JP2017161255A - 巻上機構、ムーブメント及び時計 - Google Patents

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【課題】耐久性の向上を図ることができる巻上機構、ムーブメント及び時計を提供する。【解決手段】ぜんまいを巻き上げる角穴車と、角穴車を回転させる自動巻輪列と、自動巻輪列32の一番伝え車42に設けられ、一番伝え真51に対して一番伝え歯車52をスリップ係合させるスリップ機構53と、を有し、スリップ機構53は、ぜんまいを巻き上げる巻き上げトルクが、一番伝え歯車52と一番伝え真51との間に作用して一番伝え真51を回転させる伝達トルク以上になった場合に、一番伝え真51と一番伝え歯車52との係合を解除する。【選択図】図4

Description

本発明は、巻上機構、ムーブメント及び時計に関する。
機械式時計では、動力源であるぜんまいを巻き上げる機構として、巻上機構が搭載されている(例えば、下記特許文献1参照)。この種の巻上機構としては、ぜんまいを巻き上げる角穴車と、角穴車を回転させる巻上輪列と、を有している。
巻上機構では、例えば回転錘からの回転トルクが巻上輪列を介して角穴車に伝達されることで、ぜんまいが巻き上げられる。
特開2003−344559号公報
ところで、上述したぜんまいは、巻き上げ量(自然長からの縮み量)が増加するに従い、巻き上げ抵抗(ぜんまいの復元力)が増加する。そのため、ぜんまいが、いわゆるフル巻き(巻き上げ量が最大)の状態で、さらにぜんまいを巻き上げようとすると、巻上輪列に大きな負荷がかかる。この場合、巻上輪列を構成する各車のうち、真や歯車の摩耗が大きくなり、耐久性が低下するおそれがある。
特に、巻上輪列のうち、回転錘からの回転トルクを角穴車に伝達する自動巻輪列は、時計着用時等において、ユーザの腕の動きに応じて自動で作動してしまうため、より高い耐久性が求められている。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、耐久性の向上を図ることができる巻上機構、ムーブメント及び時計を提供することである。
上記課題を解決するために本発明の一態様に係る巻上機構は、ぜんまいを巻き上げる角穴車と、前記角穴車を回転させる巻上輪列と、前記巻上輪列の第1車に設けられ、第1真に対して第1歯車をスリップ係合させるスリップ機構と、を有し、前記スリップ機構は、前記ぜんまいを巻き上げる巻き上げトルクが、前記第1歯車と前記第1真との間に作用して前記第1真を回転させる伝達トルク以上になった場合に、前記第1真と前記第1歯車との係合を解除する。
本態様によれば、ぜんまいの巻き上げ量が少ない場合は、ぜんまいの巻き上げに必要な巻き上げトルクは比較的小さい。そのため、第1真と第1歯車間に作用する伝達トルクは、巻き上げトルクに比べて大きくなっている。この場合、スリップ機構は、第1真と第1歯車との間の係合状態を維持する。これにより、第1歯車が第1真と一体になって回転することで、第1車に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材(例えば、角穴車等)へトルクが伝達される。
ここで、ぜんまいは、巻き上げ量が増加するに従い巻き上げ抵抗が増加する。そのため、ぜんまいの巻き上げ量の増加(例えば、フル巻き状態)に伴い、ぜんまいを巻き上げるために必要な巻き上げトルクが第1真と第1歯車間に作用する伝達トルクを上回る。すると、スリップ機構による第1真と第1歯車との係合が解除される(スリップ状態)。これにより、第1歯車が第1真に対して独立して回転することで、第1真が回転しないようになっている。第1真が回転しないことで、第1車に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材へのトルクの伝達が遮断される。したがって、ぜんまいがフル巻きの状態からさらに巻き上げられないようになっている。
このように、本態様では、巻き上げトルクが所定のトルク以上必要な場合に、第1車に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材へのトルクの伝達が遮断される。これにより、例えばフル巻きの状態でさらにぜんまいを巻き上げようとした場合の巻上輪列にかかる負荷を低減でき、耐久性の向上を図ることができる。
上記態様において、前記第1車は、回転錘からの回転トルクを前記角穴車に伝達する自動巻輪列のうち、前記回転錘に接続された一番伝え車であってもよい。
本態様によれば、自動巻輪列のうち、一番伝え車にスリップ機構を搭載することで、回転錘にスリップ機構を搭載する場合に比べて構成の簡素化を図ることができる。
また、一番伝え車よりも動力伝達方向の下流側に配置された車(例えば、二番伝え車等)にスリップ機構を搭載する場合に比べて、スリップ機構のスリップ状態において、回転錘の回転トルクが作用する部材を少なくできる。その結果、自動巻輪列にかかる負荷を確実に低減できる。
上記態様において、前記第1車は、回転錘からの回転トルクを前記角穴車に伝達する自動巻輪列のうち、前記回転錘に接続された二番仲介車であってもよい。
本態様によれば、自動巻輪列のうち、二番仲介車にスリップ機構を搭載することで、回転錘にスリップ機構を搭載する場合に比べて構成の簡素化を図ることができる。
