JP2017145702A - ロータリーコンプレッサー用ローターおよびロータリーコンプレッサー - Google Patents

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【課題】ロータリーコンプレッサーにおいて、ローターとシリンダーとの間の摩擦を低減しつつ、クリアランスを小さく設定する。【解決手段】ローターは、円筒の形状を有するローター本体と、ローター本体の側面に形成された樹脂コーティング層15と、樹脂コーティング層15に形成された溝Gを有する。溝Gは、この溝に沿って円筒の上面または底面側の端部から中心に向かう向きの、ローター本体の回転方向R成分が、回転方向Rと逆向きとなる形状を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、ロータリーコンプレッサー用ローターおよびロータリーコンプレッサーに関する。
ロータリーコンプレッサーにおいて、ローターの外周面とシリンダーの内周面との焼付きを抑制することは、広く知られた課題である。例えば特許文献1には、ローターの外周面またはシリンダーの内周面に浸硫窒化処理を行うことが記載されている。また、特許文献2には、ローターおよびベーンと摺動するサイドブロックにフッ素系樹脂をコーティングすることが記載されている。
特開2004−278309号公報 特開2008−12534号公報
特許文献1および2に記載の技術においては、運転時の熱膨張による焼付きを防ぐために、ローターとシリンダーとの間のクリアランスを大きく設定する必要があった。ただし、クリアランスを大きく設定すると冷媒が漏れやすくなってしまうという問題があった。
これに対し本発明は、ロータリーコンプレッサーにおいて、ローターとシリンダーとの間の摩擦を低減しつつ、クリアランスを小さく設定するための技術を提供する。
本発明は、円筒の形状を有するローター本体と、前記ローター本体の側面に形成された樹脂コーティング層と、前記樹脂コーティング層に形成され、前記円筒の上面側または下面側の一端の、前記ローター本体の回転方向への正射影が前記回転方向と逆向きとなる形状の端部を有する溝とを有するロータリーコンプレッサー用ローターを提供する。
前記溝の他端が、前記上面または下面まで達していてもよい。
前記溝が、前記側面に垂直な方向から見てV字形状を有していてもよい。
前記溝が、前記側面に垂直な方向から見てU字形状を有していてもよい。
前記溝の他端が、前記側面において閉じていてもよい。
前記ローター本体は、ベーンを収容する凹部を有し、前記樹脂コーティング層は、前記凹部の周辺において前記溝が無い余白領域を有してもよい。
また、本発明は、シリンダーと、前記シリンダー内を回転するローターとを有し、前記ローターが、円筒の形状を有するローター本体と、前記ローター本体の側面に形成された樹脂コーティング層と、前記樹脂コーティング層に形成され、前記円筒の上面側または下面側の一端の、前記ローターの回転方向への正射影が前記回転方向と逆向きとなる形状の端部を有する溝とを有するロータリーコンプレッサーを提供する。
さらに、本発明は、シリンダーと、前記シリンダー内を回転するローターとを有し、前記シリンダーは、内周面に形成された樹脂コーティング層と、前記樹脂コーティング層に形成された溝であって、当該溝に沿って前記シリンダーの上面または底面側の端部から中心に向かう向きの、前記ローターの回転方向成分が、当該回転方向と逆向きとなる形状を有する溝とを有するロータリーコンプレッサーを提供する。
本発明によれば、ロータリーコンプレッサーにおいて、ローターとシリンダーとの間の摩擦を低減しつつ、クリアランスを小さく設定することができる。
一実施形態に係るコンプレッサー10の構造を例示する図。 ローター1の外観を例示する図。 溝Gの形状を例示する図。 スリット12近傍の溝Gの形状を例示する図。 溝Gの断面形状を例示する図。 溝Gの形状の別の例を示す図。 溝Gの形状のさらに別の例を示す図。 溝Gの形状のさらに別の例を示す図。 溝Gの断面形状のさらに別の例を示す図。 別の実施形態に係るコンプレッサー20の構造を例示する図。
図1は、一実施形態に係るコンプレッサー10の構造を例示する模式図である。この例で、コンプレッサー10は、ローター内をベーンが摺動するタイプのロータリーコンプレッサーであり、ローター1、シリンダー2、およびベーン3を有する。図1は、ローター1の回転軸Cに垂直な断面における構造を模式的に示している。
