JP2017172346A - スクロール圧縮機、及び、空気調和機 - Google Patents

スクロール圧縮機、及び、空気調和機 Download PDF

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Abstract

【課題】吸込室での加熱損失と再膨張損失とを低減する。【解決手段】スクロール圧縮機Sは、端板12bとそれに立設する渦巻き状のラップ12aとを有する固定スクロール12と、端板11bとそれに立設する渦巻き状のラップ11aとを有すると共に、固定スクロールとの間に冷媒を圧縮する圧縮室51を形成する旋回スクロール11と、冷媒を圧縮室に供給する吸込室4と、を備える。旋回スクロールの端板には、旋回スクロールの旋回運動に伴って固定スクロールのラップで仕切られている圧縮室側の空間の内部と吸込室側の空間の内部とに交互に連通する油汲み取り部が形成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、スクロール圧縮機、及び、これを備える空気調和機に関する。
例えば、空気調和機には、ガス状の冷媒を圧縮する装置としてスクロール圧縮機が用いられている。スクロール圧縮機は、固定設置されたスクロール(以下、「固定スクロール」と称する)と旋回運動を行うスクロール(以下、「旋回スクロール」と称する)とを用いて冷媒等の作動流体を圧縮する装置である。
スクロール圧縮機は、吸込室と背圧室と圧縮室とを備えている。
吸込室は、外部から吸い込まれた冷媒を一時的に貯留して圧縮室に供給するための部屋である。
背圧室は、旋回スクロール側から固定スクロール側に向かう方向の背圧を冷媒に与えるための部屋である。スクロール圧縮機は、旋回スクロールが固定スクロールから離れないように、背圧を与えた冷媒で旋回スクロールを固定スクロール側に押圧している。
圧縮室は、冷媒を圧縮するための部屋である。スクロール圧縮機は、固定スクロールに形成された渦巻き状のラップと旋回スクロールに形成された渦巻き状のラップとを噛み合わせた状態で旋回スクロールを旋回させることにより、固定スクロールのラップと旋回スクロールのラップとの間に圧縮室を形成する構造になっている。圧縮室で圧縮された冷媒は、吐出口から圧縮室の外に吐き出されて、スクロール圧縮機の外部に設けられた熱交換器等に送り込まれる。
吸込室と圧縮室との間には、冷媒を圧縮室に供給するための流路(以下、「冷媒流路」と称する)が形成されている。また、背圧室と圧縮室との間には、潤滑油を圧縮室に供給するための流路(以下、「背圧室油流出路」と称する)が形成されている。背圧室油流出路の圧縮室に臨む開口部は、圧縮室の内部に潤滑油を導入する油導入部として機能している。背圧室油流出路は、一端が背圧室に接続され、他端が冷媒流路の途中部分に接続されている。そして、背圧室油流出路の途中部分には、背圧を調整するための背圧調整機構が設けられている。
スクロール圧縮機は、潤滑油を背圧室に供給し、背圧室油流出路を介して潤滑油を圧縮室に送り込む。しかしながら、スクロール圧縮機は、背圧室油流出路が冷媒流路の途中部分に接続されているため、冷媒流路内の吸込室から油導入部までの空間において、各スクロールのラップの先端部や側面をシールするために必要な量の油が不足しがちになる。その結果、スクロール装置は、冷媒の漏れ損失が発生することがある。特に、スクロール圧縮機が差圧給油機構を有する構成になっている場合に、低差圧の運転条件下において冷媒の漏れ損失が発生し易くなり、これによる圧縮効率の低下が発生し易くなる。
そこで、背圧室油流出路とは別の給油経路として油汲み取り部を旋回スクロールに形成し、旋回スクロールの旋回運動を利用して背圧室内の潤滑油を吸込室に供給する構造になっているスクロール圧縮機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このスクロール圧縮機によれば、潤滑油を吸込室に供給することができるため、例えば冷媒流路内の吸込室から油導入部までの油が不足しがちな空間において、油が不足することを解消することができる。
特開2011−157974号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機は、以下に説明するように、吸込室内で加熱損失と再膨張損失とを招くことがある、という課題があった。
例えば、従来のスクロール圧縮機は、背圧室内の潤滑油を吸込室に供給するため、吸込室内の冷媒よりも高温高圧状態の潤滑油を吸込室内に流入させている。このような従来のスクロール圧縮機は、吸込室内で冷媒を高温高圧状態の潤滑油に接触させることによって、冷媒の温度を上昇させてしまい、その結果、吸込室内で加熱損失(冷媒の体積効率の低下)を招くことがあった。また、従来のスクロール圧縮機は、吸込室内で潤滑油と冷媒とが膨張してしまい、その結果、吸込室内の圧力を上昇させて、吸込室内で再膨張損失(吸込室に供給される冷媒の供給量の低下)を招くことがあった。
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、油が不足しがちになる空間において各スクロールのラップの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給しつつ、吸込室内での加熱損失と再膨張損失とを低減するスクロール圧縮機、及び、これを備える空気調和機を提供することを主な目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、端板とそれに立設する渦巻き状のラップとを有する固定スクロールと、端板とそれに立設する渦巻き状のラップとを有すると共に、前記固定スクロールとの間に冷媒を圧縮する圧縮室を形成する旋回スクロールと、冷媒を前記圧縮室に供給する吸込室と、を備え、前記旋回スクロールの端板には、前記旋回スクロールの旋回運動に伴って前記固定スクロールのラップで仕切られている圧縮室側の空間の内部と吸込室側の空間の内部とに交互に連通する油汲み取り部が形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機、及び、これを備える空気調和機とする。
その他の手段は、後記する。
このスクロール圧縮機及びこれを備える空気調和機は、圧縮室の内部に導入された油を吸込室側の空間に供給するため、背圧室内の油よりも低温低圧状態の圧縮室内の油を吸込室に供給する。これにより、このスクロール圧縮機及びこれを備える空気調和機は、吸込室内での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。しかも、このスクロール圧縮機は、油が不足しがちになる空間において各スクロールのラップの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給することができる。