また、二番仲介車よりも動力伝達方向の下流側に配置された車(例えば、三番仲介等)にスリップ機構を搭載する場合に比べて、スリップ機構のスリップ状態において、回転錘の回転トルクが作用する部材を少なくできる。その結果、自動巻輪列にかかる負荷を確実に低減できる。
上記態様において、前記スリップ機構は、前記第1真に固定されたジャンパかなと、前記第1歯車に配設されるとともに、前記ジャンパかなに係脱して前記第1真に対する前記第1歯車の回転を躍制するジャンパと、を有していてもよい。
本態様によれば、ジャンパかなの歯数やジャンパの付勢力等によってスリップ機構がスリップ状態になるトルクを容易に調整できる。
上記態様において、前記スリップ機構は、前記第1歯車に配設され、前記第1真における径方向の内側に付勢された状態で前記第1真を径方向で挟持するアーム部を有していてもよい。
本態様によれば、第1真をアーム部によって挟持するだけの構成であるため、スリップ機構の増加に伴う部品点数の増加を抑制できる。
本発明の一態様に係るムーブメントは、上記態様の巻上機構を備えていてもよい。
本発明の一態様に係る時計は、上記態様のムーブメントを備えていてもよい。
本態様によれば、上記本態様の巻上機構を備えているため、信頼性に優れたムーブメント及び時計を提供できる。
本発明によれば、耐久性の向上を図ることができ、信頼性に優れた巻上機構、ムーブメント及び時計を提供できる。
実施形態に係る時計の外観図である。 第1実施形態に係る巻上機構の斜視図である。 図2のIII−III線に相当する断面図である。 第1実施形態に係る巻上機構を表側から見た平面図である。 第1実施形態に係る一番伝え車を表側から見た平面図である。 図6のVI−VI線に相当する断面図である。 第1実施形態に係る巻上機構の動力伝達経路を示すブロック図である。 フル巻き時における巻上機構の動作を説明するための説明図である。 第2実施形態に係る巻上機構の斜視図である。 第2実施形態に係る一番伝え車を表側から見た平面図である。 図9のXI−XI線に相当する断面図である。 第3実施形態に係る巻上機構の斜視図である。 第3実施形態に係る巻上機構の動力伝達経路を示すブロック図である。 第3実施形態に係る巻上機構の動力伝達経路を示すブロック図である。 実施形態の他の構成に係る巻上機構の斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
[時計]
図1は、時計1の外観図である。なお、以下に示す各図では、図面を見やすくするため、時計用部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各時計用部品を簡略化して図示している場合がある。
図1に示すように、本実施形態の時計1は、いわゆる自動巻式の時計である。時計1は、ムーブメント2や文字板3、各種指針4〜6等が時計ケース7内に組み込まれて構成されている。
時計ケース7は、ケース本体11と、ケース蓋(不図示)と、カバーガラス12と、を備えている。ケース本体11の側面のうち、3時位置(図1の右側)にはりゅうず15が設けられている。りゅうず15は、ケース本体11の外側からムーブメント2を操作するためのものである。りゅうず15は、ケース本体11内に挿通された巻真19に固定されている。
[ムーブメント]
図2は、巻上機構22の斜視図である。図3は、図2のIII−III線に相当する断面図である。なお、以下の説明では、ムーブメント2の基板を構成する地板21に対して時計ケース7のカバーガラス12側(文字板3側)をムーブメント2の「裏側」と称し、ケース蓋側(文字板3側とは反対側)をムーブメント2の「表側」と称する。また、以下の説明では、ムーブメント2のうち、表裏面方向に直交する方向を面内方向という場合がある。以下で説明する各車は、何れもムーブメント2の表裏面方向を軸方向として設けられている。
図2、図3に示すように、ムーブメント2は地板21(図3参照)を有している。地板21の図示しない巻真案内穴には、図1に示す巻真19が組み込まれている。巻真19は、日付や時刻の修正に用いられる。巻真19は、その軸線周りに回転可能、かつ軸方向に移動可能とされている。巻真19の先端部(りゅうず15側とは反対側の端部)は、ムーブメント2に連係されている。
図3に示すように、地板21の表側には、表輪列や、表輪列の回転を制御する図示しない脱進調速機、巻上機構22等が搭載されている。一方、地板21の裏側には、裏輪列等が搭載されている。
表輪列は、香箱車23、二番車、三番車及び四番車(何れも不図示)を含んでいる。
表輪列のうち、四番車には上述した秒針4(図1参照)が取り付けられている。二番車には、分針5(図1参照)が取り付けられている。
香箱車23は、香箱真25と、香箱真25に取り付けられた香箱26と、香箱26内に収容された図示しないぜんまいと、を有している。
香箱真25は、表裏面方向の両端部が地板21及び一番受28にそれぞれ支持されている。香箱真25は、表裏面方向に延びる軸線A周りに回転可能に構成されている。
香箱26は、香箱真25に回転可能に支持されている。香箱26の香箱歯車26aは、図示しない二番車に噛合されている。
ぜんまいは、表裏面方向から見た平面視で渦巻状に巻回された平ひげである。ぜんまいの内側端部は、香箱真25に接続されている。一方、ぜんまいの外側端部は、香箱26の内周面に接続されている。ぜんまいは、巻上機構22の回転によって香箱真25が回転することで、巻き上げられる。一方、香箱26は、ぜんまいが巻き解ける際の回転力(復元力)により、回転する。なお、ぜんまいの外側端部は、いわゆるスリッピングアタッチメントを介して香箱26の内周面に摺接する構成であっても構わない。
