JP2017176074A - アンチセンスオリゴ核酸化合物およびその配列決定法 - Google Patents

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猛夫 島崎
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聡子 山本
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康志 清尾
慶昭 正木
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慶昭 正木
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Abstract

【課題】本発明は、優れた効果を有するアンチセンスオリゴ核酸化合物、およびその配列決定法を提供することを主な課題とする。【解決手段】本発明として、例えば、標的遺伝子(例、GSK3β)のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的な二重鎖を形成し、かかる二重鎖形成部における当該mRNAのmiRNA結合サイトをRNaseHにより切断することができる、修飾または改変されていてもよい一本鎖核酸を含むアンチセンスオリゴ核酸化合物、それを有効成分として含有する癌治療剤等の医薬組成物、およびアンチセンスオリゴ核酸化合物の効果的配列決定法を挙げることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、アンチセンス核酸に係る技術分野に属する。詳しくは、本発明は、アンチセンスオリゴ核酸化合物に関するものであって、GSK3β等のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成しうるアンチセンスオリゴ核酸化合物、かかるアンチセンスオリゴ核酸化合物を有効成分とする医薬組成物、またはアンチセンスオリゴ核酸化合物の配列決定法に関するものである。
癌、すなわち悪性腫瘍は、生体自身から発生した細胞塊が生体の制御を脱し、自律的に異常に増殖し続け、周囲の組織や遠くの臓器にまでの浸潤と転移に至り、最終的には生体を死に至らしめる疾病である。現在の日本において、癌は、全死亡原因のうち約30%を占める第一位の死亡原因である。その中でも胃癌、大腸癌、膵臓癌等の消化器系の癌の比率が日本においては死亡原因の半数以上を占め、世界と比較して非常に高くなっている。
癌を引き起こす主な原因は、遺伝的要因、または発癌性物質等による環境的要因または細菌・ウィルス感染等によって引き起こされる遺伝子変異等であり、その結果として人体の組織に存在する細胞の無秩序な増殖を引き起こす。遺伝子変異等により、その機能が亢進した結果、癌を引き起こす遺伝子を「癌促進遺伝子」と呼び、現在Src、Ras等の200種類以上が知られている。これらの「癌促進遺伝子」の多くは細胞増殖に関する機能を有する遺伝子である。一方、その機能が低下すると、癌を引き起こす遺伝子を「癌抑制遺伝子」と呼び、P53、BRCA1およびGSK3β等が知られている。これらの遺伝子は、細胞周期チェックポイント制御、転写因子制御等の機能を有している遺伝子である。
これらの「癌関連遺伝子」に対して、その遺伝子産物そのものを標的とする分子標的医薬が近年盛んに開発されている。分子標的医薬は、癌細胞の増殖等に関わる特定の分子に狙いを定めて攻撃する薬であり、癌細胞の特定の分子を標的としているため、従来の薬と比較して正常細胞への副作用が少なく治療効果が高いことが特徴である。分子標的医薬の標的としては、今までに、EGFR(上皮成長因子受容体)、HER2、mTOR、ALKなどが知られている。これらはいずれも癌の増殖に関係するタンパク質である。
GSK3β(グリコーゲン・シンターゼ・キナーゼ・3ベータ)は、当初はグリコーゲン代謝に関与するセリン/スレオニンタンパク質キナーゼとして発見されたが、その後、その機能に加えて、細胞内のシグナル伝達経路であるWnt経路における重要な制御因子であることが解明されてきた。このWnt経路において、GSK3βは細胞増殖に重要な転写促進因子であるβカテニンをリン酸化することにより、ユビキチン−プロテアソーム分解系に誘導、そして分解させる機能を有している。以上の機能からGSK3βは「癌抑制遺伝子」の一つであると考えられている。
本発明者らのグループは、GSK3βが、従来、「癌抑制遺伝子」であるという知見に反して、癌化した細胞において機能が亢進していること、および、その機能の抑制により、癌を抑制できることを報告し、GSK3βを癌治療の標的とすることを提案している(非特許文献1)。これは、Wnt経路抑制機能とは全く異なり、GSK3βの過剰発現やそのリン酸化による酵素活性の調節不全が、癌細胞の生存や増殖を維持、および促進するという病的作用である。
しかし、現在のところ、GSK3βの働きを効果的に阻害する分子標的医薬は未だ開発されておらず、GSK3βの機能を調節するために、化学阻害剤等以外にも抗体、アンチセンス核酸等の開発が試みられている。特許文献1においては、ゲムシタビン、シメチジンおよびバルプロ酸を組み合わせた膵臓癌治療剤が開示されている。当該治療剤においては、従来使用されていた薬物からの、ドラッグリポジショニングの手法によるスクリーニングにおいてGSK3β阻害活性が見いだされた3種の薬剤を、組み合わせて投与することにより、GSK3βの機能に起因する癌の治療を試みている。
また、特許文献2には、GSK3βに対するアンチセンス核酸医薬が開示されている。当該アンチセンス医薬は、GSK3β遺伝子、mRNA、またはプレmRNAに対するものであり、糖尿病、アルツハイマーおよび双極性障害等のGSK3βの機能と関連した症状の治療を目的としている。
このような遺伝子を標的としたアンチセンス核酸医薬は、効果的な分子標的医薬が存在しない場合においては、直接目的の遺伝子の働きを抑制するためには非常に有効な戦略である。アンチセンス核酸化合物の化学構造の修飾技術の進歩により、従来の課題であったアンチセンス核酸化合物の安定性は達成されつつあるが(非特許文献2)、目的の達成のために効果的なアンチセンス核酸化合物の設計方法、および目的とする組織の細胞内へ効率的な送達等においては、未だ十分には確立されておらず課題が多い状況である。
アンチセンス核酸化合物の設計上の問題は、その効果の予測が困難なところである。原理上は、標的となる配列の候補は、設計の標的となるmRNAが数千塩基〜数万塩基からなるため非常に多い。しかし、実際のところ、標的となるmRNAは高次構造をとるため、アンチセンスオリゴ核酸化合物が実際に接近できる配列は限られ、しかもその高次構造は、核酸結合タンパク質との相互作用によって変化するため、標的mRNAに対し接近可能なアンチセンスオリゴ核酸化合物の配列を、合理的に決定することは非常に困難である。そのため、これまで活性のあったアンチセンスオリゴ核酸配列から、共通のモチーフを統計的に選びだし、モチーフを含む配列を選択する方法(非特許文献3)や、網羅的にアンチセンスオリゴ核酸配列をスクリーニングする方法などが用いられてきた。
ところで、近年、ヒト等の高等哺乳動物の細胞内における、18〜25塩基程度の長さを有する一本鎖の小分子RNAであるmiRNA(マイクロRNA)の働きが徐々に明らかになってきている。miRNAは、タンパク質には翻訳されない非翻訳領域のRNAであり、mRNAの分解、発現調節等の様々な機能を有している。miRNAは、RISK(RNA−induced silencing complex、RNA誘導サイレンシング複合体)と結合することによりmiRISK(miRNA−RNA誘導サイレンシング複合体)を形成し、標的とする遺伝子のmRNA等に結合し作用することにより、当該mRNA等の発現を制御するという生命現象において重要な働きを担っている。GSK3β遺伝子の発現も、このようなmiRNAによって制御されていることが報告されている(非特許文献4)。
特開2014−214126号公報 特表2003−520041号公報
島崎猛夫,石垣靖人,源利成,元雄良治 膵臓,(2010),Vol.25,pp.35〜45 Jens Kurreck,European Journal Of Biochemistry,(2003),Vol.270,pp.1628〜1644 O.V.Matveeva,et al.,Nucleic Acids Research,(2000),Vol.28(15),pp.2862〜2865 Yueguang Liu et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications,(2011),Vol.408,pp.259〜264
GSK3βのような、効果的な分子標的医薬が存在しない遺伝子ないし遺伝子産物に対しては、アンチセンスオリゴ核酸医薬を構築することは有効な戦略であると考えられる。しかし、従来は、効果的なアンチセンスオリゴ核酸を、合理的に設計することは非常に困難であった。
miRNAの主要な機能は、miRNAとRISCとがRISC複合体(miRISC)を形成し、当該miRISCがmRNAの非翻訳領域である3’−UTR等に結合することにより、翻訳開始阻害を含めた遺伝子の発現抑制を行うことである。すなわち、mRNAのmiRNA結合サイトは、miRISCが接近可能な部位であるといえる。また、通常、疾患で発現量が増えている転写産物は、miRNAによる発現抑制を受けていないと考えられることから、miRNA結合サイトにはmiRNAまたはmiRISKがあまり結合していない状態にある。
本発明は、GSK3β等のmRNAのmiRNA結合サイトを利用した、標的遺伝子の発現を効果的に抑制しうるアンチセンスオリゴ核酸、それを有効成分として含有する医薬組成物、またはアンチセンスオリゴ核酸を効率的に設計することができる新規な配列決定法などを提供することを主な課題とする。
なお、本明細書に掲げる各文献に記載された内容は、本明細書の一部として援用される。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成し、かかる二重鎖形成部における当該mRNAのmiRNA結合サイトをRNaseHにより切断することができるアンチセンスオリゴ核酸化合物が、優れた標的遺伝子発現抑制効果を有すること、およびその配列決定法を見出し本発明に到達した。
本発明として、例えば、以下のものを挙げることができる。
[1]標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成し、かかる二重鎖形成部における当該miRNA結合サイトをRNaseHにより切断することができる、修飾または改変されていてもよい一本鎖核酸を含むアンチセンスオリゴ核酸化合物。
[2]前記一本鎖核酸が4〜35塩基長からなる、上記[1]に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
[3]前記標的遺伝子がGSK3βである、上記[1]または[2]に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
