JP2017163981A - 食肉製品の製造方法 - Google Patents

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謙二 松尾
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Abstract

【課題】風味及び食感に優れた食肉製品の製造方法を提供する。
【解決手段】原料肉を塩漬する塩漬工程と、塩漬した原料肉を乾燥する乾燥工程と、乾燥した原料肉を燻煙する燻煙工程と、燻煙した食肉製品を蒸煮する蒸煮工程とを備えた食肉食品の製造方法であって、塩漬工程において、原料肉の100質量部に対して、調味液を5〜25質量部の割合で注入し、原料肉を返しながら、0〜10℃、168時間以上保管する。
【選択図】なし

Description

本発明は、食肉製品、特に、ハム類の製造方法に関するものである。
食肉加工品は、主に豚肉を原料として製造され、食肉の使用部位と製造方法との違いにより、ハム類、ベーコン類、ソーセージ類に大きく分類される。ハム類は、主に、豚のロース肉、もも肉等の塊を塩漬して製造されるものであり、例えば、骨付きハム、ロースハム、ラックスハム、ショルダーハムが挙げられる。ベーコン類は、主に、豚のバラ肉、かた肉等の塊を成形し、塩漬、燻煙して製造されるものであり、例えば、ベーコン、ショルダーベーコン、ロースベーコンが挙げられる。ソーセージ類は、ハムやベーコンに使用した肉塊の成形時の切り落とし等を使用して製造されるものであり、ウインナー、フランクフルト、ボロニア、サラミ、リオナ等が挙げられる。
特許文献1には、香味に優れた食肉加工品の製造方法として、1種又は2種以上のスパイスを混合した後、微粉砕し、12時間以内に窒素置換しながらアルミパックに充填・密封しておき、この密封したスパイスを開封後所定時間以内に使用することが記載されている。特許文献1では、ハム・ベーコン類を製造する場合、タンブリング工程で、挽き立てスパイスを添加接触させることにより、粉末状のスパイスが表面に散在し、スパイスの新鮮な香味を有するハム・ベーコン類を製造している。
特開2005−168386号公報
本発明は、風味及び食感に優れた食肉製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、原料肉を塩漬処理する塩漬工程と、塩漬処理した原料肉を乾燥処理する乾燥工程と、乾燥処理した原料肉を燻煙処理する燻煙工程と、燻煙処理した食肉製品を蒸煮処理する蒸煮工程とを備えた食肉食品の製造方法に関するものであって、塩漬工程において、原料肉の100質量部に対して、調味液を5〜25質量部の割合で注入し、(容器内に載置した)原料肉を返しながら、0〜10℃、144時間以上で保管することを特徴とするものである。
本発明によれば、従来の食肉製品に比べて、食感が柔らかく、しっとり感があり、香りが良く、旨味と塩味とを適度に感じる、風味及び食感に優れた食肉製品の製造方法を提供できる。
(食肉製品の製造方法)
本発明に係る食肉製品の製造方法は、骨付きハム、ロースハム、ラックスハム、ショルダーハム等のハム類の製造に適用できるものであり、原料肉を塩漬処理する塩漬工程と、塩漬処理した原料肉を乾燥処理する乾燥工程と、乾燥処理した原料肉を燻煙処理する燻煙工程と、燻煙処理した食肉製品を蒸煮処理する蒸煮工程とを少なくとも備える。
<塩漬工程>
