JP2017146247A - 温度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温下で長時間使用しても結晶粒が粗大化することのない合金を電極線に用い、電極線の高温強度を向上させることができる温度センサを提供すること。【解決手段】 温度センサ1は、温度によって電気的特性が変化する感温部4と感温部4からの電気信号を外部に出力するための電極線5とを有する感温素子3と、電極線5に電気的に接続されたシース芯線(信号線)15と、を備えている。電極線15は、Pt、Pd、Rhを含む白金パラジウムロジウム合金により構成されている。この合金は、Ca、Sr、Baの何れか1種以上からなるアルカリ土類金属元素を合計で0.1〜1.2mol%、Pdを0.1〜43.0mol%、Rhを1.0〜43.0mol%含み、残部Pt及び不可避不純物からなる合金であって、主としてPt、Pd及び前記アルカリ土類金属から構成される第2相の析出粒子が母相に分散している。【選択図】 図2

Description

本発明は、ガス等の流体の温度を検出するための温度センサに関する。
従来、温度によって電気的特性が変化する感温部とその感温部に電気的に接続された電極線とを有する感温素子と、電極線に接合された信号線とを備えた温度センサが知られている。上記構成の温度センサにおいて、感温素子の電極線を構成する材料には、白金ロジウム(PtRh)合金が用いられる。
ここで、白金ロジウム合金は、加工性、溶接性、耐熱性及び耐食性に優れた材料として知られている。同様の優位点をもつ純白金に比べて室温から高温まで高強度であり、白金イリジウム合金に比べてイリジウムの酸化揮発による消耗がないことから、耐熱合金、化学器具、導電材料、放電電極材料、接点材料等として幅広い分野で用いられている。
例えば、特許文献1には、ガラス繊維製造ノズル及びブッシングの構成材料として、白金、ロジウムからなる白金合金を用いる旨開示されている。特許文献2には、ガラスセラミック材料製造装置に白金ロジウム合金が適する旨開示されている。これらの例のように白金ロジウム合金は、耐酸化性が高い高温材料として用いられている。
また、特許文献3には、1000℃耐熱の温度センサ素子に組み込まれた2元系の白金ロジウム合金線が開示され、Rh含有量は10〜20質量%が望ましいとされている。特許文献4には、高温にて使用する温度センサの電極線として、Ir及び/又はRhを5〜15質量%含有する白金合金が適することが開示されている。これらの例のように、白金ロジウム合金は、耐熱性及び高温強度が要求される導電材料としても好適に用いられている。
特開2003−261350号公報 特開2005−119959号公報 特開平11−40403号公報 特開2010−60404号公報
耐熱材料は、高融点、高強度、高耐食性等が求められ、長期間安定して使用できることが望ましい。従来の白金ロジウム合金は、高温で長期間使用すると、
不可避的に粒成長が起こり、結晶粒が粗大化し、粒界破断を引き起こすことがある。例えば、2元系の白金ロジウム合金(以下、白金とロジウムとからなる2元系の合金を単に「PtRh合金」ともいう。)は、600℃以上で再結晶し、1000℃以上の高温中に数時間保持しただけで結晶粒径が100μmを超えるまで粗大化することもある。
このようなPtRh合金は、初期性能は高くても時間経過とともに粒界が滑る等して破壊する確率が増すため、長期間安定して使用するには信頼性が不十分である。また、Pt、Rh(特にRh)は生産量が少なく産出国は偏在していること、Pt、Rhの需要の大部分が工業用需要であることにより、高価格で価格変動が大きく調達に課題を有している。そのため、上記構成の温度センサの電極線を構成する材料にPtRh合金を用いた場合には、高温での長時間の使用により、電極線の強度が低下し、電極線の破断等の不具合が発生することがある。また、温度センサの価格が高騰化し易い問題がある。
本発明は、高温下で長時間使用しても結晶粒が粗大化することのない合金を電極線に用い、電極線の高温強度を向上させることができる温度センサを提供することを目的とする。
