JP2017149696A - ラクトフェリンを含有する筋肉の損傷治癒促進組成物と適用方法 - Google Patents

ラクトフェリンを含有する筋肉の損傷治癒促進組成物と適用方法 Download PDF

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Muneki Tatsumi
宗樹 龍見
靖志 鈴木
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靖志 鈴木
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Ryoichi Yamaji
亮一 山地
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Naoki Harada
直樹 原田
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Abstract

【課題】筋肉損傷・萎縮における治癒に関わる、筋芽細胞の増殖および分化作用を積極的に促進し、さらに筋管細胞への肥大を促進し、筋線維を形成する3つの筋肉再生過程を全て促進することで、筋肉の回復および増強までの時間の短縮を達成し、筋肉損傷・萎縮を効果的に治癒する、且つ副作用の危険が有意に低減された安全性の高い組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】ラクトフェリン由来の成分を含有することを特徴とする、筋肉細胞の増殖、分化、肥大促進効果組成物。筋肉の再生過程の3つ全てを促進することから、1つの組成物で効果的に筋肉の増強および回復をもたらすことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラクトフェリン由来の成分を含む損傷または萎縮した筋肉に対して、治癒促進のために、筋芽細胞の増殖・分化・肥大を促進する医薬組成物または食品組成物に関する。
近年の急速な高齢化の進行に伴い、ロコモティブシンドロームやメタボリックシンドロームの予防が重要視されている。ロコモティブシンドロームとメタボリックシンドロームはそれぞれ運動機能の低下と内臓脂肪の蓄積に起因しており、高齢者が要介護になる原因疾患に大きく関連している。
また、骨折などの怪我や病により長期に渡る臥床や安静を余儀なくされると、筋肉の委縮が生じ、日常生活への復帰に時間がかかり、場合によっては、日常生活に支障を来すおそれもある。健康であっても、日常の運動不足や老化によって筋肉の委縮が生じ、同様に日常生活への支障が生じ得る。
骨格筋は運動機能やエネルギー代謝を担う主要な組織であるため、骨格筋を維持・増強することは自立した健全な生活を送る上で重要である。
健康な人や健康を回復した人であれば、徐々に運動を再開すれば筋肉は量的にも質的にも回復するが、回復には時間がかかる。一方、病人や老人にあたっては、委縮した筋肉の増強ははなはだ困難である。
筋肉の委縮は病人にあっても老人にあっても、健康者にあってもいわゆる生活の質を著しく損なうため、何らかの手段によって筋肉量の迅速な回復、筋肉の増強を図ることが求められている。それらのために、医薬用の筋肉増強剤や補助食品として摂取可能な筋肉増強剤が提供されている。これらのサプリメントでは、プロテイン、アミノ酸などの筋肉の栄養素から構成されており、それらの栄養素を補助的に摂取することにより、筋肉の増強を図ろうとするものである。しかし、筋肉萎縮は栄養素の不足によって生じたものではないため、実際に筋肉増強用サプリメントを摂取しても有意な効果があるとは考えにくい。
また、筋肉栄養素以外を主成分とするものでは、アルギニン、リジン、オルニチンを有効成分とするサプリメントが提案されている(特許文献1)。これは特定のアミノ酸が成長ホルモンおよびテストステロンの分泌を促すとの知見に基づいて構成されたもので、摂取により前述ホルモンを分泌され、該当ホルモンの作用により間接的に筋肉の増量をするものである。このサプリメントは成長ホルモンやテストステロンの分泌を促進し、ホルモンの作用により間接的に筋肉の増強を図るものである。萎縮した筋肉を復旧、増強する目的の筋肉増強剤は長期間の使用においても安全性の高いものでなければならないが、このサプリメントに関しては成分自体は安全なものであるが、作用的にホルモンの分泌量を制御するものであるため、直接作用させるものと比べて投与量の調整が難しい。また、このサプリメントはホルモンの分泌促進により間接的に筋肉の増量を図るため、直接作用的な作用機序ではなく、顕著な効果を期待できない。
その他の筋肉増強剤としては、特定のポリペプチド、ポリペプチド化合物、および特定ポリペプチド因子を有効成分とするものが提案されている(特許文献2)。これは筋細胞の分裂促進、成長、分化を誘導することで疾患、障害を予防する医薬品である。
また、動植物抽出物、安全性が確認されている化合物から筋芽細胞に対する増殖、分化の促進作用がある成分が提案されている(特許文献3)。
筋肉を形成している細胞(筋細胞)は線維状である事は、周知であり、筋線維とも呼ばれている。筋線維は筋芽細胞が増殖、分化して筋管細胞となり、その筋管細胞が肥大、成長することで筋線維を形成することが判明している。したがって、筋肉増強のためには、筋芽細胞の増殖、分化、さらに肥大の3つを促進する剤が効果的であると考えられる。