塩漬工程は、豚のロース肉、もも肉等の原料肉を、食塩や香辛料等を含有する調味液に漬け込んで、原料肉に味付けや風味付けを行う工程である。調味液には、食塩、糖類(乳糖等)、蛋白質(乳蛋白質、卵蛋白質等)、エキス(ポークブイヨンエキス、ビーフブイヨンエキス、酵母エキス等)、風味付けや臭み消しのための香辛料(ハーブ類、スパイス類等)の他に、味付けに必要な調味料、保存性を向上させるため等の各種の食品添加物(亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等)を配合しても良い。なお、特定のJAS規格のうち、特級クラスでは、乳糖、乳蛋白質、卵蛋白質、ポークブイヨンエキス、ビーフブイヨンエキス、酵母エキス等を使用できるが、特定クラスでは、乳糖、乳蛋白質、卵蛋白質、ポークブイヨンエキス、ビーフブイヨンエキス、酵母エキス等を使用できないこととなる。
本発明の塩漬工程では、複数の針を有する注射器を用いて、原料肉に調味液を注入することによって塩漬処理する。このように、原料肉に調味液を直接注入する方法は、調味液の濃度や量によって、製品毎の味を調整しやすく、かつ、製品毎の味や品質のバラツキを抑制しやすいという利点があり、特に商業生産に適している。
調味液の注入量は、原料肉の100質量部に対して5〜25質量部とし、好ましくは10〜25質量部とし、より好ましくは10〜20質量部とし、さらに好ましくは10〜15質量部とする。調味液の注入量が原料肉の100質量部に対して5質量部を下回ると、原料肉中の塩分濃度が低くなり過ぎ、完成した食肉製品の塩味が不足する共に、保存性も低下する。一方、調味液の注入量が原料肉の100質量部に対して25質量部を超えると、原料肉中の塩分濃度が高くなり過ぎ、完成した食肉製品の塩味が強くなる。
また、本発明の塩漬工程では、調味液を注入した原料肉を、0〜10℃、144時間以上(6日間以上)で保管する、好ましくは0〜10℃、156時間以上(6.5日間以上)で保管する、より好ましくは0〜10℃、162時間以上(6.75日間以上)で保管する、さらに好ましくは0〜10℃、168時間以上(7日間以上)で保管することにより、塩漬処理する。ここで、調味液を注入した原料肉を、0〜10℃、168時間以上(7日間以上)で保管すると、特定のJAS規格に準じることとなる。また、調味液を注入した原料肉を3日毎で、好ましくは2日毎で、より好ましくは毎日で、手返ししながら塩漬処理することにより、原料肉に調味液が均一に浸透することを促進する。さらに、調味液を注入した原料肉を容器(ステンレス製、プラスチック製など)容器内に保管して塩漬処理しても良い。なお、一般的なハム類の製造方法の塩漬工程では、調味液を注入した原料肉をステンレス製の容器内で、0〜10℃、概ね12〜36時間(半日〜1.5日間)で保管して塩漬処理する。一般的なハム類の製造方法では、塩漬工程において、短時間で原料肉に調味味を浸透させるために、タンブリング処理(マッサージ処理)が併用されることが多い。これに対して、本発明の製造方法では、塩漬工程において、原料肉に与える物理的刺激を限りなく低減し、ゆっくりと長時間で原料肉に調味味を浸透させながら、原料肉を熟成させることにより、食感が柔らかく、旨味の強い食肉製品を得ることができる。
<乾燥工程>
乾燥工程は、原料肉を加温して、原料肉中の水分を減少させて、食肉製品の保存性を向上するための工程である。また、乾燥工程は、原料肉の表面を乾燥させて、後の燻煙工程において、色付きや風味を良くするための工程でもある。
本発明の乾燥工程では、塩漬処理した原料肉をセロハンで包み、糸で巻いた状態で乾燥処理する。一般的なハム類の製造方法では、乾燥工程において、ファイブラスケーシング等のケーシングに入れて、原料肉を保持する。これに対して、本発明の製造方法では、乾燥工程において、原料肉中の水分が適度に蒸散し、原料肉の表面では、やや乾燥しながら、原料肉の内部では、しっとりと仕上がり、完成した食肉製品が水っぽくなることを抑制することができる。