本発明によれば、油が不足しがちになる空間において各スクロールのラップの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給しつつ、吸込室内での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。
第1実施形態に係る空気調和機の構成説明図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機の断面図である。 下側から見た第1実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールの断面図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機における背圧制御機構とその周囲の部分拡大断面図である。 下側から見た第1実施形態に係るスクロール圧縮機に用いる旋回スクロールの構成図である。 側面側から見た第1実施形態に係るスクロール圧縮機に用いる旋回スクロールの断面図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機の動作の説明図である。 下側から見た第2実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールの断面図である。 下側から見た第3実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールの断面図である。 下側から見た第4実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールの断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
本第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、後記するように、旋回スクロール11の旋回端板11bに形成された油汲み取り部11dで圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間に潤滑油を供給する構造となっている(図3参照)。以下、まず、本第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sを備える空気調和機101の全体構成について説明し、その後にスクロール圧縮機Sの構成について説明する。
<空気調和機の構成>
以下、図1を参照して、本第1実施形態に係る空気調和機101の構成につき説明する。図1は、空気調和機101の構成説明図である。
図1に示すように、空気調和機101は、スクロール圧縮機Sと、四方弁102と、膨張器等の冷暖房絞り装置103と、室内熱交換器104と、室外熱交換器105とを備えており、これらが所定の配管106で環状に接続された構成になっている。
本第1実施形態では、空気調和機101がヒートポンプ式の装置であるものとして説明する。空気調和機101は、四方弁102を切替えることで冷房運転と暖房運転とを行うことができる。空気調和機101は、冷房運転時に、室内熱交換器104を蒸発器として使用すると共に、室外熱交換器105を凝縮器として使用する。一方、空気調和機101は、暖房運転時に、室内熱交換器104を凝縮器として使用すると共に、室外熱交換器105を蒸発器として使用する。
図1中、実線矢印Xは冷房運転時におけるガス状の冷媒(作動流体)の循環方向を示しており、また、破線矢印Yは暖房運転時における冷媒の循環方向を示している。空気調和機101は、例えば、冷房運転時に、以下のように動作する。
冷房運転時において、まず、空気調和機101は、スクロール圧縮機Sで冷媒を圧縮する。このとき、冷媒は、圧縮されることにより、高温高圧状態になる。空気調和機101は、四方弁102を介して、その状態の冷媒を室外熱交換器105に送り込む。
室外熱交換器105内において、冷媒は、空気との間で熱交換を行い、その熱交換により放熱して凝縮する。空気調和機101は、凝縮された冷媒を冷暖房絞り装置103に送り込む。
冷暖房絞り装置103内において、冷媒は、等エンタルピ膨張し、低温低圧状態のガス冷媒と液冷媒とが混在した気液二相流の状態になる。空気調和機101は、その状態の冷媒を室内熱交換器104に送り込む。
室内熱交換器104内において、液冷媒は、空気との間で熱交換を行い、その熱交換で吸熱して気化し、ガス冷媒となる。このとき、液冷媒が気化することにより、室内熱交換器104が周囲の空気を冷却する。その結果、空気調和機101は、冷房機能を発揮する。
この後、空気調和機101は、冷媒を室内熱交換器104からスクロール圧縮機Sに戻す。そして、空気調和機101は、再び、スクロール圧縮機Sで冷媒を圧縮した後、四方弁102、室外熱交換器105、冷暖房絞り装置103、及び室内熱交換器104に順に送り込む。
このようにして空気調和機101は、スクロール圧縮機S、四方弁102、室外熱交換器105、冷暖房絞り装置103、及び室内熱交換器104で冷媒の循環系を構成し、これらの間で冷媒の循環を繰り返すことで冷凍サイクルを形成する。
<スクロール圧縮機の構成>
(スクロール圧縮機の全体構成)
以下、図2を参照して、スクロール圧縮機Sの構成につき説明する。図2は、スクロール圧縮機Sの断面図である。本第1実施形態では、スクロール圧縮機Sが縦型の装置であるものとして説明する。スクロール圧縮機Sは、例えばR32冷媒等を作動流体として使用する。
図2に示すように、スクロール圧縮機Sは、「チャンバ」と称される密閉容器1と、密閉容器1の内部に配置された電動機2と、密閉容器1の内部に配置され、かつ、電動機2によって駆動されるスクロール圧縮機構3と、電動機2の回転動力をスクロール圧縮機構3に伝達するクランクシャフト6と、を備えている。スクロール圧縮機Sは、圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間に潤滑油を供給する給油機構に特徴を有している。給油機構の構成については、後記の「圧縮室側の空間から吸込室側の空間への給油機構」の章と「圧縮室側の空間から吸込室側の空間への給油動作」の章とで詳しく説明する。
密閉容器1は、円筒状の筒チャンバ1aと、筒チャンバ1aの上部に溶接される蓋チャンバ1bと、筒チャンバ1aの下部に溶接される底チャンバ1cとで構成されている。密閉容器1の内部には、密閉されたチャンバ内空間54が形成されている。スクロール圧縮機Sが稼働すると、比較的高圧な吐出圧力Pd(図示せず)がチャンバ内空間54内に加わる。以下、チャンバ内空間54を「吐出圧力空間」という場合がある。
