JP2017170435A - 分離膜及び分離方法 - Google Patents

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Mikihiro Nomura
幹弘 野村
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Abstract

【課題】高い水素透過性及び透水性を有する分離膜の提供。
【解決手段】多孔質基材と、多孔質基材の細孔中に形成された緻密層とから構成される分離膜であって、緻密層中にアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、又はアミノプロピルジエトキシメチルシランが固定されており、多孔質基材の一方からオゾンを供給し、多孔質基材の他方からアミノ基を有するアルコキシシランを供給する対向拡散化学蒸着法により240〜500℃の温度で製膜する分離膜。前記分離膜は水素又は硫酸を分離する機能を有する分離膜。
【選択図】図6

Description

本発明は、高い水素透過性及び高い透水性を有する分離膜、及び上記分離膜を用いた分離方法に関する。
分離膜の開発では、薄膜化と均質性の2点が重要である。薄膜化することで膜の機械的強度が低下するため、機械的強度を保つために多孔質基材と複合化させた非対称膜の開発が進められている。無機分離膜の開発では、多孔質基材としてアルミナ基材が用いられることが多い。製膜方法は、ゼオライト膜などに用いられる水熱合成法、液相コーティング法であるゾルゲル法などが検討されているが、ここでは化学蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)法に注目した。
本発明者らは、対向拡散CVD法により、各種シリカ膜の開発を行っている。対向拡散CVD法では、多孔質基材の両側より、2種の反応原料を蒸気やガスなど気相として供給する。反応種と蒸着条件を適切に選択することで、基材細孔中にシリカ薄膜など目的物を蒸着させる。蒸着物により原料の供給が制限され、反応が自動的に終了するので、均質な薄膜が得られる。アモルファスシリカ中では、水素やヘリウムなど小さな分子の拡散係数が大きいことより、水素選択透過膜として開発が行われてきた(非特許文献1及び2)。シリカ源としてテトラメトキシシラン、酸化剤としてO2を用い、600℃にて蒸着することでH2透過率8.8×10-8 mol m-2-1Pa-1、H2/N2透過率比1160と、水素選択透過性を示すシリカ膜が得られる。この膜は、500℃の水蒸気雰囲気下でも透過選択性が低下しない。しかし、この様な純粋なアモルファスシリカの蒸着では、細孔径が3Å程度で変化しないので、得られた膜は水素選択透過性を示し、様々な分離系に適用するのは容易ではない。
水素は分子径が小さいので、分子のサイズで分離を行う分子ふるい機構で様々な分子の分離を行うためにはアモルファスシリカ層の細孔径制御技術を検討する必要がある。アモルファスシリカ層のSi原子に直接結合した形で炭素や有機官能基を導入する方法が検討されている。例えば、ゾルゲル法で作製したシリカ膜では、シリカ源としてビストリエトキシシリルエタンを用い、アモルファスシリカネットワークの−Si−O−リング中に−C−C−結合を導入した(非特許文献3)。各種ガス透過試験結果より、細孔径が4Å程度と大きくなっていることが示唆された。
一方、対向拡散CVD法では、シリカ源として−Si−C−結合をもつプロピルトリメトキシシラン(PrTMOS)を用いて製膜を行うことが報告されている(非特許文献4及び5)。得られた膜のN2/SF6透過率比が30となったことより、膜の細孔径もN2とSF6の分子径の間である4Å程度と推測される。いずれの膜においてもSiに直接結合した有機物を導入することで細孔径を制御できる可能性が示唆される。さらに、300℃程度の高温の透過試験においても選択性を保っており、従来の高分子膜では使用できないような高温透過試験も可能であった。
特許文献1には、置換されていてもよいアリール基を有するトリメトキシシランを基材に供給して製膜することによって得られる膜からなる、逆浸透酸分離膜が記載されている。特許文献2には、ジフェニルジメトキシシランを基材に供給して60℃〜400℃の蒸着温度で製膜することによって得られる膜からなる、芳香族化合物又は酸の分離膜が記載されている。
Nomura, M., K. Ono, S. Gopalakrishnan, T. Sugawara and S. Nakao; J. Membr. Sci., 251, 151-158 (2005) Nomura M, Aida H, Nakatani K, Gopalakrishnan S, Sugawara T, Nakao S, Seshimo M, Ishikawa T, Kawamura M: Ind. Eng. Chem. Res., 45 3950-3954 (2006) Kanezashi M, Yada K, Yoshioka T, Tsuru T: J. Membr. Sci., 348 310-318 (2010) Nomura, M., T. Nagayo and K. Momma; J. Chem. Eng. Jpn., 40(13), 1235-1241 (2007) Nomura, M., K. Momma, Y. Negishi, E. Matsuyama and S. Kimura; ' Desalin. Water Treat., 17, 288-293 (2010)
