JP2017168406A - 非水電解質二次電池負極活物質、負極及び電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池負極活物質、負極及び電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】珪素系活物質の高い電池容量と低い体積膨張率の利点を維持しつつ、負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極活物質を提供する。
【解決手段】珪素化合物(SiOx:0.5≦x<1.6)からなる粒子表面に、有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応を2〜4回行う工程を含む、上記珪素化合物からなる粒子表面に炭素被膜が形成され、その炭素被膜中に開孔を有する非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池負極活物質、負極及び電池の製造方法に関するものである。
近年、携帯型の電子機器、通信機器等の著しい発展に伴い、経済性と機器の小型化、軽量化の観点から、高エネルギー密度の二次電池が強く要望されている。
従来、この種の二次電池の高容量化策として、例えば、負極材料にV、Si、B、Zr、Sn等の酸化物及びそれらの複合酸化物を用いる方法(特許文献1,2参照)、溶融急冷した金属酸化物を負極材として適用する方法(特許文献3参照)、負極材料に酸化珪素を用いる方法(特許文献4参照)、負極材料にSi22O及びGe22Oを用いる方法(特許文献5参照)等が知られている。
また、負極材に導電性を付与する目的として、SiOを黒鉛とメカニカルアロイング後に炭化処理する方法(特許文献6参照)、珪素粒子表面に化学蒸着法により炭素層を被覆する方法(特許文献7参照)、酸化珪素粒子表面に化学蒸着法により炭素層を被覆する方法(特許文献8参照)がある。
しかしながら、上記従来の方法では、充放電容量が上がり、エネルギー密度が高くなるものの、サイクル性が不十分であったり、市場の要求特性には未だ不十分であったりし、必ずしも満足でき得るものではなく、更なるエネルギー密度の向上が望まれていた。
特に、特許文献4では、酸化珪素をリチウムイオン二次電池負極材として用い、高容量の電極を得ているが、本発明者らが知る限りにおいては、未だ初回充放電時における不可逆容量が大きかったり、サイクル性が実用レベルに達していなかったりする等の問題があり、改良する余地がある。
また、負極材に導電性を付与した技術についても、特許文献6では固体と固体の融着であるため均一な炭素被膜が形成されず、導電性が不十分であるといった問題がある。
そして、特許文献7の方法においては、均一な炭素被膜の形成が可能となるものの、Siを負極材として用いているため、リチウムイオンの吸脱着時の膨張・収縮が余りにも大きすぎて、結果として実用に耐えられず、サイクル性が低下するためにこれを防止するべく充電量の制限を設けなくてはならない。
特許文献8の方法においては、サイクル性の向上は確認されるものの、微細な珪素結晶の析出、炭素被覆の構造及び基材との融合が不十分であることより、充放電のサイクル数を重ねると徐々に容量が低下し、一定回数後に急激に低下するという現象があり、二次電池用としてはまだ不十分であるといった問題があった。
特開平5−174818号公報 特開平6−60867号公報 特開平10−294112号公報 特許第2997741号公報 特開平11−102705号公報 特開2000−243396号公報 特開2000−215887号公報 特開2002−42806号公報
本発明は、珪素系活物質の高い電池容量と低い体積膨張率の利点を維持しつつ、負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極活物質を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、珪素化合物(SiOx:0.5≦x<1.6)からなる粒子表面に、有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応を2〜4回で行うことによって、炭素被膜中に開孔が形成され、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記製造方法を提供する。
[1].珪素化合物(SiOx:0.5≦x<1.6)からなる粒子表面に、有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応を2〜4回行う工程を含む、上記珪素化合物からなる粒子表面に炭素被膜が形成され、その炭素被膜中に開孔を有する非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[2].非水電解質二次電池負極活物質の窒素ガス吸着法によるBET比表面積が、3.3〜7.5m2/gであることを特徴とする[1]記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[3].非水電解質二次電池負極活物質の窒素ガス吸着法によるBET比表面積が、3.6〜7.3m2/gであることを特徴とする[2]記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[4].窒素ガス吸着法により算出される上記開孔の平均開孔径が、9.8〜26.0nmである[1]〜[3]のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[5].窒素ガス吸着法により算出される上記開孔の開孔容積が、0.9×10-2〜5.7×10-2cm3/gであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[6].非水電解質二次電池負極活物質の炭素被覆量が、0.5〜19質量%である[1]〜[5]のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[7].炭素被覆量が、1〜15質量%である[6]記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[8].非水電解質二次電池負極活物質の密度1.5cm3/gに圧縮された時の体積抵抗率が0.01〜190Ω・cmである[1]〜[7]のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[9].体積抵抗率が、0.01〜100Ω・cmである[8]記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[10].非水電解質二次電池負極活物質が、炭化ケイ素を含有していることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[11].非水電解質二次電池負極活物質中の炭化ケイ素の含有量が、1.6質量%以下であることを特徴とする[10]記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[12].炭化ケイ素の含有量が1質量%以下である[11]記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[13].1回目の炭素被覆工程において形成される炭素膜厚Anmと、2回目以降の炭素被覆工程において形成される炭素膜厚Bnmとの比が、0.3≦B/A<1.7である、[1]〜[12]のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[14].上記比が、0.4≦B/A<1.4であることを特徴とする[13]に記載の非水電解質二次電池活物質の製造方法。