このような観点から、特許文献3については、筋細胞の増殖(分裂)、分化を促進することから筋肉の増強を提案されているが、筋線維への肥大については提案されていない。そのため、実際に筋芽細胞の活性促進から筋肉形成効果を期待できない。
ラクトフェリンは、母乳中に極めて多量に含まれている分子量約80,000の鉄結合性蛋白質であり、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌、ブドウ球菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示す事が知られている(非特許文献1)、また、育児用食用組成物に配合する事が提案されている(特許文献4)さらに、細胞への病原菌付着防止(特許文献5)、抗ウィルス作用(特許文献6)、免疫賦活(特許文献7)、抗腫瘍(非特許文献2)、抗リウマチ(特許文献8)、肥満予防(非特許文献3)、骨形成の促進作用(非特許文献4)など様々な作用をもつことで知られている。
しかし、ラクトフェリンが筋肉形成の促進作用があること、筋芽細胞への増殖、分化、肥大に対する促進効果がある事についての報告はいずれの文献でも開示されていない。また、ラクトフェリンは長期間摂取をしても副作用が見られないことも分かっている。
特開2004−256513号公報 特開2004−043437号公報 特開2008−156294号公報 特開平1−93534号公報 特開平3−220130号公報 特開平1−233226号公報 特開平7−179355号公報 特開平5−186368号公報
Journal of Pediatics、94巻、1ページ、1979年 Cancer Reserch、54巻、2310ページ、1994年 British Journal of Nutrition、91巻、533ページ、2004年 Clinical Medicine & Reserch、3巻、93ページ、2005年
本発明は、筋肉損傷・萎縮における治癒に関わる筋芽細胞の増殖、分化作用を積極的に促進し、さらに筋管細胞への肥大の促進から筋線維を形成する筋肉の回復、増強までの時間の短縮を達成し、且つ副作用の危険が有意に低減された安全性の高い組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を鑑みて鋭意研究を重ねた結果、副作用のない、ラクトフェリン由来の成分を筋芽細胞へ作用させることにより、筋芽細胞の増殖が飛躍的に促進され、さらに筋管細胞への分化・融合の促進、そして筋線維への肥大が促進される、3つの促進効果を見出し、上記課題を解決した。本発明の組成物は、筋肉の回復や増強における3つの過程において細胞の活性を促進することにより筋肉増強の時間を顕著に短縮し、且つ副作用の危険性が有意に低減された安全性の高い組成物を提供する。
上記の課題を解決するために、本発明は、以下を提供する。
[1]一つの局面において、本発明は、ラクトフェリン由来の成分を含む、筋肉細胞における損傷からの回復するための間接投与用医薬組成物を提供する。
[2]一つの実施形態において、上記間接投与は、経口投与、経管投与または経腸投与である。
[3]一つの実施形態において、上記成分はラクトフェリンである。
[4]一つの局面において、本発明は、ラクトフェリン由来の成分を含む、筋肉細胞における損傷から回復するための食品組成物を提供する。
本発明により、筋肉の損傷治癒に関わる生体の再生能を積極的に促進し、筋肉の増強と形成の時間の短縮を達成し、且つ副作用の危険が有意に低減された安全性の高い組成物が提供される。
図1は筋芽細胞の増殖促進効果を比較した図である。C2C12細胞を比較例1(ラクトフェリン添加なし)、比較例2(ラクトフェリン 1マイクログラム/ml)、比較例3(ラクトフェリン 10マイクログラム/ml)、実施例1(ラクトフェリン 100マイクログラム/mlの存在下)で培養し、Alamar Blueを用いて継時的に細胞増殖能を評価した図である。 図2はC2C12細胞を比較例1(ラクトフェリン添加なし)、比較例2(ラクトフェリン 1マイクログラム/ml)、実施例3(ラクトフェリン 10マイクログラム/ml)、実施例1(ラクトフェリン 100マイクログラム/ml) を含むDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン) で分化誘導し、4日間培養後、細胞を回収し、ウエスタンブロットによって筋分化マーカーの発現を確認した図である。 図3は24wells plateに播種して飽和状態に達したC2C12細胞を比較例1(ラクトフェリン添加なし)、実施例1(ラクトフェリン 100マイクログラム/ml)を含むDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン) に培地交換し、4日間培養した後、MyHCの蛍光免疫染色を行い、MyHCで染まった核が2個以上の筋管細胞に含まれる核の数をDAPIの総数の割合でFusion Indexを求めた図である。 図4は24wells plateに播種して飽和状態に達したC2C12細胞をDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン)で分化誘導し、6日間培養することで筋管細胞を形成してから、比較例1(ラクトフェリン添加なし)、実施例1(ラクトフェリン 100マイクログラム/ml)を含むDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン)で細胞を4日間培養した後、MyHCの蛍光免疫染色を行い筋管細胞の短径を測定することでMyotube diameterを求めた図である。
