JP2017160571A - 強化繊維織物の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】強化繊維織物に熱処理を行う際に、強化繊維織物の組織崩れ(織糸の目曲がり)を抑え、織組織の形態保持に有効な熱処理(目どめ処理)を施す強化繊維織物の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の強化繊維織物の製造方法は、少なくとも、たて糸が強化繊維から構成され、よこ糸が繊度の異なる2本の繊維から構成される強化繊維織物をレピア織機にて製織する際に、レピアにはよこ糸把持部が2箇所あり、それぞれの把持部で前記2本の繊維を把持しながら一回のよこ入れ挿入においてよこ糸を同時挿入することにより、前記よこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように製織する。【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維織物の製造方法およびその製造装置に関するものである。より詳しくは、本発明は、繊度の異なる2本のよこ糸を同時挿入し、前記よこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶとともに、よこ糸の把持ミスが生じないようにすることが可能な織物の製造方法である。なかでも、よこ糸の一方の繊維が熱溶融繊維を含む場合においては、強化繊維織物に熱処理を行う際に、強化繊維織物の組織崩れ(織糸の目曲がり)を抑え、織組織の形態保持に有効な熱処理(目どめ処理)を施すことが可能な強化繊維織物の製造方法に関するものである。
従来から、炭素繊維などの強化繊維は、比強度と比弾性率が高いことから、繊維強化プラスチック(以下、FRPという。)材料として軽量化効果の大きいスポーツ・レジャー用品をはじめ、航空機用途や一般産業用に多く使われている。
かかるFRPの成形方法としては、ハンドレイアップ成形をはじめとしてオートクレーブ成形やRTM成形など種々の方法があり、その成形方法は、成形品の形状、個数、要求される特性、あるいは製品許容価格などにより適宜決められている。
これら種々の成形方法において、FRPの製造過程で強化繊維を一旦、中間基材の形態にすることが一般的であり、その中間基材として強化繊維を織物の形態にしたものが多用されている。しかしながら、かかる強化繊維織物には、織物を取り扱う際に変形したり織糸がずれて目ズレする問題や、織物を裁断した際に織糸が解れ易いという問題があった。
かかる問題に対し、強化繊維と熱可塑性繊維とを同時に製織した後に熱処理(加熱)して、熱可塑性繊維を軟化または溶融させて、たて糸とよこ糸との交錯点を目どめすることにより、強化繊維のたて糸またはよこ糸の解れ防止機能と形態安定機能を与え、取扱性の優れた強化繊維織物を得る提案がなされている。
例えば、特許文献1には、よこ糸に熱溶融繊維を巻回させて挿入する方法が提案されている。かかる提案では、簡易な設備でよこ入れ挿入できる。また特許文献2には、よこ糸の中央部に熱溶融繊維を配置させる方法が提案されている(特許文献2)。この方法であればよこ糸の挿入位置が安定することから期待した目どめ効果が得られる可能性がある。
特開昭63−152637号公報 特開2012−172281号公報
しかし前述の特許文献1に記載の方法では、熱溶融繊維をよこ糸に巻回させていることから挿入位置が安定せず、目どめ処理後に目どめ処理されている部分とされていない部分が生じる問題がある。
また特許文献2に記載の方法では、繊度の異なるよこ糸と熱溶融繊維を安定してレピアで把持して挿入するのが困難であり、熱溶融繊維の挿入ミスが生じやすいとの問題があった。
すなわち、特許文献1や特許文献2に記載の方法では、織組織の目どめが不十分であることから、強化繊維織物の組織崩れ(織糸の目曲がり)を完全に抑えた織物は得られていなかった。かかる従来の技術により得られた強化繊維織物は、強化繊維が真直に配向されていないので、FRPに成形した場合、高い力学的特性が発揮できないばかりか、表面平滑性に優れた成形品を得ることができないという課題があった。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、強化繊維織物の組織崩れ(織糸の目曲がり)を抑え、織組織の形態保持に有効な熱溶融繊維の挿入方法を施す強化繊維織物の製造方法およびその装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。