[15].炭素被膜形成反応において、熱分解温度が600℃〜1,200℃である[1]〜[14]のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
[16].[1]〜[15]のいずれかに記載の製造方法で得られた非水電解質二次電池活物質を用いることを特徴とする、非水電解質二次電池負極の製造方法。
[17].[1]〜[15]のいずれかに記載の製造方法で得られた非水電解質二次電池活物質を用いてスラリーを作製する工程と、スラリーを負極集電体に塗布・乾燥する工程を含む非水電解質二次電池負極の製造方法。
[18].[16]又は[17]の製造方法で得られた負極を用いることを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
[19].[16]又は[17]の製造方法で得られた負極と、正極とを、セパレータを介して積層又は巻回させて巻回体を成型する工程と、前記巻回体をフィルムに封入し、電解液を投入し、真空含浸させる工程と、前記フィルムを融着させる工程を含む非水電解質二次電池の製造方法。
本発明の製造方法によれば、珪素系活物質の高い電池容量と低い体積膨張率の利点を維持しつつ、負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極活物質を提供することができる。また、これを用いた負極、非水電解質二次電池の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[非水電解質二次電池負極活物質の製造方法]
珪素化合物(SiOx:0.5≦x<1.6)からなる粒子表面に、有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応(CVD)を2〜4回行うことによって炭素被膜中に形成された開孔を有する非水電解質二次電池負極活物質(炭素被膜が形成された珪素化合物粒子:以下、負極活物質粒子と表記する場合がある。)の製造方法である。
珪素化合物からなる粒子としては、一般式SiOx:0.5≦x<1.6で表される珪素化合物粒子には、酸化珪素粒子、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した構造を有する複合粒子も含まれる。xは0.5≦x<1.5が好ましく、0.8≦x<1.3がより好ましく、0.8≦x≦1.0がさらに好ましい。珪素化合物の組成としては、高いサイクル特性が得られる点から、xが1に近い方が好ましい。本発明における珪素化合物は、必ずしも純度100%を意味しているわけではなく、微量の不純物元素を含んでいてもよい。
珪素化合物からなる粒子の物性は、目的とする負極活物質の物性により、適宜選定される。平均粒子径は0.01〜50μmとすることができ、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましい。なお、平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における体積平均粒子径で表すことができる。また、BET比表面積は0.1〜30m2/gが好ましく、0.1〜25m2/gがより好ましく、0.2〜20m2/gがさらに好ましい。BET比表面積は、N2ガス吸着量によって評価するBET1点法にて測定した値である。
本発明において酸化珪素とは、通常、二酸化珪素と金属珪素との混合物を加熱して生成した一酸化珪素ガスを冷却・析出して得られた非晶質の珪素酸化物の総称であり、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表すことができる。酸化珪素の製造方法としては、例えば、酸化珪素ガスを発生する原料を不活性ガスの存在下もしくは減圧下900℃〜1,600℃の温度範囲で加熱し、酸化珪素ガスを発生させ、発生した酸化珪素ガスを吸着板に堆積させる方法がある。反応炉内温度を下げた状態で堆積物を取出し、ボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕、粉末化を行う。
珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した構造を有する複合粒子(以下、複合粒子と略す場合がある)における、珪素系化合物については、不活性なものが好ましく、製造しやすさの点において二酸化珪素が好ましい。また、この粒子は下記性状を有していることが好ましい。
i.銅を対陰極としたX線回折(Cu−Kα)において、2θ=28.4°付近を中心としたSi(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の広がりをもとに、シェーラーの式によって求めた珪素の微粒子(結晶)の粒子径が、好ましくは1〜500nm、より好ましくは2〜200nm、さらに好ましくは2〜20nmである。珪素の微粒子の大きさが1nmより小さいと、充放電容量が小さくなるおそれがあり、逆に500nmより大きいと充放電時の膨張収縮が大きくなり、サイクル性が低下するおそれがある。なお、珪素の微粒子の大きさは透過電子顕微鏡写真により測定することもできる。
ii.固体NMR(29Si−DDMAS)測定において、そのスペクトルが−110ppm付近を中心とするブロードな二酸化珪素のピークとともに、−84ppm付近にSiのダイヤモンド結晶の特徴であるピークが存在する。なお、このスペクトルは、通常の酸化珪素(SiOx:x=1.0+α)とは全く異なるもので、構造そのものが明らかに異なっているものである。また、透過電子顕微鏡によって、シリコンの結晶が無定形の二酸化珪素に分散していることが確認される。
複合粒子(Si/珪素系化合物)中における珪素微粒子(Si)の分散量は、2〜36質量%、特に10〜30質量%であることが好ましい。この分散珪素量が2質量%未満では、充放電容量が小さくなる場合があり、逆に36質量%を超えるとサイクル性が低下する場合がある。
