JP2017156231A - クロマトカラムの充填前空気抜き方法 - Google Patents

クロマトカラムの充填前空気抜き方法 Download PDF

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安達 恒康
Tsuneyasu Adachi
恒康 安達
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Abstract

【課題】カラム内に充填剤を充填するに先立って、カラム内から空気を容易かつ十分に抜き取ることができるクロマトカラムの充填前空気抜き方法を提供する。
【解決手段】カラム2内に固定栓10のポート11bを介して水を導入すると共に可動栓20を上昇させ、その後、可動栓20を押し下げて水を配管24,27から排出する。次いで、配管26,24を介してカラム2内に水を加圧供給し、バルブ17を開けて配管18から一気に流出させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば、医薬品やファインケミカル、機能性成分などの分離・精製工程で用いられるクロマトカラムに充填剤を充填する前に空気を抜き出す方法に関する。
バイオテクノロジー分野での近年の進歩に伴って、タンパク質のような生体物質及び生化学物質を回収、精製及び分離するための迅速で一段と精密な技術が必要とされている。医薬品やファインケミカル、機能性成分などの分離・精製工程ではクロマトグラフィーが広く用いられている。
例えば、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー(以下ゲル濾過と略)は、タンパク質や多糖類、核酸などの生体分子を精製する際に用いられる代表的な方法の一つである。ゲル濾過では、カラムに充填されたゲル粒子状の充填剤層にサンプルを通すことにより、様々な大きさの分子を分子量(ここでは溶液中での分子の大きさの意味)に従って分離することができる。担体には小さな孔が開いてあり、小さい分子はその孔に入り込むため、長い間カラム内にとどまることになる。そのため、高分子ほど早く溶出され、低分子ほど溶出されるまで時間がかかる。その他様々な方式のクロマトグラフィーが知られている。
一般に、一連のクロマト構成操作、分離精製操作と、メンテナンス作業は、例えば以下のように行われる。なお、以下の説明は、20%エタノールに浸漬され保存された湿潤型のゲル状の充填剤を用いる場合を例にとったものである。
(1) カラム準備
カラムを組み立て、水やエタノールなどで満たし、気泡を除去する。
(2) 充填剤準備
ゲル粒子状の充填剤を純水あるいは平衡化バッファーで洗浄してエタノールから置換した後に、純水あるいは平衡化バッファーを所定量加えて充填剤スラリーを調製する。
(3) 充填剤のカラム充填
スラリーを気泡が入らないようにカラムに注入し、その後、スラリー注入口をシールする。
(4) クロマト分離精製
カラムをクロマト送液システムに接続し、精製目的成分の分離精製を繰り返す。
(5) 充填剤洗浄
所定回数の精製を行った後、またはゲル状の充填剤が汚れた際に、カラムをクロマト送液システムから外し、充填剤をカラムから抜き出してNaOHなどの洗浄液で洗浄する。
(6) 前記工程(1)〜(5)を繰り返す。
上記工程(1)において、クロマトカラムに充填剤を充填する前に内部の空気を除去する工程は重要である。空気を除去する目的は、以下の2点である。
(i) クロマトカラムへの通液時の偏流を防止し、良好な分離ピークを得ること。
(ii) 空気だまりがあると、使用後のCIP工程において苛性ソーダと接液しない部位が生じる。これを排して、良好な殺菌効果を得ること。
クロマトカラムの充填前に空気を抜く方法として、特開2012−159461には、カラム上端テーパー部に可動栓を挿入する時に、カラムからオーバーフローする水流にのって空気を抜く方法が記載されている。
しかし、この方法では、カラムの上部フィルターに付着した空気を除くのは難しい。特に、カラム口径が大型化した場合、付着空気を除くことは困難である。
特開2012−159461号公報
本発明は、カラム内に充填剤を充填するに先立って、カラム内から空気を容易かつ十分に抜き取ることができるクロマトカラムの充填前空気抜き方法を提供することを目的とする。
本発明のクロマトカラムの充填前空気抜き方法は、カラム軸心方向を上下方向としたカラムと、該カラムの一端側に設けられた固定栓と、該カラム内に設けられた可動栓と、を有するクロマトカラムから充填剤充填前に空気を抜き出す方法において、該固定栓又は可動栓を介して該カラム内に水を導入する第1工程と、可動栓を固定栓に当接するまで移動させ、可動栓又は固定栓を介して空気及び水を排出する第2工程と、可動栓及び固定栓の一方を介してカラム内に水圧を加える第3工程と、可動栓及び固定栓の他方から水圧によって水を流出させる第4工程とを有することを特徴とする。
本発明の一態様では、前記可動栓及び固定栓の一方の栓に、該栓を貫通する、カラム内への充填剤スラリー導入用の配管が設けられており、前記第4工程では、該配管を介してカラム内の水を流出させる。
本発明の一態様では、前記可動栓及び固定栓は、カラム内に臨む面にフィルタが設けられており、該フィルタを挟んでカラム内と反対側に水路が設けられており、前記第1工程では、可動栓又は固定栓の水路及びフィルタを通してカラム内に水を導入し、第2工程では、可動栓又は固定栓のフィルタ及び水路を通してカラム内の水を排出し、第3工程では、可動栓又は固定栓の水路及びフィルタを通してカラム内に水圧を加える。
本発明の充填剤抜き取り方法によれば、カラムからの空気抜き作業は、バルブの開閉と可動栓の昇降及び加圧水の供給で行うことができ、作業が簡単である。また、カラム口径が大きい場合でも、空気抜きを容易に行うことができる。
本発明方法を説明するクロマトカラムの模式的な断面図である。 本発明方法を説明するクロマトカラムの模式的な断面図である。 本発明方法を説明するクロマトカラムの模式的な断面図である。
以下、図1〜3を参照して実施の形態について説明する。図1〜3は、実施の形態に係るクロマトカラムの充填前空気抜き方法を説明する、クロマトカラムの模式的な断面図である。