つまり本発明の強化繊維織物の製造方法は、以下である。
少なくとも、たて糸が強化繊維から構成され、よこ糸が繊度の異なる2本の繊維から構成される強化繊維織物をレピア織機にて製織する強化繊維織物の製造方法であって、
レピア織機にはよこ糸把持部が2箇所あり、それぞれの把持部で前記2本の繊維を把持しながら一回のよこ入れ挿入においてよこ糸を同時挿入することにより、前記よこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように製織することを特徴とする強化繊維織物の製造方法。
また、本発明の強化繊維織物の製造装置は、以下である。
少なくとも、たて糸が強化繊維から構成され、よこ糸が繊度の異なる2本の繊維から構成される強化繊維織物を製織する強化繊維織物の製造装置であって、
一回のよこ入れ挿入においてよこ糸を同時挿入でき、かつ前記よこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように製織できるよこ糸の把持部を2箇所有することを特徴とする、強化繊維織物の製造装置。
本発明によれば、繊度の異なる2本の繊維から構成されるよこ糸を一回のよこ入れ挿入において同時挿入することで、繊度の異なる2本の繊維から構成されるよこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように製織することができる。特に、よこ糸が炭素繊維と熱溶融繊維の場合においては、よこ糸と熱溶融繊維をレピア織機で別々に把持して挿入することから把持ミスの発生がなくなり、かつ、炭素繊維と熱溶融繊維の挿入位置も安定することから、熱溶融繊維を溶融させた後の目どめ織物は、強化繊維織物の組織崩れ(織糸の目曲がり)を抑え、織組織の形態保持が安定する。
本発明の製造方法で得られた強化繊維織物は、強化繊維が真直に配向されているので、FRPに成形した場合、高い強度および弾性率などの力学的特性を発現するだけでなく、優れた外観品位を達成できる強化繊維織物を提供することができる。かかる効果は、二方向性織物において最大限に発揮される。
本発明に係る強化繊維織物を製造する装置の一例を示す概略側面図である。 従来の強化繊維織物を製造する装置(レピア部分)の拡大図である。 従来の強化繊維織物を製造する装置(レピア部分)の拡大図である。 本発明にかかる強化繊維織物を製造する装置(レピア部分)の拡大図である。 本発明に係る実施例1により製造された強化繊維織物を示す概略平面図である。 本発明の範囲外である比較例1により製造された強化繊維織物を示す概略平面図である。
本発明の強化繊維織物の製造方法は、少なくとも、たて糸が強化繊維から構成され、よこ糸が繊度の異なる2本の繊維から構成される強化繊維織物をレピア織機にて製織する強化繊維織物の製造方法であって、レピア織機にはよこ糸把持部が2箇所あり、それぞれの把持部で前記2本の繊維を把持しながら一回のよこ入れ挿入においてよこ糸を同時挿入することにより、前記よこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように製織することを特徴とする。これにより、繊度の異なる2本の繊維(よこ糸)を同時挿入でき、繊度の異なる2本の繊維(よこ糸)の配列位置も安定する。特に繊度の異なる2本の繊維(よこ糸)として、炭素繊維と熱溶融繊維を用いた場合、熱溶融繊維の挿入位置が一定で、かつ、熱溶融繊維を安定挿入でき、得られた強化繊維織物を加熱処理して、よこ糸に含まれる熱溶融繊維を軟化または熱溶融させて強化繊維織物を巻き取ることで、目ずれが生じない強化繊維織物が得られる。
以下、少なくともたて糸が強化繊維から構成され、よこ糸が繊度の異なる2本の繊維から構成される強化繊維織物をレピア織機にて製織する本発明の強化繊維織物の製造方法およびその製造装置について、(A)織成工程、(B)加熱工程、(C)巻取工程に分けて各工程について、それぞれ図1を参照しながら詳細に説明する。なお、よこ糸として熱溶融繊維を用いない場合においては、(B)加熱工程は不要である。
(A)織成工程
織成工程においては、まず、ボビン1から引き出されたシート状をなす、複数本の強化繊維からなるたて糸2(2a、2b)は、バックローラ3、4を経て、たて糸のそれぞれが綜絖5(5a、5b)に通され、その上下運動にて開閉口される。たて糸2a、2bが開口されたときに、杼口にレピア9によって、よこ糸ボビン6(6a、6b)から解舒された繊度の異なる2本の繊維(よこ糸7(7a、7b))が、一回のよこ入れ挿入において同時挿入される。