特開2015−166081号公報 特開2016−10759号公報
従来は、シリカ系膜のシリカ源としては、直鎖のアルキル基をもつシラン、フェニルトリメトキシシラン又はジフェニルジメトキシシランなどが用いられていたが、水素選択透過性についてさらに改善の余地があった。本発明の課題は、高い水素透過性及び透水性を有する分離膜を提供することである。本発明の更に別の課題は、上記の分離膜を用いた物質の分離方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決することを目的として、対向拡散CVD法による製膜の際に、シリカ源に炭素のみでなく窒素を含有するアミノ基を導入することによって、高い水素透過性及び透水性を有する分離膜を製造できることを見出した。本発明は上記知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明の態様は以下に関する。
(1) 多孔質基材と、前記多孔質基材の細孔中に形成された緻密層とから構成される分離膜であって、前記緻密層中に窒素が含有されている、分離膜。
(2) 前記緻密層に、ケイ素原子と窒素原子とを含む化合物が固定されている、(1)に記載の分離膜。
(3) 前記緻密層に、ケイ素原子とアミノ基を有する化合物が固定されている、(1)又は(2)に記載の分離膜。
(4) 前記緻密層に、アミノアルキル基を有するアルコキシシランが固定されている、(1)から(3)の何れか一に記載の分離膜。
(5) 前記緻密層に、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、又はアミノプロピルジエトキシメチルシランが固定されている、(1)から(4)の何れか一に記載の分離膜。
(6) 水素又は硫酸を分離するための膜である、(1)から(5)の何れか一に記載の分離膜。
(7) アミノ基を有するアルコキシシランを多孔質基材に供給して製膜することを含む、(1)から(6)の何れか一に記載した分離膜の製造方法。
(8) 多孔質基材の一方からオゾンを供給し、多孔質基材の他方からアミノ基を有するアルコキシシランを供給する対向拡散化学蒸着法により製膜を行う、(7)に記載の方法。
(9) 製膜における蒸着温度が240〜500℃である、(7)又は(8)に記載の方法。
(10) (1)から(6)の何れか一に記載の分離膜を用いて、水素又は硫酸を分離する方法。
本発明の分離膜は、高い水素透過性及び高い透水性を有することにより、様々な目的の分離膜として有用である。
図1は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APrTEOS)加水分解粉末のFT−IR(フーリエ変換赤外吸光測定)測定の結果を示す。 図2は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APrTMOS)加水分解粉末のIR分析の結果を示す。 図3は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APrTMOS)加水分解粉末の昇温脱離法による熱分解挙動を示す。 図4は、TG(熱重量測定)による、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APrTMOS)加水分解粉末、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APrTEOS)加水分解粉末及び3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン(APrMDEOS)加水分解粉末の熱分解挙動を示す。 図5は、CVD・気体透過試験装置を示す。 図6は、膜構造の模式図を示す。 図7は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APrTEOS)で作製した分離膜、及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APrTEOS)で作製した分離膜のガス透過性試験の結果を示す。 図8は、透水試験装置を示す。 図9は、蒸着温度400℃で製膜した膜を用いた100ppm酸透水試験(4MPa)における全透過流量と阻止率の関係を示す。 図10は、蒸着温度400℃で製膜した膜を用いた100ppm酸透水試験における操作圧力と全透過流量の関係、操作圧力と阻止率の関係を示す。 図11は、蒸着温度360℃、400℃、450℃、又は480℃で製膜した膜を用いた100ppm酸透水試における全透過流量と阻止率の関係を示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の分離膜は、多孔質基材と、前記多孔質基材の細孔中に形成された緻密層とから構成される分離膜であって、前記緻密層中に窒素が含有されている分離膜である。
