JP2017146199A - 硫黄酸化物検出装置 - Google Patents

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Keigo Mizutani
圭吾 水谷
和弘 若尾
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和弘 若尾
圭一郎 青木
Keiichiro Aoki
圭一郎 青木
和久 松田
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和久 松田
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Abstract

【課題】排気ガス中のSOx濃度の検出精度を向上させることができる硫黄酸化物検出装置を提供する。【解決手段】SOx検出装置1は、センサセル51、ポンプセル52、センサセルに電圧印加する第一電圧印加回路61、ポンプセルに電圧印加する第二電圧印加回路71、センサセルの第一電流相関パラメータを検出する第一検出器62、ポンプセルの第二電流相関パラメータを検出する第二検出器72、及び制御部80を備える。制御部は、陽極から陰極に酸化物イオンが移動しない電圧をセンサセルに印加し又は第一電圧印加回路を開放し且つ水の限界電流領域内の電圧をポンプセルに印加する第一水濃度検出制御を実行し、第二電流相関パラメータに基づいて被測ガス中の水濃度を算出し、又は水の限界電流領域内の電圧をセンサセルに印加し且つ第二電圧印加回路を開放する第二水濃度検出制御を実行し、第一電流相関パラメータに基づいて被測ガス中の水濃度を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)の濃度を検出する硫黄酸化物検出装置(SOx検出装置)に関する。
内燃機関に用いられる燃料中、特に化石燃料中には、微量の硫黄(S)成分が含まれている。このように燃料中に含まれた硫黄成分は、内燃機関の排気系における構成部品の劣化等を招く。また、硫黄成分による構成部品の劣化を抑制する制御や、劣化した構成部品を再生する制御を頻繁に行うと、燃費の悪化等を招く。したがって、燃費の悪化等を最小限に抑制しつつ構成部品の劣化を最小限に抑制するために、燃料中における硫黄成分の含有率を検出することが望まれている。
内燃機関に用いられる燃料中に硫黄成分が含まれていると、燃焼室から排出される排気ガス中に硫黄酸化物(SOx)が含まれる。また、燃料中における硫黄成分の含有率が高くなるほど、排気ガス中のSOx濃度が高くなる。したがって、排気ガス中のSOx濃度を検出することができれば、燃料中における硫黄成分の含有率を推定することができる。
そこで、排気ガス中に含まれるSOx等の酸素含有ガス成分の濃度を検出する排気ガスセンサが提案されている(例えば、特許文献1)。この排気ガスセンサは、拡散律速層を介して排気ガスが導入される被測ガス室と、第一電気化学セルと、第二電気化学セルとを有している。第一電気化学セルでは第一電気化学セルを構成する電極間に比較的低い電圧が印加される。この結果、第一電気化学セルの酸素ポンピング作用により、被測ガス室内のSOxが分解されることなく、被測ガス室内の酸素分子が除去される。一方、第二電気化学セルでは第二電気化学セルを構成する電極間に比較的高い電圧が印加される。この結果、第一電気化学セルによって酸素分子が除去された後の排気ガス中に含まれるSOxが分解される。加えて、このSOxの分解によって生じた酸化物イオンが第二電気化学セルの酸素ポンピング作用により被測ガス室から排出され、この酸化物イオンの排出に伴って流れる分解電流を検出することにより排気ガス中のSOx濃度が検出される。
特開平11−190721号公報 特開2015−017931号公報
しかしながら、排気ガス中のSOx濃度は排気ガス中の酸素濃度及び水濃度よりもかなり低い。このため、上述したような排気ガスセンサによって検出される分解電流も極めて小さい。したがって、上述したような排気ガスセンサによってSOxの分解電流を正確に検出するのは困難である。
そこで、本発明の目的は、排気ガス中のSOx濃度の検出精度を向上させることができる硫黄酸化物検出装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、被測ガス中の硫黄酸化物濃度を検出する硫黄酸化物検出装置であって、酸化物イオン伝導性を有する第一固体電解質層と、前記被測ガスに曝されるように前記第一固体電解質層の一方の側面上に配置された第一電極と、大気に曝されるように前記第一固体電解質層の他方の側面上に配置された第二電極とを有するセンサセルと、酸化物イオン伝導性を有する第二固体電解質層と、前記被測ガスに曝されるように前記第二固体電解質層の一方の側面上に配置された第三電極と、大気に曝されるように前記第二固体電解質層の他方の側面上に配置された第四電極とを有するポンプセルと、前記被測ガスの拡散律速を行う拡散律速層とを備える素子部と、前記センサセルに電圧を印加する第一電圧印加回路と、前記ポンプセルに電圧を印加する第二電圧印加回路と、前記センサセルに流れる電流に相関する第一電流相関パラメータを検出する第一検出器と、前記ポンプセルに流れる電流に相関する第二電流相関パラメータを検出する第二検出器と、前記第一電圧印加回路によって前記センサセルに印加される電圧及び前記第二電圧印加回路によって前記ポンプセルに印加される電圧を制御すると共に前記第一検出器から前記第一電流相関パラメータを取得し且つ前記第二検出器から前記第二電流相関パラメータを取得する制御部と、を備え、前記ポンプセルは前記センサセルよりも前記拡散律速層側に配置され、前記制御部は、前記第二電極から前記第一電極に酸化物イオンが移動しない電圧を前記センサセルに印加し又は前記第一電圧印加回路を開放し且つ水の限界電流領域内の電圧を前記ポンプセルに印加する第一水濃度検出制御を実行し、該第一水濃度検出制御が実行されたときに前記第二検出器によって検出された前記第二電流相関パラメータに基づいて前記被測ガス中の水濃度を算出し、又は、水の限界電流領域内の電圧を前記センサセルに印加し且つ前記第二電圧印加回路を開放する第二水濃度検出制御を実行し、該第二水濃度検出制御が実行されたときに前記第一検出器によって検出された前記第一電流相関パラメータに基づいて前記被測ガス中の水濃度を算出し、前記制御部は、水及び硫黄酸化物の分解開始電圧以上の電圧を前記センサセルに印加し且つ酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及び硫黄酸化物の分解開始電圧未満の電圧を前記ポンプセルに印加する硫黄酸化物濃度検出制御を実行し、該硫黄酸化物濃度検出制御が実行されたときに前記第一検出器によって検出された前記第一電流相関パラメータと、前記算出された水濃度とに基づいて前記被測ガス中の硫黄酸化物濃度を算出する、硫黄酸化物検出装置が提供される。
