JP2017148765A - 揮発性有機炭化水素ガスの除去方法及び揮発性有機炭化水素ガスを吸収するための吸収液 - Google Patents

揮発性有機炭化水素ガスの除去方法及び揮発性有機炭化水素ガスを吸収するための吸収液 Download PDF

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Abstract

【課題】室温で液体状態である特定のイオン液体を使用することにより、揮発性有機炭化水素ガスの吸収に優れた吸収液、及び当該吸収液を用いた高効率な揮発性有機炭化水素ガスの除去方法を提供すること。【解決手段】本発明では、イオン液体を含有する吸収液に揮発性有機炭化水素ガスを含有する混合ガスを接触させすることにより、混合ガス中に含有されている揮発性有機炭化水素ガスを前記吸収液に吸収させる。イオン液体は、(1) イミダゾリウム又はホスホニウムであるカチオンと、(2) アミド、サクシネート、サルフェート又はスルホネートであるアニオンとから構成されるイオン液体であって、カチオン又はアニオンの少なくとも一方は、炭素数8以上20以下のアルキル側鎖を有する。揮発性有機炭化水素ガスは、炭素数4以上14以下の飽和若しくは不飽和炭化水素化合物又は炭素数5以上8以下の揮発性芳香族化合物である。【選択図】図2

Description

本発明は、大気圧条件下で100℃以下に融点を持つ特定のイオン液体を使用し、空気中に存在する揮発性有機炭化水素ガスを効率よくイオン液体に吸収させることにより、空気から揮発性有機炭化水素ガスを除去するための方法に関する。本発明はまた、そのような除去方法への利用に適した特定のイオン液体から構成される揮発性有機炭化水素ガスの吸収液に関する。
塗装又は印刷の技術分野においては、揮発性有機炭化水素を含有する塗料等が使用されることが多い。このような揮発性有機炭化水素は、室温においても揮発するため、換気を頻繁に行う等して作業環境中の濃度を安全値以下に下げ、作業従事者が吸入しないように注意する必要がある。
一方、液体である有機物を主成分とする吸収液を使用して、特定の気体を吸収させる技術も開発されている。例えば、特許文献1は、3成分以上の多成分混合ガスからイオン液体を用いて二酸化炭素を分離回収する技術を開示している。また、特許文献2は、特定のエポキシ化合物を含有する吸収剤によって揮発性有機化合物を除去する排気浄化方法を開示している。さらに、特許文献3は、油と水とを撹拌混合して乳濁液を生成させ、該乳濁液に排ガスを接触させることにより、排ガスに含まれる揮発性有機化合物を除去する方法を開示している。
特開2010-248052号公報 国際公開第2011/025030号 特開2010-36136号公報
揮発性有機炭化水素ガスを含有する塗料等を使用して塗装を行う場合、作業現場によっては、十分な換気を実施できない場合もあり得る。例えば、船舶の内部を塗装する場合や、大型タンク内部で作業するような場合である。このような場合には、送風機による換気だけでは不十分であり、作業現場において空気中の揮発性有機炭化水素ガスを吸収する作業も必要となる。
揮発性有機炭化水素ガスの除去方法としては、(1) 活性炭を吸着剤として使用する吸着法;(2) 界面活性剤水溶液を吸収剤として使用する吸収法;(3) 洗浄油を吸収剤として使用するオイルスクラバー法:が知られている。
(3)のオイルスクラバー法は、汎用性の高い技術ではあるが、装置が大型であり、作業現場へと容易に持ち込むことはできない。(1)の活性炭法は、簡易、かつ、確実な除去効果が得られるが、活性炭を再利用するためには活性炭を長時間、高温で加熱する必要がある。また、空気の湿度が高い場合には、揮発性有機炭化水素ガスの吸着量が低下することもある。さらに、(2)の吸収法も汎用性が高く、広範囲の処理ガス量に対応しやすいが、吸収液の揮発損失が避けられず、有機炭化水素ガスの吸収量が十分ではないという問題がある。
本発明は、大気圧条件下で100℃以下に融点を持つ特定のイオン液体(好ましくは室温で液体状態である特定のイオン液体)を吸収剤として使用することにより、混合ガス中の揮発性有機炭化水素ガスを効率よく除去し得る除去方法を提供することを目的とする。また、本発明は、混合ガス中の揮発性有機炭化水素ガスを効率よく除去し得る吸収液を提供することを目的とする。