本発明で使用するラクトフェリン由来成分は、市販のラクトフェリン、獣乳、人乳から常法により分離されるラクトフェリンを含み、さらにこれらのラクトフェリンから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、またはこれらの混合物のいずれであってもよい。また、上記ラクトフェリンを常法により酸・アルカリまたは酵素で加水分解して得られた分解物、この加水分解物を常法により精製したもの、またはこれらの混合物のいずれであってもよい。また上記ラクトフェリン類とその加水分解物とを混合して使用することもできる。
本発明で使用するラクトフェリンの形態は、市販品をそのまま用いてもよく、腸溶性コーティングされたものでもよく、さらに界面活性成分(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、カゼインナトリウム、オキシエチレン脂肪酸アルコール、オレイン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン高級脂肪酸アルコール、ソホロースリピッドなど)により、立体構造が一部変性したもの、油脂(中鎖脂肪酸、パーム油、ヤシ油、なたね油、ゴマ油、エゴマ油)と界面活性成分およびラクトフェリンを混合、分散させたものでもよい。
上記のものを1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(医薬組成物)
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される原材料をさらに含み得る。例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、珪酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、トラガカント、ゼラチン、シロップ、ヒドロキシ安息香酸メチル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、水、鉱油などが挙げられる。本発明の医薬組成物は、これらの原材料を単独種または複数種含み得る。
本発明の医薬組成物は、潤沢剤、乳化剤、懸濁化剤、酸化防止剤、防腐剤、甘味料および香味剤など、ならびに水溶性ビタミン類および油溶性ビタミン類などを含む他の成分の1種以上を含み得る。
本発明の医薬組成物は、当該分野で周知の方法によって製造される。例えば、純粋なラクトフェリンを添加する工程を包含する方法によって製造してもよいし、ラクトフェリンを含有する組成物を添加する工程を包含する方法によって製造してもよい。
本発明の医薬組成物の形態は、特に限定されない。本発明の医薬組成物の形態の例としては、錠剤、丸剤、粉剤、シロップ剤、乳濁剤、液剤、懸濁剤、ゼラチンカプセル剤などの形態、スプレー剤などの形態を挙げることができる。スプレー剤などの形態の医薬組成物は、鼻内などの経路によっても投与し得る。
以下に本発明の医薬組成物の一般的な調整方法を示す。
本発明のラクトフェリン由来成分含有組成物は、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと配合し、経口的に投与する事もできるし、注射剤、懸濁剤、溶液剤、スプレー剤等の液状製剤として非経口的に投与することができる。薬学的に受容可能なキャリアとしては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、崩壊阻害剤、吸収促進剤、吸着剤、保湿剤、安定化剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることができる。また、本発明の組成物には、ラクトフェリン由来の成分以外の物質を配合することも可能である。
賦形剤としては、例えば、グルコース、ラクトース、スクロース、D−マンニトール、結晶セルロース、デンプン、炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、塩化ナトリウム、カオリンおよび尿素等が挙げられる。
吸収促進剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩基類およびラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられるがそれらに限定されない。
安定化剤としては、例えば、ヒト血清アルブミン、ラクトース等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における溶剤の好適な例としては、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油およびトウモロコシ油等が挙げられる。