本発明の一の態様である温度センサは、温度によって電気的特性が変化する感温部と感温部からの電気信号を外部に出力するための電極線とを有する感温素子と、電極線に電気的に接続された信号線と、を備え、電極線は、Pt、Pd、Rhを含む白金パラジウムロジウム合金により構成され、白金パラジウムロジウム合金は、Ca、Sr、Baの何れか1種以上からなるアルカリ土類金属元素を合計で0.1〜1.2mol%、Pdを0.1〜43.0mol%、Rhを1.0〜43.0mol%含み、残部Pt及び不可避不純物からなる合金であって、主としてPt、Pd及び前記アルカリ土類金属から構成される第2相の析出粒子が母相に分散していることを特徴としている。なお、不可避不純物とは、原料、または、溶解るつぼを含む加工工程等から混入する、意図しない成分を指すものである。
この温度センサによれば、電極線に第2相の析出粒子が存在するため、粒界の移動が制約され、その結果として、高温で長時間使用しても結晶粒が粗大化するのを抑制することができる。また、アルカリ土類金属を上記合金に含ませたことによる析出強化の作用によって、電極線の強度が向上し、粒径が微細なため破断伸びが大きいという利点も得られる。これにより、電極線の高温強度を向上させられると共に、高温で長時間使用しても、電極線の破断等の発生を抑制した温度センサを提供することができる。
また、電極線を構成する白金パラジウムロジウム合金において、アルカリ土類金属は、ほぼ全量が第2相の析出粒子として存在し、母相部分は、ほぼPt−Pd−Rh合金となっている。そのため、電極線の電気伝導性、熱伝導性等は、従来のPtRh合金で構成した場合と同等で損なわれることがない。
さらに、本発明の温度センサによれば、電極線を構成するPtの一部をPdに置換するとともにアルカリ土類金属を添加することで、Rhの耐酸化性、高融点特性を維持し、PtRh合金からなる電極線よりもさらに高強度であり、かつ高温にて長時間使用可能な電極線となる。また、Pdを含ませることで、相対的にPt、Rhの使用量を抑えることができ、電極線を安価に製造することが可能となり、温度センサが高騰化するのを抑制することが可能となる。
また、本発明の温度センサにおいて、電極線と信号線とは、溶融部を介して接合されてなる構成であってもよい。電極線を構成する白金パラジウムロジウム合金は、第2相の析出粒子と母相との共晶点が母相のPtRh合金より低い。そのため、電極線と信号線とを結合するにあたり、溶接によって形成される溶融部を介した接合が容易となる。また、均質な溶融部を形成可能となるため、電極線と信号線との接合強度に優れた温度センサを提供することができる。なお、溶融部を形成するための溶接方法としては、例えば、レーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等を用いることができる。
また、本発明の温度センサにおいて、信号線は、Fe、Ni、Co及びCrのうち、いずれか1種を主成分とする合金により構成されていてもよい。この場合には、信号線の耐熱性を向上させられ、また、信号線を高価な貴金属を含有する電極線よりも安価な材料にて構成することができるので、信頼性が高く、高騰化を抑制した温度センサを提供することが可能となる。
なお、本発明において、感温素子としては、絶縁性のセラミック基板に、温度によって電気的特性が変化する金属抵抗体(例えば、Ptからなる薄膜抵抗体)をパターニング形成して電極線と電気的に接続した構成のほか、絶縁性のセラミック基板に温度によって電気的特性が変化するサーミスタ膜を積層して電極線と電気的に接続した構成が挙げられる。また、感温素子としては、サーミスタ粉末を用いた所定形状の成形体に電極線の一部を埋設させた状態で焼結することで、電極線をサーミスタ焼結体と一体化した構成を挙げることもできる。
