JP2017161272A - 水素ガスセンサ - Google Patents

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鎌田 弘之
Hiroyuki Kamata
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Abstract

【課題】動作温度が80〜150℃の低温でも、水素ガスに対して優れた応答性を有する水素ガスセンサを提供すること。【解決手段】基板と、基板の一面上に設けられ、水素ガスを検知する多孔質の水素検知層と、水素検知層に設けられ、水素検知層における電気抵抗を測定するための一対の電極とを備え、基板の一面に少なくとも1つの凹部又は凸部が設けられ、水素検知層が、基板の一面の形状に追従して設けられている、水素ガスセンサ。【選択図】図1

Description

本発明は、水素ガスセンサに関する。
近年、環境・エネルギー問題の解決のため、日本では水素社会化の動きが加速している。例えば水素と酸素との化学反応を利用して発電しモータを回して走る燃料電池車などの開発が行われている。一方、水素ガスは、大気中での濃度が4〜75%の広範囲で爆発領域となるにもかかわらず、無色透明でにおいもなく、漏洩を検知することが困難である。このため、漏洩検知用の水素ガスセンサに対する関心が高まっている。
水素ガスセンサとしては、三酸化タングステンなどの金属酸化物に触媒を担持させた水素ガス検知膜を有する水素ガスセンサが知られている。三酸化タングステンの周囲に水素が存在すると、触媒により水素分子が分解してプロトンと電子になり、これらが水素ガス検知膜に入り込んで電荷担体(キャリア)密度が上昇するため、電気抵抗が低下する。このため、上記水素ガスセンサは、この電気抵抗の変化を利用して水素ガスを電気的に検知することができる。
このような電気抵抗式の水素ガスセンサとして、例えば下記特許文献1に記載の水素ガスセンサが知られている。下記特許文献1には、基板と、基板上に設けられ、三酸化タングステンなどの金属酸化物及び触媒からなる検知膜と、検知膜を加熱するヒータと、基板又は検知膜に接して形成される一対の電極とを有する水素ガスセンサが開示されている。
特開2006−162365号公報
ところで、水素ガスセンサでは、水素ガスに対して優れた応答性を有するようにするために、ヒータによって水素検知膜を加熱して動作温度を常温よりも高くする必要がある。一方、動作温度を高くすると、水素検知膜が水素ガスに対して優れた応答性を有するものの、消費電力が大きくなる。そのため、動作温度が80〜150℃でも水素ガスに対して優れた応答性を有する水素ガスセンサが望まれている。
しかし、上記特許文献1に記載の水素ガスセンサは以下の課題を有していた。
すなわち特許文献1に記載の水素ガスセンサは、動作温度が80〜150℃の低温である場合における水素ガスに対する応答性の点で改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、動作温度が80〜150℃の低温でも、水素ガスに対して優れた応答性を有する水素ガスセンサを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため検討した結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、基板と、前記基板の一面上に設けられ、水素ガスを検知する多孔質の水素検知層と、前記水素検知層に設けられ、前記水素検知層における電気抵抗を測定するための一対の電極とを備え、前記基板の前記一面に少なくとも1つの凹部又は凸部が設けられ、前記水素検知層が、前記基板の前記一面の形状に追従して設けられている、水素ガスセンサである。
本発明の水素ガスセンサによれば、水素検知層が加熱され、そのときの水素検知層の動作温度が例えば80〜150℃の低温でも、水素ガスに対して優れた応答性を有することが可能となる。
このような効果が得られる理由については定かではないが、本発明者は以下の通りではないかと推察している。