本発明によれば、排気ガス中のSOx濃度の検出精度を向上させることができる硫黄酸化物検出装置が提供される。
図1は、本発明に係るSOx検出装置の構成を示す概略的な断面図である。 図2は、本発明に係るSOx検出装置の別の構成を示す概略的な断面図である。 図3は、センサセルの印加電圧と、センサセルに流れる電極間電流との関係を示す図である。 図4は、印加電圧が1.0Vであるときの電極間電流の大きさと被測ガス中の二酸化硫黄濃度との関係を示す図である。 図5は、ポンプセルの印加電圧と、ポンプセルに流れる電極間電流との関係を示す図である。 図6は、本発明におけるSOx濃度算出処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図7は、本発明における検出条件判定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<SOx検出装置の説明>
以下、図1を参照して、本発明に係る硫黄酸化物検出装置(以下、「SOx検出装置」という)について説明する。SOx検出装置1は、内燃機関の排気通路内を流通する排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)濃度を検出する。
図1は、本発明に係るSOx検出装置1の構成を示す概略的な断面図である。SOx検出装置1は素子部10を備える。素子部10は内燃機関の排気通路(図示せず)に配置される。図1に示されるように、素子部10は、複数の層を積層して構成されている。具体的には、素子部10は、第一固体電解質層11、第二固体電解質層12、拡散律速層16、第一不透過層21、第二不透過層22、第三不透過層23、第四不透過層24、第五不透過層25及び第六不透過層26を備える。
第一固体電解質層11及び第二固体電解質層12は、酸化物イオン伝導性を有する薄板体である。第一固体電解質層11及び第二固体電解質層12は、例えば、ZrO2(ジルコニア)、HfO2、ThO2、Bi23等にCaO、MgO、Y23、Yb23等を安定剤として添加した焼結体により形成されている。また、拡散律速層16は、ガス透過性を有する薄板体である。拡散律速層16は、例えば、アルミナ、マグネシア、けい石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質の多孔質焼結体により形成されている。不透過層21〜26は、ガス不透過性の薄板体であり、例えばアルミナを含む層として形成されている。
素子部10の各層は、図1の下方から、第一不透過層21、第二不透過層22、第三不透過層23、第一固体電解質層11、拡散律速層16及び第四不透過層24、第二固体電解質層12、第五不透過層25、第六不透過層26の順に積層されている。第一固体電解質層11、第二固体電解質層12、拡散律速層16及び第四不透過層24によって、被測ガス室30が区画形成されている。被測ガス室30は、素子部10が排気通路に配置されたときに、被測ガス室30内に拡散律速層16を介して内燃機関の排気ガス(被測ガス)が流入するように構成されている。すなわち、素子部10は、拡散律速層16が排気ガスに曝されるように排気通路に配置されている。したがって、被測ガス室30は拡散律速層16を介して排気通路内と連通している。なお、被測ガス室30は、第一固体電解質層11及び第二固体電解質層12に隣接し且つ被測ガスが流入するように構成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
第一固体電解質層11、第二不透過層22及び第三不透過層23によって、第一大気室31が区画形成されている。図1からわかるように、第一大気室31は、第一固体電解質層11を挟んで、被測ガス室30の反対側に配置されている。第一大気室31は、排気通路の外部の大気に開放されている。したがって、第一大気室31には大気が流入する。なお、第一大気室31は、第一固体電解質層11に隣接し且つ大気が流入するように構成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
第二固体電解質層12、第五不透過層25及び第六不透過層26によって、第二大気室32が区画形成されている。図1からわかるように第二大気室32は、第二固体電解質層12を挟んで、被測ガス室30の反対側に配置されている。第二大気室32は、排気通路の外部の大気に開放されている。したがって、第二大気室32には、大気ガスが流入する。なお、第二大気室32は、第二固体電解質層12に隣接し且つ大気が流入するように構成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
素子部10は第一電極41及び第二電極42を更に備える。第一電極41は第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第一電極41は、被測ガス室30内の被測ガスに曝されている。一方、第二電極42は第一固体電解質層11の第一大気室31側の表面上に配置されている。したがって、第二電極42は、第一大気室31内のガス(大気)に曝されている。第一電極41と第二電極42とは、第一固体電解質層11を挟んで互いに対向するように配置されている。第一電極41、第一固体電解質層11及び第二電極42は、センサセル51を構成する。
本実施形態では、第一電極41を構成する材料は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)等の白金族元素又はこれらの合金を主成分として含む。好ましくは、第一電極41は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)の少なくとも一つを主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第一電極41を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、被測ガス室30内の被測ガス中に含まれる酸素、水及びSOxを還元分解することができれば、いかなる材料であってもよい。
また、本実施形態では、第二電極42は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第二電極42を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、第一電極41と第二電極42との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
