JP2017145477A - 粉末充填装置、焼結磁石製造装置、及び焼結磁石製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】気体の供給口や排出口を舞い上がった粉末により詰まらせることがなく、且つ、均一な充填密度で粉末を充填対象容器に充填することができる粉末充填装置を提供する。【解決手段】粉末充填装置10は、粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器20の粉末充填部(キャビティ22)と密閉空間を形成することが可能な下部開口1111を有する粉末収容室11と、粉末収容室11内に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜12と、粉末収容室11の膜12よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部14と、粉末収容室11内の膜12よりも下側に膜12と離間して設けられた、膜12が所定位置よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材13とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、粉末を容器(以下、「充填対象容器」と呼ぶ)に充填するための粉末充填装置、並びに該粉末充填装置を用いた焼結磁石製造装置及び焼結磁石製造方法に関する。
焼結磁石を製造する方法の1つに、原料粉末を所定の密度で充填対象容器に充填した後、圧縮成形を行うことなく磁界中配向及び焼結を行うPLP(press-less process)法がある(特許文献1)。この方法には、残留磁束密度を低下させることなく保磁力を高くすることができると共に、最終製品に近い形状の焼結磁石を得ることができるという利点がある。ここで原料粉末を充填対象容器に充填する密度は、原料粉末を単に充填対象容器に投入しただけ(自然充填)の密度よりも高く(且つ、圧縮成形体の密度よりも低く)することが求められる。以下、このような密度で粉末を充填対象容器に充填することを「高密度充填」と呼ぶ。
特許文献2には、充填対象容器に粉末を高密度充填するエアタッピング装置が開示されている。この装置では、筒状ガイド部材がその下部開口において充填対象容器と連通するように、該充填対象容器が着脱可能且つ密閉可能に装着される。筒状ガイド部材の下部開口には、一定間隔で複数本張設されたワイヤや孔が多数穿設された板材等で形成されたグリッド部材が設けられている。また、筒状ガイド部材の上部開口には蓋が着脱可能且つ密閉可能に装着され、この蓋には、圧縮気体源から筒状ガイド部材の内部に気体を供給する気体供給管、及び筒状ガイド部材の内部から気体を排出する気体排出管が接続されている。気体供給管には電磁バルブが設けられている。一方、気体排出管には電磁バルブが設けられていてもよいし、電磁バルブを設けることなく気体が自然排出されるようになっていてもよい。このエアタッピング装置では、上部開口から筒状ガイド部材内に粉末を投入したうえで上部開口に蓋を装着すると共に、下部開口に充填対象容器を装着する。そして、気体供給管に設けられた電磁バルブの開閉を繰り返すことにより、筒状ガイド部材内の粉末の上部空間の圧力を交互に上昇及び下降させ、該粉末をグリッド部材を通して充填対象容器に高密度充填する。その後、充填対象容器をエアタッピング装置の下部開口から取り外すと、充填対象容器内の粉末とエアタッピング装置内に残った粉末がグリッド部材によって分離され、粉末が充填対象容器に所定の体積だけ高密度充填される。
特許文献3には、充填対象容器と連通する下部開口を有するフィーダと、気体の供給及び排出のための気体供給/排出口を有する与圧室の間に、該フィーダと該与圧室を気密に分離する膜(メンブレン)を設けたエアタッピング装置が開示されている。フィーダと与圧室を合わせたものが、特許文献2の装置の筒状ガイド部材と蓋を合わせたものに対応する。この装置では、フィーダに設けられた粉末投入口から粉末を膜との間に空間を残すように投入し、粉末投入口を閉鎖したうえで気体供給/排出口を通して与圧室への気体の供給及び排出を繰り返す。これにより膜が振動し、フィーダ内の空間の圧力を繰り返し上昇及び下降させ、フィーダ内の粉末をその上面から充填対象容器内に押し込んで高密度充填する。この装置では、与圧室とフィーダの間に膜が介在していることにより、フィーダ内の粉末が舞い上がって気体供給/排出口及びそれに繋がる管が詰まることが防止される。なお、この装置には、特許文献2に記載のグリッド部材に相当するものは設けられていない。
特許文献3に記載の装置では、与圧室側に気体が供給されたときに膜がフィーダ側(粉末側)に撓むと、膜が粉末に接触することがある。こうして膜が粉末の上面を押すと、膜で押された部分では粉末が圧縮され、局所的に粉末の密度が高くなる。そのため、充填対象容器内において粉末の充填密度が不均一になってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、気体の供給口及び/又は排出口を舞い上がった粉末により詰まらせることがなく、且つ、均一な充填密度で粉末を充填対象容器に充填することができる粉末充填装置、並びに該粉末充填装置を用いた焼結磁石製造装置及び焼結磁石製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る粉末充填装置は、
