JP2017173371A - 光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高エネルギ密度で集光性の高いレーザ光源を用いたレーザ加工機用のレーザ光伝送装置として、複雑化や高コスト化を招くことなく、レーザビームをトップハット分布とし、被加工材のスパッタの発生を抑え、同時にパワー密度の変動を抑えて安定して加工を行うことが可能な、光ファイバを用いたレーザ光伝送装置を提供する。【解決手段】レーザ光源から加工用トーチにレーザ光を導くための光ファイバを、レーザ光源側の第1の光ファイバと、加工用トーチ側の第2の光ファイバとに分割し、第1の光ファイバから出射されたレーザ光を再集光用光学系により再集光して第2の光ファイバに入射させる際に、再集光側の光軸に対して第2の光ファイバの入射部の光軸を傾けることにより、第2の光ファイバ内でトップハット分布に変換するようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ溶接機などのレーザ加工機おいて、レーザ光源から加工用トーチに向けてレーザ光を伝送するための光ファイバを用いたレーザ光伝送装置に関するものである。
レーザ光を加工エネルギとして、溶接や切断、孔明け、溝加工等の加工を行うレーザ加工機においては、レーザ光源から被加工物へのレーザ光伝送手段としては、光ファイバを使用した光伝送装置が広く用いられている(例えば特許文献1)。
一方、レーザ加工機、とりわけレーザ溶接機用のレーザ光源としては、近年は、ファイバレーザ、ディスクレーザ等の如く、高エネルギ密度で集光性の高いものが多く使用されるようになっている。このような高エネルギ密度で集光性の高いレーザ光をレンズ等で集光すれば、正規分布又はガウス分布と称される、中心部のパワー密度が局所的に著しく高い、尖鋭なピークを有する集光ビームが得られる。このため、光ファイバを用いた従来の一般的なレーザ光伝送装置によってレーザ光源からの高エネルギ密度で集光性の高いレーザ光を伝送して、溶接等のために被加工物に照射すれば、照射領域中心部(焦点位置)のパワー密度が高すぎて、スパッタと称される飛散物が、加工点周りに多量に発生し、加工品の清浄性を著しく劣化させる問題が生じる。
このような従来の問題について、図9〜図12を参照してより具体的に説明する。
図9には、伝送装置として光ファイバを用いた従来の一般的なレーザ加工装置の構成を概略的に示し、図10、図11には、光学系における各部での中心軸線(光軸)に対し直交する面内でのレーザ光のパワー密度分布形状(横軸:位置、縦軸:パワー密度で標記)を示す。
図9において、レーザ光源、例えばファイバレーザ等のレーザ発振器1より出力されたレーザビームは、光ファイバ2にて導波され、加工用トーチ3内のレンズ系によって被加工物5の表面の集光点4に照射される。ここで、光ファイバ2内でのレーザ光31のパワー密度分布は、図10に示すように、主に正規分布(ガウス分布)となっている。このレーザ光を加工トーチ3で集光すれば、その集光レーザビーム32の集光点4でも、やはり図11で示すように正規分布となる。このような正規分布である集光ビーム32は、その中心が周囲に比べて尖鋭なピーク状に極端に高いパワー密度となっているため、被加工物の集光点中心部が急激に高温に加熱されて、被加工物表面が急激に蒸気化またはイオン化し、それに伴い溶融金属を飛散させて、いわゆるスパッタと称される飛散物を生じさせてしまう。この結果、被加工物表面の加工点周囲に、飛散した溶融金属が付着・凝固し、その結果、被加工物の表面清浄性を著しく悪化させてしまう問題がある。またスパッタによる堆積物によって、形状誤差を生じさせてしまう問題が生じることもある。
上記のような問題に対処する方法として、被加工物の表面に対し、レーザビームの焦点位置を故意にずらして、被加工物の表面位置でのパワー密度を低下させることにより、スパッタの発生を抑制しつつレーザ加工することが、従来から行われている。
しかしながらファイバレーザ等の高エネルギ密度のレーザ光源による正規分布のレーザビームにおいては、図12に示しているように、集光点付近では集光距離変化に対する照射レーザビームのパワー密度の変化量が大きいため、現実の装置では、被加工物の表面位置でのパワー密度が常に一定に保たれるように焦点位置のずらし量を維持することは、実際上、きわめて困難である。したがって、焦点位置をずらす手法を適用する場合、実際には被加工物の表面でのパワー密度を安定させることは困難であり、そのため、溶接等の加工を安定して行うことが困難であった。