なお、上記複合粒子は、例えば、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子を、不活性ガス雰囲気下、800〜1,400℃の温度域で熱処理を施して不均化する方法で得ることができる。
炭素被膜形成反応は特に限定されることはないが、熱CVDを使用することが好ましい。熱CVDでは酸化珪素の粉末を炉内にセットした後に、炉内に炭化水素ガスを充満させ炉内温度を昇温させる。そして、炭化水素ガスが熱分解されることにより酸化珪素粒子の表面に炭素膜が形成される。
炭素被膜形成回数は、炭素被膜形成可能な炭化水素雰囲気以外の雰囲気に晒されることで反応回数を区切り、炭素被膜形成可能な炭化水素雰囲気に晒された回数として定義する。すなわち、炭素被膜形成反応後、温度を下げて大気中に晒し、再度昇温し炭素被膜形成雰囲気に晒し、炭素被膜を形成させた場合、炭素被膜形成反応回数は2回となる。また、高温状態のまま炭素被膜形成可能な雰囲気の後に、不活性ガス雰囲気を通過し、再度炭素被膜形成可能な雰囲気を通過するような2段回の反応の場合も、炭素被膜形成反応回数は2回となる。なお、原料として一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子を用いた場合に、化学蒸着法(CVD法)によって不均化反応が進み、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した微細な構造を有する粒子表面が、黒鉛被覆されたものである場合がある。
このとき、炭素源として用いる炭化水素としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、タール留分を、1種単独で又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
脂肪族炭化水素としては、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ブテン、ペンタン、イソブタン、ヘキサン、プロピレン等が挙げられる。これらCnm組成のうち、特に3≧nが好ましい。これは、製造コストが低い上に、熱分解による生成物の物性が良いからである。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ナフタレン、フェノール、クレゾール、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、クマロン、ピリジン、アントラセン、フェナントレン、メシチレンが挙げられる。
タール蒸留工程で得られる留分としては、ガス軽油、クレオソート油、アントラセン油、ナフサ分解タール油等が挙げられる。
有機物ガスを熱分解させ炭素被膜形成する温度は、600〜1,200℃で行うことが好ましく、800〜1,150℃がより好ましく、800〜1,050℃がさらに好ましく、800〜950℃が特に好ましい。被膜形成温度が上記範囲内であれば、優れた負荷特性を有し、かつ高い容量維持率、高い初回効率を示す負極活物質を提供することができる。反応圧力は500〜50,000Paが好ましく、1,000〜10,000Paがより好ましい。なお、処理時間は目的とする炭素被覆量、処理温度、ガス(有機物ガス)の濃度(流速)や導入量等によって適宜選定されるが、通常、最高温度域での滞留時間として1〜100時間、特に1〜50時間、1〜30時間が経済的にも効率的である。
有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応の回数は、2〜4回であり、2〜3回がより好ましい。CVDの回数を複数回とすることで、炭素被膜中に好適な開孔を有し、電池にした際に電解液の保持性が上がるため、電池特性、特に負荷特性の優れた非水電解質二次電池負極活物質となる。
本発明は有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応を2〜4回させることに特徴があるが、1回目の炭素被覆工程において形成される炭素膜厚Anmと、2回目以降の炭素被覆工程において形成される炭素膜厚Bnmとの比を、0.3≦B/A<1.7の範囲にすることができ、0.4≦B/A<1.4の範囲にすることが好ましく、0.4≦B/A≦1.0がさらに好ましい。珪素化合物上の炭素被膜の厚みが上記範囲内であれば、被膜中に空隙を有する炭素被膜をより効率的に作製することができ、負荷特性がより向上する。上記範囲よりも小さい場合、2回目以降の工程においても下地を埋めるのみになってしまい、空隙が効率的に形成されないおそれがある。また、上記範囲よりも大きい場合、形成された空隙を埋めてしまうため、空隙が効率的に形成されないおそれがある。上記のような炭素膜厚にするためには、全炭素膜厚を30〜100nm、好ましくは40〜70nmの範囲で形成させることが好ましく、1回目により形成される炭素膜厚を10〜50nm、好ましくは20〜40nmで制御することが好ましい。同様に、2回目以降に形成される全炭素膜厚は、10〜50nmが好ましく、20〜40nmで制御することが好ましい。なお、上記比率及び膜厚は、熱分解CVD時の、炭化水素種、反応時間を選択することで調整することができる。上記比率及び膜厚は透過型電子顕微鏡TEMで測定する。
[非水電解質二次電池負極活物質]
本願発明の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法は、2〜4回で熱分解工程を行うことにより形成された炭素被膜中に空隙を有することを特徴とする。熱分解工程を複数回に分けて行うことにより、下地となる炭素表面と、さらにその表面に形成される炭素膜との間に空隙が効率的に形成され、この空隙が電解液保持の役割を担う。これにより、電池の特に負荷特性が向上する。この場合、炭素成分による炭素被覆層の少なくとも一部でリチウムイオンの吸蔵放出が行われてもよい。また、本発明の非水電解質二次電池負極材を使用した二次電池を用いた電子機器においても同様の効果が得られる。以下、上記製造方法で得られた非水電解質二次電池負極活物性について説明する。これらの物性は、有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応における、炭化水素種、反応圧力、反応時間を調整することにより、得ることができる。
BET比表面積は、3.3〜7.5m2/gとすることができ、3.6〜7.3m2/gが好ましく、4.3〜6.9m2/gがより好ましい。このようなものであれば、空隙が形成されており、高い負荷特性を有する負極活物質が提供される。BETが低すぎる場合、空隙が少ないため、負荷特性が悪くなるおそれがあり、BETが高すぎる場合、副反応が進行するため、初回効率低下の要因となるおそれがある。なお、BET比表面積は、熱分解CVD時の、炭化水素種、反応圧力、反応時間を選択することで調整することができる。BET比表面積の測定条件は、吸着質:窒素、吸着温度:77Kであり、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製BELSORP−mini等によって測定することができる。
