JP2017155265A5 - - Google Patents
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本発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液からニッケル粉を製造する方法において、反応槽内のスケーリングを抑制する方法に関する。特に湿式ニッケル製錬プロセスから発生する工程内の中間生成溶液の処理に適用できる。
微小なニッケル粉を製造する方法として、溶融させたニッケルをガスまたは水中に分散させ微細粉を得るアトマイズ法や、特許文献1に示されるような、ニッケルを揮発させ、気相中で還元することでニッケル粉を得るCVD法などの乾式法が知られている。
また、湿式プロセスによりニッケル粉を製造する方法としては、特許文献2に示されるような、還元剤を用いて生成する方法や、特許文献3に示されるような、高温で還元雰囲気中にニッケル溶液を噴霧することにより、熱分解反応によりニッケル粉を得る噴霧熱分解法などがある。
しかし、これらの方法は高価な試薬類や多量のエネルギーを必要とするため、経済的とは言えない。
しかし、これらの方法は高価な試薬類や多量のエネルギーを必要とするため、経済的とは言えない。
一方、非特許文献1に示されるような、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に水素ガスを供給して錯体溶液中のニッケルイオンを還元してニッケル粉を得る方法は、工業的に安価であり有用である。
この方法では、種結晶と呼ばれる微細な粒子を少量共存させ、そこに還元剤を供給し、種結晶を成長させて所定の粒径の粉末を得る方法が用いられる。しかしながら、この方法では反応槽内に一部のニッケルが種結晶上でなく装置内の反応容器壁などに析出するいわゆるスケーリングを形成し、配管の閉塞などの不具合を引き起こす虞がある。
この方法では、種結晶と呼ばれる微細な粒子を少量共存させ、そこに還元剤を供給し、種結晶を成長させて所定の粒径の粉末を得る方法が用いられる。しかしながら、この方法では反応槽内に一部のニッケルが種結晶上でなく装置内の反応容器壁などに析出するいわゆるスケーリングを形成し、配管の閉塞などの不具合を引き起こす虞がある。
このため、定期的に止めるなどしてスケールを除去する操作が必要であり、生産性が低下したり除去に要するメンテナンス費用が増加したりする問題があり、スケーリングの発生をできるだけ抑制することが課題だった。
"The Manufacture and properties of Metal powder produced by the gaseous reduction of aqueous solutions", Powder metallurgy, No.1/2(1958), pp40−52.
このような状況の中で、本発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液からニッケル粉を製造する過程において、反応槽内のスケーリング生成を抑制し、除去に要する手間とコストを削減する方法を提供するものである。
上記の課題を解決するための本発明の第1の発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、溶液中のニッケル重量に対して0.3倍以上、3倍以下の粒径1〜20μmの種結晶を加えて形成した混合スラリーを、反応槽内に装入して前記反応槽内を、前記混合スラリーが占有する液相部と前記液相部以外の気相部に維持した後、前記混合スラリーに水素ガスを吹き込み、ニッケル錯イオンを還元して前記種結晶表面にニッケル析出物を形成したニッケル粉を製造、回収後、回収した前記種晶表面にニッケル析出物を形成したニッケル粉に、硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を加え、水素ガスを吹き込み、前記ニッケル析出物上にニッケルを析出させて成長したニッケル粉を製造する水素還元を行うことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における混合スラリーにポリアクリル酸塩の分散剤を、混合スラリーに添加された種結晶の種結晶重量に対し、0.5〜5%を添加することを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における水素還元を繰返し行い、ニッケル析出物上にニッケルを析出させて成長したニッケル粉を得ることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明における前記混合スラリーに、水素ガスを吹き込む際の混合スラリーの温度が、150〜200℃であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明における前記混合スラリーに、水素ガスを吹き込む際の前記反応槽内気相部の圧力が、1.0〜4.0MPaの範囲であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
さらには、第1から第5の発明における種結晶が、粒径1〜20μmのニッケル粉であることを特徴とする。
さらには、第1から第5の発明における種結晶が、粒径1〜20μmのニッケル粉であることを特徴とする。
本発明によれば、スケーリングの発生を抑制できる。そのためスケール除去の頻度が低減し、手間とコストを節減できる。
本発明は硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に種結晶を加え、水素ガスを吹き込むことによりニッケル粉を製造することを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
以下、本発明のニッケル粉の製造方法を説明する。
以下、本発明のニッケル粉の製造方法を説明する。