素子部10は第三電極43及び第四電極44を更に備える。第三電極43は第二固体電解質層12の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第三電極43は、被測ガス室30内の被測ガスに曝されている。また、第三電極43は、被測ガス室30内において、第一電極41よりも拡散律速層16側に配置される。したがって、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に流入した被測ガスは、最初に第三電極43周りを流通し、その後、第一電極41周りを流通することになる。一方、第四電極44は第二固体電解質層12の第二大気室32側の表面上に配置されている。したがって、第四電極44は、第二大気室32内のガス(大気)に曝されている。第三電極43と第四電極44とは、第二固体電解質層12を挟んで互いに対向するように配置されている。第三電極43、第二固体電解質層12及び第四電極44は、ポンプセル52を構成する。ポンプセル52はセンサセル51よりも拡散律速層16側に配置されている。
第三電極43及び第四電極44は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第三電極43を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第三電極43と第四電極44との間に所定の電圧を印加したときに、被測ガス室30内の被測ガス中に含まれる酸素及び水を還元分解することができれば、いかなる材料であってもよい。また、第四電極44を構成する材料も、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第三電極43と第四電極44との間に所定の電圧を印加したときに、第三電極43と第四電極44との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
素子部10はヒータ(電気ヒータ)55を更に備える。本実施形態では、ヒータ55は、図1に示したように、第一不透過層21と第二不透過層22との間に配置される。ヒータ55は、例えば、白金(Pt)とセラミックス(例えば、アルミナ等)とを含むサーメットの薄板体であり、通電によって発熱する発熱体である。ヒータ55は、センサセル51及びポンプセル52を活性温度以上に加熱することができる。SOx検出装置1は電子制御ユニット(ECU)80を更に備える。ECU80はヒータ55に接続されている。したがって、ECU80は、ヒータ55を制御して、素子部10、特にセンサセル51及びポンプセル52の温度を制御することができる。
SOx検出装置1は、センサセル51に電圧を印加する第一電圧印加回路61と、ポンプセル52に電圧を印加する第二電圧印加回路71とを更に備える。第一電圧印加回路61は、センサセル51の第一電極41と第二電極42との間に、第二電極42の電位が第一電極41の電位よりも高くなるように、電圧を印加する。第二電圧印加回路71は、ポンプセル52の第三電極43と第四電極44との間に、第四電極44の電位が第三電極43の電位よりも高くなるように、電圧を印加する。ECU80は第一電圧印加回路61及び第二電圧印加回路71に接続されている。したがって、ECU80は、第一電圧印加回路61及び第二電圧印加回路71を制御して、センサセル51に印加される電圧及びポンプセル52に印加される電圧を制御することができる。
SOx検出装置1は、センサセル51に流れる電流(すなわち、第一電極41と第二電極42との間の第一固体電解質層11内を流れる電流)を検出する第一電流検出器62と、ポンプセル52に流れる電流(すなわち、第三電極43と第四電極44との間の第二固体電解質層12内を流れる電流)を検出する第二電流検出器72とを更に備える。ECU80は第一電流検出器62及び第二電流検出器72に接続されている。したがって、ECU80は、第一電流検出器62によって検出されたセンサセル51の電極間電流を第一電流検出器62から取得し、第二電流検出器72によって検出されたポンプセル52の電極間電流を第二電流検出器72から取得することができる。
なお、図1に示した素子部10では、ポンプセル52を構成する第二固体電解質層12は、センサセル51を構成する第一固体電解質層11とは別の固体電解質層である。しかしながら、図2に示した素子部10’のように、第一固体電解質層11及び第二固体電解質層12は単一の固体電解質層であってもよい。この場合、素子部の大気室の数は一つである。第一電極41は第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置され、第二電極42は第一固体電解質層11の大気室31側の表面上に配置される。また、第三電極43は第二固体電解質層12の被測ガス室30側の表面上に配置され、第四電極44は第二固体電解質層12の大気室31側の表面上に配置される。
<SOx濃度の検出原理>
次に、SOx検出装置1によるSOxの検出原理について説明する。SOxの検出原理を説明するにあたり、まず、センサセル51における酸素の限界電流特性について説明する。センサセル51では、被測ガス室30側の第一電極41を陰極、第一大気室31側の第二電極42を陽極としてこれら電極間に電圧を印加すると、被測ガス中に含まれている酸素が還元分解されて酸化物イオンとなる。この酸化物イオンは、センサセル51の第一固体電解質層11を介して陰極側から陽極側へと伝導されて酸素となり、大気中へ排出される。本明細書では、このような陰極側から陽極側への固体電解質層を介する酸化物イオンの伝導による酸素の移動を「酸素ポンピング作用」と称する。
このような酸素ポンピング作用に伴う酸化物イオンの伝導により、センサセル51を構成する第一電極41と第二電極42との間には電極間電流が流れる。この電極間電流は、第一電極41と第二電極42との間に印加される印加電圧が高くなるほど大きくなる。これは、印加電圧が高くなるほど、酸化物イオンの伝導量が多くなるためである。
しかしながら、印加電圧を徐々に高くして或る一定値以上になると、電極間電流はそれ以上大きくならずに一定の値に維持される。このような特性は酸素の限界電流特性と称され、酸素の限界電流特性が生じる電圧領域は酸素の限界電流領域と称される。このような酸素の限界電流特性は、電圧印加に伴って第一固体電解質層11内を伝導可能な酸化物イオンの伝導速度が、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される酸素の導入速度を超えることによって生じる。すなわち、陰極における酸素の還元分解反応が拡散律速状態になることによって生じる。