a) 粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
b) 前記粉末収容室内に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
c) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
d) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた、前記膜が所定位置よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と
を備えることを特徴とする。
a) 粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
b) 前記粉末収容室内に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
c) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
d) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた、前記膜が所定位置よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と
を備えることを特徴とする。
本発明に係る粉末充填装置を使用する際には、まず、粉末収容室内の膜降下阻止部材よりも下側に粉末を供給する。粉末は、粉末収容室を構成する壁の膜よりも下側に粉末供給口を設けてそこから供給してもよいし、前記膜よりも下側の位置で前記粉末収容室を上下に分割しておき、上側の部分を取り外して供給するようにしてもよい。そのうえで、下部開口に充填対象容器を装着し、圧力変化付与部によって粉末収容室の膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる。これにより、膜が振動して該膜よりも下側の粉末収容室内の圧力を繰り返し上昇及び下降させ、粉末収容室内の粉末をその上面から充填対象容器に押し込んで高密度充填する。ここで、粉末収容室内に膜が設けられていることにより、舞い上がった粉末で圧力変化付与部による圧力の上昇及び下降の動作を妨げることがない。そして、膜の下端が膜降下阻止部材よりも下側に達することがないため、膜が粉末の上面を押して局所的に粉末の密度が高くなることがなく、均一な充填密度で粉末を充填対象容器に充填することができる。
前記膜降下阻止部材には、例えば、孔が多数穿設された板材、所定間隔で横方向に複数本張設されたワイヤ、所定間隔で横方向に渡された複数本の棒材等を用いることができる。あるいは、膜降下阻止部材には、粉末収容室内に横方向に1本のみ渡されたワイヤや棒材、横方向の中央付近に配置されるようにワイヤや棒材等で支持された任意の形状の部材を用いることもできる。
本発明に係る粉末充填装置において、前記下部開口にグリッド部材が設けられていることが望ましい。これにより、下部開口から充填対象容器を外したときに、充填対象容器内の粉末と粉末収容室内の粉末がグリッド部材によって分離され、粉末が充填対象容器に所定の体積だけ高密度充填される。また、膜降下阻止部材が設けられていることにより、粉末収容室内の粉末が膜に押されて圧縮されることで粉末がグリッド部材を通過しなくなる、という問題が生じることもない。グリッド部材には、特許文献2に記載のものと同様に、一定間隔で複数本張設されたワイヤや孔が多数穿設された板材等を用いることができる。
本発明に係る焼結磁石製造装置は、
a-1) 焼結磁石の原料である粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
a-2) 前記粉末収容室内に横方向に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
a-3) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
a-4) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた部材であって、前記膜が該部材よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と、
を有する粉末充填装置と、
b) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末に磁界を印加させることにより、該粉末を配向させる配向部と、
c) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末を加熱することにより焼結させる焼結部と、
を備えることを特徴とする。
a-1) 焼結磁石の原料である粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
a-2) 前記粉末収容室内に横方向に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
