JP2017155346A - 粒子状物質保持紙の製造方法 - Google Patents
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また、紙に粒子状物質を保持させるバインダーとして熱可塑性樹脂を利用する技術が、例えば特許文献5に開示されている。
まず、バルカナイズドファイバーにより湿潤紙力を増強させる方法では、バルカナイズドファイバーの製造時に腐食性を有する塩化亜鉛溶液を使用するため、製造工程で耐腐食性のある高価な設備を要することになり、コストが著しく増大する。
また、熱可塑性樹脂等からなるバインダーを用いて粒子状物質を保持させる方法や、紙に疎水性物質をコーティングして粒子状物質の漏出を防ぐ方法では、例えば活性炭等の粒子状物質が持つ汚染物質吸着機能が、バインダーまたは疎水性物質によって阻害され、低下する等の問題があった。
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、を有するものである。
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、を有するものである。
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、を有するものである。
この場合、乾燥工程としては、請求項5に記載するように、温度が100〜120[℃]、加圧圧力が1.1〜2.0[Mpa]、及び、乾燥時間が1〜5分間の条件にて行うプレス乾燥工程を含むことが望ましい。
更に、天然素材であるセルロースを主成分として粒子状物質保持紙が構成されるため、環境に配慮した製造方法を実現することができ、製造設備も比較的安価である。
加えて、イオン液体も従来の有機溶媒と比較して環境への負荷が少ないことから、環境保護に資することができる。
本発明の第1〜第3実施形態に係る粒子状物質含有紙の製造方法は、(1)部分溶解工程、(2)貧溶媒浸漬工程、(3)乾燥工程の順に紙を製造するものである。ここで、各実施形態では、(1)部分溶解工程の内容がそれぞれ異なり、(2)貧溶媒浸漬工程、(3)乾燥工程は何れも共通している。
(1)部分溶解工程
この部分溶解工程では、粒子状物質を予め含有させた紙にイオン液体を含浸させ、紙のセルロースを部分的に溶解させる。なお、紙にイオン液体を含浸させる方法としては、紙をイオン液体に浸漬する、紙にイオン液体をスプレー等により噴射する、紙にイオン液体を転写ロール等により転写する、等の方法があるが、ここでは、紙をイオン液体に浸漬する方法を採った。
この紙に予め含有させる粒子状物質としては、ゼオライト、活性炭、酸化チタン等が挙げられる。なお、粒子状物質を調製する際には、歩留まり向上剤等を使用することが望ましい。
これらの条件を満たすイオン液体としては、例えば、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−アリル−3−アルキルイミダゾリウム塩、1−アルキル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−アルキルピリジウム塩、メチル−N−ブチルピリジニウム塩等が挙げられる。
本実施形態におけるイオン液体としては、特に、低融点で水溶性、エタノール溶解性を共に有する1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドを用いることが好ましい。
イオン液体の温度及び加熱体による加熱温度が80[℃]を下回るとセルロースの溶解が進まず、100[℃]を上回るとエネルギーコストが嵩むため、好ましくない。
この部分溶解工程によれば、粒子状物質を保持し、かつ、イオン液体が含浸された紙を所定の条件のもとで常温下におき、または加熱することにより、セルロースの一部が部分的に溶解する。
上述した(1)の部分溶解工程に続き、紙を貧溶媒に浸漬し、部分溶解工程により生じたセルロース溶液からセルロースを紙の表面上または紙中に析出させ、粒子状物質を定着させる。
貧溶媒は、例えば、水及びメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類であり、更には、これらの混合溶媒を使用することができる。
貧溶媒は、使用後にイオン液体との混合溶媒となる。従って、イオン液体及び貧溶媒の再利用を考慮した場合、減圧蒸留の可能性、再利用の容易さ及びコスト等の観点から、貧溶媒にはエタノールを使用することが最も望ましい。
この乾燥工程は、(2)の貧溶媒浸漬工程を経た紙を乾燥させる工程であり、例えば、水を用いて紙を洗浄することにより過剰のイオン液体を除去し、その後に紙を乾燥させる。
乾燥手段としては、プレス乾燥を用いることができる。プレス乾燥は、例えば、温度が100〜120[℃]、より好ましくは105[℃]、加圧圧力が1.1[MPa]、乾燥時間が1〜5分間の条件で行うことが望ましく、これによって紙が保有する水分を簡便に除去することができる。
なお、乾燥手段はプレス乾燥に限定されず、例えば熱風を吹き付ける送風乾燥や、これらの乾燥装置を用いない自然乾燥を行っても良い。
