層の最外表面の長さの割合Y(%)を算出する。
Y(%)=(D3/D1)×100 ・・・(2)
前記Y(%)を、50個の充填剤の粒子について測定し、その平均値を計算して、無機粒子の外表面の長さに対する、炭素層の最外表面の長さの平均割合(炭素層の表面割合)とする。
ここで、前記Yは、断面構造からマニュアルで計算することもできるが、市販の画像解析ソフトを用いて計算することもできる。
−炭素層を形成する層数−
上記炭素層を形成する層数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜10層が好ましく、2〜5層がより好ましい。
前記炭素層を形成する層数が、2層以上であると、タイヤ用ゴム組成物の強度が向上しやすい点で好ましく、10層以下であると、製造コストが高騰しない点で好ましい。前記炭素層を形成する層数が、前記より好ましい範囲であると、同様の理由でより有利である。
上記炭素層を形成する層数は、上記TEMによる充填剤の粒子の断面構造の観察結果から測定し得る。具体的には、撮影された充填剤の粒子の断面構造において、任意に選択した50個の粒子について、それぞれの炭素層の層数を測定し、それぞれの粒子における層数の平均値を、前記炭素層を形成する層数とする。
層数の数え方は、具体的には、TEM観察像から確認できる粒子表面に蒸着された炭素膜の結晶層の数を目視で数える。更に粒子に蒸着された炭素担持量と、グラファイトの密度から化学量論的に計算された粒子表面に完全に被覆されたときの炭素層の厚みと層数を確認する。
−炭素層中の水素量−
上記炭素層中の水素量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0〜20at%(原子%)が好ましく、1.0〜15at%がより好ましく、1.0〜10at%が特に好ましい。
前記炭素層中の水素量が、1.0at%以上であると、タイヤ用ゴム組成物の耐摩耗性を向上させることができる点で好ましく、20at%以下であると、耐疲労性を維持できる点で好ましい。前記炭素層中の水素量が、前記より好ましい範囲又は前記特に好ましい範囲であると、同様の理由でより有利である。
前期炭素層中の水素量は、質量分析装置を接続した昇温脱離法(TPD−MASS)により定量することができる。TPD−MASSは炭素層を真空雰囲気下で一定の昇温速度(例えば10℃/min)で加熱し、600〜1800℃で炭素のエッジサイトから脱離する水素ガス量を質量分析装置で測定する方法である。前記昇温脱離法は、例えば、Carbon、2016年4月、第99巻、p148−156に記載された方法により測定することができる。
<<充填剤の平均粒子径>>
上記充填剤の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜30μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましく、0.01〜5μmが特に好ましい。
前記充填剤の平均粒子径が、0.01μm以上であると、作業性と低ロス性とを両立させることができる点で好ましく、30μm以下であると、より少量(体積量)の充填剤で、タイヤ用ゴム組成物の強度を向上させることができる点で好ましい。前記充填剤の平均粒子径が、前記より好ましい範囲又は前記特に好ましい範囲であると、同様の理由でより有利である。
上記平均粒子径は、上記TEMによる充填剤の粒子の断面構造の観察結果から測定し得る。具体的には、撮影された充填剤の粒子の断面構造において、任意に選択した50個の粒子について、それぞれの最大粒子径を測定し、それぞれの粒子における最大粒子径の平均値を、前記充填剤の平均粒子径とする。ここで、最大粒子径とは、粒子の最外表面の任意の2点を結ぶ直線のうち最も長い2点間の長さのことをいう。
<<充填剤の窒素吸着比表面積>>
上記充填剤の窒素吸着比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜150m2/gが好ましい。
前記充填剤の窒素吸着比表面積が、50m2/g以上であると、ゴム組成物の強度を向上し易い点で好ましい。
<ゴム成分>
上記タイヤ用ゴム組成物に含まれるゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記タイヤ用ゴム組成物中の充填剤の体積分率(体積%)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜30体積%が好ましく、8〜25体積%がより好ましく、10〜20体積%が特に好ましい。
前記充填剤の体積分率が、5体積%以上であると、タイヤ用ゴム組成物の強度を向上させやすい点で好ましく、30体積%以下であると、タイヤ用ゴム組成物の流動性が保たれ、加工性が良好となる点で好ましい。前記充填剤の体積分率が、前記より好ましい範囲又は前記特に好ましい範囲であると、同様の理由でより有利である。
<その他の成分>