本発明の乾燥工程では、セロハンで包み、かつ、糸で巻いた原料肉を50〜70℃、140〜240分間で保持する、好ましくは50〜70℃、140〜210分間で保持する、より好ましくは55〜65℃、150〜210分間で保持する、さらに好ましくは55〜65℃、150〜180分間で保持することにより、乾燥処理する。一般的なハム類の製造方法では、乾燥工程において、乾燥処理の(開始)温度を80℃程度に設定することが多く、比較的に高い温度である。これに対して、本発明の製造方法では、乾燥工程において、乾燥処理の(開始)温度を一般的なハム類の製造方法よりも低い温度に設定しており、原料肉中の余分な脂肪の溶出を促進し、完成した食肉製品のしつこさを軽減することができる。
<燻煙工程>
燻煙工程(乾燥燻煙工程とも呼ばれる)は、原料肉を加熱しながら燻煙材で燻して、原料肉の保存性を向上させ、原料肉にスモークの香りと色を付けるための工程である。また、燻煙工程は、原料肉を乾燥して、原料肉中の水分量を減少させ、燻煙自体により、原料肉の保存性を向上させることに加え、水分量の低下により、原料肉の保存性を向上させる工程でもある。燻煙工程で使用できる燻煙材は特に限定されないが、サクラ、ブナ、ナラ、リンゴ、クルミ等のスモークチップ、スモークウッドを例示することができる。
本発明の燻煙工程では、乾燥処理した原料肉を55〜75℃、30〜80分間で保持する、好ましくは55〜70℃、30〜70分間で保持する、より好ましくは60〜70℃、40〜60分間で保持する、さらに好ましくは65〜70℃、40〜50分間で保持することにより、燻煙処理する。一般的なハム類の製造方法では、燻煙処理の(開始)温度、所要時間を80℃前後、20〜30分間程度に設定することが多く、比較的に高い温度で、短い時間である。これに対して、本発明の製造方法では、燻煙工程において、一般的なハム類の製造方法よりも低い温度で、長い時間に設定しており、完成した食肉製品の燻製香を向上させることができる。
その後、食肉製品を殺菌などするために、加熱(蒸煮)工程として、燻煙処理した食肉製品を70〜90℃、100〜180分間で保持する、好ましくは70〜85℃、100〜160分間で保持する、より好ましくは75〜85℃、120〜160分間で保持する、さらに好ましくは75〜85℃、120〜140分間で保持することにより、加熱(蒸煮)処理する。加熱(蒸煮)工程では、食品衛生法の基準に基づき、食肉製品の中心温度が63℃、30分間で加熱されるように設定する。なお、本発明の燻煙工程では、食肉製品を加熱(蒸煮)処理する。
以上の工程を経て、食肉製品(ハム類)を得ることができる。
尚、上記の説明では、塩漬工程から加熱工程までを記述したが、これらの工程の前後には、その他の必要な工程が設けられる。例えば、塩漬工程の前には、原料肉から骨、毛、血合い、その他の異物を除去したり、原料肉を整形したりする工程や、原料肉が冷凍品である場合には、原料肉を解凍する工程等が適宜設けられる。また、加熱工程の後には、完成した食肉製品を冷却する冷却工程、食肉製品を包装する包装工程、金属検知器やX線検査機を用いた品質検査工程、製造年月日等を表示するラベルを貼り付けるラベル貼付工程、ラベル貼付後の食肉製品を箱詰めする箱詰め工程、必要に応じて、箱詰め後の食肉製品を冷凍する冷凍工程等が適宜設けられる。
(原料肉)
上述した食肉製品の製造方法では、使用する原料肉は特に限定されないが、質の良い原料肉を使用することによって、更に風味と食感に優れた食肉製品を製造することができる。例えば、上記の食肉製品の製造方法において、発酵乳を含む飼料を給餌して肥育した豚の肉を使用することができる。豚(肥育豚)に発酵乳を含む飼料を給餌することによって、食肉に含まれるオレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸の濃度(含有量)を増加させ、ステアリン酸やパルミチン酸等の飽和脂肪酸の濃度を減少させることができる。豚としてより好ましいのは、特定病原体不在豚である。ここで、オレイン酸やリノール酸は、ステアリン酸やパルミチン酸と比べて融点が低い。したがって、食肉に含まれる飽和脂肪酸の濃度を減少させ、不飽和脂肪酸の濃度を増加させることにより、口溶けが良く、柔らかい脂肪を含む食肉を得ることができる。