そこで、ファイバレーザ等の高パワー密度で集光性の高いレーザ光源を使用して、溶接などのレーザ加工を行うにあたって、スパッタの発生を抑制し、しかも安定した加工を行うためには、レーザ集光点におけるパワー密度分布形状を、従来の正規分布(ガウス分布)とは異なる、トップハット分布と称される分布形状とすることが望ましいと考えられる。トップハット分布とは、方形分布とも称され、図13において実線Tで示しているように、破線Nで示す正規分布の頂部を押し潰して頂部を平坦とした形状の分布であって、方形分布とも称され、同じエネルギ量のレーザビームの正規分布(N)と比較して、中心でのパワー密度が低く、スパッタが発生しにくくなり、また焦点位置ずれによる被加工物表面でのパワー密度の変動も少ないと考えられる。
このようにトップハット分布のレーザビームを被加工物に照射して、溶接などのレーザ加工を行うことは、既に特許文献2〜6等によって提案されている。しかしながらこれらの提案では、トップハット分布を得るために特殊な光学系を必要としたり、特殊な媒質を使用したりしなければならず、高コストとならざるを得ない。また従来のこれらの提案の技術では、一旦装置を組み上げた後には調整が困難であったり、不可能であったりして、被加工物の材質や加工範囲、加工量等に応じた最適なトップハット分布を得ることが必ずしも容易ではないという問題もあった。
特開2008−254006号公報 特開2015−155110号公報 特開2011−176116号公報 特開2011−161483号公報 特開2014−125660号公報 特開2015−188901号公報
本発明は、上記課題に鑑みて行われたものであり、ファイバレーザ、ディスクレーザ等の高エネルギ密度で集光性の高いレーザ光を発生するレーザ光源を用いたレーザ加工機に使用される、光ファイバを用いたレーザ光伝送装置として、光学系の複雑化や高コスト化を招くことなく、加工用トーチに導かれるレーザ光のビームの分布モードがトップハット分布となるようにし、これによって、被加工材のスパッタの発生を抑えるとともに、パワー密度の変動を抑えて安定して溶接等の加工を行うことが、実際的に可能なレーザ光伝送装置を提供することを課題とするものである。
前述のような課題を解決するべく、本発明者等が種々実験・検討を重ねたところ、レーザ光源から加工用トーチにレーザ光を導くための光ファイバを、レーザ光源側の第1の光ファイバと、加工用トーチ側の第2の光ファイバとに分割し、第1の光ファイバから出射されたレーザ光をレンズ群などからなる再集光用光学系により再集光して第2の光ファイバに入射させる際に、再集光側の光軸に対して第2の光ファイバの入射部の光軸を傾ける(角度を付ける)ことによって、レーザ光源からのレーザビームが正規分布(ガウス分布)であっても、特殊な光学系や特殊な媒質を使用することなく、簡単かつ容易にトップハット分布に変換し得ること、またその場合、パワー密度の変動も少なく、かつトップハット分布形状の調整も容易となることを見い出し、本発明をなすに至った。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置は、
レーザ光源からのレーザ光を加工用トーチに伝送するための、光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置において、
レーザ光源からのレーザ光を導く第1の光ファイバと、
前記第1の光ファイバから出射されたレーザ光を再集光して再集光レーザビームを形成するための再集光用光学系と、
前記再集光レーザビームが入射されて、レーザ光を前記加工用トーチに向けて伝送するための第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバにおける入射部の光軸の角度を、前記再集光レーザビームの光軸に対して相対的に調整するための角度調整機能を有する調整機構と
を有し、
前記調整機構により、第2の光ファイバにおける入射部の光軸に、前記再集光レーザビームの光軸に対して相対的に角度を与えることによって、第2の光ファイバ内において光軸に対して直交する面内でのパワー密度分布をトップハット分布に変換し、そのトップハット分布とされたレーザ光を第2の光ファイバから前記加工用トーチに導くようにしたことを特徴とするものである。
また本発明の第2の態様の光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置は、前記第1の態様において、前記調整機構が、前記角度調整機能のほか、第2の光ファイバにおける入射面のコアの中心位置を、前記再集光レーザビームの中心軸位置に対して相対的に調整する位置調整機能を備えていることを特徴とするものである。