上記タイヤ用ゴム組成物に必要に応じて含まれるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、オイル、軟化剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、老化防止剤、可塑剤、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<シリカ>>
上記シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、湿式シリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できる点で有利である。
<<加硫剤>>
上記加硫剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物;硫黄、モルホリンジスルフィド等の硫黄系加硫剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<加硫促進剤>>
上記加硫促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBSI(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤;テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<加硫促進助剤>>
上記加硫促進助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、亜鉛華(ZnO)、ステアリン酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<オイル>>
上記オイルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アロマティックオイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、エステル系オイル、溶液状共役ジエンゴム、溶液状水素添加共役ジエンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<軟化剤>>
上記軟化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル等のプロセスオイル、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(タイヤ用ゴム組成物の製造方法)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記充填剤、上記ゴム成分及び必要に応じて含まれる上記その他の成分を含む配合物を、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー等、ゴム組成物の一般的な混合方法で混合することにより、製造することができる。
<充填剤の製造方法>
上記充填剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、CVD法、PVD法、などが挙げられる。これらの中でも、CVD法は、良質な層を効率的に形成できる点で好ましい。
前記CVD法による製造方法及び前記PVD法による製造方法は、堆積工程を含み、さらに必要に応じて、その他の工程を含む。
以下に、CVD法について説明する。
<<堆積工程>>
上記堆積工程は、例えば、無機粒子を収容した反応容器内に、反応ガスを導入して、加熱、光照射又はプラズマ化をして、無機粒子の表面に0.1〜5nmの蒸着層からなる炭素層を形成する工程である。
−反応ガス−
上記反応ガスは、炭素を含有する化合物を含み、さらに必要に応じてその他のガスを含む。
−−炭素を含有する化合物−−
上記炭素を含む化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素、炭化水素、有機化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素、炭化水素が好ましい。
前記炭素としては、グラファイト、無定形炭素、などが挙げられ、前記炭化水素としては、メタン、ベンゼン、プロピレン、アセチレン、エタン、プロパン、エチレン、クロロエチレン、ヘキサン、アクリロニトリル、アセトニトリル、フェロセン、エタノール、などが挙げられる。これらの中でも、メタンを用いると、得られる蒸着層の結晶性を高くすることができ、アセチレンを用いると、得られる蒸着層の結晶性を低くすることができる。
前記炭素を含有する化合物としてアセチレンを用いると、タイヤ用ゴム組成物の補強効果の優れた充填剤を得られる点で有利である。
−−その他のガス−−