実施形態1の温度センサの全体構造を示す一部断面説明図である。 実施形態1の温度センサの先端側部分を拡大して示す断面説明図である。 実施形態2の温度センサの先端側部分を拡大して示す断面説明図である。 その他の実施形態の温度センサの先端側部分を拡大して示す断面説明図である。 Rh添加量(単位:mol%)を縦軸、引張強さ(単位:MPa)を横軸とし、実施例及び比較例の一部をプロットした図である。 実施例4の合金断面を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1、図2に示すように、温度センサ1は、温度に応じて電気的特性が変化する感温部4と感温部4からの電気信号を外部に出力するための電極線5とを有する感温素子3と、電極線5に電気的に接続されたシース芯線(信号線)15と、を備えている。
電極線5は、白金パラジウムロジウム合金により構成されている。白金パラジウムロジウム合金は、Ca、Sr、Baの何れか1種以上からなるアルカリ土類金属元素を合計で0.1〜1.2mol%、Pdを0.1〜43.0mol%、Rhを1.0〜43.0mol%含み、残部Pt及び不可避不純物からなる合金であって、主としてPt、Pd及び前記アルカリ土類金属から構成される第2相の析出粒子が母相に分散した合金である。以下、この温度センサ1の詳細について説明する。
図1に示すように、温度センサ1は、内燃機関の排気管等の流通管に装着することにより、測定対象ガス(排ガス)が流れる流通管内に配置され、測定対象ガスの温度検出に用いられる。ここで、温度センサ1の長手方向が軸方向であり、図1の上下方向である。また、温度センサ1の先端側が図1の下側であり、温度センサ1の後端側が図1の上側である。
温度センサ1は、感温素子3と、シース部7と、金属チューブ9と、取付部11と、ナット部13と、筒状部材19とを備えている。感温素子3は、測定対象ガスが流れる流通管内に配置される測温素子である。感温素子3は、金属チューブ9の内部に配置される。感温素子3の詳細については後述する。
シース部7は、金属製の外筒17と、導電性金属からなる一対のシース芯線15と、外筒17と一対のシース芯線15との間を電気的に絶縁してシース芯線15を保持する絶縁粉末(図示略)とを備えている。すなわち、シース部7は、一対のシース芯線15を外筒17の内側において絶縁保持するよう構成されている。
金属チューブ9は、鋼板の深絞り加工により、軸方向の先端側を閉塞して形成した有底筒状の部材である。金属チューブ9は、軸方向の後端側が取付部11の内面に当接するように、軸方向寸法が設定されている。金属チューブ9は、耐腐食性金属(例えば、耐熱性金属でもあるSUS310S等のステンレス合金等)からなる。
金属チューブ9は、先端部分に形成された小径部25と、小径部25の後端側に形成され、小径部25よりも外径が大きい大径部27と、小径部25と大径部27との間に形成された段差部29とを有する。段差部29は、小径部25から大径部27に向かって徐々に外径が大きくなっている。
金属チューブ9の内部には、感温素子3及びセメント(保持部材)23が配置されている。セメント23は、感温素子3の周囲に充填され、感温素子3を保持してその揺動を抑制する。セメント23は、熱伝導率が高く、高耐熱、高絶縁性の材料を用いて構成されている。
セメント23としては、例えば、Al、MgO等の酸化物、AlN、TiN、Si、BN等の窒化物、SiC、TiC、ZrC等の炭化物等が主体のセメントを用いてもよい。また、セメント23としては、Al、MgO等の酸化物、AlN、TiN、Si、BN等の窒化物、SiC、TiC、ZrC等の炭化物等が主体で、Al、SiO、MgO等の無機バインダやCe等の酸素供給物質を混合したセメント等を用いてもよい。
取付部11は、少なくとも金属チューブ9の先端が外部に露出する状態で金属チューブ9の後端側の外周面を取り囲んで、金属チューブ9を支持する。取付部11は、径方向外側に突出する突出部31と、突出部31の後端側に位置すると共に軸方向に延びる鞘部33とを有する。
突出部31の先端側には、取付座面35が設けられている。取付座面35は、先端側に向かって外径が小さくなるテ―パ状に形成され、排気管のセンサ取り付け位置(図示略)に対応している。なお、排気管のセンサ取り付け位置は、取付座面35に当接する部位として、後端側に向かって外径が大きくなるテ―パ部を備えて形成されている。