さらに本発明の第3の態様の光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置は、前記第1もしくは第2の態様において、前記第2の光ファイバのコア径が、前記第1の光ファイバのコア径より大きいことを特徴とするものである。
また本発明の第4の態様の光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置は、前記第1もしくは第2の態様において、前記第2のファイバの最大入射可能角度が、前記第1の光ファイバの最大入射可能角度より大きいことを特徴とするものである。
本発明によれば、集光性の高いファイバレーザ、ディスクレーザ等の高エネルギ密度で集光性の高いレーザ光を発生するレーザ光源を用いたレーザ加工機に使用されるレーザ光伝送装置として、光学系の複雑化や高コスト化を招くことなく、加工用トーチに導かれるレーザ光の分布モードを、簡単かつ容易にトップハット分布に変換することができ、そのため、コスト上昇を招くことなく、トップハット分布のレーザビームによる加工によって、被加工材のスパッタの発生を抑えることができるとともに、パワー密度の変動を抑えて安定して溶接等の加工を行うことが実際的に可能となる効果が奏され、さらに、トップハット分布の形状の調整も容易となるため、より最適なトップハット分布でのレーザ加工を行って、高い加工効率を常に得ることが可能となる効果も奏される。
本発明のレーザ光伝送装置を組み込んだレーザ加工機の一例の概要を示す略解図である。 本発明のレーザ光伝送装置に使用される調整機構の一例を示す斜視図である。 本発明のレーザ光伝送装置における再集光用光学系から再集光レーザビームから第2の光ファイバに再集光レーザビームが入射される際の状況を説明するための模式図である。 本発明のレーザ光伝送装置における再集光用光学系からの再集光レーザビームのパワー密度分布の一例を示す線図である。 本発明のレーザ光伝送装置における加工用トーチから被加工物に照射される際のレーザビームの焦点位置におけるパワー密度分布の一例を示す線図である。 本発明のレーザ光伝送装置における第1の光ファイバから再集光用光学系を経て第2の光ファイバに入射される再集光レーザビームの状況の一例を説明するための模式図である。 本発明のレーザ光伝送装置における第1の光ファイバから再集光用光学系を経て第2の光ファイバに入射される再集光レーザビームの状況の別の例を説明するための模式図である。 レーザビームのパワー密度分布として、トップハット分布の定義を説明するための線図である。 従来のレーザ加工機の一例の概要を示す略解図である。 従来のレーザ加工機におけるレーザ光原からのレーザ光のパワー密度分布の一例を示す線図である。 従来のレーザ加工機における加工用トーチからのレーザビームの焦点位置におけるパワー密度分布の一例を示す線図である。 従来のレーザ加工機における加工用トーチからのレーザビームの焦点位置を被次加工材表面に対してずらした場合の、被加工材表面におけるパワー密度分布の変化の状況の一例を示す線図である。 レーザビームのパワー密度分布について、正規分布(ガウス分布)と比較してハットトップ分布を説明するための線図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明によるレーザ光伝送装置を適用したレーザ加工機、例えばレーザ溶接機の一例を概略的に示す。
図1において、レーザ光源、例えばファイバレーザ等のレーザ発振器1より出力されたレーザビーム、例えば正規分布型(ガウス分布型)のパワー密度分布を有するレーザビームは、第1の光ファイバ21によって、複数のレンズ群などからなる再集光用光学系6に導かれ、その再集光用光学系6から第2の光ファイバ22を経て溶接用トーチや切断用トーチ等の加工用トーチ3に導かれる。すなわち第1の光ファイバ21のコアの出射側端面から出射されたレーザ光は、再集光用光学系6によって再集光されて、再集光されたレーザビーム(再集光レーザビーム)33が第2の光ファイバ22の入射部端面からそのコア内に入射され、第2の光ファイバ22によって加工用トーチ3に導かれる。