したがって、センサセル51において酸素の限界電流領域内の電圧を印加したときの電極間電流(限界電流)は、被測ガス中の酸素濃度に対応する。このように酸素の限界電流特性を利用することにより、被測ガス中の酸素濃度を検出し、検出された濃度に基づいて排気ガスの空燃比を検知することができる。
ところで、上述したような酸素ポンピング作用は、被測ガス中に含まれている酸素のみに発現する作用ではない。分子中に酸素原子を含むガスの中には酸素ポンピング作用を発現しうるガスが存在する。このようなガスとしては、SOx及び水(H2O)が挙げられる。したがって、センサセル51にSOx及び水の分解開始電圧以上の電圧を印加することにより、被測ガス中に含まれる水及びSOxが分解される。SOx及び水の分解によって生じた酸化物イオンは、酸素ポンピング作用により、第一電極41から第二電極42へと伝導される。このため、第一電極41と第二電極42との間には電極間電流が流れる。
しかしながら、排気ガス中のSOx濃度は極めて低く、SOxの分解に起因して生じる電極間電流も極めて小さい。特に、排気ガス中には水が多く含まれており、水の分解に起因して電極間電流が生じる。このため、SOxの分解に起因して生じる電極間電流を精度良く区別して検出することは困難である。
これに対して、本願の発明者は、酸素ポンピング作用を有する電気化学セルにおいて水及びSOxを分解させたときの分解電流が排気ガス中のSOx濃度に応じて変化することを見出した。斯かる現象が生じる具体的な原理は必ずしも明確ではないが、以下のようなメカニズムによって生じるものであると考えられる。
上述したように、センサセル51にSOxの分解開始電圧以上の所定電圧を印加すると、被測ガス中に含まれるSOxが分解される。この結果、SOxの分解生成物(例えば、硫黄及び硫黄化合物)が、陰極である第一電極41上に吸着する。この結果、水の分解に寄与することができる第一電極41の面積が減少する。被測ガス中のSOx濃度が高いと、第一電極41上に吸着する分解生成物が多くなる。この結果、センサセル51に水の分解開始電圧以上の所定電圧を印加したときに電極間に流れる水の分解電流が相対的に小さくなる。一方、被測ガス中のSOx濃度が低いと、第一電極41上に吸着する分解生成物が少なくなる。この結果、センサセル51に水の分解開始電圧以上の所定電圧を印加したときに電極間に流れる水の分解電流が相対的に大きくなる。したがって、被測ガス中のSOx濃度に応じて、電極間に流れる水の分解電流が変化する。この現象を用いて、被測ガス中のSOx濃度を検出することが可能となる。
ここで、水の分解開始電圧は、測定条件等により若干の変動は見られるが、約0.6Vである。また、SOxの分解開始電圧は、水の分解開始電圧と同程度か、或いはそれよりも僅かに低い。したがって、本実施形態では、上述した方法によってセンサセル51によって被測ガス中のSOx濃度を検出するために、センサセル51に0.6V以上の電圧が印加される。また、印加電圧が過度に高い場合には、第一固体電解質層11の分解を招く可能性がある。この場合、電極間電流に基づいて被測ガス中のSOx濃度を精度良く検出することが困難になる。このため、本実施形態では、上述した方法によって被測ガス中に含まれるSOx濃度を検出するために、センサセル51に0.6V以上2.0V未満の電圧が印加される。
以下、印加電圧と電極間電流との関係について具体的に説明する。図3は、センサセル51において印加電圧を徐々に上昇させた(昇圧スイープさせた)ときのセンサセル電圧とセンサセル電流との関係を示す模式的なグラフである。図示した例では、被測ガス中に含まれるSO2(すなわちSOx)の濃度が異なる4種類(0ppm、100ppm、300ppm及び500ppm)の被測ガスを使用した。なお、センサセル51の第一電極(陰極)41に到達する被測ガス中の酸素濃度は、センサセル51の上流側に配置されたポンプセル52により、いずれの被測ガスにおいても一定(ほぼ0ppm)に維持されている。
図3における実線L1は、被測ガス中のSO2濃度が0ppmである場合のセンサセル電圧とセンサセル電流との関係を示している。図3に示した例では、センサセル電圧が約0.6V以上になると、印加電圧の増大に伴ってセンサセル電流が増大し始める。このセンサセル電流の増大は、第一電極41における水の分解が開始されたことに起因する。
図3における破線L2は、被測ガス中のSO2濃度が100ppmである場合のセンサセル電圧とセンサセル電流との関係を示している。この場合も、センサセル電圧が約0.6V以上であるときには、水の分解に起因してセンサセル電流が流れる。しかしながら、このとき(破線L2)のセンサセル電流は実線L1と比較して小さく、また、センサセル電圧に対するセンサセル電流の増加率(破線L2の傾き)も実線L1と比較して小さい。
図3における一点鎖線L3は、被測ガス中のSO2濃度が300ppmである場合のセンサセル電圧とセンサセル電流との関係を示している。また、図3における二点鎖線L4は、被測ガス中のSO2濃度が500ppmである場合のセンサセル電圧とセンサセル電流との関係を示している。これらの場合においても、センサセル電圧が約0.6V以上であるときには、水の分解に起因してセンサセル電流が流れる。しかしながら、被測ガス中のSO2濃度が高いほど、センサセル電流が小さく、センサセル電圧に対するセンサセル電流の増加率(一点鎖線L3及び二点鎖線L4の傾き)も小さい。
このように、図3に示した例からも、センサセル電圧がSOx及び水の分解開始電圧である約0.6V以上であるときのセンサセル電流の大きさは、被測ガス中に含まれるSO2(すなわちSOx)の濃度に応じて変化することがわかる。例えば、図3に示したグラフにおけるセンサセル電圧が1.0Vであるときの線L1〜L4におけるセンサセル電流の大きさを被測ガス中のSO2濃度に対してプロットすると、図4に示したグラフが得られる。
図4からわかるように、所定の電圧(図4に示した例では、1.0V)を印加した場合のセンサセル電流の大きさは、被測ガス中に含まれるSO2(すなわち、SOx)の濃度に応じて変化する。したがって、上述したように、水及びSOxの分解開始電圧以上の所定電圧を印加したときの電極間電流に基づいて、SOx濃度を検出することができる。
しかしながら、センサセル51に水及びSOxの分解開始電圧以上の電圧を印加したときに検出される電極間電流は、被測ガス中のSOx濃度だけでなく被測ガス中の水濃度にも応じて変化する。具体的には、被測ガス中の水濃度が高くなると、第一電極(陰極)41上で分解される水の量が増えるため、電極間電流が大きくなる。一方、被測ガス中の水濃度が低くなると、第一電極41上で分解される水の量が減るため、電極間電流は小さくなる。このため、本実施形態では、被測ガス中のSOx濃度を精度良く検出するために、被測ガス中の水濃度を算出し、算出された水濃度と、センサセル51に水及びSOxの分解開始電圧以上の電圧を印加したときに検出される電極間電流とに基づいて被測ガス中のSOx濃度を算出する。