[4]前記一本鎖核酸が、次のいずれかの塩基配列を有するものか、または当該効果を損なわない範囲でその一部が欠失、置換もしくは付加したものである、上記[3]に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
配列番号1:5'-CTCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
配列番号2:5'-TTCAAGTAGTAATAATGTTA-3'
配列番号3:5'-CTCAAGTGATCTTTAAATGT-3'
配列番号4:5'-CTCAAGTAACTGGTGGTTTT-3'
配列番号5:5'-TACAGTACCAGTTAACTATT-3'
(各塩基配列中、A、G、C、TはDNAを表す。)
[5]前記一本鎖核酸がギャップマー型である、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
[6]前記一本鎖核酸が、5’末端の5塩基配列および3’末端の5塩基配列においてRNA型であって、その中のチミン(T)がウラシル(U)であるものか、または次のいずれかの塩基配列を有するものか、もしくは当該効果を損なわない範囲でその一部が欠失、置換もしくは付加したものである、上記[5]に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
配列番号6:5'-CUCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
配列番号7:5'-UUCAAGTAGTAATAAUGUUA-3'
配列番号8:5'-CUCAAGTGATCTTTAAAUGU-3'
配列番号9:5'-CUCAAGTAACTGGTGGUUUU-3'
配列番号10:5'-UACAGTACCAGTTAACUAUU-3'
(各塩基配列中、A、G、C、TはDNAを、はRNAを、それぞれ表す。)
[7]前記一本鎖核酸が、次の(1)および/または(2)の構造を有するものである、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
(1)糖リン酸バックボーンにホスホロチオエート結合を有する構造
(2)RNA型の2’水酸基が修飾されている構造
[8]前記一本鎖核酸が、次のいずれかの塩基配列を有し、当該核酸におけるリン酸結合部分がホスホロチオエート結合であるものか、または当該効果を損なわない範囲でその一部が欠失、置換もしくは付加したものである、上記[7]に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
配列番号6:5'-CUCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
配列番号7:5'-UUCAAGTAGTAATAAUGUUA-3'
配列番号8:5'-CUCAAGTGATCTTTAAAUGU-3'
配列番号9:5'-CUCAAGTAACTGGTGGUUUU-3'
配列番号10:5'-UACAGTACCAGTTAACUAUU-3'
(各塩基配列中、A、G、C、TはDNAを、は2’−OCH RNAを、それぞれ表す。)
[9]5’末端および/または3’末端に直接またはリンカーを介して糖化合物を有する、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
[10]前記リンカーが、炭素数2〜30のアルキレン、炭素数2〜24のオキサアルキレン、炭素数2〜24のアザアルキレン、またはチアアルキレンである、上記[9]に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
[11]前記リンカーが、トリエチレングリコールリンカー、テトラエチレングリコールリンカー、または炭素数6〜12のオキサアルキレンである、上記[9]または[10]に記載のアンチセンスオリゴ核酸。
[12]前記糖化合物が、グルコース、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、フコース、またはシアル酸である、上記[9]〜[11]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
[13]上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物もしくはその医薬上許容される塩、またはそれらの水和物を有効成分として含有することを特徴とする、医薬組成物。
[14]前記医薬組成物が癌治療剤または予防剤である、上記[13]に記載の医薬組成物。
[15]前記癌が消化器系癌である、上記[14]に記載の医薬組成物。
[16]前記消化器系癌が、胃癌、膵臓癌、または大腸癌である、上記[15]に記載の医薬組成物。
[17]次の各工程を含むことを特徴とする、標的遺伝子の発現を抑制するためのアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
1)標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトを選び出す工程、
2)選び出したmiRNA結合サイトに基づき、当該miRNAが結合する位置で標的遺伝子のmRNAを分解しうるアンチセンスオリゴ核酸配列を設計する工程、
3)選び出したmiRNA結合サイトを含む部位と、設計したアンチセンスオリゴ核酸配列との相互作用エネルギーを計算し、その計算結果から候補となるアンチセンスオリゴ核酸配列を選び出す工程、
4)選び出した候補アンチセンスオリゴ核酸配列を有するオリゴ核酸化合物について、標的遺伝子の発現抑制効果を評価する工程。
[18]前記アンチセンスオリゴ核酸配列が、RNaseH依存アンチセンスオリゴ核酸配列またはsiRNAのアンチセンス鎖核酸配列である、上記[17]に記載のアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
[19]前記RNaseH依存アンチセンスオリゴ核酸配列がギャップマー型である、上記[18]に記載のアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
[20]前記標的遺伝子がGSK3βである、上記[17]〜[19]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
本発明によれば、GSK3β等の遺伝子の発現を効果的に抑制することができ、その結果、抗腫瘍効果等を得ることができる。また、適当なリンカーを介して糖化合物で修飾した本発明に係るアンチセンスオリゴ核酸化合物を用いれば、癌等の腫瘍組織へ効率的に送達させることができる。加えて、GSK3β等の遺伝子の発現を効果的に抑制することができるアンチセンスオリゴ核酸化合物の配列を効率的に設計することができる。
陰イオン交換HPLC分析のクロマトグラムを表す。縦軸は吸光度(Abs)を、横軸は溶出時間(分)を、それぞれ示す。 MALDI−TOF−MS分析結果を表す。縦軸はシグナルの強度、横軸は質量(m)と電荷(z)の比の値を、それぞれ示す。 陰イオン交換HPLC分析のクロマトグラムを表す。縦軸は吸光度(Abs)を、横軸は溶出時間(分)を、それぞれ示す。 MALDI−TOF−MS分析結果を表す。縦軸はシグナルの強度、横軸は質量(m)と電荷(z)の比の値を、それぞれ示す。 陰イオン交換HPLC分析のクロマトグラムを表す。縦軸は吸光度(Abs)を、横軸は溶出時間(分)を、それぞれ示す。 MALDI−TOF−MS分析結果を表す。縦軸はシグナルの強度、横軸は質量(m)と電荷(z)の比の値を、それぞれ示す。 陰イオン交換HPLC分析のクロマトグラムを表す。縦軸は吸光度(Abs)を、横軸は溶出時間(分)を、それぞれ示す。 MALDI−TOF−MS分析結果を表す。縦軸はシグナルの強度、横軸は質量(m)と電荷(z)の比の値を、それぞれ示す。
MTTアッセイの測定結果を表す。縦軸はコントロールに対する細胞増殖抑制率を示す。
膵癌培養細胞への核酸化合物の取り込みの程度を表す写真である。左写真は糖化合物を付加していない核酸化合物の結果を、右写真は糖化合物(グルコース)を付加した核酸化合物の結果を、それぞれ表す。 膵癌培養細胞への核酸化合物の取り込み量を表す。左カラムは糖化合物を付加していない核酸化合物の結果を、右カラムは糖化合物(グルコース)を付加した核酸化合物の結果を、それぞれ表す。縦軸は平均輝度を示す。 各種膵癌培養細胞等への核酸化合物の取り込みの程度を表す写真である。 膵癌培養細胞への核酸化合物の取り込みの程度を表す写真である。 膵癌培養細胞(PANC−1)への核酸化合物の取り込みの程度を表す写真である。 膵癌培養細胞(BxPC3)への核酸化合物の取り込みの程度を表す写真である。 膵管正常培養細胞への核酸化合物の取り込みの程度を表す写真である。 膵癌培養細胞または膵管正常培養細胞に対する、6時間後の核酸化合物の取り込み率を表す。縦軸は、膵管正常培養細胞に対する、糖化合物を付加していない核酸化合物の取り込み量を100とした場合の割合(%)を示す。
1 本発明に係るアンチセンスオリゴ核酸化合物
本発明に係るアンチセンスオリゴ核酸化合物(以下、「本発明核酸化合物」という。)は、標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成し、かかる二重鎖形成部における当該miRNA結合サイトをRNaseHにより切断することができる、修飾または改変されていてもよい一本鎖核酸を含むものである。
1.1 標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトについて
本発明核酸化合物は、標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成するものである。
本発明核酸化合物が標的とする遺伝子は、そのmRNAがmiRNA結合サイトを有するものであれば特に制限されない。具体的には、癌関連遺伝子、例えば、GSK3β、EGFR、VEGF、Ras、Raf、Myc、Bcr−Abl、Kit、EGFR、Her2、ALK、JAK、Btkを挙げることができる。この中、GSK3βを標的とすることが好ましい。標的遺伝子のmRNAは、例えば、非翻訳領域である3’−UTRまたは5’−UTRにmiRNA結合サイトを有するものを挙げることができる。
miRNA結合サイトは、生体内において18〜25塩基程度の長さを有する一本鎖の小分子RNAであるmiRNAが、例えばmRNAの転写後の発現を調節するために結合する部位である。通常、miRNAとRISKとからなるmiRISC(miRNA−RNA誘導サイレンシング複合体)が、mRNAの非翻訳領域である3’−UTR等に存在するmiRNA結合サイトに結合することにより、翻訳開始阻害、mRNAの分解を含めた、遺伝子の発現抑制が行われる。このことからも当該結合サイトはmiRISCが接近可能な部位であることが好ましい。また、疾患で発現量が増えているmRNAの転写産物は、miRNAによる発現抑制を受けていないと考えられ、miRNA結合サイトにmiRNAまたはmiRISKがあまり結合していないため、本発明核酸化合物の結合は容易であると推測される。
