JP2017177565A - 包装材用フィルム、これを用いた包装材及び包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、添加剤の種類や量を増加させることなく、良好な曲げ剛性、低温ヒートシール性、加工工程での良好な滑性を有する包装材用フィルム、これを用いた包装材及び包装体を提供することを目的とする。
また、以下に示す本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本実施形態の包装材用フィルムを説明するための断面図である。また、以下に説明する包装材用フィルムの材料である熱可塑性樹脂の樹脂密度は、いずれもJISK7112:1999に準拠した測定方法により測定したものである。
図1に示した包装材用フィルム4は、熱可塑性樹脂を主樹脂とする第一層1、第一層1に続いて第二層2及び第三層3をこの順に積層して構成されている。第一層1は、厚さが1μm以上、3μm以下である。第二層2は、第一層の一方の面s1に形成され、樹脂密度が第一層1及び第三層3よりも低い。また、第三層3は、第二層2の第一層に向かう面s1の裏面s2に形成されている。
図1のように第一層1、第二層2及び第三層3を積層した結果、本実施形態の包装材用フィルム4は、第一層1の表面が図中最上層の多層構造フィルムとなる。なお、本実施形態では、このような構成を、「最表面が第一層である」とし、図1において第一層1の露出している面を「最表層」とも記す。
以下、図1に示した第一層1、第二層2及び第三層3について説明する。
包装材用フィルム4の材料は、適度な柔軟性を有すると共に、例えば押出機による加工適性を有する等、良好な加工性を備えることが好ましい。こうした材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(Low Density PolyEthylene:LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density PolyEthylene:LLDPE)、中密度ポリエチレン(Middle Density PolyEthylene:MDPE)、高密度ポリエチレン(High Density PolyEthylene:HDPE)及びホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックランダムコポリマーを持つポリプロピレン、オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン酢酸ビニルコポリマーやオレフィンの側鎖を変性して得られるエチレン−メチルアクリレート共重合(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)、あるいは、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよいし、これらのうちの複数の材料が組み合わされて用いられてもよい。
一般に、包装材用フィルム4では、最表層に低密度樹脂を用いることで低温ヒートシール性を良好にすることができる。ただし、最表層を低密度樹脂にすると曲げ剛性や加工時の滑性は悪化してしまう。しかし、本実施形態の包装材用フィルム4は、最表層である第一層1を1μm以上、3μm以下と薄くすることにより、第一層1を高密度樹脂層とした場合にも曲げ剛性及び滑性を共に良好にすることができる。また、本実施形態は、第一層の厚さを薄くすることで、最表層が高密度樹脂であることによる低温ヒートシール性の悪化を最小限に抑えることができる。つまり、1μm以上、3μm以下という最表層の厚さは、滑性の向上効果は高いが、低温ヒートシール性の低減効果は低い領域なのである。
さらに、第一層1の樹脂密度は0.918g/cm3以上、0.950g/cm3以下の範囲内が好ましく、0.924g/cm3以上、0.938g/cm3以下の範囲内がより好ましい。このような範囲内の樹脂密度を使用することで、本実施形態は、包装材用フィルム4の曲げ剛性、滑性を良好にすることができる。ただし、本実施形態において、第一層1の樹脂密度を0.950g/cm3より大きくすると、第一層1を3μm以下の薄膜にしても低温ヒートシール性が低下するために望ましくない。
本実施形態では、第二層2の樹脂密度を、第一層1の樹脂密度及び第三層3の樹脂密度より小さくする。具体的には、本実施形態は、第二層2の樹脂密度を0.903g/cm3以上、0.924g/cm3以下の範囲内とする。第二層2の樹脂密度が0.924g/cm3以下であれば、第二層2に低温ヒートシール性をもたせることができる。一方、第二層2を0.903g/cm3以下にすると、第二層2と第一層1との境界、または第二層2と第三層3との層境界で密着不良やフローマークが発生してしまうので望ましくない。
第三層3の樹脂密度は、目的により適時選択することができるが、第二層2の樹脂密度より高いことが好ましい。第三層3の樹脂密度を第二層2よりも高密度とすることにより、本実施形態は、第一層1と同様に、第三層3の曲げ剛性、滑性を良好にすることができる。