ここで、第2の光ファイバ22の入射部(入射側端部)22Aは、調整機構7によって保持されている。この調整機構7は、第2の光ファイバ22における入射面の光軸の角度を、前記再集光用光学系6によって再集光されたレーザ光の光軸に対して相対的に調整する機能(角度調整機能)を有しており、さらに本実施形態では、上記の角度調整機能と併せて、第2の光ファイバ2における入射面のコア中心位置を、前記再集光用光学系からの再集光レーザビームの中心軸位置に対して相対的に調整する機能(位置調整機能)を有している。
そして本発明では、上記の第1の光ファイバ21と、再集光用光学系6と、調整機構7と、第2の光ファイバ22とからなる部分の全体を、レーザ光源からのレーザ光を加工用トーチに伝送するためのレーザ光伝送装置8と称している。
前述の調整機構7の具体的な構成の一例を図2に示す。
図2において、図示しない固定基台上に、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動調整可能となるXYZステージ71が配設されている。XYZステージ71上には、固定プレート72が前記再集光用光学系6の光軸(再集光レーザビームの中心軸)に対しほぼ直交する面に沿うように固定されるとともに、煽りプレート73が固定プレート72とほぼ平行に、傾動可能に設けられている。固定プレート72と煽りプレート73との間は、XYZステージ71に近い位置(固定位置)において固定ピン74によって連結されている。またその固定位置から各プレートの面に沿った方向の異なる2方向(望ましくは直角な2方向:例えばX方向及びZ方向)に離れた位置には、固定プレート72と煽りプレート73との間の距離を調整可能な2本の角度煽りネジ75、76が設けられている。そして第2の光ファイバ22の少なくとも入射側の端部(再集光用光学系6側の端部)22aはファイバホルダ77によって保持されており、そのファイバホルダ77の先端部が固定プレート72の開口部に傾動可能に挿入され、ファイバホルダ77の後方側野部分(再集光用光学系6から離れた側の部分)が、煽りプレート73に固定状態で保持されている。なお再集光用光学系6は、図2では示していないが、前記固定基台(図示せず)上に固定されるか、又は固定基台に対して常に固定的な位置関係を保つようにされている。
このような調整機構7においては、角度煽りネジ75、76をそれぞれ独立に廻して調整することによって、固定ピン74を基準として煽りプレート73を傾ける(煽る)ことができる。すなわち再集光用光学系6の光軸(再集光レーザビームの中心軸)に対する煽りプレート73の角度を調整することができる。これによって、再集光用光学系6の光軸に対するファイバホルダ77の角度、ひいてはそのファイバホルダ77によって端部22aが保持されている第2の光ファイバ22の入射部の光軸の角度を、再集光レーザビームの光軸に対して調整する(傾き角度を調整する)ことができる。
またXYZステージ71を、図示しない固定基台に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のいずれか1以上の方向に移動させることによって、再集光レーザビームの集光位置に対する第2の光ファイバ22の入射面の中心位置を調整して、その中心位置を集光位置に合致させることができる。
ここで、図3を参照しながら、本実施形態におけるレーザ光伝送装置8内の調整機構7の角度調整機能によって、第2の光ファイバ22の入射部の光軸(コアの中心軸線)の角度を再集光用光学系6の光軸Orに対して傾けるように角度調整することによる作用について説明する。
一般的なレーザ光伝送装置において、集光されたレーザ光(集光ビーム)を光ファイバに入射させる際には、集光ビームの光軸に対して光ファイバの光軸を合致させ、かつ集光位置(焦点もしくは結像位置)に光ファイバの端面(入射面)を合わせること、すなわちミスアライメントが無いようにするのが通常である。これに対して本発明の場合は、再集光用光学系6の光軸、すなわち再集光ビームの中心軸線に対して第2の光ファイバ22の入射部の光軸の角度を故意に傾ける(角度ずらしを行う)ように、各度調整を行う(位置調整機能については後に改めて説明する)。
図3には、コア22Aとそれを取り囲むクラッド22Bからなる一般的なシングルモードファイバからなる第2の光ファイバ22のコア22Aに、再集光レーザビーム33が入射する状況を示す。なお図3において、再集光レーザビームの光軸については、第2の光ファイバ22の入射部の光軸Ocと一致している状態での光軸を符号Or´で示し、第2の光ファイバ22の入射部の光軸Ocに対して傾いている状態での光軸を符号Orで示している。