取付部11は、排気管のセンサ取り付け位置に配置されることにより、取付座面35がセンサ取り付け位置のテーパ部に密着し、排気管から外部への排ガスの漏出を抑制する。また、取付部11が金属チューブ9の後端部に圧入された後、取付部11の鞘部33の後端側と金属チューブ9とをレーザー溶接することにより、取付部11と金属チューブ9とが互いに固定される。
ナット部13は、六角ナット部39及びネジ部41を有する筒状の部材である。ナット部13は、取付部11のうち、突出部31の後端面にネジ部41の先端面を当接させた状態で、取付部11の外周において回動自在に配置される。ナット部13のネジ部41が排気管に設けられたネジ穴と螺合することにより、温度センサ1が排気管のセンサ取り付け位置に取り付けられる。
シース芯線15は、先端部が感温素子3に電気的に接続されている。シース芯線15は、後端部が抵抗溶接により加締め端子43に接続されている。つまり、シース芯線15は、自身の後端が加締め端子43を介して外部回路(例えば、車両の電子制御装置(ECU)等)の接続用のリード線45に接続されている。
一対のシース芯線15のうち後端部分は、絶縁チューブ47によって互いに絶縁されており、一対の加締め端子43も絶縁チューブ47により互いに絶縁されている。リード線45は、導線を絶縁性の被覆材により被覆したものである。リード線45は、耐熱ゴム製のシール部材49の内部を貫通して配置されている。シール部材49は、取付部11の鞘部33の先端側にレーザー溶接された筒状部材19の後端側内部に挿入され、筒状部材19の後端側外面を径方向内側に向けて縮径することで、筒状部材19内部のシール性を確保している。
図2に示すように、感温素子3は、温度に応じて電気的特性が変化する感温部4と、感温部4に接続された一対の電極線5とを備えている。感温部4は、セラミック基体54と、金属抵抗体55と、接合層56と、セラミック被覆層57と、電極パッド58とを有する。
セラミック基体54は、純度99.5〜99.9%のアルミナからなり、セラミックグリーンシートを予め焼成してなる焼成済みシートである。金属抵抗体55は、白金(Pt)を主体に構成され、温度に応じて電気的特性(電気抵抗値)が変化する測温抵抗体である。金属抵抗体55は、セラミック基体54の表面に所定のパターン形状で形成されている。
セラミック被覆層57は、純度99.5〜99.9%のアルミナからなり、セラミックグリーンシートを予め焼成してなる焼成済みシートである。セラミック被覆層57は、金属抵抗体55のうち、セラミック基体54と接する面とは反対側の面において、金属抵抗体55の先端側を被覆している。
接合層56は、純度99.5〜99.9%のアルミナからなる。接合層56は、接合前はアルミナ粉末を含むペーストであり、焼成済みのセラミック基体54とセラミック被覆層57とを上記ペーストで貼り合わせた後、熱処理されることで、最終的に接合層56となる。
金属抵抗体55のうち後端側(図2の右側)は、セラミック被覆層57によって被覆される導体パターンより幅広に形成された電極パッド58を介して、一対の電極線5が電気的に接続される。電極パッド58と一対の電極線5とは、抵抗溶接、レーザー溶接等の溶接により、溶融部62において接合されている。
電極パッド58と一対の電極線5との接合部分は、被覆部材59によって被覆されている。被覆部材59は、アルミノケイ酸塩ガラスを主体とするガラス材料により構成されている。このガラス材料には、セラミック材料(アルミナ等)を副成分として含有させてもよい。
一対の電極線5は、金属抵抗体55の後端側からシース部7に向かって延びるように配置されている。一対の電極線5の後端部は、一対のシース芯線15の先端と重ね合わせされている。一対の電極線5の後端部と一対のシース芯線15の先端部とは、レーザー溶接により、溶接部61を介して接合されている。なお、電極線5の断面積は、シース芯線15の断面積よりも小さく設定されている。電極線5及びシース芯線15の断面積とは、軸方向に直交する断面の面積である。
