JP2017155256A - 転炉底吹き羽口用耐火物 - Google Patents

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【課題】耐用性の高い転炉底吹き羽口用耐火物を提供する。【解決手段】MgO:5〜60mass%、Al2O3−MgOスピネル:30〜70mass%、C:10〜30mass%の成分組成からなり、上記Al2O3−MgOスピネルは、その全量が1mm以上の粒径を有するものであって、単体Al2O3は含まない転炉底吹き羽口用耐火物。【選択図】図1

Description

本発明は、底吹き羽口用耐火物に関し、特に耐熱衝撃性と繰返し熱負荷特性などの特性に優れた転炉底吹き羽口部に用いられる耐火物に関するものである。
鉄鋼業において、鉄鋼製品を製造するための工程の一つに脱炭処理のための工程がある。この工程において用いられる反応容器としては、しばしば転炉が使用される。近年、その転炉では高い攪拌力による優れた冶金特性を得るため、炉底に設けた羽口から各種のガスの吹き込みを行なうことが多い。現在では、そうした底吹き羽口用の耐火物として、耐スポーリング性や耐食性の観点から、MgO−Cれんがなどが使用されることが多い。
しかしながら、転炉の炉底部に設けた羽口とくに底吹き羽口まわりに配設されている耐火物は、吹込みガスによる冷却によって発生する熱応力により、他の部位に比べて損耗速度が速く、耐火物寿命を律速する部位となっている。そのため、こうした底吹き羽口用耐火物としては、従来から以下に説明するような様々な提案がなされてきたが、未だ不十分である。
例えば、特許文献1には、熱応力を緩和するために膨張黒鉛を使用するMgO−C煉瓦が開示されている。しかし、この煉瓦は、膨張黒鉛の使用量が増加すると締りが悪くなるため、多量に配合する場合には成形圧を大きくする必要があり、製品形状が制限される場合があった。
また、特許文献2には、直径が1mm以上、長さが5〜20mm、長さ/直径比が1.6〜5の外形を有し、かつ平均結晶径が60〜120μmのマグネシア棒状骨材を含有し、さらに96mass%以上のMgOを含有するMgO−C煉瓦が開示されているが、耐スポーリング性が不十分であり、損耗速度低減効果が小さいという問題があった。
また、特許文献3には、金属製羽口と羽口部用耐火煉瓦との間にZrBを主成分とするセラミック管を挿入する技術が開示されているが、高価である上に、この羽口部用耐火煉瓦をCIP成形により作成することができないか、作成できるとしても成形圧に制限があった。
また、特許文献4には、格子状に織ったカーボンファイバのクロスを配合することにより、温度変動で耐火物に亀裂が生じても破断や脱落するのを防止することのできる技術が開示されている。しかし、この技術は、高価なものになるだけでなく、耐火物の成形に手間がかかるという課題があった。
また、特許文献5には、C量が10〜25mass%、Alが5〜20mass%、MgOが50〜80mass%の耐火物が開示されている。この文献に記載のものは、前述の耐火物に比べると、耐スポーリング性に優れているものの、使用後の羽口れんがを観察すると、依然として亀裂が見られ、熱応力による損耗が支配的であることから、さらなる耐スポーリング性向上の努力が求められていた。
さらに、特許文献6には、カーボンを除く骨材の90mass%以上がマグネシアとAl・MgO系スピネルからなり、カーボンの含有量が5〜25mass%の焼成または不焼成のマグネシア−スピネル−C煉瓦またはスピネル−マグネシア−C煉瓦よりなる直流電気炉炉底用又は取鍋側壁用耐火物が開示されている。この文献に記載の耐火物については、依然として多くの亀裂が見られ、熱応力による損耗が支配的であることから、同様にさらなる耐スポーリング性向上の努力が求められていた。しかも、この文献に開示のものは、耐食性が劣るという決定的とも言える問題があった。
特開平11−209169号公報 特開2003−171171号公報 特開平07−224311号公報 特開昭58−217473号公報 特開2013−100580号公報 特開2002−80272号公報