本発明者等は、不揮発性及び不燃性を有するイオン液体を吸収剤の主成分として使用することにより、揮発性有機炭化水素ガスを簡易に除去することができないかについて、鋭意検討を続けた。その結果、本発明者等は、特定のイオン液体を含有する吸収剤を使用すれば、溶剤等に汎用されている揮発性有機炭化水素ガスを効率よく吸収させ得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
イオン液体を含有する吸収液に揮発性有機炭化水素ガスを含有する混合ガスを接触させることにより、混合ガス中に含有されている揮発性有機炭化水素ガスを前記吸収液に吸収させることを特徴とする、揮発性有機炭化水素ガスの除去方法であって、
前記イオン液体は、
イミダゾリウム又はホスホニウムであるカチオンと、
アミド、サクシネート、サルフェート又はスルホネートであるアニオンとから構成されるイオン液体であって、
前記カチオン又は前記アニオンの少なくとも一方が、炭素数8以上20以下のアルキル側鎖を有し、
前記揮発性有機炭化水素ガスが、炭素数4以上14以下の飽和若しくは不飽和炭化水素化合物又は炭素数5以上8以下の揮発性芳香族化合物である、除去方法に関する。
本発明はまた、
イミダゾリウム又はホスホニウムであるカチオンと、
アミド、サクシネート、サルフェート又はスルホネートであるアニオンとから構成されるイオン液体を含有し、
前記カチオン又は前記アニオンの少なくとも一方が、炭素数8以上20以下のアルキル側鎖を有し、
炭素数4以上14以下の飽和若しくは不飽和炭化水素化合物又は炭素数5以上8以下の揮発性芳香族化合物である揮発性有機炭化水素ガスを吸収するための吸収液に関する。
前記カチオン又は前記アニオンの少なくとも一方は、炭素数8以上14以下のアルキル側鎖を有することがより好ましい。炭素数4以上14以下の飽和若しくは不飽和炭化水素化合物としては、炭素数4以上10以下のアルカンが好ましい。炭素数5以上8以下の揮発性芳香族化合物としては、溶剤として汎用されるトルエン、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン又はピリジンが好ましい。
イオン液体は、揮発性がなく、熱安定性及び化学的安定性が高いため、長時間吸収液(吸収剤)として使用しても揮発又は分解による損失が少ない。また、水分含有量の高いガスを接触させても、水分を吸収しにくいいため、従来の吸収液又は活性炭のような吸着剤と比較して、揮発性有機炭化水素ガスの吸収量の減少を抑制し得る。
本発明を適用する揮発性有機炭化水素ガスを含有する混合ガスとは、揮発性有機炭化水素ガスと、それ以外のガス成分とから構成されるガスを意味する。揮発性有機炭化水素ガス以外のガスは、空気のような2種類以上のガス成分から構成されるガスであってもよく、高純度窒素ガスのような1種類のガス成分から構成されるガスであってもよい。
本発明の吸収液は、特定のイオン液体を主成分として含有すれば足り、特定のイオン液体の他に、特定のイオン液体以外のイオン液体類、ジエチレングリコール類、ジメチルシロキサン類又はアルコール類等を含有してもよい。本発明の吸収液は、特定のイオン液体濃度が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらにより好ましい。
前記カチオンは、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、トリエチルオクチルホスホニウム又はトリへキシルテトラデシルホスホニウムのいずれかであり、
前記アニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、オクチルサルフェート、ジ(2-エチルへキシル)スルホコハク酸又はドデシルベンゼンスルホネートのいずれかであることが好ましい。
より具体的に、前記イオン液体は、化学式1〜化学式6のいずれかであることが好ましい。
本発明の揮発性有機炭化水素ガスの除去方法においては、
前記吸収液と前記揮発性有機炭化水素ガスを含有する混合ガスとを接触させ、前記吸収液に前記揮発性有機炭化水素ガスを吸収させた後、前記吸収液に前記揮発性有機炭化水素ガスを含有しないガスを接触させるか、若しくは前記吸収液を加熱及び/又は減圧することにより、前記吸収液が吸収した前記揮発性有機炭化水素ガスを前記吸収液から放散(脱離)させ、前記吸収液を前記揮発性有機炭化水素ガスの吸収に再利用することが好ましい。