a-3) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
a-4) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた部材であって、前記膜が該部材よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と、
を有する粉末充填装置と、
b) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末に磁界を印加させることにより、該粉末を配向させる配向部と、
c) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末を加熱することにより焼結させる焼結部と、
を備えることを特徴とする。
本発明に係る焼結磁石製造方法は、
a) 焼結磁石の原料となる粉末を充填対象容器に充填する工程であって、
1) 前記粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
2) 前記粉末収容室内に横方向に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
3) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
4) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた部材であって、前記膜が該部材よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と、
を有する粉末充填装置の前記膜降下阻止部材よりも下側の前記粉末収容室内に粉末を収容し、前記圧力を繰り返し上昇及び下降させることにより充填対象容器に粉末を充填する粉末充填工程と、
b) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末に磁界を印加させることにより、該粉末を配向させる配向工程と、
c) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末を加熱することにより焼結させる焼結工程と
を行うことを特徴とする。
a) 焼結磁石の原料となる粉末を充填対象容器に充填する工程であって、
1) 前記粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
2) 前記粉末収容室内に横方向に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
3) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
4) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた部材であって、前記膜が該部材よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と、
を有する粉末充填装置の前記膜降下阻止部材よりも下側の前記粉末収容室内に粉末を収容し、前記圧力を繰り返し上昇及び下降させることにより充填対象容器に粉末を充填する粉末充填工程と、
b) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末に磁界を印加させることにより、該粉末を配向させる配向工程と、
c) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末を加熱することにより焼結させる焼結工程と
を行うことを特徴とする。
本発明に係る焼結磁石製造装置及び焼結磁石製造方法において、前記下部開口にグリッド部材が設けられていることが望ましい。その理由は、上記粉末充填装置と同様である。
本発明に係る粉末充填装置、焼結磁石製造装置及び焼結磁石製造方法によれば、舞い上がった粉末により気体の供給口及び/又は排出口を詰まらせることがなく、且つ、均一な充填密度で充填対象容器に充填することができる。
図1〜図6を用いて、本発明に係る粉末充填装置、焼結磁石製造装置及び焼結磁石製造方法の実施形態を説明する。
本実施形態の粉末充填装置10は、図1に示すように、粉末収容室11、膜12、膜降下阻止部材13及び圧力変化付与部14を有している。
粉末収容室11は、本体111と蓋112から成る。本体111は直方体の箱状のものであって、天井部の全体が開放されており、底部には後述の下部開口1111が設けられている。蓋112は、本体111と同じ横断面を有する直方体の箱状のものであって、底部の全体が開放されており、側壁には後述の給気口144が、天井部には後述の排気口145がそれぞれ設けられている。蓋112の側壁の下端にはその全周に亘ってシール材1123が設けられており、本体111の上に蓋112を載置したうえで蓋112を本体111側に押しつけることにより、本体111と蓋112の境界における気密性が確保された内部空間101を有する粉末収容室11が構成されるようになっている。なお、シール材1123は、本体111の側壁の上端に設けてもよい。
