JP2017152542A - 光駆動半導体素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力設備を動作させる駆動部と、駆動部を制御する制御部とを分離し、高い絶縁性とノイズ耐性を実現しながら、小型化と高性能を可能にする光駆動半導体素子を提供する。【解決手段】制御部からの光を導波路30a、30bにより導き、2つのフォトダイオード列4、5に照射することにより得られた電圧を用い、電力用トランジスタのON、オフ状態を制御するとともに、光によるトランジスタの誤動作を防止する。さらに、InGaN層を受光層とし、高耐圧で高出力電流を実現できる、光駆動サイリスタ、双方向サイリスタならびに光駆動のバイポーラおよび電界効果トランジスタはGaN系半導体により構成する。【選択図】図2

Description

本発明は、電力用の光駆動半導体素子に関する。
駆動回路(駆動部)と制御回路(制御部)から構成される電力変換システムでは、高電圧のノイズから制御回路内の半導体素子を保護するために光結合技術が用いられる場合がある。光結合技術では制御回路が電気的に絶縁されるため、耐ノイズ性能と共に高い絶縁性能を実現することができる。
特許文献1には、制御部から制御信号として光信号を発生し、光ファイバーにより光を駆動部に導き、駆動部に設けられた2種の受光素子において、光信号を電気信号に変換し、駆動部の導通および非導通を制御し、光ファイバーの距離を長くすることにより、必要な絶縁耐圧を得る技術が開示されている。
特許文献2には、高耐圧で高出力を得るため、制御部と駆動部(電力処理回路)とを光ファイバーで絶縁し、炭化珪素で構成されたワイドバンドギャップサイリスタの導通および非導通を、光駆動バイポーラとフォトダイオードの出力により、制御する回路が開示されている。また、炭化珪素で構成された光駆動ワイドバンドギャップサイリスタを用いたラッチ型スイッチング回路も開示されている。
特開平5−191966号公報 特表2008−541275号公報
近年、消費電力が小さく、かつ高速で緻密な制御性を備えた小型の電力設備制御システムが、望まれている。しかし、特許文献1に開示されるシステムは、高耐圧、低ノイズを実現するものの、駆動させるスイッチング素子であるトランジスタと光電変換する受光素子とが分離されているため、小型化および高速応答性の実現には適さない構成である。また、特許文献2に開示されるシステムは、照射光がデバイス材料全体で吸収されるため、必要な駆動電流を得るためのデバイスサイズが大きくなるほか、ダーリントン接続すること、異なる種類の受光素子を組合た複雑な回路になることなどにより、小型化が困難である。
上記課題に鑑み、本発明は、受光部とスイッチング素子としてのトランジスタとを融合させることで、高耐圧が求められる電力設備において使用可能な、かつ小型で高性能な光駆動の半導体素子を提供することを目的とする。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
複数のフォトダイオードが直列に接続されている第1のフォトダイオード列と、前記第1のフォトダイオード列とは逆の極性の複数のフォトダイオードが直列に接続されている第2のフォトダイオード列とを備え、
前記第1のフォトダイオード列および前記第2のフォトダイオード列は、並列にトランジスタのゲート電極とソース電極間、またはトランジスタのベース電極とカソード電極間に接続されており、
前記トランジスタを構成する第1の半導体と前記第1のフォトダイオード列および前記第2のフォトダイオード列を構成する第2の半導体は、光の吸収波長が異なることを特徴とする。
このような半導体素子の構成とすることにより、照射された光により直接的に、電力設備用の高耐圧、高出力トランジスタを駆動させ、誤動作なく高速動作が可能な光駆動半導体素子を得ることができる。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
第1のフォトダイオード列、第2のフォトダイオード列およびトランジスタを覆う遮光性部材と、
第1のフォトダイオード列に光を導く第1の光入射口と第2のフォトダイオード列に光を導く第2の光入射口とを備え、
前記第1の光入射口と前記第2の光入射口とは、遮光性部材に囲まれている
ことを特徴とする。
このような構成とすることにより、受光部である第1のフォトダイオード列および第2のフォトダイオード列と、電力用スイッチングデバイスとして機能するトランジスタとが、1つのパッケージ内に実装でき、小型化を実現することができる。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
第1のフォトダイオード列および第2のフォトダイオード列に光を導く1本の光導波路と、
光導波路と第1のフォトダイオード列との間に第1の光学フィルターと、光導波路と第2のフォトダイオード列との間に第2の光学フィルターとを備え、
第1の光学フィルターと第2の光学フィルターとは、透過する光の波長域が異なることを特徴とする。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
第1のフォトダイオード列および第2のフォトダイオード列に光を導く1本の光導波路と、
光導波路と前記第1のフォトダイオード列との間に第1の偏光フィルターと、光導波路と第2のフォトダイオード列との間に第2の偏光フィルターとを備え、
第1の偏光フィルターと第2の偏光フィルターとは、透過する光の偏光方向が異なることを特徴とする。
このような構成とすることにより、光ファイバーの本数を減少させ、光ファイバーの設置の自由度を増し、光結合を用いて電力設備を制御するシステムを小型化することができる。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
第1の電極と、
第1のp型GaN層と、
第1のn型GaN層と、
p型InGaN層と、
第2のn型GaN層と、
第2の電極とが積層されており、
第1のn型GaN層とp型InGaN層と第2のn型GaN層とにより第1のバイポーラトランジスタを構成し、
p型InGaN層は、第1のバイポーラトランジスタのベース層を構成し、
p型InGaN層の光の吸収波長は、第1のn型GaN層、第2のn型GaN層および第1のp型GaN層の光の吸収波長とは異なり、
各GaN層で吸収されず、p型InGaN層で吸収される波長の光を、その波長で透明である基板側から照射することで、ベース層へ電流注入が生じさせることができる。
また、本発明に係る光駆動半導体素子は、
第1のn型GaN層とp型InGaN層と第2のn型GaN層とにより構成される第1のバイポーラトランジスタの電流注入条件で測定される直流電流増幅率hFE1
p型InGaN層と第1のn型GaN層と第1のp型GaN層とにより構成される第2のバイポーラトランジスタの直流電流増幅率hFE2とは非線型であり、印加される電圧や電流などの動作条件によって異なるが、hFE1とhFE2の積が、以下の関係式、
オフ状態において、hFE1FE2<1
オフ状態からオン状態の遷移状態において、hFE1FE2>=1が存在し、
オン状態において、hFE1FE2=1
を満足することができる。
このような構成であるため、InGaN層は受光層として機能するとともに、第1のバイポーラトランジスタとしてnpnヘテロ接合トランジスタのベース層としても機能するため、高感度で電流利得が大きくなるため、大電流を制御でき、第2のpnpトランジスタによる正帰還の働きによりオン状態(通電状態)を維持することができる小型の光駆動サイリスタを得ることができる。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
前記p型InGaN層と前記第1のn型GaN層との間に、Inの組成が前記p型InGaN層のIn組成以下であり、前記第1のn型GaN層に近づくに従いInの組成が減少するIn組成分布を有する第1のInグレイデッド層と、
前記p型InGaN層と前記第2のn型GaN層との間に、Inの組成が前記p型InGaN層のIn組成以下であり、前記第2のn型GaN層に近づくに従いInの組成が減少するIn組成分布を有する第2のInグレイデッド層とを備えたことを特徴とする。
このような構成とすることにより、エネルギーバンドのポテンシャルスパイクの無いヘテロ接合を実現できるので、オン状態の残留電圧が低くできる利点がある。また、p型InGaN層と第1のn型GaN層間の内蔵されているバイポーラトランジスタ間の第1のInグレイディッド層を解消した場合には、p型InGaN層に注入される電子の初速度を大きくすることができるため、よりhFE1が大きくなるので、より低い光量でサイリスタ動作を生じしせめる有利な効果を有する。
また、上記光駆動サイリスタにおいて、全てのGaN層およびInGaN層の導電型を逆の導電型とすることにより、極性の異なるサイリスタを提供し、電力設備の駆動回路の設計の自由度を増すことが可能となる。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