図3の点線は、前述のように再集光レーザビームがミスアライメントなしで第2の光ファイバ22に入射する状況、すなわち、再集光レーザビームの光軸Or´と第2の光ファイバ22の入射部の光軸Ocとが一致している状態(アライメント状態)を示している。この場合、第2の光ファイバ22のコア22A内に入射したレーザビームは、コア22Aとクラッド22Bとの境界面において全反射を繰り返しながら、第2の光ファイバ22のコアA内を進む。このとき、レーザビームは、第2の光ファイバ22の中心軸線を基準として軸対象に反射しながらコア内を進行する。
一方、図3の実線は、再集光レーザビームの光軸Orに対して第2の光ファイバ22の入射部の光軸Ocが角度αだけ傾いている状況(角度ずらし状態)を示す。この状況は、再集光レーザビームが光ファイバ22に曲がって入射する状況ということもできる。このような角度ずらし状態では、アライメント状態とは異なり、第2の光ファイバ22のコアA内に入射したレーザビームは、第2の光ファイバ22の中心軸線に対し非対称に反射を繰り返すことになる。そのため、コア内への入射位置によって、コア22Aとクラッド22Bとの境界面での反射の回数が大きく異なり、その結果、異なる入射位置の光がコア内で次第に混じり合うことになる。その結果、入射時における再集光レーザビーム33のパワー密度の特有の分布状況(この場合、正規分布で、中心が高く周辺が低い分布)が変化し(崩れ)、反射を繰り返すうちに、コア内でパワー密度が平均化されていく。このようなコア内でのパワー密度の平均化によって、第2の光ファイバ22の終端から出射されるレーザビーム34は、例えば図4に示すようなトップハット分布となる。なお、このような平均化のメカニズムからすれば、第2の光ファイバは、その長さが長いほど、より平均化が進行して、トップハット分布をより確実に得ることが可能になる。
以上のようにして第2の光ファイバ22からは、例えば図4に示すようなトップハット形状のレーザビーム34が出力される。このようなトップハット形状のレーザビーム34を加工用トーチ3に導波すれば、集光点4においても、図5のようなトップハット形状の集光ビーム35が実現できる。このトップハット形状の集光ビームは、光軸位置を中心として、パワー密度が高い領域が平坦に広がっていて、中心にパワー密度が極端に高い部分(尖鋭にピークが生じている箇所)がないため、例えば溶接などのレーザ加工において、スパッタが発生することを抑制することができる。また同時に、焦点位置を被加工材の表面位置に対してずらしても、被加工材表面におけるパワー密度の変動は少なく、そのため安定した溶接等のレーザ加工を実現することができる。
ここで、第2の光ファイバ22のコア径が、第1の光ファイバ21のコア径と同じで、最大入射可能角度θmaxも第1の光ファイバ21と第2の光ファイバ22とで同じであれば、曲がった状態で第2の光ファイバ22に入射された再集光レーザビームの内、僅かではあるが第2の2光ファイバ22のコアに入りきらない部分が生じ、その部分のレーザ光のエネルギは、第2の光ファイバ22内で熱として消費されてしまい、効率の悪い光学系となってしまうことが懸念される。
レーザビームのトップハット分布を積極的に促進しながら、上記のような発熱の防止、効率の低下防止を図るための第1の手法としては、例えば図6に示しているように、第2の光ファイバ22のコアの最大入射可能角度θmax2を、第1の光ファイバ21のコアの最大入射可能角度θmax1より大きくすることが有効である。なお最大入射可能角度θmaxは、光ファイバの開口数NAで表現可能であり、NA=sin(θmax)である。
上記のように第2の光ファイバ22の最大入射可能角度θmax2を、第1の光ファイバ21の最大入射可能角度θmax1より大きくすることが有効である理由は次の通りである。
すなわち、第2の光ファイバ22を再集光ビームの中心軸(従って第1の光ファイバ21の光軸)に対して曲げても、その曲げ角度(入射ずらし角度)αが、第1の光ファイバ21のθmax1と第2の光ファイバ22のθmax2との角度の差分より小さければ、第2の光ファイバ22への再集光ビームが第2の光ファイバ22の最大入射可能角度θmax2の範囲を越えないため、再集光ビームの全てのレーザ光を第2の光ファイバ22のコアに入射させることができ、コアに入り切らない部分がなくなるためである。
また、レーザビームのトップハット分布を積極的に促進しながら、上記のような発熱の防止、効率の低下防止を図るための第2の手法としては、図7に示しているように、第2の光ファイバ22のコア径d2を第1の光ファイバ21のコア径d1よりも大きくすることが有効である。その理由は次の通りである。
