JP2017159193A - 水溶性重合体分散液による排水処理方法 - Google Patents

水溶性重合体分散液による排水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子凝集剤として従来の水溶性高分子よりも凝集処理性能に優れ、処理水の水質が改善できる排水の処理方法を提供することにある。【解決手段】塩化物イオン及び多価アニオンを含有する塩水溶液中で、下記一般式(1)で表される単量体を必須として含有する単量体あるいは単量体混合物水溶液を、該塩水溶液中に構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有する高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液であり、該水溶性重合体分散液総量に対して、無機塩の総量が15質量%未満である水溶性重合体分散液を排水に添加することで、従来の水溶性高分子に比べて優れた凝集処理効果が可能となり、処理水質が改善できる。【選択図】 なし

Description

本発明は排水の処理方法に関する。更に詳しくは塩化物イオン及び多価アニオンを含有する塩水溶液中で、特定の単量体及び構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有する高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液であり、該水溶性重合体分散液総量に対して、無機塩の総量が15質量%未満である水溶性重合体分散液を添加することからなる排水処理方法に関する。
放流水質の規制強化に伴い、排水の処理において排水中の懸濁物質の凝集処理効率の向上だけでなく処理水の水質、CODやアンモニウム態窒素やノルマルヘキサン抽出物等の低減も強く要望される様になっている。一般的に凝集処理として、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化鉄等の無機凝集剤を添加した後に高分子凝集剤を添加して凝集フロックを生成させ、次いで、凝集沈殿処理あるいは凝集浮上処理する方法が適用されている。処理効果を上げるには無機凝集剤の添加量を増やすことになり、スラッジ量が増加し、処理コストが掛かるだけではなくアルミニウムの様に環境系に有害な物質を放出する等の問題点が指摘されている。そのため、一般的に高分子凝集剤として汎用されているポリアクリルアミド(PAM)系水溶性高分子の種々の改良や提案が行なわれている。一般的にその形態は、水溶液、粉末、油中水型エマルジョン等があるが、水溶液、粉末タイプは溶解効率が低く、油中水型エマルジョンは溶剤と乳化剤が配合されているため環境への影響が懸念される。そこで、これら問題点を解消するためには溶解性が良く、溶剤、乳化剤を使用しない塩水溶液中でイオン性高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液が使用される(特許文献1、2)。
塩水溶液中でイオン性高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液の技術については、種々の特許公報により開示されている。一般的に分散重合時において無機塩として硫酸アンモニウムが汎用されているが、平成26年の水質汚濁防止法改正に伴いアンモニウム化合物が有害物質に指定されていることから硫酸アンモニウムを含有する水溶性重合体分散液は好ましくはない。特許文献3では、硫酸アンモニウムを使用しない水溶性重合体分散液の製造方法が開示されているが、具体的な凝集処理効果や処理水質に対する効果については記載がない。
特開2002−355682号公報 特開2013−248584号公報 特開2016−003255号公報
本発明の目的は、排水の凝集沈殿処理あるいは凝集浮上処理において、高分子凝集剤を添加し、凝集処理により処理効率を高めると共に処理水質の改善を図ることができる排水の処理方法を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下に述べる発明に達した。即ち、塩化物イオン及び多価アニオンを含有する塩水溶液中で、下記一般式(1)で表される単量体を必須として含有する単量体あるいは単量体混合物水溶液を、該塩水溶液中に構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有する高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液であり、該水溶性重合体分散液総量に対して、無機塩の総量が15質量%未満である水溶性重合体分散液を添加することを特徴とする排水の処理方法である。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、Rは炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基である。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
本発明における水溶性重合体分散液は、高分子凝集剤として凝集沈殿処理あるいは凝集浮上処理に適用することができる。
本発明における排水の処理方法は、本発明における水溶性重合体分散液を排水に添加、混合し凝集させた後、固液分離することを特徴とする。一般的に使用されている高分子凝集剤に比べて、特定の組成を有し、特定の製法により製造されるため、溶解効率が良く、排水に添加すると優れた凝集処理効果を発揮し処理水質も改善することができる。
本発明における水溶性重合体分散液は、塩水溶液中で、下記一般式(1)で表される単量体を必須として含有する単量体あるいは単量体混合物水溶液を、該塩水溶液中に可溶な高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液である。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、Rは炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基である。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
