JP2017149062A - 印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】主走査方向の印刷パターンの不均一性が要因で印刷画像の画質が低下することを抑制できる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、熱転写方式による印刷が可能な発熱素子を少なくとも1つ備え、発熱素子を発熱するか否かを切り替えることによって主走査ライン毎に印刷を実行する。印刷装置は、印刷媒体にドットを形成させるために発熱素子を発熱させる。印刷装置は、少なくとも1つの主走査ラインの主走査方向における中心位置を基準とした場合の、発熱する発熱素子の位置である発熱位置の分布の傾向を示す分布傾向を取得する(S25)。印刷装置は、発熱位置において、追加的に前記発熱素子を発熱させるときの発熱条件を、分布傾向に応じて決定する(S29)。印刷装置は、発熱条件に基づいて発熱素子を追加的に発熱させる。
を備えたことを特徴とする
【選択図】図7

Description

本発明は、熱転写方式で印刷を行う印刷装置に関する。
熱転写方式によって印刷媒体に印刷を行う印刷装置が知られている。このような印刷装置において、主走査方向の印刷パターンの不均一性が要因で印刷画像の画質が低下する場合がある。このような場合の一例として、インクリボンのベースフィルムがサーマルヘッドの熱の影響によって伸び、インクリボンに皺が発生することによって画質が低下する場合がある。これに対し、特許文献1に記載の画像記録装置では、印刷媒体のうち画像形成がされない部位(白色部)において、インクリボンからインクが転写されない程度にサーマルヘッドが加熱される。これによって、画像記録装置は、画像形成がされる部位(発色部)と白色部とのそれぞれを印刷媒体に形成させる場合において、サーマルヘッドからインクリボンに与えられる熱の差異を抑制する。この場合、ベースフィルムの伸びによる皺の発生が軽減されるので、印刷画像の画質を維持できる。
特開2005−288920号公報
主走査方向の印刷パターンの不均一性が要因で印刷画像の画質が低下する場合の他の例が知られている。具体的には、印刷媒体に対するインクドットの形成後、インクリボンやサーマルヘッドから印刷媒体が剥がれるときに印刷媒体に作用する力(剥離力)の主走査方向のバランスに応じて、印刷媒体が副走査方向に移動するときに蛇行する場合がある。そして、印刷媒体が副走査方向に移動するときに蛇行することによって、画質が低下する場合がある。この場合、特許文献1に記載された方法を適用しても、印刷媒体の蛇行を抑制できないので、印刷画像の画質が低下する場合があるという問題点がある。
本発明の目的は、主走査方向の印刷パターンの不均一性が要因で印刷画像の画質が低下することを抑制できる印刷装置を提供することである。
本発明に係る印刷装置は、熱転写方式によって印刷媒体に1ドット分の印刷を行うことが可能な発熱素子を少なくとも1つ備え、主走査方向の複数の位置のそれぞれで、前記発熱素子を発熱するか否かを切り替えることによって、前記主走査方向に延びる主走査ライン毎に印刷を実行する印刷装置であって、前記印刷媒体にドットを形成させるために前記発熱素子を発熱させる第1発熱手段と、少なくとも1つの前記主走査ラインの前記主走査方向における中心位置を基準とした場合の、発熱する前記発熱素子の位置である発熱位置の分布の傾向を示す分布傾向を取得する取得手段と、前記発熱位置において、前記第1発熱手段による発熱に対して追加的に前記発熱素子を発熱させるときの発熱条件を、前記取得手段によって取得された前記分布傾向に応じて決定する決定手段と、前記第1発熱手段による前記発熱素子の発熱後、前記決定手段によって決定された前記発熱条件に基づいて前記発熱素子を発熱させる第2発熱手段とを備えている。
印刷装置は、発熱位置の分布傾向に基づいて、追加的に発熱素子を発熱させる場合の発熱条件を決定する。印刷装置は、印刷媒体にドットを形成させた後、決定された発熱条件に基づいて、発熱素子を追加的に発熱させる。印刷装置は、発熱位置の分布傾向に基づいて発熱条件を決定することによって、印刷媒体に作用する剥離力の主走査方向のバランスを維持できる。従って、印刷装置は、発熱位置が主走査方向で不均一となっている場合でも、印刷媒体が副走査方向に移動するときに蛇行することを抑制できる。これによって、印刷装置は、主走査方向に不均一な印刷パターンを有する印刷画像であっても、画質を維持できる。
本発明において、前記取得手段は、前記発熱位置を前記主走査方向の並び順で示したインデックスの加算値を、前記発熱位置の数で除算することによって算出される値を、前記分布傾向として取得し、前記決定手段は、前記取得手段によって取得された前記分布傾向と前記インデックスとに基づいて、前記インデックスに対応する前記発熱位置における前記発熱条件を決定してもよい。この場合、印刷装置は、中心位置に対する主走査方向の両側の剥離力のバランスを維持できる。従って、印刷装置は、主走査方向に不均一な印刷パターンであっても、印刷媒体の蛇行することを抑制できるので、印刷画像の画質を維持できる。
本発明において、前記決定手段は、前記発熱素子を発熱させる時間を、前記発熱条件として決定し、前記第2発熱手段は、前記決定手段によって決定された前記時間、前記発熱素子を発熱させてもよい。この場合、印刷装置は、発熱素子を発熱させる時間を調整することによって、熱エネルギーを制御できる。この場合、印刷装置は、印刷媒体に作用する剥離力を、熱エネルギーによって制御できる。従って、印刷装置は、中心位置に対する主走査方向の両側の剥離力のバランスをとることによって、印刷媒体の蛇行を抑制できる。
本発明において、前記取得手段は、複数の前記主走査ライン毎に前記発熱位置の分布の傾向が平均化された前記分布傾向を取得してもよい。この場合、印刷装置は、複数の主走査ライン毎に発熱条件をまとめて決定できるので、発熱条件を決定するときの処理負荷を軽減できる。
本発明において、前記決定手段は、前記主走査方向の位置に応じて区分された複数の前記発熱位置のグループ毎に、前記発熱条件を決定してもよい。この場合、印刷装置は、複数の発熱位置のグループ毎に発熱条件を決定できるので、発熱条件を決定するときの処理負荷を軽減できる。