開孔における、窒素ガス吸着法により算出される平均開孔径は、9.8〜26.0nmとすることができ、10.0〜24.0nmが好ましく、15.0〜19.0nmがさらに好ましい。平均開孔径が上記の範囲にある場合、電解液の保持性が良好になるため、負荷特性がより向上する。平均開孔径が小さすぎると、保持性が悪く負荷特性が悪化するおそれがある。また、大きすぎる場合、副反応により初回効率低下の要因になってしまうおそれがある。なお、平均開孔径は、熱分解CVD時の、炭化水素種、反応圧力、反応時間を選択することで調整することがでできる。平均開孔径は、窒素ガス吸着法により得られた等温吸着線のBET法による解析により算出することができる。
開孔における、窒素ガス吸着法により算出される開孔容積は、0.9×10-2〜5.7×10-2cm3/gとすることができ、0.9×10-2〜5.4×10-2cm3/gが好ましく、1.8×10-2〜3.5×10-2cm3/gがより好ましい。開孔容積が上記範囲にある場合、電解液の保持性が良好になるため、負荷特性が向上する。平均開孔径が上記範囲より小さい場合、保持性が悪く負荷特性が悪化するおそれがある。また、大きすぎる場合、副反応により初回効率低下の要因になってしまうおそれがある。なお、開孔容積は、熱分解CVD時の、炭化水素種、反応圧力、反応時間、CVD回数を選択することで調整することができる。開孔容積は、窒素ガス吸着法により得られた等温吸着線のBET法による解析により算出することができる。
非水電解質二次電池負極活物質の炭素被覆量(負極活物質全体に対する炭素量)は、0.5〜19質量%とすることができ、1〜15質量%が好ましく、4〜10質量%がより好ましい。1〜15質量%の範囲で、良好な導電性がとれるため、電池特性がより向上する。少なすぎると、導電性が不十分となるおそれがあり、電池特性の低下の要因になる。また、多すぎると、容量を持たない炭素成分が多くなってしまいSiOxの添加効果が薄れてしまうおそれがある。上記炭素被覆量は、各回の熱分解CVD時の、炭化水素種、反応時間、反応温度をそれぞれ選択することで調整することができる。炭素被覆量は、カーボンアナライザー、例えば堀場製のカーボンアナライザー等で測定することができる。
密度1.5cm3/gに圧縮された時の体積抵抗率は、0.01〜190Ω・cmとすることができ、0.01〜100Ω・cmが好ましい。体積抵抗率が上記範囲にある場合、良好な導電性が取れており、電池特性が向上する。体積抵抗率が小さすぎる場合、電池にした際の導電性が高すぎるため、電荷集中等による短絡等の要因となるため安全性の面で課題となる。一方で体積抵抗率が高すぎる場合、電荷移動の妨げとなり、電池特性に悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。上記体積抵抗率は、各回の熱分解CVD時の、炭化水素種、反応時間、反応温度をそれぞれ選択することで調整することができる。上記密度1.5cm3/gに圧縮された時の体積抵抗率は、抵抗率計、例えば三菱アナリテック社製の抵抗率計等で測定できる。測定条件は、(i)装置例:ロレスタ、(ii)測定方法:4端子4探針法)である。
また、本発明では、ケイ素化合物のSi成分の結晶性は低いほどよく、X線回折により得られるSi(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は1.2°以上であると共に、その結晶面に起因する結晶子サイズは7.5nm以下であることが好ましい。特に、Si結晶の存在を低減する事で、Si結晶の存在による電池特性の悪化を抑制できるからである。
非水電解質二次電池負極活物質(又はその一部に)は、炭化ケイ素を含有していることが好ましい。よりケイ素化合物と炭素被膜の界面を化学結合で固定されるため、充放電時の活物質の膨張収縮による炭素被膜の剥離・脱離等が抑制され、サイクル後も活物質の導電性が確保できるため、容量維持率が向上する。その非水電解質二次電池負極活物質中の含有量は、1.6質量%以下とすることができ、1質量%以下であることが好ましい。下限は0.1質量%が好ましい。炭化ケイ素は絶縁体であり、かつLiを吸蔵しない。そのため、多すぎると、活物質の導電性を下げてしまいおそれがあり、Li移動の妨げにもなってしまう。上記炭化ケイ素量は、各回の熱分解CVD時の、炭化水素種、反応時間、反応温度をそれぞれ選択することで調整することができる。炭化ケイ素量は、カーボンアナライザー、例えば堀場製カーボンアナライザー等で測定することができる。
非水電解質二次電池負極活物質中のトルエンにより抽出される有機物成分の含有量は、50〜1,900ppmとすることができ、50〜1,000ppmが好ましく、80〜800ppmがより好ましい。トルエンにより抽出操作により抽出される有機化合物の含有量が上記範囲よりも少ない場合、良好なSEIが形成できず、電池特性低下の要因となっておそれがある。また、多すぎる場合、副反応により、初回効率の低下要因となってしまうおそれがある。有機物成分の含有量は、非水電解質二次電池負極活物質(珪素化合物表面に炭素被膜が形成されたもの)100gに対してトルエンを500mL加え、密閉容器で常温撹拌させ、その後、溶液をろ過させて、トルエン溶液をロータリーエバポレーター等で濃縮させる。この操作を6回繰り返し、最後に濃縮したものを減圧乾燥器等で100℃/2時間加熱減圧乾燥させ、その後、抽出物の質量を測定し、ケイ素化合物中の有機化合物の割合を算出する。
また、非水電解質二次電池負極活物質粒子の周囲には、珪素化合物よりもメディアン径の小さい粒子状の炭素系化合物を含むことが望ましい。これによって負極活物質粒子間の電気伝導性を向上させることが可能である。この炭素系化合物は、負極活物質粒子との物理的な混合等によって負極活物質粒子の周囲に存在させることができる。
非水電解質二次電池負極活物質粒子のメディアン径は特に限定されないが、0.5μm〜20μmであることが好ましい。これは、充放電時においてリチウムイオンの吸蔵放出がされやすくなると共に、粒子が割れにくくなるからである。0.5μm以上のメディアン径では表面積が大きくなり過ぎず、電池不可逆容量の増大を防止できる。更に、メディアン径が20μm以下であれば、粒子が割れにくく新生面が出にくい。平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定による。
負極結着剤としては、例えば高分子材料、合成ゴム等のいずれか1種類以上が挙げられる。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリアクリル酸、あるいはポリアクリル酸リチウム、カルボキシメチルセルロース等である。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴム、あるいはエチレンプロピレンジエン等である。