上述した裏輪列は、図示しない筒車を含んでいる。筒車は、上述した二番車の回転に伴って12時間に1回転する。筒車には、上述した時針6(図1参照)が取り付けられている。
[巻上機構]
図4は、巻上機構22を表側から見た平面図である。
図2〜図4に示すように、巻上機構22は、角穴車31と、図示しない手動巻輪列と、自動巻輪列(巻上輪列)32と、を備えている。
角穴車31は、香箱車23と同軸上に配置されている。具体的に、角穴車31は、上述した香箱真25のうち、一番受28に対して表側に位置する部分に固定されている。角穴車31は、軸線A周りのA1方向(図4参照)に香箱真25と一体で回転することにより香箱26に収容されたぜんまいを巻き上げる。なお、角穴車31の歯部31aには、軸線A周りのA2方向への角穴車31の回転を規制するこはぜ34が噛合している。
手動巻輪列は、巻真19と角穴車31との間を接続している。手動巻輪列は、例えばつづみ車や、きち車、丸穴車等を有している。手動巻輪列は、りゅうず15を把持して巻真19を回転させたときの回転トルクを、角穴車31に伝達する。これにより、時計1のユーザは、香箱26に収容されたぜんまいを手動で巻き上げることができる。
自動巻輪列32は、いわゆるマジックレバー方式のものであって、例えばユーザの腕の動き等に応じてぜんまいを巻き上げる。自動巻輪列32は、回転錘41と、一番伝え車42と、二番伝え車43と、を備えている。
回転錘41は、一番受28の表側に配置されている。回転錘41は、表裏面方向に延びる軸線B周りの双方向(B1方向、B2方向)に回動可能に構成されている。具体的に、図3に示すように、回転錘41は、ボールベアリング46と、回転錘体47と、回転重錘48と、を有している。
ボールベアリング46は、軸線Bと同軸上に配置されている。ボールベアリング46の内輪は、一番受28に固定されている。ボールベアリング46の外輪は、内輪との間で転動可能なボールを介して内輪に外挿されている。したがって、外輪は、内輪に対して軸線B周りに回転可能とされている。外輪の外周面には、回転錘かな49が形成されている。
回転錘体47は、平面視で扇形に形成されている。回転錘体47の中央部は、外輪に外嵌されている。
回転重錘48は、回転錘体47の外周部分に固定されている。
図5は、一番伝え車42を表側から見た平面図である。図6は、図6のVI−VI線に相当する断面図である。なお、図5では、後述する押さえリング84を取り外した状態を示している。
図5、図6に示すように、一番伝え車42は、一番伝え真(第1真)51と、一番伝え真51に設けられた一番伝え歯車52と、一番伝え歯車52を一番伝え真51にスリップ係合させるスリップ機構53と、を備えている。
図3、図5、図6に示すように、一番伝え真51は、表裏面方向の両端部が地板21及び一番受28に、それぞれ支持されている。一番伝え真51は、表裏面方向に延びる軸線C周りの双方向(C1方向、C2方向)に回転可能に構成されている。図3に示すように、一番伝え真51のうち、一番受28よりも裏側に位置する部分には、一番伝え真51の抜け止めを行う抜け止めリング55が固定されている。図5、図6に示すように、一番伝え真51のうち、一番受28から表側に突出する部分には、軸線Cに対して偏心した偏心部57が形成されている。また、一番伝え真51のうち、偏心部57よりも表側に位置する部分には、面内方向に張り出す台座部58が形成されている。なお、台座部58は、平面視において、軸線Cと同軸上に配置された円形状に形成されている。
一番伝え歯車52は、一番伝え真51のうち、台座部58よりも表側に位置する部分に外挿されるとともに、上述した台座部58に裏側から支持されている。一番伝え歯車52は、軸線Cと同軸上に配置された環状に形成されている。一番伝え歯車52は、スリップ機構53によって一番伝え真51にスリップ係合されている。すなわち、一番伝え歯車52は、スリップ機構53の係合状態において一番伝え真51とともに回転し、スリップ状態において一番伝え真51に対して相対回転する。なお、スリップ機構53の詳細な構成については後述する。
図2、図4に示すように、一番伝え真51の偏心部57には、偏心軸D周りに回転可能なつめレバー61が取り付けられている。すなわち、つめレバー61は、一番伝え真51の軸線C周りの回転に伴い軸線C周りに偏心回転しながら、二番伝え車43に接近離間する。具体的に、つめレバー61は、偏心部57に外挿された基部63と、基部63から二又に延びる一対のレバー部(押しレバー部64及び引きレバー部65)と、を有している。
各レバー部64,65は、二番伝え車43を面内方向で挟持するように配置されている。各レバー部64,65のうち、押しレバー部64の先端部には押しつめ64aが形成されている。引きレバー部65の先端部には引きつめ65aが形成されている。
図2〜図4に示すように、二番伝え車43は、二番伝え真71と、二番伝え歯車72と、二番伝えかな73と、を有している。
二番伝え真71は、表裏面方向の両端部が、一番受28と、一番受28よりも表側に配置された自動巻輪列受70(図3参照)と、にそれぞれ支持されている。二番伝え真71は、表裏面方向に延びる軸線E周りに回転可能に構成されている。