本発明において、前記第2発熱手段は、前記中心位置からの長さが所定値よりも大きい前記発熱位置において前記発熱素子を発熱させ、前記中心位置からの長さが前記所定値以下の前記発熱位置において前記発熱素子を発熱させなくてもよい。この場合、印刷装置は、発熱させる発熱素子の数を削減できるので、発熱素子の発熱に要する消費電力を抑制できる。なお、中心位置からの長さが所定値以下の発熱位置では、中心位置に対する主走査方向の両側の剥離力のバランスが取れていない場合でも、印刷媒体が副走査方向に移動するときに蛇行し難い。このため、中心位置からの長さが所定値以下の発熱位置において発熱素子を追加的に発熱させない場合でも、印刷画像の画質は劣化し難い。
カバー6が閉じられた印刷装置1の斜視図である。 カバー6が開かれた印刷装置1及びテープカセット30の斜視図である。 テープカセット30の概要を示す図である。 印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。 カバーフィルム32Aに形成されるドットを示す図である。 カバーフィルム32Aに形成されるドットを示す図である。 データ作成処理のフローチャートである。 データ作成処理によるデータ処理の概念図である。 データ作成処理によるデータ処理の概念図である。 印刷処理のフローチャートである。 印刷処理のフローチャートであって、図10の続きである。
本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
<印刷装置1、テープカセット30の概略構成>
図1〜図3を参照して、印刷装置1、及び、テープカセット30の概略構成について説明する。以下の説明では、図1及び図2の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれ、印刷装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。図1に示すように、印刷装置1の上面には、キャラクタ(文字、記号、数字等)を入力するためのキーボード3が設けられている。キーボード3の後側(紙面右上側)には、電源スイッチ、用途キー、カーソルキー等の機能キー群4が設けられている。以下の説明では、キーボード3と機能キー群4とを総称する場合、操作部2という。機能キー群4の後側には、ディスプレイ5が設けられている。印刷装置1の上面の後部には、開閉可能なカバー6が設けられている。印刷装置1の左後角には、後述するカッター36(図3参照)によって切断された印刷済テープを受けるテープトレイ7が設けられている。
図2に示すように、ディスプレイ5の後側には、テープカセット30が着脱されるカセット装着部8が形成されている。印刷装置1では、カセット装着部8に装着されたテープカセット30を用いて、キーボード3を介して入力されたキャラクタの印刷が実行される。カセット装着部8には、リボン巻き取り軸9、テープ駆動軸11、サーマルヘッド10(図3参照)、プラテンローラ37(図3参照)、圧着ローラ38(図3参照)等が設けられている。サーマルヘッド10の左側に、カッター36(図3参照)が設けられる。
図3に示すように、サーマルヘッド10は、インクリボン33A(後述)を加熱することによって、インクリボン33Aに塗布されたインクのドットをカバーフィルム32A(後述)に転写する。サーマルヘッド10は板形状である。サーマルヘッド10は、カバーフィルム32Aの搬送方向に直交する主走査方向に一列に並ぶ384個の発熱素子10Aを備える。各発熱素子10Aの発熱に応じ、カバーフィルム32Aにインクが1ドット分転写される。以下、発熱素子10Aが配列された主走査方向に直交する方向を、副走査方向という。
テープカセット30は、第1ロール31、第2ロール32、リボン供給側ロール33、リボン巻き取りローラ34、及び、テープ送りローラ35を有する。第1ロール31には基材テープ31Aが巻回される。第2ロール32にはカバーフィルム32Aが巻回される。リボン供給側ロール33にはインクリボン33Aが巻回される。リボン巻き取りローラ34には、使用済みのインクリボン33Aが巻回される。テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、リボン巻き取りローラ34の内面に設けられたギア34Aと、リボン巻き取り軸9(図2参照)の外面に設けられたギアとが嵌る。テープ送りローラ35の内面に設けられたギア35Aと、テープ駆動軸11(図2参照)の外面に設けられたギアとが嵌る。カバーフィルム32A及びインクリボン33Aは、サーマルヘッド10とプラテンローラ37との間に狭持される。又、基材テープ31A及びカバーフィルム32Aは、テープ送りローラ35と圧着ローラ38との間に狭持される。
<印刷装置1の電気的構成>
図4を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1は、制御基板上に形成される制御回路部400を備えている。制御回路部400は、CPU401、ROM402、CGROM403、RAM404、フラッシュメモリ410を備え、これらがデータバスを介して接続されている。
ROM402には、CPU401が各種プログラムを実行するときに必要な各種パラメータが記憶されている。CGROM403には、キャラクタを印刷するための印刷用ドットパターンデータが記憶されている。RAM404には、テキストメモリ、印刷バッファ等、複数の記憶領域が設けられている。又、RAM404には、384ビットのラッチレジスタが含まれる。384ビットのラッチレジスタは、384個の発熱素子10Aのそれぞれを発熱させるか否かを制御するために使用される。ラッチレジスタのビットは、それぞれ、各発熱素子10Aに対応付けられる。ラッチレジスタのビットが「1」に設定された場合、対応する発熱素子10Aは、ラッチのタイミングで発熱する。ラッチレジスタのビットが「0」に設定された場合、対応する発熱素子10Aは、ラッチのタイミングで発熱しない。
フラッシュメモリ410には、CPU401が印刷装置1を制御するために実行する各種プログラムが記憶されている。なお、フラッシュメモリ410に記憶される各種プログラムは、図示外のインターフェース素子を介して外部機器から取得可能としてもよい。CPU401は、外部機器からプログラムを取得した場合、フラッシュメモリ410に記憶されたプログラムを、取得されたプログラムによって置き換えてもよい。又、フラッシュメモリ410には、後述する印刷データが記憶される。