ここでレピア9の拡大図を図2〜4に示す。
図2は従来のレピアの概略図であり、このレピアで2本のよこ糸を把持した状態を図6に示す。この図2のレピアによって、2本のよこ糸を同時に把持しようとすると把持位置が安定せず、把持したとしても双方の糸の挿入位置が安定しなかった。また、よこ糸2本のうち1本の把持ミスが生じやすく、特に2本のよこ糸の繊度差が大きい場合にはこの現象が顕著に発生していた。
本発明の製造方法または製造装置は、レピア織機がよこ糸把持部を2か所有する。具体的には、図4に示すレピアを有するレピア織機を用いることにより、レピアにはよこ糸把持部が2箇所あることから、それぞれの把持部で2本の繊維(よこ糸)を把持しながら、一回のよこ入れ挿入において2本のよこ糸を同時挿入することができ、よこ糸として繊度の異なる2本の繊維を用いたとしても同時挿入時でき、2本の繊維の配列位置も安定する。なかでも2本のよこ糸の繊度差が大きいほど、同時挿入での把持ミスが生じやすいことから、図4に示すレピアを用いる効果がいっそう発揮できる。
本発明においては、よこ糸は繊度の異なる2本の繊維から構成される。よこ糸の2本の繊維は、繊度が異なりさえすれば特に限定されないが、1回のよこ入れ挿入においてよこ糸を同時挿入する工程が安定化することから、よこ糸である繊度の異なる2本の繊維の繊度比は5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。また、よこ糸である繊度の異なる2本の繊維の繊度比について、上限は特に限定されないものの、現実的には200倍以下程度であることが好ましい。
なお、ここでいう繊度は、繊維重量を長さで割り返した単位長さあたりの繊維重量のことを意味する。
ついで筬8によって筬打されて、綜絖5a、5bが再び、上下運動して閉口し、織物9が織成される。このように織成された強化繊維織物9は、少なくとも、たて糸2が強化繊維から構成され、よこ糸7aと7bが繊度の異なる2本の繊維から構成され、さらによこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように配列した構成となる。
本発明は、優れた力学的特性を発揮し、成形加工時の取り扱い性に優れ、組織崩れ(織糸の目曲がり)を抑えることが可能な強化繊維織物の製造方法を提供することにあり、そのため本発明においては、少なくともたて糸に強化繊維を用いる。たて糸として適用可能な強化繊維は特に限定されないが、たて糸として好適な強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維などである。かかる強化繊維としては、比強度・比弾性率に優れる炭素繊維が好ましく、なかでも、繊維直径が5〜10μのポリアクリルニトリル系で、引張強度が3〜7GPaで、引張弾性率が200〜500GPaのマルチフィラメントとすることにより、より高い力学的特性を発揮するFRPが得られる。
たて糸として用いられる強化繊維の総繊度は、100〜3,000テックスの範囲の太い糸が好ましい。たて糸として上記範囲の総繊度の強化繊維を用いると、よこ糸として熱溶融繊維を用いた場合に、熱溶融繊維による目どめにより発現する本発明の効果が十分に発揮されるために好ましい。また、強化繊維が炭素繊維の場合は、一般に繊度が大きくなるほど製造コストが安価とできるため、低コストの織物基材を提供できる利点もある。
強化繊維の総繊度が100テックスより小さいと、たて糸とよこ糸の交錯点数が多くなるので、織物形態が安定しており、目どめする必要もなく、本発明の熱処理を施すことなくそのままの形で用いることが可能となり、本発明の意義が希薄となる。一方、強化繊維の総繊度が3,000テックスを超えると、糸幅を均一に拡げない限り繊維分散が均一な強化繊維織物が得られないことがあり、力学的特性を十分に発揮させる強化繊維織物を得ることが容易でないことがある。
前述のとおり、本発明においては、よこ糸は繊度の異なる2本の繊維から構成されるが、そのうち1本は、熱溶融繊維を用いることが好ましい。