そして、本実施形態において、電極線5は、上記した成分からなる白金パラジウムロジウム合金により構成されている。ここで、アルカリ土類金属の含有量が0.1mol%を下回る場合には、第2相の析出が不十分となり、過度な粒成長を抑制できないおそれがある。また、アルカリ土類金属の含有量が1.2mol%を上回る場合には、第2相が過度に析出するため、電極線の耐酸化性及び靱性を悪化させるおそれがある。
電極線に分散する第2相の占有度合は、電極線自身を線が延びる方向に沿って断面を採ったときに、当該断面にて観察される第2相の面積率が10%以下であることが好ましい。第2相の面積率が10%を超える場合は、過度な析出の現れであり、電極線の耐酸化性及び靱性を悪化させ、また、加工時に割れやすくなる。なお、上記した第2相の面積率とは、電極線自身を線材が延びる方向に沿って切断し、切断面を鏡面まで研磨し、この研磨面を光学顕微鏡、SEM、その他観察手段によって観察したときに、観察視野に含まれる有限な面積中に占める、視認可能な第2相の面積率である。
また、本実施形態の温度センサ1において、電極線5に含有されるRhの含有量は43.0mol%以下がよく、43.0mol%を超えると、加工が難しくなる。一方、Rhの含有量は1.0mol%以上がよく、1.0mol%を下回ると、電極線の高温強度が得られなくことがある。なお、電極線の高温強度及び加工性の双方を良好に得る観点から、Rhの含有量は5.0〜28.0mol%がより好ましい。
電極線5に含有されるPdの含有量は43.0mol%がよく、43.0mol%を超えると、ガス吸蔵により欠陥が生じ易くなる。一方、Pdの含有量は0.1mol%以上がよく、0.1mol%を下回ると、相対的にPt、Rhの使用量を抑える効果が得られ難く、電極線を安価に製造し難くなる。なお、Pdの含有量は1.0〜28.0mol%がより好ましい。また、電極線の強度を安定して高め、かつ高温にて長時間使用可能な電極線を安定して得る観点から、PdとRhの合計含有量は、6.0mol%≦Pd+Rh≦56.0mol%であることが好ましい。白金パラジウムロジウム合金中に含有させるアルカリ土類金属は、Ca、Sr、Baの何れか1種類でもよいが、2種類以上を選択、例えばCa、Srの2種類、Sr、Baの2種類を白金パラジウムロジウム合金中に含有させてもよい。また、3種類全てを白金パラジウムロジウム合金中に含有させてもよい。
一方、電極線5に接続されるシース芯線15は、電極線5とは異なる材料により構成されている。具体的には、シース芯線15は、Fe、Ni、Co及びCrのうち、いずれか1種を主成分とする合金により構成されている。Fe合金としては、例えば、SUS310S等を用いることができる。Ni合金としては、NCF600、NCF601等を用いることができる。なお、本実施形態では、シース芯線15として、SUS310Sを用いた。
次に、本実施形態の温度センサ1の作用効果について説明する。
本実施形態の温度センサ1において、電極線5を構成する白金パラジウムロジウム合金は、第2相の析出粒子が存在することから、粒界の移動が制約されるため、高温で長時間使用しても結晶粒の粗大化を抑制できる。また、析出強化の作用によって強度が向上し、粒径が微細なため破断伸びが大きいという利点も得られる。これにより、電極線5の高温強度を向上させ、耐久性、信頼性を高めることができる。また、高温で長時間使用しても、電極線5の破断等の発生を抑制できる。
また、電極線5を構成する白金パラジウムロジウム合金において、アルカリ土類金属は、ほぼ全量が第2相の析出粒子として存在し、母相部分は、Pt−Pd−Rh合金となっている。そのため、電極線5の電気伝導性、熱伝導性等は、従来のPtRh合金で構成した場合と同等で損なわれることがない。また、白金パラジウムロジウム合金は、第2相の析出粒子と母相との共晶点が母相のPtRh合金より低い。そのため、電極線5のシース芯線15への溶融部31を介して接合(溶接)が容易となる。
また、本実施形態の温度センサ1において、シース芯線(信号線)15は、電極線5とは異なる材料により構成されている。そのため、シース芯線15を構成する材料として、高価な貴金属を含有する電極線5よりも安価な材料を選択することにより、温度センサ1のコストの低減を図ることができる。