イオン液体を含有する吸収液を使用する場合、揮発性有機炭化水素ガスを含有しないガス(例えば、空気又は窒素ガス)を接触させる、又はイオン液体を含有する吸収液を、揮発性有機炭化水素ガスを吸収した温度よりも5〜100℃以上高い温度まで加熱する、及び/又は揮発性有機炭化水素ガスを吸収した圧力よりも減圧することにより、吸収した揮発性有機炭化水素ガスを吸収液から放散させ、吸収液を容易に再生し、再利用することが可能である。放散させた揮発性有機炭化水素ガスは、適宜回収及び/又は処分され得る。
本発明によれば、揮発性有機炭化水素ガスを含有する混合ガスを、吸収液と接触させることにより、混合ガスに含有されている揮発性有機炭化水素ガスを効率よく、特定のイオン液体を含有する吸収液に吸収させ、混合ガスから揮発性有機炭化水素ガスを除去し得る。また、揮発性有機炭化水素ガスを含有しないガスを接触させるか、加熱及び/又は減圧により、特定のイオン液体を含有する吸収液を容易に再生し、再利用することも可能である。
n-ブタンガスの吸収実験に使用された実験装置の構成を示す。 実施例1〜6及び比較例1の吸収液に関する、n-ブタン吸収量の温度依存性を示したグラフである。 VOC標準ガス(n-ヘプタンガス)の除去及び放散実験に使用された実験装置の構成を示す。 実施例3〜6及び比較例2の吸収液について、VOC標準ガス(n-ヘプタン標準ガス)の流通時間とガスセル内n-ヘプタン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。 実施例3〜6及び比較例1〜4の吸収液について、VOC標準ガス(トルエン標準ガス)の流通時間とガスセル内トルエン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。 n-ヘプタンガス除去試験終了後の実施例3〜6及び比較例2の吸収液についてVOC放散実験の経過時間とガスセル内n-ヘプタン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。 トルエンガス除去試験終了後の実施例3〜6及び比較例2の吸収液について、VOC放散実験の経過時間とガスセル内トルエン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。
本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら以下に説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
(実験に使用した吸収液の種類)
揮発性有機炭化水素ガスの吸収液(吸収剤)として、以下の吸収液を使用した。
1)[omim][Tf2N]:1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(実施例1のイオン液体、化学式1);
2)[bmim][C8SO4]:1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム オクチルサルフェート(実施例2のイオン液体、化学式2);
3)[P2228][Tf2N]:トリエチルオクチルホスホニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(実施例3のイオン液体、化学式3);
4)[P666,14][Tf2N]:トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(実施例4のイオン液体、化学式4);
5)[P666,14][DBS]:トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ドデシルベンゼンスルホネート(実施例5のイオン液体、化学式5);
6)[P666,14][AOT]:トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸(実施例6のイオン液体、化学式6);
7)[bmim][Tf2N]:1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(比較例1のイオン液体);
8)[emim][ace]:1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート(比較例2のイオン液体);