緻密層には、ケイ素原子と窒素原子とを含む化合物が固定されている。ケイ素原子と窒素原子とを含む化合物としては、ケイ素原子とアミノ基を有する化合物を挙げることができ、さらに具体的にはアミノアルキル基を有するアルコキシシランを挙げることができる。
アミノアルキル基におけるアルキル部分の炭素数の数は特に限定されないが、一般的には炭素数1から6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1から4のアルキルである。アミノアルキル基の一例としては、アミノプロピル基が挙げられる。
上記化合物におけるアミノ基の個数は特に限定されず、上記化合物は、1個、又は2個以上の複数のアミノ基を有していてもよい。
アミノアルキル基とは、アルキル鎖上に1個のアミノ基を有する基、又はアルキル鎖上に2個以上(例えば、2個又は3個など)のアミノ基を有する基の何れでもよい。また、アミノアルキル基を有するアルコキシシランとしては、1個のアミノアルキル基を有するアルコキシシラン、又は2個以上(例えば2個、又は3個など)のアミノアルキル基を有するアルコキシシランの何れでもよい。
また、上記のアミノ基は、窒素原子上の水素原子が1個又は2個のアルキル基(好ましくは炭素数1から6、より好ましくは炭素数1から4のアルキル基)で置換されていてもよい。即ち、アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、又はジエチルアミノ基などでもよい。
アミノアルキル基を有するアルコキシシランの具体例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、及びアミノプロピルジエトキシメチルシランなどを挙げることができるが、特に限定されない。
多孔質基材としては、アミノ基を有するアルコキシシランを製膜できるものであれば特に限定されないが、多孔質セラミック基材が好ましく、例えば、多孔質セラミック基材の材料として、好ましくは、アルミナ(γ−アルミナ等)、シリカ、シリカ―ジルコニア、シリカ−ニッケル、シリカ−銅、シリカ−コバルト、アルミナ−酸化ガリウム、アルミナ−酸化ランタン、アルミナ−酸化ランタン−酸化ガリウムなどを使用することができる。
多孔質γ−アルミナキャピラリーを使用する場合、平均細孔直径は、好ましくは1〜100nmであり、より好ましくは1〜10nmである。ここで、平均細孔直径は市販のパームポロメーターで測定することができる。
本発明によれば、アミノ基を有するアルコキシシランを多孔質基材に供給して製膜することを含む、上記した本発明の分離膜の製造方法が提供される。
本発明における製膜の方法は特に限定されないが、好ましくは対向拡散CVD法により製膜を行うことができる。対向拡散CVD法によれば、アミノ基を有するアルコキシシランを基材に均質に蒸着することができる。対向拡散CVD法は、2種の反応種を基材の両側より供給する方法である。基材の細孔を閉塞するように、シリカ膜が製膜される。蒸着したシリカにより原料の拡散が制御されるので、均質な処理が可能となり、これにより均質なシリカ膜を製膜することができる。
本発明の一例としては、多孔質γ−アルミナキャピラリーなどの多孔質基材の一方からオゾンを供給し、多孔質基材の他方からアミノ基を有するアルコキシシランを供給することにより、対向拡散CVD法による製膜を行うことができる。
上記した製膜におけるアミノ基を有するアルコキシシランの蒸着温度は好ましくは60℃〜500℃であり、より好ましくは150〜500℃であり、さらに好ましくは180〜500℃であり、より好ましくは240〜500℃である。また、水素を分離するための膜の場合には、蒸着温度は、60℃〜400℃であり、より好ましくは150〜400℃であり、さらに好ましくは180〜400℃であり、より好ましくは240〜360℃である。硫酸を分離するための膜の場合には、蒸着温度は、好ましくは300〜500℃であり、より好ましくは360〜500℃であり、さらに好ましくは400〜500℃であり、特に好ましくは400〜480℃である。
本発明の分離膜を用いて分離する物質は特に限定されないが、例えば、水素、SF6、O2、CO、CO2、炭化水素類(例えば、炭素数1から6の飽和又は不飽和炭化水素類)、芳香族化合物、又は食塩(NaCl)などを挙げることができる。芳香族化合物の種類は特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどを挙げることができる。酸の種類は特に限定されず、無機酸又は有機酸の何れでもよく、強酸又は弱酸の何れでもよい。無機酸の例としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、フルオロスルホン酸、リン酸又はホウ酸などを挙げることができるが特に限定されない。有機酸の例としては、酢酸、シュウ酸、ギ酸、プロピオン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フェノールスルホン酸等が挙げられるが、特に限定されない。上記の中でも、分離する物質としては、水素又は硫酸が好ましい。