すなわち、本発明では、水素検知層が多孔質であり、基板の一面に少なくとも1つの凹部又は凸部が設けられ、水素検知層が基板の一面の形状に追従して設けられると、水素検知層の少なくとも一部において孔が裂けてクラックが形成され、水素ガスがそのクラックを通じて水素検知層の内部に入り込みやすくなり、水素検知層の表面のみならず内部においても水素が分解して金属酸化物の格子に挿入される。このため、動作温度が80〜150℃の低温でも水素検知層の内部における水素の拡散長が短くなり、電気抵抗が安定するまでの時間が短くなる。また水素検知層が基板の一面の形状に追従して設けられることで、基板の一面に凹部又は凸部が設けられない場合に比べて水素検知層の表面積がより増加して感度が上昇する。このことも、上記効果に寄与するのではないかと本発明者は推察している。
上記水素ガスセンサにおいて、前記水素検知層が金属酸化物を含み、前記水素検知層について顕微ラマン散乱測定を行って得られるラマンスペクトルにおいて、前記金属酸化物における金属原子及び酸素原子の一重結合の最大ピーク強度に対する前記金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度の比が0.19以下であることが好ましい。
この水素ガスセンサにおいては、金属酸化物において、金属原子及び酸素原子の一重結合及び二重結合が存在する場合、水素検知層について顕微ラマン散乱測定を行って得られるラマンスペクトルにおいて、金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度は結晶性の指標となる。すなわち、金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度が小さい程、水素検知層の結晶性は高くなる。ここで、上記ピーク強度の比が0.19以下であると、水素検知層の結晶性は十分に高いと言える。こうして水素検知層の結晶性が十分に高くなると、金属酸化物における格子内部における電荷分布がほぼ一様に周期的となり、ピーク強度比が0.19を超える場合に比べて、プロトンの移動速度がより大きくなり、より優れた応答性を有することが可能となる。
上記水素ガスセンサにおいては、前記基板において、前記凹部の深さ又は前記凸部の高さが前記水素検知層の厚さの1倍以上であることが好ましい。
この水素ガスセンサは、基板において凹部の深さ又は凸部の高さが水素検知層の厚さの1倍未満である水素ガスセンサに比べて、より優れた応答速度を有することが可能となる。
なお、本発明において、「前記水素検知層について顕微ラマン散乱測定を行って得られるラマンスペクトルにおいて、前記金属酸化物における金属原子及び酸素原子の一重結合の最大ピーク強度に対する前記金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度の比」とは、以下の測定条件下で顕微ラマン散乱測定を行った場合における比を言うものとする。
(測定条件)
露光時間:20秒
照射光波長:532nm
対物レンズの開口数:0.95
露光回数(積算回数):3回
測定温度:25℃
また本発明において、「金属酸化物における金属原子及び酸素原子の一重結合の最大ピーク強度」とは、ラマンスペクトルにおいて、金属酸化物における金属原子及び酸素原子の一重結合に対応する散乱ピークが複数本出現する場合に、複数本の散乱ピークのうち最も散乱強度の大きい散乱ピークのピーク強度を言う。ここで、「金属酸化物における金属原子及び酸素原子の一重結合」には、対称な伸縮振動、非対称な伸縮振動、曲げによる振動に関する一重結合が全て含まれる。
本発明によれば、動作温度が80〜150℃の低温でも、水素ガスに対して優れた応答性を有する水素ガスセンサが提供される。
本発明の水素ガスセンサの一実施形態を示す切断面端面図である。 図1の基板のうち水素検知層と接触する表面を示す平面図である。 図1の水素検知層のうち基板と接触する第1面を示す平面図である。 実施例1の金属酸化物について顕微ラマン散乱測定を行って得られるラマンスペクトルの結果を示すグラフである。
