JP2017172017A - サテンニッケルめっき浴およびサテンニッケルめっき方法 - Google Patents

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竜彦 畑中
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Abstract

【課題】サテン状外観を得るためのエマルション法に用いることのできる新たな界面活性剤やその他添加剤を探索する。【解決手段】ニッケルめっき浴に界面活性剤を含有させたサテンニッケルめっき浴であって、界面活性剤として、フェニル基で置換されていてもよい炭素数10以上のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを少なくとも1種含有することを特徴とするサテンニッケルめっき浴および前記サテンニッケルめっき浴で電気めっきすることを特徴とするサテンニッケルめっき方法。【選択図】なし

Description

本発明は、被めっき物にサテン状外観のニッケルめっき皮膜を形成させることを可能にしたサテンニッケルめっき浴およびサテンニッケルめっき方法に関する。
従来、サテン状外観のニッケルめっき皮膜を形成する方法としては、素地をサンドブラストやショットブラストなどの機械的な処理で荒らす方法、ニッケルめっき浴中に非導電性微粒子を物理的に分散させ共析させる方法(コンポジット法)、等が行われてきた。
しかしながら、ブラスト加工は極めて高価となり現在のめっき工程において適当ではない。コンポジット法は微粒子を均一に分散させるための装置構築において高価であり、得られるサテン状外観にムラを生じやすい。
そのため、サテン状外観のニッケルめっき皮膜を容易に得るためにニッケルめっき浴中に界面活性剤を複数添加し、エマルションを形成させ電解による皮膜析出を阻害させてサテン状外観を得る方法(エマルション法)が提案されている。
このエマルション法では、界面活性剤として、カチオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤のどちらか、あるいはこれらの両方を用いるのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特に装飾関係の分野にあっては多様なクモリ具合のサテン状外観の需要があるため、サテン状外観を得るためのエマルション法に用いることのできる新たな界面活性剤やその他添加剤を新たに探索することが要求されていた。
特許第4382656号
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、サテン状外観を得るためのエマルション法に用いることのできる新たな界面活性剤やその他添加剤を探索することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、エマルション法ではサテン状外観が得られないと当業者に認識されていたアニオン系界面活性剤の中でも特定の構造のものを用いることにより、サテン状外観のめっきが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明はニッケルめっき浴に界面活性剤を含有させたサテンニッケルめっき浴であって、界面活性剤として、フェニル基で置換されていてもよい炭素数10以上のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを少なくとも1種含有することを特徴とするサテンニッケルめっき浴である。
また、本発明は被めっき物を上記サテンニッケルめっき浴で電気めっきすることを特徴とするサテンニッケルめっき方法である。
本発明によれば、従来、エマルション法においてサテン状外観が得られないとされていたアニオン系界面活性剤を用いてサテン状外観が得られる。しかも、アニオン系界面活性剤は少なくとも1種用いれば良いため、浴の調製や管理も容易である。
また、本発明で得られるサテン状外観もカチオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を添加しためっき浴から得られるものとは、反射具合が異なり、クモリ具合が微妙に異なるため、めっき製品にこれまでと異なるサテン状外観を付与することができる。
本発明のサテンニッケルめっき浴(以下、「本発明浴」という)は、従来公知のニッケルめっき浴に界面活性剤を含有させるタイプのサテンニッケルめっき浴であり、そこに用いる界面活性剤として、フェニル基で置換されていてもよい炭素数10以上のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル(以下、単に「リン酸エステル」という)を少なくとも1種含有させるものである。なお、このリン酸エステルには、リン酸のヒドロキシ基の水素がナトリウム等のアルカリ金属の塩に置換されているリン酸エステル塩も含まれる。
上記リン酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。なお、リン酸エステルのHLBは特に限定されない。
本発明浴におけるリン酸エステルの含有量は特に限定されないが、例えば、0.001〜0.05g/L、好ましくは0.002〜0.02g/L、より好ましくは0.006〜0.01g/Lである。
本発明浴のベースとなるニッケルめっき浴は、従来公知のニッケル電気めっき浴の中から選択すればよい。従来公知のニッケル電気めっき浴としては、例えば、硫酸ニッケルベースのワット浴、スルファミン酸ニッケル浴等が挙げられる。
本発明浴のベースとなるニッケルめっき浴の好ましい例としては、以下の組成を有する硫酸ニッケルベースのワット浴やスルファミン酸ニッケル浴が挙げられる。
<硫酸ニッケルベース浴>
硫酸ニッケル:280〜500g/L、好ましくは400〜450g/L
塩化ニッケル:20〜100g/L、好ましくは30〜40g/L
ほう酸:20〜60g/L、好ましくは35〜45g/L
<スルファミン酸ニッケルベース浴>
スルファミン酸ニッケル:280〜650g/L、好ましくは400〜550g/L
塩化ニッケル:0〜40g/L、好ましくは0〜20g/L
ほう酸:20〜60g/L、好ましくは30〜50g/L
なお、上記ニッケルベース浴において、塩化ニッケルは臭化ニッケルに置き換えられてもよく、ほう酸はクエン酸に置き換えられてもよい。