また、蓋チャンバ1bの側面又は上面には、吸込パイプ7が溶接又はロウ付けされて固定配置されている。吸込パイプ7は、スクロール圧縮機構3に設けられた吸込室4(図3参照)に取り付けられている。
図3は、スクロール圧縮機構3の固定スクロール12と旋回スクロール11の断面図である。図3は、固定スクロール12と旋回スクロール11とを組み合せた構成において、旋回スクロール11の旋回端板11b(図4参照)の上面に沿って旋回スクロール11を切断し、下側からその構成を見た状態を示している。なお、図3には、説明の都合で、後記する油汲み取り11dが示されている。しかしながら、油汲み取り11dは、旋回端板11bに形成された構成要素であるため、本来であれば図3に示す構成に含まれない構成要素である。
また、筒チャンバ1aの側面には、吐出パイプ8が溶接又はロウ付けされて固定配置されている。吐出パイプ8は、スクロール圧縮機構3に設けられた吐出口5(図2及び図3参照)に取り付けられている。
吐出口5は、チャンバ内空間(吐出圧力空間)54と連通しており、吐出パイプ8を介してチャンバ内空間54とスクロール圧縮機Sの外部とを連通している。このスクロール圧縮機Sは、チャンバ内空間54が高圧雰囲気となる、いわゆる高圧チャンバタイプの圧縮機である。
密閉容器1の内部には、スクロール圧縮機Sを組み立てる際の適当な段階で油(潤滑油)が封入されている。これにより密閉容器1の底部には、貯油部9が形成されている。
電動機2は、固定子2aと、回転子2bとを備えている。固定子2aは、焼き嵌めや溶接等により密閉容器1に固定されている。回転子2bは、固定子2aの内側に回転可能に配置されている。その回転子2bには、クランクシャフト6が固定されている。
クランクシャフト6は、主軸と、偏心部であるピン部6cと、を備えている。クランクシャフト6の主軸は、上側が後記するフレーム13に設けられた主軸受13aに支持されており、下側が下軸受10に支持されている。電動機2を駆動させてクランクシャフト6を回転させると、ピン部6cは、主軸に対して偏心回転運動を行う。クランクシャフト6には、主軸受13aと、下軸受10と、貯油部9の油を後記する旋回軸受部11cに供給するための給油縦穴6a及び給油横穴6bとが設けられている。
スクロール圧縮機構3(図2参照)は、旋回スクロール11と、固定スクロール12と、フレーム13と、オルダムリング14と、リリース弁装置15と、背圧制御機構40の構成部品である背圧制御弁45とを備えている。
旋回スクロール11は、旋回スクロールラップ11aと、旋回端板11bと、旋回軸受部11cとを有している。旋回スクロールラップ11aは、旋回端板11bに立設するように形成された渦巻き状のラップである。旋回軸受部11cは、クランクシャフト6の偏心部であるピン部6cが挿入される軸受部である。
固定スクロール12は、固定スクロールラップ12aと、固定端板12bとを有している。固定スクロールラップ12aは、固定端板12bに立設するように形成された渦巻き状のラップである。固定スクロールラップ12aの外周部には、吸込室4が配置されている。また、固定スクロールラップ12aの中央部には、吐出口5が配置されている。吸込室4は、圧縮室51が形成される前の空間であり、圧縮室51が形成されることにより圧縮室51側の空間と吸込室4側の空間とに分断される。スクロール圧縮機Sが稼働すると、吐出圧力Pd(図示せず)よりも低圧な吸込圧力Ps(図示せず)が吸込室4内に加わる。
旋回スクロール11は、固定スクロール12と相対向して旋回自在に配置されている。スクロール圧縮機構3は、固定スクロールラップ12aと旋回スクロールラップ11aとを噛み合わせた状態で旋回スクロール11を旋回させることにより、固定スクロールラップ12aと旋回スクロールラップ11aとの間に、吸込室4と連通する圧縮室51を形成する(図3参照)。圧縮室51は、旋回スクロールラップ11aの外線側と内線側とに2つ形成される。以下、旋回スクロールラップ11aの外線側に形成される圧縮室51を「外線側圧縮室51a(図3参照)」と称し、旋回スクロールラップ11aの内線側に形成される圧縮室51を「内線側圧縮室51b(図3参照)」と称する。
図2に戻り、フレーム13は、その外周側が溶接によって密閉容器1の内壁面に固定されている。フレーム13は、クランクシャフト6の主軸を回転自在に支持する主軸受13aを備えている。固定スクロール12は、ボルトによりフレーム13と締結され固定されている。また、旋回スクロール11とフレーム13との間には、背圧室53が形成されている。背圧室53は、旋回スクロール11側から固定スクロール12側に向かう方向の背圧Pb(図示せず)を冷媒に与える。これにより、スクロール圧縮機構3は、旋回スクロール11が固定スクロール12から離れないように、背圧Pb(図示せず)を与えた冷媒で旋回スクロール11を固定スクロール12側に押圧している。背圧Pb(図示せず)は、吐出圧力Pd(図示せず)と吸込圧力Ps(図示せず)とのほぼ中間の圧力に設定されている。
オルダムリング14は、旋回スクロール11とフレーム13との間に配置されている。オルダムリング14は、固定スクロール12に対して旋回スクロール11を自転させずに旋回運動を行わせるための自転規制部材である。オルダムリング14は、図示せぬキー部を備えている。キー部は、旋回スクロール11に形成された旋回オルダム溝(図示せず)と、フレーム13に形成されたフレームオルダム溝(図示せず)とに挿入されている。これにより、オルダムリング14は、旋回スクロール11の自転を規制している。
リリース弁装置15は、圧縮室51の圧力が高くなり過ぎないように、圧縮室51からチャンバ内空間54に圧力を逃がすための装置である。
(背圧制御機構の構成)
背圧室53の周囲には、背圧制御機構40が設けられている。以下、図4を参照して、背圧制御機構40の構成につき説明する。図4は、背圧制御機構40とその周囲の部分拡大断面図である。
図4に示すように、背圧制御機構40は、圧縮室51と背圧室53とを連通する背圧弁連通路41と、背圧弁連通路41の延在途中に配置された背圧制御弁45とを有している。
背圧弁連通路41は、外周逃げ溝12dと、湾状凹部12eと、背圧弁流入穴42と、背圧室油流出路44とを有している。
背圧弁流入穴42は、固定スクロール12の固定鏡板12cから上方向に延びるように形成された縦穴である。背圧弁流入穴42は、油が混じっている冷媒を背圧室53に流入させる背圧室油流入手段として機能する。背圧弁流入穴42は、下側の開口部42aが湾状凹部12eと連通し、上側が背圧弁穴43と連通している。ここで、背圧弁流入穴42の開口部42aは、固定スクロールラップ12aと旋回スクロールラップ11aとを噛み合わせた状態で旋回スクロール11を旋回させたときに、旋回する旋回スクロール11の旋回端板11bで常に覆われた状態になる。これにより、背圧弁流入穴42の開口部42aは、背圧室53に直接開口しないようになっている。背圧弁流入穴42と背圧室53とは、固定スクロール12の固定鏡板12cに形成された外周逃げ溝12dと湾状凹部12eとを介して、互いに連通している。