二番伝えかな73は、角穴車31に噛合している。
二番伝え歯車72は、二番伝え真71のうち二番伝えかな73に対して表側に位置する部分に固定されている。二番伝え歯車72は、上述したつめレバー61のレバー部64,65間に配置されている。二番伝え歯車72には、一番伝え車42の回転方向に応じてつめレバー61の各つめ64a,65aのうち、一方のつめが噛合する(他方のつめは空転する)。これにより、二番伝え車43は、第一伝え車42の回転方向に関わらず、つめレバー61によって一方向(E1方向)に回転させられる。
<スリップ機構>
図5に示すように、上述したスリップ機構53は、一番伝え真51に固定されたジャンパかな81と、一番伝え歯車52に一体で設けられた一対のジャンパ82と、を有している。
ジャンパかな81は、一番伝え真51のうち、台座部58よりも表側に位置する部分に固定されている。ジャンパかな81の周囲は、上述した一番伝え歯車52に取り囲まれている。なお、図6に示すように、ジャンパかな81のうち、一番伝え歯車52よりも表側に位置する部分には、押さえリング84が外嵌されている。したがって、一番伝え歯車52は、押さえリング84と台座部58とにより表裏面方向で挟持され、一番伝え真51に対する表裏面方向への移動が規制されている
図5に示すように、各ジャンパ82は、一番伝え歯車52の内周縁からそれぞれ片持ち状に延在している。各ジャンパ82は、ジャンパかな81(一番伝え真51)に対する一番伝え歯車52の軸線B周りの回転を躍制(規制又は補助)する。具体的に、各ジャンパ82は、アーム85と、アーム85の先端部に形成された躍制爪86と、をそれぞれ有している。なお、ジャンパ82は、少なくとも一つ以上設けられていれば構わない。また、ジャンパ82は、一番伝え歯車52と別体で設けられていても構わない。
各アーム85は、ジャンパかな81を間に挟んで面内方向で対向している。各アーム85は、先端部に向かうに従い面内方向で互いに接近するように延在している。各アーム85は、ジャンパかな81(軸線B)に接近する方向に付勢されている。
躍制爪86は、各アーム85の先端部において、ジャンパかな81に向けて突出している。各躍制爪86は、ジャンパかな81の何れかの歯間にそれぞれ係合している。
本実施形態において、各ジャンパ82は、躍制爪86がジャンパかな81に係合する係合状態と、躍制爪86とジャンパかな81との係合が解除されたスリップ状態と、の間で弾性変形する。そして、各ジャンパ82がジャンパかな81と係合状態にあるとき、一番伝え歯車52が一番伝え真51とともに軸線B周りに回転する。一方、各ジャンパ82がジャンパかな81とスリップ状態にあるとき、一番伝え歯車52が一番伝え真51に対して軸線B周りに独立して回転する(スリップする)。
ここで、本実施形態のジャンパ82は、ぜんまいを巻き上げる巻き上げトルク(復元力)が所定のトルク以上となった場合に、ジャンパかな81との係合が解除されるように付勢力が設定されている。すなわち、巻き上げトルクが、ジャンパ82とジャンパかな81との間に作用して一番伝え真51を回転させる伝達トルクよりも小さい場合には、ジャンパ82が係合状態に維持される。一方、巻き上げトルクが、ジャンパ82とジャンパかな81との間に作用する伝達トルク以上の場合には、ジャンパ82がスリップ状態となる。なお、上述した「所定のトルク」とは、ぜんまいがフル巻きの状態において、角穴車31を回転させる際に必要なトルク以下に設定されていることが好ましい。但し、「所定のトルク」については、適宜変更が可能である。
なお、上述した一番伝え歯車52の内周縁のうち、躍制爪86と対向する部分には、躍制爪86に向けて突出する規制突起91が形成されている。規制突起91は、各ジャンパ82がジャンパかな81から離間する方向へ過大に変位した際に、躍制爪86に当接して各ジャンパ82のそれ以上の変位を規制する。
また、一番伝え歯車52の内周縁のうち、各ジャンパ82間に位置する部分には、ジャンパかな81に向けて膨出するガイド部92が形成されている。ガイド部92は、その内周縁において、ジャンパかな81の外周縁を摺接可能に支持している。すなわち、ガイド部92は、ジャンパ82の各躍制爪86とともに、一番伝え歯車52が一番伝え真51と同軸上に配置されるように位置決めしている。
[巻上機構の動作]
次に、上述した巻上機構22の動作について説明する。図7は、巻上機構22の動力伝達経路を示すブロック図である。
<巻き上げ時>
まず、ぜんまいの巻き上げ時(巻き上げトルクが伝達トルクよりも小さい場合)の動作を、図4、図5、図7に基づいて説明する。
ユーザの腕の動き等に伴い、回転錘41に外力が作用すると、回転錘41は軸線B周りの何れかの方向に回転する。回転錘41が回転すると、一番伝え車42が回転錘41の回転方向と逆方向に回転する。具体的に、回転錘41の回転トルクは、回転錘かな49を介して一番伝え歯車52に伝達される。一番伝え歯車52に伝達された回転トルクは、スリップ機構53におけるジャンパ82及びジャンパかな81間に伝達トルクとして作用する。