9)PEG400:ポリエチレングリコール(分子量400/比較例3の吸収液)
10)超純水(比較例4)
なお、比較例1〜3の化合物の化学式は、以下の化学式7〜8にそれぞれ示されるとおりである。
実施例2及び4と、比較例3として、市販の試薬(実施例2:Merck製、実施例4:Iolitec製、比較例3:和光純薬製)を使用した。実施例2については、50℃で30時間減圧乾燥してから使用した。実施例4については、70℃で30時間減圧乾燥してから使用した。比較例3については、モレキュラーシーブスによって脱水してから使用した。実施例1、3、5及び6と、比較例1及び2は、以下の方法によって合成された。
(実施例1のイオン液体の合成)
塩化1?メチル-3-オクチルイミダゾリウムの水溶液に、リチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの水溶液を、1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌した。有機相のみを取り分け、塩化リチウムが除去されるまで超純水によって洗浄した。塩化リチウムが除去されたか否かは、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下した場合の白濁の有無によって確認された。その後、減圧によって残留溶媒を留去し、さらに、70℃で30時間減圧乾燥することにより、実施例1のイオン液体([omim][Tf2N])が得られた。
(実施例3のイオン液体の合成)
臭化トリエチルオクチルホスホニウムの水溶液に、リチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの水溶液を、1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌した。有機相のみを取り分け、臭化リチウムが除去されるまで超純水によって洗浄した。臭化リチウムが除去されたか否かは、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下した場合の白濁の有無によって確認された。その後、減圧によって残留溶媒を留去し、さらに、70℃で30時間減圧乾燥することにより、実施例3のイオン液体([P2228][Tf2N])が得られた。
(実施例5のイオン液体の合成)
塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムのジクロロメタン溶液に、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートの水溶液を、1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌した。続いて、ジクロロメタン相のみを取り分け、塩化ナトリウムが除去されるまで超純水によって洗浄した。塩化ナトリウムが除去されたか否かは、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下した場合の白濁の有無によって確認された。その後、減圧によって残留溶媒を留去し、さらに、50℃で30時間減圧乾燥することにより、実施例5のイオン液体([P666,14][DBS])が得られた。
(実施例6のイオン液体の合成)
塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムのジクロロメタン溶液に、ナトリウムジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸の水溶液を、1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌した。続いて、ジクロロメタン相のみを取り分け、塩化ナトリウムが除去されるまで超純水によって洗浄した。塩化ナトリウムが除去されたか否かは、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下した場合の白濁の有無によって確認された。その後、減圧によって残留溶媒を留去し、さらに、50℃で30時間減圧乾燥することにより、実施例6のイオン液体([P666,14][AOT])が得られた。
(比較例1のイオン液体の合成)