第3の電極と、
第1のp型GaN層と、
第1のn型GaN層と、
p型InGaN層と、
第2のn型GaN層と、
第2のp型GaN層と
第4の電極が積層されており、
第3の電極は、第1のp型GaN層および第1のn型GaN層に電気的に接続されており、
第4の電極は、第2のp型GaN層および第2のn型GaN層に電気的に接続されており、
p型InGaN層は、 第1のn型GaN層とp型InGaN層と第2のn型GaN層とにより構成されるバイポーラトランジスタのベース層を構成し、
p型InGaN層の光の吸収波長は、第1のn型GaN層、第2のn型GaN層、第1のp型GaN層および第2のp型GaN層の光の吸収波長と異なり、
各GaN層で吸収されず、p型InGaN層で吸収される波長の光を、その波長で透明である基板側から照射することで、ベース層へ電流注入が生じさせることができる。
各層が上から順にpnpnpと上下対称な層を構成し、最上層の一部を除去してnpnp構成とし、最下層の一部を除去してpnpn構成とすることによって、(例えば、表出したp層を正極とすることを想定すると)、正極が最上層と最下層の何れであっても、上下対称性が確保されているため、双方向に電流を流すことが可能な光駆動の双方向サイリスタを得ることができる。
また、上記双方向サイリスタにおいて、全てのGaN層およびInGaN層の導電型を逆の導電型とすることにより、極性の異なる双方向サイリスタを提供でき、電力設備の駆動回路の設計の自由度を増すことが可能となる。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
第5の電極と、
第1のn型GaN層と、
第1のドリフト層と、
p型InGaN層と、
第2のドリフト層と、
第2のn型GaN層と、
第6の電極とが積層されており、
第5の電極は第1のn型GaN層と接続されており、
第6の電極は第2のn型GaN層と接続されており、
第1のドリフト層は、第1のn型GaN層より不純物濃度が低く、かつ膜厚が厚いn型GaN層であり、
第2のドリフト層は、第1のドリフト層と同じ導電型の不純物濃度であり、かつ同じ膜厚であり、
各GaN層で吸収されず、p型InGaN層で吸収される波長の光を、その波長で透明である基板側から照射することで、ベース層へ電流注入が生じさせることができる。
光照射が無い場合には、第5の電極と第6の電極に交流的な電圧が印加されても、p型InGaN層に対して上下対称に設けられたドリフト領域により印加電圧が支えられるため、非導通を維持することができ、光照射下では、p型InGaN層のポテンシャルが下げられるため、導通状態となる。このような構成とすることにより、前述の双方向光サイリスタと比較して、正帰還による通電状態の維持が行われないため、光照射時のみに双方向に電流を流すことができる、光駆動バイポーラトランジスタを得ることができる。
本発明に係る光駆動半導体素子は、
基板上に、GaN層、アンドープのInグレイデッド層、アンドープのInGaN層、アンドープのGaN層、アンドープのAlGaN層が積層されており、
前記アンドープのAlGaN層上には、ゲート領域を構成するp型AlGaN層を備え、
前記p型AlGaN層上にはゲート電極が接続されており、
前記p型AlGaN層の両側の前記アンドープのAlGaN層上にはソース電極とドレイン電極が接続されていることを特徴とする。
上記ソース電極とドレイン電極はアンドープGaN層とアンドープAlGaN層の界面に生じる二次元電子ガスに電気的な接続を行うものであり、アンドープAlGaN層を介したトンネル効果による電気的接続であっても、エッチングにより界面を露出させた側面に直接に電気接続を行なっても良いし、エッチングの後に高濃度GaNを再成長させたものに電気接続を行なっても良い。
このようにGaN層、アンドープのInグレイデッド層、アンドープのInGaN層、アンドープのGaN層、アンドープのAlGaN層の積層構造体上に、ゲート領域を構成するp型AlGaN層を備えた構成のノーマリーオフ型の電界効果トランジスタとすることにより、ゲート領域に正電圧を印加した場合、P型AlGaN層からアンドープGaN層へホールが注入され、そのホールはアンドープGaN層の内部電界によって移動させられ、アンドープInGaN層側のポテンシャルの窪みに溜まる。このようなホールは再結合するまで滞留することで、静電誘導によって前記の二次元電子ガスの濃度を増大させるため、動作電流を増大させることができる。
またホールを滞留させる効果を、各GaNで吸収されず、アンドープのInGaN層でのみ吸収される波長の光を、その波長で透明となる基板側から照射することで、アンドープInGaN層側のポテンシャルの窪みに滞留させることが出来る。この場合のホールが消滅するまでの再結合時間は電子とホールが空間的に分離されているため、分布の重なりが小さくなり、長くなる。従って、上記波長の光照射時にはInGaN層で生成された正孔が、GaN側に引き寄せられ、GaN層に電子を誘起し、ソース電極とドレイン電極間が導通し、電界効果トランジスタがオン状態となり、光の照射を停止することによりオフ状態(非導通状態)となる光駆動電界効果トランジスタを得ることができる。
なお、本発明においてInGaNとは、その組成が一般式InGa1ーxN(0<x<1)で表されるInとGaとNとの化合物を言い、Inの組成とは上記一般式のxに相当し、xの範囲は結晶成長中に欠陥を生じない範囲で選択され、通常のMOCVD法を用いた結晶成長の場合は30%を超えないものである。
また、AlGaNとは、その組成が一般式AlGa1ーyN(0<y<1)で表されるAlとGaとNとの化合物を言い、Alの組成とは上記一般式のyに相当し、ノーマリーオフの条件を維持する範囲として、yの範囲は30%を超えないものである。
本発明に係る第1の実施形態における光駆動半導体素子の構成を示す回路図。 本発明に係る第1の実施形態における光駆動半導体素子の実装状態を示す断面図。 本発明に係る第2の実施形態における光駆動半導体素子の構成を示す回路図。 本発明に係る第3の実施形態における光駆動半導体素子の構成を示す回路図。 本発明に係る第4の実施形態における光駆動のサイリスタの断面図。 本発明に係る第5の実施形態における光駆動のサイリスタの断面図。 本発明に係る第6の実施形態における光駆動の双方向サイリスタの断面図。 本発明に係る第7の実施形態における光駆動の双方向サイリスタの断面図。 本発明に係る第8の実施形態における光駆動のバイポーラトランジスタの断面図。 本発明に係る第9の実施形態における光駆動の電界効果トランジスタの断面図。 本発明に係る第9の実施形態における光駆動の電界効果トランジスタの動作原理を説明するバンド図。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における光駆動の半導体素子の構成を示している。トランジスタ1のゲート電極2とソース電極3には、互いに極性の異なる第1のフォトダイオード列4と第2のフォトダイオード列5とが並列に接続されている。各フォトダイオード列は、複数個のフォトダイオードの直列接続から構成される。
図示しない制御部の発光素子からは、駆動部を制御するため、第1の光および第2の光が放射されるが、制御する目的に応じて、第1または第2の光のいずれか一方の光が、二者択一的に選択されて放射される。
光ファイバー等の光導波路の先端が第1および第2のフォトダイオード列4、5の図面上方に設置されている。第1のフォトダイオード列4には、第1の光入射口6を介して第1の光が照射され、第2のフォトダイオード列5には、第2の光入射口7を介して第2の光が照射される。第1の光入射口6と第2の光入射口7とは遮光材8により囲まれ、第1の光が第2のフォトダイオード列5に照射されることを防止し、第2の光が第1のフォトダイオード列4に照射されることを防止する。
第1または第2の光が、それぞれ受光素子である第1または第2のフォトダイオード列4、5に照射されると、光電効果により、第1または第2のフォトダイオード列4、5のフォトダイオードの個数に比例した電圧が発生する。例えば、制御部から第1の光が照射されると、ゲート電極2にはソース電極3に対してプラスの電圧が印加される。トランジスタ1のしきい値電圧より高い電圧が発生するように、ダイオードの個数を設定しておくことにより、トランジスタ1はON(通電)状態とすることができる。例えば、1個のフォトダイオードから得られる電圧は、Si系フォトダイオードの場合0.5[V]、GaN系フォトダイオードの場合2[V]であり、それぞれ5個で2.5[V]または10[V]の電圧を生成することができる。またGaN系フォトダイオードの場合、さらに組成としてInを添加することによって、得られる電圧が変化する。トランジスタのしきい値電圧およびフォトダイオードの特性(構成する半導体の特性)に合わせて、フォトダイオードの個数を設定すれば良い。