また、シース芯線(信号線)15は、Fe、Ni、Co及びCrのうち、いずれか1種を主成分とする合金により構成されている。この場合には、シース芯線15の耐熱性を向上させることができる。これにより、シース芯線15の耐久性、信頼性を高めることができる。
このように、本実施形態によれば、高温下で長時間使用しても結晶粒が粗大化することのない白金パラジウムロジウム合金を電極線5に用いたことで、電極線5の高温強度を向上させた温度センサ1を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図3に示すように、温度センサ1における電極線5とシース芯線15との溶融部(溶接部分)の構成を変更した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
図3に示すように、一対の電極線5の後端は、シース部7(図1参照)の先端から引き出された一対のシース芯線15の先端と突き合わされ、その状態のもと接合されている。具体的には、一対の電極線5の後端と一対のシース芯線15の先端とは、レーザー溶接により、溶融部62において接合されている。
(試験評価)
以下、本発明の温度センサを構成する電極線の材質に関して、実施例と比較例とを対比しながら説明する。まず、所定量のアルカリ土類金属、Pt、Pd及びRh原料を配合し、全量をアーク溶解した。得られたインゴットは、1000℃、1時間の条件で焼鈍し、公知の伸線加工によりφ0.29mmに加工した。
φ0.29mmの線材を1400℃、1時間の条件で焼鈍して試験片とした。そして、試験片を用いて以下の測定を行った。面積率は、試験片の伸びる方向に切断して研磨したとき際の断面観察によって計測した第2相の面積率である。粒径は、合金断面をエッチングし、JIS H 0501(伸銅品結晶粒度試験方法)に規定される求積法によって測定した平均結晶粒径である。引張強度は、引張試験機にて測定した。
表1は、実施例及び比較例の合金の組成及び試験結果を示す。表1中の“AE”は、“アルカリ土類金属元素”を表す。図1は、実施例及び比較例の合金のRh添加量(Rh濃度)を横軸、引張強さを縦軸とした図である。
実施例4の合金断面を図3に示す。EPMAによって分析したところ、実施例及び比較例において析出した第2相は、主としてPt、Pd及びアルカリ土類金属からなる金属間化合物と同定された。
表1より、実施例の合金は、第2相の面積率が10%以下であり、高温で焼鈍しても、粒径が100μm以下と微細なまま維持されていることがわかる。また、実施例の結果から、アルカリ土類金属の含有量が大きいと第2相の面積率が大きくなる傾向を示すことがわかる。
図1より、これらの実施例の合金(白金パラジウムロジウム合金)は、同じRh添加濃度のPtRh合金に比べて引張強度が大きく、強度が向上していることがわかる。
次いで、上記した実施例及び比較例の合金を電極線に適用し、温度センサとしての評価を実施した。まず、上記した実施例2、実施例4、実施例7、実施例13、比較例1の合金の組成からなるφ0.29の線材を用いて、上記した実施形態1の構成の感温素子を複数作製した。そして、感温素子をシース部に接続し、金属チューブや取付部材等と組み付けて、実施形態1の構造をなした温度センサを、複数、準備した。なお、φ0.29、長さ3.0mmの電極線のうち、先端側の長さ1.3mmを電極パッドと重ね合わせて接合され、後端側の長さ0.8mmをφ0.5mmのシース芯線の先端側と重ね合わせてレーザー溶接により接合されるようにして、温度センサをそれぞれ準備した。そして、各温度センサについて、室温と最高温度との間で昇温及び降温を繰り返すサイクル試験を実施し、ロバスト性を評価した。
サイクル試験の条件は、最高温度:800℃、最高温度保持時間:60秒、昇温時間:30秒、降温時間:30秒とした。なお、降温させて室温となったときには、室温で保持せず、すぐに昇温させた。ロバスト性の評価は、5000サイクル経過後に、電極線の断線の有無を確認した。