臭化1?ブチル-3-メチルイミダゾリウムの水溶液に、リチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの水溶液を、1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌した。有機相のみを取り分け、臭化リチウムが除去されるまで超純水によって洗浄した。臭化リチウムが除去されたか否かは、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下した場合の白濁の有無によって確認された。その後、減圧によって残留溶媒を留去し、さらに、70℃で30時間減圧乾燥することにより、比較例1のイオン液体([bmim][Tf2N])が得られた。
(比較例2のイオン液体の合成)
N-エチルイミダゾール、炭酸ジメチル及びメタノールの混合溶液を調製した。この混合溶液をステンレス製反応容器に封入し、120℃で24時間反応させることにより、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム メチルカーボネートを含む反応物が得られた。この反応物に、室温条件下、1秒に1滴の割合で酢酸を滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌した。続いて、溶媒を減圧留去することにより、粗製1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテートが得られた。これを、酢酸エチルによって10回洗浄した後、減圧によって溶媒を留去し、さらに、40℃で96時間減圧乾燥することによって、比較例2のイオン液体([emim][ace])が得られた。
<吸収液によるn-ブタンガスの吸収実験>
図1に示される実験装置を用いて、大気圧下、実施例1〜6及び比較例1の吸収液(イオン液体)のn-ブタン吸収量を測定した。図1に示される実験装置は、窒素供給ライン1、n-ブタンのガスボンベ2、減圧弁3、三方バルブ4、流量計5、バルブ6,8及び13、コイル状の熱交換器7、ガラス製の反応容器10、反応容器10内に入れた回転子11を回転させるマグネチックスターラー12、マグネチックスターラー12の回転数を制御するコントローラー9、熱媒18を貯液及び温度調節する恒温槽16、恒温槽16内の熱媒18の温度を測定する白金測温体14とそれに接続された温度表示器15、恒温槽16内の熱媒18の温度を調節する冷却水循環装置17を備える。
窒素は、窒素供給ライン1→三方バルブ4→流量計5→バルブ6→熱交換器7→バルブ8を経て、反応容器10内の吸収液19へと供給される。一方、n-ブタンガスは、ガスボンベ2→減圧弁3→三方バルブ4→流量計5→バルブ6→熱交換器7→バルブ8を経て、反応容器10内の吸収液19へと供給される。窒素又はn-ブタンガスを吸収液19へ供給するときには、反応容器10内の回転子11をマグネチックスターラー12によって回転させ、吸収液19を撹拌する。熱交換器7及び反応容器10は、恒温槽16の熱媒に浸漬されているため、一定の温度に保たれる。反応容器10に供給されたガスの一部は、吸収液19に吸収され、残部はバルブ13を経て反応容器10から排出される。
図1に示される実験装置を用いた、n-ブタン吸収量測定フローを以下に説明する。
まず、窒素雰囲気下、所定量(約10mL)の各吸収液を反応容器10に分取する。その後、反応容器10の開口部をシリコン栓で封じる。反応容器10全体の質量を分析天秤で計測し、この質量から反応容器10、回転子11及びシリコン栓の質量を差し引き、反応容器10内の吸収液の質量Wを算出する。
次に、反応容器10にガス導入管及びガス放出管を取り付け、再度、質量を計測して反応容器10全体の質量Wを算出する。
次に、反応容器10を恒温槽16内に設置する。ガス導入管をバルブ8に接続する。恒温槽16内の水温を25℃に保ち、窒素のみを反応容器10へと供給し、反応容器10内の吸収液19を窒素で置換する。一定時間(例えば60分)毎に反応容器10全体の質量を分析天秤で測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、反応容器10全体の質量をWとする。
次に、供給するガスを窒素からn-ブタンに切り替え、n-ブタンガスを反応容器10へと供給し、吸収液19にn-ブタンを吸収させる。一定時間(例えば60分)毎に反応容器10全体の質量を分析天秤で測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、容器全体の質量をWとする。