背圧室油流出路44は、背圧室53と圧縮室51との間に形成され、背圧室53内の油を圧縮室51に供給するための流路である。背圧室油流出路44の圧縮室51に臨む開口部44aは、圧縮室51の内部に油を導入する油導入部として機能している。以下、背圧室油流出路44の開口部44aを「油導入部44a」と称する場合がある。図3に示す例では、4つの油導入部44aが固定スクロール12の固定鏡板12cに形成されている。したがって、スクロール圧縮機Sは4つの油導入部44aから油を圧縮室51の内部に導入する構成になっている。
背圧制御弁45は、弁体45aと、コイル状ばね45bとを有している。弁体45aは、板体で形成されており、背圧弁流入穴42の上端開口、つまり開口部42aの反対側の開口を塞ぐように配置されている。
コイル状ばね45bは、弾発ばねであり、弁体45aと圧入部材20との間に配置されている。コイル状ばね45bは、その一端側が圧入部材20に支持されることによって、その他端側に配置された弁体45aを背圧弁流入穴42の上端開口に向けて付勢している。
このような背圧制御弁45は、背圧室53内の圧力が圧縮室51内の圧力よりも所定の圧力差を超えて上昇した場合に、弁体45aがコイル状ばね45bの付勢力に抗して持ち上がることにより、開弁する。背圧制御弁45は、この開弁動作によって背圧室53と圧縮室51とを連通させることで背圧室53の圧力(背圧Pb(図示せず))を制御している。
このような背圧制御弁45は、背圧弁穴43を介して固定スクロール12に取り付けられている。その背圧弁穴43は、背圧弁連通路41の延在途中に臨むように固定スクロール12に穿設されている。背圧弁穴43は、背圧制御弁45が所定の位置に配置された後に、その開口を介して圧入部材20が圧入されることによって、塞がれる。
(圧縮室側の空間から吸込室側の空間への給油機構の構成)
スクロール圧縮機Sは、圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間への給油機構を備えている。以下、図3、図5、及び、図6を参照して、この給油機構の構成につき説明する。この給油機構は、油汲み取り部11dを有することを特徴にしている。図5は、下側から見た旋回スクロール11の構成図である。また、図6は、側面側から見た旋回スクロール11の断面図である。
図3、図5、及び、図6に示すように、旋回スクロール11の旋回端板11bには、圧縮室51の内部の油を汲み取って吸込室4に供給する油汲み取り部11dが形成されている。
油汲み取り部11dは、窪みや、穴、溝として形成されている。本第1実施形態では、油汲み取り部11dが円錐形の窪みとなっているものとして説明する。油汲み取り部11dは、旋回スクロール11の巻き終わりの端部(吐出口5側の端部)よりも吸込室4側に設けられている。油汲み取り部11dは、旋回スクロール11の旋回運動に伴って移動して、固定スクロールラップ12aで仕切られている圧縮室51側の空間の内部と吸込室4側の空間の内部とに交互に連通する。その際に、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間で油を汲み取り、汲み取った油を吸込室4側の空間に持ち込んで吸込室4側の空間に供給する。
ここで、「圧縮室51側の空間の内部と吸込室4側の空間の内部とに交互に連通する」動作とは、油汲み取り部11dが圧縮室51側の空間の内部と吸込室4側の空間の内部とのいずれか一方にのみ連通し、同時に双方と連通しない動作を意味している。
本第1実施形態では、油汲み取り部11dは、旋回スクロール11の旋回運動に伴って固定スクロールラップ12aの先端部の下を旋回するように移動する。これにより、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間に対してその空間の外周側に連通し、一方、吸込室4側の空間に対してその空間の内周側に連通する。油汲み取り部11dの大きさは、圧縮室51側の空間と吸込室4側の空間とが油汲み取り部11dを介して連通しないように、油汲み取り部11dの移動範囲内における固定スクロールラップ12aの厚さよりも小さな値に設定されている。なお、油汲み取り部11dは、例えば図7(a)に示す移動軌跡Lo11dに沿って移動する。前記した「油汲み取り部11dの移動範囲」とは、油汲み取り部11dが移動軌跡Lo11dに沿って移動する際の範囲を意味している。
吸込室4側の空間と油汲み取り部11dとの連通面積は、圧縮室51側の空間と油汲み取り部11dとの連通面積よりも大きな値に設定されている。これにより、スクロール圧縮機Sは、油汲み取り部11dで圧縮室51側の空間から汲み取った油を効率よく吸込室4側の空間に供給することができる。つまり、これにより、スクロール圧縮機Sは、油汲み取り部11dで汲み取られた油が吸込室4側の空間に供給されきれずに油汲み取り部11d内に残留して圧縮室51側の空間に戻されることを抑制することができる。
<スクロール圧縮機の動作>
以下、スクロール圧縮機Sの主要な動作について、まず、冷媒圧縮動作について説明し、その後に給油動作について説明する。
(冷媒圧縮動作)
まず、主に図2を参照して、スクロール圧縮機Sの冷媒圧縮動作につき説明する。
スクロール圧縮機Sでは、電動機2が駆動してクランクシャフト6が回転すると、クランクシャフト6のピン部6cが偏心回転する。このとき、オルダムリング14が旋回スクロール11の自転を規制しているため、ピン部6cの偏心回転に伴って、旋回スクロール11は、旋回運動を行う。この一連の動作により、吸込パイプ7からスクロール圧縮機Sの内部に吸い込まれた冷媒は、吸込室4を通って圧縮室51に送り込まれ、圧縮室51で圧縮される。
この後、冷媒は、吐出口5から吐出圧力空間であるチャンバ内空間54に吐出される。そして、冷媒は、吐出パイプ8からスクロール圧縮機Sの外部に吐出される。外部に吐出された冷媒は、空気調和機101(図1参照)の前記した冷凍サイクル内を循環して、吸込パイプ7からスクロール圧縮機Sの内部に戻される。
スクロール圧縮機Sは、このような動作を繰り返す。
(貯油部から圧縮室への給油動作)
次に、主に図2及び図3を参照して、スクロール圧縮機Sの貯油部9から圧縮室51への給油動作につき説明する。