ここで、ぜんまいの巻き上げ量が少ない場合は、ぜんまいの巻き上げに必要な巻き上げトルクは比較的小さい。そのため、ジャンパ82及びジャンパかな81間に作用する伝達トルクは、巻き上げトルクに比べて大きくなっている。この場合、スリップ機構53は、ジャンパ82及びジャンパかな81間の係合状態を維持する。これにより、一番伝え歯車52が一番伝え真51と一体になって軸線C周りに回転することで、一番伝え車42に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材(つめレバー61、二番伝え車43及び角穴車31)へ、回転錘41の回転トルクが伝達される。
一番伝え車42が回転すると、一番伝え車42の偏心部57に外挿されたつめレバー61が軸線C周りに偏心回転しながら、二番伝え車43に接近離間する。具体的に、つめレバー61が二番伝え車43に接近する際には、押しつめ64aが二番伝え車43の二番伝え歯車72に係合するとともに、引きつめ65aが二番伝え歯車72に対して空転する。これにより、押しつめ64aによって二番伝え車43が押し込まれ、二番伝え車43がE1方向に回転する。一方、つめレバー61が二番伝え車43に対して離間する際は、送りつめ64aが二番伝え歯車72に対して空転するとともに、引きつめ65aが二番伝え歯車72に係合する。これにより、引きつめ65aによって二番伝え歯車72が引き込まれ、二番伝え歯車72がE1方向に回転する。よって、二番伝え車43は、第一伝え車42の回転方向に関わらず、つめレバー61によって一方向(E1方向)に回転する。
二番伝え車43がE1方向に回転すると、角穴車31が二番伝え車43と逆方向(A1方向)に回転する。角穴車31が回転すると、香箱真25が角穴車31とともに回転する。これにより、ぜんまいが巻き上げられる。
<フル巻き時>
次に、ぜんまいのフル巻き時(巻き上げトルクが伝達トルク以上の場合)の動作について説明する。なお、以下の説明では、巻き上げ時と同様の動作については説明を省略する場合がある。
フル巻き時においても、回転錘41の回転トルクは、回転錘かな49を介して一番伝え歯車52に伝達された後、スリップ機構53におけるジャンパ82及びジャンパかな81間に伝達トルクとして作用する。
図8は、フル巻き時における巻上機構22の動作を説明するための説明図である。
ここで、図8に示すように、ぜんまいは、巻き上げ量が増加するに従い巻き上げ抵抗が増加する。そのため、ぜんまいの巻き上げ量の増加に伴い、ぜんまいを巻き上げるために必要な巻き上げトルクがジャンパ82及びジャンパかな81間に作用する伝達トルクを上回る。すると、ジャンパ82は、躍制爪86がジャンパかな81上を摺接することで、ジャンパかな81から離間する方向に押し上げられる。これにより、ジャンパ82とジャンパかな81との係合が解除される(スリップ状態)。
ジャンパ82とジャンパかな81との係合が解除されると、一番伝え歯車52の回転に伴い躍制爪86がジャンパかな81上をスリップ(空転)する。これにより、一番伝え車42のうち、一番伝え歯車52が一番伝え真51に対して独立して回転することで、一番伝え真51が回転しないようになっている。一番伝え真51が回転しないことで、一番伝え車42に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材(つめレバー61、二番伝え車43及び角穴車31)への、回転錘41の回転トルクの伝達が遮断される。したがって、ぜんまいがフル巻きの状態からさらに巻き上げられないようになっている。
なお、ぜんまいが巻き解かれ、巻き上げトルクがジャンパ82及びジャンパかな81間に作用する伝達トルクを下回ると、上述した巻き上げ時と同様の動作によりぜんまいが再び巻き上げられる。
このように、本実施形態では、ぜんまいを巻き上げる巻き上げトルクが、一番伝え真51を回転させる伝達トルク以上になった場合に、一番伝え真51と一番伝え歯車52との係合を解除するスリップ機構53を有する構成とした。
この構成によれば、巻き上げトルクが所定のトルク以上必要な場合に、一番伝え車42に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材へのトルクの伝達が遮断される。これにより、例えばフル巻きの状態でさらにぜんまいを巻き上げようとした場合の自動巻輪列32にかかる負荷を低減でき、耐久性の向上を図ることができる。
また、本実施形態のように自動巻輪列32にスリップ機構53を搭載することで、例えばぜんまいの外側端部が香箱26の内周面に摺接するスリッピングアタッチメントを採用する場合に比べて、香箱26の内周面での摩耗を抑制できる。そのため、部品交換時のメンテナンス性の向上や、低コスト化を図ることができる。
なお、スリッピングアタッチメントに替えて、ぜんまいの外側端部を香箱の内周面に固定することで、フル巻きの状態からぜんまいがさらに巻き上げられるのを防止できる。そのため、手動巻の際に、巻真19の回転が制限されることで、フル巻きの状態であることを容易に判断できる。
本実施形態では、自動巻輪列32のうち、一番伝え車42にスリップ機構53を搭載することで、回転錘41にスリップ機構53を搭載する場合に比べて構成の簡素化を図ることができる。
また、一番伝え車42よりも動力伝達方向の下流側に配置された車(例えば、二番伝え車43等)にスリップ機構を搭載する場合に比べて、スリップ機構53のスリップ状態において、回転錘41の回転トルクが作用する部材を少なくできる。その結果、自動巻輪列32にかかる負荷を確実に低減できる。