また、(1)の部分溶解工程においてイオン液体により部分的に溶解したセルロースがフィルム化する結果、セルロースフィルムの繊維結合維持機能により、乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度を高めることができる。
この第2実施形態では、(1)の部分溶解工程において、粒子状物質が分散しているイオン液体に紙を浸漬することにより、紙のセルロースを部分的に溶解させる。
粒子状物質が保持されていない紙を、ゼオライト、活性炭、酸化チタン等の粒子状物質を分散させたイオン液体に浸漬することにより、イオン液体が紙全体に含浸してセルロースを部分的に溶解し、溶解したセルロースに粒子状物質が定着する。イオン液体には、第1実施形態と同様のものを用いれば良い。
この第2実施形態によれば、(1)の部分溶解工程により、紙に対するイオン液体の含浸と粒子状物質の保持とを同時進行的に実現することができる。
この第3実施形態では、(1)の部分溶解工程において、粒子状物質が分散しているイオン液体を紙に塗布することにより、紙のセルロースを部分的に溶解させる。
イオン液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドを用いた場合における、イオン液体を塗布した紙を加熱体に挟んで加熱する際の加熱温度、加熱時間は、第1実施形態に例として挙げた条件と同様にすることができる。
実施例1〜5は、第1実施形態の製造方法によるものであり、部分溶解工程における調製後の活性炭含有シートの加熱時間がそれぞれ異なる例である。なお、いわゆる当業者の技術常識に照らして、本発明が以下の各実施例における実験条件に限定されないのは言うまでもない。
まず、実施例1について説明する。
0.15[%]の針葉樹パルプサスペンション807[ml]をとり、600[rpm]で1分間撹拌を行った。そこに1[%]活性炭懸濁液(対パルプ固形分6[%])を加え、1分間撹拌した。0.1[%]ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(対パルプ固形分0.1[%])と0.1[%]アニオン性ポリアクリルアミド(対パルプ固形分0.5[%])を入れ、それぞれ1分間撹拌した。手漉き抄紙器を用いて抄紙し、プレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、20[min])を行って、坪量60[g/m2]の活性炭含有シートを作成した。調製した活性炭含有シートを70[mm]×60[mm]に切り取り、オーブンで乾燥させた。
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、5分間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、1時間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、16時間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、48時間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
サンプルとなる紙は、活性炭粉末を添加せずに針葉樹パルプのみを用いて、実施例1と同様に調製した。その紙を貧溶媒としてのエタノール50[ml]に1分間浸漬後、過剰のエタノールをろ紙(φ90[mm]、NO.2、ADVANTEC製)を用いて除去した。そして、蒸留水50[ml]に1分間浸漬した後、過剰の蒸留水をろ紙(φ90[mm]、NO.2、ADVANTEC製)を用いて除去した。その後、110[℃]、1.1[MPa]の条件で5分間、プレス乾燥を行ってサンプルを調製した。
なお、この比較例1では、活性炭粉末の添加及びサンプルへのイオン液体の含浸処理を行っていない。
サンプルとなる紙として、実施例1と同様に調製した活性炭含有シートを用いた。その紙を50[ml]のエタノールで1分間、50[ml]の蒸留水を取り替えながら30分間、100[rpm]で振とうさせながら、洗浄した。乾燥にはプレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、5分間)を用いた。
各実施例及び比較例により調製したサンプル(ろ紙)に対する機能評価として、以下のように、(a)ほぐれやすさ試験、(b)乾燥紙力試験、及び、(c)湿潤紙力試験を行い、更に、湿潤引張強さ残留率を算出した。
調製したサンプルを、100[ml]の蒸留水が入ったサンプル管瓶(110[ml])に入れ、瓶を手で持って往復で50回、一定速度で振とうさせた後、サンプルの状態を観察した。
50[mm]×20[mm]のサンプルを用いて、引張試験を行った。引張試験は、A&D社製のSTB−1225Sを用いて、試験速度10[mm/min]、チャンク間距離25[mm]にて行い、以下の数式1により乾燥紙力強度を算出した。
[数式1]
乾燥紙力強度[kN/m]= 最大荷重[N]/ サンプル幅[mm]