吸収液19に吸収されたn-ブタンの質量WC4を下記式1に基づき算出する。
また、吸収液19の1g当たりのブタン吸収量wC4を下記式2に基づき算出する。
恒温槽16内の水温を適宜変更し、前記4)〜5)の操作と解析を行い、各温度におけるn-ブタン吸収量を算出する。その後、25℃で吸収されたn-ブタンの質量を再度計測し、再現性を確認する。
図2は、実施例1〜6及び比較例1の吸収液について、n-ブタン分圧0.10MPaの条件下における、吸収液1g当たりのn-ブタン吸収量の温度依存性を示すグラフである。いずれの吸収液についても、温度が低いほどn-ブタン吸収量が多くなった。25℃の場合、比較例1のn-ブタン吸収量は、0.013g/吸収液gであり、この吸収量は、比較例1の報告値(文献値)と一致した。今回実施したn-ブタン吸収量の測定方法は、妥当性を有する実験方法である。
また、実施例1〜6の吸収液のn-ブタン吸収量(25℃)は、0.021〜0.068gであり、比較例1のn-ブタン吸収量の1.6〜5.2倍であり、n-ブタンガスを効率よく吸収し得ることが確認された。特に、実施例4〜6の吸収液のn-ブタン吸収量が多く、優れた揮発性炭化水素ガスの吸収液として機能することが確認された。
<吸収液によるn-ヘプタンガスの除去実験>
図3に示される実験装置を用いて、常圧における各吸収液の揮発性有機炭化水素ガス(VOCガス)除去量を測定した。図3に示される実験装置は、揮発性有機炭化水素標準ガス(VOC標準ガス/n-ヘプタン標準ガス又はトルエン標準ガス)のガスボンベ21、三方バルブ22,23,24,48及び50、バルブ49、熱媒33を貯液する恒温槽36、熱媒33の温度を一定に調節するヒーター37及び冷却水循環装置38、吸収液32を収容する反応容器31、反応容器31に入れた回転子34を回転させるマグネチックスターラー35を備える。n-ヘプタンガスの吸収実験を行う場合にはn-ヘプタン標準ガスのガスボンベ21を接続し、トルエンガスの吸収実験を行う場合にはトルエン標準ガスのガスボンベ21を接続する。
また、図3に示される実験装置は、気体中の揮発性有機炭化水素ガス濃度を測定するためのガスセル47及び赤外分光装置46を備える。パージ用窒素は、試験前後において、ガスセル47内を窒素で置換するために使用され、経路26及び三方バルブ48を経て供給され、バルブ49と経路44を経て系外へ排出される。
ガスボンベ21から取り出されたVOC標準ガスは、質量流量計25bによって流量を制御されながら、経路28、経路29及び熱交換器41を経て、反応容器31内の吸収液32へと供給される。このとき、回転子34はマグネチックスターラー35によって回転させておく。恒温槽36内の熱媒33は、ヒーター37及び冷却水循環装置38によって温度を一定に調節される。それにより、反応容器31内の吸収液32の温度も一定に保たれる。
吸収液32へと供給されたVOC標準ガスは、一部は吸収液32に吸収され、残部は経路30及び三方バルブ24を経て反応容器31から排気される。排気されたVOCガスは、質量流量計25aから経路27を経て供給される希釈用窒素で10分の1の濃度に希釈された後、さらに経路42、三方バルブ50、経路43及び三方バルブ48を経て、ガスセル47へと供給される。その後、経路44及び経路45を経て外部に排気される。
図3に示される実験装置を用いた、VOC除去量の測定フローを以下に説明する。
窒素雰囲気下で、所定量(約5mL)の吸収液を、ガス導入管とガス放出管が取付けられた反応容器31に分取する。そして、反応容器31全体の質量を電子天秤で計測し、この質量から反応容器31及び回転子34の質量を差し引き、吸収液の質量を算出する。
反応容器31を恒温槽36内に設置する。
恒温槽36の水温を25℃に保ち、三方バルブ22を窒素側に切り替え、窒素を10mL/minの流量で反応容器31及びガスセル47へと通気させ、反応容器31及びガスセル47内を窒素で置換する。同時に、希釈用窒素を90mL/minの流量で供給する。一定時間毎に赤外分光装置46によって赤外スペクトルを測定し、VOCガス及び水に対応するピークが検出されないことを確認する。