より具体的には、第三層3の樹脂密度は、0.924g/cm3以上の密度であるとよい。第三層3の厚さも、目的により適時選択することができるが、例えば30μm以上、120μm以下の範囲内であるとよい。第三層3の厚さをこのような範囲にすることにより、包装材用フィルム4は、適度な曲げ剛性を得ることができる。
また、包装材用フィルム4は、フィルムならびにシート成型時の加工適性、またフィルム、シートを使用する際の適性向上のため、各種の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、フィラー等のブロッキング防止剤、滑性を向上させるための滑剤、また加工安定性を付与するための酸化防止剤等を適宜添加する事が可能である。
以上説明した構成の本発明の包装材用フィルム4を作製する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を使用する事が可能である。例えば、複数の押出機を用いた共押出することにより、包装材用フィルム4を作製することもできるし、第二層2、第三層3を共押出により作製した後に第一層1を押出ラミ等により積層してもよい。その他の作成手順、方法により作製しても、本発明の効果は損なわれないため問題ない。さらに、第一層1の厚さ調整の方法として、上記方法等により作製した包装材用フィルム4を延伸することで、第一層1の厚さを薄くすることも可能である。
次に、以上説明した包装材用フィルム4の特性について説明する。
<曲げ剛性>
包装材用フィルム4の曲げ剛性Fは、包装材用フィルム4に使用する材料のヤング率Eと、包装材用フィルム4の形状により決定される断面2次モーメントI、との積である。このような積は、以下の式(1)で与えられることが知られている。
ここで、任意のy方向における断面2次モーメントIは下記の式(2)で表される。なお、式(2)中のAは物体の存在する領域を表す。つまり、式(2)は、物体がある一定の箇所に密集して配置されるより、任意のy方向に対して広がった形状を有する方が、断面2次モーメントIの値が大きくなることを示している。
包装材用フィルム4を加工する工程における包装材用フィルム4の滑性は、表面自由エネルギー、フィルム材料の硬さ及び表面性(表面凹凸)により決定される。本実施形態の包装材用フィルム4は、最表面に樹脂密度が高い、つまり、フィルム材料が硬い第一層1を有する構造をとっていることで、良好な滑性を得ることができる。
最表面の材料の硬さが軟らかいと、フィルムに摩擦がかかった際に変形を起こしてしまい、滑性が悪くなってしまうことがある。しかし、本実施形態によれば、最表層に1μm以上の硬い第一層1を設けていることから、摩擦変形の問題は生じない。
上述のように、包装材用フィルム4の低温ヒートシール性は、通常、最表面に樹脂密度の高い第一層1があることで悪化してしまう。しかし、本実施形態は、第一層1を厚さ3μm以下という薄い層にすることで、低温ヒートシール性の悪化を防ぐことが可能である。また、本実施形態は、薄い第一層1の内側に樹脂密度の低い第二層2が存在することで、良好な低温ヒートシール性を有することができる。最表面の第一層1の厚さを様々変更して調査した結果、第一層1の膜厚は、3μmまでは低温ヒートシール性に大きな影響を与えることないことが分かった。なお、第一層1の膜厚が1μmより薄くなると、第一層1がうまく層をなすことができないことが分かった。
図2は、本実施形態の包装材用フィルムの変形例を説明するための断面図である。図2に示した包装材用フィルム41は、包装材用フィルム4の第三層の側にさらに第二層2及び第一層1を順次積層して構成されている。包装材用フィルム41は、第三層の表裏にそれぞれ第二層2、第一層1を積層しているので、表裏に違いのない包装材用フィルムとなる。
図3は、本実施形態の他の変形例の包装材用フィルム43を説明するための断面図である。図3に示した包装材用フィルム43は、第一層1、第二層2及び第三層3以外に追加層5を第三層の側に設けた構成を有している。
図4は、本実施形態の包装材用フィルム4を用いて構成される包装材を説明するための断面図である。図4に示した包装材8は、包装材用フィルム4を含んでいる。そして、包装材8は、包装材用フィルム4の第一層1とは反対の面s3に、基材層7、印刷層及びバリア層といった機能層6を形成することによって得られる。なお、図4では、基材層7、機能層6及び包装材用フィルム4の三層構成を有する包装材8が例示されている。しかし、本実施形態の包装材は、このような構成に限定されるものでなく、基材層7及び包装材用フィルム4の二層構造や、4層以上の多層構成であってもよい。
以下、包装材8の基材層7及び機能層6についてそれぞれ説明する。
基材層7は、包装材8の支持体として機能する層である。基材層7としては、プラスチックを主とするフィルムが用いられる。フィルムのプラスチック材料は、包装材を使った包装体の内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件によって適宜選択される。具体的には、フィルムのプラスチック材料として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が使用されるが、特に限定されない。さらに、基材層7は、上記材料のうちの1つの材料からなる単層であってもよいし、各層を積層することによって上記材料のうちの複数の材料が組み合わされた層であってもよい。