さらに本発明で製造される強化繊維織物のより好ましい態様は、少なくとも、たて糸が炭素繊維から構成され、よこ糸が少なくとも炭素繊維と熱溶融繊維(繊維状の目どめ糸)から構成され、かつ、熱溶融繊維が溶融してたて糸とよこ糸との交錯点を接着しているものであれば、成形過程で織物が目ずれすることがないことから、比強度、比弾性率が優れる炭素繊維の特徴を最大限発揮させることができ、軽量で、かつ、力学的特性が優れた複合材料を得ることができる。
よこ糸として好適な熱溶融繊維としては、溶融する性質を有する繊維でありさえすれば特に限定されない。なお、溶融する性質を有するとは、繊維を加熱した場合に融点が観測されることを意味する。そして熱溶融繊維は、繊維状に加工しやすい点で熱可塑性樹脂の繊維が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルアルコールなどや、それらの共重合樹脂、ポリマーアロイ樹脂およびポリマーブレンド樹脂などを例として挙げることができる。中でも、比較的低温で軟化・溶融することから共重合樹脂が好ましく、特に、複合材料のマトリックス樹脂として多用されているエポキシ樹脂との接着性が良好な共重合ポリアミドが好ましい。
繊維に融点が観測されるか否かは、以下により測定して判断する。つまり、JIS L 1013:2010 化学繊維フィラメント糸試験方法の8.19項に記載の融点の測定方法に従って測定する。
更に、熱溶融繊維においては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用することもできる。この場合は、両者が相溶した単一の樹脂組成物であっても、相溶していない相分離した樹脂組成物であってもよく、更にはそれぞれを独立した樹脂として併用してもよい。特に、FRPとしての力学特性(特に、強化繊維織物を積層したときの層間剥離・層間剪断強度)を向上させるためには、高靭性の熱可塑性樹脂と、熱溶融性に優れる熱硬化性樹脂とを相溶させた樹脂組成物として用いることがとりわけ好ましい態様である。この場合、高靭性の熱可塑性樹脂は、単独では加熱温度の問題を有し、熱溶融性に優れる熱硬化性樹脂は、単独では取扱性の問題を有しており、適用が困難である場合でも、両者を相溶させることにより、前記問題が解消され両者の利点を最大限に発揮することができる。
熱溶融繊維に含まれる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、目的により適宜選択されるものであるが、目どめ効果を発現させる観点から、好ましくは、熱可塑性樹脂である。熱溶融繊維が熱可塑性樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂の融点は80〜200℃が好ましい。
熱溶融繊維が含む熱可塑性樹脂の融点が80℃未満またはガラス転移温度が50℃未満であると、織物の製織時に要する加熱温度が低く、作業性は優れるものの複合材料にした場合の耐熱性が大きく低下するだけでなく、原材料を保管したり、織物を搬送したりする時に溶解して、逆に取扱性に劣る場合がある。一方、熱溶融繊維が含む熱可塑性樹脂の融点が200℃を超えるか、またはガラス転移温度が170℃を超えると、複合材料にした場合の耐熱性は向上するものの、織物の製織時の加熱温度が高過ぎ、極端に作業性が低下してしまうことがある。
なお、本発明において融点またはガラス転移温度は、測定する対象物を絶乾状態としてから、DSC(示差走査熱量計)にて20℃/分の昇温速度で測定される融点またはガラス転移温度を指す。
本発明で用いられる織物の組織は特に限定されないが、少なくとも強化繊維糸をたて糸とした平織、綾織、朱子織、あるいはノンクリンプ組織(強化繊維糸が真っ直ぐに配向し、たて糸と補助糸であるよこ糸が互いに交錯して一体化された組織)などが好ましく用いられる。
(B)加熱工程
加熱工程においては、織成された強化繊維織物9が、加熱源16からの輻射により非接触で加熱処理されて、熱溶融繊維に含まれる熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を軟化または熱溶融する。
加熱源は、遠赤外線、中赤外線および近赤外線などの赤外線ヒーターによる輻射で加熱することが好ましい。かかる加熱源を使用すると、強化繊維織物9とは非接触で効率的に強化繊維織物9を加熱することができる。また、設備を小さくすることができて織成の邪魔になることもなく、織機を停機した時に織物への加熱源を遮断して、過加熱を抑制することができる。
(C)巻取工程