本実施形態では、スリップ機構53が一番伝え真51に固定されたジャンパかな81と、一番伝え歯車52に配設されるとともに、ジャンパかな81に係脱するジャンパ82と、を有している構成とした。
この構成によれば、ジャンパかな81の歯数やジャンパ82の付勢力等によってスリップ機構53がスリップ状態になるトルクを容易に調整できる。
また、本実施形態では、ジャンパかな81を間に挟んで面内方向で対向する位置に一対のジャンパ82が配置されているため、一番伝え歯車52の軸線C周りの双方向の回転に対してジャンパかな81に均等に伝達トルクを伝えることができる。これにより、動作安定性を確保できる。
そして、本実施形態のムーブメント2及び時計1によれば、上述した巻上機構22を備えているため、信頼性に優れたムーブメント2及び時計1を提供できる。
なお、つめレバー61は、少なくとも二番伝え車43に接近離間する構成であれば、上述した第1実施形態のような軸線C周りに偏心回転する構成に限らない。
また、上述した第1実施形態では、一番伝え真51にジャンパかな81を設け、一番伝え歯車52にジャンパ82を設けた場合について説明したが、これに限らず、一番伝え真51にジャンパを設け、一番伝え歯車52にジャンパかなを設けても構わない。
また、上述した実施形態では、一番伝え車42のうち、一番伝え歯車52を動力伝達方向の上流側(入力側)に配置した構成について説明したが、一番伝え真51(一番伝えかな53)を上流側に配置しても構わない。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態に係る巻上機構222の斜視図である。図10は、第2実施形態に係る一番伝え車242を表側から見た平面図である。図11は、図9のXI−XI線に相当する断面図である。
本実施形態では、スリップ機構253の構成が上述した第1実施形態と相違している。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図9〜図11に示す巻上機構222において、スリップ機構253は、一番伝え車242に設けられている。具体的に、スリップ機構253は、一番伝え歯車252の内周縁に形成された一対のアーム部201を備えている。各アーム部201は、面内方向のうち、第1方向に沿って延在している。各アーム部201における第1方向の両端部は、一番伝え歯車252の内周縁にそれぞれ連設されている。
各アーム部201は、面内方向のうち、第1方向に直交する第2方向において軸線Cに対して軸対称となる位置に配置されている。各アーム部201は、一番伝え真251のうち偏心部57よりも表側に位置する部分(以下、取付部202という。)を第2方向で挟持している。具体的に、各アーム部201の第2方向における離間距離は、一番伝え真251の取付部202の外径よりも僅かに狭くなっている。したがって、アーム部201は、軸線Cに向けて付勢された状態で取付部202を挟持している。なお、各アーム部201のうち、取付部202を挟持する部分には、軸線Cに対して第2方向で離間する方向に湾曲する保持部203が形成されている。
ここで、スリップ機構253は、アーム部201と取付部202との間に作用する摩擦力によって取付部202にスリップ係合している。この場合、ぜんまいを巻き上げる巻き上げトルクが、アーム部201と取付部202との間に作用して一番伝え真251を回転させる伝達トルクよりも小さい場合には、アーム部201による取付部202の保持状態が維持される。これにより、一番伝え歯車252が一番伝え真251とともに一体で回転する。
一方、巻き上げトルクが伝達トルク以上の場合には、アーム部201が取付部202に対して摺接する(スリップする)。これにより、一番伝え歯車252が一番伝え真251に対して独立して回転することで、一番伝え真251が回転しないようになっている。一番伝え真251が回転しないことで、一番伝え車242に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材(つめレバー61、二番伝え車43及び角穴車31)への、回転錘41の回転トルクの伝達が遮断される。したがって、ぜんまいがフル巻きの状態からさらに巻き上げられないようになっている。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、以下の作用効果を奏する。すなわち、一番伝え真251(取付部202)をアーム部201によって挟持するだけの構成であるため、スリップ機構253の増加に伴う部品点数の増加を抑制できる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図12は、第3実施形態に係る巻上機構322の斜視図である。図13、図14は、第3実施形態に係る巻上機構322の動力伝達経路を示すブロック図である。
本実施形態では、上述したマジックレバー方式の巻上機構22,222に替えて、切換伝え車方式の巻上機構322を採用した点で上述した実施形態と相違している。以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
図12〜図14に示す巻上機構322において、自動巻輪列332は、回転錘41と、一番仲介車301と、二番仲介車(第1車)302と、三番仲介車303と、切換伝え車304と、一番伝え車342と、二番伝え車43と、を備えている。