スクロール圧縮機Sでは、背圧室53内の圧力は、背圧制御弁45により、吐出圧力Pd(図示せず)と吸込圧力Ps(図示せず)とのほぼ中間の圧力である背圧Pb(図示せず)に保持されている。そのため、貯油部9と背圧室53との間に差圧が発生する。この差圧で貯油部9の油が、クランクシャフト6の下端部に固定配置された給油ピースから給油縦穴6aを通り、クランクシャフト6に設けられた給油横穴6b及びスリット部(図示せず)を経て、旋回軸受部11c及び主軸受13aを潤滑しながら、背圧室53へ流入する。
背圧室53に流入した油は、背圧室53と圧縮室51との差圧により、途中部分に背圧制御弁45が設けられた背圧弁連通路41を通って、圧縮室51へ流入する。そして、圧縮室51へ流入した油は、圧縮室51のシール性を高めながら、冷媒と共に吐出口5からチャンバ内空間54に吐出される。吐出口5から吐出された油は、チャンバ内空間54で冷媒から分離してチャンバ内空間54の下部に形成された貯油部9に戻る。
(圧縮室側の空間から吸込室側の空間への給油動作)
次に、主に図7を参照して、スクロール圧縮機Sの圧縮室51から吸込室4への給油動作につき説明する。図7は、スクロール圧縮機Sの動作の説明図である。旋回スクロール11は、クランクシャフト6の回転に伴って旋回する。図7は、その旋回スクロール11の旋回運動に伴う圧縮室51や油汲み取り部11d等の一連の動きを示している。
図7(a)〜図7(f)は、それぞれ、クランク角が0°、90°、120°、160°、230°、245°であるときの旋回スクロール11の状態を示している。図7(a)は、旋回スクロールラップ11aの外線側圧縮室51aが形成し始めるときの状態を示している。ここでは、図7(a)に示す状態のときのクランク角が0°であるものとして説明する。ただし、前記した0°、90°、120°、160°、230°、245°のクランク角の値は、例示に過ぎず、スクロール圧縮機Sの設計次第で変わるものである。
なお、図7に示す例では、図3に示す4つの油導入部44aのうち、背圧弁流入穴42(図3参照)に最も近いもののみが示されており、他のものは省略されている。
また、図7(a)に示す例において、吸込室4と圧縮室51との間には冷媒を圧縮室51に供給するための冷媒流路が形成されており、その冷媒流路内の吸込室4から油導入部44aまでの空間A1は、油が不足しがちな空間である。本発明は、この油が不足しがちな空間A1において各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給することを意図している。そこで、本第1実施形態では、図5に示すように、油汲み取り部11dを旋回スクロールラップ11aの上流端P11aの近傍で、かつ、上流端P11aよりも若干上流側の位置に配置している。この位置は、図7(a)に示すように、油汲み取り部11dが移動軌跡Lo11d(図7(a)参照)に沿って移動する際に、吸込室4側の空間に対して油汲み取り部11dを吸込室4の近傍で、かつ、吸込室4よりも若干下流側の位置に入り込ませることができる位置である。スクロール圧縮機Sは、油汲み取り部11dをこの位置に配置することにより、油を吸込室4よりも若干下流側の位置に供給し、もって、油が不足しがちな空間A1において各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給することができる。
圧縮室51から吸込室4への給油動作は、例えば、図7(b)に示す状態(クランク角が90°になっている状態)から開始される。図7(b)は、油汲み取り部11dが油を吸込室4側の空間に供給した後の旋回スクロール11の状態を示している。図7(b)に示す状態において、油汲み取り部11dは、固定スクロールラップ12aの下に配置されており、吸込室4側の空間にも圧縮室51側の空間にも連通していない状態になっている。
図7(b)の後、クランクシャフト6の回転が進むと、旋回スクロール11は、以下に説明するように、順に、図7(c)に示す状態(クランク角が120°になっている状態)、図7(d)に示す状態(クランク角が160°になっている状態)、図7(e)に示す状態(クランク角が230°になっている状態)となる。
まず、図7(c)に示す状態において、油汲み取り部11dは、固定スクロールラップ12aの下から圧縮室51側に移動する。これにより、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間と連通を開始する。
次に、図7(d)に示す状態において、油汲み取り部11dは、さらに圧縮室51側に移動する。これにより、油汲み取り部11dは、固定スクロールラップ12aの下側の、固定スクロールラップ12aの先端側(旋回スクロールラップ11aの端板側)のラップ壁面と交差する位置に配置される。このとき、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間から油を汲み取る。このときの油の圧力は、(吸込圧力+α)となる。ここで、「α」は、油を圧縮させる分の圧力を表している。
次に、図7(e)に示す状態において、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間から吸込室4側に移動する。これにより、油汲み取り部11dは、固定スクロールラップ12aの下に配置される。このとき、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間にも吸込室4側の空間にも連通していない状態になっている。
図7(e)の後、クランクシャフト6の回転が進むと、旋回スクロール11は、以下に説明するように、順に、図7(f)に示す状態(クランク角が245°になっている状態)、図7(a)に示す状態(クランク角が0°になっている状態)、図7(b)に示す状態(クランク角が90°になっている状態)となる。
まず、図7(f)に示す状態において、油汲み取り部11dは、固定スクロールラップ12aの下から吸込室4側に移動する。これにより、油汲み取り部11dは、吸込室4側の空間と連通を開始する。
次に、図7(a)に示す状態において、油汲み取り部11dは、さらに吸込室4側に移動する。これにより、油汲み取り部11dの全体は、吸込室4側の空間内に配置される。このとき、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間で汲み取った油を吸込室4側の空間に供給する。このときの油の圧力は、(吸込圧力+α)となる。
次に、図7(b)に示す状態において、油汲み取り部11dは、吸込室4側の空間から圧縮室51側に移動する。これにより、油汲み取り部11dは、固定スクロールラップ12aの下に配置される。このとき、油汲み取り部11dは、圧縮室51側の空間にも吸込室4側の空間にも連通していない状態になっている。
スクロール圧縮機Sは、このような動作を繰り返す。