以下、本発明の水素ガスセンサの実施形態について図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の水素ガスセンサの一実施形態を示す切断面端面図、図2は、図1の基板のうち水素検知層と接触する表面を示す平面図、図3は、図1の水素検知層のうち基板と接触する第1面を示す平面図である。なお、図1〜図3において、同一又は同等の構成要素については同一符号を付すこととする。
図1に示すように、水素ガスセンサ100は、基板10と、基板10の一面11側に設けられ、水素ガスを検知する多孔質の水素検知層20と、水素検知層20のうち基板10と反対側の第2面22上に設けられ、水素検知層20の電気抵抗を測定する一対の電極30と、基板10のうち水素検知層20と反対側の他面12側に設けられ、基板10を介して水素検知層20を加熱するヒータ40と、ヒータ40を覆うように設けられる絶縁層50とを備えている。水素検知層20のうち第2面22と反対側の第1面21と、基板10の一面11とは互いに接触している。
一対の電極30にはそれぞれリード線31が接続され、ヒータ40にはヒータ40に電流を印加する2本のリード線41が接続されている。
基板10の一面11には複数の凹部13が設けられている。そして、水素検知層20は、基板10の一面11の形状に追従して設けられている。すなわち、水素検知層20は、基板10と接触する第1面21に、基板10の複数の凹部13の各々に嵌合する凸部23を有し、基板10と反対側の第2面22には、基板10の厚さ方向に水素検知層20を見た場合に凸部23と互いに重なり合うように設けられる凹部24が設けられている。図2に示すように、基板10の凹部13は、底面13aと、底面13aの両側に設けられる傾斜面13bとで構成されている。すなわち凹部13はその断面形状が台形状である四角柱状となっている。そして、凹部13はそれぞれストライプ状となっており、互いに平行に配列されている。
一方、図3に示すように、水素検知層20の凸部23は、頂面23aと、その両側に設けられる傾斜面23bとで構成されている。すなわち凸部23は、その断面形状が台形状である四角柱状となっている。そして、水素検知層20の複数の凸部23もストライプ状となっており、互いに平行に配列されている。
そして、水素検知層20の頂面23aと基板10の底面13aとが互いに接触し、水素検知層20の傾斜面23bと基板10の傾斜面13bとが互いに接触している。
なお、本実施形態の水素ガスセンサ100は、水素検知層20に水素ガスが吸着されることで変化する水素検知層20の電気抵抗を一対の電極30間に電圧を印加することによって測定し、その電気抵抗の変化によって水素ガスを検知するものである。
水素ガスセンサ100によれば、水素検知層20がヒータ40によって加熱され、そのときの水素検知層20の動作温度が例えば80〜150℃の低温でも、水素ガスに対して優れた応答性を有することが可能となる。
以下、上述した基板10、水素検知層20、電極30、ヒータ40及び絶縁層50の各々について詳細に説明する。
<基板>
基板10としては、シリコン、サファイヤ、ガラス、アルミナなどの絶縁性基板や、SiCなどの半絶縁性基板などを用いることができる。
ガラスとしては、無アルカリガラス、石英ガラスなどを用いることができる。
基板10の凹部13の形状は水素検知層20の凸部11に対して相補的な形状であればよい。
基板10においては、水素検知層20の厚さdに対する凹部13の深さtの比(t/d)は特に制限されるものではないが、1以上であることが好ましい。
この場合、基板10においてt/dが1未満である場合に比べて、水素ガスセンサ100がより優れた応答速度を有することが可能となる。
t/dは好ましくは2以上である。但し、t/dは10以下であることが好ましい。この場合、水素ガスセンサ100の応答速度がより大きくなる。
図2に示すように、基板10においては、凹部13がストライプ状に形成されている。ここで、図1に示すように、凹部13のパターン周期Tは、特に制限されるものではないが、0.5〜20μmであることが好ましい。この場合、凹部13の周期Tが上記範囲を外れる場合に比べて、水素ガスセンサ100の応答速度がより大きくなる。凹部13の周期Tは1〜10μmであることがより好ましい。
<水素検知層>