更に、印刷装置1では、操作部2、液晶駆動回路(LCDC)405、駆動回路406、407、408がCPU401に接続されている。LCDC405は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示外)を有する。駆動回路406は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。CPU401は、駆動回路406に制御信号を出力することによって駆動回路406を制御し、サーマルヘッド10の各発熱素子10Aに対する通電/非通電を切り替える。テープ送りモータ24は、リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11を回転させるステッピングモータである。テープ送りモータ24は、入力されるパルス信号に同期して回転する。テープ送りモータ24は、リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11に回転駆動力を伝達する。駆動回路407は、テープ送りモータ24を駆動するためのドライバ回路である。CPU401は、駆動回路407を介してテープ送りモータ24にパルス信号を出力することで、パルス信号に応じた回転速度でテープ送りモータ24を回転させる。駆動回路408は、カッター36を駆動するための電子回路である。CPU401は、駆動回路408に制御信号を出力することによって、カッター36にテープを切断させる。
<印刷時の動作概要>
CPU401が駆動回路407を介してテープ送りモータ24を駆動することに応じ、リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11は連動して回転する。図3に示すように、リボン巻き取り軸9(図1参照)は、リボン巻き取りローラ34を矢印3Aの方向に回転させる。テープ駆動軸11(図1参照)は、テープ送りローラ35を矢印3Bの方向に回転させる。これらに応じ、第1ロール31から基材テープ31Aが繰り出される。第2ロール104からカバーフィルム32Aが繰り出される。リボン供給側ロール33からインクリボン33Aが繰り出される。以下、基材テープ31A及びカバーフィルム32Aを総称して、「テープ」ともいう。
プラテンローラ37は、テープ送りローラ35によるテープ搬送により回転する。プラテンローラ37は、繰り出されたカバーフィルム32Aをサーマルヘッド10側に押し付ける。カバーフィルム32Aとサーマルヘッド10との間にインクリボン33Aが挟まれる。CPU401は、サーマルヘッド10の各発熱素子10Aに対して選択的に通電する。図5に示すように、サーマルヘッド10の各発熱素子10Aが通電に応じて発熱することによって、主走査方向に沿って1列に並ぶ複数のドットが、カバーフィルム32Aに転写される。
テープ送りローラ35によってカバーフィルム32Aが副走査方向の下流側(以下、「搬送方向)ともいう。」に搬送されながら、主走査方向に1列に並んだ複数のドットのラインがカバーフィルム32Aに繰り返し転写される。これによって、特定のドットパターンがカバーフィルム32Aに形成される。カバーフィルム32Aに形成されたドットパターンは、キーボード3を介して入力されたキャラクタに対応する。
図3に示すように、圧着ローラ38は、テープ送りローラ35によるテープ搬送により回転する。テープ送りローラ35及び圧着ローラ38は、基材テープ31A、及び、印刷が終了したカバーフィルム32Aを押圧する。これによって、カバーフィルム32Aのうち複数のドットが形成された面に基材テープ31Aが対向した状態で、基材テープ31A及びカバーフィルム32Aは接着され一体化される。CPU401は、駆動回路408を介してカッターモータ25を駆動する。これに応じ、テープ送りローラ35及び圧着ローラ38の下流側に設けられたカッター36は、基材テープ31A及びカバーフィルム32Aが一体化された部分を切断する。以下、カッター36によって切断されたテープを、「印刷済みテープ」という。テープトレイ7は、印刷済みテープを受ける。使用済みのインクリボン33Aは、リボン巻き取りローラ34に巻き取られる。
以下、図5に示すように、サーマルヘッド10の384個の発熱素子10Aの少なくとも一部によって一度に転写可能な複数のドットの位置を結んだ1列分のラインを、「主走査ライン71」という。主走査ライン71において、ドットを形成させるために発熱する発熱素子10Aの位置を、「発熱位置」という。発熱位置の基準の位置は、主走査ラインの主走査方向の中心にある発熱素子10Aの位置である。なお、本実施形態の場合、発熱素子10Aの数は384個(偶数)である。このため、主走査ラインの中心は、384個の発熱素子10Aのうち、一方側(図5の左側)の端から192番目の発熱素子10Aの位置と、他方側(図5の右側)の端から192番目の発熱素子10Aの位置の間の位置に対応する。主走査ラインの中心と、発熱素子10Aの位置とは一致しない。このため、本実施形態では、一方側の端から193番目(他方側の端から192番目)の発熱素子10Aの位置を、発熱位置の基準とする。以下、一方側の端から193番目の発熱素子10Aの位置を、「中心位置」という。
主走査ライン71のうち各発熱素子10Aに対応する位置は、主走査ラインにおける384個の発熱素子10Aの一方側の端からの並び順で示したインデックスに基づいて表される。本実施形態において、主走査ラインの一方側の端の発熱素子10Aに対応する位置のインデックスを、「−192」とする。中心位置のインデックスを、「0」とする。主走査ラインの他方側の端の発熱素子10Aに対応するインデックスを、「+191」とする。インデックスは、一方側の端から他方側の端に向けて、1ずつ増加する。以下、発熱素子10Aの位置を示すインデックスを「k」と表記する場合がある。