<水濃度検出の問題点>
被測ガス中の水濃度は、例えば、水の限界電流領域内の電圧をセンサセル51又はポンプセル52に印加したときに検出される電極間電流に基づいて算出可能である。水の限界電流領域は、印加電圧をそれ以上上昇させても水の分解電流がほとんど変化しない下限電圧(例えば、1.0V)以上の領域である。しかしながら、センサセル51及びポンプセル52を備えたSOx検出装置1においてセンサセル51又はポンプセル52を用いて被測ガス中の水濃度を算出する場合、以下に説明するような不具合が生じる。
上述したように、酸素ポンピング作用によれば、センサセル51及びポンプセル52のような電気化学セルの固体電解質層の両側に電圧を印加すると、陰極側から陽極側へ酸化物イオンが伝導する。しかしながら、電気化学セルの固体電解質層の両側に電圧を印加していると、陰極側における被測ガス室内がリッチ空燃比であって被測ガス中に含まれる酸素濃度が極端に少ない場合には、むしろ陽極側から陰極側へ酸化物イオンが移動する。
このような酸化物イオンの移動が生じる理由について簡単に説明する。固体電解質層の両側面間に酸素濃度の差が生じると、濃度の高い側面側から濃度の低い側面側へと酸化物イオンを移動させようとする起電力が発生する(酸素電池作用)。これに対して、上述したように固体電解質層の両側の電極間に電圧を印加すると、上述したような起電力が発生してもこれら電極間の電位差が印加電圧に等しくなるように酸化物イオンの移動が生じる。
この結果、電気化学セルの固体電解質層の両側に配置された電極間に電圧を印加すると、両電極上の酸素濃度差が両電極の電位差に応じた濃度差になるように酸化物イオンの移動が行われる。具体的には、陽極上の酸素濃度が陰極上の酸素濃度に比べて、電位差に相当する濃度差分だけ高くなるように酸化物イオンの移動が行われる。
このため、電気化学セルの両電極間に或る電圧を印加した場合、陽極上の酸素濃度が陰極上の酸素濃度に比べてこの或る電圧に相当する濃度差ほど高くないときには、酸素濃度差が大きくなるように陰極から陽極へ向かって酸化物イオンの移動が行われる。この結果、陰極上の酸素濃度が低下し、両電極上の酸素濃度差は上記或る電圧に相当する濃度差に近づく。逆に、陽極上の酸素濃度が陰極上の酸素濃度に比べてこの或る電圧に相当する濃度差よりも高いときには、酸素濃度差が小さくなるように陽極から陰極へ向かって酸化物イオンの移動が行われる。この結果、陰極上の酸素濃度が上昇し、両電極上の酸素濃度差は、上記或る電圧に相当する濃度差に近づく。
したがって、電気化学セルに低い電圧が印加されている場合、陽極から陰極に向かって酸化物イオンが移動することがある。水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加すると、水の分解によって第三電極43において水素が発生する。このとき、センサセル51の第二電極(陽極)42から第一電極(陰極)41に向かって酸化物イオンが移動していると、被測ガス室30内で第三電極43から第一電極41に移動した水素が酸化物イオンによって酸化されて再び水となる場合がある。この場合、ポンプセル52の第三電極43に到達する排気ガス中の水濃度が実際よりも高くなり、ポンプセル52に流れる電極間電流に基づいて算出された被測ガス中の水濃度が実際よりも高く算出されるおそれがある。
同様に、水の限界電流領域内の電圧をセンサセル51に印加すると、水の分解によって第一電極41において水素が発生する。このとき、ポンプセル52の第四電極(陽極)44から第三電極(陰極)43に向かって酸化物イオンが移動していると、被測ガス室30内で第一電極41から第三電極43に移動した水素が酸化物イオンによって酸化されて再び水となる場合がある。この場合、センサセル51の第一電極41に到達する排気ガス中の水濃度が実際よりも高くなり、センサセル51に流れる電極間電流に基づいて算出された被測ガス中の水濃度が実際よりも高く算出されるおそれがある。
本実施形態では、上述したように、被測ガス中の水濃度を算出し、算出された水濃度と、センサセル51に水及びSOxの分解開始電圧以上の電圧を印加したときに検出される電極間電流とに基づいて被測ガス中のSOx濃度を算出する。このため、被測ガス中の水濃度の検出精度が低下すると、被測ガス中のSOx濃度の検出精度も低下する。
<水濃度を検出するための制御>
そこで、本実施形態では、以下のように被測ガス中の水濃度の検出が行われる。被測ガス中の水濃度は、ポンプセル52又はセンサセル51を用いて算出される。最初に、ポンプセル52を用いて被測ガス中の水濃度を検出する方法について説明する。ECU80は、第一電圧印加回路61を開放し且つ水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加する第一水濃度検出制御を実行する。ECU80は、第一水濃度検出制御が実行されたときに第二電流検出器72によって検出された電流に基づいて被測ガス中の水濃度を算出する。ECU80は、検出された電流が相対的に大きい場合には、検出された電流が相対的に小さい場合よりも水濃度を高く算出する。
上述した方法では、水の限界電流領域内の電圧がポンプセル52に印加されている間、センサセル51に電圧を印加する第一電圧印加回路61が開放されている。この場合、センサセル51の第一電極41と第二電極42との間で酸化物イオンが移動しない。このため、ポンプセル52の第三電極43上で発生した水素がセンサセル51の第一電極41に到達したとしても、水素が酸化されないため、水は発生しない。したがって、ポンプセル52に流れる電極間電流に基づいて被測ガス中の水濃度を精度良く算出することができる。この結果、被測ガス(排気ガス)中のSOx濃度の検出精度を向上させることができる。
なお、第一水濃度検出制御では、第二電極42から第一電極41に酸化物イオンが移動しない電圧をセンサセル51に印加し且つ水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加してもよい。この場合、センサセル51の第二電極42から第一電極41に酸化物イオンが移動しない。このため、ポンプセル52の第三電極43上で発生した水素がセンサセル51の第一電極41に到達したとしても、水素が酸化されないため、水は発生しない。したがって、ポンプセル52に流れる電極間電流に基づいて被測ガス中の水濃度を精度良く算出することができる。なお、第二電極42から第一電極41に酸化物イオンが移動しない電圧は例えば1.0V以上の電圧である。