シリンダー2は、断面がほぼ楕円形状の内周面を有する。シリンダー2の内部にはローター1が設けられている。ローター1は、円筒形状を有しており、シリンダー2の内部において回転軸Cを中心に回転する。シリンダー2は上部と下部(図1の紙面の手前側と奥側)が例えばサイドブロック(図示略)によって閉じられている。
ローター1には、ベーン3を収容するためのスリット12が設けられている。この例で、コンプレッサー10は、8つのベーン3を有しているので、ローター1には8つのスリット12が設けられている。ベーン3は、スリット12内を摺動する。ベーン3は、シリンダー2の内周面と接触した状態を保っており、内周面の楕円の長径に相当する位置でローター1からの突出量が最長となり、短径に相当する位置で突出量が最小となる。
コンプレッサー10においては、ローター1の外周面、シリンダー2の内周面、ベーン3、および図示省略したサイドブロックにより閉空間が形成される。この閉空間の体積が最大となる位置には吸入口(図示略)が設けられており、冷媒となる流体(例えば気体)がこの吸入口から閉空間に供給される。この閉空間の体積は、ローター1の回転に伴って縮小する。すなわち、閉空間内の冷媒は圧縮される。閉空間の体積が最小となる位置には排出口(図示略)が設けられており、圧縮された冷媒はこの排出口から排出される。
図2は、ローター1の外観を例示する図である。ここでは図面を簡単にするため、スリット12は省略している。ローター1は、ほぼ円筒形状を有し、上面16および底面17を有している。円筒の中心には、ローターを回転させるためのシャフト(図示略)を通す孔が形成されている。ローター1は、ローター本体(基材)11および樹脂コーティング層15を有する。ローター本体11は、円筒形状を有しており、例えば鋼、アルミニウム合金、銅合金、または樹脂で形成される。なお、ここでいう「円筒形状」は数学的に厳密に円筒の形状を有していることを意味するものではなく、概ね円筒の形状を有していることを意味する。ローター本体11は、例えばスリット12(図2では図示略)のような凹部を有していてもよい。
樹脂コーティング層15は、ローター本体11の側面上に形成されている。樹脂コーティング層15は、少なくともバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂は、例えば熱硬化性樹脂により形成される。熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、およびポリイミド(PI)、エポキシ、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびフェノールの少なくとも1種が用いられる。コーティング層32は、添加剤として個体潤滑剤を含んでもよい。個体潤滑剤は、潤滑特性を改善するため、すなわち摩擦係数を低減するために添加される。コーティング層32は、例えば、20〜70vol%の固体潤滑材を含む。固体潤滑剤としては、例えば、MoS2、グラファイト(Gr)、カーボン、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)、軟質金属(Sn,Bi等)、WS2、およびh−BNの少なくとも1種が用いられる。一例として、バインダー樹脂としてはPAI、および固体潤滑剤としてはMoS2の組み合わせが用いられる。コーティング層32は、添加剤として硬質粒子を含んでもよい。硬質粒子としては、例えば、酸化物、窒化物、炭化物、および硫化物の少なくとも1種が用いられる。
この例で、樹脂コーティング層15の表面には、複数の溝Gが形成されている(この図において斜線は断面ではなく溝を表している)。
図3は、溝Gの形状を例示する図である。図2と同様、図3でもスリット12は図示を省略している。この図は、ローター1の側面を展開した仮想的な展開図を示している。辺EUは、上面16との境界に相当する辺である。辺ELは、底面17との境界に相当する辺である。ローター1の回転方向Rは、この図の右から左に向かう向きである。この例で、溝Gは、ローター1の側面に垂直な方向から見てV字形状を有している。このうち、溝Gの辺EU側の端部において、溝Gに沿って辺EUから中心に向かうベクトルVの、回転方向R成分は、回転方向Rとは逆向きである。この展開図において、底面から上面に向かう方向をy軸正方向(+y方向)、これに垂直で左から右に向かう方向をx軸正方向(+x方向)と定義すると、回転方向Rはx軸負方向(−x方向)を向いている。溝Gの辺EU側の端部において、溝Gに沿って辺EUから中心に向かうベクトルVのx軸成分は正方向を向いており、回転方向Rとは逆向きである。