上記反応ガスに必要に応じて含まれるその他のガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素ガス、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン)、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他のガスとして窒素ガスを用いると、製造コストの点で有利である。
−堆積工程の条件−
以下に、CVD法の中でも熱CVD法を用いる場合の堆積工程の条件を説明する。
前記堆積工程の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500〜1200℃が好ましく、600〜900℃がより好ましい。ここでの温度は、堆積させる際の無機粒子の表面温度である。
前記堆積工程の温度が、500℃以上であると、炭素層の堆積時間を短縮できる点で好ましい。
形成される炭素層の結晶性は、前記堆積工程の温度が高いほど高くなる。本発明の充填剤は、炭素層の結晶性が高すぎない方が、補強性が優れる。したがって、前記堆積工程の温度が、750℃以下であると、補強性に優れた充填剤を得やすい点で有利である。前記堆積工程の温度が、前記より好ましい範囲であると、同様の理由でより有利である。
反応容器に導入される反応ガスのガス流量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、線速度が1〜100m/hrとなる条件でのガス流量が好ましい。
反応容器内の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜10MPaが好ましく、0.05〜1MPaがより好ましく、0.1〜0.5MPaが特に好ましい。
<<その他の工程>>
上記その他の工程としては、上記堆積工程の前後に反応容器内に窒素ガス又は希ガスを導入する工程、前記堆積工程の前に無機粒子の表面に予め凹凸形成処理を施す工程、などが挙げられる。
前記堆積工程の前後に、反応容器内に窒素ガス又は希ガスを導入する工程を行うと、形成しようとする炭素層の酸化反応を回避することができ、安定した品質の充填剤を製造できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1−5及び比較例4、5)
タイヤ用ゴム組成物を、下記の方法により作製した。
<充填剤の調製>
充填剤の作製に用いたCVD層形成装置と、炭素層の形成手順を説明する。
図1に示すように、CVD層形成装置1は、ガス導入管4と、ガス導出管5と、CVD炉9内に配置されたチャンバー2及び反応容器3と、を備える。無機粒子6は、反応容器3内に配置できる。ガス導入管4に導入されるガスは、ガス注入口8から反応容器3内に注入される。反応容器3は、チャンバー2内で、ガス導入管4及びガス導出管5の方向を中心軸として回転可能である。ガス導入管4は、バルブ(図略)を介して各種ガスボンベ(図略)に接続される。ガス導出管5は、バルブ(図略)を介して真空ポンプ(図略)に接続される。CVD炉9が発熱することにより、CVD炉9内に配置されたチャンバー2及び反応容器3が加熱される。
無機粒子6としてのアルミナ(商品名:タイミクロン(TM−100)、製造会社:大明化学工業株式会社)を反応容器3内に配置した後、ガス導出管5に接続された真空ポンプにより、反応容器3内のガスを排気した。
無機粒子6に炭素層を形成する前に、反応容器3内にガス導入管4から窒素ガスを導入した。窒素ガスは400mL/分で導入し、その後、CVD炉9としての透明電気炉(石川産業株式会社)の加熱を開始した。反応容器3内の温度が表1に記載の温度に達するまで、10℃/分で昇温させた。表1に記載の温度に達してから、10分間同温度を維持させた。
次に、炭素層を形成する堆積工程を行った。表1に記載の反応ガスを、ガス導入管4から400mL/分のガス流量で導入し、反応容器3内のガス圧を0.101MPaとし、表1に記載の時間で炭素層を形成させた。この間、CVD炉9による加熱を続け、熱電対7により温度を測定し、反応容器3は2RPMで回転させた。
堆積工程の後に、ガス導入管4から、400mL/分のガス流量で10分間窒素ガスを導入した。その後、室温まで降温させて、充填剤を得た。
Figure 2017145373
<タイヤ用ゴム組成物の調製>
表2に示す配合割合のタイヤ用ゴム組成物を、バンバリーミキサーを用いて混練して、さらに加圧型加硫装置を用いて25℃又は100℃で30分間加硫して、タイヤ用ゴム組成物を得た。
Figure 2017145373
注)
*1 スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、JSR(株)製「SBR#1500」
*2 大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
*3 大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