インクリボン33Aのインクがサーマルヘッド10によってカバーフィルム32Aに転写される場合において、カバーフィルム32Aに付着したインクのドットがインクリボン33Aから剥がれるとき、カバーフィルム32Aに力が作用する。この力は、カバーフィルム32Aの搬送を妨げる。つまり、主走査ラインの発熱位置においてカバーフィルム32Aは搬送され難くなる。このため、発熱位置の主走査方向におけるバランスによっては、カバーフィルム32Aの搬送方向への移動時において、カバーフィルム32Aが主走査方向に均等に移動しない場合が発生し得る。
具体的には次の通りである。図6に示すように、主走査ライン71Aにおける8つの位置(k=−192、−190、−186、−180、−178、0、+22、+136」)において発熱素子10Aが発熱し、それぞれの発熱位置においてインクのドットが形成される場合を例示する。この場合、中心位置(k=0)に対して一方側の発熱位置(k<0)の数が、他方側の発熱位置(k>0)の数に比べて多い。又、一方側の発熱位置(k<0)は、一方側の端の近傍に集中して配置されている。このため、発熱位置においてカバーフィルム32Aは搬送方向に移動し難くなることによって、カバーフィルム32Aのうち中心位置(k=0)に対して一方側(図5の左側)の方が、中心位置(k=0)に対して他方側(図5の右側)よりも搬送方向に移動し難くなる。この場合、カバーフィルム32Aは主走査方向に均等に移動せず、一方側に蛇行する場合がある。
上記に対し、印刷装置1では、発熱位置における発熱時間を調整することによって、カバーフィルム32Aの蛇行を抑制する。概要は次の通りである。発熱位置においてカバーフィルム32Aに作用する、搬送方向の移動を妨げようとする力は、インクリボン33Aからカバーフィルム32Aにインクが転写するときのインクの粘度が低い程、小さくなる。なお、インクリボン33Aのインクの加熱溶融時における粘度は、サーマルヘッド10の各発熱素子10Aからインクリボン33Aに加えられる熱エネルギーが大きくなる程、小さなくなる。
このため、印刷装置1では、発熱位置におけるインクの粘度を小さくするために、発熱素子10Aの発熱時間が相対的に長く設定される。この場合、カバーフィルム32Aに付着したインクのドットがインクリボン33Aから剥がれるときにカバーフィルム32Aに作用する力は小さくなるので、カバーフィルム32Aの搬送方向の移動を妨げる力も小さくなる。このため、カバーフィルム32Aは主走査方向に均等に搬送され、蛇行が抑制される。なお、各発熱素子10Aの発熱時間は、通常の発熱素子10Aの発熱制御によってカバーフィルム32Aにインクのドットが転写される場合と同じ条件でインクのドットが転写されるように調整される。このため、発熱素子10Aの発熱時間を相対的に長くした場合でも、カバーフィルム32Aに形成されるインクのドットの画質(濃度、大きさ等)は変化しない。
更に、印刷装置1では、カバーフィルム32Aの蛇行の発生を抑制可能な範囲で、各発熱素子10Aの発熱時間が調整される。なお、各発熱素子10Aの発熱時間は、発熱位置の主走査方向の分布傾向に応じて決定される。これによって印刷装置1は、蛇行の発生を抑制可能な範囲で各発熱素子10Aを効率的に発熱させることによって、各発熱素子10Aの不要な発熱によって電力が消費されることを抑制する。
<ドットデータd(n)(i)>
フラッシュメモリ410に記憶される印刷データについて説明する。印刷データには、サーマルヘッド10の384個の発熱素子10Aのそれぞれを発熱させるか否かを示すドットデータdot(n)(i)が含まれる。「n」は、印刷データに含まれる主走査ラインの本数(n=1,2,・・・N)を示す。「i」は、n番目の主走査ラインにおけるサーマルヘッド10の一方側の端部の発熱素子10Aを基準(i=1)とした場合における、各発熱素子10Aの位置を示す。n番目の主走査ラインにおいて、基準からi番目の発熱素子10Aを発熱させる場合、dot(n)(i)に「1」が格納される。基準からi番目の発熱素子10Aを発熱させない場合、dot(n)(i)に「0」が格納される。
<データ作成処理>
印刷装置1のCPU401によって実行されるデータ作成処理について説明する。データ作成処理は、操作部2(図1参照)を介して印刷の実行指示が入力された場合に、フラッシュメモリ410に記憶されたプログラムをCPU401が読み出して実行することによって開始される。CPU401は、フラッシュメモリ410に記憶された印刷データに含まれるドットデータdot(n)(i)を対象としてデータ作成処理を実行する。生成されたデータは、後述する印刷処理(図10参照)においてカバーフィルム32Aに対する印刷が実行される場合に使用される。
CPU401は、データ作成処理を実行する場合、RAM404に記憶された変数n,i,k,data_on,data,sum_data,C,X,Y(n)(X)を適宜参照する。n、iは、ドットデータdot(n)(i)のインデックスを示す。kは、発熱素子10Aの位置のインデックスを示す。data_on,data,sum_data,C,X,Y(n)(X)については後述する。
図7に示すように、CPU401は、nに「1」を設定し、nを初期化する(S1)。CPU401は、iに「1」を設定し、kに「−192」を設定する。これによって、CPU401はi,kを初期化する(S11)。CPU401は、RAM404に記憶されたsum_dataに「0」を設定し、data_onに「0」を設定する。これによって、CPU401はsum_data、data_onを初期化する(S13)。
CPU401は、インデックスがn,iのドットデータdot(n)(i)をdata_onに加算し、data_onを更新する(S15)。なお、dot(n)(i)には、対応する発熱素子10Aを発熱させる場合、「1」が格納され、対応する発熱素子10Aを発熱させない場合、「0」が格納される。このため、iを「1」から「384」まで変化させながらS15の処理が実行されることによって、data_onには、選択されたn番目の主走査ラインにおける発熱位置の総数が格納される。
CPU401は、dot(n)(i)とkを乗算した算出結果を、dataに設定する(S17)。CPU401は、sum_dataにdataを加算することによって、sum_dataを更新する(S19)。なお、kは、発熱素子10Aの位置を主走査方向の並び順で示したインデックスを示す。又、dot(n)(i)とkを乗算した算出結果は、dot(n)(i)に対応する発熱素子10Aが発熱しない場合、「0」となる。このため、kを「−192」から「+191」まで変化させながらS19の処理が実行されることによって、sum_dataには、発熱位置を主走査方向の並び順で示したインデックス「−192≦k≦+191」の加算値が格納される。