[硫酸ニッケルアンミン錯体溶液]
本発明に用いる硫酸ニッケルアンミン錯体溶液は、特に限定はされないが、ニッケルおよびコバルト混合硫化物、粗硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、ニッケル粉などから選ばれる一種、または複数の混合物から成る工業中間物などのニッケル含有物を、硫酸あるいはアンモニアにより溶解して得られるニッケル浸出液(ニッケルを含む溶液)を、溶媒抽出法、イオン交換法、中和などの浄液工程を施すことにより溶液中の不純物元素を除去して得られる溶液に、アンモニアを添加し、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液としたもの等が適している。
本発明に用いる硫酸ニッケルアンミン錯体溶液は、特に限定はされないが、ニッケルおよびコバルト混合硫化物、粗硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、ニッケル粉などから選ばれる一種、または複数の混合物から成る工業中間物などのニッケル含有物を、硫酸あるいはアンモニアにより溶解して得られるニッケル浸出液(ニッケルを含む溶液)を、溶媒抽出法、イオン交換法、中和などの浄液工程を施すことにより溶液中の不純物元素を除去して得られる溶液に、アンモニアを添加し、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液としたもの等が適している。
[混合スラリー作製]
この工程では、上記の硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、種結晶を添加して混合スラリーとするものである。
ここで添加する種結晶は、粒径が20μm以下の粉末が好ましく、最終のニッケル析出物を汚染しない物質として、ニッケル粉が好適である。この種結晶として使用するニッケル粉は、例えば上記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液にヒドラジンなどの還元剤を添加することにより作製することができる。
この工程では、上記の硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、種結晶を添加して混合スラリーとするものである。
ここで添加する種結晶は、粒径が20μm以下の粉末が好ましく、最終のニッケル析出物を汚染しない物質として、ニッケル粉が好適である。この種結晶として使用するニッケル粉は、例えば上記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液にヒドラジンなどの還元剤を添加することにより作製することができる。
ここで添加する種結晶の重量は、溶液中のニッケルの重量に対して0.3倍以上、3倍以下の量が好ましい。0.3倍未満では、スケーリング抑制の効果が十分に得ることができず、3倍を超える量を添加しても効果に影響はなく、過剰な添加となる。
次いで、混合スラリーに種結晶を分散させるために、分散剤を添加することもできる。ここで用いる分散剤としては、ポリアクリル酸塩であれば特に限定されないが、工業的に安価に入手できるものとしてポリアクリル酸ナトリウムが好適である。その添加する分散剤の量は、種結晶重量に対し0.5〜5%が好適である。0.5%未満では分散効果が得られず、また、5%を超えて添加しても分散効果に影響はなく、過剰な添加となる。
次に、種結晶或いは種結晶と分散剤を添加して形成したスラリーを、耐高圧高温容器の反応槽内に装入し、反応槽内にスラリーが占有する液相部と気相部を形成する。その後、反応槽内のスラリーに水素ガスを吹き込み、溶液中のニッケル錯イオンを還元して添加した種結晶上にニッケルを析出させる。
このときの反応温度は、150〜200℃の範囲が好ましい。150℃未満では還元効率が低下し、200℃以上にしても反応への影響はなく、むしろ熱エネルギー等のロスが増加するので適さない。
さらに、反応時の反応槽気相部の圧力は1.0〜4.0MPaが好ましい。1.0MPa未満では反応効率が低下し、4.0MPaを超えても反応への影響はなく、水素ガスのロスが増加する。
このような条件による還元・析出処理によって、種結晶上にニッケルの析出物が形成され、分散剤の効果により微細な粉状の析出物としてニッケルを溶液から抽出、回収できる。
このような条件による還元・析出処理によって、種結晶上にニッケルの析出物が形成され、分散剤の効果により微細な粉状の析出物としてニッケルを溶液から抽出、回収できる。
以上のようにして製造したニッケル粉は、例えば積層セラミックコンデンサーの内部構成物質であるニッケルペースト用途として用いることができる他、上記水素還元を繰り返すことにより粒子を成長させ、高純度のニッケルメタルを製造することができる。
以下に本発明を、実施例を用いて説明する。
ニッケル75g相当を含む硫酸ニッケル溶液と硫酸アンモニウム330gを含む混合溶液に、25%アンモニア水を191ml、種晶として1μmのニッケル粉22.5g(混合溶液中のニッケル重量の0.3倍)、ポリアクリル酸ナトリウム(42%溶液)0.4gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整した混合スラリーを作製した。
次いで、作製した混合スラリーを反応槽として用いたオートクレーブの内筒缶に装入し、液相部と気相部を設けた後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内気相部の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行い、還元スラリーを生成した。水素ガスの供給から60分が経過した後に、水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