本発明における水溶性重合体分散液を製造する際に使用する一般式(1)で表されるカチオン性単量体は、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピルアクリルアミドの塩化ベンジル等のハロゲン化アリール化合物や炭素数が7〜20のハロゲン化アルキルによる4級化物等が挙げられ、これらのカチオン性ビニル系単量体は1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。具体的な例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物等である。一般式(1)で表されるカチオン性単量体は10〜70モル%の範囲が好ましく、10〜60モル%が更に好ましい。
本発明における水溶性重合体分散液を製造する際に使用する一般式(1)で表されるカチオン性単量体と下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体を共重合して使用することができる。

一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基であり、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)で表されるカチオン性単量体として、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等、塩化メチル等のハロゲン化アルキル等が挙げられ、これらのカチオン性単量体は1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。具体的な例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピルアクリルアミドの塩化メチルや塩化エチルなど低級アルキル基のハロゲン化物による四級化物である。例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物等である。
一般式(1)で表されるカチオン性単量体と非イオン性単量体を共重合させる場合に使用する非イオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらを二種以上組み合わせて使用しても良い。又、一般式(1)で表されるカチオン性単量体と一般式(2)で表されるカチオン性単量体と非イオン性単量体を共重合させても良い。本発明における水溶性重合体分散液を構成するカチオン性単量体の総量は30〜70モル%が好ましく、30〜60モル%が更に好ましく適用できる。これはカチオン度がこの範囲にあると分子量もある程度上げることができ、排水中の懸濁粒子のアニオン電荷を中和させる中和作用と、架橋吸着による凝集効果がバランス良く発揮できるためである。
本発明における水溶性重合体分散液は、イオン性が両性であっても良く、その場合は製造時に、下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体が使用される。
一般式(3)
は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、R10は水素又はCOOY、YあるいはYは水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
本発明における両性水溶性重合体分散液を製造する際に使用する前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体は0〜20モル%の範囲である。アニオン性単量体の例としては、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸あるいはp−カルボキシスチレン酸等が挙げられる。これらを二種以上組み合わせて使用しても良い。又、一般式(3)で表されるアニオン性単量体と非イオン性単量体を使用しても良く、一般式(3)で表されるアニオン性単量体と一般式(2)で表されるカチオン性単量体と非イオン性単量体を使用しても良い。
本発明における塩水中分散重合は、特開昭62−15251号公報、特開昭62−20511号公報、特開2007−16086号公報、特開2016−003255号公報等で開示されている製法により製造することができる。塩水溶液中において、該塩水溶液中に構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有する高分子分散剤を共存させ、一般式(1)で表される単量体を必須として含有する単量体あるいは単量体混合物水溶液を分散重合する。一般式(1)で表される単量体を必須として含有して得られた水溶性重合体は、一般式(1)中のベンジル基等の疎水性基の存在により塩水溶液に溶解し難くなっており分散重合する際に適している。分散重合する際に、重合遅延性物質を全単量体に対し0.5〜5モル%添加することにより、増粘の抑制効果があり、適宜に添加して製造することができる。重合遅延性物質としては、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸等が挙げられる。
塩水中分散重合に使用する高分子分散剤は、本発明においては、構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有するものを使用する。ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物でも良いが、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物と非イオン性単量体との共重合体も使用可能である。非イオン性単量体の例としては、アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N、N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等であるが、アクリルアミドとの共重合体が好ましい。又、その他のカチオン性単量体、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物などを高分子分散剤組成中に含有していても差し支えない。
