JP2017155290A - 耐サワー鋼板 - Google Patents
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(1)質量%で、C:0.040%以上、0.150%以下、Mn:1.00%以上、2.00%以下、S:0.0001%以上、0.0010%以下、Ca:0.0005%以上、0.0030%以下、Zr:0.0005%以上、0.030%以下、O:0.0010%以上、0.0030%以下、Al:0.001%以上、0.050%以下、Ti:0.005%以上、0.020%以下、N:0.0015%以上、0.0050%以下を含有し、Si:0.40%以下、P:0.015%以下、Nb:0.004%以下に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Ca、Zr、O、Sの含有量が下記(1)式を満足し、板厚方向で表面から板厚の1/2の位置における有効結晶粒径の平均値が25μm以下である耐サワー鋼板である。
1.0≦(Ca−0.83×O)/(1.25×S)
+(Zr−1.90×O)/(2.85×S)≦10.0・・・ (1)
上記(1)式において、(Ca−0.83×O)、(Zr−1.90×O)が負の値になる場合は各項をゼロとして計算する。
Cは、鋼の強度を高める元素であり、X65以上の高強度を得るためにC量を0.040%以上とする。好ましくはC量を0.050%以上、より好ましくは0.060%以上、更に好ましくは0.070%以上とする。しかし、C量の増加は鋳片の中心偏析におけるMnやPの偏析を強めて耐HIC特性を劣化させるため、その上限は0.150%である。好ましくはC量を0.140%以下、より好ましくは0.130%以下とする。
Siは、脱酸のために鋼に含有される場合があるが、Si量が多すぎると溶接性及びHAZ靭性が劣化するため、0.40%以下に制限する。本発明の鋼では、Al、Tiによって脱酸が可能であるから、下限は0%でもよいが、0.01%以上のSiを含有させることができる。HAZ靭性を考慮するとSi量を0.30%以下にすることが望ましい。より好ましくはSi量を0.20%以下とする。
Mnは、焼入れ性を高めて鋼の強化に寄与する元素であり、X65以上の高強度を得るためにMn量を1.00%以上とする。好ましくはMn量を1.05%以上、より好ましくは1.10%以上、更に好ましくは1.15%以上とする。しかし、Mn量の増加は鋳片の中心偏析を強めて耐HIC特性を劣化させるため、その上限は2.00%である。好ましくはMn量を1.90%以下、より好ましくは1.80%以下、更に好ましくは1.70%以下とする。
Pは、不純物であり、鋳片の中心偏析を強めて耐HIC特性を劣化させるため、P量を0.015%以下に制限する。Pは少ないほど耐HIC特性が向上するため、下限は特に規定しないが、製造コストの観点からP量は0.001%以上が好ましい。
Sは、耐HIC特性に有害な、圧延によって延伸するMnSを形成する元素であり、S量を0.0010%以下に制限する必要がある。好ましくはS量を0.0008%以下、より好ましくは0.0006%以下とする。Sを低減することは母材及びHAZの靭性の観点からも好ましいが、製造コストの観点からS量を0.0001%以上とする。
本発明では、耐HIC特性を確保するために、Nbを実質的に含有しないことが望ましい。Nb量が0.004%を超えると、鋳片を加熱する際に中心偏析部で溶け残ったNb炭窒化物が耐HIC特性を劣化させる。したがって、Nb量は0.004%に制限することが必要である。本発明はDWTT特性を確保する観点から、鋳片を例えば1100℃以下のような低温加熱することが好ましく、この場合、Nb炭窒化物の溶け残りを防止するためにNb量を0.003%以下に低減することが好ましい。より好ましくはNb量を0.002%以下とする。NbはHAZ靭性にも有害であるから、Nbを実質的に含有しないことはHAZ靭性を高める効果がある。
Caは、ZrとCaZr系酸化物を形成する重要な元素である。溶鋼中に生成するCaZr系酸化物は接種核(凝固核)となり、鋳造組織を微細化し、特に中心偏析部において凝固偏析部を微細化する。その結果、凝固偏析部に濃化した元素の拡散が容易になり、特に鋼板の中心偏析部において硬化組織の生成が抑制される。このようにして、Caは靭性及び耐サワー特性を向上させる元素であり、効果を得るために、Ca量を0.0005%以上とする。好ましくはCa量を0.0007%以上、より好ましくは0.0010%以上とする。しかし、Ca量が0.0030%を超えると、Ca系介在物が増加して、HICや脆性破壊の発生起点となるので、これが上限である。好ましくはCa量を0.0025%以下、より好ましくは0.0020%以下とする。