*4 大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDM」
(比較例1)
実施例1において、充填剤として充填剤A−1を用いる代わりに、充填剤としてアルミナ(商品名:タイミクロン、製造会社:大明化学工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム物性を評価した。
(比較例2)
実施例2において、充填剤として充填剤A−1を用いる代わりに、充填剤としてアルミナ(商品名:タイミクロン、製造会社:大明化学工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ゴム物性を評価した。
(比較例6)
実施例3において、充填剤として充填剤A−1を用いる代わりに、充填剤としてアルミナ(商品名:タイミクロン、製造会社:大明化学工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、ゴム物性を評価した。
(比較例3)
実施例2において、充填剤として充填剤A−1を用いる代わりに、充填剤としてカーボンブラック(商品名:シースト6、製造会社:東海カーボン株式会社)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ゴム物性を評価した。
<充填剤及びタイヤ用ゴム組成物の評価>
得られた充填剤は、炭素層の厚み、炭素層の被覆率、炭素層の表面割合、炭素層を形成する層数、充填剤の平均粒子径、炭素層中の水素量、炭素被覆量及び充填剤の窒素吸着比表面積を下記方法で評価した。
得られたタイヤ用ゴム組成物は、モジュラス、粘弾性(せん断)、結合ゴム量(質量%)及び耐摩耗性を下記方法で評価した。
<<透過型電子顕微鏡による評価>>
得られた充填剤をエタノール中に分散させた後、透過型電子顕微鏡(TEM)用の高分子支持膜Cuグリッドに滴下後、乾燥させ、その後TEM観察によって充填剤の粒子表面に被覆された炭素膜の構造を写真撮影した。
−炭素層の厚み−
撮影された充填剤の粒子の断面構造において、任意に選択した50個の充填剤の各粒子について、それぞれの炭素層の最大厚みを測定した。それぞれの粒子における炭素層の最大厚みの平均値を、炭素層の平均厚みとした。
−炭素層の被覆率−
撮影された充填剤の粒子の断面構造において、無機粒子の外表面の長さD1、及び無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さD2を測定した。そして、測定された長さD1及び長さD2を用いて、下記式(1)により、無機粒子の外表面の長さに対する、無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さの割合X(%)を算出した。
X(%)=(D2/D1)×100 ・・・(1)
前記Xを、50個の充填剤の粒子について測定し、その平均値を計算して、無機粒子の外表面の長さに対する、無機粒子の外表面と炭素層とが当接する部分の長さの平均割合(炭素層の被覆率)とした。
−炭素層の表面割合−
撮影された充填剤の粒子の断面構造において、無機粒子の外表面の長さD1、及び炭素層の最外表面の長さD3を測定した。そして、測定された長さD1及び長さD3を用いて、下記式(2)により、無機粒子の外表面の長さに対する、炭素層の最外表面の長さの割合Y(%)を算出した。
Y(%)=(D3/D1)×100 ・・・(2)
前記Yを、50個の充填剤の粒子について測定し、その平均値を計算して、無機粒子の外表面の長さに対する、炭素層の最外表面の長さの平均割合(炭素層の表面割合)とした。
−炭素層を形成する層数−
撮影された充填剤の粒子の断面構造における、任意に選択した50個の充填剤の各粒子について、それぞれの炭素層の層数を測定した。それぞれの粒子における層数の平均値を、炭素層を形成する層数とした。
TEM観察像から確認できる粒子表面に蒸着された炭素層の結晶層の数を目視で数えることにより、層数を測定した。更に、粒子に蒸着された炭素担持量とグラファイトの密度とから化学量論的に計算された、粒子表面に完全に被覆されたときの炭素層の厚み及び層数を確認し、目視による層数が妥当であることを確認した。
−充填剤の平均粒子径−
撮影された充填剤の粒子の断面構造における、任意に選択した50個の粒子について、それぞれの最大粒子径を測定した。それぞれの粒子における最大粒子径の平均値を、充填剤の平均粒子径とした。
<<炭素層中の水素量>>
炭素層中の水素量は、TRD−MASSを用いて、Carbon、2016年4月、第99巻、p148−156に記載された方法に従って定量した。
<<炭素被覆量>>
炭素被覆量(質量%)は、CVD前の無機粒子の質量と、CVD後の充填剤の質量との差から求めた。
<<充填剤の窒素吸着比表面積>>
充填剤の窒素吸着比表面積は、JISK6217−1法に従って測定した。
<<モジュラス>>