負極導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ケチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の炭素材料のいずれか1種以上が挙げられる。
負極活物質層は、本発明の負極材と炭素材料(炭素系負極材)の混合状態で作成してもよい。本発明のケイ素系の負極材に炭素系負極材を混合させることで、負極活物質層の電気抵抗を低減すると共に、充電に伴う膨張応力を緩和する事が可能となる。この炭素系負極材は、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、カーボンブラック類等がある。
さらに、ケイ素化合物のメディアン径Yと炭素系負極材のメディアン径XがX/Y≧1の関係を満たすことが好ましい。このように、Li化合物を含むケイ素化合物及び皮膜層からなる負極材とともに、さらに炭素系負極材を含む負極とすることにより、負極の体積変化による破壊を防止することができる。特にこの効果は、炭素系負極材がケイ素化合物に対して同等以上に大きい場合に効果的に発揮される。
[非水電解質二次電池負極]
本発明の非水電解質二次電池負極活物質(炭素被膜が形成された珪素化合物粒子)を用いた非水電解質二次電池負極について説明する。負極は、負極集電体の上に負極活物質層を有する構成になっている。この負極活物質層は負極集電体の両面、又は、片面だけに設けられていてもよい。さらに、本発明の負極活物質が用いられたものであれば、負極集電体はなくてもよい。
[負極集電体]
負極集電体は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)が挙げられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。
負極集電体は、主元素以外に炭素(C)や硫黄(S)を含んでいることが好ましい。負極集電体の物理的強度が向上するためである。特に、充電時に膨張する活物質層を有する場合、集電体が上記の元素を含んでいれば、集電体を含む電極変形を抑制する効果があるからである。上記の含有元素の含有量は、特に限定されないが、中でも、100ppm以下であることが好ましい。より高い変形抑制効果が得られるからである。
負極集電体の表面は、粗化されていても、粗化されていなくてもよい。粗化されている負極集電体は、例えば、電解処理、エンボス処理、又は化学エッチングされた金属箔等である。粗化されていない負極集電体は例えば、圧延金属箔等である。
負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な複数の負極活物質粒子を含んでおり、電池設計上、さらに負極結着剤(バインダー)や導電助剤等、他の材料を含んでいてもよい。本発明の非水電解質二次電池負極材は、この負極活物質層を構成する材料となる。
[負極の製造方法]
非水電解質二次電池活物質(負極活物質粒子)を用いてスラリーを作製する工程と、スラリーを負極集電体に塗布・乾燥する工程を含む。具体的には、負極活物質粒子と、負極結着剤と、導電助剤等他の材料とを混合し負極合剤としたのち、有機溶剤又は水等を加えてスラリーとする。
次に負極集電体の表面に合剤スラリーを塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成する。この時、必要に応じて加熱プレス等を行ってもよい。
また、負極集電体が炭素及び硫黄を90ppm以下含んでいれば、より高い効果を得ることができる。
[リチウムイオン二次電池]
次に、上記した負極を用いた非水電解質二次電池の具体例として、リチウムイオン二次電池、特にラミネートフィルム型二次電池について説明する。
[ラミネートフィルム型二次電池の構成]
ラミネートフィルム型二次電池は、主にシート状の外装部材の内部に巻回電極体が収納されたものである。この巻回体は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リードが取り付けられ、負極に負極リードが取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
正負極リードは、例えば、外装部材の内部から外部に向かって一方向で導出されている。正極リードは、例えば、アルミニウム等の導電性材料により形成され、負極リードは、例えば、ニッケル、銅等の導電性材料により形成される。
外装部材は、例えば、融着層、金属層、表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムであり、このラミネートフィルムは融着層が電極体と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、又は、接着剤等で張り合わされている。融着部は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のフィルムであり、金属部はアルミ箔等である。保護層は例えば、ナイロン等である。
外装部材と正負極リードとの間には、外気侵入防止のため密着フィルムが挿入されている。この材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂である。
[正極]
正極は、例えば負極と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
正極集電体は、例えば、アルミニウム等の導電性材により形成されている。
正極活物質層は、リチウムイオンの吸蔵放出可能な正極材のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、設計に応じて結着剤、導電助剤、分散剤等の他の材料を含んでいても良い。この場合、結着剤、導電助剤に関する詳細は、例えば既に記述した負極結着剤、負極導電助剤と同様である。
正極材料としては、リチウム含有化合物が望ましい。このリチウム含有化合物は、例えばリチウムと遷移金属元素からなる複合酸化物、又はリチウムと遷移金属元素を有するリン酸化合物があげられる。これら記述される正極材の中でもニッケル、鉄、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上を有する化合物が好ましい。これらの化学式として、例えば、Lix12あるいはLiy2PO4で表される。式中、M1、M2は少なくとも1種以上の遷移金属元素を示す。x、yの値は電池充放電状態によって異なる値を示すが、一般的に0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10で示される。
リチウムと遷移金属元素とを有する複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)等が挙げられる。リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-uMnuPO4(0<u<1))等が挙げられる。これらの正極材を用いれば、高い電池容量が得られるとともに、優れたサイクル特性も得られるからである。