一番仲介車301は、表裏面方向に延びる軸線H周りの双方向(H1方向、H2方向)に回転可能に構成されている。一番仲介車301は、回転錘かな49に噛合している。
二番仲介車302は、二番仲介真(第1真)312と、二番仲介歯車(第1歯車)313と、二番仲介かな314と、を有している。
二番仲介真312は、表裏面方向の両端部が一番受28及び自動巻輪列受70(図3参照)に支持された状態で、表裏面方向に延びる軸線J周りの双方向(J1方向、J2方向)に回転可能に構成されている。
二番仲介歯車313は、上述した一番仲介車301に噛合している。
また、上述した二番仲介車302には、二番仲介歯車313を二番仲介真312にスリップ係合させるスリップ機構53が設けられている。スリップ機構53の構成は、第1実施形態と同様の構成である。
三番仲介車303は、表裏面方向の両端部が一番受28及び自動巻輪列受70(図3参照)に支持された状態で、表裏面方向に延びる軸線K周りの双方向(K1方向、K2方向)に回転可能に構成されている。三番仲介車303は、上述した二番仲介かな314に噛合している。
切換伝え車304は、一番仲介車301、二番仲介車302及び三番仲介車303を介して切換伝え車304に伝達される回転錘41からの双方向の回転トルクを、一方向の伝達トルクとして下流側に出力する。具体的に、切換伝え車304は、切換伝え真323と、切換伝え上段車324と、切換伝え下段車325と、上段切換つめ326a(図13参照)と、下段切換つめ326b(図14参照)と、切換上段つめ車327(図13参照)と、切換下段つめ車328(図14参照)と、切換伝えかな329と、を有している。
切換伝え真323は、表裏面方向の両端部が一番受28及び自動巻輪列受70に支持された状態で、表裏面方向に延びる軸線L周りの双方向(L1方向、L2方向)に回転可能に構成されている。
切換伝え上段車324は、切換伝え真323に軸線L周りに相対回転可能に外挿されている。切換伝え上段車324は、上述した二番仲介かな314に噛合している。
切換上段つめ車327は、切換伝え上段車324と一体で軸線L周りに回転可能に構成されている。
切換伝え下段車325は、切換伝え真323のうち、切換伝え上段車324に対して裏側に位置する部分に軸線L周りに相対回転可能に外挿されている。切換伝え下段車325は、上述した三番仲介かな303に噛合している。したがって、切換伝え下段車325は、二番仲介車302の回転に伴い、切換伝え上段車324に対して逆回転する。
切換下段つめ車328は、切換伝え下段車325と一体で軸線L周りに回転可能に構成されている。
図13、図14に示すように、各切換つめ326a,326bは、軸線L周りに公転可能、かつ軸線Lに平行な揺動軸周りに揺動可能に切換伝え真323に固定されている。上段切換つめ326aは、切換伝え上段車324及び切換上段つめ車327が軸線L周りのL1方向に回転した際(切換伝え下段車325及び切換下段つめ車328がL2方向に回転した際)、切換上段つめ車327に係合する。一方、上段切換つめ326aは、切換伝え上段車324及び切換上段つめ車327がL2方向に回転した際(切換伝え下段車325及び切換下段つめ車328がL1方向に回転した際)、切換上段つめ車327に対して空転する。
また、下段切換つめ326bは、切換伝え下段車325及び切換下段つめ車328がL1方向に回転した際(切換伝え上段車324及び切換上段つめ車327がL2方向に回転した際)、切換下段つめ車328に係合する。一方、下段切換つめ326bは、切換伝え下段車325及び切換下段つめ車328がL2方向に回転した際(切換伝え上段車324及び切換上段つめ車327がL1方向に回転した際)、切換下段つめ車328に対して空転する。
したがって、切換つめ326a,326bは、二番仲介車302の回転方向に関わらず、切換伝え真323(切換伝えかな329)をL1方向に回転させる。
図12に示すように、切換伝えかな329は、切換伝え真323のうち、切換伝え上段車324よりも表側に位置する部分に固定されている。切換伝えかな329は、一番伝え歯車352に噛合している。
一番伝え車342は、一番伝え真351と、一番伝え真351に固定された一番伝え歯車352及び一番伝えかな352と、を有している。
一番伝え歯車352は、切換伝えかな329に噛合している。
一番伝えかな352は、二番伝え歯車72に噛合している。
ここで、本実施形態の巻上機構322では、回転錘41が回転すると、一番仲介車301が回転錘41の回転方向と逆方向に回転する。続いて、一番仲介車301が回転すると、二番仲介車302が回転する。図12、図13に示すように、二番仲介車302の伝達トルクは、二番仲介かな314を介して切換伝え上段車324に直接伝達される。一方、図13、図14に示すように、二番仲介車302の伝達トルクは、二番仲介かな314及び三番仲介車303を介して切換伝え下段車325に伝達される。これにより、切換伝え上段車324及び切換伝え下段車325が軸線L周りで互いに逆向きに回転する。
図13、図14に示すように、切換伝え上段車324及び切換伝え下段車325が回転すると、切換つめ326a,326bの一方のつめが、切換伝え上段車324及び切換伝え下段車325の一方の車に係合する(他方のつめが他方の車に対して空転する)。これにより、切換伝え真323が、二番仲介車302の回転方向に関わらず、L1方向に回転する。切換伝え真323の伝達トルクは、切換伝えかな329を介して一番伝え車342(一番伝え歯車352)に伝達される。これにより、一番伝え車342がC1方向に回転する。その後、一番伝え車342の回転によって二番伝え車43及び角穴車31がそれぞれ一方向(E1方向、A1方向)に回転する。これにより、ぜんまいが巻き上げられる。