本実施形態では、図2に示すように、下部開口1111は略長方形のものが、本体111の横断面の長辺方向に3個、短辺方向に3個、合計9個設けられている。各下部開口1111にはグリッド部材15が取り付けられている。グリッド部材15は、縦及び横にそれぞれワイヤが一定間隔で複数本張設されて成る。本実施例では、平均粒径が3μmの粉末を充填対象容器への充填の対象として、グリッド部材15のワイヤの間隔は2mmとした。このように、グリッド部材15のワイヤの間隔は粉末の平均粒径よりも3桁大きいが、粉末の粒子が凝集することにより、単にグリッド部材15の上に粉末を載置しただけでは、粉末がワイヤの間を通過して落下することはない。
また、蓋112の下面には、9個設けられた下部開口1111の全体を囲むようにシール材1113が設けられている(図2)。
膜12は、蓋112内の給気口144よりも下側に張設されている。膜12には、本実施例では膜厚0.5mmのシリコーンゴム製のものを用いたが、膜厚はこれには限定されない。また、膜12には、可撓性があればウレタンゴムやニトリルゴム等の他の材料から成るものを用いてもよい。この膜12により、粉末収容室11の内部空間101は、膜12よりも上側の上部空間101Aと、膜12よりも下側の下部空間101Bに分離されている。
膜降下阻止部材13は、蓋112内の膜12よりも下側に、該膜12と離間して設けられている。膜降下阻止部材13には、本実施例では、気体を通過させるための直径3mmの孔を縦横に5mm間隔で設けたステンレス鋼の板材を用いた。孔の大きさや形状、孔を配置する間隔、あるいは板材の材料はこれには限定されない。また、膜降下阻止部材13には、ステンレス鋼やその他の材料製の線材から成る網や、同様の材料から成る複数本の棒材を横方向に並べたもの、あるいは線材や棒材を1本のみ横方向に渡したもの等を用いてもよい。
圧力変化付与部14は、高圧気体ボンベ140、第1バルブ141、第2バルブ142、一時貯留管143、給気口144及び排気口145を有している。高圧気体ボンベ140は第1バルブ141と接続され、第1バルブ141と第2バルブ142は一時貯留管143により接続されており、第2バルブ142は給気口144と接続されている。排気口145は給気口144よりも径が小さく、粉末収容室11外の空間に対して常に開放されている。高圧気体ボンベ140から供給される気体には、本実施例では次に述べる理由により、不活性ガスを用いた。不活性ガスとしては、窒素ガスや希ガスを用いることができる。
酸化しやすい粉末を取り扱う場合には、粉末充填装置10は粉末充填装置10のうち少なくとも高圧気体ボンベ140、第1バルブ141、第2バルブ142及び一時貯留管143を除く部分は、内部を不活性ガスで満たした(無酸素雰囲気にした)外容器(図示せず)内に収容する。その場合、排気口145から排出されるガスを外容器の外に排出するための排気管を設けてもよいが、前述のように高圧気体ボンベ140から供給される気体に不活性ガスを用いれば、当該ガスを排気口145から外容器の中に排出することができ、排気管を省略することができる。なお、上述の排気管を設ける場合には、高圧気体ボンベ140から供給される気体は、粉末に接触することがないため、酸化しやすい粉末を取り扱う場合であっても空気を用いることができる。
また、後述のように本体111内に粉末を供給する際に蓋112を本体111の直上の位置から横に移動させるために、粉末充填装置10は蓋112の移動機構(図示せず)を有している。
次に、本実施形態の粉末充填装置10を用いて粉末が充填される充填対象容器の一例を説明する。この充填対象容器20は、図3に示すように、長方形の平板状の本体21の上面側に平板状のキャビティ(粉末充填部)22が、粉末充填装置10の下部開口1111と同じ間隔で長辺方向に3個、短辺方向に3個、合計9個設けられたものである。キャビティ22の上面は該下部開口1111と同形状である。ここでキャビティ22の個数及び位置は任意であり、その個数及び位置に応じて粉末充填装置10の本体111に下部開口1111を設ければよい。
また、粉末充填装置10を用いて充填対象容器20に粉末を充填する際には、図1に示すスペーサ30を用いる。スペーサ30は、板材に9個の貫通孔31が、下部開口1111と同形状且つ同じ配置で設けられ、これら9個の貫通孔31の全体を囲むようにシール材32が下面に設けられたものである。
図4を用いて、本実施形態の粉末充填装置10の動作を説明する。まず、本体111と蓋112が分離されている状態で、粉末Pを本体111内に供給する(a)。このとき粉末Pは、下部開口1111に設けられたグリッド部材15の上に載るが、前述の理由により、グリッド部材15のワイヤの間を通過して落下することはない。
次に、上面にスペーサ30が装着された充填対象容器20を、本体111の下部開口1111と充填対象容器20のキャビティ22の位置を合わせるように本体111の直下に配置する。それと共に、本体111の上に蓋112を載置する。この状態で、押圧装置(図示せず)で蓋112を下方に押すことにより、粉末収容室11を形成する(b)。その際、蓋112と本体111、本体111とスペーサ30、及びスペーサ30と充填対象容器20の間では、それぞれシール材1123、1113及び32により気密性が確保される。