前記高分子分散剤の分子量としては、高いと分散液の粘性が高くなり好ましくない。従って5,000〜200万、好ましくは5万〜100万である。高分子分散剤の添加率は、単量体に対して1〜20質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。分散液に対して5質量%未満が好ましい。これは5質量%以上含有すると経済的に不利であり、高分子の機能を阻害する可能性が有るためである。
重合時に使用する無機塩としては、塩化物イオンと多価アニオンを含有する塩を使用する。この二種類の塩を必須として使用することで大きな増粘を抑制し、且つ無機塩総量を減少させた水溶性重合体分散液を製造することができる。塩化物イオンを含有する塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、等が挙げられる。多価アニオンを含有する塩として、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムが好ましい。塩化物イオン含有塩と多価アニオン含有塩の比率は、質量比で1:9〜9:1の範囲であり、好ましくは3:7〜7:3である。これら以外のアルカリ金属イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、アンモニウムイオン等も含まれていても良い。これら無機塩水溶液中に前記単量体類を溶解させ、更に高分子分散剤を共存させ、pHを2〜5に調製した後、窒素置換後、重合開始剤によって重合を開始させる。
塩化物イオンと多価アニオンを併用すると無機塩の総量を減らすことができ、水溶性重合体分散液総量に対して、15質量%未満にすることができる。通常は20質量%以上存在しないと安定した分散液は製造できない。これは製造時に大きな増粘が生じるためである。しかし、本発明における水溶性重合体分散液では、構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有する高分子分散剤を使用し、塩化物イオンと多価アニオンを併用することで増粘を抑制できる。
構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有する高分子分散剤と、塩化物イオンと多価アニオンを併用すると増粘を抑制する効果があることについては、理論的には不明な部分が多く解明できないが、現象面から推定すると以下の様になる。即ち、塩水溶液中で重合が進行していくと、生成高分子濃度は、溶解度以上となり高分子粒子の析出が始まるが、その手前では溶解している高分子のため重合物自体(重合系)の粘性も増加し、溶解高分子と析出粒子が共存した状態になる。この後、析出した高分子の割合は増加していき、重合物は徐々に粘性が低下し、分散状態に相変化する。この共存状態時に、析出粒子とゲル状の溶解高分子間における滑りを向上させ、相変化前の増粘状態から分散状態への相変化をスムーズに移行させるのが、相移行期における分散剤の主な役目と考えられる。重合の初期段階では、分散剤の構成単位であるジアリルジメチルアンモニウム塩化物と塩化物イオンの作用により、生成高分子の比較的低分子量の相分離に関与し、相変化を円滑に進行させ、重合の後半では塩析力の強い多価アニオンの作用により生成高分子の比較的高分子量のものとの塩析効果を促進する結果、高分子分散液が安定して製造できると考えられる。
本発明において、有効成分として作用せず、又、高分子の機能を阻害する場合がある無機塩を抑制することができる。特に水溶性重合体分散液の無機塩として、一般的に硫酸アンモニウムが好適に使用されているが、硫酸アンモニウム塩由来の全窒素含有量は、50000ppm(対水溶性重合体分散液製品)程度は含まれている。この硫酸アンモニウム塩由来の窒素を無くすことで、全窒素含有量を30000ppm(対水溶性重合体分散液製品)未満にまで低減することができる。平成26年の水質汚濁防止法改正に伴いアンモニウム化合物が有害物質に指定されていることから環境に与える影響が懸念されており、本発明における水溶性重合体分散液は、無機塩総量を15質量%未満に抑制できるので環境に与える影響を減少させることができると共に凝集処理効果及び処理水質を改善できるものである。又、油中水型エマルジョンとは異なり、溶剤と乳化剤を使用しないためノルマルヘキサン抽出物の量も低減することが可能となり、総合的に判断して従来の高分子凝集剤を使用するよりも水質改善効果が達成できる。このため、し尿処理場の脱離液の膜処理施設等、濾液を直接河川水等に放流するため高分子凝集剤の形態が粉末品しか使用できなかった現場においても使用が見込める。
重合濃度としては、単量体濃度として10質量%〜35質量%であるが、好ましくは15質量%〜30質量%である。これは単量体濃度が高い程、輸送コストの問題で経済的に有利であるが、単量体濃度が35質量%を超えると製造時に増粘が大きくなり分散液が得られ難くなるためである。単量体供給方法としては、重合開始時、一括して仕込んでも良いし、適宜分割して仕込んでも良い。
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決定し、温度としては0〜100℃の範囲で行う。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系の何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリル等が挙げられ、水混溶性溶剤に溶解し添加する。