ここで、二番仲介車302には、スリップ機構53が設けられているため、ぜんまいを巻き上げる巻き上げトルクが、ジャンパ82とジャンパかな81との間に作用して二番仲介真312を回転させる伝達トルクよりも小さい場合には、ジャンパ82とジャンパかな81との係合状態が維持される。これにより、二番仲介歯車313が二番仲介真312とともに一体で回転する。
一方、巻き上げトルクが伝達トルク以上の場合には、ジャンパ82とジャンパかな81との係合が解除される(スリップする)。これにより、二番仲介歯車313が二番仲介真312に対して独立して回転することで、二番仲介真312が回転しないようになっている。二番仲介真312が回転しないことで、二番仲介車302に対して動力伝達方向の下流側に配置された部材(三番仲介車303、切換伝え車304、一番伝え車42及び二番伝え車43))への、回転錘41の回転トルクの伝達が遮断される。したがって、ぜんまいがフル巻きの状態からさらに巻き上げられないようになっている。
このように、本実施形態のような切換伝え車方式の巻上機構322においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
また、本実施形態では、二番仲介車302にスリップ機構53を搭載しているため、二番仲介車302よりも動力伝達方向の下流側に配置された車(例えば、三番仲介車303等)にスリップ機構を搭載する場合に比べて、スリップ機構53のスリップ状態において、回転錘41の回転トルクが作用する部材を少なくできる。その結果、自動巻輪列332にかかる負荷を確実に低減できる。
なお、図15に示すように、切換伝え車方式の巻上機構322において、第2実施形態のスリップ機構253を搭載しても構わない。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、スリップ機構が一番伝え車42,242又は二番仲介車302に搭載された構成について説明したが、これに限らず、回転錘41やその他の車にスリップ機構を搭載しても構わない。また、自動巻輪列32,332のうち、複数の車にスリップ機構を搭載しても構わない。
上述した実施形態では、スリップ機構が一番伝え真51又は二番仲介真312に対して径方向にスリップ係合する構成について説明したが、これに限らず、軸方向にスリップ係合する構成であっても構わない。
上述した実施形態では、自動巻輪列32,332にスリップ機構を搭載した場合について説明したが、これに限らず、手動巻輪列にスリップ機構を搭載しても構わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
1…時計
2…ムーブメント
22,222,322…巻上機構
31…角穴車
32,332…自動巻輪列(巻上輪列)
41…回転錘
42,242…一番伝え車(第1車)
51,251…一番伝え真(第1真)
52,252…一番伝え歯車(第1歯車)
53,253…スリップ機構
81…ジャンパかな
82…ジャンパ
201…アーム部
302…二番仲介車(第1車)
312…二番仲介真(第1真)
313…二番仲介歯車(第1歯車)

Claims (7)

  1. ぜんまいを巻き上げる角穴車と、
    前記角穴車を回転させる巻上輪列と、
    前記巻上輪列の第1車に設けられ、第1真に対して第1歯車をスリップ係合させるスリップ機構と、を有し、
    前記スリップ機構は、前記ぜんまいを巻き上げる巻き上げトルクが、前記第1歯車と前記第1真との間に作用して前記第1真を回転させる伝達トルク以上になった場合に、前記第1真と前記第1歯車との係合を解除することを特徴とする巻上機構。
  2. 前記第1車は、回転錘からの回転トルクを前記角穴車に伝達する自動巻輪列のうち、前記回転錘に接続された一番伝え車であることを特徴とする請求項1に記載の巻上機構。
  3. 前記第1車は、回転錘からの回転トルクを前記角穴車に伝達する自動巻輪列のうち、前記回転錘に接続された二番仲介車であることを特徴とする請求項1に記載の巻上機構。
  4. 前記スリップ機構は、
    前記第1真に固定されたジャンパかなと、
    前記第1歯車に配設されるとともに、前記ジャンパかなに係脱して前記第1真に対する前記第1歯車の回転を躍制するジャンパと、を有していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の巻上機構。
  5. 前記スリップ機構は、前記第1歯車に配設され、前記第1真における径方向の内側に付勢された状態で前記第1真を径方向で挟持するアーム部を有していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の巻上機構。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の巻上機構を備えていることを特徴とするムーブメント。
  7. 請求項6に記載のムーブメントを備えることを特徴とする時計。
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