1.2 RNaseHによる切断について
本発明核酸化合物は、上記相補的二重鎖形成部における当該miRNA結合サイトをRNaseHにより切断することができるものである。
RNaseHは、生体の細胞核に存在する周知の核酸分解酵素であり、DNA−RNAの相補的二重鎖形成部位のRNAを特異的に消化する機能を有している。本発明核酸化合物は、標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成し、かかる二重鎖を形成している部分のmRNAの配列をRNaseHの機能により消化することができる。その結果、mRNA全体が分解され、当該遺伝子の発現が抑制される。
なお、本明細書中、「相補的二重鎖」とは、対象となる塩基配列とワトソン・クリック対を形成する塩基配列との相補的二重鎖に制限されるものではなく、揺らぎ塩基対(Wobblebase pair)を形成による相補的二重鎖も含む。ここで、ワトソン・クリック対とは、アデニン−チミン、アデニン−ウラシルおよびグアニン−シトシン間に水素結合が形成される塩基対を意味し、揺らぎ塩基対とは、グアニン−ウラシル、イノシン−ウラシル、イノシン−アデニンおよびイノシン−シトシン間に水素結合が形成される塩基対を意味する。また、対象となる塩基配列と100%の相補性を有していなくてもよく、例えば、対象となる塩基配列に対して、1〜3個、1〜2個または1個の非相補的塩基が含まれていてもよい。
1.3 一本鎖核酸について
本発明核酸化合物は、修飾または改変されていてもよい一本鎖核酸を含むものである。
本発明核酸化合物に含まれる一本鎖核酸は、通常、RNAまたはDNAであり、糖とリン酸が交互に結合された糖リン酸バックボーンに核酸塩基が結合した鎖状構造を有している。本発明において修飾または改変とは、天然の核酸(RNAまたはDNA)を構成する核酸塩基、糖部分、およびリン酸結合部分の全部または一部を変更することをいう。通常、修飾ないし改変することにより、活性の向上や生体内での安定性等を図りうる。
1.3.1 核酸塩基について
本発明に係る一本鎖核酸を構成する核酸塩基は、通常、RNAにおいてはアデニン(A)、ウラシル(U)、グアニン(G)、およびシトシン(C)であり、DNAにおいては、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、およびシトシン(C)であるが、本発明核酸化合物においては上記以外にヒポキサンチン(I)、または修飾塩基であってもよい。かかる修飾塩基としては、ピリミジン、プリン、デアザプリンから水素原子ひとつを取り除いて得られる基であれば特に制限されないが、例えば、シュードウラシル、3−メチルウラシル,ジヒドロウラシル、5−アルキルシトシン(例えば、5−メチルシトシン)、5−アルキルウラシル(例えば、5−エチルウラシル)、5−ハロウラシル(5−ブロモウラシル)、6−アザピリミジン、6−アルキルピリミジン(6−メチルウラシル)、2−チオウラシル、4−チオウラシル、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5’−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、1−メチルアデニン、1−メチルヒポキサンチン、2,2−ジメチルグアニン、3−メチルシトシン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メチルカルボニルメチルウラシル、5−メチルオキシウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸、2−チオシトシン、プリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、イソグアニン、インドール、イミダゾール、キサンチン、チミン−1−イル、ウラシル−3―イル、2−チオチミン−1イル、2−チオウラシル−1イル、ウラシル−5−イル、1−メチルウラシル−5―イル、シトシン−1−イル、5―メチルシトシン−1−イル、グアニン−9−イル、7−デアザグアニン−9−イル、アデニン−9―イル、および7−デアザアデニン−9−イルが挙げられる。これらの核酸塩基は、さらに1以上の置換基を有してもよい。
1.3.2 糖リン酸バックボーンについて
本発明に係る一本鎖核酸は、例えば、生体内での安定性等の向上を図るため、糖リン酸バックボーン部分が修飾ないし改変されていてもよい。糖リン酸バックボーンに含まれるリン酸結合部分の修飾ないし改変としては、例えば、ホスホジエステル結合をホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスホネート結合、ホスホロアミデート結合、ボラノフォスフェート結合(Enya et al:Bioorganic & Medicinal Chemistry,(2008),Vol.18,pp.9154〜9160)に置換することを挙げることができる(例えば、特許再公表公報第2006/129594号、および第2006/038608号を参照)。これらの中でも、ホスホロチオエート結合に置換することが好ましい。
糖リン酸バックボーンに含まれる糖部分は、通常、RNAにおいてはリボースであり、DNAにおいてはデオキシリボースであるが、本発明に係る一本鎖核酸においては修飾ないし改変されていてもよい。当該糖部分の修飾としては、例えば、リボースの2’位の修飾、その他の部分の修飾を挙げることができる。リボースの2’位の修飾としては、例えば、リボースの2’位の−OH基をハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキレン基、アシル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルキル基にアルコキシが結合したアルコキシ基、アミノ基、アルキル基を1つ有するアルキルアミノ基、ジアルキル基を1つ有するジアルキルアミノ基、アルキル基上にカルバモイル基が結合したカルバモイルアルキル基、アルキル基上にアルキルアミノカルボニル基が結合したN―アルキルカルバモイルアルキル基、またはアルキル基上にジアルキルアミノカルボニル基が結合したN―アルキルカルバモイルアルキル基に置換する修飾を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。これらの中でも−OH基をメトキシ基にする修飾ないし改変が好ましい。糖のその他の部分の修飾としては、例えば、リボースまたはデオキシリボースの4’位のOをSに置換すること、糖の2’位と4’位を架橋すること、例えば、LNA(Locked Nucleic Acid)またはENA(2’−0,4’−C−Ethylene−bridged Nucleic Acids)が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
ここで、リボースの2’位の修飾に係る「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
リボースの2’位の修飾に係る「アルキル基」としては、例えば、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキルを挙げることができる。具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルが挙げられる。当該アルキルは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、シクロアルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが1〜3個置換されていてもよい。
リボースの2’位の修飾に係る「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜12のアリールを挙げることができる。具体的には、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルを挙げることができる。とりわけフェニルが好ましい。当該アリールは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが1〜3個置換されていてもよい。
リボースの2’位の修飾に係る「アルキレン基」としては、例えば、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキレンを挙げることができる。具体的には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、2−(エチル)トリメチレン、1−(メチル)テトラメチレンを挙げることができる。当該アルキレンは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが1〜3個置換されていてもよい。
リボースの2’位の修飾に係る「アシル基」としては、例えば、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜12のアルカノイルまたはアロイルを挙げることができる。アルカノイルとしては、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルアセチル、2,2−ジメチルアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。アロイルとしては、例えば、ベンゾイル、トルオイル、ナフトイルを挙げることができる。かかるアロイル基は置換可能な位置において置換されていてもよく、アルキル基で置換されていてもよい。
リボースの2’位の修飾に係る「アルコキシ基」としては、例えば、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルコキシを挙げることができる。具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。とりわけ、炭素数1〜3のアルコキシが好ましい。
リボースの2’位の修飾に係る「シクロアルキル基」としては、例えば、炭素数5〜12のシクロアルキルを挙げることができる。具体的には、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシルが挙げられる。
糖リン酸バックボーン部の改変例としては、糖部分のリボースまたはデオキシリボースがモルホリノ骨格と置換されているモルホリノ核酸、糖リン酸バックボーン全体がアミド結合されたN−(2−アミノエチル)グリシンに置換されたペプチド核酸(PNA)を挙げることができる。
本発明に係る一本鎖核酸の好ましい糖リン酸バックボーンは、リボースの2’位の−OH基がメトキシ基で置換され、リン酸結合部分がホスホロチオエート結合である、下記一般式(1)で表される基を構成単位とするものである。nucleobaseは、核酸塩基または修飾核酸塩基を表す。また、本発明に係る一本鎖核酸は、さらに、使用する目的や用途等に応じて、任意の位置に任意の修飾を有することができる。例えば、FAM等の蛍光物質による修飾を有してもよい。