水素検知層20は、本実施形態では、吸着した水素ガスを最終的にプロトン(H)と電子(e)とに解離する作用を有する触媒と、触媒による水素ガスの解離作用によって発生した電子によって電気抵抗が低下する金属酸化物とを含んでいる。
(触媒)
触媒は、吸着した水素ガスをプロトン(H)と電子(e)とに解離する作用を持つものであればよい。このような触媒としては、例えば白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)及びルテニウム(Ru)が挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。上記触媒の中でも、白金(Pt)が特に好ましい。
(金属酸化物)
金属酸化物は、触媒による水素ガスの解離作用によって発生した電子(e)によって電気抵抗が低下するものであればよい。金属酸化物としては、例えば三酸化モリブデン(MoO)、三酸化タングステン(WO)、二酸化チタン(TiO)、五酸化バナジウム(V)、酸化ニッケル(NiO)などが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。上記金属酸化物の中でも、三酸化タングステン(WO)が好ましい。
水素検知層20においては、水素検知層20に含まれる金属酸化物の結晶性が高いことが好ましい。すなわち、水素検知層20においては、水素検知層20について顕微ラマン散乱測定を行って得られるラマンスペクトルにおいて、金属酸化物における金属原子及び酸素原子の一重結合の最大ピーク強度に対する金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度の比(以下、単に「ピーク強度比」と呼ぶ)が0.19以下であることが好ましい。
金属酸化物において、金属原子及び酸素原子の一重結合及び二重結合が存在する場合、水素検知層20について顕微ラマン散乱測定を行って得られるラマンスペクトルにおいて、金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度は結晶性の指標となる。すなわち、金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度が小さい程、水素検知層20の結晶性は高くなる。ここで、ピーク強度比が0.19以下であると、水素検知層20の結晶性は十分に高いと言える。こうして水素検知層20の結晶性が十分に高くなると、金属酸化物における格子内部における電荷分布がほぼ一様に周期的となり、ピーク強度比が0.19を超える場合に比べて、プロトンの移動速度がより大きくなり、水素ガスセンサ100がより優れた応答性を有することが可能となる。
水素検知層20においては、ピーク強度比が0.14以下であることがより好ましい。
ここで、金属酸化物が三酸化タングステンで構成される場合のピーク強度比について詳細に説明する。
金属酸化物が三酸化タングステンで構成される場合、ピーク強度比は、タングステン原子と酸素原子との一重結合(W−O)の最大ピーク強度に対するタングステン原子と酸素原子との二重結合(W=O)のピーク強度の比を言う。ここで、タングステン原子と酸素原子との一重結合(W−O)の最大ピーク強度は通常、804cm−1付近にあり、タングステン原子と酸素原子との二重結合(W=O)のピーク強度は通常、940cm−1付近にある。ここで、タングステン原子と酸素原子との一重結合(W−O)の最大ピークは非対称の伸縮振動に対応するピークであり、タングステン原子と酸素原子との二重結合(W=O)のピークは対称な伸縮振動に対応するピークである。
<電極>
電極30は、金属を含む導電性材料で構成されていればよいが、このような金属としては、金、Alなどが挙げられる。中でも、接触抵抗が小さく、酸化されにくいことから、金が好ましい。
<ヒータ>
ヒータ40は水素検知層20を加熱し得るものであればよい。ヒータ40としては、例えばセラミックヒータ及び裸発熱体などが挙げられる。
<絶縁層>
絶縁層50を構成する材料は、絶縁性の材料であればよく、このような絶縁性の材料としては、例えばSiO、Alなどの無機絶縁材料、エポキシ樹脂などの絶縁樹脂が挙げられる。