前述したように、文献1〜6に記載の従来技術に係る転炉底吹き羽口用耐火物は、とくに損耗速度低減効果が不十分で、耐スポーリング性にも劣るために、耐用性が不十分であるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、耐用性の高い転炉底吹き羽口用耐火物を提供することにある。
本発明の転炉底吹き羽口用耐火物は、転炉の底吹き羽口部に用いられる耐火物であって、MgO:5〜60mass%、Al−MgOスピネル:30〜70mass%、C:10〜30mass%の成分組成からなり、上記Al−MgOスピネルはその全量が1mm以上の粒径を有するものであることを特徴とする転炉底吹き羽口用耐火物である。
なお、本発明ではまた、前記MgOとAl−MgOスピネルとCとからなる耐火物中には、該スピネルを形造るアルミナ以外のアルミナ単体は含まないことを特徴としている。
本発明によれば、炉底から各種のガスを吹込む底吹き羽口部用の耐火物として、マグネシア(MgO)とスピネル(MgO−Al)と黒鉛(C)とからなる耐火物であって、これには単体としてのアルミナ(Al)を含有しないものを用いるので、耐食性や耐熱衝撃性に優れるために、耐用性の高い転炉底吹き羽口用耐火物を得ることができる。
底吹き羽口部の断面図である。 スピネル置換率と熱膨張率との関係を示すグラフである。
図1は、転炉底吹き羽口の一例を簡略化して示す断面図である。図示の1は、転炉の炉底れんが5中に埋設された転炉底吹き羽口であり、2は、この底吹き羽口1の最外郭部を構成している羽口れんがであって、水平断面が多角形や円形、楕円形の筒状である。図示の3は、前記羽口れんが2中に不定形耐火物を充填して形成された基本的には柱状の羽口耐火物である。この羽口耐火物3中の軸方向(転炉の上下方向)には、多数(50〜100本程度)の金属細管からなる吹出しノズル4が、一般的には、半径方向と周方向とにそれぞれ略等間隔もしくは不等間隔に分散した状態にて埋設されている。なお、図示の6はガス供給管、7はガス供給用ヘッダー、8は底吹き羽口押えれんがである。
発明者らは、転炉の底吹き羽口1のとくに羽口耐火物3の損耗を抑えるために、該羽口耐火物3の損耗メカニズムについて鋭意検討を行なった。その結果、該羽口耐火物3の損耗は吹錬中に生じた亀裂が伸展して進行することを突き止めた。そして、その亀裂の発生、伸展を抑制するために、該羽口耐火物3としては、自身の内部で発生する熱応力を低減させることが有効になることが分った。
ところで、羽口耐火物3内に発生する前記熱応力は、該底吹き羽口部周辺の炉底れんが5からの入熱と金属細管である吹出しノズル4内を流れる低温ガスによる抜熱の影響によって生じる温度勾配によって発生することが分った。そこで、その熱応力を低減するために種々検討したところ、下記のような羽口用耐火物を用いることが有効であることを知見した。
即ち、羽口用耐火物にかかる熱応力を抑えて亀裂の発生の進展を抑制し、該耐火物の損傷速度を低減させるためには、前述したとおり、炉底れんがからの羽口用耐火物への入熱と羽口内を流れる各種ガスによる抜熱の影響を受けて発生する温度勾配を小さくすればよいことが判る。
そこで、発明者らは、小型の試料を作成して試用した結果、C量が10〜30mass%、MgO:5〜60mass%、Al−MgOスピネル:30〜70mass%で、かつAl−MgOスピネルはその全量が1mm以上の大きさ(粒径)を有する耐火物を用いることで、耐熱衝撃性が従来品よりも飛躍的に向上し、かつ耐食性も損なわれないものになることを見い出した。
図2は、C量が20mass%の材料について、このC材料中のAl−MgOスピネル量と、1000℃における線膨張率との関係とを示したものである。この図に示すように、C材料中のスピネル量が多くなると線膨張率は小さくなり、特に、その量が30mass%を超えると、線膨張率はスピネルを含まない場合に比べて30%以上も小さくなった。この点、線膨張率が小さければ、同じ温度分布でも温度差による歪が低減することから、耐熱衝撃性の向上が期待できる。