図1の通り、クロマトカラム1は、筒軸心方向を鉛直方向とした円筒状のカラム2と、該カラム2の下端に取り付けられた固定栓10と、該カラム2内に上下方向移動可能に設置された可動栓20と、該可動栓20を上下移動させるジャッキ(図ではジャッキロッドのみが示されている。)3等を備えている。可動栓20はジャッキロッドの下端に取り付けられている。
固定栓10は、カラム2の下端のフランジ部2aにクランプやボルト等の取付手段(図示略)によって取り付けられた円盤状の固定栓本体11と、該固定栓本体11の上面の凹所11aに被さる、多孔質材よりなる円盤状のフィルタ12等を備えている。また図示しないが、凹所11a底面には中心から外周方向に放射状に延在する複数の突起が設けられており、段部11dと略同じ高さに設計されている。フィルタ12は、該突起及び凹所11aの周囲の段部11dに係止されており、フィルタ12と凹所11a底面との間に液の流通用の水路としてのスペース13が設けられている。
固定栓本体11には、該スペース13に連通する液流通用のポート11bが設けられており、該ポート11bにバルブ14を介して配管15が接続されている。
フィルタ12の中央にはスラリー排出管16が設けられ、この配管16の先端に平板栓36が設けられている。平板栓36の上面はフィルタ12の上面と面一となっている。平板栓36は、弁体を弁座に対し下方から接離させることにより閉・開が行われるよう構成されている。スラリー排出管16の先端側は短い管状であり、管軸方向を上下方向とし、フィルタ12、スペース13及び固定栓本体11を貫通している。スラリー排出管16の末端にはバルブ17を介して配管18が接続されている。
可動栓20は、外周面がカラム2の内周面にOリング(図示略)等を介して水密的にかつ摺動可能に接している円盤状の可動栓本体21と、該可動栓本体21の下面の凹所21aに被さる、多孔質材よりなる円盤状のフィルタ22等を備えている。また固定栓と同様、図示しないが凹所21aの天井面には中心から外周方向に放射状に延在する複数の突起が設けられており、段部12dと略同じ高さに設計されている。フィルタ22は、該突起及び凹所21aの周囲の段部21dに係止されており、フィルタ22と凹所21a天井面との間に液の流通用の水路としてのスペース23が設けられている。
可動栓本体21には、該スペース23に連通する液流通用のポート21bが設けられており、該ポート21bに配管24を介してバルブ25及び配管26が接続されている。配管26にはポンプ30及びバルブ31が設けられている。配管26からは配管27が分岐しており、該配管27にバルブ28が設けられている。
図示は省略するが、充填剤が充填された後のクロマトカラム1にあっては、固定栓10と可動栓20との間に充填剤層が形成されている。バルブ14,25を開、バルブ17,28、平板栓36を閉とした状態で移動層溶媒が配管15からスペース13及びフィルタ12を介して充填剤層に流通され、溶離液がフィルタ22、スペース23及び配管24,26を介して流出する。
このクロマトカラム1に充填剤を充填するのに先立って、カラム2内から空気を抜き出す手順について次に説明する。
図1の通り、バルブ17,31、平板栓36を閉、バルブ14,25,28を開とし、配管15から水をカラム2内に導入する。また、可動栓20をジャッキ3で上昇させる。配管15からの水は、スペース13からフィルタ12を通ってカラム2内に流入し、カラム2内に溜まる。カラム2の高さの10〜60%の位置にジャッキ3を利用して可動栓20を移動させ、可動栓20を固定して、カラム2内に水Wを導入する。これにより、配管15、スペース13及びフィルタ12の気孔内の空気の大部分が排出される。
次に、図2の通り、バルブ14,17,31、平板栓36を閉とし、バルブ25,28を開とし、可動栓20を固定栓10に重なるまで下降させる。
これにより、カラム2内の空気及び水は、フィルタ22、スペース23、配管24,27を通って排出され、フィルタ22内の気孔やスペース23、配管24,27内も水で満たされる。
次に、図3(a)の通り、バルブ14,17,28、平板栓36を閉、バルブ25,31を開とし、ポンプ30を作動させ、配管26,24、スペース23及びフィルタ22を介してカラム2内に供給する。このとき通水圧によってカラム内部は昇圧される(0.04〜0.10MPa程度)。
次に、図3(b)のように、図3(a)の状態で、バルブ17、平板栓36を開とする。配管26を介してポンプ30からの水の供給は継続する。これにより、スペース23からフィルタ22、フィルタ12,22に挟まれた狭いスペース、平板栓36、バルブ17、配管18を介して水が一気に排出され、これに伴って、フィルタ12,22に挟まれた狭いスペース内の空気が水と共に排出される。可動栓が固定栓に当接している場合も装置構造上はフィルタ12,22の間に微小な隙間が存在しているからである。可動栓と固定栓を近接させる(例えば5mm以下)ことにより、フィルタ12,22に挟まれた流路は狭くなり、空気の逃げ場がなくなる上に流速が速くなる空気が水に巻き込まれて効率よく排出される。なお、5mmを超えると狭小スペースの上部に空気が溜まる上に狭小スペース内の流速が遅くなるので平板栓を介して下方に排出することは困難になる。
その後、必要であれば、上記の一連の工程を1回又は2回以上繰り返す。
図3(b)のように、カラム2内からの空気が十分に排出されたならば、図3(b)の状態でポンプ30を停止し、バルブ25を閉とし、配管18を充填剤スラリー供給部(図示略)に接続し、充填剤スラリーをカラム2内に導入する。可動栓20はこれに伴って上昇する。次いで、バルブ17、平板栓36を閉とし、バルブ14を開とするか、又はバルブ25,28を開とし、可動栓20を押し下げ、充填剤スラリー中の液分を搾り出して充填剤層をカラム2内に形成する。このようにして形成された充填剤層は、空気溜りがなく、それに起因した偏流等が防止される。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とされてもよい。上記実施の形態では、可動栓20を上側、固定栓10をカラム2の下部としているが、逆に固定栓10をカラム2の上部に配置し、可動栓20を下側に配置してもよい。
上記平板栓36の弁体及び弁座は、テーパ形となっているが、円柱形の弁体を円筒形の弁座に挿抜して閉・開する構成としてもよい。
1 クロマトカラム
2 カラム
3 ジャッキ
10 固定栓
12 フィルタ
20 可動栓
22 フィルタ
30 ポンプ