このように、トランジスタ1を動作させる電源を必要とせず、第1の光から直接、トランジスタ1を駆動する電圧を発生させるため、トランジスタ1の駆動速度を高速化することができる。
次に、このオン状態から、第1の光の照射を止めると、ゲート電極2には電圧が印加されず、抵抗9を介して電流が流れ、ゲート電極2の電位が下がりオフ状態(非通電)となる。オン状態からオフ状態への移行は、ゲート電極2等の寄生容量と抵抗9との積である時定数に依存する。
一方、第2の光を照射することにより、ゲート電極2はソース電極3に対しマイナスの電圧が印加されるため、トランジスタ1はオフ状態となる。また、第2の光を照射する前の状態が、トランジスタ1のオン状態であった場合、強制的にトランジスタ1はオン状態からオフ状態へ以降する。そのため、第2の光が照射されない場合と比較し、トランジスタ1の応答速度は、高くなる。
なお、一旦トランジスタ1がオフ状態に推移すると、第2の光の照射を停止してもオフ状態が継続するため、第2の光の照射を停止することができる。それにより、制御部での不要な電力消費を防止する。
このように、制御部から発生する光により駆動部を制御するため、両者は電気的に分離されており、駆動部のノイズが制御部に影響することが無い。
図2は、図1に示された回路を実現するデバイスの主要部分の断面図である。それぞれ個別に形成されたフォトダイオード列を構成する部分(以下、受光部と称す)とIGBTやパワーMOSトランジスタ等の電気回路を構成する部分(以下、トランジスタ部と称す)とを貼り合わせて実装し、一体化された光駆動の半導体素子(デバイス)を示す。
図2のように第1および第2のフォトダイオード列4、5とトランジスタ1とを最短距離で接続することにより、不要な寄生抵抗、寄生容量の発生を防止し、応答速度の高速化を図れる。さらに、トランジスタ1と第1および第2のフォトダイオード列4、5とを積層構造とすることにより、本デバイスの小型化、高集積化を実現することができる。
以下では図2を参照し、まず、受光部について説明し、次に、トランジスタ部について説明する。
第1および第2のフォトダイオード列4、5には、サファイア基板10上に形成されたノンドープのInGaN層11、例えばInの組成が1〜25[%]、膜厚100[nm]に、イオン注入等により不純物をドーピングすることにより、n型InGaN層12とp型InGaN層13とが交互に形成されている。そして、p型InGaN層とn型InGaN層とを、1つ置きに配線14により電気的に接続することにより、PN接合を有するダイオードが直列に複数個整列した、第1および第2のフォトダイオード列4、5が形成されている。なお、サファイア基板10の代わりにノンドープのGaN基板を用いても良い。
上記のように形成された第1および第2のフォトダイオード列4、5を覆うように、絶縁膜15、例えばシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜、が形成されている。絶縁膜15のコンタクトホールに形成された導電性ヴィアプラグ16を介して、電極17と第1および第2のフォトダイオード列4、5とが電気的に接続されている。光電効果により発生した電圧は、電極17から外部に引き出すことができる。
なお、図2において、配線14は直接p型InGaN層とn型InGaN層とを接続する構成となっているが、p型InGaN層とn型InGaN層上にコンタクトホールを形成し、コンタクトホールを介して接続しても良い。また、ヴィアプラグ16と電極17とは同一であってもよい。即ち、コンタクトホールを形成後、金属膜、例えば、Ti、Al、Ni、Pt、Au、W等を形成し、パターニングすることで、ヴィアプラグ16と電極17とを同時に形成することができる。また、p型InGaN層とオーミックコンタクトするための電極としては、Ni/Pt/Auを、n型InGaN層とオーミックコンタクトするための電極としてはTi/Alを使用することができる。
次に、スイッチング動作するトランジスタ部について、説明する。
図面下方よりp+GaN層とn+GaN層との積層構造のGaN基板18上に、ゲート絶縁膜19、例えばシリコン酸化膜、を介してゲート電極20、例えばMo、が形成されている。ゲート電極20の両側のGaN基板18には、イオン注入等により不純物が導入され、それぞれn型拡散層21a、p型拡散層22aとn型拡散層21b、p型拡散層22bとが形成されており、IGBTを構成する。なお、GaN基板は、サファイア基板とその上に形成されたGaN層であっても良い。
ゲート電極20およびGaN基板18を覆うように絶縁膜23、例えばシリコン酸化膜、が形成されている。n型拡散層21aとp型拡散層22a、n型拡散層21bとp型拡散層22b上に形成されたコンタクトホ−ルには、それぞれ導電性ヴィアプラグ24a、24bが形成されている。これらの導電性ヴィアプラグ24a、24bにより、n型拡散層21aとp型拡散層22a、n型拡散層21bとp型拡散層22bが、電気的に接続されている。このように絶縁破壊電圧および飽和電子速度が高いGaNによりトランジスタを構成することで、高耐圧かつ高出力なトランジスタを得ることができる。
また、上記トランジスタは高耐圧であるため、トランジスタがオフ状態でのリーク電流が小さく、第1の光照射後にオフ状態に移行する時定数が大きくなる。そのため、第2の光の照射によるトランジスタのオフ状態への強制的移行が、高速動作に対して特に効果を奏する。
絶縁膜23上には、配線(電極)25が形成されており、導電性ヴィアプラグ24aおよび24bを介して、n型拡散層21a、p型拡散層22aおよびn型拡散層21b、p型拡散層22bに、電気的に接続されている。
また、配線25は、ゲート電極20上に形成された導電性ヴィアプラグ24cを介して、ゲート電極20に電気的に接続されている。
なお、上記と同様に、ヴィアプラグ24a、24b、24cと配線25とは同一であってもよい。即ち、コンタクトホールを形成後、金属膜、例えば、Ti、Al、Ni、Pt、Au、W等を形成し、パターニングすることで、ヴィアプラグ24a、24b、24cと配線25とを同時に形成することができる。
なお、上記においては、IGBTについて説明したが、GTO、MOSFETやバイポーラトランジスタであっても良く、例えば特開2007−201093等に開示されているGITであっても良い。また、配線25のパターン形状は、電気回路により、適宜確定する。
図2において受光部と、トランジスタ部とは、電極17と配線25とが電気的に接続している。上記説明においては、簡単のため、電極17と配線25とが直接接する構造について説明した。しかし、電極17、配線25上に、それぞれ、絶縁膜を形成し、電気的接続を行う箇所を開口し、金属のパッド、例えばアルミニウム、を形成し、さらに金や半田等のバンプを形成し、それぞれ形成されたバンプを接続しても良い。
電気的接続は、半田等の導電性接着剤等を利用することができるが、半田溶融による金属接合以外でも、樹脂の硬化圧縮力による圧接でも良い。
接続された受光部とトランジスタ部は、遮光性樹脂26(遮光性部材)により封止される。第1および第2のフォトダイオード列4、5に光を導入するため、受光部のサファイア基板側の遮光性樹脂26の一部を開口し、第1および第2の透光性樹脂27a、27bが封止されている。第1および第2の透光性樹脂27a、27bは、図1における第1の光入射口6および第2の光入射口7に相当し、遮光性樹脂26は、図1における遮光材8に相当する。
なお、遮光性樹脂および透光性樹脂は、光結合型半導体リレーで使用されている、市販の樹脂を利用することができる。また、遮光性樹脂26は光を遮る部材(物質)であればよく、セラミックであっても良く、第1および第2の透光性樹脂27a、27bは、光を透過する部材(物質)であればよく、石英ガラスであっても良い。
制御部においては、駆動部のトランジスタの動作を制御するための発光素子である第1および第2のLED28a、28bと、上記第1および第2のLED28a、28bを発光させるのに必要な電圧を印加する第1および第2のLED制御回路29a、29bを備える。第1および第2のLED28a、28bから放射された第1および第2の光は、第1および第2の光ファイバー(光導波路)30a、30bにより導かれ、上記第1および第2の透光性樹脂27a、27bを経由し、第1および第2のフォトダイオード列4、5に照射されることになる。
図2に示す構造において、受光部とトランジスタ部とは、積層構造であるため、受光部に入射した第1および第2の光の一部は、トランジスタ部にも入射することになる。しかし、本発明における半導体素子においては、例えば光の波長をInGaNにおいては吸収されるがGaNにおいては吸収されない波長とすることにより、トランジスタ部の動作は、第1および第2の光の影響を受けることを防止し、フォトダイオード列の受光層をInGaNで形成することにより、フォトダイオード列において電圧を発生させることができる。具体的には、第1および第2の光の波長を例えば390[nm]および500[nm]とすれば良い。