また、豚に発酵乳を含む飼料を給餌することによって、食肉に含まれるアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、グリシン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、トリプトファン、システインの少なくとも1種類の濃度(含有量)を増加させることができる。これらのアミノ酸は、必ずしも、うま味を向上させるアミノ酸ではないが、コク味や深い味を向上させることによって、食肉の味質を向上させると考えられる。
発酵乳には、必ずしも、市販品を使用しなくても良く、発酵乳の製造工程において、中間製品に該当するもの(果肉やプレパレーションなどと混合する前の発酵乳など)を使用しても良いし、その他の食品(乳製品、デザート(プリンなど)など)を発酵乳と混合して使用しても良い。
発酵乳を含む飼料の給餌期間は、少なくとも、屠畜前の25〜30日間であれば、食肉の不飽和脂肪酸及び/又は遊離アミノ酸(好ましくは、不飽和脂肪酸及び遊離アミノ酸)の濃度(含有量)を有意に増加させることができる。なお、発酵乳を含む飼料を屠畜前の所定期間に亘って給餌する際には、必ずしも、発酵乳を含む飼料を毎日や毎食に給餌しなくても良く、本発明の効果が得られる頻度で給餌すれば良い。ただし、発酵乳を含む飼料の給餌期間は、屠畜前の20〜25日間であっても良いし、屠畜前の30日間よりも長期間であっても良い。そこで、発酵乳を含む飼料の給餌期間は、好ましくは屠畜前の20〜90日間であり、より好ましくは屠畜前の20〜75日間であり、さらに好ましくは屠畜前の25〜60日間であり、さらに好ましくは屠畜前の25〜45日間であり、さらに好ましくは屠畜前の25〜35日間であり、さらに好ましくは屠畜前の25〜30日間である。家畜(好ましくは、肥育豚)が仔畜であるところでは(比較的に長期間では)、発酵乳または発酵乳を含む飼料を給餌しなくても良く、家畜(好ましくは、肥育豚)が成体となったところで(比較的に短期間で)、発酵乳または発酵乳を含む飼料を給餌することにより、食肉の不飽和脂肪酸及び/又は遊離アミノ酸(好ましくは、不飽和脂肪酸及び遊離アミノ酸)の濃度(含有量)を有意に増加させることができる。
養豚用の飼料には、一般に、とうもろこし、マイロ(こうりゃん)、大麦、ライ麦、米、油かす(大豆油粕、菜種油粕等)、ふすま、豆類等を配合した配合飼料を使用できる。例えば、肥育期には、麦類を8質量%以上(好ましくは10〜20質量%、より好ましくは12〜18質量%、さらに好ましくは14〜16質量%)の割合で含む配合飼料に、コプラフレーク(ヤシ油かす)、食パンの端材を配合した飼料を給餌する。そして、屠畜前の20〜90日間に、前記の配合飼料に、コプラフレーク、食パンの端材を配合した飼料に、発酵乳を配合した飼料を給餌する。発酵乳には、例えば、各種の乳酸菌スターターを接種して、所定の温度(30〜45℃)で発酵させたものを使用できるが、好ましくは、原料乳にブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合スターターを接種して、所定の温度(37〜43℃)で発酵させたものを使用できる。