次に、上述した水素ガスセンサ100の製造方法について説明する。
まず基板10を形成するための平行平板状の基板形成用基材を用意する。そして、基板形成用基材の表面に凹部13を形成し、基板10を得る。このとき、凹部13は、底面13aと、底面13aの両側に設けられる傾斜面13bとで構成されるように形成する(図2参照)。ここで、凹部13は、基板形成用基材がシリコン基板、サファイヤ基板、炭化ケイ素(SiC)基板で構成される場合にはフォトリソグラフィ及びエッチングによって形成することができる。基板形成用基材がガラス基板やアルミナ基板で構成される場合には、サンドブラスト加工によって形成することができる。凹部13の深さは、凹部13がフォトリソグラフィ及びエッチングを用いて形成される場合には、エッチング時間によって調整することができる。また凹部13の深さは、凹部13がサンドブラスト加工によって形成される場合には、砥粒の材質、吹付の圧力、吹付ノズルから基板形成用基材までの距離、及び、吹付時間によって調整することができる。
次に、上記のようにして得られた基板10のうち凹部13が形成されている一面11(以下、「凹部形成面11」と呼ぶ)とは反対側の他面12(以下、「凹部非形成面12」と呼ぶ)に、本体部と、本体部の両側に設けられ、リード線41を接続するための2つの電極パッドとを有するヒータ40を形成する。ヒータ40は、例えば凹部非形成面12に金属層を形成した後、金属層に対して所定の加工を行うことによって形成することができる。
続いて、ヒータ40を覆うように絶縁材層を形成する。その後、絶縁材層の一部を取り除いて2箇所でヒータ40における2つの電極パッドを露出させる。こうして絶縁層50が得られる。
次に、基板10のうち凹部13が形成されている凹部形成面11上に水素検知層20を形成する。水素検知層20は、例えば金属酸化物の前駆体と触媒とを含む前駆体溶液を基板10の凹部形成面11に塗布して乾燥した後、焼成することで形成することができる。
ここで、前駆体溶液は、例えば金属酸化物を構成する金属のアルコキシド溶液と、触媒を構成する原子を含む触媒構成原子含有化合物を含む溶液とを混合することによって得ることができる。
焼成の温度は、特に制限されるものではないが、水素検知層20に高い結晶性を付与するためには500℃以上であることが好ましい。但し、水素検知層20に高い結晶性を付与しない場合には、焼成の温度が500℃未満であってもよい。
このとき、前駆体溶液は、基板10の凹部13に入り込むので、前駆体溶液を乾燥させて焼成した後、水素検知層20は基板10と接触する第1面21に凸部23を有し、基板10と反対側の第2面22に凹部24を有することが可能となる。ここで、凸部23の高さは凹部13の深さと同一となる。
前駆体溶液の塗布方法としては、例えばディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法などが挙げられる。中でも、水素検知層20の厚さの制御性の観点からは、スピンコート法が好ましく用いられる。
次に、水素検知層20の第2面22上に一対の電極30を形成する。一対の電極30は、例えば水素検知層20の第2面22上にそれぞれ金属層を形成した後、この金属層に対して加工を行うことによって形成することができる。このような加工としては、例えばフォトリソグラフィを用いることができる。
最後に、ヒータ40のうち露出している2つの電極パッドにそれぞれリード線41を接続するとともに、一対の電極30にもそれぞれリード線31を接続する。
以上のようにして水素ガスセンサ100が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、基板10の凹部13が、断面形状が台形状である四角柱状となっているが、凹部13は、断面形状が正方形状、長方形状などの四角形状である四角柱状であってもよく、四角柱状以外の多角柱状であってもよい。また凹部13は、多角錐台状、円柱状、円錐状、円錐台状であってもよい。
また上記実施形態では、基板10の凹部形成面11に複数の凹部13が設けられているが、凹部13は1つ設けられているだけでもよい。