[負極]
負極は、例えば、集電体の両面に負極活物質層を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池として充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができるためである。
正極活物質層は、正極集電体の両面の一部に設けられており、負極活物質層も負極集電体の両面の一部に設けられている。この場合、例えば、負極集電体上に設けられた負極活物質層は対向する正極活物質層が存在しない領域が設けられている。安定した電池設計を行うためである。
非対向領域、すなわち、上記の負極活物質層と正極活物質層とが対向しない領域では、充放電の影響をほとんど受けることが無い。そのため負極活物質層の状態が形成直後のまま維持される。これによって負極活物質の組成等、充放電の有無に依存せずに再現性良く組成等を正確に調べることができる。
[セパレータ]
セパレータは正極、負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有してもよい。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。
[電解液]
活物質層の少なくとも一部、又は、セパレータには、液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤等他の材料を含んでいてもよい。
溶媒は、例えば、非水溶媒を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、1,2−ジメトキシエタン又はテトラヒドロフラン等が挙げられる。この中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種以上を用いることが望ましい。より良い特性が得られるからである。またこの場合、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の高粘度溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の低粘度溶媒を組み合わせることにより、より優位な特性を得ることができる。電解質塩の解離性やイオン移動度が向上するためである。
溶媒添加物として、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時に負極表面に安定な被膜が形成され、電解液の分解反応が抑制できるからである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルとして、例えば炭酸ビニレン又は炭酸ビニルエチレン等が挙げられる。
また溶媒添加物として、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電池の化学的安定性が向上するからである。スルトンとしては、例えばプロパンスルトン、プロペンスルトンが挙げられる。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。酸無水物としては、例えば、プロパンジスルホン酸無水物が挙げられる。
電解質塩は、例えば、リチウム塩等の軽金属塩のいずれか1種類以上含むことができる。リチウム塩として、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)等が挙げられる。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.5mol/kg以上2.5mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[ラミネートフィルム型二次電池の製造方法]
負極と、正極とを、セパレータを介して積層又は巻回させて巻回体を成型する工程と、前記巻回体をフィルムに封入し、電解液を投入し、真空含浸させる工程と、前記フィルムを融着させる工程を含む。具体的には下記に示す。
最初に上記した正極材を用い正極電極を作製する。まず、正極活物質と、必要に応じて結着剤、導電助剤等を混合し正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させ正極合剤スラリーとする。続いて、ナイフロール又はダイヘッドを有するダイコーター等のコーティング装置で正極集電体に合剤スラリーを塗布し、熱風乾燥させて正極活物質層を得る。最後に、ロールプレス機等で正極活物質層を圧縮成型する。この時加熱してもよい。
次に、上記したリチウムイオン二次電池用負極の作製と同様の作業手順を用い、負極集電体に負極活物質層を形成し負極を作製する。
正極及び負極を作製する際に、正極及び負極集電体の両面にそれぞれの活物質層を形成する。この時、どちらの電極においても両面部の活物質塗布長がずれていてもよい。
続いて、電解液を調製する。超音波溶接等により、正極集電体に正極リードを取り付けると共に、負極集電体に負極リードを取り付ける。続いて、正極と負極とをセパレータを介して積層、又は巻回させて巻回電極体を作製し、その最外周部に保護テープを接着させる。次に、扁平な形状となるように巻回体を成型する。続いて、折りたたんだフィルム状の外装部材の間に巻回電極体を挟み込んだ後、熱融着法により外装部材の絶縁部同士を接着させ、一方向のみ解放状態にて、巻回電極体を封入する。正極リード、及び負極リードと外装部材の間に密着フィルムを挿入する。解放部から上記調整した電解液を所定量投入し、真空含浸を行う。含浸後、解放部を真空熱融着法により融着させる。以上のようにして、ラミネートフィルム型二次電池を製造することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1−1]
以下の手順により、ラミネートフィルム型の二次電池を作製した。
最初に正極を作製した。正極活物質はコバルト酸リチウム(LiCoO2)を95質量部と、正極導電助剤2.5質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVDF)2.5質量部とを混合し正極合剤とした。続いて、正極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン、以下NMPとも呼ぶ)に分散させてペースト状のスラリーとした。続いて、ダイヘッドを有するコーティング装置で正極集電体の両面にスラリーを塗布し、熱風式乾燥装置で乾燥した。この時正極集電体は厚み15μmのものを用いた。最後に、ロールプレスで圧縮成型を行った。
次に、以下に説明するように負極を作製した。
まず、本発明の負極材に含まれる負極活物質粒子は以下のように作製した。