トランジスタ部には、回路上必要な素子、例えば抵抗、キャパシタ、ダイオード、その他のトランジスタも形成できる。上記の通り、入射光は、トランジスタを構成する半導体(GaN)に吸収されず、その動作特性への影響が無いため、第1および第2のフォトダイオード列4、5により駆動するトランジスタを形成するGaN基板と同一のGaN基板に、集積回路を形成することにより、マイコン等の集積回路と光駆動のトランジスタ部と一体化して形成することができ、さらに小型の光駆動半導体素子を得ることができる。
また、図2に示すように、第1のフォトダイオード列4と第2のフォトダイオード列5とは隣接している。そのため、本来は第1のフォトダイオード列4のみに照射される第1の光が、多重反射等により、第1の光の一部が第2のフォトダイオード列5に入射することがある。逆に第2の光の一部が、第1のフォトダイオード列4に入射することがある。以下では、このように本来の照射対象と異なるフォトダイオード列へ入射する光を”二次的入射光”と称し、本来の照射対象のフォトダイオード列へ入射する光は、単に”入射光”と称す。
二次的入射光の強度は、入射光の強度と比較し1桁もしくはそれ以上小さいため、その影響は少ない。また、第1および第2のフォトダイオード列4、5においては、光により誘起される電流が再結合電流(リーク電流)よりも小さい場合には電圧が生じないため、実際には電圧が出力される照射光の強度にはしきい値がある。そのため、二次的入射光の強度が、しきい値と同等以下であれば、なんら影響を与えることは無い。
上記例では第1および第2のフォトダイオード列4、5をInGaNにより形成したが、Siで形成しても良い。光の波長を、第1および第2のフォトダイオード列4、5では吸収し、GaNでは透過する波長、例えば青色発光LEDを用いて制御部から光信号を送信すると、フォトダイオード列では光電効果により、電圧を生じるが、GaNで構成したトランジスタは青色の光を透過し、光により誤動作することは無い。すなわちトランジスタを構成する半導体と第1および第2のフォトダイオード列4、5を構成する半導体とは、光吸収波長の異なる材質であるため、入射する第1および第2の光がトランジスタの動作に影響を与えること無く、第1および第2のフォトダイオード列4、5において光起電力を発生させることができる。
このようにトランジスタをGaNで構成(形成)することにより、高耐圧、高出力が得られるだけでなく、GaNを透過する光により、受光素子を駆動し、受光とトランジスタの誤動作の防止をも可能となる。
なお、上記例では、小型化のために上下(垂直方向)に受光部とトランジスタ部とをならべたが、左右(水平方向)に受光部とトランジスタ部とをならべ、ワイヤーボンディングにより電気的に両者を接続しても良い。この場合、受光部の上下を逆転し、光を基板側からでなく、絶縁膜15側から照射しても良い。また、受光部の基板は、Si基板を用いても良い。さらに、同一のサファイア基板に、受光部とトランジスタ部とを形成し、多層配線技術を用い接続しても良い。
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、光ファイバーを2本使用し、制御部から駆動部を制御する光を導いている。本実施形態では、光ファイバーを1本に減ずることができる。その結果、特に多数の駆動部を制御する場合において、光ファイバーの本数の縮減を図ることができ、光ファイバーを配置する自由度を増やすことができる。以下、第2の実施形態について、図3を用い、詳細に説明する。
まず、制御部から発せられ、駆動部のスイッチング動作するトランジスタをオン状態またはオフ状態にする2つの制御用の光を、それぞれ異なる波長の光とする。例えば、図2において第1および第2のLED(発光ダイオード)28a、28bを異なる特性を有するLEDとし、それぞれ異なる波長の光を発光するLEDとする。例えば第1のLED28aからは、相対的に波長の短い波長400nmの第1の光が、第2のLED28bからは相対的に波長の長い波長450nmの第2の光が放射されるとする。これらのLEDは市販のものを利用すれば良い。
図3に示すように、制御部から照射光として第1または第2の光が選択的(二者択一的)に放射され、照射光を1本の光ファイバー31により、第1および第2のフォトダイオード列4、5上に照射するように導く。そして、光ファイバー31と第1および第2のフォトダイオード列4、5との間には、第1および第2の光学フィルタ32、33がそれぞれ設置されている。
第1および第2の光学フィルタ32、33は、例えば、第1および第2の光の波長の間の波長よりも短波長側の光を透過するショートパスフィルタ、および長波長側の光を透過するロングパスフィルタをそれぞれ使用できる。あるいは、第1の波長および第2の波長の光のみを透過するバンドパスフィルターであっても良い。すなわち、第1および第2の光学フィルタ32、33は、透過する光の波長域が異なり、これらの光学フィルターにより制御部から発せられる異なる波長の第1および第2の光を分離できれば良い。したがって、第1および第2の光学フィルタ32、33が透過する光の波長域は、一部重なっていても良い。なおこれらの光学フィルターは、市販のフィルターを使用できる。
第1および第2の光学フィルタ32、33は、例えば図1の第1の光入射口および第2の光入射口に設置でき、具体的には、例えば図2において第1および第2の透光性樹脂27a、27bと置き換えて、一体型として構成できる。あるいは第1および第2の光学フィルタ32、33を、第1および第2の透光性樹脂27a、27bの表面に接着しても良いし、近接して設置しても良い。
また、受光部とトランジスタ部とを上下(垂直方向)に積載するのではなく、左右(水平方向)に設置する場合、受光部を上下逆転し、第1のフォトダイオード列4および第2のフォトダイオード列5上の絶縁膜15に、設置しても良い。すなわち、1本の共通の光ファイバー31(光導波路)と、第1および第2のフォトダイオード列4、5との間に第1および第2の光学フィルタ32、33をそれぞれ設置すれば良い。
(第3の実施形態)
第2の実施形態においては、2つの異なる波長の光を1本の光ファイバーで導き、第1および第2のフォトダイオード列4、5に照射されるよう構成している。
本実施形態においては、2つの光の波長は同じであるが、2つの異なる偏光、例えば電界成分の方向が互いに垂直なTE波とTM波を、1本の光ファイバーで導き、第1および第2のフォトダイオード列4、5に照射されるよう構成するものである。以下、図4を用い詳細に説明する。
まず、1本の光ファイバーによって、偏光方向の異なる光、例えばTE波およびTM波に偏光した光を導く。そして、図4に示す通り、第1および第2のフォトダイオード列4、5と光ファイバーとの間に、それぞれTE波、TM波を透過する第1および第2の偏光フィルター34、35を設置する。あるいは、偏光方向の異なる光に合わせて、第1および第2の偏光フィルター34、35の角度を調整する。そして、1本の光ファイバーにより、TE波もしくはTM波に偏光した光を、第1若しくは第2のフォトダイオード列4、5に照射する。
なお、制御側からTE波、TM波に偏光した光を導くには、例えば、第1および第2のLED28a、28bと光ファイバーとの間に、それぞれTE波、TM波を透過する偏光フィルタを設置すれば良い。
その結果、第2の実施形態同様に、1本の光ファイバーにより、異なる特性の光を導くことができるため、光ファイバーの設置の自由度が増え、装置の設置面積を小さくできる効果がある。
(第4の実施形態)
以下では、本発明の実施形態におけるラッチ型の光駆動半導体素子であり、光を受光し、かつ光によりスイッチング動作(駆動)するGaN系窒化物半導体を用いた光駆動サイリスタについて説明する。ワイドバンドギャップのGaN系半導体を活用することで、高耐圧と高出力電流を両立することができる。
図5に、本実施形態の光駆動のサイリスタの断面構造を示す。図面下層から順に、p型オーミック電極(例えば、Ti/Pt/Au)である第1の電極41(アノード)、p型GaN層40、n型GaN層39、p型InGaN層38、n型GaN層37、透明伝導体(例えばITO膜)からなる透明電極である第2の電極36(カソード)の4層構造をなす。なお、第2の電極は必ずしも透明伝導体により形成する必要はなく、遮光性の金属を用いても良い。この場合、第2の電極に光を透過する開口部を設ければ良い。開口部は透明材料で覆えば良く、この場合透明材料は絶縁性材料であっても良い。
n型GaN層37の不純物濃度は、例えばSiまたはGe、1×1018〜5×1019[/cm]、膜厚は20〜100[nm]であり、p型InGaN層38の不純物濃度は、例えばMg、5×1016〜2×1019[/cm]、膜厚は100[nm]であり、n型GaN層39の不純物濃度は、例えばSiまたはGe、1×1015〜5×1017[/cm]、膜厚は1000〜1500[nm]であり、p型GaN層40の不純物濃度は、例えばMg、1×1017〜2×1019[/cm]、膜厚は5[μm]である。