また上記実施形態では、基板10が凹部形成面11に凹部13を有しているが、基板10は、凹部13に代えて、凸部を有していてもよい。この場合、水素検知層20にはこの凸部に嵌合する凹部が形成されることになる。
さらに上記実施形態では、ヒータ40は、基板10の凹部非形成面12上に一体に形成されているが、凹部形成面11上に一体に形成されていてもよい。また、ヒータ40は省略されてもよい。この場合でも、水素ガスセンサ100の使用時にヒータ40を外付けで設置するならば、水素検知層20を加熱することは可能である。
また上記実施形態では、一対の電極30は水素検知層20の第2面22上に設けられているが、一対の電極30は、水素検知層20の第1面21に接触するように設けられてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず厚さ500μm、直径100mmの平行平板状の基板形成用基材を用意した。基材としてはシリコン基板を用いた。このとき、シリコン基板としては、面積が最大である主面が(001)面となるものを用いた。
そして、このシリコン基板を洗浄して乾燥させた後、このシリコン基板の主面に、フォトプラズマCVD法によって厚さ50nmのSiO膜を形成した。次に、SiO膜表面に対し界面活性剤(商品名「OAP」、東京応化工業株式会社製)を塗布して疎水化処理を行った後、ポジレジスト(商品名「OFPR」、東京応化工業社製)を塗布した。そして、シリコン基板に対し、ストライプパターンが描かれたマスクを、ストライプの延び方向とシリコン基板の<1−10>方向とが一致するように配置した後、マスク越しにポジレジストに対して露光及び現像を行った。このとき、マスクとしては、露光部幅が2.5μm、非露光部幅が2μm、パターン周期が4.5μmとなるフォトマスクを用いた。そして、バッファードフッ酸(50%HF水溶液と40%NH4F水溶液を1:6の比率(体積比)で混合したもの)で露光部のSiO膜を除去した後、KOH水溶液で5分間、シリコン基板の主面に対してエッチングを行い、幅2.5μm、深さ1μm、パターン周期4.5μmの凹部13を形成した。最後に有機溶剤でレジストを除去した。こうして基板10を得た。
次に、基板10のうち凹部13が形成されていない凹部非形成面12に厚さ2nmのTi層及び厚さ0.2μmのPt層を順次スパッタリングによって形成し、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、本体部と、本体部の両側に設けられる2つの電極パッドとを有するPtヒータを形成した。
次に、Ptヒータを覆うように基板10の凹部非形成面12からの厚さ1μmのSiO膜を形成し、SiO膜のうちPtヒータの2つの電極パッドを露出させるようにフォトリソグラフィによってSiO膜に加工を行った。
次に、基板10のうち凹部13が形成されている凹部形成面11上に水素検知層20を形成した。水素検知層20は、三酸化タングステンエトキシドを含む溶液と、Pt原子を含有するPtイオン含有化合物のエタノール溶液とを、W:P=92:8(モル比)となるように混合して得た前駆体溶液を基板10の凹部形成面11にスピンコート法で塗布して乾燥させた後、700℃で焼成することで形成した。ここで、三酸化タングステンエトキシドは、塩化タングステンをエタノールに溶解することによって得た。Ptイオン含有化合物のエタノール溶液は、塩化白金酸六水和物をエタノールに溶解させることによって得た。
こうして、幅2.5μm、高さt1μm、パターン周期T4.5μmの凸部23を基板10と接触する第1面21に有する厚さd0.5μmの水素検知層20を得た。この水素検知層20は全体として基板10の凹部形成面11の形状に追従した構造を有していた。
次に、水素検知層20のうちの第2面22上に一対の電極30を形成した。一対の電極30は、水素検知層20の上にスパッタ装置で厚さ2nmのTi層及び厚さ100nmのAu層を順次形成して金属層の積層体を形成した後、この金属層の積層体に対してフォトリソグラフィ加工を行うことによって一対の櫛歯状電極を得た。