本発明によれば、上記した本発明の分離膜を用いて、水素又は硫酸を分離する方法が提供される。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。
実施例1:
<アミノ基を有するアルコキシシラン>
本実施例では、アミノ基を有するアルコキシシラン(以下、シリカ源とも言う)として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APrTMOS又はAPMSとも称する)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APrTEOS又はAPESとも称する)、及び3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン(APrMDEOS又はAPEMSと称する)を使用した。各化合物の構造を以下に示す。
<加水分解粉末>
シリカ源:H2O:NaOH=1:50:0.5のモル比、シリカ源:H2O:HCl=0.3:20:15のモル比、又はシリカ源:H2O=1:50のモル比で、60℃にて4.5時間撹拌後、シリカ加水分解物を得た。120℃にて5時間乾燥した後に以下の分析を行った。
<有機物分解挙動(IR測定)>
シリカ加水分解粉末の有機物の分解挙動をFT−IRを用いて、KBr錠剤法で測定した。シリカ上の有機物の残存量の目安をIRのピークから確認している。使用したIRは島津製作所製、FTIR−8400Sである。直径3mm石英管中に0.1g程度の加水分解粉末を導入し、300℃に保つ。O3(95g m-3)流量を0.2L/minにて90min処理した。処理後、得られた試料とKBrの重量を1:100となるように混合し、35kNにてタブレットを作製し、IR測定した。
APrTEOS加水分解粉末についてのFT−IR測定の結果を図1に示す。
また、APrTMOS加水分解粉末についてのFTIR測定結果を図2に示す。APrTMOS加水分解粉末のFTIRより、1600cm-1付近のピークが見られたことから、300℃でもアミノ基は残存していることが確認された。
<TPD>
シリカ源加水分解物の熱分解挙動を昇温脱離法(BELCAT、日本ベル製)で測定し、質量分析(BEL−mass、日本ベル製)した。昇温速度5℃ min-1、キャリアガスとしてHe30mL min-1で行った。
APrTMOS加水分解粉末の昇温脱離法による熱分解挙動の測定結果を図3に示す。
<TG>
TGA−50(島津製作所)に、窒素ガスを50ml/minにて供給する。あらかじめ測定した試料をアルミセルにのせ、試料皿に乗せる。昇温速度は5℃/minにて測定した。
APrTMOS加水分解粉末、APrTEOS加水分解粉末及びAPrMDEOS加水分解粉末の熱分解挙動を図4に示す。APrTMOSはAPrTMOSよりも分解開始温度が約50℃低かった。APrMDEOSは、アミノプロピル基とメチル基をもっている。構造中にエトキシ基が2つであり、DPhDMOSのように線状構造のシリカネットワークを有すると考えられる。そのため、分解開始温度が他2つのプリカーサーよりも低いといえる。
<化学蒸着(CVD)>
図5にCVD・透過試験装置図を示す。CVD・透過試験装置図は、O3発生器(ZOS−YB−20G)、リアクター(膜モジュール)、電気炉、リボンヒーター、温度調節器、ガス供給・制御部分、バブラー、石鹸膜計、圧力センサー、真空ポンプ、コールドトラップにより構成されている。配管にはSUSを用いた。
多孔質(アルミナ多孔質基材:外径2.9mm、内径2.3mm、有効膜長さ40mm)をO−ringを用いてモジュールに設置する。リアクター、リボンヒーターの温度を温度調節器(温調)で設定し、昇温する。バブラーの温度を温調で設定し、昇温する。温度が上がったらN2 0.2 L min-1をシリカ源バブラーへ導入し、膜モジュールの基材外側に供給する。O3発生器よりO3流量0.2L min-1として、膜モジュールの基材内側に供給し、90min後、N2、O3の供給を止める。
製造した膜の構造の模式図を図6に示す。
緻密層の厚さは、約0.1μm程度である。アルミナ多孔質基材の気孔率が約30%なので、緻密層部分のモル濃度は0.03%以下となる。緻密層は、シリカ、炭素、及び窒素から構成されている。
<単成分H2、N2、SF6ガス透過試験>
上記で得られた膜をO−ringを用いてモジュールに設置する。測定温度は蒸着温度である。蒸着温度が270℃以上の場合は、270℃にて透過試験を行う。透過率が10-8 mol m-2-1 Pa-1以上の場合は石鹸膜流量法にて測定した。膜を透過したガスの量を、10 mLメスピペットで測定した。透過率が10-8 mol m-2-1 Pa-1以下の場合は、圧力変化法にて測定した。透過試験ガスを大気圧にて膜の外側に供給し、透過側(膜の内側)を真空ポンプで減圧する。真空ポンプを遮断後に、透過したガスの圧力をバラトロン真空計で測定した。