かかる構成において、スクロール圧縮機Sでは、旋回スクロール11の旋回運動に伴って、油汲み取り部11dが圧縮室51側の空間の内部と吸込室4側の空間の内部とに交互に連通する。これにより、スクロール圧縮機Sは、圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間への間欠的な給油経路を形成することができる。
このようなスクロール圧縮機Sは、冷媒流路内の吸込室4から油導入部44aまでの油が不足しがちになる空間A1に対し、各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に補給することができる。そのため、スクロール圧縮機Sは、圧縮室51内の各スクロールラップ11a,12aの先端部及び側面のシールを向上させることができ、冷媒の漏れを抑制することができる。
また、スクロール圧縮機Sは、従来のスクロール圧縮機のように背圧室53内の潤滑油(つまり、背圧Pbがかかっている油)を吸込室4側の空間に供給するのではなく、圧縮室51側の空間の油(つまり、背圧Pbよりも低圧な(吸込圧力Ps+α)がかかっている油)を吸込室4側の空間に供給する。このようなスクロール圧縮機Sは、背圧室53の油よりも低温低圧状態の油を吸込室4側の空間に供給することができる。
したがって、スクロール圧縮機Sは、従来のスクロール圧縮機のように吸込室4内で冷媒を高温高圧状態の潤滑油に接触させることがないため、吸込室4内での加熱損失(冷媒の体積効率の低下)と再膨張損失(吸込室に供給される冷媒の供給量の低下)とを低減することができる。
また、スクロール圧縮機Sは、更なる効果として、吸込室4に一度供給した油が圧縮室51を通って油汲み取り部11dで吸込室4に再び戻るため、吸込室4に供給した油を圧縮室51側の空間と吸込室4側の空間との間で繰り返し循環させることができる。その結果、スクロール圧縮機Sは、例えば冷媒流路内の吸込室4から油導入部44aまでの油が不足しがちな空間A1(図7(a)参照)において一定量の油を確保することができるため、冷媒の漏れ損失を確実に低減することができる。
また、スクロール圧縮機Sでは、油汲み取り部11dの形成位置と大きさは、圧縮室51側の空間の内部に部分的にしか連通しない位置(入り込まない位置)と大きさとに設定されている。つまり、油汲み取り部11dが圧縮室51から油を汲み取る区間(本第1実施形態では、クランク角が120°〜230°の区間)において、溝の開口面積が最大のときであっても、溝が全開にならない位置に、油汲み取り部11dは形成されている。圧縮室51の内部は、油と冷媒との混合状態になっている。しかしながら、スクロール圧縮機Sは、油汲み取り部11dによる圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間への給油動作の過程において、油汲み取り部11d内をより油比率の高い状態とすることで、給油効率を向上することができる。本第1実施形態では、スクロール圧縮機Sは、図7(d)及び図7(e)に示す油の汲み取り時に、油汲み取り部11dを、固定スクロールラップ12aの下側の、固定スクロールラップ12aの先端側(旋回スクロールラップ11aの端板側)のラップ壁面と交差する位置に配置している。つまり、スクロール圧縮機Sは、油の汲み取り時に、油汲み取り部11dを、ラップ壁面の油が付着している領域(油比率の高い領域)に開口させている。これによって、スクロール圧縮機Sは、給油効率を向上させることができる。
かかる構成において、本第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sの圧縮室51内では、冷媒は、上流側(吐出口5から遠い側)から下流側(吐出口5に近い側)に進むほど高密度に圧縮される。そのため、冷媒は、下流側に進むほど高温高圧状態になる。したがって、冷媒は、下流側よりも上流側の方が低温低圧状態になっている。スクロール圧縮機Sは、上流側で潤滑油を汲み取り、その潤滑油を吸込室4に供給することにより、下流側(吐出口5に近い側)よりも低温低圧状態の潤滑油を吸込室4に供給している。その潤滑油は、吸込室4内で冷媒と接触しても、加熱損失(冷媒の体積効率の低下)や再膨張損失(吸込室に供給される冷媒の供給量の低下)を発生させない程度に低温低圧状態になっている。そのため、スクロール圧縮機Sは、従来のスクロール圧縮機よりも吸込室4内の冷媒の温度の上昇を低減することができ、その結果、吸込室4内での加熱損失(冷媒の体積効率の低下)を低減することができる。また、スクロール圧縮機Sは、従来のスクロール圧縮機よりも吸込室4内での潤滑油と冷媒との膨張を抑制することができ、その結果、吸込室4内の圧力の上昇を抑制して、吸込室4内での再膨張損失(吸込室に供給される冷媒の供給量の低下)を低減することができる。
しかも、スクロール圧縮機Sは、背圧室53に供給した油を背圧室53から圧縮室51に送り出す際に、図4で斜線を付して示した空間(すなわち、背圧制御弁45が設けられた空間から圧縮室51に到る背圧連通路41)で、油を放熱させることができる。これにより、スクロール圧縮機Sは、油の温度を若干低下させることができる。また、スクロール圧縮機Sは、背圧制御弁45で背圧室53と図4で斜線を付して示した空間とを分断することができるため、背圧室53の内部で油にかかっている圧力よりも斜線を付して示した空間の内部で油にかかっている圧力を若干低下させることができる。スクロール圧縮機Sは、その温度及び圧力を低下させた油を吸込室4に供給することにより、さらに、効率よく加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。
さらに、スクロール圧縮機Sは、例えば冷媒流路内の吸込室4から油導入部44aまでの油が不足しがちになる空間A1(図7(a)参照)において各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給することができる。
以上の通り、本第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sによれば、例えば冷媒流路内の吸込室4から油導入部44aまでの油が不足しがちになる空間A1(図7(a)参照)において各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給しつつ、吸込室4内での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。これにより、スクロール圧縮機Sを備える空気調和機101は、成績係数(COP)を向上させることができる。
[第2実施形態]