溝Gの辺EU側の端部におけるベクトルVは、上面16から溝Gに流れ込む潤滑油の流れの向きに相当する。ベクトルVが回転方向Rと逆向きであるということは、ローター1の回転に伴って潤滑油が溝Gの端部から中央に向かって進入しやすい形状、すなわち、潤滑油が中央に集まりやすい形状であるといえる。これは、例えばベクトルVが回転方向Rと同じ向きを向いている場合と比較してローター1の側面における潤滑油の保持性が向上していることを意味する。溝Gの形状および機能は、底面17側すなわち辺EL側の端部についても同様である。
図4は、スリット12近傍の溝Gの形状を例示する図である。樹脂コーティング層15は、スリット12の近傍(例えば、スリット12から1〜3mm)においては、溝Gが形成されていない(すなわち表面が平坦な)余白領域Mが設けられている。溝Gがスリット12まで貫通していると潤滑油がスリット12を介して摺動面から排出されてしまう可能性があるが、余白領域Mを設けることによりスリット12を介した潤滑油の排出を抑制することができる。なお、余白領域Mは省略されてもよい。
図5は、溝Gの断面形状を例示する図である。この図は、溝Gが延びている方向と垂直な断面における溝Gの形状を示している。溝Gは、この断面において壁面が描く曲線が円弧または楕円弧となる形状を有している。溝Gの深さd(頂部から底部までの長さ)は、例えば、1μm以上、20μm以下である。効果的な油膜形成の観点からは、深さdは5μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることがより好ましい。また、溝Gのピッチp(隣り合う2つの溝Gの底部の中心間の間隔)は、例えば、50μm以上、1mm以下である。効果的な油膜形成の観点からは、ピッチpは、100μm以上であることがより好ましく、500μm以下であることがより好ましい。なお図5では深さ方向のスケールを強調して図示している。
なお、ローター本体11において、摺動面となる面、すなわち樹脂コーティング層15が形成される面は、この断面においてほぼ平坦である。樹脂コーティング層15との接着力を強化するため、ローター本体11の側面(表面)は粗面化されていてもよい。また、ローター本体11と樹脂コーティング層15との間に中間層が形成されてもよい。溝Gは、例えば、ローター本体11の側面上に均一な厚さの樹脂コーティング層を形成した後、樹脂コーティング層の表面を円形の刃で切削することにより形成される。あるいは、溝Gが形成された樹脂コーティング層をパッド印刷等の手法により直接、ローター本体11の側面上に形成してもよい。
本実施形態に係るコンプレッサー10においては、樹脂コーティング層15に固体潤滑剤を添加することにより、ローター1の側面の摩擦係数を低減することができる。また、ローター1の側面は、潤滑油の保持性が向上しているので、冷媒の漏れを低減することができる。さらに、図5に示すように溝Gは頂部に近いほど接触面積が小さくなる形状を有しており、これは特に初期状態において樹脂コーティング層15が摩耗しやすい、すなわちなじみやすい特性を有していることを意味する。また、なじみやすさに加え、樹脂コーティング層15により焼付きが生じにくくなっていることから、設計時のローター1の外周面とシリンダー2の内周面とのクリアランスを小さく設定することができる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
図6は、溝Gの形状の別の例を示す図である。溝Gの形状は図3で例示したものに限定されない。図6は、図3と同様にローター1の側面を展開した仮想的な展開図を示している。この例では、ローター1の側面に垂直な方向から見てU字形状を有している。
図7は、溝Gの形状のさらに別の例を示す図である。図7は、図3と同様にローター1の側面を展開した仮想的な展開図を示している。この例では、側面の中央付近において、溝Gはローター1の縦方向(y方向)に沿って延びる形状を有している。この形状によれば、図3の形状と比較して中央付近における潤滑油の保持性を向上させることができる。