50[mm]×20[mm]のサンプルを、蒸留水に1時間浸漬させた。浸漬後、サンプルを水中から取り出して吸水紙の上に置き、更に別の吸水紙を上に載せ、軽く押さえて余分な水分を除いた。この後、直ちに引張試験を行った。引張試験条件は、乾燥紙力試験と同様であり、以下の数式2により湿潤紙力強度を算出した。
[数式2]
湿潤紙力強度[kN/m]=最大荷重[N]/ サンプル幅[mm]
更に、湿潤紙力強度と乾燥紙力強度との比である湿潤引張強さ残留率を、以下の数式3により算出した。
[数式3]
湿潤引張強さ残留率[%]=湿潤紙力強度[kN/m]/ 乾燥紙力強度[kN/m]×100
(a)ほぐれやすさ試験の評価結果について
図1は、実施例1〜5,比較例1,2のほぐれやすさ試験の結果を示すものである。
図1の比較例1,2では、50回振とう後にシート形状を維持することが困難であった。また、比較例1,2では、粒子状物質保持機能の確認ができなかった。一方、実施例1〜5では、加熱時間の長短に関わらずサンプルの破れが確認されず、また、活性炭の脱離も確認されなかった。このことから、実施例1〜5によれば、粒子状物質保持機能を付与することが可能であった。
表1は、各サンプルの乾燥紙力強度、湿潤紙力強度、湿潤引張強さ残留率をそれぞれ示している。
更に、湿潤引張強さ残留率は、実施例1〜5では比較例1よりも大幅に高くなり、実施例1〜4では比較例2よりも高くなった。
サンプル管に実施例1〜5及び比較例1,2のシートとメチレンブルー(MB)水溶液100[ml]を入れ、150[rpm]で回転させてサンプルにMBを浸透させることにより、染料吸着能実験を行った。染料吸着能は、紫外−可視分光光度計で668[nm]の吸光度を用いて、48時間後のMBの吸着率を測定することにより、評価した。
つまり、イオン液体を用いて紙のセルロースを一部溶解させ、更に貧溶媒によりセルロースを析出させて紙に定着させた活性炭の物質吸着機能は、十分に維持されていることが確認された。
[実施例6]
0.25[%]の針葉樹パルプサスペンション807[ml]をとり、手漉き抄紙器を用いて抄紙し、プレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、20分間)を行い、坪量100[g/m2]の手漉きシートを作成した。
図2(b)によれば、サンプル表面のタルク粒子が確認されており、タルクの紙への保持が確認された。
Claims (8)
- 粒子状物質を予め含有する紙にイオン液体を含浸させ、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、
を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。 - 粒子状物質を分散させたイオン液体に紙を浸漬し、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、
を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。 - 粒子状物質を分散させたイオン液体を紙に塗布し、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、
を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
前記貧溶媒浸漬工程を経た紙を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。 - 請求項4に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
前記乾燥工程は、温度が100〜120[℃]、加圧圧力が1.1〜2.0[Mpa]、及び、乾燥時間が1〜5分間の条件にて行うプレス乾燥工程を含むことを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。 - 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
前記部分溶解工程では、イオン液体を含浸させた紙を、5[sec]〜48[hour]の間で選択された時間により加熱することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。 - 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
前記セルロースは、木材パルプを含む植物繊維であることを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。 - 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
前記貧溶媒は、セルロースの貧溶媒であることを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
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