発酵乳の給餌量は、少なくとも、家畜(好ましくは、肥育豚)の1頭につき、0.7〜2kg/日であれば、食肉の不飽和脂肪酸及び/又は遊離アミノ酸(好ましくは、不飽和脂肪酸及び遊離アミノ酸)の濃度(含有量)を有意に増加させることができる。ただし、発酵乳の給餌量は、家畜の1頭につき、0.5〜0.7kg/日であっても良いし、2〜5kg/日であっても良い。そこで、発酵乳の給餌量は、家畜の1頭につき、好ましくは0.5〜5kg/日であり、より好ましくは0.5〜4kg/日であり、さらに好ましくは0.6〜3.5kg/日であり、さらに好ましくは0.6〜3kg/日であり、さらに好ましくは0.7〜2.5kg/日であり、さらに好ましくは0.7〜2kg/日である。
家畜(好ましくは、肥育豚)の1頭の生体体重は、少なくとも、110〜115kgであれば、成体として、発酵乳または発酵乳を含む飼料を給餌することができる。ただし、家畜の1頭の生体体重は、100〜110kgであっても良いし、115〜150kgであっても良い。そこで、家畜の1頭の生体体重は、好ましくは100〜150kgであり、より好ましくは100〜140kgであり、さらに好ましくは105〜130kgであり、さらに好ましくは105〜125kgであり、さらに好ましくは110〜120kgであり、さらに好ましくは110〜115kgである。なお、家畜の1頭の生体体重が例えば110〜115kgに達するまで(成体になるまで)、家畜の肥育(飼育)期間は、好ましくは180〜270日間であり、より好ましくは180〜240日間であり、さらに好ましくは185〜225日間であり、さらに好ましくは185〜210日間である。家畜(好ましくは、肥育豚)が仔畜であるところでは(比較的に長期間では)、発酵乳または発酵乳を含む飼料を給餌しなくても良く、家畜(好ましくは、肥育豚)が成体となったところで(比較的に短期間で)、発酵乳または発酵乳を含む飼料を給餌することにより、食肉の不飽和脂肪酸及び/又は遊離アミノ酸(好ましくは、不飽和脂肪酸及び遊離アミノ酸)の濃度(含有量)を有意に増加させることができる。
原料肉としては、例えば、発酵乳の給餌期間を屠畜前の25〜30日間とした。このとき、発酵乳の給餌量を肥育豚の1頭(生体重量:100〜120kg程度)につき、0.7〜3kg/日で肥育する「ケンコーグルトポーク(ケンコーグルト豚)」を好適に利用できる。ここで、「ケンコーグルトポーク(ケンコーグルト豚)」は、屠畜前の所定の給餌期間、発酵乳を含む飼料を給餌して肥育した豚の肉であり、給餌期間は前述した範囲内で設定することができる。尚、「ケンコーグルトポーク」、「ケンコーグルト豚」、はいずれも株式会社明治の商標である(「ケンコーグルト豚\ケンコーグルトポーク」で商標登録済み(登録第5925644号))。
以上説明した食肉(豚肉)は、従来の豚肉に比べて、栄養価が高く、風味が良好で、口溶けに優れる。また、発酵乳を給餌することによって、豚肉に特有の臭みを低減することもできる。したがって、発酵乳を給餌した食肉を原料肉として使用することによって、従来の食肉製品(ハム類)に比べて、栄養価が高く、風味が良好で、口溶けに優れた食肉製品を製造することができる。
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
表1に、実施例1及び比較例1に係る食肉製品(ハム)の製造方法を示す。また、表2に、塩漬工程で使用した調味液の組成を示す。
Figure 2017163981
Figure 2017163981
(実施例1)
実施例1では、特定病原体不在(SPF;Specific Pathogen Free)豚に発酵乳を給餌して肥育して生産した豚肉を原料肉として使用した。特定病原体不在豚とは、帝王切開によって誕生した無菌状態の子豚を種豚として繁殖させた豚であり、豚赤痢やトキソプラズマ等の特定病原菌を生まれつき持たない豚である。特定病原体不在豚は、誕生した子豚を分娩舎で離乳まで育成し、肥育離乳舎で所定日数まで肥育育成し、その後に、肥育舎で出荷日齢まで肥育させてから出荷される。尚、国産豚などの肥育(飼育)期間は、種によって異なるが、通常では6〜7ヶ月程度、長いもので8〜11ヶ月程度である。