液状製剤における溶解補助剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩およびクエン酸塩等の緩衝液等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウムおよび塩酸プロカイン等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における防腐剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸、アルファトコフェロールおよびシステイン等が挙げられるがそれらに限定されない。
注射剤として調製する際には、液剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液または他の目的とする注入部位における媒体と等張であることが好ましい。通常、これらは、バクテリア保留フィルター等を用いるろ過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化する。さらにこれらの処理後、凍結乾燥等の方法により固形物とし、使用直前に無菌水または無菌の注射用希釈剤(塩酸リドカイン水溶液、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノールまたはこれらの混合溶液等)を添加してもよい。
さらに、必要ならば、医薬組成物は、着色料、保存剤、香料、矯味矯臭剤、甘味料等、ならびに他の薬剤を含んでいてもよい。
別の実施形態において、本発明において、注入は静脈内または皮下で行われ得る。全身投与されるとき、本発明において使用される医薬は、発熱物質を含まない、薬学的に受容可能な水溶液の形態であり得る。そのような薬学的に受容可能な組成物の調製は、pH、等張性、安定性などを考慮することにより、当業者は、容易に行うことができる。
本発明の方法において使用される組成物の量は、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、細胞の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明の方法を被験体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)の投与が挙げられる。1週間−1ヶ月に1回の投与を、経過を見ながら施すことが好ましい。
本発明に用いられるラクトフェリンは、1日あたりのヒトの摂取量として、通常50mg〜5,000mg/dayである。筋肉の治癒を促進する限り、この用量には限定されない。この用量を、1回または数回に分けて投与するのが好ましいが、必ずしもこれに限定されない。実際の用量は、対象の年齢、体重および症状の重篤度、ならびに選択した投与経路などを配慮した上で決定される。
本発明の医薬組成物は、単独または他の治療剤と組み合わせて投与され得る。組み合わせは、例えば、混合物として同時に;同時にまたは並行してだが別々に;あるいは経時的のいずれかで投与され得る。
(食品組成物)
本発明の組成物は、甘味および筋肉の損傷治癒促進作用を有する食品そのもの、または調味料のような添加物として利用され得る(このような組成物を食品組成物という)。本発明の食品組成物は、健康食品、栄養補助食品、および特別用途食品(特定保健用食品)として利用され得る。
本発明の食品組成物は、当該分野で通常使用される食品原料をさらに含み得る。食品原料の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、リンゴファイバー、大豆ファイバー、肉エキス、黒酢エキス、ゼラチン、コーンスターチ、蜂蜜、動植物油脂、多糖類、穀物、野菜、果菜、果物、肉、卵、乳製品、海藻などおよびそれらの加工品が挙げられる。本発明の組成物は、これらの食品原料を単独種または複数種含み得る。
本発明の食品組成物は、上記の医薬品の場合と同様に、上記の食品原料に加えて、潤沢剤、乳化剤、懸濁化剤、酸化防止剤、防腐剤、甘味剤および香味剤などの成分の1種以上をさらに含み得る。また、水溶性ビタミン類および油溶性ビタミン類などを含む他の成分をさらに含んでいてもよい。当業者は、ラクトフェリンの作用を妨げることのない適切な成分を容易に選択し得る。
本発明の食品組成物は、当該分野で周知の方法によって製造される。例えば、作用を有する純粋なラクトフェリンを添加する工程を包含する方法によって製造してもよいし、作用を有するラクトフェリンを含有する組成物を添加する工程を包含する方法によって製造してもよい。
本発明の食品組成物の形態は特に限定されない。本発明の食品組成物の形態の例としては、顆粒、錠菓、ゼリー、飴、飲料などが挙げられる。
本発明の食品組成物は、必要に応じて摂取され、薬膳などのように毎日毎食摂取してもよいし、1日1回、1週間に1回、1ヶ月に1回のようなさらに長期の間隔をおいて摂取してもよい。好ましくは、1日3食摂取される。
本発明の食品組成物に用いられるラクトフェリンは、1日あたりのヒトの摂取量として、通常50mg〜5,000mg/dayである。筋肉の治癒を促進する限り、この用量には限定されない。この用量を、1回または数回に分けて投与するのが好ましいが、必ずしもこれに限定されない。実際の用量は、対象の年齢、体重および症状の重篤度、ならびに選択した投与経路などを配慮した上で決定される。