1.3.3 鎖長、塩基配列について
本発明に係る一本鎖核酸の鎖長は、特に制限されないが、例えば、4〜35mer(塩基長)の範囲内であることが適当であり、15〜25merの範囲内であることが好ましい。また、本発明に係る一本鎖核酸の塩基配列は、標的遺伝子のmRNAのmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成し、RNaseHで当該mRNAを切断することができるものであれば特に制限はされないが、上述のGSK3βを標的遺伝子とする配列番号1〜5のDNA塩基配列を基本とするものが好ましい。より好ましくは、配列番号3のDNA塩基配列を基本とするものである。配列番号1〜5の一本鎖核酸は、本発明の効果を損なわない範囲でその一部が欠失、置換または付加していてもよい。配列番号1〜5を基本とする塩基配列を有する一本鎖核酸は、GSK3βのmRNAの3’−UTRの41〜47、975〜981、1659〜1665、4636〜4642または4782〜4788に存在するmiRNA結合サイトと相補的な二重鎖を形成し、RNaseHで標的mRNAを効果的に切断することができる。
配列番号1:5'-CTCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
配列番号2:5'-TTCAAGTAGTAATAATGTTA-3'
配列番号3:5'-CTCAAGTGATCTTTAAATGT-3'
配列番号4:5'-CTCAAGTAACTGGTGGTTTT-3'
配列番号5:5'-TACAGTACCAGTTAACTATT-3'
本発明に係る一本鎖核酸は、RNAおよびDNAの複合核酸であるギャップマー型であることが好ましい。ギャップマー型の一本鎖核酸は、例えば、中央部の7〜8塩基以上のDNA配列部位を残し、両端の塩基配列をRNAとしたものである。ギャップマー型の一本鎖核酸は、強い結合能を有する両端のRNA部位、およびRNaseH消化を引き起こすための中心部分のDNA配列部位から構成される。本発明に係る一本鎖核酸をギャップマー型とすることにより、より高い標的mRNAの抑制効果を得ることができる。好ましいギャップマー型の本発明に係る一本鎖核酸としては、5’末端の5塩基配列および3’末端の5塩基配列がRNA型であって、その中のチミン(T)がウラシル(U)であるものを挙げることができる。より好ましくは、配列番号1〜5において、5’末端の5塩基配列および3’末端の5塩基配列がRNA型であって、その中のチミン(T)がウラシル(U)であるものである。
好ましい本発明に係る一本鎖核酸としては、例えば、配列番号1〜5(特に配列番号3)において、5’末端の5塩基配列および3’末端の5塩基配列がRNA型であって、その中のチミン(T)がウラシル(U)である次の配列番号6〜10の塩基配列を有するもの(ギャップマー型)を挙げることができる。さらに好ましくは、それらのリン酸結合部分がホスホロチオエート結合であり、リボースの2’水酸基がメトキシ基などのアシル基に改変されている構造のものを挙げることができる。
配列番号6:5'-CUCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
配列番号7:5'-UUCAAGTAGTAATAAUGUUA-3'
配列番号8:5'-CUCAAGTGATCTTTAAAUGU-3'
配列番号9:5'-CUCAAGTAACTGGTGGUUUU-3'
配列番号10:5'-UACAGTACCAGTTAACUAUU-3'
本発明に係る一本鎖核酸は、公知の合成方法により製造することができる。また、各種自動合成装置、例えば、DNA/RNA synthesizer392(Applied Biosystem社製)またはnS−8II(ジーンデザイン社製)を用いて容易に合成することができる。あるいは第三者機関(例えば、Promega社またはTakara社)等に委託して合成することもできる。
1.4 糖化合物による修飾
本発明核酸化合物は、本発明に係る一本鎖核酸の末端に直接または適当なリンカーを介して糖化合物を有していてもよい。当該糖化合物は、本発明に係る一本鎖核酸の5’末端または3’末端のどちらにでも、また両方にあってもよい。当該糖化合物の修飾は、一本鎖核酸に直接でもよいが、例えば、標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトへの結合が立体障害等により阻害されることを避けるため、適当なリンカーを介することが好ましい。
以下、本発明に係る一本鎖核酸が当該糖化合物で修飾された本発明核酸化合物を、単に本発明核酸化合物ともいう。
1.4.1 糖化合物
当該糖化合物としては、例えば、D−リボース、D−アラビノース、D−キシロース、D−リキソース、D−アロース、D−アルトロース、D−グルコース、D−マンノース、D−グロース、D−イドース、D−ガラクトース、D−タロースなどのD−アルドース;D−リブロース、D−キシルロース、D−プシコース、D−フルクトース、D−ソルボース、D−タガソースなどのD−ケトース、およびフコース、シアル酸を挙げることができる。また、単糖が、例えば2〜10個グリコシド結合で連結した二糖以上のオリゴ糖や多糖であってもよい。さらに、これらの糖の水酸基が、例えばアミノ基に置換したアミノ糖やアシルアミノ基に置換したアシルアミノ糖なども挙げることができる。アシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。この中、グルコース、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、フコース、シアル酸であることが好ましい。
1.4.2 リンカー
本発明に係る一本鎖核酸と上記糖化合物とを介するリンカーとしては、通常、当該リンカーとして用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、炭素数2〜30のアルキレン、アルキレン中の複数の炭素原子が酸素原子に置き換わった炭素数2〜24のオキサアルキレン(エチレングリコールリンカー、エチレングリコール重合体リンカーなど)、アルキレン中の複数の炭素原子が窒素原子に置き換わった、または炭素原子、窒素原子、酸素原子の全てを含む炭素数2〜24のアザアルキレン、アルキレン中の複数の炭素原子が硫黄原子に置き換わった、または炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子の全てを含む炭素数2〜24のチアアルキレンが挙げられるが、これらに制限されるものではない。アザアルキレンの窒素原子においては炭素数2〜6のアシル基で保護されていてもよい。この中、エチレングリコール(EG)リンカー、ジエチレングリコールリンカー、トリエチレングリコール(TEG)リンカー、テトラエチレングリコールリンカーが好ましく、また比較的長鎖のエチレングリコール重合体リンカー、例えばトリエチレングリコール(TEG)リンカー、テトラエチレングリコールリンカー、炭素数6〜12のオキサアルキレンがより好ましい。
5’末端のリン酸基にリンカーを介して糖化合物で修飾された本発明核酸化合物の糖化合物修飾部分は、例えば、下記一般式(2)で表すことができる。式中、Gは糖を、Lはリンカーを、JはOHまたはSHを、それぞれ表す。具体的な当該糖化合物修飾部分としては、例えば、下記構造式(3)のものを挙げることができる。糖化合物で修飾された本発明核酸化合物は、糖の取り込みが多い増殖が活発な組織である癌等の腫瘍組織などに効率的に送達されうる。
上記の糖化合物で修飾された本発明核酸化合物は、例えば、Ren,T.,Liu D. Tetrahedron Lett.,(1999),Vol.40,pp.7621〜7625に記載の合成方法に従って合成した2,3,4,6−Tetra−O−acetyl−D−glucopyranoseをもとに、例えば、下記構造式(4)の化合物である3,6−Dioxa−8−hydroxyoctyl 2,3,4,6−tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(Szurmai,Z.,Szabo,L.,Liptak,A. Acta Chim.Hung.,(1989),Vol.126,pp.259〜269参照)、または下記構造式(5)の化合物である2−Hydroxyethyl 2,3,4,6−tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(Morales,JC.,ReinaJJ.,Diaz,I.,Avino,A.,Nieto,PM.,Eritja,R.Chem.Eur.J.,(2008),Vol.14,pp.7828〜7835参照)を合成し、これらと本発明に係る一本鎖核酸とを常法によりカップリングすることにより製造することができる。
2 本発明に係る医薬組成物
本発明には、本発明核酸化合物もしくはその医薬上許容される塩、またはそれらの水和物を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物(以下、「本発明組成物」という。)も含まれる。
本発明核酸化合物の医薬上許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩などの金属塩、アンモニウム塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機アミン塩;弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、酢酸塩、りんご酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩などの有機酸塩、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などが挙げられる。これらの塩は、常法により製造することができる。
本発明組成物は、本発明核酸化合物またはその医薬上許容される塩の水和物を含んでいてもよい。当該水和物も常法により製造することができる。
2.1 用途
本発明組成物の用途としては、標的とする遺伝子のmRNAの種類などにより異なり特に制限されないが、例えば、癌等の治療剤や予防剤、副作用防止剤、合併症予防剤を挙げることができる。この中、本発明組成物を癌治療剤ないし予防剤として用いることが好ましい。癌治療剤等として用いる場合の癌の種類としては、特に制限されないが、例えば、消化器系の癌、例えば、胃癌、膵臓癌、大腸癌を挙げることができる。
また、本発明組成物は、GSK3βを標的としてその発現を抑制することによる癌治療剤ないし癌予防剤(特に、膵臓癌治療剤等)として用いることが好ましい。GSK3βは過剰発現やそのリン酸化による酵素活性の調節不全が、過剰発現やそのリン酸化による酵素活性の調節不全が癌を引き起こすことがわかってきている。本発明組成物によりGSK3βの遺伝子の発現を抑制することにより、生体内の癌(特に膵臓癌)を効果的に治療することができる。
2.2 配合物