一般に光学系では、レーザビームは次の式に従う。
すなわち集光径をd、発散の角度をθとすれば、
d×θ=一定
このため、第2の光ファイバ22のコア径d2が、第1の光ファイバ21のコア径d1のa倍(aは1以上の数)であれば、集光してくるビームの発散(集光)の角度は1/a倍となる。一例として、図7では、第1の光ファイバ21のコア径d1に対してa倍のコア径d2(=a×d1)を持つ、第2のファイバ22に拡大結像する状況を示している。なおこの例では、第2ファイバ22の最大入射可能角度θmax2は、第1の光ファイバ21の最大入射可能角度θmax1と同じであるとしている。
この場合、第2の光ファイバ22への入射ビーム(再集光ビーム)の集光角(発散の角度)θmax1/aは、第2の光ファイバ22の最大入射可能角度θmax2(=θmax1)
より小さくなり、この差分を超えない範囲内で第2の光ファイバを曲げても再集光レーザビームが第2の光ファイバ22のコアからはみ出すことはない。
なお、上記のところでは、第2の光ファイバ22のコアの最大入射可能角度θmax2を、第1の光ファイバ21のコアの最大入射可能角度θmax1より大きくするという第1の手法と、第2の光ファイバ22のコア径を第1の光ファイバ21のコア径よりも大きくするという第2の手法とを個別に説明したが、これらの手法を組合せても良いことはもちろんである。すなわち、第2の光ファイバ22のコアの最大入射可能角度θmax2を、第1の光ファイバ21のコアの最大入射可能角度θmax1より大きくすると同時に、第2の光ファイバ22のコア径を第1の光ファイバ21のコア径よりも大きくしても良い。
また前述の実施形態において、調整機構7は、角度調整機能のみならず、位置調整機能をも有しているとしたが、その理由は次の通りである。
すなわち、実施形態では、角度煽りネジ75、76を調整することによって、固定ピン74を基準として煽りプレート73を傾ける(煽る)ことによって、第2の光ファイバ22の入射部の光軸を再集光用光学系6の光軸に対して傾ける(角度調整する)こととしているが、この場合、第2の光ファイバ22の入射面の中心位置が、再集光用光学系6からの再集光ビームの焦点位置からずれてしまうことがある。そこで、角度調整時もしくはその後において、第2の光ファイバ22の入射面の中心位置が、再集光用光学系6からの再集光ビームの焦点位置に合致するように、XYZステージ71を、図示しない固定基台に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のいずれか1以上の方向に移動調整して、上記の位置合わせを行い得るようにしている。
以上のところにおいて、最終的にトップハット分布のレーザビームを得るために必要な第2の光ファイバ22の入射ずらし角度αは、第2の光ファイバ22の長さによって大きく異なり、また再集光用光学系6における集光特性(集光角)や、第2の光ファイバ22の材質(コアの屈折率)、コア径等によっても変化するから、一概に規定することはできないが、後述する実施例1、実施例2で示しているように、例えば第2の光ファイバ22のファイバ長10mでは、0.1°もしくは0.3°程度以上でトップハット分布と評価し得るレーザビームパワー密度分布を得ることができる。
また第2の光ファイバ22の入射ずらし角度αを0.1°もしくは0.3°程度よりも大きくすれば、より良好なトップハット分布を得ることができるが、1.5°程度もしくは2.0°程度を越えても、それ以上はトップハット形状が変化しない。さらに、入射ずらし角度αを過剰に大きくすれば、前述の第1の手法もしくは第2の手法を適用しても、第2の光ファイバ22のコアに再集光ビームが入りきらない部分が生じて、発熱、効率の低下を招くから、通常は入射ずらし角度αは、最大で1.0°程度以下とすることが望ましい。
なお、トップハット分布が得られているか否かは、第2の光ファイバ22の出側のレーザビーム34における光軸に直交する面内でのパワー密度分布を調べることによって、次のような手法で評価することができる。
すなわち図8に示しているように、第2の光ファイバ22の出側のレーザビーム34の最大パワー密度の17%に相当するパワー密度の高さのラインにおけるビーム径を集光ビーム径と規定し、中心の水平部の径をフラット部ビーム径とする。そして、上記の集光ビーム径に対するフラット部ビーム径の比(フラット部ビーム径/集光ビーム径)をトップハット率とし、その比の値によって、トップハット分布の形性状況を評価することができる。