本発明は、コーン由来のタンパク質、小麦由来のタンパク質、コラーゲン由来のタンパク質、大豆由来のタンパク質、ホエイ由来のタンパク質およびそれらの加水分解物で得られるペプチド、アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)など筋肉増強に関する栄養素をラクトフェリン由来成分と組み合わせることも可能であり、それによりそれぞれ単独で用いた場合に比べ、筋肉細胞への効果については、相加・相乗効果が期待できる。
本発明は、糖質として、グルコースなどの単糖類、マルトースなどの二糖類、エリスリトール・キシリトールなどの糖アルコール、オリゴ糖などの多糖類、羅漢果配糖体、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなどの甘味料などエネルギー源となる物質をラクトフェリン由来成分と組み合わせることも可能であり、組み合わせにより筋肉増強効果の相加・相乗効果が期待できる。
本発明は、脂質として、中鎖脂肪酸、パーム油、ヤシ油、なたね油、ゴマ油、エゴマ油などエネルギー源となる物質をラクトフェリン由来成分と組み合わせることも可能であり、組み合わせにより筋肉増強効果の相加・相乗効果が期待できる。
本発明は、抗酸化物質として、オリゴメトリックプロアントシアニジン(OPC)、レスベラトロール、ビタミンC、ビタミンEなど細胞の損傷を保護するまたは細胞を強化する物質をラクトフェリン由来成分と組み合わせることも可能であり、組み合わせにより筋肉増強効果の相加・相乗効果が期待できる。
本発明は、カルシウムやミネラルの吸収促進作用のある、難消化性デキストリンをラクトフェリン由来成分と組み合わせることも可能であり、組み合わせにより筋肉増強効果の相加・相乗効果が期待できる。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、請求の範囲によってのみ限定される。
対象とする筋芽細胞は、マウス筋芽細胞株C2C12(RIKEN Bioresource Cente)を用いた。培地は、Dulbecco’s modified Eagle’s medium−low glucose(DMEM、Sigma−Aldrich Co.LLC.)を用いた。
各試験では、ラクトフェリンを添加しないものを比較例1、ラクトフェリン 1マイクログラム/mlを比較例2、ラクトフェリン 10マイクログラム/mlを比較例3、ラクトフェリン 100マイクログラム/mlを実施例1として筋芽細胞に対する、増殖、分化、肥大の促進効果確認試験を行った。
<実験例1 ラクトフェリンの筋芽細胞に対する増殖促進効果>
C2C12細胞が48wells plateに0.5×103 cells/cm2で細胞を播種し、DMEM(2.5%Fetal Bovine Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン) で培養した。細胞を一晩培養して接着させ、その日を0日目として比較例1から比較例3および実施例1のラクトフェリンを添加した。2日毎にラクトフェリンを含む新鮮な培地に交換した。2日目、4日目、6日目にフェノールレッドを含まないDMEM(2.5%Fetal Bovine Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン)で培養後、Alamar Blue(Trec Diagnostic、終濃度5%) 存在下で3時間培養した。その後、培地の蛍光強度をFluoro Skan Ascent FL(Thermo Fisher Scientific、Waltham、USA) を用いて、励起波長:544nm、蛍光波長:590nmで測定し、細胞増殖能を評価した。判定は◎(2日目から比較例1と有意差があったもの:有意水準5%)、○(6日目に比較例1と有意差があったもの:有意水準5%)、×(6日目まで比較例1と有意差がなかったもの)とした。
<実験例2ラクトフェリンの筋芽細胞に対する分化促進効果>
ラクトフェリンがC2C12細胞の筋分化に及ぼす影響を検討するために、飽和状態に達したC2C12細胞を比較例1から比較例3および実施例1のラクトフェリンを含むDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン) で分化誘導し、4日間培養後、細胞を回収しウエスタンブロットによって筋分化マーカーであるMyosin heavy chain(MyHC)の発現を評価した。判定は◎(比較例1よりも発現が顕著に多い)、○(比較例1よりも発現が多い)、×(比較例1よりも発現が少ない)で判断した。
<実験例3筋管細胞の分化指標であるFusion indexの測定>
24wells plateに播種して飽和状態に達したC2C12細胞を比較例1および実施例1のラクトフェリンを含むDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン) に培地交換し、4日間培養した後、MyHCの蛍光免疫染色を行い、MyHCで染まった核が2個以上の筋管細胞に含まれる核の数を4‘,6−Diamidino−2−phenylindole(DAPI、蛍光色素の一種で、DNAに対して強力に結合する)の総数で割ることでFusion Indexを求めた。判定は○(比較例1と有意差有り:有意水準5%)、×(比較例1と有意差無し)で判定した。
<実験例4ラクトフェリンの肥大促進効果>