初めに、金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料を反応炉へ設置し、10Paの真空度の雰囲気中で気化させたものを吸着板上に堆積させ、十分に冷却した後、堆積物を取出しボールミルで粉砕した。粒径を調整した後、得られた酸化珪素の粉末を炉内にセットした後に、炉内に炭化水素ガスを充満させ炉内温度を昇温させた。メタンが熱分解されることにより酸化珪素粒子の表面に炭素膜が形成される。炉内温度は1,000℃・2,000Paで、1回の時間は10時間であった。反応終了後、温度を400℃に下げて大気中に晒して、再度上記と同じ方法で炭素被膜を形成した。
このとき、負極活物質粒子は、SiOxで表されるケイ素化合物のxの値が0.9であり、ケイ素化合物のメディアン径D50は4μmであった。また、炭素被覆層の被覆量が、ケイ素化合物と炭素被覆層の合計に対し、5質量%であった。
続いて、負極活物質粒子と天然黒鉛を10:90の質量比で配合した。配合した活物質材、炭素系導電助剤、炭素系導電助剤、負極結着剤(ポリイミド)の前駆体とを80〜83:10:2:5〜8の乾燥重量比で混合したのち、NMPで希釈してペースト状の負極合剤スラリーとした。この場合には、ポリアミック酸の溶媒としてNMPを用いた。続いて、コーティング装置で負極集電体の両面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させた。この負極集電体としては、電解銅箔(厚さ=15μm)を用いた。最後に、真空雰囲気中で400℃×1時間焼成した。これにより、負極結着剤(ポリイミド)が形成される。
次に、溶媒(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC))を混合したのち、電解質塩(六フッ化リン酸リチウム:LiPF6)を溶解させて電解液を調製した。この場合には、溶媒の組成を堆積比でFEC:EC:DMC=10:20:70とし、電解質塩の含有量を溶媒に対して1.2mol/kgとした。
次に、以下のようにして二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体の一端にアルミリードを超音波溶接し、負極集電体にはニッケルリードを溶接した。続いて、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順に積層し、長手方向に巻回させ巻回電極体を得た。その捲き終わり部分をPET保護テープで固定した。セパレータは多孔性ポリプロピレンを主成分とするフィルムにより多孔性ポリエチレンを主成分とするフィルムに挟まれた積層フィルム12μmを用いた。続いて、外装部材間に電極体を挟んだのち、一辺を除く外周縁部同士を熱融着し、内部に電極体を収納した。外装部材はナイロンフィルム、アルミ箔及び、ポリプロピレンフィルムが積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。続いて、開口部から調整した電解液を注入し、真空雰囲気下で含浸した後、熱融着し封止した。
得られた負極活物質粒子(炭素被覆されたケイ素化合物)について、下記評価を行った。
[BET比表面積]
2ガス吸着量によって評価するBET1点法、BET比表面積の測定条件は、吸着質:窒素、吸着温度:77Kであり、マイクロトラック・ベル株式会社製BELSORP−mini等によって測定した。
[平均開孔径、開孔容積]
窒素ガス吸着法により得られた等温吸着線のBET法による解析により算出した。
[炭素被覆量、炭化ケイ素の含有量]
堀場製カーボンアナライザーで測定した。
[密度1.5cm3/gに圧縮された時の体積抵抗率]
三菱アナリテック社製の抵抗率計で測定した(測定条件(i)装置例:ロレスタ、(ii)測定方法:4端子4探針法)
[炭素膜厚]
炭素被覆されたケイ素化合物を樹脂包埋し、FIBにより薄膜化し透過型電子顕微鏡を用いて、30個の粒子の炭素膜厚を測定し、その平均値を用いた。
電池について、下記評価を行った。
[サイクル特性]
サイクル特性については、以下のようにして調べた。最初に電池安定化のため25℃の雰囲気下、2サイクル充放電を行い、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて総サイクル数が100サイクルとなるまで充放電を行い、その都度放電容量を測定した。最後に100サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割り、%表示のため100を掛け、容量維持率(以下では単に維持率と呼ぶ場合もある)を算出した。サイクル条件として、4.2Vに達するまで0.2Cの電流値で充電し、4.2Vの電圧に達した段階で4.2V定電圧で0.05Cの電柱値に達するまで充電した。また放電時は0.2Cの電流値で電圧が2.5Vに達するまで放電した。
[容量維持率(%)、初回効率(%)、負荷特性]
初回充放電特性は、初回効率(以下では初期効率と呼ぶ場合もある)を算出した。初回効率は、初回効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100で表される式から算出した。雰囲気温度は、サイクル特性を調べた場合と同様にした。充放電条件はサイクル特性の0.2倍で行った。
負荷特性は、前記の初期放電容量測定後に、初期容量測定時と同条件で定電圧充電を行った。続いて、充電後の各電池を、4Cの電流値で、電圧が2.5Vになるまで放電させて、その時の容量(4C容量)を測定した。そして各電池について、4C容量を初期容量で割り、%表示のため100をかけ、容量維持率を算出した。この容量維持率が高いほど、電池の負荷特性が優れていることを意味する。
[実施例1−2〜1−4、比較例1−1〜1−3]
実施例1−2反応圧力を1,500Paにする以外は実施例1−1と同様にして、それ以外は、熱分解CVD(機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応)の回数を下記表のようにする以外は実施例1−1と同様にして、炭素被覆されたケイ素化合物(負極活物質粒子)を得た。
Figure 2017168406
熱分解CVD工程を2〜4回行うことで、容量維持率・初回効率が高く、優れた負荷特性を示した。工程を複数回行うことによって、炭素膜中に空隙が形成され、電解液の保持性が向上したため、導電性が向上したことに由来すると考えられる。1回の工程では、炭素膜中に空隙は形成されにくいため、上記のような効果は見られない。5回以上行ってしまうと負荷特性は低下した。空隙が多くなってしまい、副反応による表面堆積物の影響によるものと考えられる。
[実施例2−1〜2−8]
熱分解CVD時の、炭化水素種、反応圧力、反応時間を以下のようにする以外は、実施例1−1と同様にして、炭素被覆されたケイ素化合物(負極活物質粒子)を得た。実施例1−1の結果を併記する。
Figure 2017168406
Figure 2017168406