CPU401は、iに「1」加算し、kに「1」加算する(S21)。CPU401は、処理をS23に進める。CPU401は、kが「191」よりも大きいか判定する(S23)。CPU401は、kが「191」以下と判定された場合(S23:NO)、処理をS15に戻す。これによって、iが「1」から「384」の範囲、及び、kが「−192」から「+191」の範囲で、S15、S17,S19,S21の処理が繰り返される。
CPU401は、kが「+191」よりも大きいと判定された場合(S23:YES)、処理をS25に進める。CPU401は、sum_dataをdata_onで除算し、算出結果をCに格納する(S25)。CPU401は、処理をS27に進める。
S15〜S19の処理を、具体例を挙げて説明する。主走査ライン71A(図6参照)で示されるように、8つの位置(k=−192,−190,−186,−180,−178,0,+22,+136」)をそれぞれ発熱位置に設定するためのドットデータd(n)(i)が選択された場合を例示する。この場合、d(n)(i)において、i=1,3,7,13,15,193,215,329のそれぞれの場合に「1」が格納され、上記以外のiの場合に「0」が格納される。
S21の処理が繰り返されることによって、sum_dataは以下のように算出される。
sum_data=−192−190−186−180−178+0+22+136
=−768
又、S25の処理によって、Cが以下のように算出される。
C=−768/8=−96
図8は、中心位置(k=0)を基準とした各発熱素子10Aの位置を示すインデックスk(−192≦k≦+191)を横軸とし、算出されたCを縦軸としたグラフを示す。算出されるCは、中心位置に対する発熱位置の分布の偏りの傾向(以下、「分布傾向」という。)を示す。つまり、Cが「−96」であるということは、発熱位置の分布傾向が、中心位置(k=0)に対してマイナス側(図8における一方側)に偏っていることを示している。なお、発熱位置の分布傾向が、中心位置(k=0)に対して偏っていない場合、算出されるCは「0」になる。又、発熱位置の分布傾向が、中心位置(k=0)に対して他方側に偏っている場合、算出されるCはプラスの値となる。又、分布傾向の偏りが大きい程、Cの絶対値は大きくなる。
図7に示すように、CPU401は、S25の処理によってCが算出された後、発熱位置における発熱素子10Aの発熱条件を示すパラメータを、次のようにして算出する。CPU401は、Xに「−192」を設定し、Xを初期化する(S27)。CPU401は、次の(1)式にXを代入することによって、Y(n)(X)を算出する(S29)。
Y(n)(X)=(C/192)×X+192・・・(1)
CPU401は、Xに「1」加算して更新する(S31)。CPU401は、処理をS33に進める。CPU401は、Xが「+191」よりも大きいか判定する(S33)。CPU401は、Xが「+191」以下と判定された場合(S33:NO)、処理をS29に戻す。これによって、Xが「−192」から「+191」の範囲で、S29、S31の処理が繰り返される。CPU401は、Xが「+191」よりも大きいと判定された場合(S33:YES)、処理をS35に進める。
S31の処理を、具体例を挙げて説明する。図9は、Xを横軸とし、Y(n)(X)を縦軸とした場合における、(1)式の関係を示すグラフを示している。なお、発熱位置を示すインデックス(k=−192,−190,−186,−180,−178,0,+22,+136)と同じ値を、Xの値として(1)式に代入した場合、Y(n)(X)の値はそれぞれ、288(X=−192),288(X=−190),285(X=−186),282(X=−180),281(X=−178),192(X=0),181(X=+22),124(X=+136)となる。つまり、分布傾向が偏っている側(マイナス側(図8における一方側))に向けてXが変化する程、対応するY(n)(X)の値は大きくなる。なお、Y(n)(X)の傾きは「C/192」で表されるので、Xが変化したときのY(n)(X)の変化率は、Cの値の絶対値が大きくなる程、大きくなる。
Y(n)(X)の取り得る最大値は、C=−192、X=−192の条件で「384」となる。Y(n)(X)の取り得る最小値は、C=−192、X=191の条件で「1」となる。このため、Y(n)(n)の値は、C,Xに応じて、1〜384の間の任意の値となる。なお、Y(n)(X)は、C,Xに基づいて特定されるn番目の主走査ラインについてのパラメータであって、インデックスkがXである位置の発熱素子10Aの発熱条件に対応する。
図7に示すように、CPU401は、nがN以上となったか判定する(S35)。CPU401は、nがN未満と判定された場合(S35:NO)、処理をS37に進める。CPU401は、nに「1」加算して更新する(S37)。CPU401は、処理をS11に戻す。これによって、nが「1」から「N」の範囲で、S11〜S33の処理が繰り返される。一方、CPU401は、nがN以上と判定された場合(S35:YES)、データ作成処理を終了させる。
以上のデータ作成処理が実行されることによって、N本の主走査ラインのそれぞれについての384個の発熱素子10Aのそれぞれの発熱条件Y(n)(X)(1≦n≦N、1≦X≦384)が算出される。
<印刷処理>
印刷装置1のCPU401によって実行される印刷処理について説明する。印刷処理は、データ作成処理(図7参照)によって、印刷データに含まれるドットデータdot(n)(i)に基づいてY(n)X)が算出された場合に、フラッシュメモリ410に記憶されたプログラムをCPU401が読み出して実行することによって開始される。CPU401は、データ作成処理を実行する場合、RAM404に記憶された変数n,m,temp(1)〜temp(384)を適宜参照する。mは、発熱位置で発熱素子10Aを追加的に発熱させるときの発熱周期を示す。temp(1)〜temp(384)は、384ビットのラッチレジスタのそれぞれのビットに対応する。