この状態で以下の方法によって、粉末収容室11の上部空間101Aの圧力を繰り返し上昇及び下降させる(c)。まず、第2バルブ142を閉鎖した状態で第1バルブ141を開放することにより、高圧気体ボンベ140から一時貯留管143に高圧気体を導入する。次いで、第1バルブ141を閉鎖して第2バルブ142を開放することにより、一時貯留管143内の高圧気体を給気口144から上部空間101Aに導入する。ここで排気口145が常に開放された状態にあるものの給気口144よりも径が小さいため、上部空間101A内の気体は排気口145から徐々に排出されてゆく。従って、上部空間101A内の圧力は、第2バルブ142が開放されたときに急激に上昇し、その後、徐々に低下してゆく。ここまでの操作を1周期として、1秒間あたり数十回繰り返す。このように高圧気体をいったん一時貯留管143に貯留することにより、1周期で上部空間101Aに導入される高圧気体の量を一定にすることができる。なお、圧縮気体の圧力、周期及び1周期中の圧縮気体を供給する時間の比(デューティ比)は、取り扱う粉末毎に当業者が予備実験を行って適宜定めればよい。
このように上部空間101Aの圧力を繰り返し上昇及び下降させることにより、膜12が振動する。それによって、粉末収容室11の下部空間101Bの圧力も繰り返し上昇及び下降する。これにより、粉末収容室11内の粉末Pは、その上面が下部空間101B内の気体によって押され、グリッド部材15のワイヤの間を通って充填対象容器20のキャビティ22に押し込まれる。その際、給気口144や排気口145と粉末収容室11内の粉末Pの間に膜12が設けられているため、粉末Pが下部空間101Bの圧力の変動により舞い上がっても給気口144や排気口145を詰まらせることがない。また、膜12と粉末収容室11内の粉末Pの間に、膜12と離間して膜降下阻止部材13が設けられているため、粉末Pに膜12が接触して密度が局所的に高くなることが防止され、それにより充填対象容器20のキャビティ22での充填密度を均一にすることができると共に、グリッド部材15に目詰まりが生じることを防ぐことができる。
この圧力の上昇及び下降の操作を所定時間行うことにより、キャビティ22内、及びその上にあるスペーサ30の貫通孔31のところまで粉末Pで満たされる。その後、充填対象容器20とスペーサ30を一体のままで、本体111から離す(d)。以上により、キャビティ22及び貫通孔31内に粉末Pを充填する操作が完了する。
ここではスペーサ30を用いた例を説明したが、充填密度を上記の操作により得られる値よりも高くする必要がなければ、スペーサ30を使用する必要はない。しかし、PLP法によりRFeB(R2Fe14B:RはNd等の希土類元素)系焼結磁石を製造する際には、上記の操作だけでは必要な充填密度まで高くすることが難しい。そのため、スペーサ30を使用して上記の操作を行った後に、図5に示すように、スペーサ30の貫通孔31と同形状のパンチ35を上側から該貫通孔31に挿入することにより、貫通孔31内の粉末Pを充填対象容器20のキャビティ22に押し込む。これにより、キャビティ22に、粉末充填装置10による充填時よりも高い密度で粉末Pが充填される。
次に、本実施例の粉末充填装置10を用いて、粉末を充填対象容器20のキャビティ22に充填する実験の結果を説明する。粉末には、組成がNd:28、Pr:2、Co:1.0、B:1.0、Fe:残部(単位は重量%)であって平均粒径が3μmであるRFeB系磁石の原料合金粉末を用いた。圧縮気体は、圧力を0.4MPaとし、1周期を60ミリ秒として80回、粉末収容室11内に導入した。キャビティ22の大きさは、36mm×20mm×8.5mmとした。比較のために、粉末充填装置10から(膜12は残して)膜降下阻止部材13を除いたもの(比較例1)、並びに粉末充填装置10から膜12及び膜降下阻止部材13を除いたもの(比較例2)についても同様の実験を行った。実験は、実施例及び比較例1では20個、比較例2では3個の充填対象容器20に対して行った。その際、1個の充填対象容器20に粉末を充填した後、当該充填対象容器20を本体111の下部から取り外し、続けて次の充填対象容器20を取り付けて粉末を充填する、という操作を繰り返した。また、最初に本体111に十分な量の粉末を供給しておき、途中では粉末を補充せず、グリッド部材15の清掃も行っていない。そして、実施例及び比較例1では1〜3, 10及び20回目において、比較例2では1〜3回目の全てにおいて、充填対象容器20の9個のキャビティ22のそれぞれに給粉された粉末の充填量を測定し、その最大値、最小値及び平均値を求めた。実験結果を表1に示す。
1回目では、比較例2の最大値と最小値の差が他の例よりもやや大きいものの、それ以外には実施例と比較例1及び2との有意な差は見られない。これは、粉末収容室11内の粉末と膜12の接触回数が未だ少ないためであると考えられる。
2回目及び3回目では、実施例及び比較例1では1回目からの変化がほとんど見られないのに対して、比較例2では回数を経るに従って、充填量の平均値が低下すると共に、最大値と最小値の差(キャビティ22毎のばらつき)が大きくなった。これは、比較例2では膜12が存在しないことで給気口144や排気口145が詰まり、圧力の変化を粉末に伝達し難くなったためであると考えられる。
さらに、実験回数を20回まで増加させてゆくと、実施例では充填量の平均値、最大値と最小値の差は1回目とほとんど変化していないのに対して、比較例1では平均値が低下し、最大値と最小値の差が増加している。これは、比較例1では、粉末収容室11内の粉末と膜12との接触が繰り返されたことにより、粉末が膜12に押されて密度が局所的に上昇し、グリッド部材15を通過し難くなったためであると考えられる。