このことから、前記羽口用耐火物の成分組成は、Al−MgOスピネルの含有量を30〜70mass%とすることが望ましい。その理由は、Al−MgOスピネル量が30mass%未満では耐熱衝撃性の向上効果が小さくなるので好ましくないからであり、一方、このAl−MgOスピネルの量が70mass%より大きい場合はスラグに対する耐食性が低くなるので好ましくないからである。このAl−MgOスピネル量のより好ましい量は、40〜60mass%である。
本発明においては、前記Al−MgOスピネルの大きさ(粒径)もまた重要である。即ち、このAl−MgOスピネルは、その全量が1mm以上の粒径(直径)を有するものであることが望ましい。その理由は、Al−MgOスピネルの粒径が1mm未満という微細なものの場合、これを使用すると、耐食性に劣るために好ましくないからである。一方、このAl−MgOスピネルの粒径が10mmを超えるものは、粒子自体を耐火物中に均一に存在させることが難しくなり、組織的な偏析が発生して、偏溶損や亀裂の助長などを招くため好ましくない。従って、Al−MgOスピネル粒子の上限の大きさは10mm以下とすることが望ましく、より望ましくは8mm以下である。
かかるAl−MgOスピネルとしては,電融スピネルや焼結スピネルがあるが、本発明においては電融スピネルおよび焼結スピネルのいずれを使用してもかまわない。ただし、電融スピネルを使用した場合の方が、耐食性がより向上するため、電融スピネルを用いることがより好ましい。
次に、C量については、その量は10〜30mass%とすることが好ましい。
その理由は、このC量が10mass%より少ないと耐熱衝撃性が低くなるため好ましくない。一方、このC量が30mass%より多いと溶鋼に対する耐食性が低下するため好ましくない。従って、より好ましいC量は、12〜25mass%の範囲とするのがよい。
なお、C源としては、特に限定はしないが、例えば、鱗状黒鉛や土状黒鉛などの天然黒鉛,膨張黒鉛などの人造黒鉛やピッチ、カーボンブラックなどの1種または2種以上を用いることができる。その中でも特に、鱗状黒鉛を用いた場合の方が、耐食性に優れると共に、耐熱衝撃性にも優れるものになるので、鱗状黒鉛を使用することがより好ましい。
本発明に係る底吹き羽口用耐火物としては、残部成分としてMgOを含有している。このMgOは、電融品や焼結品などの一般的な耐火物に用いられているものであればよく、特に制限はない。ただし、耐食性などを考慮した場合、純度が98%より高い高純度の電融マグネシアを用いることが望ましい。
また、本発明に係る底吹き羽口用耐火物については、Al、Mg、Si、Caなどの金属またはこれらの合金やBC、SiC、CaBなどの添加物など、一般的に炭素含有耐火物に含まれる添加物を使用することができる。
前記底吹き羽口用耐火物の製造プロセスとしては、一般的なカーボン含有耐火物の製造プロセスと同様の方法を採用することができる。例えば、混練であれば、コナーミキサーや高速攪拌羽根が付いた加圧式のハイスピードミキサー、アイリッヒミキサーなどを用いることができる。また、成形の方法については、油圧式プレス、アイソスタティックプレスなど一般的なれんが成形プレスが使用できる。さらに、成形れんがとするには、乾燥温度180℃〜350℃、保持時間を5〜30時間程度の処理を施すことによって乾燥させればよい。
MgO、Al−MgOスピネルおよびCとからなる本発明に係る羽口用耐火物としては、該スピネルを形造るアルミナ以外のアルミナ成分を含まないことに特徴がある。即ち、スピネルの構成成分であるAlについて、これを単体では使用せず、つまり、Al源とMgO源とを別々に配合するようなことはしないということである。その理由は、Alを単体で使用(配合)すると、使用中にAlとMgOとが反応してMgAlを生成して体積膨張を招くためである。この堆積膨張が起ると、耐火物内部に大きな熱応力が発生し、耐熱衝撃性に劣ることになるからである。これに対し、そのAlを予めスピネルの形態としたものを用いる場合、該羽口耐火物の使用中での急激な熱膨張を効果的に抑制できるようになる。