本発明組成物には、本発明の効果を損なわない限り、医薬上許容される担体等を含みうる。このような担体としては、例えば、カチオン性リポソーム、カチオン性ポリマー等のカチオン性担体、またはウイルスエンベロープを利用した担体を挙げることができる。本発明組成物中、当該担体と本発明核酸化合物との重量比(担体/本発明核酸化合物)は、本発明核酸化合物の性質や該担体の種類等によって異なるが、0.1〜100の範囲内が適当であり、1〜50の範囲内が好ましく、10〜20の範囲内がより好ましい。
また、本発明組成物には、上記担体以外に、本発明の効果を損なわない限り、医薬上許容される添加剤、賦形剤などを配合することができる。かかる添加剤ないし賦形剤として、例えば、乳化補助剤(例えば、炭素数6〜22の脂肪酸やその医薬的に許容可能な塩、アルブミン、デキストラン)、安定化剤(例えば、コレステロール、ホスファチジン酸)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グルコース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース)、pH調整剤(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン)を挙げることができる。これらを一種または二種以上使用することができる。本発明組成物中の当該添加剤等の含有量は、90重量%以下が適当であり、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
2.3 投与
本発明組成物は、通常、動物(生体)内に投与される。投与しうる動物は特に制限されないが、例えば、ヒト又は非ヒト動物が挙げられる。非ヒト動物としては特に制限されないが、ヒト以外の哺乳類、具体的には例えば、霊長類、齧歯類(マウス、ラット等)、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、及びウマ等が挙げられる。
動物(生体内)への投与の方法としては特に制限されず、当業者が治療方法等に応じて適宜決定することができる。投与の方法としては、全身投与又は局所投与のいずれでもよい。本発明組成物の投与は、注射(針有型、針無型)、内服、外用のいずれの方法によっても行うことができる。投与経路は、治療等に効果的な経路を選択することが好ましい。例えば、全身的に投与する場合は、経口投与の他、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、組織内投与等の非経口投与により投与される。局所的に投与する場合は、例えば、皮膚、粘膜、肺、気管支、鼻腔、鼻粘膜、眼等に投与される。好ましくは、非経口投与、より好ましくは静脈内投与が挙げられる。
本発明組成物の投与量は、本発明核酸化合物の種類;疾患の種類;患者の状態、年齢、体重、性別;担体や添加剤等の種類などに応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、本発明核酸化合物の量として、成人1日当たり、0.1ng〜1000mgの範囲内が適当であり、1ng〜500mgの範囲内が好ましく、10ng〜200mgの範囲内がより好ましい。これ以上必要とする場合もあれば、これ以下で足りる場合もある。また、かかる投与量を1日1回〜複数回に分割して投与することができる。
2.4 剤型
本発明組成物の剤型としては、特に制限されず投与方法等に応じて適宜選択されるが、非経口投与のための製剤として、例えば、注射剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、貼付剤、リニメント剤、座薬、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、点鼻剤が挙げられる。経口投与のための製剤としては、例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤を挙げることができる。この中、注射剤が好ましい。
3 本発明に係るアンチセンスオリゴ核酸配列決定法
本発明には、また、次の各工程を含むことを特徴とする、標的遺伝子の発現を抑制するためのアンチセンスオリゴ核酸配列決定法(以下、「本発明配列決定法」という。)も含まれる。
1)標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトを選び出す工程、
2)選び出したmiRNA結合サイトに基づき、当該miRNAが結合する位置で標的遺伝子のmRNAを分解しうるアンチセンスオリゴ核酸配列を設計する工程、
3)選び出したmiRNA結合サイトを含む部位と、設計したアンチセンスオリゴ核酸配列との相互作用エネルギーを計算し、その計算結果から候補となるアンチセンスオリゴ核酸配列を選び出す工程、
4)選び出した候補アンチセンスオリゴ核酸配列を有するオリゴ核酸化合物について、標的遺伝子の発現抑制効果を評価する工程。
本発明核酸化合物は、本発明配列決定法を用いて設計することができる。本発明配列決定法は、後述する試験例から明らかな通り、アンチセンスオリゴ核酸化合物の従来の配列決定法と比較して、より有効なアンチセンスオリゴ核酸(本発明核酸化合物など)を効率的に設計することができる。
以下、各工程について詳述する。
3.1 第一工程
第一工程は、標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトを選び出す工程である。
第一工程は、例えば、miRNA結合サイトを予測することができる公知のウェブ・ツール:TargetScan 6.2(http://www.targetscan.org/)、または学術文献等から取得した当該mRNAにおけるmiRNAの結合サイトの情報を用いて行うことができる。実験等の手段により新たに決定された、当該mRNAにおけるmiRNA結合サイトの情報を用いて行うこともできる。
3.2 第二工程
第二工程は、第一工程で選び出したmiRNA結合サイトに基づき、当該miRNAが結合する位置で標的遺伝子のmRNAを分解しうるアンチセンスオリゴ核酸配列を設計する工程である。
この第二工程は、選び出したmiRNA結合サイトやその周囲の配列状況、三次元構造などを考慮しながら当業者が自身の経験などを踏まえ適宜行うことができる。
3.3 第三工程
第三工程は、選び出したmiRNA結合サイトを含む部位と、設計したアンチセンスオリゴ核酸配列との相互作用エネルギーを計算し、その計算結果から候補となるアンチセンスオリゴ核酸配列を選び出す工程である。
上記相互作用エネルギー計算は、例えば、公知のソフトウェアであるNupack(http://www.nupack.org/)等を用いて行うことができる。当該相互作用エネルギーは、例えば、分子間相互作用のギブスエネルギー値から、それぞれの単分子の高次構造のエネルギー値を引くことで求めることができる。そして、例えば、相互作用エネルギーの計算結果に基づき、マイナスの値を示した領域をmiRNAが相互作用している可能性のある領域と判断することができ、かかる判断基準で選ばれたアンチセンスオリゴ核酸を候補配列とすることができる。
3.4 第四工程
第四工程は、第三工程で選び出した候補アンチセンスオリゴ核酸配列を有するオリゴ核酸化合物について、標的遺伝子の発現抑制効果を評価する工程である。
当該評価は、例えば、選び出したアンチセンスオリゴ核酸を合成し、それを、生体、細胞、または試験管内の実験系等を用いて行うことができる。具体的な評価方法として、例えば、MTTアッセイ、RT−PCR、ウエスタンブロットを挙げることができる。これらの中でも、簡便さからMTTアッセイが好ましい。
本発明配列決定法は、従来の方法、例えば、モチーフ解析によって決定した配列と比較して、高いmRNAの機能抑制、または高い細胞増殖抑制作用を示すアンチセンスオリゴ核酸を設計することができる。
以下、実施例、試験例等を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら限定されるものではない。
[実施例1]本発明配列決定法による、GSK3βに対するアンチセンスオリゴ核酸配列の決定
本発明配列決定法を用いて、GSK3βに対する優れたアンチセンスオリゴ核酸の塩基配列を探索した。
まず、miRNA結合サイトを予測できるウェブ・ツール:TargetScan 6.2(http://www.targetscan.org/)、および文献(Yueguang Liu et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications,(2011),Vol.408,pp.259〜264)から得られた情報からGSK3βの発現抑制に関わっていると報告されたmiRNA(hsa−miR−26a,26b,29b,101,124,1297,4467)を、GSK3βの発現抑制に関わるmiRNAとして選択した。つづいて、GSK3βの転写産物として最長の長さを有しているENST00000264235の3’非翻訳領域の配列を用いて、それぞれのmiRNAのシード配列(2nt−7nt)に対し相補的な部位(miRNA結合サイト)を候補として選び出した(第一工程)。それぞれの候補から、対応するmiRNAの長さに加えフランク領域として前後35塩基の加えた領域を、miRNAが相互作用しうる領域として抜き出した(第二工程)。
それぞれの領域においてmiRNAとの相互作用の可能性を評価するために、公知のソフトウェアであるNupack(http://www.nupack.org/)を用いて相互作用エネルギーを計算した。相互作用エネルギーは、分子間相互作用のギブスエネルギー値から、それぞれの単分子の高次構造のエネルギー値を引くことで求めた。そして、かかる計算結果に基づき、マイナスの値を示した領域をmiRNAが相互作用している可能性のある領域と判断し、それぞれの領域の中のシード配列を含む20塩基長の配列に対し、完全に相補的な配列を有するギャップマー型オリゴ核酸を候補として選び出した(第三工程)。続いて、後述する試験例に記載の実験により、標的遺伝子の発現抑制効果の評価した(第四工程)。
以上により選び出し、後述する細胞増殖抑制効果を評価した候補配列を下記表1に示す。なお、かかる候補核酸はGSK3βのmRNAにおける3’非翻訳領域の41〜47、975〜981、1659〜1665、4636〜4642に存在するmiRNA(hsa-miR-4465, hsa-miR-1297, hsa-miR-26b-5p)の結合サイト、4782〜4788に存在するmiRNA(hsa-miR-101-3p)に対する結合サイトと相補的二重鎖を形成するアンチセンスオリゴ核酸配列(ギャップマー型)である
(各塩基配列中、A、G、C、TはDNAを、は2’−OMe RNAを、それぞれ表す。リン酸結合部分はホスホロチオエート結合である。Meはメチル基を表す。以下、記号の定義は同じ。)
[実施例2]本発明核酸化合物の合成
(a)原料ホスホロアミダイトユニットxxの合成