以上のように、実施例は比較例1及び2よりも、粉末を均一且つ高密度で充填することができることが確認された。
次に、図6を用いて、本発明に係る焼結磁石製造装置の一実施例を説明する。本実施例の焼結磁石製造装置50は、粉末充填装置(上記粉末充填部)10と、粉末高密度化装置52と、蓋取付部53と、配向装置(上記配向部)54と、焼結炉(上記焼結部)55を有する。また、焼結磁石製造装置50は、粉末充填装置10、粉末高密度化装置52、蓋取付部53、配向装置54、焼結炉55の順に充填対象容器20を搬送する搬送装置(ベルトコンベア)56を有する。これらの各装置のうち焼結炉55以外の各装置は、内部が不活性ガス雰囲気である共通の外容器57に収容されており、焼結炉55内も別途不活性ガスが供給されることで不活性ガス雰囲気となっている。これら外容器57及び焼結炉55の内部を不活性ガス雰囲気にする構成要素により、前述の無酸素雰囲気収容部が構成されている。なお、粉末充填装置10のうち、高圧気体ボンベ140、第1バルブ141、第2バルブ142及び一時貯留管143は外容器57の外に配置されている。
粉末充填装置10は、焼結磁石の原料となる粉末を充填対象容器20に充填する装置であり、上述の通りの構成を有する。粉末高密度化装置52は上述のパンチ35を有する。蓋取付部53は、粉末が充填された充填対象容器20に、該充填対象容器20の蓋(粉末充填装置10の蓋112とは異なる)を取り付ける装置である。この蓋は、配向装置54における磁界や焼結炉55におけるガスの対流等によって合金粉末が充填対象容器20から飛散することを防止するために用いられる。
配向装置54は、コイル541と容器昇降装置542を有する。コイル541は略鉛直方向(上下方向)の軸を有しており、容器昇降装置542の上方に配置されている。容器昇降装置542は、容器搬送装置56で搬送されてきた充填対象容器20をコイル541内との間で昇降させる装置である。
焼結炉55は、充填対象容器20を多数収容する焼結室551と、外容器57と連通する搬入口552と、搬入口552に設けられた断熱性を有する扉553を有する。
焼結磁石製造装置50の動作を説明する。まず、容器搬送装置56により、充填対象容器20が粉末充填装置10に搬送され、上述のように、充填対象容器20のキャビティ22内に合金粉末が充填される。次に、容器搬送装置56により充填対象容器20が粉末高密度化装置52に搬送され、上述のようにパンチ35を用いて粉末を高密度化する。続いて、容器搬送装置56により充填対象容器20が蓋取付部53に搬送され、充填対象容器20に蓋が取り付けられる。その後、充填対象容器20は、容器搬送装置56によって配向装置54に搬送され、配向装置54において容器昇降装置542によってコイル541内に配置され、コイル541が生成する磁界によって充填対象容器20内の粉末が配向する。この配向処理の後、充填対象容器20は、容器昇降装置542によってコイル541内から降ろされ、容器搬送装置56によって焼結炉55に搬送され、焼結室551内で所定の温度(通常、800〜1100℃)に加熱することにより充填対象容器20内の粉末を焼結する。
以上のように、焼結磁石製造装置50では、圧縮成形を行うことなく磁界中配向及び焼結がなされるPLP法によって焼結磁石を製造することができる。
本発明は上記実施形態には限定されない。
例えば、粉末充填装置の本体の形状は、前記実施形態では直方体としたが、円筒形やその他の形状であってもよい。粉末充填装置の蓋の形状も、本体の形状に合わせて適宜定めればよい。
粉末充填装置の排気口の径は、前記実施形態では給気口の径よりも小さくしたが、給気口の径と同じかそれよりも大きくしてもよい。また、前記実施形態では排気口が常に開放された状態にしたが、排気口にバルブを設け、粉末収容室内の圧力を上昇させるときには該バルブを閉鎖し、該圧力を下降させるときには該バルブを開放するようにしてもよい。さらに、粉末収容室内の圧力は、前記実施形態では周期的に(すなわち、一定の時間間隔で)変化させたが、不規則なタイミングで該圧力を上昇及び下降させてもよい。
例えば、粉末充填装置の本体の形状は、前記実施形態では直方体としたが、円筒形やその他の形状であってもよい。粉末充填装置の蓋の形状も、本体の形状に合わせて適宜定めればよい。
粉末充填装置の排気口の径は、前記実施形態では給気口の径よりも小さくしたが、給気口の径と同じかそれよりも大きくしてもよい。また、前記実施形態では排気口が常に開放された状態にしたが、排気口にバルブを設け、粉末収容室内の圧力を上昇させるときには該バルブを閉鎖し、該圧力を下降させるときには該バルブを開放するようにしてもよい。さらに、粉末収容室内の圧力は、前記実施形態では周期的に(すなわち、一定の時間間隔で)変化させたが、不規則なタイミングで該圧力を上昇及び下降させてもよい。
10…粉末充填装置
11…粉末収容室
111…本体
1111…下部開口
1113、1113A、1123、32…シール材
112…蓋
12…膜
13…膜降下阻止部材
14…圧力変化付与部
140…高圧気体ボンベ
141…第1バルブ
142…第2バルブ
143…一時貯留管