図10に示すように、CPU401は、nに「1」を設定し、nを初期化する(S41)。CPU401は、dot(n)(1)〜dot(n)(384)を取得する(S43)。CPU401は、取得されたdot(n)(1)〜dot(n)(384)を、temp(1)〜temp(384)に格納する(S45)。なお、temp(1)〜temp(384)には、発熱位置に対応する場合に「1」が格納され、発熱位置に対応しない場合に「0」が格納される。
CPU401は、ラッチレジスタの384ビットのそれぞれに、temp(1)〜temp(384)をセットする(S47)。CPU401は、ラッチレジスタをラッチする(S49)。これによって、「1」が設定されたラッチレジスタのビットに対応する発熱素子10A、即ち、発熱位置の発熱素子10Aは発熱する。一方、「0」が設定されたラッチレジスタのビットに対応する発熱素子10A、即ち、発熱位置と異なる位置の発熱素子10Aは発熱しない。
CPU401は、所定の第1時間が経過したか判定する(S51)。CPU401は、第1時間が経過していないと判定された場合(S51:NO)、処理をS51に戻す。これによって、発熱位置の発熱素子10Aが発熱した状態で、第1時間の経過が継続して監視される。CPU401は、第1時間が経過したと判定された場合(S51:YES)、処理をS61(図11参照)に進める。
以上のように、発熱位置において発熱素子10Aの発熱が第1時間継続されることによって、カバーフィルム32Aにインクのドットが形成される。これによって、印刷データに含まれるドットデータdot(n)(i)に基づいてn番目の主走査ラインの印刷が実行される。
図11に示すように、CPU401は、mに「1」を設定し、Xに「−192」を設定する。これによって、CPU401は、m、Xを初期化する(S61)。CPU401は、Y(n)(X)が「0」よりも大きいか判定する(S63)。CPU401は、Y(n)(X)が「0」よりも大きいと判定された場合(S63:YES)、処理をS65に進める。CPU401は、temp(X)に「1」を設定する(S65)。CPU401は、Y(n)(X)から「1」減算し、Y(n)(X)を更新する(S67)。CPU401は処理をS71に進める。一方、CPU401は、Y(n)(X)が「0」であると判定された場合(S63:NO)、処理をS69に進める。CPU401は、temp(X)に「0」を設定し、temp(X)を更新する(S69)。CPU401は処理をS71に進める。
CPU401は、Xに「1」加算し、Xを更新する(S71)。CPU401はXが「+191」よりも大きいか判定する(S73)。CPU401は、Xが「+191」以下と判定された場合(S73:NO)、処理をS63に戻す。Xが「−192」から「+191」の範囲で、S65、S67、S69、S71の処理が繰り返される。これによって、データ作成処理(図7参照)によって算出されたY(n)(−192)〜Y(n)(+191)の各値が、temp(1)〜temp(384)に1ずつ設定される。CPU401は、Xが「+191」よりも大きいと判定された場合(S73:YES)、処理をS75に進める。
CPU401は、ラッチレジスタの384ビットのそれぞれに、temp(1)〜temp(384)をセットする(S75)。CPU401は、ラッチレジスタをラッチする(S77)。これによって、「1」が設定されたラッチレジスタのビットに対応する発熱素子10A、即ち、発熱位置の発熱素子10Aは発熱する。一方、「0」が設定されたラッチレジスタのビットに対応する発熱素子10A、即ち、発熱位置と異なる位置の発熱素子10Aは発熱しない。このため、temp()に設定された値が「1」から「0」に変化したラッチレジスタのビットに対応する発熱素子10Aでは、発熱が停止される。
CPU401は、所定の第2時間が経過したか判定する(S79)。なお、第2時間は、第1時間よりも短い。CPU401は、第2時間が経過していないと判定された場合(S79:NO)、処理をS79に戻す。これによって、発熱位置の発熱素子10Aが発熱した状態で、第2時間の経過が継続して監視される。CPU401は、第2時間が経過したと判定された場合(S79:YES)、処理をS81に進める。
なお、S49、S51(図10参照)の処理が実行されることによって、印刷データに含まれるドットデータdot(n)(i)に基づいて発熱素子10Aが発熱され、カバーフィルム32Aにインクのドットが既に形成されている。このため、S77、S79の処理では、カバーフィルム32Aのうちドットが形成された位置で、発熱素子10Aが追加的に発熱されることになる。
CPU401は、mが「384」以上か判定する(S81)。CPU401は、mが「384」未満と判定された場合(S81:NO)、処理をS83に進める。CPU401は、mに「1」加算し、mを更新する(S83)CPU401は、処理をS63に戻す。これによって、mが「1」から「384」の範囲で、S63〜S79の処理が繰り返される。
上記の過程において、Y(n)(X)の値が「0」よりも大きい場合(S63:YES)、temp(X)に「1」が設定され(S65)、対応する発熱素子10Aが発熱される(S77)。Y(n)(X)の値は「1」ずつ減算される(S67)。この処理は、mが「1」から「384」の範囲で384回繰り返される。又、データ作成処理(図7参照)によって作成されるY(n)(X)の取り得る範囲は、「1」〜「384」である。このため、S63〜S83の処理が繰り返されることによって、Y(n)(X)に設定された値に応じた長さの時間分、発熱位置の発熱素子10Aが発熱されることになる。そして、上記の処理が384回繰り返された場合、mが「384」以上と判定される(S81:YES)。この場合、Y(n)(n)の値はすべて「0」になる。CPU401は、処理をS85に進める。
なお、S79の処理における判断の閾値である第2時間は、次のように調整される。即ち、Y(n)(X)が最大値「384」である場合、対応する発熱位置の発熱素子10Aは、S77の処理によって「384×第2時間」分継続して発熱することになる。また、S77の処理は、49、S51(図10参照)の処理によってドットが形成された位置で発熱素子10Aが追加的に発熱されることになる。第2時間は、「384×第2時間」分継続して発熱素子10Aが追加的に発熱しても、既に形成されているドットの画質を変化させないように調整される。