以下、図8を参照して、本第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAの構成につき説明する。図8は、下側から見た本第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAの固定スクロール12と旋回スクロール11の断面図である。
図8に示すように、本第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAは、第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sと比較すると、固定スクロール12の固定鏡板12cに吸込室4に繋がる円弧状溝12fを設けると共に、油汲み取り部11dの位置を背圧室油流出路44付近に移動させ、圧縮室51側の空間の油を油汲み取り部11dで円弧状溝12fに供給する点で相違している。かかる構成において、油汲み取り部11dは、油導入部44aより円弧状溝12f側に形成されており、旋回スクロール11の旋回運動に伴って移動して、圧縮室51側の空間の内部と円弧状溝12fの内部とに交互に連通する。
このようなスクロール圧縮機SAは、油汲み取り部11dによる油の運搬を背圧室油流出路44に近い場所で行うことができるため、より確実に油を吸込室4側の空間に供給することができる。
また、スクロール圧縮機SAは、第1実施形態のスクロール圧縮機Sよりも圧縮室51の上流側で油を汲み取るため、第1実施形態のスクロール圧縮機Sよりも低温低圧状態の油を吸込室4側の空間に供給することができる。
さらに、スクロール圧縮機SAは、冷媒流路から外れた場所で圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間に潤滑油を供給する。そのため、スクロール圧縮機SAは、冷媒の流れを乱すことなく、潤滑油を吸込室4側の空間に供給することができる。
これらの要因により、スクロール圧縮機SAは、第1実施形態のスクロール圧縮機Sよりも効率よく吸込室4での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。その結果、スクロール圧縮機SAは、第1実施形態のスクロール圧縮機Sよりも空気調和機の成績係数(COP)を向上させることができる。
以上の通り、本第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAによれば、第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sと同様に、油が不足しがちになる空間において各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給しつつ、吸込室4内での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。これにより、スクロール圧縮機SAを備える空気調和機101は、成績係数(COP)を向上させることができる。
しかも、スクロール圧縮機SAによれば、第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sよりも効率よく吸込室4での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。
[第3実施形態]
以下、図9を参照して、本第3実施形態に係るスクロール圧縮機SBの構成につき説明する。図9は、下側から見た本第3実施形態に係るスクロール圧縮機SBの固定スクロール12と旋回スクロール11の断面図である。
図9に示すように、本第3実施形態に係るスクロール圧縮機SBは、第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAと比較すると、油汲み取り部11dが2つに増設されている点で相違している。
このようなスクロール圧縮機SBは、第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAよりも圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間への油の供給量を増加させることができるため、油が不足しがちな空間A1でのシール性をさらに向上させることができ、冷媒の漏れの低減性を向上させることができる。
以上の通り、本第3実施形態に係るスクロール圧縮機SBによれば、他の実施形態に係るスクロール圧縮機S,SAと同様に、油が不足しがちになる空間において各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給しつつ、吸込室4内での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。これにより、スクロール圧縮機SBを備える空気調和機101は、成績係数(COP)を向上させることができる。
しかも、スクロール圧縮機SBによれば、第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAと同様に、第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sよりも効率よく吸込室4での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。
その上、スクロール圧縮機SBによれば、第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAよりも油が不足しがちな空間A1でのシール性をさらに向上させることができ、冷媒の漏れの低減性を向上させることができる。
[第4実施形態]
以下、図10を参照して、本第4実施形態に係るスクロール圧縮機SCの構成につき説明する。図10は、下側から見た本第4実施形態に係るスクロール圧縮機SCの固定スクロール12と旋回スクロール11の断面図である。
図10に示すように、本第4実施形態に係るスクロール圧縮機SCは、第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAと比較すると、油汲み取り部11dが長穴形状に形成されている点で相違している。
このようなスクロール圧縮機SCは、第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAや第3実施形態に係るスクロール圧縮機SBよりも油汲み取り部11dの油汲み取り容積をさらに増加させることができる。その結果、スクロール圧縮機SCは、圧縮室51側の空間から吸込室4側の空間への油の供給量をさらに増加させることができる。そのため、スクロール圧縮機SCは、第2実施形態に係るスクロール圧縮機SAや第3実施形態に係るスクロール圧縮機SBよりも油が不足しがちな空間A1でのシール性をさらに向上させることができ、冷媒の漏れの低減性を向上させることができる。