本発明の実施形態においては、上記の比が0.5以上である場合に、トップハット分布となっていると判定することとしている。すなわち、
トップハット率=フラット部ビーム径/集光ビーム径≧0.5
となった場合に、トップハット分布と判定している。
ここで、第2の光ファイバ22の出側のレーザビーム34における上記のトップハット率が0.5以上であれば、加工用トーチによって集光した集光ビームを被加工物に照射した際にスパッタ抑制の効果が得られることが実験によって確認されている。
なお上記のところでは、トップハット分布が得られているか否かを、第2の光ファイバ22の出側のレーザビーム34のトップハット率で評価することとしているが、加工用トーチ3におけるレンズなどの歪みは一般に著しく小さいから、加工用トーチ3で集光されたレーザビーム35の焦点(像点)でのトップハット率も、上記の第2の光ファイバ22の出側のレーザビーム34のトップハット率と実質的に同じとなるのが通常である。そこで、場合によっては、加工用トーチ3で集光されたレーザビーム35の焦点(像点)でのパワー密度分布によってトップハット率を評価することも許容される。
なおまた、前述の実施形態では、再集光用光学系6を固定しておき、調整機構7によって第2の光ファイバ22の入射部の角度、位置を調整することとしているが、再集光用光学系6と第2の光ファイバ22との関係は相対的なものであり、したがって、第2の光ファイバ22の入射部を固定しておき、再集光用光学系6の角度、位置を調整してもよいことはもちろんである。
本発明の作用・効果を検証するため、以下の実施例に示すような実験を行なった。
〔実施例1〕
この実施例1は、前述の第1の手法、すなわち図6に示したように、第2の光ファイバ22の最大入射可能角度θmax2を、第1の光ファイバ21の最大入射可能角度θmax1よりも大きくする手法を適用した例である。
具体的には、レーザ光源として出力1kWのファイバレーザを用い、第1、第2の光ファイバ21、22として、一般的な石英系のシングルモードファイバを使用し、図1に示すようなレーザ加工機(本例ではレーザ溶接機)によって、鋼板表面に0.4mmの集光径でレーザビームを照射し、3mm厚の鋼板の溶接試験を行った。
第1の光ファイバ21は、コア径400μm、NA=0.20(θmax1=11°)、第2の光ファイバ22は、コア径400μm、NA=0.26(θmax2=14°)、第2の光ファイバ22の長さは10mとした。また再集光用光学系6としては等倍結像系を用い、第2の光ファイバ22への集光角は約8°とした。
再集光用光学系6の光軸Orに対する第2の光ファイバ22の入射部の光軸Ocの角度(入射ずらし角度α)を種々変化させる角度調整を行い、かつ各入射ずらし角度ごとに、第2の光ファイバ22の入射面の中心位置を再集光用光学系6からの再集光ビームの焦点位置にできるだけ合致させるように、最も大きなパワーが出る(ロスが少なくなる)位置にて固定するという位置調整を行った。そして各入射ずらし角度ごとに、再集光ビームのパワー密度分布状況を調べて、トップハット率を求めるとともに、スパッタの発生状況を調べた。
その結果、入射ずらし角を0.1°以上とすることによって、トップハット率が0.5以上となること、すなわち加工用トーチからのレーザビームがトップハット分布となって、スパッタの発生を低減し得ることが判明した。特に、入射ずらし角を1.5°とした場合に、非常に良好なトップハット分布(トップハット率0.75)が得られ、スパッタの発生を充分に抑制し得ることが確認された。なお入射ずらし角が1.5°を越えても上記の効果は変わらないが、入射ずらし角が3°を超えれば、再集光ビームが第2の光ファイバ22のコアに入りきらず、効率が低下することが確認された。
上記のところにおいて、入射ずらし角0.1°未満で効果が認められなかった理由は、10mの長さの第2の光ファイバ内では、反射の回数が充分に増えなかったためと考えられる。また、入射ずらし角1.5°を超える条件下においては、既にトップハット化が完全に完了しているため、それ以上の改善がなされないためと考えられる。
〔実施例2〕
この実施例2は、前述の第2の手法、すなわち第2の光ファイバ22のコア径を、第1の光ファイバ21のコア径よりも大きくする手法を適用した例である。
具体的には、実施例1と同様に、レーザ光源として出力1kWのファイバレーザを用い、第1、第2の光ファイバ21、22として、一般的な石英系のシングルモードファイバを使用し、図1に示すようなレーザ加工機(本例ではレーザ溶接機)によって、鋼板表面に0.4mmの集光径でレーザビームを照射し、3mm厚の溶接試験を行った。