CPU401は、nがNよりも大きいか判定する(S85)。nがNよりも大きい場合、N本の主走査ラインのすべてについて処理が終了したことになる。CPU401は、nがN以下と判定された場合(S85:NO)、nに「1」加算し、nを更新する(S87)。CPU401は、処理をS43(図10参照)に戻す。CPU401は、nがNよりも大きいと判定された場合(S85:YES)、印刷処理を終了させる。
<本実施形態の主たる作用、効果>
以上説明したように、印刷装置1のCPU401は、発熱素子10Aの発熱位置の分布傾向Cを算出し(S25)、算出された分布傾向Cに基づいて、追加的に発熱素子10Aを発熱させる場合の発熱条件Y(n)(X)を決定する(S29)。CPU401は、ドットデータdot(n)(i)に基づいてカバーフィルム32Aにドットを形成させた(S47,S49)後、発熱条件Y(n)(X)に基づいて発熱素子10Aを追加的に発熱させる(S75,S77)。発熱素子10Aが追加的に発熱されることによって、インクリボン33Aからカバーフィルム32Aに転写されるインクの粘度は小さくなる。インクの粘度が小さくなることに応じて、インクリボン33Aからインクが剥がれることに応じた剥離力は減少する。この場合、カバーフィルム32Aが搬送方向に搬送されるときにカバーフィルム32Aに作用する剥離力が小さくなるので、カバーフィルム32Aの搬送を妨げようとする力が減少する。このため、CPU401は、発熱位置が主走査方向で不均一となっている場合でも、カバーフィルム32Aが副走査方向に移動するときに蛇行することを抑制できる。従って、CPU401は、主走査方向に不均一な印刷パターンを有する印刷画像が印刷される場合でも、印刷画像の画質を維持できる。
上記において、CPU401は、発熱位置の分布傾向Cに基づいて発熱条件Y(n)(X)を決定する。これによって、カバーフィルム32Aが搬送方向に搬送されるときにカバーフィルム32Aに作用する剥離力の主走査方向のバランスを維持できる。従って、CPU401は、カバーフィルム32Aが副走査方向に移動するときに蛇行することを抑制しつつ、発熱素子10Aを発熱させるために要する電力の消費を抑制できる。つまり、CPU401は、カバーフィルム32Aの蛇行を抑制して印刷画像の画質を維持する機能を、効率的な電力消費によって実現できる。
CPU401は、発熱位置を主走査方向の並び順で示したインデックスkの加算値(sum_data)を、発熱位置の総数(data_on)で除算し(S25)、分布傾向Cを算出する。CPU401は、分布傾向CとインデックスX(=k)とに基づいて、インデックスXに対応する発熱位置における発熱条件Y(n)(X)を決定する(S29)。この場合、分布傾向Cが偏っている側(マイナス側(一方側)又はプラス側(他方側))に向けてXが変化する程、対応するY(n)(X)の値は大きくなる。又、Xが変化したときのY(n)(X)の変化率は、Cの値の絶対値が大きくなる程大きくなる。このため、CPU401は、Y(n)(X)を発熱条件として各発熱素子10Aを発熱させることによって、中心位置(k=0)に対する主走査方向の両側の剥離力のバランスを維持できる。従って、CPU401は、主走査方向に不均一な印刷パターンであっても、カバーフィルム32Aの蛇行することを抑制できるので、印刷画像の画質を維持できる。
CPU401は、Y(n)(X)に設定された値に応じた長さの時間分、発熱位置の発熱素子10Aを追加的に発熱させる(S75,S77)。つまり、CPU401は、発熱素子10Aを発熱させる時間を調整することによって、インクリボン33Aに与える熱エネルギーを制御することになる。この場合、CPU401は、カバーフィルム32Aに作用する剥離力を、熱エネルギーによって制御できる。従って、CPU401は、インクリボン33Aに与える熱エネルギーを調整することによって、中心位置に対する主走査方向の両側の剥離力のバランスをとり、印刷媒体の蛇行を抑制できる。
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。印刷装置1は、サーマルヘッド10の各発熱素子10Aを加熱し、インクリボン33Aのインクをカバーフィルム32Aに転写することによって、カバーフィルム32Aにインクのドットを形成させた。これに対し、印刷装置1は、サーマルヘッド10によって感熱紙を加熱することによって、印刷画像を形成させてもよい。このような印刷方式において、サーマルヘッド10の発熱位置で発熱した発熱素子10Aが感熱紙に吸着し、感熱紙の搬送を妨げる場合がある。このような場合でも、CPU401は、上記と同様の処理を実行することによって、感熱紙が搬送方向に搬送されるときに蛇行することを抑制できる。
上記において、サーマルヘッド10は384個の発熱素子10Aを有する、所謂ラインヘッドであった。これに対し、印刷装置1は、サーマルヘッド10を主走査方向に移動させる機構を有していてもよい。つまり、印刷装置1は、サーマルヘッド10が主走査方向に移動し、且つ、主走査ラインの複数の位置で発熱素子10Aを発熱させることによって、主走査ラインに沿って並んだ複数のドットをカバーフィルム32Aに形成させてもよい。なお、この場合、サーマルヘッド10の発熱素子10Aの数は、384個よりも小さくてもよい。
発熱位置の分布傾向Cは、他の方法によって算出されてもよい。例えば、CPU401は、発熱位置の分布傾向Cを、周知の統計的手法によって算出してもよい。算出される分布傾向の一例として、平均、中央値、分散、標準偏差等が挙げられる。CPU401は、算出される分布傾向に基づいて、発熱素子10Aを追加的に発熱させるときの発熱条件を決定してもよい。
CPU401は、発熱条件Y(n)(n)の値の大きさに応じて、発熱素子10Aを発熱させるときの時間を変化させた(S63〜S79)。これに対し、CPU401は、Y(n)(X)の値の大きさに応じて、発熱素子10Aの発熱温度を制御してもよい。具体的には、CPU401は、Y(n)(X)の値が大きい程、対応する発熱素子10Aの発熱温度を大きくしてもよい。