次に、センサセル51を用いて被測ガス中の水濃度を検出する方法について説明する。ECU80は、水の限界電流領域内の電圧をセンサセル51に印加し且つ第二電圧印加回路71を開放する第二水濃度検出制御を実行する。水の限界電流領域は、印加電圧をそれ以上上昇させても電極間電流がほとんど変化しない下限電圧(例えば、1.0V)以上の領域である。ECU80は、第二水濃度検出制御が実行されたときに第一電流検出器62によって検出された電流に基づいて被測ガス中の水濃度を算出する。ECU80は、検出された電流が相対的に大きい場合には、検出された電流が相対的に小さい場合よりも水濃度を高く算出する。
上述した方法では、水の限界電流領域内の電圧がセンサセル51に印加されている間、ポンプセル52に電圧を印加する第二電圧印加回路71は開放されている。この場合、ポンプセル52の第三電極43と第四電極44との間で酸化物イオンが移動しない。このため、センサセル51の第一電極41上で発生した水素がポンプセル52の第三電極43に到達したとしても、水素が酸化されないため、水は発生しない。したがって、センサセル51に流れる電極間電流に基づいて被測ガス中の水濃度を精度良く算出することができる。この結果、被測ガス(排気ガス)中のSOx濃度の検出精度を向上させることができる。
なお、第四電極44から第三電極43に酸化物イオンが移動しないようにポンプセル52に1.0V以上の電圧を印加した場合、ポンプセル52に水の限界電流領域内の電圧が印加されることになる。このため、被測ガス中のほぼ全ての水がポンプセル52において分解される。この結果、ポンプセル52よりも下流側に位置するセンサセル51において水が分解されないため、センサセル51を用いて被測ガス中の水濃度を検出することができない。したがって、センサセル51を用いて被測ガス中の水濃度を検出する場合、水の限界電流領域内の電圧をセンサセル51に印加している間、第二電圧印加回路71を開放させる必要がある。
図5は、ポンプセル52の印加電圧と、ポンプセル52に流れる電極間電流との関係を示す図である。図5の例では、被測ガス中の酸素濃度及び水濃度はそれぞれ10%である。図5からわかるように、水素の分解開始電圧は酸素の分解開始電圧よりも高い。このため、水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加したときに検出される電極間電流は、被測ガス中の水濃度だけでなく被測ガス中の酸素濃度にも応じて変化する。具体的には、被測ガス中の酸素濃度が高くなると、第三電極(陰極)43上で分解される酸素の量が増えるため、電極間電流が大きくなる。一方、被測ガス中の酸素濃度が低くなると、第三電極43上で分解される酸素の量が減るため、電極間電流は小さくなる。したがって、本実施形態では、被測ガス中の水濃度を精度良く検出するために、被測ガス中の酸素濃度を算出し、算出された酸素濃度と、水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加したときに検出される電極間電流とに基づいて被測ガス中の水濃度を算出する。
被測ガス中の酸素濃度は例えばポンプセル52を用いて検出可能である。この場合、ECU80は、水の分解開始電圧未満の電圧をセンサセル51に印加し且つ酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及びSOxの分解開始電圧未満の電圧をポンプセル52に印加する第一酸素濃度検出制御を実行する。酸素の限界電流領域の下限電圧は約0.1Vであり、水及びSOxの分解開始電圧は約0.6Vである。したがって、ECU80は、第一酸素濃度検出制御において、例えば0.4Vの電圧をセンサセル51及びポンプセル52に印加する。ECU80は、第一酸素濃度検出制御が実行されたときに第二電流検出器72によって検出された電流に基づいて被測ガス中の酸素濃度を算出する。ECU80は、検出された電流が相対的に大きい場合には、検出された電流が相対的に小さい場合よりも酸素濃度を高く算出する。
上述したように、センサセル51の第一電極41において水の分解によって水素が発生すると、発生した水素がポンプセル52の第三電極43上で酸化物イオンによって酸化されて再び水となる場合がある。この場合、第二電流検出器72によって検出されるポンプセル52の電極間電流が変動し、被測ガス中の酸素濃度の検出精度が悪化するおそれがある。一方、上述した第一酸素濃度検出制御では、センサセル51には水の分解開始電圧未満の電圧が印加されている。この場合、センサセル51において水が分解されないため、センサセル51の第一電極41において水素が発生しない。したがって、ポンプセル52に流れる電極間電流に基づいて被測ガス中の酸素濃度を精度良く算出することができる。なお、第一酸素濃度検出制御において、センサセル51に電圧を印加する第一電圧印加回路61を開放してもよい。
また、被測ガス中の酸素濃度は、センサセル51を用いて検出されてもよい。この場合、ECU80は、酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及びSOxの分解開始電圧未満の電圧をセンサセル51に印加し且つ第二電圧印加回路71を開放する第二酸素濃度検出制御を実行する。ECU80は、第二酸素濃度検出制御において、例えば0.4Vの電圧をセンサセル51に印加する。ECU80は、第二酸素濃度検出制御が実行されたときに第一電流検出器62によって検出された電流に基づいて被測ガス中の酸素濃度を算出する。ECU80は、検出された電流が相対的に大きい場合には、検出された電流が相対的に小さい場合よりも酸素濃度を高く算出する。なお、被測ガス中の酸素濃度は、センサセル51及びポンプセル52を用いることなく、内燃機関の排気通路に配置された空燃比センサによって検出されてもよい。
また、内燃機関の排気通路に配置された空燃比センサを用いて、排気空燃比が目標空燃比となるように内燃機関の燃焼室に供給される燃料がフィードバック制御されているような場合、排気ガス中の酸素濃度はほぼ一定の値となる。この場合、水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加したときに検出される電極間電流から所定の酸素濃度に対応する電流値を減算することで、水の分解電流を抽出することができる。このため、被測ガス中の水濃度を算出するために、必ずしも被測ガス中の酸素濃度を算出する必要はない。
<SOx濃度算出処理>