水溶性アゾ系開始剤の例としては、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2、2’−アゾビス[2−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。又、レドックス系の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。これら開始剤の中で最も好ましいのは、水溶性アゾ開始剤の2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2、2’−アゾビス[2−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。アゾ系開始剤の添加量は、重合開始時、単量体当たり50〜500ppm、好ましくは70〜200ppm添加する。しかし、一回の添加では重合率が低くなるので、数回に分けて添加することが好ましい。
又、レドックス系開始剤で共重合する場合、40℃以上の条件で重合を開始させると重合の制御は難しく、急激な温度上昇や重合液の塊状化などが起きて、高重合度で安定な分散液が得られないため、15〜35℃が好ましい。この開始剤の添加率は、重合開始時、単量体当たり5〜100ppm、好ましくは10〜50ppm添加する。しかし、一回の添加では重合率が低くなるので、数回添加することが好ましい。添加回数としては、2〜5回、好ましくは2〜3回である。これらイオン性高分子からなる高分子分散剤の添加量としては、対単量体1〜30質量%であり、好ましくは2〜20質量%である。1質量%以下では、分散剤としての効果がなく、30質量%以上では、分散液の粘性が高くなる上、コスト的に不利になる。
本発明における水溶性重合体分散液は、高分子凝集剤として排水に添加、混合し凝集させた後、固液分離することを特徴とする排水の処理方法であるが、排水の懸濁物質の種類によって凝集沈殿処理あるいは凝集浮上処理が可能である。食品排水や古紙排水の様にSS濃度が比較的低い場合、SS3000ppm以下の場合は浮上処理が適し、砂利洗浄排水の様にSS濃度が比較的高い場合、3000ppmを超える場合は、沈殿処理が適している。
本発明における水溶性重合体分散液は、従来の塩水溶液中でイオン性高分子分散剤を共存させ、撹拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液に比べて、無機塩を低減させることができるので、高い分子量の重合体を得ることができる。凝集沈殿処理あるいは凝集浮上処理として機能を発揮するためには、本発明における水溶性重合体分散液の分子量の指標となる0.5質量%塩水溶液粘度、即ち、分散液を構成する水溶性重合体の25℃で測定した0.5質量%における、2質量%硫酸アンモニウム水溶液中の水溶液粘度が30〜100mPa・sの範囲であり、50〜100mPa・sが好ましく、60〜100mPa・sがより一層、好ましい。特に凝集処理効果に加えてCOD成分、アンモニア態窒素を抑制することができるため、本発明における水溶性重合体分散液を適用する処理方法として凝集浮上処理はより好適である。これは、水溶性重合体分散液に含有される無機塩の総量が少なく硫酸アンモニウムを使用しないことに加えて、分子量、カチオン量、親水性・疎水性のバランス、溶解液粘性が低いこと等が影響していることが考えられるが、加圧水と混合されるときに微細気泡を取り込みながら効率的に凝集フロックが生じる結果、COD成分をより吸着しやすいことによるものと推測される。そのため、無機凝集剤の添加量を抑制、あるいは無添加でも処理することが可能である。
本発明における水溶性重合体分散液は、溶解性が優れるため製品のままの状態で添加することもできるし、任意の濃度に水で溶解、希釈して排水に添加できる。溶解する場合は、一般的に溶解濃度0.05〜0.3質量%を適用する。又、排水に対する添加率は、排水に対して通常1〜100ppm、好ましくは2〜50ppmである。又、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、PAC、硫酸バンド等の無機系凝集剤と併用しても差し支えないが、処理水質の改善と同時に薬品使用量やSS処分費コスト等の削減改善の観点から添加量を抑制あるいは無添加が好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
先ず、特開2016−003255号公報等で開示されている製法により本発明で使用する水溶性重合体分散液を得た。以下に製造例を示す。
(製造例1)アンカー翼撹拌機、冷却管及び窒素導入管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに脱塩水154.2g、35質量%ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物20.5g、更に塩化ナトリウム11.1g、硫酸ナトリウム4.5gを加え、撹拌下40℃に昇温し均一に溶解した。次に、50質量%アクリルアミド41.7g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物10.9g、80質量%アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物38gを加え均一溶液とし、40℃の湯浴に浸し温度を安定化させた。次に、窒素雰囲気下、10質量%の2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩水溶液を重合開始剤として対単量体あたり200ppm添加し、撹拌下40℃で18時間重合した。反応終了後、得られた分散液に硫酸ナトリウム18gを加え硫酸ナトリウムの溶け残りがなくなるまで、撹拌し水溶性重合体分散液を得た。この水溶性重合体のモル組成比は、アクリルアミド/アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物/アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物=65/10/25モル%となる。この分散液の粘度は526mPa・sで、2質量%硫酸アンモニウム水溶液に水溶性重合体分散液を0.5質量%濃度に溶かした時の粘度は85mPa・sであった。これを試料1として表1に示す。