図8は、溝Gの形状のさらに別の例を示す図である。図8は、図3と同様にローター1の側面を展開した仮想的な展開図を示している。この例では、辺EU側から延びている溝G1と辺EL側から延びている溝G2とは中央付近で交わっておらず(連通しておらず)、これらの溝の中央側の端部は閉じている。なお、図3、図6、図7の例は、辺EU側から延びている溝と辺EL側から延びている溝とが中央付近で交わっている(連通している)例、または、辺EUおよび辺ELの一端から延びている溝が他端まで貫通している例だと理解することもできる。
図9は、溝Gの断面形状の別の例を示す図である。溝Gの断面形状は、図5で例示した壁面が描く曲線が円弧形状のものに限定されない。溝Gの断面形状は、矩形(図9(A))またはV字型(図9(B))などどのようなものであってもよい。また、溝Gの頂部は、平面となっていてもよい(図9(C))。
図10は、別の実施形態に係るコンプレッサー20の構造を例示する図である。本発明に係るコンプレッサーは、ローター内をベーンが摺動するタイプのコンプレッサーに限定されない。コンプレッサー20において、ローター1にはスリットが設けられておらず、ベーン3はシリンダー2に設けられたスリット内を摺動する。この例においても、ローター1の側面に形成された溝Gにより、コンプレッサー10と同様の効果が奏される。
なお、コンプレッサー10およびコンプレッサー20において、ベーン3の数およびベーン3が設けられる位置はあくまで例示であって、コンプレッサーの具体的な構造はこれに限定されるものではない。
樹脂コーティング層を形成する場所は、ローター1の側面に限定されない。ローター1の側面に代えて、シリンダー2の内周面に樹脂コーティング層を設け、この樹脂コーティング層に、図3および図6〜8で例示したような溝Gを形成してもよい。
10…コンプレッサー
1…ローター
11…ローター本体
12…スリット
15…樹脂コーティング層
16…上面
17…底面
2…シリンダー
3…ベーン
20…コンプレッサー

Claims (8)

  1. 円筒の形状を有するローター本体と、
    前記ローター本体の側面に形成された樹脂コーティング層と、
    前記樹脂コーティング層に形成された溝であって、当該溝に沿って前記円筒の上面または底面側の端部から中心に向かう向きの、前記ローター本体の回転方向成分が、当該回転方向と逆向きとなる形状を有する溝と
    を有するロータリーコンプレッサー用ローター。
  2. 前記溝の他端が、前記上面または下面まで達している
    ことを特徴とする請求項1に記載のロータリーコンプレッサー用ローター。
  3. 前記溝が、前記側面に垂直な方向から見てV字形状を有している
    ことを特徴とする請求項2に記載のロータリーコンプレッサー用ローター。
  4. 前記溝が、前記側面に垂直な方向から見てU字形状を有している
    ことを特徴とする請求項2に記載のロータリーコンプレッサー用ローター。
  5. 前記溝の他端が、前記側面において閉じている
    ことを特徴とする請求項1に記載のロータリーコンプレッサー用ローター。
  6. 前記ローター本体は、ベーンを収容する凹部を有し、
    前記樹脂コーティング層は、前記凹部の周辺において前記溝が無い余白領域を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のロータリーコンプレッサー用ローター。
  7. シリンダーと、
    前記シリンダー内を回転するローターと
    を有し、
    前記ローターは、
    円筒の形状を有するローター本体と、
    前記ローター本体の側面に形成された樹脂コーティング層と、
    前記樹脂コーティング層に形成された溝であって、当該溝に沿って前記円筒の上面または底面側の端部から中心に向かう向きの、前記ローター本体の回転方向成分が、当該回転方向と逆向きとなる形状を有する溝と
    を有するロータリーコンプレッサー。
  8. シリンダーと、
    前記シリンダー内を回転するローターと
    を有し、
    前記シリンダーは、
    内周面に形成された樹脂コーティング層と、
    前記樹脂コーティング層に形成された溝であって、当該溝に沿って前記シリンダーの上面または底面側の端部から中心に向かう向きの、前記ローターの回転方向成分が、当該回転方向と逆向きとなる形状を有する溝と
    を有するロータリーコンプレッサー。
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