これらの窒化物半導体層は、既知のMOCVD法により、順にエピタキシャル成長させることができる。使用する基板は、GaN基板のほかサファイア、SiC、Ga2O3(酸化ガリウム)基板を用いることができる。
Inの組成は、MOCVD法の成膜条件により調整可能である。例えば、Ga(ガリウム)ソースとしてTMG(トリメチルガリウム)、TEG(トリエチルガリウム)等、N(窒素)ソースとしてはアンモニア、ヒドラジン等、In(インジウム)ソースとしては、TMI(トリメチルインジウム)、TEI(トリエチルインジウム)等のガスを用い、これらのガスの流量比(分圧)を調整すれば良い
また、上記の通り、n型不純物としてはSiまたはGe、p型不純物としてはMgを用いることができ、不純物濃度は、例えばn型不純物のSiを用いる場合はSiH(シラン)またはジシラン(Si)、Geを用いる場合はGeH(ゲルマン)、テトラメチルゲルマニウム((CHGe)またはテトラエチルゲルマニウム((CGe)、p型不純物のMgを用いる場合はCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)等のガスをMOCVD法の材料ガスとして添加し、ガス流量により調整することができる。
図5において、n型GaN層37とp型InGaN層38とn型GaN層39とで、第1のバイポーラトランジスタ(npnバイポーラトランジスタ)を構成し、p型GaN層40とn型GaN層39とp型InGaN層38とで第2のバイポーラトランジスタ(pnpバイポーラトランジスタ)を構成する。第1のバイポーラトランジスタにおいては、エミッタ層、ベース層、コレクタ層は、それぞれn型GaN層37、p型InGaN層38、n型GaN層39であり、第2のバイポーラトランジスタにおいては、エミッタ層、ベース層、コレクタ層は、それぞれp型GaN層40、n型GaN層39、p型InGaN層38である。
本実施形態の光駆動サイリスタの耐圧は、n型GaN層39の不純物濃度と膜厚で決まり、上記例では、100[V]程度の高耐圧を得られるが、GaNの臨界電界強度は200〜300[V/μm]であるため、不純物濃度が同程度でも、膜厚を10[μm]程度とすることにより、1000[V]以上の耐圧をも実現できる。
第1のバイポーラトランジスタのベース層がp型InGaN層38により構成されているため、例えば青色発光ダイオードより放射される光を、透明電極からなる第2の電極36側から入射すると、入射光はGaN層では吸収されず、ベース層のp型InGaN層38で吸収され、電子・正孔対が生成される。生成された電子と正孔はエミッタとコレクタの両方に拡散するが、InGaN層38内の正孔はヘテロ接合のために拡散が抑制され、InGaN層38内に蓄積される。その結果第1のバイポーラトランジスタのベース層を正方向バイアスすることになり、第1のバイポーラトランジスタはオン状態(導通状態)になる。これはヘテロ構造を有効に働かせることができる1つの特徴である。
光が遮断した状態では、電子と正孔は再結合により消失し、オフ状態(非導通状態)になる。GaNは直接遷移型の半導体材料であるため、この再結合に必要な時間は極めて短く、ナノ秒オーダーである。ただし、後述する条件においては、本実施形態の光駆動サイリスタが、光照射により一旦オン状態(通電状態)になれば、第2のバイポーラトランジスタから第1のバイポーラトランジスタのベース電流が供給され続け、通電状態が維持される。それ以外の条件では、光照射が停止した場合、即座に本実施形態の光駆動サイリスタはオフ状態(非通電状態)となる。
なお、第1のバイポーラトランジスタにおいて、ベース内で再結合をなるべく小さくなるようにするため、P型InGaN層の濃度は1×1019[/cm]以下で厚さは300nm以下である。この条件は、他の実施形態である光駆動双方向サイリスタや双方向バイポーラにおいても同様である。
本実施形態の光駆動サイリスタに、GaN層では吸収されずInGaN層で吸収される波長の光を照射した場合、GaN層において、光が吸収されないため、p型InGaN層38への光の入射量が減少することもなく、GaN層において不要な電流が生じ、第1および第2のトランジスタの増幅率を劣化させることもない。また、特許文献2の炭化ケイ素の光駆動サイリスタと比べ、本発明は受光部を直接遷移のInGaN半導体で構成するため、受光感度を高めることができる。
以下では、光照射により第1のバイポーラトランジスタに電流が生じた後に、本構造の光駆動サイリスタが、電流を保持する条件について説明する。
第1のバイポーラトランジスタのベース電流、コレクタ電流をそれぞれIb1、Ic1、第2のトランジスタのベース電流、コレクタ電流をそれぞれIb21、Ic2、第1のバイポーラトランジスタの直流電流増幅率をhFE1、第2のバイポーラトランジスタの直流電流増幅率をhFE2とする。光の照射により、第1のバイポーラトランジスタにベース電流Ib1が誘起されると、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ電流は、
c1=hFE1b1 ・・・・・・(式1)
となる。第1のバイポーラトランジスタのコレクタ電流は、第2のバイポーラトランジスタのベース電流Ib2となるため、第2のバイポーラトランジスタのコレクタ電流は、
c2=hFE2b2=hFE2FE1b1 ・・・・・・(式2)
となる。さらに、第2のバイポーラトランジスタのコレクタ電流は、第1のバイポーラトランジスタのベース電流となるため、hFE2とhFE1との積についての以下の条件(式3)を満たす場合、正帰還が働き、通電状態が維持される。
FE2FE1≧1 ・・・・・・(式3)
すなわち、第1のバイポーラトランジスタと第2のバイポーラトランジスタの其々のhFE1とhFE2との積が1以上となると、等価回路上で正帰還が維持されるため、光照射を停止して(非照射時)も通電状態(オン状態)は維持される。また、hFE1とhFE2との積が1より小さければ、光の照射を停止すると、即時に光駆動サイリスタは非通電状態(オフ状態)となる。
このように上記式3を満足することにより、光照射により第1のバイポーラトランジスタにおいて、一旦エミッタ層からコレクタ層へ電流が流れると、光照射が停止した後も、本サイリスタに供給される電力により、電流を流し続けることができる。そのため、照射する光のエネルギーによらずに電流を発生することが可能であり、例えば100[A/cm]以上の大電流を取り出すことができ、電力素子用サイリスタとして好適に利用することができる。
本実施形態のサイリスタにおいては、p型InGaN層38は受光層として機能するだけでなく、第1のトランジスタのベース層として機能する。InGaNはGaNと比較しバンドギャップが小さいため、第1のバイポーラトランジスタはヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成となる。このような構成により、エミッター層とベース層間の正孔のバリア障壁を大きくすることができ、第1のトランジスタの直流電流増幅率hFE1は、例えば1000程度と、非常に大きな増幅率を実現することができる。
上述の通り、第1のバイポーラトランジスタのp型InGaN層38が、受光層と、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース層との両方の機能を果たすためには、Inの組成が重要となる。p型InGaN層38のInの組成が少なすぎると、InGaN層の光の吸収域とGaN層の光の吸収域とが重なりGaN層においても光が吸収されてしまい、逆にInの組成を増加させることにより、InGaN層の歪み量が大きくなり、圧電電界が増大して受光感度が向上する。一方、Inの組成が多くなると、結晶欠陥が増大し、再結合が増え、電流利得の向上効果が低下する。そのため、両者の関係はトレードオフの関係にある。
受光層とベース層としての特性を両立できるp型InGaN層38のInの組成は、1〜25[%]、さらに好適には10〜15[%]である。なお、InGaNの組成は上記の通りInGa1−xNで表すことができ、例えばInの組成15[%]は、x=0.15に相当する。
本発明にかかる光駆動のサイリスタは、受光層がヘテロ接合トランジスタのベース層でもあるため、受光層の電流が通常のバイポーラトランジスタより高い比率で増幅され、その結果、実質的に受光感度を高める効果がある。そのため、図5に示すようにGaN系窒化物半導体の4層構造という単純な膜構成でありながら、1つの素子に受光素子とスイッチングトランジスタとを融合した小型で高出力の光駆動半導体素子を実現できる。従って、複数のトランジスタを用い、これらを寄生抵抗、寄生容量の原因となる配線によりダーリントン接続する必要もなく、受光感度を高めるために受光層に量子井戸のような複雑な構造を採用する必要もない。