以上の通り、本第4実施形態に係るスクロール圧縮機SCによれば、他の実施形態に係るスクロール圧縮機S,SA,SBと同様に、油が不足しがちになる空間において各スクロールラップ11a,12aの先端部や側面をシールするために必要な量の油を十分に供給しつつ、吸込室4内での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。これにより、スクロール圧縮機SCを備える空気調和機101は、成績係数(COP)を向上させることができる。
しかも、スクロール圧縮機SCによれば、第2及び第3実施形態に係るスクロール圧縮機SA,SBと同様に、第1実施形態に係るスクロール圧縮機Sよりも効率よく吸込室4での加熱損失と再膨張損失とを低減することができる。
その上、スクロール圧縮機SCによれば、第3実施形態に係るスクロール圧縮機SBよりも油が不足しがちな空間A1でのシール性をさらに向上させることができ、冷媒の漏れの低減性を向上させることができる。
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 密閉容器
1a 筒チャンバ
1b 蓋チャンバ
1c 底チャンバ
2 電動機
2a 固定子
2b 回転子
3,3A,3B,3C スクロール圧縮機構
4 吸込室
5 吐出口
6 クランクシャフト
6a 給油縦穴
6b 給油横穴
6c ピン部
7 吸込パイプ
8 吐出パイプ
9 貯油部
10 下軸受
11 旋回スクロール
11a 旋回スクロールラップ
11b 旋回端板
11c 旋回軸受部
11d 油汲み取り部
12 固定スクロール
12a 固定スクロールラップ
12b 固定端板
12c 固定鏡板
12d 外周逃げ溝
12e 湾状凹部
12f 円弧状溝
13 フレーム
13a 主軸受
14 オルダムリング
15 リリース弁装置
20 圧入部材
40 背圧制御機構
41 背圧弁連通路
42 背圧弁流入穴
42a 開口部
43 背圧弁穴(取付穴)
44 背圧室油流出路
44a 背圧室油流出路の開口部(油導入部)
45 背圧制御弁
45a 弁体
45b コイル状ばね
51 圧縮室
51a 外線側圧縮室
51b 内線側圧縮室
53 背圧室
54 チャンバ内空間
101 空気調和機
102 四方弁
103 冷暖房絞り装置
104 室内熱交換器
105 室外熱交換器
106 配管
Lo11d 油汲み取り部の移動軌跡
P11a 旋回スクロールラップの上流端
S,SA,SB,SC スクロール圧縮機

Claims (10)

  1. 端板とそれに立設する渦巻き状のラップとを有する固定スクロールと、
    端板とそれに立設する渦巻き状のラップとを有すると共に、前記固定スクロールとの間に冷媒を圧縮する圧縮室を形成する旋回スクロールと、
    冷媒を前記圧縮室に供給する吸込室と、を備え、
    前記旋回スクロールの端板には、前記旋回スクロールの旋回運動に伴って前記固定スクロールのラップで仕切られている圧縮室側の空間の内部と吸込室側の空間の内部とに交互に連通する油汲み取り部が形成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、
    前記油汲み取り部の大きさは、前記圧縮室側の空間と前記吸込室側の空間とが当該油汲み取り部を介して連通しないように、当該油汲み取り部の移動範囲内における前記固定スクロールのラップの厚さよりも小さな値に設定されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機において、
    前記油汲み取り部は、前記旋回スクロールの旋回運動に伴って前記固定スクロールのラップの先端部の下を旋回するように移動する
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機において、
    前記固定スクロールの端板には、前記吸込室と繋がる円弧状溝が前記吸込室側の空間として形成されており、
    前記油汲み取り部は、前記圧縮室の内部に油を導入する油導入部より前記円弧状溝側に形成されており、前記旋回スクロールの旋回運動に伴って前記圧縮室側の空間の内部と前記円弧状溝の内部とに交互に連通する
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項4に記載のスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールの端板には、複数の前記油汲み取り部が形成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 請求項4に記載のスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールの端板には、長穴形状の前記油汲み取り部が形成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機において、
    前記吸込室は、前記圧縮室が形成される前の空間であり、前記圧縮室が形成されることにより前記圧縮室側の空間と前記吸込室側の空間とに分断される
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  8. 請求項7に記載のスクロール圧縮機において、
    前記油汲み取り部は、前記圧縮室側の空間に対してその空間の外周側に連通し、一方、前記吸込室側の空間に対してその空間の内周側に連通する
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  9. 請求項7又は請求項8に記載のスクロール圧縮機において、
    前記吸込室側の空間と前記油汲み取り部との連通面積は、前記圧縮室側の空間と前記油汲み取り部との連通面積よりも大きい
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  10. スクロール圧縮機と、
    熱交換器と、を備え、
    前記スクロール圧縮機は、
    端板とそれに立設する渦巻き状のラップとを有する固定スクロールと、
    端板とそれに立設する渦巻き状のラップとを有すると共に、前記固定スクロールとの間に冷媒を圧縮する圧縮室を形成する旋回スクロールと、
    冷媒を前記圧縮室に供給する吸込室と、を備え、
    前記旋回スクロールの端板には、前記旋回スクロールの旋回運動に伴って前記固定スクロールのラップで仕切られている圧縮室側の空間の内部と吸込室側の空間の内部とに交互に連通する油汲み取り部が形成されている
    ことを特徴とする空気調和機。
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