(製造例2)アンカー翼撹拌機、冷却管及び窒素導入管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに脱塩水139.2g、35質量%ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物32.4g、更に塩化ナトリウム6.3g、硫酸ナトリウム4.2gを加え、撹拌下40℃に昇温し均一に溶解した。次に、50質量%アクリルアミド24.6g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物20.9g、80質量%アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物58.2gを加え均一溶液とし、40℃の湯浴に浸し温度を安定化させた。次に、窒素雰囲気下、10質量%の2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩水溶液を重合開始剤として対単量体あたり200ppm添加し、撹拌下40℃で18時間重合した。反応終了後、得られた分散液に硫酸ナトリウム14gを加え硫酸ナトリウムの溶け残りがなくなるまで、撹拌し水溶性重合体分散液を得た。この水溶性重合体のモル組成比は、アクリルアミド/アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物/アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物=40/20/40モル%となる。この分散液は5460mPa・sで、2質量%硫酸アンモニウム水溶液に分散液を0.5質量%濃度に溶かした時の粘度は71mPa・sであった。これを試料2として表1に示す。
(製造例3)アンカー翼撹拌機、冷却管及び窒素導入管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに脱塩水193.6g、35質量%ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物12.3g、更に塩化ナトリウム12.4g、硫酸マグネシウム4.9gを加え、撹拌下36℃に昇温し均一に溶解した。次に、50質量%アクリルアミド25.0g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物6.6g、80質量%アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物22.8gを加え均一溶液とし、36℃の湯浴に浸し温度を安定化させた。次に、窒素雰囲気下、10質量%の2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩水溶液を重合開始剤として対単量体あたり80ppm添加し、撹拌下36℃で18時間重合した。反応終了後、得られた分散液に硫酸マグネシウム17.0gを加え硫酸マグネシウムの溶け残りがなくなるまで、撹拌し水溶性重合体分散液を得た。この水溶性重合体のモル組成比は、アクリルアミド/アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物/アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物=65/10/25モル%となる。この分散液は425mPa・sで、2質量%硫酸アンモニウム水溶液に分散液を0.5質量%濃度に溶かした時の粘度は61mPa・sであった。これを試料3として表1に示す。
尚、製造例1と同様に同じ単量体組成、重合条件で、それ以外の高分子分散剤質量、重合時塩、単量体濃度、あるいは無機塩濃度を変更したものを製造した。比較試料1〜4として表1に示す。尚、比較試料3、4は反応途中、反応液の粘度が上昇し撹拌困難となり固化した。
(表1)
AAM:アクリルアミド
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
DMBZ:アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物
高分子分散剤p−DD:ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物
高分子分散剤p−DMQ:ポリアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
重合時塩:(a)塩化ナトリウム、(b)硫酸ナトリウム、(c)硫酸マグネシウム、(d)硫酸アンモニウム
単量体濃度:水溶性重合体分散液に対する単量体の質量割合
無機塩濃度:水溶性重合体分散液に対する無機塩の質量割合
分散液粘度:水溶性重合体分散液の25℃において測定した粘度
0.5質量%塩水溶液粘度:2質量%硫酸アンモニウム水中に高分子濃度が0.5質量%になるように溶解したときの25℃において測定した粘度。
排水処理に高分子凝集剤として汎用されている市販品の水溶性高分子試料A、〜Dを用意した。組成、物性を表2に示す。
(表2)
0.5質量%塩水溶液粘度;4質量%食塩水中に高分子濃度が0.5質量%になるように溶解したときの25℃において測定した粘度(mPa・s)。
0.2質量%水溶液粘度;高分子濃度が0.2質量%になるように水で溶解したときの25℃において測定した粘度(mPa・s)
(実施例1)
本発明における水溶性重合体分散液の凝集性能を評価した。凝集性能評価には、沈降性が不良で沈殿槽で流出が発生している活性汚泥、pH7.6、MLSS濃度5190ppm、SVIが190(mL/g)を曝気槽からメスシリンダーに200mL採取し試験に用いた。当該活性汚泥は、高カチオンであるPAM系水溶性高分子が使用されていたが、処理効果が不安定な状況であった。表1の本発明における水溶性重合体分散液試料1の0.2質量%溶解液を、対処理液10ppmあるいは15ppm添加後、上下転倒強攪拌5回、弱撹拌5回行い静置し、対処理液の沈降性を比較するため30分後の沈降界面容積、フロック径、沈降速度を測定した。その結果を表3に示す。