このように、1つの光駆動サイリスタを用いるため、小型化による高集積化によって製造コストの低減が可能となり、さらにGaN層とInGaN層の単純な膜構成であることにより、GaN系半導体の結晶成長にともなう製造コストを低くすることができる。
また、ベース層であるp型InGaN層38を受光層とすることにより、p型InGaN層38へのオーミック電極が不要となるため、電極とベース層間の高いコンタクト抵抗による増幅率低下の問題も発生しないという効果もある。
なお、上記実施形態において、全てのGaN層とInGaN層の導電型を逆の導電型にすることにより、サイリスタを構成しても良い。それにより、通電する電流方向が逆のサイリスタを得ることができ、電力駆動設備に使用する電気回路の設計の自由度を増すことができる。図5において、導電型を逆の導電型、例えばp型をn型、n型をp型に置き換えた構成であるため、図面は省略するが、後述の図8の第3のサイリスタ57部分に相当する。
導電型の制御は、上記の通り、MOCVD法において、導電型に合わせてドーピングする不純物のソースガスを選択すれば良い。
(第5の実施形態)
InGaN層とGaN層とが接する場合、格子定数の不連続によるポテンシャルのスパイクが発生することがある。スパイクの存在は再結合を増大させ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの増幅率を低下させてしまうことがある。そのため、InGaN層(InGa1−xN)とGaN層との間に、段階的にInの組成が変化するInGa1−yN層(0≦y≦x)であるInグレイデッド層を設けても良い。なお、yはxとは異なり上記範囲(0≦y≦x)で、InGa1−yN層内で組成分布が変化することを表す。
すなわち、図6に示すとおり、n型GaN層37とp型InGaN層38との間、n型GaN層39とp型InGaN層38との間にそれぞれノンドープのInグレイデッド層42、43を、例えば膜厚30nm形成することにより、ポテンシャルのスパイク発生を防止し、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能劣化を防止することができる。
Inグレイデッド層は、p型InGaN層38からn型GaN層37またはn型GaN層39に向けて、段階的にInの組成を減少させたInGaN層(InGa1−yN層、0≦y≦x)である。すなわち、Inグレイデッド層のInの組成はp型InGaN層38のInの組成以下、0以上の範囲で単調に減少する。例えばp型InGaN層のInの組成が15[%]の場合、Inグレイデッド層の膜厚に対して、p型InGaN層からn型GaN層37またはn型GaN層39に向けてInの組成を15[%]から0[%]へと線形に減少させれば良い。Inの組成は、MOCVD法によりInGaNを成膜する際に、原料ガスの流量(分圧)を制御することにより、設定できる。
p型InGaN層38とn型GaN層39との間のInグレイデッド層43を省略した場合には、p型InGaN層38に注入される電子の初速度を大きくすることができ、hFE1が大きくなるので、より低い光量でサイリスタ動作が生じしせめることができるという効果がある。
(第6の実施形態)
第4の実施形態のサイリスタは、一方向に電流を流すことが可能なスイッチング素子であるが、双方向に電流を流すことが可能な、光駆動のスイッチング素子を実現することも可能である。
図7は、第1および第2のサイリスタ44、45を並列に並べた双方向サイリスタの断面構造を示す。第1のサイリスタ44は、図7の上方からn型GaN層46、p型InGaN層47、n型GaN層48、p型GaN層49の順に構成されている。一方、第2のサイリスタ45は、第1のサイリスタ44の上下を逆転した構造である。図7の下方から、n型GaN層48、p型InGaN層47、n型GaN層46、p型GaN層50の順に構成されている。各層はMOCVD法により形成し、p型GaN層49およびp型GaN層50を、それぞれn型GaN層48およびn型GaN層46上でパターニングすることにより形成することができる。
第1のサイリスタ44のn型GaN層46には、n型オーミック電極51、例えばTi/Al(10/500[nm])が、p型GaN層49には、p型オーミック電極52、例えばNi/Pt/Au(10/50/300[nm])が形成されており、第2のサイリスタ45のn型GaN層48には、n型オーミック電極54、例えばTi/Alが、p型GaN層50にはp型オーミック電極53、例えばNi/Pt/Auが形成されている。
n型オーミック電極51とp型オーミック電極53との間隔、p型オーミック電極52とn型オーミック電極54との間隔は、例えば5[μm]である。また、各々の金属層を形成した後、適切な温度(400〜1000℃)でオーミック接触となるようアニールを行った。
これらの電極は、真空蒸着法等により成膜し、エッチング(リフトオフ)により、パターン形成することができる。
n型オーミック電極51とp型オーミック電極53とは透明電極55、例えばITO膜により、p型オーミック電極52とn型オーミック電極54とは接続電極56により、電気的に連結されている。すなわち、n型オーミック電極51とp型オーミック電極53と透明電極55とで1つの電極(第3の電極)を構成し、p型オーミック電極52とn型オーミック電極54と接続電極56とでもう1つの電極(第4の電極)を構成する。従って、第3の電極と第4の電極は、n型GaN層とp型GaN層との両方にオーミック接続が可能なオーミック電極を構成する。
なお、接続電極56は、p型オーミック電極52若しくはn型オーミック電極54と同じであっても良く、または、例えばNi、Au等の他の金属を別途真空蒸着法等により形成してもよい。
図7に示すとおり、第1および第2のサイリスタ44、45は、その向きが逆方向に並んだ構成である。いずれのサイリスタも第4の実施形態記載のサイリスタを構成し、p型InGaN層47は、受光層であり、さらにヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース層である。p型InGaN層47の機能は、第4の実施形態記載の通りである。
本実施形態においては、向きが逆方向に並んだ構成であるため、透明電極55を透過する光により(光をトリガーとして)、電流を透明電極55と接続電極56の間において、双方向に流すことが可能であり、例えば交流電力の制御が可能となる。
なお、本実施形態に対して、第5の実施形態に記載の通り、Inグレイデッド層を形成しても良い。
(第7の実施形態)
第6の実施形態においては、2つのサイリスタを用いて双方向サイリスタを形成したが、第6の実施形態と極性の異なる2つのサイリスタ、すなわち全ての窒化物半導体(GaN層およびInGaN層)の導電型を逆の導電型とした窒化物半導体(GaN層およびInGaN層)を用いて双方向サイリスタを形成しても良い。それにより、電力駆動設備に使用する電気回路の設計の自由度を増すことができる。
図8は、第3および第4のサイリスタ57、58を逆方向に並べた双方向サイリスタの断面構造を示す。第3のサイリスタ57は、図8の上方からp型GaN層59、n型InGaN層60、p型GaN層61、n型GaN層62の順に構成されている。一方、第4のサイリスタ58は、図8の下方から、p型GaN層61、n型InGaN層60、p型GaN層59、n型GaN層63の順に構成されている。p型GaN層59にはp型オーミック電極64、n型GaN層62にはn型オーミック電極65、p型GaN層61にはp型オーミック電極66、n型GaN層63にはn型オーミック電極67が形成されている。p型オーミック電極64とn型オーミック電極67には透明電極55が接し、n型オーミック電極65とp型オーミック電極66には接続電極56が接している。
n型オーミック電極67とp型オーミック電極64と透明電極55とで1つの電極(第3の電極)を構成し、p型オーミック電極66とn型オーミック電極65と接続電極56とでもう1つの電極(第4の電極)を構成する。なお、各電極の材料は上述のとおりである。
第3および第4のサイリスタ57、58において、n型InGaN層60が、受光層およびヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース層となる。図7とは極性は反対であるが、第4の実施形態のサイリスタと動作原理は同様であり、透明電極55を透過する光により第3および第4のサイリスタ57、58が駆動し、第3の電極と第4の電極の間において双方向に電流を流すことができる。
なお、導電型は、MOCVD法において、不純物のソースガスの材料と流量の設定により、決定することができる。
また、本実施形態に対して、第5の実施形態に記載のように、Inグレイデッド層を形成しても良い。
なお、透明電極55は、開口部を有する遮光性の金属等の導電性膜から形成されても良い。
(第8の実施形態)