次に、三方バルブ23及び24をバイパス側(経路29及び30を通過せず、バルブ23からバルブ24へと至る経路)に切り替え、さらに、三方バルブ22をVOC標準ガス側(経路22)に切り替える。VOC標準ガスを10mL/minの流量で供給し、一定時間毎に赤外分光装置46によってガスセル47内の気体の赤外スペクトルを測定する。VOC由来のピークの強度が変化しなくなった際のスペクトルを用い、VOC濃度を決定するための検量線を作成する。
三方バルブ23及び24をガスセル47側に切り替え、VOCガス除去試験を開始する。一定時間毎に赤外分光装置46によって赤外スペクトルを測定し、赤外スペクトル及び検量線から、VOC濃度の経時変化を観察する。
3時間赤外スペクトルの測定を継続した後、三方バルブ23及び24をバイパス側に切り替え、測定を終了する。
図4は、実施例3〜6及び比較例2の吸収液について、経過時間とガスセル内n-ヘプタン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。Blankは、吸収液なしの測定結果である。VOC標準ガス中のn-ヘプタン濃度は524ppmであった。比較例2の吸収液は、10分程度の短時間でn-ヘプタンガスの吸収が飽和に達することが確認された。一方、実施例3〜6の吸収液は、180分経過後もn-ヘプタンガスを除去し続け、約150分経過後も、n-ヘプタンの濃度を300ppm以下に低減し得ることが確認された。
<吸収液によるトルエンガスの除去実験>
図5は、実施例3〜6及び比較例1〜4の吸収液について、経過時間とガスセル内トルエン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。Blankは、吸収液なしの測定結果である。VOC標準ガス中のトルエン濃度は1480ppmであった。実施例3〜6の吸収液は、180分経過後も、比較例1〜4の吸収液よりも高効率にトルエンを除去し得ることが確認された。
<吸収液からのn-ヘプタン放散試験>
図3に示される実験装置を用いて各吸収液のVOC除去試験を行った後、吸収液からのVOC放散試験を行った。VOC放散試験フローを以下に説明する。
上記VOC吸収試験の6)に引き続き、放散試験を行う。バイパス側(経路28及び42)及びガスセル47に窒素を通気させ、経路28、経路42及びガスセル47内を窒素で置換する。窒素は、質量流量計25aから90mL/minで、質量流量計25bから10mL/minで、それぞれ供給される。一定時間毎に赤外分光装置46によって赤外スペクトルを測定し、VOC成分及び水に対応するピークが検出されないことを確認する。
反応容器31を80℃に温調された恒温槽36に浸し、三方バルブ23及び24をセル側(経路29)に切り替える。反応容器31内に窒素を通気させて、VOC放散試験を開始する。一定時間毎に赤外分光装置46によって赤外スペクトルを測定し、赤外スペクトルと検量線より、ガスセル47内のVOC濃度の経時変化を観察する。窒素通気中、回転子34はマグネチックスターラー35を用いて回転させておく。
2時間分析を継続した後、三方バルブ23及び24をバイパス側(経路28及び42)に切り替え、測定を終了する。
図6は、n-ヘプタンガス除去試験終了後の実施例3〜6及び比較例2の吸収液について、VOC放散実験の経過時間とガスセル内n-ヘプタン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。Blankは、吸収液なしの測定結果である。図6より、120分程度の加熱及び窒素通気によって、吸収されていたn-ヘプタンを吸収液からほぼ放散させ得ることが確認された。
<吸収液からのトルエン放散試験>
図7は、トルエンガス除去試験終了後の実施例3〜6及び比較例2の吸収液について、VOC放散実験の経過時間とガスセル内トルエン濃度(ppm)との関係をプロットしたグラフを示す。Blankは、吸収液なしの測定結果である。トルエン濃度は時間経過と共に徐々に低下しており、実施例3〜6の吸収液が、加熱及び窒素通気により再生可能であることが確認された。
揮発性有機炭化水素ガスの除去試験及び放散試験の結果から、本発明の吸収方法及び吸収液は、揮発性有機炭化水素ガスを従来の吸収剤よりも効率よく吸収し、しかも容易に放散させることが可能であることが確認された。また、高温に加熱することなく、吸収した揮発性有機炭化水素ガスを放散させることも可能であり、吸収液を繰り返し、揮発ロスもなく再利用し得ることも確認された。