(比較例1)
比較試験として実施例1と同様な試験を比較試料1あるいは表2の市販品水溶性高分子試料0.2質量%溶解液を対処理液15ppm添加後、上下転倒強攪拌5回、弱撹拌5回行い静置し、対処理液の沈降性を比較するため30分後の沈降界面容積、フロック径、沈降速度を測定した。その結果を表3に示す。
(表3)
本発明における水溶性重合体分散液試料1を添加時、比較例よりも大きいフロックを形成し、沈降速度が速く凝集性能が高いことが確認できた。同様に試料2、3についても実施例1と同様な試験を実施した結果、同様な効果が得られた。
(実施例2)
畜産排水(pH6.9、SS分5200ppm、TS12960ppm、濁度>1000NTU)を対象に凝集性能を評価した。排水を水道水にて二倍に希釈したものを200mL採取し、メスシリンダーにセット、表1の本発明における水溶性重合体分散液試料1の0.2質量%溶解液を対排水5ppmあるいは10ppm添加、上下転倒強攪拌5回、弱撹拌5回行い静置し、対排水の沈降性を比較するため30分後の沈降界面容積、フロック径、沈降速度を測定した。その結果を表4に示す。
(比較例2)
比較試験として実施例2と同様な試験を比較試料1、2あるいは表2の市販品水溶性高分子試料0.2質量%溶解液を対排水10ppm添加後、上下転倒強攪拌5回、弱撹拌5回行い静置し、対排水の沈降性を比較するため30分後の沈降界面容積、フロック径、沈降速度を測定した。その結果を表4に示す。
(表4)
本発明における水溶性重合体分散液試料1を10ppm添加時、比較例よりも大きいフロックを形成し、沈降速度が速く凝集性能が高いことが確認できた。
5ppmの低添加時でも比較例と同等以上の凝集効果が得られた。
(実施例3)
食品加工排水(pH8.4、SS分2550ppm、COD3380ppm、濁度>1000NTU、アンモニア態窒素0.26ppm、ノルマルヘキサン抽出物質6560ppm、色相 黄色)を対象に加圧浮上試験を実施した。排水1Lをビーカーに採取しジャーテスターにセット、硫酸2300ppm(対排水)を添加、150rpm60秒撹拌、pHを調整した後、表1の本発明における水溶性重合体分散液試料1の0.2質量%溶解液を対排水10ppm添加、150rpm30秒、80rpm30秒、40rpm30秒攪拌して凝集させ、加圧浮上処理試験に供した。加圧水には水道水を用い、空気溶解圧力4kg/cm、水量比25%の加圧水を加え、5分間静置浮上分離後の処理水をJISK0102法に則り分析した。結果を表5に示す。
(比較例3)
実施例3と同じ排水を対象に同様な試験を表1の比較試料1、2あるいは表2の市販品水溶性高分子試料を用いて行なった。これらの結果を表5に示す。
(表5)
本発明における水溶性重合体分散液試料1を添加した実施例3では比較例よりも、濁度、COD、アンモニア態窒素も低減し水質が改善することが確認できた。ノルマルヘキサン抽出物量も排水処理用の高分子凝集剤として汎用されている試料Aよりも低下を示した。同様に試料2、3についても実施例3と同様な試験を実施した結果、同様な効果が得られた。
(実施例4)
下水沈降余剰汚泥(pH6.7、SS分6820ppm、濁度>1000NTU、アンモニア態窒素23.1ppm、ノルマルヘキサン抽出物質154ppm、色相 茶色)を対象にジャーテスターを用いて沈澱処理試験を実施した。排水200mLをビーカーに採取し、表1の試料1の0.2質量%溶解液を対排水20ppm添加、150rpm30秒、80rpm30秒、40rpm30秒攪拌、フロック径を測定、5分間静置後のSV(汚泥沈澱率)、上澄み液の濁度、アンモニア態窒素、ノルマルヘキサン抽出物量をJISK0102法に則り測定した。その結果を表6に示す。
(比較例4)
実施例4と同様な試験を比較試料1、2あるいは表2の市販品水溶性高分子試料を用いて実施した。結果を表6に示す。
(表6)
本発明における水溶性重合体分散液を添加した実施例4では比較例よりも、フロック径が大きく、SVが低い値を示し凝集処理効果が優れている。又、濁度、アンモニア態窒素、ノルマルヘキサン抽出物量も比較例と同等以上の低減効果が確認できた。同様に試料2、3についても実施例4と同様な試験を実施した結果、同様な効果が得られた。













Claims (3)

  1. 塩化物イオン及び多価アニオンを含有する塩水溶液中で、下記一般式(1)で表される単量体を必須として含有する単量体あるいは単量体混合物水溶液を、該塩水溶液中に構成単位としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を含有する高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られる水溶性重合体分散液であり、該水溶性重合体分散液総量に対して、無機塩の総量が15質量%未満である水溶性重合体分散液を排水に添加、混合し凝集させた後、固液分離することを特徴とする排水処理方法。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、Rは炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基である。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
  2. 前記多価アニオンが硫酸ナトリウムあるいは硫酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1に記載の排水処理方法。
  3. 前記固液分離が、凝集沈殿処理あるいは凝集浮上処理であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の排水処理方法。












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