得られたタイヤ用ゴム組成物のモジュラスは、JIS K6251に従って測定した。25℃で加硫したタイヤ用ゴム組成物を用いて200%モジュラスを測定し、100℃で加硫したタイヤ用ゴム組成物を用いて150%モジュラスを測定した。比較例2のモジュラスの値を100とした、各実施例及び比較例のモジュラスの指数値を表3に示す。指数値が大きい程、強度が高いことを示す。
<<粘弾性(せん断)>>
粘弾性(せん断)は、未加硫粘弾性装置「RPA2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)を用いて動的貯蔵(せん断)弾性係数G’を測定して求めた。比較例2のG’の値を100とした、各実施例及び比較例のG’の指数値を表3に示す。指数値が大きい程、強度が高いことを示す。
<<結合ゴム量>>
結合ゴム量は、充填剤の周りに結合しているゴムの量の指標である。
充填剤を含有するタイヤ用ゴム組成物0.4gを1mm角に裁断して、質量を測定した後、トルエン50mLに加えて、25℃で48時間放置した。その後、ガラス繊維フィルターでろ過をし、トルエン不溶分を分離した。分離したトルエン不溶分を25℃で真空乾燥して、質量を測定し、下記式により結合ゴム量(%)を求めた。
結合ゴム量(%)={(トルエン不溶分の質量―タイヤ用ゴム組成物中の充填剤の質量)/(タイヤ用ゴム組成物の質量―タイヤ用ゴム組成物中の充填剤の質量)}×100
比較例6の結合ゴム量(%)を100としたときの各実施例及び比較例の結合ゴム量の指数値を表4に示す。指数値が大きい程、タイヤ用ゴム組成物の強度が高いことを示す。
<<耐摩耗性>>
得られたタイヤ用ゴム組成物から、円板状(直径16.2mm×厚さ6mm)に切り抜いた試験片を作製し、JIS−K6264−2:2005に準じて、DIN摩耗試験を行った。室温でDIN摩耗試験を行った際の摩耗量(mm3)を測定し、摩耗量の逆数を求めた。
比較例6の摩耗量の逆数の値を100とした、各実施例及び比較例の耐摩耗性の指数値を表4に示す。指数値が大きい程、耐摩耗性が優れる。
Figure 2017145373
Figure 2017145373
実施例2と比較例2及び3とを比較することにより、無機粒子の表面に炭素層を形成することが、強度を向上させるという本発明の効果を得るために必要であることが示された。
実施例2と比較例4とを比較することにより、炭素層の厚みが0.1nm以上であることが、強度を向上させるという本発明の効果を得るために必要であることが示された。
実施例2と比較例5とを比較すると、実施例2と比較例5とは同等のゴム物性を示しているが、比較例5は炭素層の厚みが厚いため、製造コストが高い(データ非掲載)。したがって、実施例2は比較例5よりも製造コストの観点で有利である。
実施例3〜5で比較することにより、炭素層中の水素量が1.0at%以上である実施例4及び5は、炭素層中の水素量が1.0at%未満である実施例3に比べて、結合ゴム量及び耐摩耗性が優れることが示された。
本発明によれば、強度が向上したタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。
1 CVD層形成装置
2 チャンバー
3 反応容器
4 ガス導入管
5 ガス導出管
6 無機粒子
7 熱電対
8 ガス注入口
9 CVD炉

Claims (8)

  1. 無機粒子の粒子表面が、厚みが0.1〜5nmの炭素層で被覆された充填剤を含む、タイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記炭素層が、蒸着層である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記充填剤の窒素吸着比表面積が、50〜150m2/gである、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記炭素層の被覆率が、80%以上であり、且つ、前記炭素層の表面割合が、80〜200%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記炭素層が、2〜10層からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記炭素層が水素を含み、前記炭素層中の水素量が、1.0〜20at%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記無機粒子が、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子及び水酸化アルミニウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 前記充填剤の平均粒子径が、0.01〜30μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
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