Ren,T.,Liu D. Tetrahedron Lett.(1999),Vol.40,pp.7621〜7625に記載の合成方法に従って合成した2,3,4,6−Tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(4.45g,12.8mmol)を脱水ジクロロメタン(25mL)に溶解させた。溶液を氷浴内で冷却し、炭酸セシウム(835mg,2.56mmol)、トリクロロアセトニトリル(3.84mL,38.4mmol)を順に加え、反応溶液を氷浴から出して室温で30分間撹拌した。TLCにより反応終了を確認し、反応溶液を吸引濾過した後、得られた濾液を減圧留去した。得られた残渣を脱水ジクロロメタンに溶解させ氷浴内で冷却し、トリエチレングリコール(15.6mL,128mmol)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(1.57mL,14.1mmol)を順に加え、反応溶液を氷浴から出して室温で30分間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルに加え、炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で1回分液操作を行い、有機層を分取して減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(C−200、展開溶媒:ジクロロメタン−エタノール)によって精製し、無色油状の3,6−Dioxa−8−hydroxyoctyl 2,3,4,6−tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(2.00g,34%)を得た。
上記で得られた3,6−Dioxa−8−hydroxyoctyl 2,3,4,6−tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(2.0g,4.17mmol)を脱水ピリジン、脱水トルエン、脱水アセトニトリルで共沸した。その後、アルゴン雰囲気下で脱水アセトニトリル(40mL)に溶解させ、ジイソプロピルアミン(475μL,3.34mmol)、1H−テトラゾール(194mg,3.34mmol)、2−シアノエトキシ[ビス(N,N−ジイソプロピルアミノ)]ホスフィン(1.97mL,6.71mmol)を順に加えて室温で3時間攪拌した。TLCにより反応終了を確認し、反応溶液を酢酸エチルに加え、炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で1回分液操作を行い、有機層を分取して減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(C−200、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル(0.5%ピリジン))によって精製し、下記構造式(4)に示す無色油状のホスホロアミダイトユニットxx(2.21g,78%)を得た。生成物のH−NMR(CDCl)、および31P−NMR(CDCl)の測定値は、Szurmai,Z.,Szabo,L.,Liptak,A.Acta Chim.Hung.,(1989),Vol.126,pp.259〜269に記載の値と一致し、目的の化合物が得られた。
H NMR(CDCl):δ1.08−1.18(m,12H),1.94−2.07(m,12H),2.59−2.65(m,2H),3.50−3.95(m,17H),4.08−4.13(dd,1H,J=1.7,11.9),4.20−4.26(dd,1H,J=4.7,12.3),4.55−4.60(d,1H,J=8.0),4.92−4.99(dd,1H,J=8.2,9.4),5.02−5.08(dd,1H,J=9.5),5.14−5.20(dd,1H,J=9.7);31P−NMR(CDCl):δ149.5.
(b)ギャップマー型本発明核酸化合物の合成
オリゴヌクレオチドの固相合成は、のDNA/RNA synthesizer392(Applied Biosystem社製)またはnS−8II(ジーンデザイン社製)を用いて行った。使用したDNAホスホロアミダイトユニット、2’−OMeRNAホスホロアミダイトユニット、CPGおよびその他必要な試薬はGlen Research社より購入し、同社に推奨されるホスホロチオエート合成方法(Andrei P.Guzaev Tetrahedron Letters,(2011),Vol.52,pp.434〜437,S.L.Beaucage and M.H.Caruthers Tetrahedron Letters,(1981),Vol.22,pp.1859〜1862参照)に従って合成を行った。鎖伸長反応後、5’末端のDMTr基を残したまま、28%NHaq(アンモニア水)を用いてCPGからの切り出しおよび脱保護を行った。遠心エバポレーターを用いて脱保護溶液からアンモニア水を除いた後、Sep−pak Cartridge(18C)を用いてDMTr基の脱保護および簡易的なオリゴヌクレオチドの精製を行い、さらに陰イオン交換HPLCによる精製を行った。
HPLC装置の構成は、Shimadzu SCL−10−AにLC−10AD、CTO−10A、SPD−M10Aを接続して用い、カラムはDNAPacPA−100(DIONEX,9×250mm)を用いた。HPLCの条件は、カラム温度:50°C、測定波長:254nm、展開溶媒:25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)(A−Buffer)および1M塩化ナトリウム−25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)(B−Buffer)であって、A−BufferにB−Bufferを加え濃度勾配をかけて溶離した。
HPLC精製後にさらにSep−pak Cartridge(18C)を用いて脱塩操作を行ったものを最終製造物とした。最終製造物をMALDI−TOF−MSで分析し、得られた分子量の実測値を目的化合物の分子量の計算値と比較することにより、目的のオリゴヌクレオチドが得られたことを確認した。
(c)トリエチレングリコールリンカーを介してグルコースを修飾したギャップマー型本発明核酸化合物(TEGオリゴヌクレオチド)の合成
配列番号8のオリゴ核酸を有する下構造式(6)で示されるTEGオリゴヌクレオチドの合成を行った。前記(a)で合成したホスホロアミダイトユニットxxを脱水ピリジン、脱水トルエン、脱水アセトニトリルを用いて共沸し、脱水アセトニトリルに0.1Mになるように溶解させた後、自動合成機を用いて目的の化合物を合成した。ホスホロアミダイトユニットxxを用いたカップリング反応は、10分間の反応を8回に渡って行った。それ以外の操作は、上記(b)のギャップマー合成の方法に従った。精製段階の製造物の陰イオン交換HPLCによる測定結果を図1に、目的の最終製造物のMALDI−TOF−MS分析結果を図2に示す(計算値7060.7、実測値7061.5)。
(d)FAM(6−CarboxyFluorescein−Aminohexy)標識TEGオリゴヌクレオチド(21E)の合成
蛍光物質FAM(下記構造式(7)、Glen Research社製)で修飾された、下記構造式(8)のFAM標識TEGオリゴヌクレオチドを、3’−(6−Fluorescein) CPG(Glen Reseach社製)を用いて自動合成機により固相合成した。それ以外の操作は、上記(c)のTEGオリゴヌクレオチドの合成方法および上記(b)のギャップマー合成の方法に従った。精製段階の製造物の陰イオン交換HPLCの測定結果を図3に、目的の最終製造物のMALDI−TOF−MS分析結果を図4に示す(計算値7644.3、実測値7646.2)。
また、上記21Eの合成方法と同様にして、リンカーは有するがグルコースは有しない下記構造式9のFAM標識TEGオリゴヌクレオチド(20E)を合成した。
[実施例3]本発明核酸化合物の合成
(a)原料ホスホロアミダイトユニットyyの合成
実施例1(a)で合成した2,3,4,6−Tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(500mg,1.45mmol)を脱水ジクロロメタン(14.5mL)に溶解させた。溶液を氷浴内で冷却し、炭酸セシウム(103mg,0.31mmol)、トリクロロアセトニトリル(440μL,4.35mmol)を順に加え、反応溶液を氷浴から出して室温で2時間撹拌した。TLCにより反応終了を確認し、反応溶液をCelite545で吸引濾過した後、得られた濾液を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(C−300、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル)によって精製した。得られた化合物を脱水ジクロロメタンに溶解させ氷浴内で冷却し、エチレングリコール(1.6mL,29mmol)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(191μL,1.52mmol)を順に加え、45分間撹拌した。反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、有機層を分取して減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(C−300、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル)によって精製し、無色油状の2−Hydroxyethyl 2,3,4,6−tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(237mg,42%)を得た。
上記で得られた2−Hydroxyethyl 2,3,4,6−tetra−O−acetyl−D−glucopyranose(202mg,0.51mmol)を脱水ピリジン、脱水トルエン、脱水ジクロロメタンで共沸した。その後、アルゴン雰囲気下で脱水ジクロロメタン(5.1mL)に溶解させ、ジイソプロピルアミン(630μL,3.61mmol)、2−シアノエトキシ[ビス(N,N−ジイソプロピルアミノ)]ホスフィン(172μL,0.77mmol)を順に加えて室温で2時間攪拌した。TLCにより反応終了を確認し、反応溶液を酢酸エチルに加え、飽和食塩水で3回分液操作を行い、有機層を分取して減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(C−200、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル(1%トリエチルアミン))によって精製し、下記構造式(5)に示す無色油状のホスホロアミダイトユニットyy(200mg,66%)を得た。H−NMRの測定値は過去のMorales,JC.,ReinaJJ.,Diaz,I.,Avino,A.,Nieto,PM.,Eritja,R.Chem.Eur.J.,(2008),Vol.14,pp.7828〜7835に記載の値と一致した。
31P−NMR(CDCl):δ149.4,149.6.