以下、実施例について説明する。
表1は、本発明に適合する実施例を、そして表2は、本発明範囲を外れる比較例について示している。即ち、表1、表2に示した配合に係る耐火れんが(底吹き羽口用耐火物)を、定法に従って作成し、これらの耐火れんがについての耐熱衝撃性、耐食性、拘束された状態での耐火れんがの挙動について評価する実験を行なった。
前記耐熱衝撃性の評価については、試験材を1650℃の溶銑に1分間浸漬し、浸漬前・後の弾性率の比(e/e0)で行なった。この比(e/e0)が1に近いほど、熱衝撃による損傷が軽微であると言える。
また、耐食性の評価については、40mmφの円柱形の試料を、塩基度2.3、1550℃のスラグ中で1000rpmで回転させつつ3時間浸漬した前後の試料の寸法を測定することによって損耗速度を算出し、これを溶損指数として示した。各水準の溶損指数は、表2中の比較例1の溶損指数を1として指数化した溶損指数で評価した。なお、溶損指数は小さいほど耐食性に優れる。
そして、拘束された状態での耐火れんがの挙動については、以下のような簡易試験を行った。前記耐火れんがを六角形に組み、1550℃のAr雰囲気中で24時間保持した。これは横方向だけではあるが、拘束された状態での耐火れんがの挙動を見るために行なった簡易試験であり、通常、フリーで行なうラボ評価に比べて拘束下で熱影響を受ける実炉の耐火物の状況を擬似した試験である。冷却後の外観観察から、亀裂が入ったものは好ましくないと判定した。
なお、粒度については、JIS Z 8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に基づく篩によって篩い分けした値である。
表1、表2に前記評価結果を併せて示す。これらの評価結果から、本発明例のものは、耐熱衝撃性、耐食性、拘束された状態での耐火れんがの挙動の評価において、いずれも優秀な結果を得られた。
これに対し、比較例1は、スピネルを全く含まないMgO−Cれんが(従来品)であるが、耐熱衝撃性に劣っていた。また、比較例2は、5〜1mmのスピネル量が20mass%のものであるが、耐熱衝撃性に劣っており、比較例3は、5〜1mmのスピネル量が75mass%のものであるが、耐食性に劣っており、比較例4は、スピネル量は60mass%で本発明に適合する範囲にあるが、粒径1mm未満のスピネルを30mass%も含有するものであって、特許文献6のものに相当し、耐食性に劣り、比較例5は、カーボン量が8mass%と少ない例であって、耐熱衝撃性に劣っており、そして、比較例6は、C量が35mass%と多い例であるが、耐食性に劣るため好ましくないという結果が得られている。比較例7はスピネルを全く含まないために耐熱衝撃性に劣っていた。
以上の試験結果から、本発明に適合する構成のMgO−Al−MgOスピネル−C系耐火物は、耐食性の劣化がなくかつ耐熱衝撃性にも優れた転炉底吹き羽口用耐火物であることが明らかとなった。
Figure 2017155256
Figure 2017155256
本発明に係る技術は、底吹き転炉のみならず、炉の底部から溶湯中に各種のガスを噴出させるためのノズルを有する取鍋や各種精錬炉の如き精錬設備にも応用して使用することができる。
1 底吹き羽口
2 羽口れんが
3 羽口耐火物
4 吹出しノズル
5 炉底れんが
6 ガス供給管
7 ヘッダー
8 羽口押えれんが

Claims (2)

  1. 転炉の底吹き羽口部に用いられる耐火物であって、MgO:5〜60mass%、Al−MgOスピネル:30〜70mass%、C:10〜30mass%の成分組成からなり、上記Al−MgOスピネルはその全量が1mm以上の粒径を有するものであることを特徴とする転炉底吹き羽口用耐火物。
  2. 前記MgOとAl−MgOスピネルとCとからなる耐火物中には、該スピネルを形造るアルミナ以外のアルミナ単体は含まないことを特徴とする、請求項1記載の転炉底吹き羽口用耐火物。
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