実施例1では、特定病原体不在豚の肥育期に、麦類を14質量%以上の割合で含む配合飼料に、コプラフレーク及び食パンの端材を配合した飼料を、屠畜前まで(出荷日齢まで)、特定病原体不在豚に給餌した。ここで、肥育豚の生体重量が100〜120kg程度に達するまで(成体になるまで)、前述した飼料を約180〜210日間(約6〜7ケ月)に亘って、特定病原体不在豚に給餌した。そして、肥育豚の生体重量が110〜115kg程度に達したところで、前記の飼料に発酵乳を配合した飼料を屠畜前の25〜30日間に亘って、特定病原体不在豚に給餌した。つまり、発酵乳の給餌期間を屠畜前の25〜30日間とした。このとき、発酵乳の給餌量を肥育豚の1頭(生体重量:100〜120kg程度)につき、0.7〜2kg/日とした。
実施例1に係る製造方法では、まず、冷凍保存された原料肉(上述した発酵乳を給餌して肥育して生産した豚のロース肉)を解凍し(工程1)、解凍した原料肉から骨、毛、血合い、その他の異物を除去したり、原料肉を整形したりする等の下処理及び検品(工程2)を行った。次に、原料肉の100質量部に対して、表2に示す組成の調味液を15質量部の割合で注入し、容器内に、0〜10℃、168時間(7日間)以上で塩漬(工程3)を行った。塩漬の期間中には毎日、原料肉を手で返す手返しを行った。次に、塩漬した原料肉をセロハンで包み、糸で巻き(工程4)、60℃、150分間で乾燥(工程5)を行った。次に、乾燥した原料肉に、65℃、40〜50分間で燻煙(乾燥燻煙)(工程6)を行った。燻煙には、燻煙材として、サクラを使用した。次に、燻煙した食肉製品(ハム)に、78℃、120分間で加熱(工程7)を行った。加熱直後には、食肉製品の中心温度は72℃であった。
その後、加熱した食肉製品に、冷却(工程8)、包装(工程9)、金属探知機やX線検査装置を用いた検査(工程10)、製造年月日等を表示するラベルの貼付(工程11)、箱詰め(工程12)を行った後、業務用冷凍庫で冷凍保管した(工程13)。
(比較例1)
比較例1では、発酵乳を給餌せず、麦類を14質量%以上の割合で含む配合飼料に、コプラフレーク及び食パンの端材を配合した飼料を給餌して肥育した、豚ロース肉を使用した。
比較例1に係る製造方法では、まず、冷凍保存された原料肉(豚のロース肉)を解凍し(工程1)、解凍した原料肉から骨、毛、血合い、その他の異物を除去したり、原料肉を整形したりする等の下処理及び検品(工程2)を行った。次に、原料肉の100質量部に対して、表2に示す組成の調味液を65質量部の割合で注入し、ステンレス製容器内にて、0〜10℃、12〜36時間で塩漬(工程3)を行った。塩漬の期間中には、原料肉に、タンブリング等のマッサージ処理を行った。次に、塩漬した原料肉を、ファイブラスケーシングに入れて(工程4)、80℃、165分間で乾燥(工程5)を行った。次に、乾燥した原料肉に、80℃、20〜30分間で燻煙(乾燥燻煙)(工程6)を行った。燻煙には、燻煙材として、サクラを使用した。次に、燻煙した食肉製品(ハム)に、80℃、80〜90分間で加熱(工程7)を行った。加熱中には、食肉製品の中心温度は72℃であった。
その後、加熱した食肉製品に、冷却(工程8)、包装(工程9)、金属探知機やX線検査装置を用いた検査(工程10)、製造年月日等を表示するラベルの貼付(工程11)、箱詰め(工程11)を行った後、業務用冷凍庫で冷凍保管した(工程13)。
(評価)
実施例1及び比較例1で得た食肉製品(ハム)の風味及び食感を官能試験によって評価した。具体的には、実施例1及び比較例1で得た食肉製品(ハム)の食感の硬さ、しっとり感、香りの強さ、旨味の強さ、塩味の強さを、27人の専門パネルが官能評価し、以下の5段階の評価基準で相対評価した。
[食感の硬さ、しっとり感、香りの強さ、旨味の強さ、塩味の強さの評価基準]