巻取工程においては、引取ローラ12と引取ガイドローラ15を経て、巻芯13に巻き取って巻物17を得る。図1においては、織機の巻取装置を用いる例を示したが、巻取装置を織機とは別に後方に巻取装置を設けてスペースを確保し、巻取装置までの間に加熱装置を設けることにより加熱を行うこともできる。
(実施例1)
たて糸として、引張強度が3,530MPa、引張弾性率が230GPa、フィラメント数が3,000本のポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維糸条(総繊度:198テックス)を用い、よこ糸として、たて糸と同じ炭素繊維とアラミド繊維糸条(総繊度:21.5テックス)を用い、図1に示した装置を用いて、以下の手順により、二方向性織物Aを製造した。
織成工程においては、まず、ボビン1から引き出した複数本のたて糸2を密度が5本/cmになるように配列した後、バックローラ3、4を経て、各たて糸2を2枚の綜絖5a、5bに分けて交互に通した。そして、2枚の綜絖5a、5bに通したたて糸2a、2bが開口されたとき、杼口にレピアにて密度が5本/cmになるようによこ糸7(7aと7b)を打ち込み、筬打ちを行った。その後、ガイドローラを経て巻芯13に向けて送り出し、巻取工程において、巻芯13に巻き取って巻物17を得た。
得られた二方向性織物Aは、織物目付が209g/m平組織の織物であり、織物のよこ糸挿入時には、よこ糸把持部が2カ所あるレピアを用いたことから、よこ糸の挿入ミスもなく、よこ糸の炭素繊維とアラミド繊維が交互に配列しており、よこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。かかる二方向性織物Aの概略平面図を図5に示す。
(実施例2)
たて糸として、引張強度が3,530MPa、引張弾性率が230GPa、フィラメント数が3,000本のポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維糸条(総繊度:198テックス)を用い、よこ糸として、たて糸と同じ炭素繊維と融点が110℃の共重合ポリアミド繊維糸条(総繊度:33.5テックス)の熱溶融繊維を用い、
図1に示した装置を用いて、以下の手順により、二方向性織物Bを製造した。
(A)織成工程においては、まず、ボビン1から引き出した複数本のたて糸2を密度が5本/cmになるように配列した後、バックローラ3、4を経て、各たて糸2を2枚の綜絖5a、5bに分けて交互に通した。そして、2枚の綜絖5a、5bに通したたて糸2a、2bが開口されたとき、杼口にレピアにて密度が2.5本/cmになるようによこ糸7を打ち込み、筬打ちを行った。
(B)加熱工程においては、織成した織物を、織物表面から加熱源10として遠赤外線ヒーターのみを用いて非接触で加熱処理して、よこ糸に含まれる熱溶融繊維を熱により溶融した。ここで、ヒーター温度は織物の表面で120℃の温度になるように調整した。その後、巻芯13に向けて送り出した。
(C)巻取工程において、巻芯13に巻き取って巻物17を得た。
得られた二方向性織物Bは、織物目付が215g/m平組織の織物であり、織物のよこ糸挿入時によこ糸把持部が2カ所あるレピアを用いたことから、よこ糸の炭素繊維と熱溶融繊維を安定把持して挿入できるとともに熱溶融繊維の挿入位置が安定し、たて糸とよこ糸との交錯点を接着させたことから、巻取り後の強化繊維織物において、よこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。
(実施例3)
総繊度が5.6テックスの共重合ポリアミド繊維糸条を用いたほかは、実施例1と同じようにして二方向性織物Cを製造した。
得られた二方向性織物Cは、織物目付が201g/m平組織の織物であり、織物のよこ糸挿入時によこ糸把持部が2カ所あるレピアを用いたことから、よこ糸の炭素繊維と熱溶融繊維を安定把持して挿入できるとともに熱溶融繊維の挿入位置が安定し、たて糸とよこ糸との交錯点を接着させたことから、巻取り後の織物において、よこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。
(実施例4)
たて糸として、引張強度が4,500MPa、引張弾性率が230GPa、フィラメント数が12,000本のポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維糸条(総繊度:800テックス)を用い、よこ糸として、たて糸と同じ炭素繊維と融点が110℃の共重合ポリアミド繊維糸条(総繊度:5.6テックス)を用い、ボビン1から引き出した複数本のたて糸2の密度とよこ糸の密度が1.25本/cmになるように配列したほかは実施例2と同じようにして二方向性織物Dを製造した。