次いで、作製した混合スラリーを反応槽として用いたオートクレーブの内筒缶に装入し、液相部と気相部を設けた後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内気相部の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行い、還元スラリーを生成した。水素ガスの供給から60分が経過した後に、水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
冷却後、内筒缶内の還元スラリーを濾過してニッケル粉を回収した。その回収したニッケル析出物にニッケル75g相当を含む硫酸ニッケル溶液、硫酸アンモニウム330gを含む溶液と25%アンモニア水191mlを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整した混合スラリーを作製した。
その調整した混合スラリーを上記と同じ方法でオートクレーブにて反応させ、回収したニッケル析出物を再び上記の方法で反応させる操作を繰返し、ニッケル粉を成長させた。
その調整した混合スラリーを上記と同じ方法でオートクレーブにて反応させ、回収したニッケル析出物を再び上記の方法で反応させる操作を繰返し、ニッケル粉を成長させた。
毎回、内筒缶内の還元スラリーを取り出した後に、乾燥させ、内筒缶の重量を測定し、反応前後の重量変化を測定した。
その結果を図1(凡例22.5g参照)示す。
図1から判るように、「繰返し回数」にしたがい、種結晶ニッケル粉が22.5g(添加比率30%)のときは、重量変化が小さく、スケーリングの発生が抑制できていることがわかる。
その結果を図1(凡例22.5g参照)示す。
図1から判るように、「繰返し回数」にしたがい、種結晶ニッケル粉が22.5g(添加比率30%)のときは、重量変化が小さく、スケーリングの発生が抑制できていることがわかる。
種晶としてニッケル粉を、混合溶液中のニッケル重量の3.0倍の225gを添加した以外は、実施例1と同様の条件にてニッケル粉を成長させた。
その結果は、実施例1と同程度であり、繰返し回数が増えても、発生したスケーリングの重量は、毎回20g以下であった。
その結果は、実施例1と同程度であり、繰返し回数が増えても、発生したスケーリングの重量は、毎回20g以下であった。
(比較例1)
初期に1μmのニッケル粉15.0g(添加比率20%)、ポリアクリル酸ナトリウム(42%溶液)0.3gを添加した以外は実施例1と同様の方法にて繰返し成長を行なった。
その結果、図1(凡例15g参照)に示すように繰返し反応が増えるに従い、緩やかではあるが、繰返し反応の回数につれてスケーリングの量が増加しているのが判る。
初期に1μmのニッケル粉15.0g(添加比率20%)、ポリアクリル酸ナトリウム(42%溶液)0.3gを添加した以外は実施例1と同様の方法にて繰返し成長を行なった。
その結果、図1(凡例15g参照)に示すように繰返し反応が増えるに従い、緩やかではあるが、繰返し反応の回数につれてスケーリングの量が増加しているのが判る。
(比較例2)
初期に1μmのニッケル粉7.5g(添加比率10%)、ポリアクリル酸ナトリウム(42%溶液)0.1gを添加した以外は実施例1と同様の方法にて繰返し成長を行なった。
その結果、図1(凡例7.5g参照)に示すように、繰返し反応が2回目には、スケーリングの量の大幅な増加が見られ、それ以降もその傾向が続きているのが判る。
初期に1μmのニッケル粉7.5g(添加比率10%)、ポリアクリル酸ナトリウム(42%溶液)0.1gを添加した以外は実施例1と同様の方法にて繰返し成長を行なった。
その結果、図1(凡例7.5g参照)に示すように、繰返し反応が2回目には、スケーリングの量の大幅な増加が見られ、それ以降もその傾向が続きているのが判る。
Claims (6)
- 硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、溶液中のニッケル重量に対して0.3倍以上、3倍以下の粒径1〜20μmの種結晶を加えて形成した混合スラリーを、反応槽内に装入して前記反応槽内を、前記混合スラリーが占有する液相部と前記液相部以外の気相部に維持した後、前記混合スラリーに水素ガスを吹き込み、ニッケル錯イオンを還元して
前記種結晶表面にニッケル析出物を形成したニッケル粉を製造、回収後、
回収した前記種晶表面にニッケル析出物を形成したニッケル粉に、硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を加え、水素ガスを吹き込み、前記ニッケル析出物上にニッケルを析出させて成長したニッケル粉を製造する水素還元を行うことを特徴とするニッケル粉の製造方法。 - 前記混合スラリーにポリアクリル酸塩の分散剤を、前記混合スラリーに添加された種結晶の種結晶重量に対し、0.5〜5%を添加することを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記水素還元を繰返し行い、ニッケル析出物上にニッケルを析出させて成長したニッケル粉を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記混合スラリーに、水素ガスを吹き込む際の混合スラリーの温度が、150〜200℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記混合スラリーに、水素ガスを吹き込む際の前記反応槽内気相部の圧力が、1.0〜4.0MPaの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記種結晶が、粒径1〜20μmのニッケル粉であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
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