(A)実施例1の方が強く感じる
(B)実施例1の方がやや強く感じる
(C)どちらでもない
(D)比較例1の方がやや強く感じる
(E)比較例1の方が強く感じる
また、実施例1及び比較例1で得た食肉製品(ロースハム)の総合評価として、いずれの食肉製品が相対的に、おいしく感じたかを、以下の5段階の評価基準で相対評価した。
[総合評価(おいしさ)の評価基準]
(A)実施例1の方がおいしい
(B)実施例1の方がややおいしい
(C)どちらでもない
(D)比較例1の方がややおいしい
(E)比較例1の方がおいしい
そして、評価指標(スコア)として、(C)以外に評価した専門パネルの人数のうち、(A)または(B)に評価した専門パネルの割合と、(D)または(E)に評価した専門パネルの割合とを算出した。
表3に、官能試験の評価結果と、算出したスコアとを示す。
Figure 2017163981
表3に示すように、比較例1に係る食肉製品に比べて、実施例1に係る食肉製品では、しっとり感及び香りの強さが相対的に高い評価(すなわち、実施例1では、風味が良いという評価)になった。一方、実施例1に係る食肉製品に比べて、比較例1に係る食肉製品では、食感の硬さ、塩味の強さが相対的に高い評価(すなわち、実施例1では、食感が柔らかく、塩味が強すぎないという評価)になった。また、総合評価として、いずれの食肉製品が相対的に、おいしく感じたかを評価した結果、比較例1に係る食肉製品に比べて、実施例1に係る食肉製品では、おいしいという評価となった。尚、実施例1に係る食肉製品に比べて、比較例1に係る食肉製品では、旨味の強さが高い評価となったが、これは、原料液に注入した調味液の重量が異なることによるものと考えられる。これに対して、実施例1に係る食肉製品では、調味液の重量を従来よりも低減したにも拘わらず、原料肉の風味を生かした適度な旨味が感じられた。
表3に示すように、実施例1及び比較例1の評価結果から、本発明の食肉製品の製造方法によれば、従来の食肉製品に比べて、食感が柔らかく、しっとり感があり、香りが良く、旨味と塩味とを適度に感じる、風味及び食感に優れた食肉製品を得られることが確認された。
本発明は、食肉製品の製造方法、特に、ハム類の製造方法として利用できる。

Claims (6)

  1. 原料肉を塩漬する塩漬工程と、塩漬した原料肉を乾燥する乾燥工程と、乾燥した原料肉を燻煙する燻煙工程と、燻煙した食肉製品を蒸煮する蒸煮工程とを備えた食肉食品の製造方法であって、
    前記塩漬工程において、原料肉の100質量部に対して、調味液を5〜25質量部の割合で注入し、原料肉を返しながら、0〜10℃、144時間以上で保管することを特徴とする、食肉食品の製造方法。
  2. 前記乾燥工程において、塩漬した原料肉をセロハンで包み、かつ、糸で巻いた状態で乾燥することを特徴とする、請求項1に記載の食肉製品の製造方法。
  3. 前記乾燥工程において、50℃〜70℃、140〜240分間で乾燥することを特徴とする、請求項1又は2に記載の食肉製品の製造方法。
  4. 前記燻煙工程において、55〜75℃、30〜80分間で燻煙することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の食肉製品の製造方法。
  5. 前記蒸煮工程において、燻煙した食肉製品を70〜90℃、100〜180分間で蒸煮することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の食肉製品の製造方法。
  6. 原料肉がケンコーグルトポークであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の食肉製品の製造方法。
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