最後に、ヒータ40のうち露出している2つの電極パッドにそれぞれPtからなるリード線41を接続するとともに、一対の電極30にそれぞれAuからなるリード線31を接続した。
以上のようにして水素ガスセンサ100を得た。
こうして得られた水素ガスセンサ100について顕微ラマン散乱測定を行い、ラマンスペクトルを得た。結果を図4に示す。またラマンスペクトルの結果から、三酸化タングステンにおけるタングステン及び酸素原子の一重結合の最大ピーク強度に対するタングステン及び酸素原子の二重結合のピーク強度の比(=IW=O/最大IW−O)を算出した。結果を表1に示す。なお、図4において、三酸化タングステンにおけるタングステン及び酸素原子の一重結合の最大ピークはδ(O−W−O)ではなくν(O−W−O)で示され、タングステン及び酸素原子の二重結合のピークはνs(W=Oter.)で示されている。
(比較例1)
シリコン基板の主面に対してエッチングを行わないことにより基板10が凹部13を有しないようにし、水素検知層20が凸部23を有しないようにした(すなわち凸部23の高さtを0μmとした)こと以外は実施例1と同様にして水素ガスセンサを作製した。
こうして得られた水素ガスセンサについて、実施例1と同様にして顕微ラマン散乱測定を行い、ラマンスペクトルを得た。そして、ラマンスペクトルの結果から、三酸化タングステンにおけるタングステン及び酸素原子の一重結合の最大ピーク強度に対するタングステン及び酸素原子の二重結合のピーク強度の比(=IW=O/最大IW−O)を算出した。結果を表1に示す。
<応答性の評価>
上記のようにして得られた実施例1及び比較例1の水素ガスセンサについて、以下のようにして応答性の評価を行った。水素ガスセンサの応答性は、80%応答時間と呼ばれる値を算出して評価した。80%応答時間とは、反応開始から飽和値の80%に到達する時間のことであり、応答性の指標として使用されるものである。
具体的には、水素ガスセンサの表面に窒素ガスと酸素ガスを混合した合成空気(窒素/酸素=80%/20%(体積比))を流しながら、センサの表面が120℃となるようにヒータの電圧を制御した。この状態で一対の感知電極同士間の電気抵抗をデジタルマルチメータで測定し始め、5分後に合成空気中の水素濃度が10,000ppmとなるように水素を添加した。そして、水素添加前の電気抵抗値および添加後に安定したときの電気抵抗値をそれぞれ対数で示し、その差の80%の時点を求め、この時点と電気抵抗値が変化し始めた反応開始時点との差を算出し、これを80%応答時間とした。結果を表1に示す。
Figure 2017161272
表1に示す結果より、実施例1の水素ガスセンサでは応答時間が1.6秒と短かったのに対し、比較例1の水素ガスセンサでは応答時間が7.2秒と長いことが分かった。
以上のことから、本発明の水素ガスセンサによれば、80〜150℃の低温でも、水素ガスに対して優れた応答性を有することが確認された。
10…基板
11…基板の一面
13…凹部
20…水素検知層
21…第1面
22…第2面
23…凸部
30…電極
40…ヒータ
100…水素ガスセンサ
d…水素検知層の厚さ
t…凸部の高さ
T…凸部のパターン周期

Claims (3)

  1. 基板と、
    前記基板の一面上に設けられ、水素ガスを検知する多孔質の水素検知層と、
    前記水素検知層に設けられ、前記水素検知層における電気抵抗を測定するための一対の電極とを備え、
    前記基板の前記一面に少なくとも1つの凹部又は凸部が設けられ、
    前記水素検知層が、前記基板の前記一面の形状に追従して設けられている、水素ガスセンサ。
  2. 前記水素検知層が金属酸化物を含み、前記水素検知層について顕微ラマン散乱測定を行って得られるラマンスペクトルにおいて、前記金属酸化物における金属原子及び酸素原子の一重結合の最大ピーク強度に対する前記金属原子及び酸素原子の二重結合のピーク強度の比が0.19以下である、請求項1に記載の水素ガスセンサ。
  3. 前記基板において、前記凹部の深さ又は前記凸部の高さが前記水素検知層の厚さの1倍以上である、請求項1又は2に記載の水素ガスセンサ。
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