本発明の吸収液及び吸収方法は、塗装業、化学工業又は船舶(機関室)等における作業環境の改善、高い安全性が求められる移動体、例えば航空機又は車両等の室内環境の改善、大気中への揮発性有機炭化水素ガスの放出を防止する技術として有用である。
1:窒素供給ライン
2:n-ブタンのガスボンベ
3:減圧弁
4:三方バルブ
5:流量計
6,8,13:バルブ
7:熱交換器
9:コントローラー
10:反応容器
11:回転子
12:マグネチックスターラー
14:白金測温体
15:温度表示器
16:恒温槽
17:冷却水循環装置
18:熱媒
19:吸収液
21:VOC標準ガスのガスボンベ
22,23,24,48,49,50:三方バルブ
25a,25b:質量流量計
26,27,28,29,30,42,43,44,45:経路(ガスライン)
31:反応容器
32:吸収液
33:熱媒
34:回転子
35:マグネチックスターラー
36:恒温槽
37:ヒーター
38:冷却水循環装置
39:冷媒入口配管
40:冷媒出口配管
41:ガス導入管
46:赤外分光装置
47:ガスセル

Claims (7)

  1. イオン液体を含有する吸収液に揮発性有機炭化水素ガスを含有する混合ガスを接触させることにより、混合ガス中に含有されている揮発性有機炭化水素ガスを前記吸収液に吸収させることを特徴とする、揮発性有機炭化水素ガスの除去方法であって、
    前記イオン液体は、
    イミダゾリウム又はホスホニウムであるカチオンと、
    アミド、サクシネート、サルフェート又はスルホネートであるアニオンとから構成されるイオン液体であって、
    前記カチオン又は前記アニオンの少なくとも一方が、炭素数8以上20以下のアルキル側鎖を有し、
    前記揮発性有機炭化水素ガスが、炭素数4以上14以下の飽和若しくは不飽和炭化水素化合物又は炭素数5以上8以下の揮発性芳香族化合物である、除去方法。
  2. 前記カチオンは、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、トリエチルオクチルホスホニウム又はトリへキシルテトラデシルホスホニウムのいずれかであり、
    前記アニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、オクチルサルフェート、ジ(2-エチルへキシル)スルホコハク酸又はドデシルベンゼンスルホネートのいずれかである、請求項1に記載の揮発性有機炭化水素ガスの除去方法。
  3. 前記イオン液体が、化学式1〜化学式6のいずれかである、請求項1又は2に記載の揮発性有機炭化水素ガスの除去方法。
  4. 前記吸収液に前記揮発性有機炭化水素ガスを吸収させた後、前記吸収液に前記揮発性有機炭化水素ガスを含有しないガスを接触させるか、又は前記吸収液を加熱及び/又は減圧することにより、前記吸収液が吸収した前記揮発性有機炭化水素ガスを前記吸収液から放散させ、
    前記吸収液を前記揮発性有機炭化水素ガスの吸収に再利用する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揮発性有機炭化水素ガスの除去方法。
  5. イミダゾリウム又はホスホニウムであるカチオンと、
    アミド、サクシネート、サルフェート又はスルホネートであるアニオンとから構成されるイオン液体を含有し、
    前記カチオン又は前記アニオンの少なくとも一方が、炭素数8以上20以下のアルキル側鎖を有し、
    炭素数4以上14以下の飽和若しくは不飽和炭化水素化合物又は炭素数5以上8以下の揮発性芳香族化合物である揮発性有機炭化水素ガスを吸収するための吸収液。
  6. 前記カチオンは、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、トリエチルオクチルホスホニウム又はトリへキシルテトラデシルホスホニウムのいずれかであり、
    前記アニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、オクチルサルフェート、ジ(2-エチルへキシル)スルホコハク酸又はドデシルベンゼンスルホネートのいずれかである、請求項5に記載の揮発性有機炭化水素ガスを吸収するための吸収液。
  7. 前記イオン液体が、化学式1〜化学式6のいずれかである、請求項5又は6に記載の揮発性有機炭化水素ガスを吸収するための吸収液。
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