得られた二方向性織物Dは、織物目付が201g/m平組織の織物であり、織物のよこ糸挿入時によこ糸把持部が2カ所あるレピアを用いたことから、よこ糸の炭素繊維と熱溶融繊維を安定把持して挿入できるとともに熱溶融繊維の挿入位置が安定し、たて糸とよこ糸との交錯点を接着させたことから、巻取り後の織物において、よこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。
(比較例1)
図1に示す装置において、よこ糸把持部が一カ所のレピアを用いて製織した他は、実施例1と同じようにして二方向性織物Eを製造した。
得られた二方向性織物Eは、織物目付が209g/m平組織の織物であり、レピアの把持部が一カ所であり、繊度の異なる2本のよこ糸を同時挿入しようとすると、アラミド繊維の把持位置が安定せず、アラミド繊維の把持ミスが生じ、部分的にアラミド繊維が挿入されていない織物となった。かかる一方向性織物Eの概略平面図を図6に示す。
(比較例2)
図1に示す装置において、よこ糸把持部が一カ所のレピアを用いて製織した他は、実施例3と同じようにして二方向性織物Fを製造した。
得られた二方向性織物Fは、織物目付が201g/m平組織の織物であり、比較例1と同様によこ糸挿入時に熱溶融繊維の把持ミスが生じ、部分的に熱溶融繊維が挿入されていない織物となった。 上記の実施例および比較例の結果を、表1に示す。
Figure 2017160571
本発明の強化繊維織物の製造方法によると、繊度の異なる2本のよこ糸を一回のよこ入れ挿入において同時挿入することで、繊度の異なる2本の繊維をたて糸の方向に交互に並ぶように製織することができる。特によこ糸が炭素繊維と熱溶融繊維の場合においては、炭素繊維と熱溶融繊維をレピアで別々に把持して挿入することから把持ミスの発生がなくなり、かつ、炭素繊維と熱溶融繊維の挿入位置も安定することから、熱溶融繊維を溶融させた後の目どめされた強化繊維織物は、組織崩れ(織糸の目曲がり)を抑え、織組織の形態保持が安定している。
本発明の製造方法で得られた強化繊維織物は、強化繊維が真直に配向されているので、FRPに成形した場合、高い強度、弾性率などの力学的特性を発現するだけでなく、優れた外観品位を達成することができる。かかる強化繊維織物は、構造物の補修・補強、輸送機器(自動車、船舶、航空機、自転車など)、スポーツ用品およびFRP型をはじめ、その他の一般産業に用いられるFRPの強化材として好適に用いられる。
1 : ボビン
2、2a、2b : たて糸
3、4 : バックローラ
5、5a、5b : 綜絖
6、6a、6b : よこ糸ボビン
7、7a、7b : よこ糸
8 : 筬
9 : レピア
10 : 織物
11、14、15 : 引取ガイドローラ
12 : 引取ローラ
13 : 巻芯
16 : 加熱源
17 : 巻物
21、24 : たて糸(炭素繊維)
22、25 : よこ糸(炭素繊維)
23,26 : よこ糸(熱溶融繊維)

Claims (4)

  1. 少なくとも、たて糸が強化繊維から構成され、よこ糸が繊度の異なる2本の繊維から構成される強化繊維織物をレピア織機にて製織する強化繊維織物の製造方法であって、
    レピア織機にはよこ糸把持部が2箇所あり、それぞれの把持部で前記2本の繊維を把持しながら一回のよこ入れ挿入においてよこ糸を同時挿入することにより、前記よこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように製織することを特徴とする強化繊維織物の製造方法。
  2. 前記繊度の異なる2本の繊維の繊度比が5倍以上ある、請求項1に記載の強化繊維織物の製造方法。
  3. 前記繊度の異なる2本の繊維が、炭素繊維と熱溶融繊維である、請求項1又は2に記載の強化繊維織物の製造方法。
  4. 少なくとも、たて糸が強化繊維から構成され、よこ糸が繊度の異なる2本の繊維から構成される強化繊維織物を製織する強化繊維織物の製造装置であって、
    一回のよこ入れ挿入においてよこ糸を同時挿入でき、かつ前記よこ糸がたて糸の方向に交互に並ぶように製織できるよこ糸の把持部を2箇所有することを特徴とする、強化繊維織物の製造装置。
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