以下、図6のフローチャートを参照して、SOx濃度を検出するための制御について詳細に説明する。図6は、本発明におけるSOx濃度算出処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU80によって繰り返し実行される。また、本制御ルーチンは、後述する検出条件判定処理によってSOx濃度の検出条件が成立していないと判定された場合には強制的に終了される。
最初に、ステップS101において、被測ガス中のSOx濃度の検出要求が有るか否かが判定される。SOx濃度の検出要求は、例えば、内燃機関の燃料タンクに燃料が補給されたときに発生し、SOx濃度が一回又は複数回算出されたときに消滅する。また、SOx濃度の検出要求は、イグニッションキーがオンにされたときに発生し、SOx濃度が一回又は複数回算出されたときに消滅してもよい。ステップS101において被測ガス中のSOx濃度の検出要求が無いと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS101において被測ガス中のSOx濃度の検出要求が有ると判定された場合、本制御ルーチンはステップS102に進む。
ステップS102では、酸素濃度検出制御が実行される。具体的には、水の分解開始電圧未満の電圧をセンサセル51に印加し且つ酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及びSOxの分解開始電圧未満の電圧をポンプセル52に印加する第一酸素濃度検出制御が実行される。第一酸素濃度検出制御では、例えば0.4Vの電圧がセンサセル51及びポンプセル52に印加される。
次いで、ステップS103では、第一酸素濃度検出制御が実行されたときに第二電流検出器72によって検出されたポンプセル52の電極間電流に基づいて被測ガス中の酸素濃度が算出される。例えば、検出された電流と酸素濃度との関係が示されたマップを用いて酸素濃度が算出される。このマップでは、酸素濃度は、電流が大きいほど高くなるものとして示される。
次いで、ステップS104では、水濃度検出制御が実行される。具体的には、第一電圧印加回路61を開放し且つ水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加する第一水濃度検出制御が実行される。第一水濃度検出制御では、例えば1.0V以上の電圧がポンプセル52に印加される。なお、第一水濃度検出制御において、第二電極42から第一電極41に酸化物イオンが移動しない電圧をセンサセル51に印加し且つ水の限界電流領域内の電圧をポンプセル52に印加してもよい。この場合、センサセル51への印加電圧は例えば1.0V以上である。
次いで、ステップS105では、第一水濃度検出制御が実行されたときに第二電流検出器72によって検出されたポンプセル52の電極間電流と、ステップS103において算出された被測ガス中の酸素濃度とに基づいて被測ガス中の水濃度が算出される。ここでは、最初に、検出された電流が酸素濃度に基づいて補正される。具体的には、被測ガス中の酸素濃度に対応する電流が検出された電流から減算された値が補正後の電流値とされる。補正後の電流値は水の分解電流に相当する。次いで、補正後の電流値に基づいて被測ガス中の水濃度が算出される。例えば、補正後の電流値と水濃度との関係が示されたマップを用いて水濃度が算出される。このマップでは、水濃度は、補正後の電流値が大きいほど高くなるものとして示される。
次いで、ステップS106では、水及びSOxの分解開始電圧以上の電圧をセンサセル51に印加し且つ酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及びSOxの分解開始電圧未満の電圧をポンプセル52に印加するSOx濃度検出制御が実行される。SOx濃度検出制御では、例えば、1.1Vの電圧がセンサセル51に印加され、0.4Vの電圧がポンプセル52に印加される。
次いで、ステップS107では、SOx濃度検出制御が実行されたときに第一電流検出器62によって検出されたセンサセル51の電極間電流と、ステップS105において算出された被測ガス中の水濃度とに基づいて被測ガス中のSOx濃度が算出される。例えば、検出された電極間電流と、水濃度と、SOx濃度との関係が示されたマップを用いてSOx濃度が算出される。ステップS107の後、本制御ルーチンは終了する。
なお、ステップS102の酸素濃度検出制御において、酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及びSOxの分解開始電圧未満の電圧をセンサセル51に印加し且つ第二電圧印加回路71を開放する第二酸素濃度検出制御が実行されてもよい。この場合、ステップS103において、第二酸素濃度検出制御が実行されたときに第一電流検出器62によって検出されたセンサセル51の電極間電流に基づいて被測ガス中の酸素濃度が算出される。
また、内燃機関の排気通路に配置された空燃比センサによって被測ガス中の酸素濃度が検出されてもよい。この場合、ステップS102が省略され、ステップS103において空燃比センサの出力に基づいて被測ガス中の酸素濃度が算出される。また、内燃機関の排気通路に配置された空燃比センサを用いて、排気空燃比が目標空燃比となるように内燃機関の燃焼室に供給される燃料がフィードバック制御されているような場合、ステップS102及びステップS103は省略されてもよい。
また、ステップS104の水濃度検出制御において、水の限界電流領域内の電圧をセンサセル51に印加し且つ第二電圧印加回路71を開放する第二水濃度検出制御が実行されてもよい。この場合、ステップS105において、第二水濃度検出制御が実行されたときに第一電流検出器62によって検出されたセンサセル51の電極間電流に基づいて被測ガス中の水濃度が算出される。
また、本実施形態では、被測ガス中の酸素濃度、水濃度又はSOx濃度を算出するために、電極間電流に相関する電流相関パラメータとして電極間電流が用いられている。しかしながら、電流相関パラメータとして、電極間電流以外のパラメータが用いられてもよい。電流相関パラメータは例えばセンサセル51又はポンプセル52の抵抗値である。電流相関パラメータは、SOx検出装置1が備える任意の検出器によって検出されてECU80によって取得される。
<検出条件判定処理>
図7は、本発明における検出条件判定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、所定の時間間隔でECU80によって繰り返し実行される。本制御ルーチンでは、SOx濃度の検出条件が成立しているか否かが判定され、SOx濃度の検出条件が成立していないと判定した場合には、前述したSOx濃度算出処理の制御ルーチンを強制的に終了させる。