(b)リンカーとしてエチレングリコールを介してグルコースを修飾したギャップマー型本発明核酸化合物(EGオリゴヌクレオチド)の合成
下記構造式(10)で示されるEGオリゴヌクレオチドの合成を行った。上記(a)で合成したホスホロアミダイトユニットyyを脱水ピリジン、脱水トルエン、脱水アセトニトリルを用いて共沸し、脱水アセトニトリルに0.1Mになるように溶解させた後、自動合成機を用いて目的の化合物を合成した。ホスホロアミダイトユニットyyを用いたカップリング反応は、10分間の反応を8回に渡って行った。それ以外の操作は、実施例2(b)のギャップマー合成の方法に従った。精製段階の製造物の陰イオン交換HPLCの測定結果を図5に、目的の最終製造物のMALDI−TOF−MS分析結果を図6に示す(計算値6971.6、実測値6974.8)
(c)FAM標識EGオリゴヌクレオチド(SLp)の合成
下記構造式(11)で示されるFAM標識EGオリゴヌクレオチドを、3’−(6−Fluorescein) CPG(Glen Research社)を用いて自動合成機により固相合成した。それ以外の操作は、上記(b)のEGオリゴヌクレオチドの合成方法および実施例2(b)のギャップマー合成の方法に従った。精製段階の製造物の陰イオン交換HPLCの測定結果を図7に、目的の最終製造物のMALDI−TOF−MS分析結果を図8に示す(計算値7557.2、実測値7558.7)
[試験例1]本発明核酸化合物の細胞増殖抑制効果
配列番号6〜10の塩基配列を有する本発明核酸化合物、および従来法であるアンチセンスデザインにより設計された、下記表2に示すAD1〜4核酸化合物、およびモチーフ検索により設計されたMS1〜4核酸化合物について、膵癌培養細胞PANC−1における細胞増殖抑制効果を調べた。当該実験は、製品プロトコルに従い、Lipofectamine2000(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)と複合体を形成し,上記培養細胞に投与することにより行った。
まず、投与開始時に96wellサイズのプレートにおいて70%のコンフルエンスになるように事前に調製した上記培養細胞を用意した。そして、マイクロチューブにLipofectamine 2000 2μLとOpti−MEM培地100μLを入れタッピングにて軽く混ぜた溶液、およびもう1本別のマイクロチューブにOpti−MEM培地100μLに対してそれぞれの上記核酸化合物の最終濃度を1μMになるように調製し,室温に5分静置した。その後、それら2本のマイクロチューブから溶液を25μLずつ取り出し、別のマイクロチューブに入れピペッティングにて混ぜ合わせ、室温で20分静置したものを投与サンプルとした。投与は、190μLのメディウムの入った細胞にLipofectamine 2000と上記核酸化合物の混合物10μLを加え、ディッシュをゆすって拡散させることにより行った。上記核酸化合物の投与サンプルにおける最終濃度は50nMで使用した。投与後、72時間後に細胞の生存数をMTTassayにより確認した。
その結果を図9に示す。図9に示すように、配列番号8の本発明核酸化合物(図中、配列8)が、評価した核酸化合物の中で最も細胞増殖抑制効果を示した。即ち、本発明配列決定法によって、従来の方法よりも優れたアンチセンスオリゴ核酸化合物を設計することができた。また、全体的にも、本発明配列決定法で設計した核酸化合物の方が、従来の方法で設計した核酸化合物(AD1〜4およびMS1〜4)と比較して細胞増殖抑制効果において優る傾向にあった。このように、本発明配列決定法は、従来の方法よりも優れていることが明らかである。
[試験例2]糖化合物で修飾した本発明核酸化合物の細胞内への取り込み
試験例1において特に高い効果を示した配列番号8の塩基配列を有する本発明核酸化合物について、糖化合物修飾の効果を確認した。カチオン性リポソームのような担体は用いずに、実施例2(d)で合成したFAM標識TEGオリゴヌクレオチド(20E、21E)の培養細胞への取り込みを評価した。当該実験はヒト膵癌培養細胞(PANC−1)を培養し、その細胞培養液に当該FAM標識TEGオリゴヌクレオチドを50nMの濃度になるように投与することにより行った。
まず、投与開始時に96wellサイズのプレートにおいて70%のコンフルエンスになるように事前に調製した。そして、培養液をFatal Bovine Serum(FBS)無しの培養液に交換後、それぞれの培養細胞に対して核酸化合物を投与した。投与の24時間後に培養液を取り除きPBSにて洗浄し、培養液をFluoroBrite DMEM Mediaに交換した。その後、1時間後、3時間後、6時間後の細胞内に取り込まれた蛍光色素の量を、肉眼、および顕微鏡写真撮影で確認、および平均輝度を測定した。
その結果を図10および図11に示す。図10に見られるように、20E、21Eの細胞内への取り込みが観察されたが、図11に示すように、蛍光を数値化した結果の平均輝度の比較では、糖化合物修飾を有する本発明核酸化合物(21E)において、より高い細胞内への取り込みが観察された。
[試験例3]
実施例2(d)で合成したFAM標識TEGオリゴヌクレオチド(20E、21E)について、様々な細胞における取り込みを評価した。当該実験は各種ヒト膵癌培養細胞(PANC−1、BXPC3、Capan−2、MiaPACA)、および膵管正常培養細胞(PE)を用い、試験例2と同様に行った。培養液をFluoroBrite DMEM Mediaに交換し、72時間後の細胞内に取り込まれた蛍光色素の量を、肉眼、および顕微鏡写真撮影で確認、および平均輝度を測定した。
その結果を図12に示す。図中、ASOは核酸化合物のみを投与したことを意味しており、G(+)は糖化合物(グルコース)を付加した核酸化合物(21E)の投与を示し、G(−)は糖化合物(グルコース)を付加していない核酸化合物(20E)を投与したことを示している。左側の時間表示は、核酸化合物を投与してから撮影するまでの時間を表す。下段の2DG+ASOは、細胞への糖の取り込み阻害剤である2−デオキシ−D−グルコース(2−Deoxy−D−glucose:以下、単に「2DG」という。)と核酸化合物を同時に投与した結果である。
図12から明らかなように、各種ヒト膵癌培養細胞(PANC−1、BXPC3、Capan−2、MiaPACA)においては、糖化合物修飾を有する21Eが、20Eと比較して細胞内への高い取り込みが観察された。一方、膵管正常培養細胞(PE)においては、糖化合物修飾の有無で取り込みに変化は生じなかった。また、2DGを同時投与した場合、いずれの細胞でも蛍光強度が減弱していることから、糖化合物を付加した本発明核酸化合物は、通常の細胞が糖を取り込む経路を介して取り込まれているものと考えられる。
[試験例4]
実施例3(c)で合成した、配列番号8の塩基配列を有するFAM標識EGオリゴヌクレオチド(SLp)について、細胞における取り込みを評価した。当該実験はヒト膵癌培養細胞(PANC−1)を用い、当該核酸化合物の濃度を0.8nM、4nM、20nM、100nMの4条件とした以外は試験例2と同様に行った。培養液をFluoroBrite DMEM Mediaに交換し、6時間後の細胞内に取り込まれた蛍光色素の量を、肉眼、および顕微鏡写真撮影で確認、および平均輝度を測定した。
その結果を図13に示す。図13から明らかなように、濃度量依存的に、FAM標識EGオリゴヌクレオチド(SLp)の細胞内への取り込みが観察された。24時間後のものでは観察中に細胞が剥がれてしまったため観察できなかった。
[試験例5]
実施例2(d)で合成したFAM標識TEGオリゴヌクレオチド(20E、21E)、および実施例3(c)で合成したFAM標識EGオリゴヌクレオチド(SLp)について、細胞における取り込みを評価した。当該実験は各種ヒト膵癌培養細胞(PANC−1、BXPC3)、および膵管正常培養細胞(PE)を用い、試験例2と同様に行った。培養液をFluoroBrite DMEM Mediaに交換し、1,3、6時間後および24時間後の細胞内に取り込まれた蛍光色素の量を、肉眼、および顕微鏡写真撮影で確認、および平均輝度を測定した。