第1の光ファイバ21は、コア径200μm、NA=0.20(θmax1=11°)、第2の光ファイバ22は、コア径400μm、NA=0.20(θmax2=11°)、ファイバ長10mとした。再集光用光学系6として2倍結像系を用いたところ(図7中のa=2)、第2の光ファイバ22への集光角は約5.5度となった。そして各入射ずらし角度ごとに、再集光ビームのパワー密度分布状況を調べて、前述のトップハット率の値を求めるとともに、スパッタの発生状況を調べた。
その結果、入射ずらし角を0.3°以上とすることによって、トップハット率の値が0.5以上となること、すなわち加工用トーチからのレーザビームがトップハット分布に変換されて、スパッタの発生を低減し得ることが判明した。特に、入射ずらし角を2.0°とした場合に、非常に良好なトップハット分布を得ることができ(トップハット率0.75)、スパッタの発生を充分に抑制し得ることが確認された。なお入射ずらし角が2.0°を越えても上記の効果は変わらないが、入射ずらし角が5.5°を超えれば、再集光ビームが第2の光ファイバ22のコアに入りきらず、効率が低下することが確認された。
上記のところにおいて、入射ずらし角0.3°未満で効果が認められなかった理由は、10mの長さの第2の光ファイバ内では、反射の回数が充分に増えなかったためと考えられる。また、入射ずらし角2.0°を超える条件下においては、既にトップハット化が完全に完了しているため、それ以上の改善がなされないためと考えられる。
以上、本発明の好ましい実施形態および実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
1 レーザ発振器(レーザ光源)
3 加工用トーチ
5 被加工物
6 再集光用光学系
7 調整機構
21 第1の光ファイバ
22 第2の光ファイバ

Claims (4)

  1. レーザ光源からのレーザ光を加工用トーチに伝送するための、光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置において、
    レーザ光源からのレーザ光を導く第1の光ファイバと、
    前記第1の光ファイバから出射されたレーザ光を再集光して再集光レーザビームを形成するための再集光用光学系と、
    前記再集光レーザビームが入射されて、レーザ光を前記加工用トーチに向けて伝送するための第2の光ファイバと、
    前記第2の光ファイバにおける入射部の光軸の角度を、前記再集光レーザビームの光軸に対して相対的に調整するための角度調整機能を有する調整機構と
    を有し、
    前記調整機構により、第2の光ファイバにおける入射部の光軸に、前記再集光レーザビームの光軸に対して相対的に角度を与えることによって、第2の光ファイバ内において光軸に対して直交する面内でのパワー密度分布をトップハット分布に変換し、そのトップハット分布とされたレーザ光を第2の光ファイバから前記加工用トーチに導くようにしたことを特徴とする光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置。
  2. 請求項1に記載の光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置において、
    前記調整機構が、前記角度調整機能のほか、第2の光ファイバにおける入射面のコアの中心位置を、前記再集光レーザビームの中心軸位置に対して相対的に調整する位置調整機能を備えていることを特徴とする光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置。
  3. 請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置において、
    前記第2の光ファイバのコア径が、前記第1の光ファイバのコア径より大きいことを特徴とする光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置。
  4. 請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置において、
    前記第2のファイバの最大入射可能角度が、前記第1の光ファイバの最大入射可能角度より大きいことを特徴とする光ファイバを用いたレーザ加工機用レーザ光伝送装置。
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