Claims (3)

  1. カラム軸心方向を上下方向としたカラムと、
    該カラムの一端側に設けられた固定栓と、
    該カラム内に設けられた可動栓と、
    を有するクロマトカラムから充填剤充填前に空気を抜き出す方法において、
    該固定栓又は可動栓を介して該カラム内に水を導入する第1工程と、
    可動栓を固定栓に当接するまで移動させ、可動栓又は固定栓を介して空気及び水を排出する第2工程と、
    可動栓及び固定栓の一方を介してカラム内に水圧を加える第3工程と、
    可動栓及び固定栓の他方から水圧によって水を流出させる第4工程と
    を有することを特徴とするクロマトカラムの充填前空気抜き方法。
  2. 請求項1において、前記可動栓及び固定栓の一方の栓に、該栓を貫通する、カラム内への充填剤スラリー導入用の配管が設けられており、
    前記第4工程では、該配管を介してカラム内の水を流出させることを特徴とするクロマトカラムの充填前空気抜き方法。
  3. 請求項1又は2において、前記可動栓及び固定栓は、カラム内に臨む面にフィルタが設けられており、
    該フィルタを挟んでカラム内と反対側に水路が設けられており、
    前記第1工程では、可動栓又は固定栓の水路及びフィルタを通してカラム内に水を導入し、
    第2工程では、可動栓又は固定栓のフィルタ及び水路を通してカラム内の水を排出し、
    第3工程では、可動栓又は固定栓の水路及びフィルタを通してカラム内に水圧を加えることを特徴とするクロマトカラムの充填前空気抜き方法。
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