その結果を図14〜17に示す。各図(特に図17)から明らかなように、培養細胞の平均輝度の比較により、正常培養細胞であるPEに対して、悪性化した膵癌細胞では、いずれの核酸化合物の取り込み量も増加していること、糖化合物修飾を有する核酸化合物(SLp、21E)は糖化合物修飾を有しない核酸化合物(20E)と比較して、正常細胞で取り込み量が少なく、癌細胞において取り込み量が多く見られることがわかった。このことは、糖付加を行った本発明核酸化合物の場合、癌細胞に選択的に送達できることを示しており、癌細胞のみに効果を発揮したい治療薬として有効な手段であると考えられる。さらには、SLpと比較して21Eは、癌細胞への取り込み率が高くなっていることから、癌細胞に対する治療を考えた場合、21Eがより有効であると考えられる。つまり、癌細胞に対する治療方法において、糖付加核酸化合物は、正常細胞への副作用をより少なくし、癌細胞への取り込みを増加させるということで有効であり、さらには、21Eのような比較的長鎖リンカーによる糖付加化合物は、癌細胞への取り込み効果を増加させるということでより有効である。
本発明核酸化合物やそれを有効成分として含有する本発明組成物ないし本発明抑制剤等は、癌等の疾患の治療剤等として有用である。また、本発明配列決定法は、標的遺伝子の発現を抑制しうる有効なアンチセンスオリゴ核酸を効率的に設計する上で有用である。
配列番号1〜5:いずれもアンチセンスオリゴ核酸である。
配列番号6〜18:いずれもギャップマー型のアンチセンスオリゴ核酸である。

Claims (20)

  1. 標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトと相補的二重鎖を形成し、かかる二重鎖形成部における当該miRNA結合サイトをRNaseHにより切断することができる、修飾または改変されていてもよい一本鎖核酸を含むアンチセンスオリゴ核酸化合物。
  2. 前記一本鎖核酸が4〜35塩基長からなる、請求項1に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
  3. 前記標的遺伝子がGSK3βである、請求項1または2に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
  4. 前記一本鎖核酸が、次のいずれかの塩基配列を有するものか、または当該効果を損なわない範囲でその一部が欠失、置換もしくは付加したものである、請求項3に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
    配列番号1:5'-CTCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
    配列番号2:5'-TTCAAGTAGTAATAATGTTA-3'
    配列番号3:5'-CTCAAGTGATCTTTAAATGT-3'
    配列番号4:5'-CTCAAGTAACTGGTGGTTTT-3'
    配列番号5:5'-TACAGTACCAGTTAACTATT-3'
    (各塩基配列中、A、G、C、TはDNAを表す。)
  5. 前記一本鎖核酸がギャップマー型である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
  6. 前記一本鎖核酸が、5’末端の5塩基配列および3’末端の5塩基配列においてRNA型であって、その中のチミン(T)がウラシル(U)であるものか、または次のいずれかの塩基配列を有するものか、もしくは当該効果を損なわない範囲でその一部が欠失、置換もしくは付加したものである、請求項5に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
    配列番号6:5'-CUCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
    配列番号7:5'-UUCAAGTAGTAATAAUGUUA-3'
    配列番号8:5'-CUCAAGTGATCTTTAAAUGU-3'
    配列番号9:5'-CUCAAGTAACTGGTGGUUUU-3'
    配列番号10:5'-UACAGTACCAGTTAACUAUU-3'
    (各塩基配列中、A、G、C、TはDNAを、はRNAを、それぞれ表す。)
  7. 前記一本鎖核酸が、次の(1)および/または(2)の構造を有するものである、請求項1〜6いずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
    (1)糖リン酸バックボーンにホスホロチオエート結合を有する構造
    (2)RNA型の2’水酸基が修飾されている構造
  8. 前記一本鎖核酸が、次のいずれかの塩基配列を有し、当該核酸におけるリン酸結合部分がホスホロチオエート結合であるものか、または当該効果を損なわない範囲でその一部が欠失、置換もしくは付加したものである、請求項7に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
    配列番号6:5'-CUCAAGTGTATCTTTCCAAG-3'
    配列番号7:5'-UUCAAGTAGTAATAAUGUUA-3'
    配列番号8:5'-CUCAAGTGATCTTTAAAUGU-3'
    配列番号9:5'-CUCAAGTAACTGGTGGUUUU-3'
    配列番号10:5'-UACAGTACCAGTTAACUAUU-3'
    (各塩基配列中、A、G、C、TはDNAを、は2’−OCH RNAを、それぞれ表す。)
  9. 5’末端および/または3’末端に直接またはリンカーを介して糖化合物を有するものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
  10. 前記リンカーが、炭素数2〜30のアルキレン、炭素数2〜24のオキサアルキレン、炭素数2〜24のアザアルキレン、または炭素数2〜24のチアアルキレンである、請求項9に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
  11. 前記リンカーが、トリエチレングリコールリンカー、テトラエチレングリコールリンカー、炭素数6〜12のオキサアルキレンである、請求項9または10に記載のアンチセンスオリゴ核酸。
  12. 前記糖化合物が、グルコース、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、フコース、またはシアル酸である、請求項9〜11のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸化合物もしくはその医薬上許容される塩、またはそれらの水和物を有効成分として含有することを特徴とする、医薬組成物。
  14. 前記医薬組成物が癌治療剤または予防剤である、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 前記癌が消化器系癌である、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. 前記消化器系癌が、胃癌、膵臓癌、または大腸癌である、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. 次の各工程を含むことを特徴とする、標的遺伝子の発現を抑制するためのアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
    1)標的遺伝子のmRNAにおけるmiRNA結合サイトを選び出す工程、
    2)選び出したmiRNA結合サイトに基づき、当該miRNAが結合する位置で標的遺伝子のmRNAを分解しうるアンチセンスオリゴ核酸配列を設計する工程、
    3)選び出したmiRNA結合サイトを含む部位と、設計したアンチセンスオリゴ核酸配列との相互作用エネルギーを計算し、その計算結果から候補となるアンチセンスオリゴ核酸配列を選び出す工程、
    4)選び出した候補アンチセンスオリゴ核酸配列を有するオリゴ核酸化合物について、標的遺伝子の発現抑制効果を評価する工程。
  18. 前記アンチセンスオリゴ核酸配列が、RNaseH依存アンチセンスオリゴ核酸配列またはsiRNAのアンチセンス鎖核酸配列である、請求項17に記載のアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
  19. 前記RNaseH依存アンチセンスオリゴ核酸配列がギャップマー型である、請求項18に記載のアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
  20. 前記標的遺伝子がGSK3である、請求項17〜19のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴ核酸配列決定法。
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