BET比表面積を3.6〜7.3m2/gの範囲で制御することにより、容量維持率、初回効率及び負荷特性が全て向上した。BET比表面積が7.3以上では、負荷特性が向上するが、表面での副反応起因により初回効率が低下する傾向にある。
[実施例3−1〜3−3]
熱分解CVDにおける反応時間を以下のようにする以外は、実施例1−1と同様にして、炭素被覆されたケイ素化合物(負極活物質粒子)を得た。実施例1−1の結果を併記する。
Figure 2017168406
Figure 2017168406
炭素被覆量が少ない場合、導電性が足りないため電池特性は低下する傾向にある。また炭化ケイ素量が少ない場合、SiOxと炭素被膜が化学的な結合を形成し、充放電における活物質の膨張収縮由来の炭素被膜の剥離等を抑制する効果が少なくなるため、容量維持率が低下してしまう。一方で、炭素被覆量が15質量%よりも多い場合、導電性は十分に確保できるがSiOの容量メリットが低下してしまうため現実的ではない。また炭化ケイ素が1質量%よりも多い場合、今度は炭化ケイ素が抵抗成分となってしまうため電池特性の妨げとなってしまうおそれがある。以上から、炭素量は1〜15質量%、体積抵抗率は0.01〜100Ω・cm以下、炭化ケイ素は1質量%以下とすることで、容量維持率、初回効率及び負荷特性が全て向上した。
[実施例4−1〜4−6]
熱分解CVD時の、炭化水素種、反応時間を以下のようにする以外は、実施例1−1と同様にして、炭素被覆されたケイ素化合物(負極活物質粒子)を得た。実施例1−1の結果を併記する。
Figure 2017168406
Figure 2017168406
B/Aは、0.4〜1.4の範囲で制御することで、容量維持率、初回効率及び負荷特性が全て向上した。
[実施例5−1〜5−4]
熱分解CVD時の反応温度を以下のようにする以外は、実施例1−1と同様にして、炭素被覆されたケイ素化合物(負極活物質粒子)を得た。実施例1−1の結果を併記する。
Figure 2017168406
Figure 2017168406
反応温度を変えても、複数回熱分解CVDを行うことにより良好な電池特性が得られた。特に、800℃、900℃の低温条件では容量維持率、負荷特性の向上がみられ、1,100℃、1,200℃の高温条件では初回効率の向上がみられた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (19)

  1. 珪素化合物(SiOx:0.5≦x<1.6)からなる粒子表面に、有機物ガスを熱分解させる炭素被膜形成反応を2〜4回行う工程を含む、上記珪素化合物からなる粒子表面に炭素被膜が形成され、その炭素被膜中に開孔を有する非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  2. 非水電解質二次電池負極活物質の窒素ガス吸着法によるBET比表面積が、3.3〜7.5m2/gであることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  3. 非水電解質二次電池負極活物質の窒素ガス吸着法によるBET比表面積が、3.6〜7.3m2/gであることを特徴とする請求項2記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  4. 窒素ガス吸着法により算出される上記開孔の平均開孔径が、9.8〜26.0nmである請求項1〜3のいずれか1項記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  5. 窒素ガス吸着法により算出される上記開孔の開孔容積が、0.9×10-2〜5.7×10-2cm3/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の非水解質二次電池負極活物質。
  6. 非水電解質二次電池負極活物質の炭素被覆量が、0.5〜19質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  7. 炭素被覆量が、1〜15質量%である請求項6記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  8. 非水電解質二次電池負極活物質の密度1.5cm3/gに圧縮された時の体積抵抗率が
    0.01〜190Ω・cmである請求項1〜7のいずれか1項記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  9. 体積抵抗率が、0.01〜100Ω・cmである請求項8記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  10. 非水電解質二次電池負極活物質が、炭化ケイ素を含有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  11. 非水電解質二次電池負極活物質中の炭化ケイ素の含有量が、1.6質量%以下であることを特徴とする請求項10記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  12. 炭化ケイ素の含有量が1質量%以下である請求項11記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  13. 1回目の炭素被覆工程において形成される炭素膜厚Anmと、2回目以降の炭素被覆工程において形成される炭素膜厚Bnmとの比が、0.3≦B/A<1.7である、請求項1〜12のいずれか1項記載の非水電解質二次電池活物質の製造方法。
  14. 上記比が、0.4≦B/A<1.4であることを特徴とする請求項13に記載の非水電解質二次電池活物質の製造方法。
  15. 炭素被膜形成反応において、熱分解温度が600℃〜1,200℃である請求項1〜14のいずれか1項記載の非水電解質二次電池負極活物質の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項記載の製造方法で得られた非水電解質二次電池活物質を用いることを特徴とする、非水電解質二次電池負極の製造方法。
  17. 請求項1〜15のいずれか1項記載の製造方法で得られた非水電解質二次電池活物質を用いてスラリーを作製する工程と、スラリーを負極集電体に塗布・乾燥する工程を含む非水電解質二次電池負極の製造方法。
  18. 請求項16又は17の製造方法で得られた負極を用いることを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  19. 請求項16又は17の製造方法で得られた負極と、正極とを、セパレータを介して積層又は巻回させて巻回体を成型する工程と、前記巻回体をフィルムに封入し、電解液を投入し、真空含浸させる工程と、前記フィルムを融着させる工程を含む非水電解質二次電池の製造方法。
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