144…給気口
145…排気口
15…グリッド部材
20…充填対象容器
21…充填対象容器の本体
22…キャビティ
30…スペーサ
31…貫通孔
35…パンチ
50…焼結磁石製造装置
52…粉末高密度化装置
53…蓋取付部
54…配向装置
541…コイル
542…容器昇降装置
55…焼結炉
551…焼結室
552…搬入口
553…焼結室の扉
56…容器搬送装置
57…外容器
P…粉末
11…粉末収容室
111…本体
1111…下部開口
1113、1113A、1123、32…シール材
112…蓋
12…膜
13…膜降下阻止部材
14…圧力変化付与部
140…高圧気体ボンベ
141…第1バルブ
142…第2バルブ
143…一時貯留管
144…給気口
145…排気口
15…グリッド部材
20…充填対象容器
21…充填対象容器の本体
22…キャビティ
30…スペーサ
31…貫通孔
35…パンチ
50…焼結磁石製造装置
52…粉末高密度化装置
53…蓋取付部
54…配向装置
541…コイル
542…容器昇降装置
55…焼結炉
551…焼結室
552…搬入口
553…焼結室の扉
56…容器搬送装置
57…外容器
P…粉末
Claims (6)
- a) 粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
b) 前記粉末収容室内に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
c) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
d) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた、前記膜が所定位置よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と
を備えることを特徴とする粉末充填装置。 - 前記下部開口にグリッド部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の粉末充填装置。
- a-1) 焼結磁石の原料である粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
a-2) 前記粉末収容室内に横方向に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
a-3) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
a-4) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた部材であって、前記膜が該部材よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と、
を有する粉末充填装置と、
b) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末に磁界を印加させることにより、該粉末を配向させる配向部と、
c) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末を加熱することにより焼結させる焼結部と、
を備えることを特徴とする焼結磁石製造装置。 - 前記下部開口にグリッド部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の焼結磁石製造装置。
- a) 焼結磁石の原料となる粉末を充填対象容器に充填する工程であって、
1) 前記粉末を収容するための内部空間を有し、下部に充填対象容器の粉末充填部と密閉空間を形成することが可能な下部開口を有する粉末収容室と、
2) 前記粉末収容室内に横方向に張設された可撓性のある膜であって、該膜の上側と下側の空間を気密に分離する膜と、
3) 前記粉末収容室の前記膜よりも上側の圧力を繰り返し上昇及び下降させる圧力変化付与部と、
4) 前記粉末収容室内の前記膜よりも下側に該膜と離間して設けられた部材であって、前記膜が該部材よりも下側に降下することを阻止する膜降下阻止部材と、
を有する粉末充填装置の前記膜降下阻止部材よりも下側の前記粉末収容室内に粉末を収容し、前記圧力を繰り返し上昇及び下降させることにより充填対象容器に粉末を充填する粉末充填工程と、
b) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末に磁界を印加させることにより、該粉末を配向させる配向工程と、
c) 前記粉末が前記充填対象容器に充填されたままの状態で機械的圧力を印加することなく、該粉末を加熱することにより焼結させる焼結工程と
を行うことを特徴とする焼結磁石製造方法。 - 前記下部開口にグリッド部材を設けることを特徴とする請求項5に記載の焼結磁石製造方法。
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| JP2016029302A JP2017145477A (ja) | 2016-02-18 | 2016-02-18 | 粉末充填装置、焼結磁石製造装置、及び焼結磁石製造方法 |
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