第6および第7の実施形態においては、2つのサイリスタを逆方向に並列することにより、双方向に電流を流す構成であった。第8の実施形態では、図9に示す単純な構造によって、光駆動で双方向のスイッチング特性を有する半導体素子(バイポーラトランジスタ)を実現する。本実施形態の半導体素子は、光照射時のみ、双方向に電流を流すことができる点において、第6および第7の実施形態の光駆動半導体素子と動作が異なる。
図9に示すように、図中上方より順に、透明伝導材、例えばITO膜からなる第5の電極68、n型GaN層69、例えば、SiまたはGeの不純物濃度1×1018〜5×1019[/cm]、膜厚50[nm]、相対的に低不純物濃度であり膜厚が厚い第1のドリフト層70、例えばSiまたはGeの不純物濃度1×1015〜5×1017[/cm]、膜厚1000[nm]、p型InGaN層71、例えばMgの不純物濃度5×1016〜2×1019[/cm]、膜厚100[nm]、上記第1のドリフト層70と同じ構成である第2のドリフト層72、例えばSiまたはGeの不純物濃度1×1015〜5×1017[/cm]、膜厚1000[nm]、n型GaN層73、例えば、SiまたはGeの不純物濃度1×1018〜5×1019[/cm]、膜厚50[nm]、第6の電極74が形成されている。p型InGaN層71は、受光層でもありヘテロ接合バイポーラのベース層でもあり、Inの組成についても第4の実施形態に記載の通りである。
なお、第5の電極68は、その一部に光を導入する開口部を形成することにより、遮光性の導電性膜で形成しても良い。
GaNはエネルギーギャップが大きいため、光を照射しない場合、第5の電極68と第6の電極74間において、どちら方向にも電流は流れない。また、p型InGaN層71の両側にドリフト層を形成しているため、電圧印加時の電界はドリフト層側の空乏層で緩和されるため、高耐圧を実現することができる。具体的には、GaNの臨界電界強度(Ec)は200〜300[V/μm]であるため、不純物濃度が低いドリフト層の膜厚をTとすると耐圧はEcT/2により得られる。ドリフト層の膜厚Tを10[μm]程度とすると、1000Vもの高耐圧を実現できる。
本実施形態の光駆動半導体素子に、GaN層では吸収されずInGaN層で吸収される波長の光を照射した場合には、受光層であるp型InGaN層71において光が吸収され、ベース層の伝導帯の障壁が下がり、膜構成の対称性により、第5の電極68と第6の電極74間のどちら方向についても電流が流れる。
第6の実施形態の双方向のサイリスタと比較し、出力電流は低くなるものの、単純な構造で、光により第5の電極68と第6の電極74間の電流をON(通電)、OFF(非通電)できる光駆動半導体素子を低コストに提供することができる。
なお、p型InGaN層71と第1のドリフト層70との間、p型InGaN層71と第2のドリフト層72との間に、さらに第5の実施形態記載のようにInの組成が段階的に変化するInグレイデッド層を設けても良い。
(第9の実施形態)
第8の実施形態においては、バイポーラトランジスタを用いて、光の照射、非照射により、トランジスタのオン状態、オフ状態の制御を行う光駆動半導体素子を実現していた。以下では、電界効果トランジスタを用いて、光の照射、非照射により、トランジスタのオン状態、オフ状態の制御を行う光駆動半導体素子について説明する。縦型のバイポーラによるトランジスタ構成に対し、水平方向に各電極を形成することが容易な電界効果トランジスタの構成とすることにより、高集積化、低コスト化が可能となる。
このような構成においては、ドレインに高電圧を印加する場合は、ドレイン領域をゲート領域から距離を離すことで、高耐圧を実現できる。また、ソース領域とドレイン領域をゲートから対称に距離を離せば、ソース・ドレインを入れ替えても(正電圧側をどちらに印加しても)、ゲート電極は電気的に接続されない状態であっても、光照射によってチャネルに二次元電子ガスが形成されるので、双方向動作が可能になる。
さらに、バイポーラトランジスタやサイリスタと異なり、電子の大部分がAlGaNとGaNの界面におけるエネルギーポテンシャルに閉じ込められた二次元電子ガスとして移動できるため、散乱が少なく、電子の速度が大きくできるため、スイッチング速度が高くできるなどの利点がある。
以下図10を参照し、第9の実施形態について説明する。
図10に示すように、基板75、例えばサファイア基板上に、アンドープのGaN層76、アンドープのInグレイデッド層77、アンドープのInGaN層78、アンドープのGaN層79、アンドープのAlGaN層80が順に形成されている。上記GaN層76、アンドープのInグレイデッド層77、アンドープのInGaN層78、アンドープのGaN層79、アンドープのAlGaN層80の積層構造体上に、さらに、パターニングされたp型AlGaN層81が形成されている。AlGaN層は、上記Gaソースガス、NソースガスおよびAlソースガス、例えばトリメチルアルミニウム、を原材料として含むMOCVD法により形成することができ、さらにp型AlGaNは、例えばMgソースガスを添加することによりMOCVD法により形成することができる。
p型AlGaN層81は、例えばAl組成は15%、p型不純物濃度は、1×1018[/cm]、膜厚は100[nm]であり、AlGaN層80は、例えばAl組成は15%、膜厚は15[nm]、GaN層79は、例えば膜厚は20[nm]、InGaN層78は、例えば膜厚は100[nm]である。InGaN層78は、格子定数の異なるGaN層に挟まれた構造であり、格子定数の差に基づく応力が加えられている。
p型AlGaN層81はバンドダイアグラム上でコンダクションバンドのポテンシャルを持ち上げる効果があるので、ゲート電極のバイアス電圧がゼロの状態では二次元電子ガスが生起されていない状態にする働きを持つ。即ち、ノーマリーオフ化の働きをする。また、アンドープのAlGaN層80は、その下に生起される二次元電子ガスが近くにあるp型不純物による散乱などの影響を少なくする効果を有する。
ここでInグレイデッド層77は、InGaNのIn組成が、InGaN層78からGaN層76に向かって減少するInGaN層であり、具体的構成は第5の実施形態と同様である。なお、Inグレイデッド層77は、例えば膜厚は50[nm]である。
Inグレイデッド層77は、光照射で生成された電子を速やかに基板側に流す効果があるが、InGaN層の厚みが100nm程度と厚ければ、Inグレイデッド層77は、省略することも可能である。
ゲート領域を構成するp型AlGaN層81上には、例えばITO膜によりゲート電極82が形成され、オーミック接触している。p型AlGaN層81の両側のAlGaN層80上には、例えばTi/Alオーミック電極により、ソース電極82およびドレイン電極83が形成されている。それぞれの電極は、その下部にある各AlGaN層と電気的に接続されており、ノーマリーオフの電界効果トランジスタが構成される。
ゲート電極側から光照射する場合、ゲート電極82は、光透過性のあるITO膜とする必要があるが、基板下部から光照射する場合は金属膜を使用してもよい。
上記電界効果トランジスタに、基板75側からInGaN層に光を照射する。このとき、照射する光の波長は、InGaN層のみで吸収される波長を選択する。
バンドギャップエネルギーは、AlGaN、GaN、InGaNの順に小さくなるため、このような光の波長の選択は容易である。AlGaN、GaNで吸収されず、InGaNで吸収される光の波長を選択することが可能である。
図11に示すように、光を照射されたInGaN層78内で生成された正孔は、InGaN層78の自発分極および圧電分極によって、GaN層79側へ、引き寄せられる。引き寄せられた正孔の電荷によって、チャネル層であるGaN層79に電子が誘起される。その結果、電界効果トランジスタがオン状態(導通状態)になる。分極作用により、光照射時のオン状態時の抵抗も低減できる。
ゲート電極に追加的に正バイアスすることで、二次元電子ガスの濃度を高めることでオン状態を強くしたり、逆に負バイアスすることで高速にオフ状態を得ることもできる。
光照射を停止すると、再結合により正孔が消滅し、その結果電界効果トランジスタはオフ状態に戻る。
なお、基板75の材質は、サファイアの他SiC、酸化ガリウムを用いることができる。
また、ゲート電極82には、透明電極であるITO膜を使用することにより、InGaN層78への光の照射方向は、基板75側からでもゲート電極82側からでもどちら側からでも可能である。
以上のように、アンドープのInGaN層で吸収され、GaN層、前記アンドープのGaN層、アンドープのAlGaN層、p型AlGaN層で吸収されない光の照射、非照射により、電界効果トランジスタのオン状態(導通状態)、オフ状態(非導通状態)を制御でき、非照射時の高耐圧と、照射時の低抵抗とを両立する光駆動半導体素子を小型に提供することができる。