24wells plateに播種して飽和状態に達したC2C12細胞をDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン)で分化誘導し、6日間培養することで筋管細胞を形成してから、比較例1および実施例1のラクトフェリン を含むDMEM(2%Horse Serum、100単位/mlペニシリン、100マイクログラム/mlストレプトマイシン)で細胞を培養後、MyHCの蛍光免疫染色を行い、筋管細胞の短径を測定することで筋肥大の指標であるMyotube diameterを求めた。判定は○(比較例1と有意差有り:有意水準5%)、×(比較例1と有意差無し)で判定した。
実験例1から実験例4の結果を表1および図1から図4に示した。
Figure 2017149696
これらの結果から、本発明のラクトフェリンの作用により筋肉の損傷からの回復や増量における、筋再生の過程の初期段階の筋芽細胞の増殖が促進され、さらに増殖した筋芽細胞の分化が促進され筋管細胞へと変化する、さらにその筋管細胞の肥大が促進され、筋線維形成が明らかに促進される事が示された。
<ラクトフェリン由来成分含有組成物の実施例>
[実施例2(医薬品錠剤)]
表2に示す配合割合で十分に混合した粉末製剤をロータリー式打錠機(VIRGO、菊水製作所製)を用いて500mgずつ打錠成形し、ラクトフェリン含有医薬品錠剤を作製した。作成した錠剤成分を用いて、筋芽細胞の促進効果確認試験を行い、その結果を表3に示した。
Figure 2017149696
乳糖:ダイラクトーズ(フロイント産業株式会社)
ラクトフェリン:森永ラクトフェリン MLF−1(森永乳業株式会社)
グア−ガム: ビストップD−20(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)
コーンスターチ:局方コーンスターチ(日本コーンスターチ株式会社)
Figure 2017149696
[実施例3(医薬品カプセル剤)]
表4に示す配合割合で十分に混合した製剤をカプセル充填機(松屋KM-HS型、松屋商店)を用いて200mgずつ充填し、ラクトフェリン含有医薬品カプセルを作製した。
Figure 2017149696
アルファ化澱粉:マツノリンM(松谷化学工業)
ラクトフェリン:森永ラクトフェリン MLF−1(森永乳業株式会社)
[実施例4(酸乳飲料)]
表5に示す配合割合で香料以外の原料を全て混合して、均一化(150kg/cm2)し、香料を加えて素早く攪拌した後、殺菌充填(90℃、10分間)し、ラクトフェリン含有酸乳飲料を作製した。
Figure 2017149696
エリスリトール(三菱化学フーズ株式会社)
50%乳酸(昭和化工株式会社)
ラクトフェリン:森永ラクトフェリン MLB−1(森永乳業株式会社)
カラメル色素:カラメル LF−141(池田糖化工業株式会社)
[実施例4(ゼリー飲料)]
表6に示す配合割合で原料を混合し、80℃で10分間撹拌溶解する。全量を補正し、容器に充填する。85℃で30分間殺菌する。
Figure 2017149696
砂糖:上白糖J(三井製糖株式会社)
ゲル化剤:伊那寒天UP−6(伊那食品工業株式会社)
ラクトフェリン:森永ラクトフェリン MLF−1(森永乳業株式会社)
クエン酸三ナトリウム:精製クエン酸ナトリウムS(扶桑化学工業株式会社)
ラクトフェリン溶液をラットに経口投与した場合、ラットの体重1kgあたり、0.1gのラクトフェリン投与2時間後に、血中にラクトフェリンが221.6ng/ml 検出されることが報告されている。また、ヒトがラクトフェリンを経口摂取した場合でも血中でラクトフェリンを検出する報告もあり、経口摂取により、ラクトフェリンは体内にて血中に取り込まれることが明らかになっている。ラクトフェリンの体内での取り込みについては、腸管からリンパ管へ移り、体内へ取り込まれる経路も明らかにされている(参考文献 Experimental Physiology 263ページ、2004)。よって、ラクトフェリンを経口摂取した際も、体内へ効果的に吸収され、筋肉の修復および増強に関与する、筋芽細胞、筋管細胞の活性促進効果をもたらす。

本発明は、ラクトフェリン由来の成分により、筋肉の修復、増強に関わる筋芽細胞の増殖、分化、筋管細胞の肥大を積極的に促進し、筋線維の形成までの時間の短縮を達成し、且つ副作用の危険が有意に低減されるため、日常生活において不自由なく健康的な生活を営むことができるようになり、生活の質の向上につながる。且つ、安全性の高い組成物が提供することが可能となり、医薬品製造、食品製造業において、利用価値が高いと考えられる。

Claims (5)

  1. ラクトフェリン由来の成分を含む、筋芽細胞の増殖・分化促進および筋管細胞の肥大促進組成物
  2. 経口投与、経鼻投与、経管投与、経腸投与することにより摂取されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 医薬であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 食品であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
  5. サプリメントであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
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