ガス透過試験の測定結果を図7に示す。
蒸着温度250℃以上のAPrTEOS膜で、約10-6mol m-2-1Pa-1と非常に高い水素透過性が得られた。APrTEOSの320℃蒸着膜において、H2/SF6透過率比と最大値24,000が得られた。
実施例2:
<膜の製造>
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APrTMOS)を用いて以下の条件を用いること以外は、実施例1と同様にして膜を製造した。
蒸着温度360℃、400℃、450℃、又は480℃
蒸着時間90分
2流量0.2 L min-1
2流量0.3 L min-1
<硫酸逆浸透分離試験>
膜の逆浸透性能の評価として、硫酸による逆浸透試験を行った。
酸透水試験を行い、得られた透過液と供給液の水素イオン濃度をそれぞれ測定し、硫酸イオン阻止率の算出を行った。逆浸透試験は図8に示す装置を用いて行った。液体クロマトグラフィ用高圧ポンプ(LC-20AD、島津製作所製)を使用し、背圧弁により圧力差を調節し、供給液が循環するようにした。
(1)酸透水試験
100mg/L 硫酸溶液を調製し、供給液とした。供給液は500mLビーカーに入れ、濃度勾配が一定になるよう300(280〜320)rpmで常に撹拌する。
膜の代わりに無孔ガラス管を入れ、ポンプを稼働し、供給液を5min程度循環させ、装置内の硫酸濃度を一定にする。循環後、供給液を50mL分取する。スクリュー管の重量を精密電子天秤で測定する。無孔ガラス管を測定する膜に取り換える。ポンプを稼働し、供給量10.0mL/分とし、差圧を背圧弁により1.5〜6.0 MPaに調節する。差圧の調整はゆっくりと行い、膜が破損しないようにする。特に、4.0 MPa以降で圧力を調節する際は注意する。1滴目が透過した時間を測定開始時間とし、スクリュー管は透過液が中に入るよう設置した。スクリュー管に透過液が1mL(水素イオン濃度が測定できる体積)以上溜まったら、スクリュー管を交換、もしくは測定を終了する。測定終了時間は、透過液が1滴落ちた瞬間とする。背圧弁を調節し、圧力を0MPaまで下げ、ポンプの稼働を止める。供給液を50mL分取する。膜を取り出し、無孔ガラス管に入れ替える。供給側に純水400mLを入れたビーカー、透過側に空のビーカーを用意する。ポンプを稼働し、純水を循環させ、装置を洗浄する。
(2)イオンメーターによる硫酸濃度の測定
供給液、透過液の硫酸濃度を測定するために、pH・導電率計(PCWP10、AS ONE株式会社製)を使用した。硫酸濃度の測定手順を以下に示す。供給液、透過液をそれぞれ、1.00 mL分取し、純水49.0 mLを加え希釈した。この溶液にpH・導電率計を浸し、pHを測定した。測定値は1分おきに記録し、3点の平均値を硫酸水溶液のpHとした。測定値の差は0.01以内に収まるようにした。
<測定結果>
蒸着温度400℃で製膜した膜を用いた100ppm酸透水試験の結果を図9及び図10に示す。図10の結果から、阻止率は約90%であり、操作圧力と全透過流量はほぼ比例していることが分かる。本発明の分離膜を用いて、硫酸を分離できることが示された。
蒸着温度360℃、400℃、450℃、又は480℃で製膜した膜を用いた100ppm酸透水試験の結果を図11に示す。何れの膜でも60%以上の阻止率を達成することができ、硫酸を分離できることが示された。上記の中でもする蒸着温度が400℃以上の膜は、より高い阻止率を達成することができる。

Claims (10)

  1. 多孔質基材と、前記多孔質基材の細孔中に形成された緻密層とから構成される分離膜であって、前記緻密層中に窒素が含有されている、分離膜。
  2. 前記緻密層に、ケイ素原子と窒素原子とを含む化合物が固定されている、請求項1に記載の分離膜。
  3. 前記緻密層に、ケイ素原子とアミノ基を有する化合物が固定されている、請求項1又は2に記載の分離膜。
  4. 前記緻密層に、アミノアルキル基を有するアルコキシシランが固定されている、請求項1から3の何れか一項に記載の分離膜。
  5. 前記緻密層に、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、又はアミノプロピルジエトキシメチルシランが固定されている、請求項1から4の何れか一項に記載の分離膜。
  6. 水素又は硫酸を分離するための膜である、請求項1から5の何れか一項に記載の分離膜。
  7. アミノ基を有するアルコキシシランを多孔質基材に供給して製膜することを含む、請求項1から6の何れか一項に記載した分離膜の製造方法。
  8. 多孔質基材の一方からオゾンを供給し、多孔質基材の他方からアミノ基を有するアルコキシシランを供給する対向拡散化学蒸着法により製膜を行う、請求項7に記載の方法。
  9. 製膜における蒸着温度が240〜500℃である、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 請求項1から6の何れか一項に記載の分離膜を用いて、水素又は硫酸を分離する方法。
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