なお、上記本発明の実施形態に係る光駆動のサイリスタ、双方向サイリスタ、バイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタを形成した同一のGaN半導体基板に、GaN半導体を用いて構成したトランジスタ(例えば特開2007−201093記載のトランジスタ)等を用いた電子回路(マイコン等の集積回路)を形成し、上記光駆動のサイリスタ等と電気的に接続しても良い。GaN層において、吸収されずInGaN層において吸収される光を入射することにより、接続する電子回路部の特性に影響を与えないため、光駆動サイリスタ、双方向サイリスタ、バイポーラトランジスタと電子回路の集積化(一体化)が実現でき、さらに電力用駆動回路デバイスの小型化が可能である。
1 トランジスタ
2 ゲート電極
3 ソース電極
4 第1のフォトダイオード列
5 第2のフォトダイオード列
6 第1の光入射口
7 第2の光入射口
8 遮光材
9 抵抗
10 サファイア基板
11 InGaN層
12 n型InGaN層
13 p型InGaN層
14 配線
15 絶縁膜
16 ヴィアプラグ
17 電極
18 GaN基板
19 ゲート絶縁膜
20 ゲート電極
21a、21b n型拡散層
22a、22b p型拡散層
23 絶縁膜
24a、24b ヴィアプラグ
25 配線
26 遮光性樹脂
27a 第1の透光性樹脂
27b 第2の透光性樹脂
28a 第1のLED
28b 第2のLED
29a 第1のLED制御回路
29b 第2のLED制御回路
30a 第1の光ファイバー
30b 第2の光ファイバー
31 光ファイバー
32 第1の光学フィルタ
33 第2の光学フィルタ
34 第1の偏光フィルター
35 第2の偏光フィルター
36 第2の電極
37 n型GaN層
38 p型InGaN層
39 n型GaN層
40 p型GaN層
41 第1の電極
42、43 Inグレイデッド層
44 第1のサイリスタ
45 第2のサイリスタ
46 n型GaN層
47 p型InGaN層
48 n型GaN層
49 p型GaN層
50 p型GaN層
51 n型オーミック電極
52 p型オーミック電極
53 p型オーミック電極
54 n型オーミック電極
55 透明電極
56 接続電極
57 第3のサイリスタ
58 第4のサイリスタ
59 p型GaN層
60 n型InGaN層
61 p型GaN層
62 n型GaN層
63 n型GaN層
64 p型オーミック電極
65 n型オーミック電極
66 p型オーミック電極
67 n型オーミック電極
68 第5の電極
69 n型GaN層
70 第1のドリフト層
71 p型InGaN層
72 第2のドリフト層
73 n型GaN層
74 第6の電極
75 基板
76 GaN層
77 アンドープのInグレイデッド層
78 アンドープのInGaN層
79 アンドープのGaN層
80 アンドープのAlGaN層

Claims (12)

  1. 複数のフォトダイオードが直列に接続されている第1のフォトダイオード列と、前記第1のフォトダイオード列とは逆の極性の複数のフォトダイオードが直列に接続されている第2のフォトダイオード列とを備え、
    前記第1のフォトダイオード列および前記第2のフォトダイオード列は、並列にトランジスタのゲート電極とソース電極間、またはトランジスタのベース電極とカソード電極間に接続されており、
    前記トランジスタを構成する第1の半導体と前記第1のフォトダイオード列および前記第2のフォトダイオード列を構成する第2の半導体は、光の吸収波長が異なることを特徴とする光駆動半導体素子。
  2. 前記第1のフォトダイオード列、前記第2のフォトダイオード列および前記トランジスタを覆う遮光性部材と、
    前記第1のフォトダイオード列に光を導く第1の光入射口と前記第2のフォトダイオード列に光を導く第2の光入射口とを備え、
    前記第1の光入射口と前記第2の光入射口とは、前記遮光性部材に囲まれている
    ことを特徴とする請求項1記載の光駆動半導体素子。
  3. 前記第1のフォトダイオード列および前記第2のフォトダイオード列に光を導く1本の光導波路と、
    前記光導波路と前記第1のフォトダイオード列との間に第1の光学フィルターと、前記光導波路と前記第2のフォトダイオード列との間に第2の光学フィルターとを備え、
    前記第1の光学フィルターと前記第2の光学フィルターとは、透過する光の波長域が異なることを特徴とする請求項1または2記載の光駆動半導体素子。
  4. 前記第1のフォトダイオード列および前記第2のフォトダイオード列に光を導く1本の光導波路と、
    前記光導波路と前記第1のフォトダイオード列との間に第1の偏光フィルターと、前記光導波路と前記第2のフォトダイオード列との間に第2の偏光フィルターとを備え、
    前記第1の偏光フィルターと前記第2の偏光フィルターとは、透過する光の偏光方向が異なることを特徴とする請求項1または2記載の光駆動半導体素子。
  5. 第1の電極と、
    第1のp型GaN層と、
    第1のn型GaN層と、
    p型InGaN層と、
    第2のn型GaN層と、
    第2の電極とが積層されており、
    前記第1のn型GaN層と前記p型InGaN層と前記第2のn型GaN層とにより第1のバイポーラトランジスタを構成し、
    前記p型InGaN層は、前記第1のバイポーラトランジスタのベース層を構成し、
    前記p型InGaN層の光の吸収波長は、前記第1のn型GaN層、前記第2のn型GaN層および前記第1のp型GaN層の光の吸収波長と異なることを特徴とする光駆動半導体素子。
  6. 前記第1のn型GaN層と前記p型InGaN層と前記第2のn型GaN層とにより構成される前記第1のバイポーラトランジスタの直流電流増幅率hfe1
    前記p型InGaN層と前記第1のn型GaN層と前記第1のp型GaN層とにより構成される第2のバイポーラトランジスタの直流電流増幅率hfe2とが、以下の関係式
    fe1fe2≧1
    を満足できることを特徴とする請求項5記載の光駆動半導体素子。
  7. 前記p型InGaN層と前記第1のn型GaN層との間に、Inの組成が前記p型InGaN層のIn組成以下であり、前記第1のn型GaN層に近づくに従いInの組成が減少するIn組成分布を有する第1のInグレイデッド層と、
    前記p型InGaN層と前記第2のn型GaN層との間に、Inの組成が前記p型InGaN層のIn組成以下であり、前記第2のn型GaN層に近づくに従いInの組成が減少するIn組成分布を有する第2のInグレイデッド層とを備えたことを特徴とする請求項5または6記載の光駆動半導体素子。
  8. 請求項5乃至7のいずれか1項記載の半導体素子において、
    全てのGaN層およびInGaN層の導電型が逆の導電型であることを特徴とする光駆動半導体素子。
  9. 第3の電極と、
    第1のp型GaN層と、
    第1のn型GaN層と、
    p型InGaN層と、
    第2のn型GaN層と、
    第2のp型GaN層と
    第4の電極が積層されており、
    前記第3の電極は、前記第1のp型GaN層および前記第1のn型GaN層に電気的に接続されており、
    前記第4の電極は、前記第2のp型GaN層および前記第2のn型GaN層に電気的に接続されており、
    前記p型InGaN層は、前記第1のn型GaN層と前記p型InGan層と前記第2のn型GaN層とにより構成されるバイポーラトランジスタのベース層を構成し、
    前記p型InGaN層の光の吸収波長は、前記第1のn型GaN層、前記第2のn型GaN層、前記第1のp型GaN層および前記第2のp型GaN層の光の吸収波長と異なる
    ことを特徴とする光駆動半導体素子。
  10. 請求項9記載の半導体素子において、全てのGaN層およびInGaN層の導電型が逆の導電型であることを特徴とする光駆動半導体素子。
  11. 第5の電極と、
    第1のn型GaN層と、
    第1のドリフト層と、
    p型InGaN層と、
    第2のドリフト層と、
    第2のn型GaN層と、
    第6の電極とが積層されており、
    第5の電極は第1のn型GaN層と接続されており、
    第6の電極は第2のn型GaN層と接続されており、
    第1のドリフト層は、第1のn型GaN層より不純物濃度が低く、かつ膜厚が厚いn型GaN層であり、
    第2のドリフト層は、第1のドリフト層と同じ導電型の不純物濃度であり、かつ同じ膜厚であることを特徴とする光駆動半導体素子。
  12. 基板上に、GaN層、アンドープのInグレイデッド層、アンドープのInGaN層、アンドープのGaN層、アンドープのAlGaN層が積層されており、
    前記アンドープのAlGaN層上には、ゲート領域を構成するp型AlGaN層を備え、
    前記p型AlGaN層上にはゲート電極が接続されており、
    前記p型AlGaN層の両側の前記アンドープのAlGaN層上にはソース電極とドレイン電極が接続されていることを特徴とする光駆動半導体素子。
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