CPU401は、複数の主走査ラインを含むグループ(以下、「ライングループ」という。)毎に、発熱位置の分布傾向Cを算出してもよい。この場合、各主走査ラインの分布傾向Cを平均した値を、ライングループの分布傾向として算出してもよい。つまり、CPU401は、S25の処理によって算出される複数のCの平均を算出し、算出されたCの平均に基づいて、発熱条件Y(n)(X)を算出してもよい(S29)。CPU401は、印刷処理を実行する場合において、各ライングループに属する主走査ラインに対応する印刷を実行する場合、算出されたライングループ毎の発熱条件Y(n)(X)に基づいて、発熱素子10Aを追加的に発熱させてもよい。この場合、CPU401は、複数の主走査ライン毎に発熱条件Y(n)(X)をまとめて算出できるので、発熱条件Y(n)(X)を算出するときの処理負荷を軽減できる。
CPU401は、主走査方向の位置に応じて区分された複数の発熱位置のグループ(以下、「分割グループ」という。)毎に、発熱条件Y(n)(X)を決定してもよい。具体的には次の通りである。CPU401は、dot(n)(i)を主走査方向にD個に分割し、D個の分割グループを定義する。CPU401は、分割グループのそれぞれにおいて、「0」及び「1」のそれぞれの総数を比較し、多い方の値(「0」「1」の何れか)を、対応する分割グループの値として決定する。CPU401は、決定された値に基づき、データ作成処理を実行することによって、分布傾向C、及び、発熱条件Y(n)(D)を算出する。CPU401は、算出された発熱条件Y(n)(D)に基づいて、各分割グループに含まれる発熱位置で、発熱素子10Aを発熱させる。この場合、CPU401は、複数の分割グループ毎に発熱条件を決定できるので、発熱条件を決定するときの処理負荷を軽減できる。
CPU401は、S63〜S79の処理によって発熱素子10Aを追加的に発熱させる場合において、中心位置からの距離が所定距離より大きい範囲(例えば、「k<−20,20<k」を満たすkによって示される範囲)の発熱位置において発熱素子10Aを発熱させてもよい。一方、CPU401は、所定値以下の範囲(例えば、「−20≦k≦20」を満たすkによって示される位置)の発熱位置において発熱素子10Aを発熱させなくてもよい。この処理は、印刷処理において、temp(173)〜temp(213)に対して常に「0」が設定されることによって実行可能である。この場合、CPU401は、発熱させる発熱素子10Aの数を削減できるので、発熱素子10Aの発熱に要する消費電力を抑制できる。なお、中心位置からの長さが所定値以下の発熱位置では、中心位置に対する主走査方向の両側の剥離力のバランスが取れていない場合でも、カバーフィルム32Aが副走査方向に移動するときに蛇行し難い。このため、中心位置からの長さが所定値以下の発熱位置において発熱素子10Aを追加的に発熱させない場合でも、印刷画像の画質は劣化し難い。
<その他>
S41〜S49の処理を行うCPU401は、本発明の「第1発熱手段」の一例である。S15〜S25の処理を行うCPU401は、本発明の「取得手段」の一例である。S27〜S33の処理を行うCPU401は、本発明の「決定手段」の一例である。S63〜S81の処理を行うCPU401は、本発明の「第2発熱手段」の一例である。
1 :印刷装置
10 :サーマルヘッド
10A :発熱素子
32A :カバーフィルム
33A :インクリボン
71、71A :主走査ライン
401 :CPU

Claims (6)

  1. 熱転写方式によって印刷媒体に1ドット分の印刷を行うことが可能な発熱素子を少なくとも1つ備え、主走査方向の複数の位置のそれぞれで、前記発熱素子を発熱するか否かを切り替えることによって、前記主走査方向に延びる主走査ライン毎に印刷を実行する印刷装置であって、
    前記印刷媒体にドットを形成させるために前記発熱素子を発熱させる第1発熱手段と、
    少なくとも1つの前記主走査ラインの前記主走査方向における中心位置を基準とした場合の、発熱する前記発熱素子の位置である発熱位置の分布の傾向を示す分布傾向を取得する取得手段と、
    前記発熱位置において、前記第1発熱手段による発熱に対して追加的に前記発熱素子を発熱させるときの発熱条件を、前記取得手段によって取得された前記分布傾向に応じて決定する決定手段と、
    前記第1発熱手段による前記発熱素子の発熱後、前記決定手段によって決定された前記発熱条件に基づいて前記発熱素子を発熱させる第2発熱手段と
    を備えたことを特徴とする印刷装置。
  2. 前記取得手段は、
    前記発熱位置を前記主走査方向の並び順で示したインデックスの加算値を、前記発熱位置の数で除算することによって算出される値を、前記分布傾向として取得し、
    前記決定手段は、
    前記取得手段によって取得された前記分布傾向と前記インデックスとに基づいて、前記インデックスに対応する前記発熱位置における前記発熱条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記決定手段は、前記発熱素子を発熱させる時間を、前記発熱条件として決定し、
    前記第2発熱手段は、
    前記決定手段によって決定された前記時間、前記発熱素子を発熱させることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 前記取得手段は、
    複数の前記主走査ライン毎に前記発熱位置の分布の傾向が平均化された前記分布傾向を取得することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の印刷装置。
  5. 前記決定手段は、
    前記主走査方向の位置に応じて区分された複数の前記発熱位置のグループ毎に、前記発熱条件を決定することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の印刷装置。
  6. 前記第2発熱手段は、
    前記中心位置からの長さが所定値よりも大きい前記発熱位置において前記発熱素子を発熱させ、前記中心位置からの長さが前記所定値以下の前記発熱位置において前記発熱素子を発熱させないことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の印刷装置。
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