Zrは、Caとともに添加することにより、CaZr系酸化物を形成する重要な元素である。CaZr系酸化物による靭性及び耐サワー特性の向上は上述のとおりであり、効果を得るために、Zrを0.0005%以上含有させることが必要である。しかし、Zrを、0.03%を超えて含有させると、Zr系介在物が増加して、HICや脆性破壊の発生起点となる場合があるので、これが上限である。好ましくはZrの含有量を0.02%以下、より好ましくは0.01%以下とする。
Oは、Ca、Zrと結合し、CaZr系酸化物を形成する元素である。上述のCaZr系酸化物の効果により靱性及び耐HIC特性を高めるために、0.0010%以上のO量が必要である。しかし、Oが0.0030%を超えると、鋼の清浄度が低下して母材やHAZの靭性が劣化する。HICの発生起点となる酸化物系介在物を低減し、Caによる硫化物形態制御を行うためにも、O量の上限は0.0030%である。O量は0.0025%以下が好ましい。
+(Zr−1.90×O)/(2.85×S)≦10.0
本発明の耐サワー鋼板では、耐HIC特性を確保するために、Sを可能な限り低減し、Ca、Zrを添加し、HIC発生起点となる延伸MnSの生成を抑えて、Sを(Ca、Zr)S又は(Ca、Zr)(O、S)として固定する。このとき、SとCaとZrとOのバランスが、1.0≦(Ca−0.83×O)/(1.25×S)+(Zr−1.90×O)/(2.85×S)を満たさない場合、延伸MnSが残存してHICが発生する。一方、(Ca−0.83×O)/(1.25×S)+(Zr−1.90×O)/(2.85×S)≦10.0を満たさない場合、OやSに対してCaやZrが過剰に含まれることから、Ca系介在物やZr系介在物が増加して、HICが発生する。
+(Zr−1.90×O)/(2.85×S)≦10.0・・・ (1)
上記(1)式において、(Ca−0.83×O)、(Zr−1.90×O)が負の値になる場合は各項をゼロとして計算する。
Alは、脱酸元素であり、Al量は0.001%以上が必要である。好ましくはAl量を0.002%以上、より好ましくは0.003%以上とする。しかし、Al量が0.050%を超えると介在物が増加して靱性を損なうため、これが上限である。好ましくはAl量を0.030%以下、より好ましくは0.020%以下とする。
Tiは、鋳片やHAZのγ粒成長をピン止め効果によって抑制するTiN粒子を形成する元素である。ピン止め効果によって十分なγ粒成長抑制効果を発現させるために、Ti量の下限を0.005%とする。好ましくはTi量を0.007%以上する。しかし、Ti量が0.020%を超えると母材やHAZの靭性が劣化したり、鋳片の表面品質が劣化するため、これが上限である。好ましくはTi量を0.018%以下、より好ましくは0.016%以下とする。
Nは、鋳片やHAZのγ粒成長をピン止めするTiN粒子を構成する元素である。ピン止め効果によって十分なγ粒成長抑制効果を発現するために、N量の下限を0.0015%として最低限のTiN粒子個数を確保する必要がある。好ましくはN量を0.0020%以上、より好ましくは0.0025%以上とする。一方、N量が0.0050%を超えると母材やHAZの靭性が劣化したり、鋳片の表面品質が劣化するため、これが上限である。好ましくはN量を0.0045%以下、より好ましくは0.0040%以下とする。
Cuは、溶接性及びHAZ靱性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度、靱性を向上させるため、0.1%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加は熱間圧延時にCuクラックを発生し製造が困難となる場合や、溶接性に好ましくない場合があるため、Cu量の上限は1.0%が好ましい。より好ましくはCu量を0.5%以下、更に好ましくは0.3%以下とする。
Niは、溶接性及びHAZ靱性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度、靱性を向上させるため、0.1%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加は経済性を損ない、溶接性に好ましくない場合があるため、Ni量の上限は1.0%が好ましい。より好ましくはNi量を0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下とする。
Crは、連続鋳造鋳片において中心偏析し難く、かつ母材の強度を向上させるため、0.1%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加は母材及びHAZの靱性、溶接性を劣化させる場合があるため、Cr量の上限は1.0%が好ましい。より好ましくはCr量を0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下とする。