本発明浴には、最適なサテン外観を得るために、更に、サッカリン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタリンジスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、プロパギルスルホン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩等の従来公知のニッケルめっき浴に用いられる一次光沢剤を添加することが好ましい。これら一次光沢剤は、1種または2種以上を同時に用いることもできる。
本発明浴における一次光沢剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.001〜20g/L、好ましくは0.05〜10g/Lである。
本発明浴には、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知のサテンニッケルめっき浴に添加し得る、スルホコハク酸等の湿潤剤等の成分を更に含有させることもできる。なお、本発明浴においては、リン酸エステルの1種のみでサテン状外観が得られるが、本発明浴には、従来からサテンニッケルめっき浴に用いられている第4級アンモニウム等のカチオン系界面活性剤やポリエーテル等のノニオン系界面活性剤を更に添加してもよい。
本発明浴は、例えば、上記した各成分を上記したニッケルベース浴に添加し、エマルションが形成されるまで攪拌機や液循環設備で30〜60分、十分に撹拌することにより調製することができる。
以上説明した本発明浴を用いて、これを従来公知のニッケルめっきと同様に被めっき物へ電気めっきすることによりサテン状外観を有するサテンニッケル被覆製品が得られる。
電気めっきの条件は、特に限定されず、通常のニッケルめっきの条件を用いればよい。例えば、浴のpHは3〜6の範囲内であればよく、好ましくは4.0〜4.4の範囲である。浴温は70℃までの範囲であればよく、好ましくは50〜55℃の範囲内である。陰極電流密度は1〜10A/dmの範囲であればよく、好ましくは3〜5A/dmの範囲内である。本発明浴による電解処理時間は1〜20分であり、好ましくは7〜12分である。また、電気めっきの際には撹拌装置によりめっき浴の撹拌や、揺動装置により被めっき物の揺動を行うことが好ましい。
なお、本発明浴を用いてサテンニッケルをすることのできる被めっき物は、一般にニッケルめっきをすることができる材質のものであれば特に限定されず、また、その形状も特に限定されない。具体的な被めっき物としては、自動車用フロントグリル、エンブレムや内装部品、携帯電話に使用されるボタンなどの各種装飾めっき用部品等が挙げられる。なお、被めっき物は電気めっき前に、必要によりアルカリ脱脂、酸活性等の金属素材上の前処理や、エッチング、触媒付与、触媒活性、化学ニッケルめっき等の樹脂素材上の前処理を行ってもよい。
更に、サテンニッケルめっき後は、従来公知の方法に従って、クロムめっき、スズ/コバルトめっき、スズ/ニッケルめっき、金めっき等の仕上げめっきを行ってもよい。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実 施 例 1
ニッケルめっき浴の調製:
下記組成のニッケルめっきベース浴を52℃に加温し、スターラー撹拌(300rpm)により液循環を保持した状態で、表1に示す界面活性剤を添加しニッケルめっき浴を調製した(pH4.2)。なお、浴温および液循環は、調製後から試験終了時まで保持した。
<ニッケルめっきベース浴組成>
硫酸ニッケル 430g/L
塩化ニッケル 35g/L
ほう酸 40g/L
アリルスルホン酸ナトリウム 1.5g/L
サッカリン酸ナトリウム 5g/L
Figure 2017172017
実 施 例 2
ニッケルめっき皮膜の形成:
実施例1で調製したニッケルめっき浴(浴1〜11)を52℃にし、全電流2A、10分間で試験試料として真鍮板を用いて、ハルセル試験を実施した。試験後、目視で外観を評価した。その結果を表2に示した。
Figure 2017172017
ニッケルめっき浴に、アニオン系界面活性剤の中でもフェニル基で置換されていてもよい炭素数10以上のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの1種を含有させた浴(浴9〜11)だけでサテン状外観が得られることが分かった。また、アニオン系界面活性剤を用いた浴(浴9〜11)で得られたサテン状外観は、カチオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤等を含有させた浴(浴2〜4)で得られたサテン状外観と微妙にクモリ具合が異なっていた。
実 施 例 3
ニッケルめっき浴の調製:
実施例1で用いたニッケルめっきベース浴に、表3に示す界面活性剤を添加する以外は、実施例1と同様にしてニッケルめっき浴を調製した(pH4.2)。
Figure 2017172017
実 施 例 4
ニッケルめっき皮膜の形成:
実施例3で調製したニッケルめっき浴(浴12〜14)について、実施例2と同様にしてハルセル試験を実施した。試験後、目視で外観を評価した。その結果を表4に示した。
Figure 2017172017
ニッケルめっき浴に、フェニル基で置換されていてもよい炭素数10以上のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの1種を含有させた浴(浴12〜13)でも2種含有させた浴(浴14)でもサテン状外観が得られることが分かった。
本発明浴は、被めっき物へサテン状外観を付与するために利用することができる。

以 上

Claims (3)

  1. ニッケルめっき浴に界面活性剤を含有させたサテンニッケルめっき浴であって、界面活性剤として、フェニル基で置換されていてもよい炭素数10以上のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを少なくとも1種含有することを特徴とするサテンニッケルめっき浴。
  2. フェニル基で置換されていてもよい炭素数10以上のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステルまたはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルから選ばれるものである請求項1記載のサテンニッケルめっき浴。
  3. 被めっき物を請求項1または2に記載のサテンニッケルめっき浴で電気めっきすることを特徴とするサテンニッケルめっき方法。
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