その結果、比較例1の温度センサは、電極線の断線が確認され、ロバスト性の評価が「×」となった一方、実施例2、実施例4、実施例7、実施例13の温度センサについては、いずれも電極線の断線は確認されず、ロバスト性の評価が「○」となった。これにより、本発明の白金パラジウムロジウム合金から構成される電極線を用いた温度センサは、高温で長時間使用しても、電極線の破断を抑制できることが確認された。なお、上記した実施例2、4、7、13以外の実施例の合金を電極線に適用した温度センサにおいても、実施例2、4、7、13と同様に良好な引張強度が得られており、電極線の破断を抑制可能な温度センサを提供することができるものである。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)上述の実施形態では、シース芯線(信号線)15を構成する合金として、Fe合金及びNi合金を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、Co合金、Cr合金等を用いてもよい。Co合金としては、例えば、UMCo−50(日立金属MMCスーパアロイ株式会社製)等、Cr合金としては、例えば、クリマックス(栗本鐵工所株式会社製)等を具体的に用いることができる。
(2)上述の実施形態では、感温部4について、温度に応じて電気的特性が変化する金属抵抗体55を用いて構成したが、例えば、温度に応じて電気的特性が変化するサーミスタ焼結体を用いて構成してもよい。サーミスタ焼結体としては、例えば、(Sr,Y)(Al,Mn,Fe)Oをベース組成としたペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。
図4に、サーミスタ焼結体により構成された感温部4と感温部4に接続された一対の電極線5とを有する感温素子3を備えた温度センサ1を示す。一対の電極線5の後端部は、シース部7(図1参照)の先端から引き出された一対のシース芯線15の先端部と重ね合されている。一対の電極線5と一対のシース芯線15とは、抵抗溶接、レーザー溶接等の溶接により、溶融部63において接合されている。なお、一対の電極線5は、自身の一部が平面視六角形状をなしたサーミスタ焼結体(感温部4)に埋設されている。上記構成であっても、電極線5を上記の白金パラジウムロジウム合金により構成することにより、上述の実施形態1、2と同様の作用効果が得られる。
1…温度センサ
3…感温素子
4…感温部
5…電極線
15…シース芯線(信号線)

Claims (4)

  1. 温度によって電気的特性が変化する感温部と該感温部からの電気信号を外部に出力するための電極線とを有する感温素子と、
    前記電極線に電気的に接続された信号線と、
    を備える温度センサであって、
    前記電極線は、Pt、Pd、Rhを含む白金パラジウムロジウム合金により構成され、
    前記白金パラジウムロジウム合金は、Ca、Sr、Baの何れか1種以上からなるアルカリ土類金属元素を合計で0.1〜1.2mol%、Pdを0.1〜43.0mol%、Rhを1.0〜43.0mol%含み、残部Pt及び不可避不純物からなる合金であって、主として前記Pt、前記Pd及び前記アルカリ土類金属から構成される第2相の析出粒子が母相に分散している
    ことを特徴とする温度センサ。
  2. 前記電極線と前記信号線とは、溶融部を介して接合されてなることを特徴とする請求項1に記載の温度センサ。
  3. 前記信号線は、Fe、Ni、Co及びCrのうち、いずれか1種を主成分とする合金により構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温度センサ。
  4. 前記Pdと前記Rhの合計含有量は、6.0mol%≦Pd+Rh≦56.0mol%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の温度センサ。
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