Moは、母材の強度、靱性をともに向上させるため、0.1%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加は母材及びHAZの靱性、溶接性の劣化を招く場合があるため、Mo量の上限は0.5%が好ましい。より好ましくはMo量を0.3%以下とする。
Wは、母材の強度、靱性をともに向上させるため、0.1%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加は経済性を損ない、母材及びHAZの靱性、溶接性の劣化を招く場合があるため、W量の上限は0.5%が好ましい。より好ましくはW量を0.3%以下とする。
Coは、溶接性及びHAZ靱性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度、靱性を向上させるため、0.1%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加は経済性を損ない、溶接性に好ましくない場合があるため、Co量の上限は0.5%が好ましい。より好ましくはCo量を0.3%以下とする。
Vは、析出硬化による高強度化とミクロ組織の微細化による低温靱性の向上を可能にするため、0.01%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加はHAZ靱性や溶接性の劣化を招く場合があるため、V量の上限は0.10%が好ましい。より好ましくはV量を0.08%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。
Bは、焼き入れ性を高めて母材やHAZの強度、靭性を向上させるため、0.0003%以上を含有させてもよい。ただし、過剰な添加によってHAZ靭性や溶接性が劣化する場合があるため、B量の上限は0.0030%が好ましい。より好ましくはB量を0.0020%以下、更に好ましくは0.0015%以下とする。
鋳片を400℃以下に冷却せずにホットチャージで加熱炉に挿入すると、鋳造時に生成した粗大γ組織が加熱後に残存し、組織が十分に微細化せず低温靱性が劣化する場合がある。
Ar3(℃)=868−396×C+24.6×Si−68.1×Mn
−36.1×Ni−20.7×Cu−24.8×Cr
+29.1×Mo
上式におけるC、Si、Mn,Ni,Cu,Cr,Moは質量%で表した含有量を意味する。
Claims (4)
- 質量%で、
C :0.040%以上、0.150%以下、
Mn:1.00%以上、2.00%以下、
S :0.0001%以上、0.0010%以下、
Ca:0.0005%以上、0.0030%以下、
Zr:0.0005%以上、0.030%以下、
O :0.0010%以上、0.0030%以下、
Al:0.001%以上、0.050%以下、
Ti:0.005%以上、0.020%以下、
N :0.0015%以上、0.0050%以下
を含有し、
Si:0.40%以下、
P :0.015%以下、
Nb:0.004%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Ca、Zr、O、Sの含有量が下記(1)式を満足し、板厚方向で表面から板厚の1/2の位置における有効結晶粒径の平均値が25μm以下であることを特徴とする耐サワー鋼板。
1.0≦(Ca−0.83×O)/(1.25×S)
+(Zr−1.90×O)/(2.85×S)
≦10.0・・・ (1)
上記(1)式において、(Ca−0.83×O)、(Zr−1.90×O)が負の値になる場合は各項をゼロとして計算する。 - 更に、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下、
Cr:1.0%以下、
Mo:0.5%以下、
W :0.5%以下、
Co:0.5%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐サワー鋼板。 - 更に、質量%で、
V :0.10%以下、
B :0.0030%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐サワー鋼板。 - 板厚が36.0mm以上45.0mm以下、
降伏応力が448MPa以上、
引張強さが535MPa以上
であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の耐サワー鋼板。
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