最初に、ステップS201において、センサセル51及びポンプセル52が活性状態にあるか否かが判定される。例えば、センサセル51及びポンプセル52の温度が活性温度以上である場合、センサセル51及びポンプセル52が活性状態にあると判定される。一方、センサセル51又はポンプセル52の温度が活性温度未満である場合、センサセル51又はポンプセル52が活性状態にないと判定される。センサセル51及びポンプセル52の温度はセンサセル51及びポンプセル52のインピーダンスに基づいて算出可能である。
ステップS201においてセンサセル51又はポンプセル52が活性状態にないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS203に進む。この場合、センサセル51及びポンプセル52を用いて被測ガス中の酸素濃度、水濃度及びSOx濃度を精度良く算出することができない。このため、ステップS203では、SOx濃度算出処理の制御ルーチンが強制的に終了される。ステップS203の後、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS201においてセンサセル51及びポンプセル52が活性状態にあると判定された場合、本制御ルーチンはステップS202に進む。
ステップS202では、内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの空燃比(排気空燃比)が安定しているか否かが判定される。なお、「排気ガスの空燃比(排気空燃比)」は、その排気ガスが生成されるまでに供給された空気の質量に対する燃料の質量の比率を意味する。
ステップS202における判定は、例えば、排気空燃比の変化量が閾値以下であるか否かを判定することによって行われる。排気空燃比の変化量が閾値以下である場合、排気空燃比が安定していると判定される。一方、排気空燃比の変化量が閾値よりも大きい場合、排気空燃比が安定していないと判定される。排気空燃比の変化量は例えば所定時間における排気空燃比の最大値と最小値との差によって算出される。排気空燃比は、例えば、内燃機関の排気通路に配置された空燃比センサによって検出される。また、閾値は、実験又は計算によって予め定められ、被測ガス中の酸素濃度、水濃度及びSOx濃度の所望の算出精度を得ることが可能な排気空燃比の変化量の上限値に対応する値とされる。
ステップS202において排気空燃比が安定していないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS203に進む。この場合、被測ガス中の酸素濃度、水濃度及びSOx濃度が変動しているため、被測ガス中の酸素濃度、水濃度及びSOx濃度を精度良く算出することができない。このため、ステップS203では、SOx濃度算出処理の制御ルーチンが強制的に終了される。ステップS203の後、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS202において排気空燃比が安定していると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
1 SOx検出装置
10、10’ 素子部
11 第一固体電解質層
12 第二固体電解質層
16 拡散律速層
41 第一電極
42 第二電極
43 第三電極
44 第四電極
51 センサセル
52 ポンプセル
61 第一電圧印加回路
62 第一電流検出器
71 第二電圧印加回路
72 第二電流検出器
80 電子制御ユニット(ECU)

Claims (1)

  1. 被測ガス中の硫黄酸化物濃度を検出する硫黄酸化物検出装置であって、
    酸化物イオン伝導性を有する第一固体電解質層と、前記被測ガスに曝されるように前記第一固体電解質層の一方の側面上に配置された第一電極と、大気に曝されるように前記第一固体電解質層の他方の側面上に配置された第二電極とを有するセンサセルと、酸化物イオン伝導性を有する第二固体電解質層と、前記被測ガスに曝されるように前記第二固体電解質層の一方の側面上に配置された第三電極と、大気に曝されるように前記第二固体電解質層の他方の側面上に配置された第四電極とを有するポンプセルと、前記被測ガスの拡散律速を行う拡散律速層とを備える素子部と、
    前記センサセルに電圧を印加する第一電圧印加回路と、
    前記ポンプセルに電圧を印加する第二電圧印加回路と、
    前記センサセルに流れる電流に相関する第一電流相関パラメータを検出する第一検出器と、
    前記ポンプセルに流れる電流に相関する第二電流相関パラメータを検出する第二検出器と、
    前記第一電圧印加回路によって前記センサセルに印加される電圧及び前記第二電圧印加回路によって前記ポンプセルに印加される電圧を制御すると共に前記第一検出器から前記第一電流相関パラメータを取得し且つ前記第二検出器から前記第二電流相関パラメータを取得する制御部と、を備え、
    前記ポンプセルは前記センサセルよりも前記拡散律速層側に配置され、
    前記制御部は、前記第二電極から前記第一電極に酸化物イオンが移動しない電圧を前記センサセルに印加し又は前記第一電圧印加回路を開放し且つ水の限界電流領域内の電圧を前記ポンプセルに印加する第一水濃度検出制御を実行し、該第一水濃度検出制御が実行されたときに前記第二検出器によって検出された前記第二電流相関パラメータに基づいて前記被測ガス中の水濃度を算出し、又は、水の限界電流領域内の電圧を前記センサセルに印加し且つ前記第二電圧印加回路を開放する第二水濃度検出制御を実行し、該第二水濃度検出制御が実行されたときに前記第一検出器によって検出された前記第一電流相関パラメータに基づいて前記被測ガス中の水濃度を算出し、
    前記制御部は、水及び硫黄酸化物の分解開始電圧以上の電圧を前記センサセルに印加し且つ酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及び硫黄酸化物の分解開始電圧未満の電圧を前記ポンプセルに印加する硫黄酸化物濃度検出制御を実行し、該硫黄酸化物濃度検出制御が実行されたときに前記第一検出器によって検出された前記第一電流相関パラメータと、前記算出された水濃度とに基づいて前記被測ガス中の硫黄酸化物濃度を算出する、硫黄酸化物検出装置。
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JP (1) JP2017146199A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024202731A1 (ja) * 2023-03-30 2024-10-03 日本碍子株式会社 ガスセンサ

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