機能層6として例えば印刷層やバリア層が挙げられる。バリア層は、空気中に含まれる酸素等の気体や水蒸気、封入した内容物等から包装材8を保護するための機能を有する層である。バリア層の材料としては、例えば、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂)やアルミニウム等の金属等を適宜使用することができる。
図5は、本実施形態の包装体9を説明するための図である。包装体9は、図4に示した包装材8の第一層1同士の縁部をヒートシール等により溶着し、溶着部88を形成することによって得られる。本実施形態の包装体9は、スタンディングパウチや、包装体、口栓付きパウチ、ラミチューブ及びバックインボックス等として構成可能である。さらに、包装体9は、この他に様々な用途に使用できる。
[膜厚をパラメータとする実施例]
本発明の発明者は、包装材用フィルムの樹脂として、プライムポリマー社製直鎖状低密度ポリエチレンLLDPEエボリューシリーズ、または高密度ポリエチレンHDPEハイゼックスを使用し、3台の単軸押出機にて260℃に加熱溶融したポリエチレン樹脂を、共押出Tダイにてフィルム総厚さ100μmにフィルム製膜して第一層、第二層及び第三層を含む包装材用フィルムを製造した。
また、表1において、第1比較例から第4比較例は、全て第一層の厚さが1μm以上、3μ以下であるとの条件を満たしていないが、第二層の樹脂密度が第一層及び第三層の樹脂密度よりも低いという条件を満たしている。
また、本発明の発明者は、第一層、第二層及び第三層の樹脂密度をパラメータとして各々変更し、第8実施例から第14実施例の包装材用フィルムを作製した。また、本発明の発明者は、このような実施例と比較するため、第5比較例の包装材用フィルムを作製した。そして、第8実施例から第14実施例と第5比較例とで、曲げ剛性、滑性、低温ヒートシール性を評価した。そして、各特性の評価を総合的に判断し、各包装材用フィルムの品質を判定した。なお、樹脂密度をパラメータとする実施例及び比較例では、第一層の膜厚を1μm、第二層の膜厚を15μm、第三層の膜厚を84μmに固定した。
また、表2において、第5比較例は、第一層の厚さが1μm以上、3μ以下であるとの条件を満たしているが、第二層の樹脂密度が第一層及び第三層の樹脂密度よりも低いという条件を満たしていない。
上記した各実施例及び各比較例によって得られた包装材用フィルムについて、成形性を評価するための事件を行った。また、包装材用フィルムを使った包装材について、包装材に求められる性能として曲げ剛性、滑性及び低温ヒートシール性を評価する実験を行った。以下、各評価実験の結果について説明する。
成形性の評価は、各実施例及び各比較例の包装材用フィルムを厚さ方向にカットした後、光学顕微鏡(キーエンス社製マイクロスコープ(型番:VHX−1000))にて第一層から第三層の厚さを各々測定し、狙いの厚さになっているか確認することによって行われた。
曲げ剛性の評価は、東洋精機製作所製のループステフネステスタ(商品名、登録商標)を用いて行った。ループステフネステスタ(商品名、登録商標)は、極薄材料のステフネスを評価するもので、ループ状の試料のつぶれ抵抗を測定する装置である。実験は、幅が15mm、ループ長が85mmの包装材用フィルムを圧縮速度3.3mm/secで押圧して行った。表1及び表2では、試料の第一層がない第1比較例の包装材用フィルムよりも曲げ剛性が向上したものを○、変わらないものを△、低減したものを×とした。
滑性の評価は、東洋精機製作所製の摩擦測定機(型番:TR−2)を用いて、JISK7125:1999に準拠した方法にて静摩擦係数を測定することによって行った。表1及び表2では、静摩擦係数が1.0以下であったものを○、1.5以下であったものを△、それ以上であったものを×とした。
低温ヒートシール性の評価は、テスター産業製のヒートシーラー(型番TP−701−B)を用いて包装材用フィルムの第一層同士を重ねてシールし、そのシール強度を測定することによって行った。シールの条件は、シール圧力を0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅を10mmに固定し、シール温度を100℃から10℃間隔で変更した。そして、シールされた包装材用フィルム(つまり包装材)を15mm幅×100mmに切出し、チャック間距離50mm、引張り速度300mm/minで引っ張ってシール強度を測定した。なお、シール強度の測定には、島津製作所株式会社製引張試験機(型番AGS−500NX)を用いた。
このような測定の結果、シール強度が10N以上になる最低温度をヒートシール発現温度とした。表1及び表2では、ヒートシール発現温度が130℃以下のものを○、140℃以下のものを△、それ以上のものを×とした。
総合判定は、曲げ剛性評価、滑性評価及び低温ヒートシール性評価の結果を総合して行われた。表1及び表2では、曲げ剛性評価、滑性評価及び低温ヒートシール性評価のうち、全てが〇と評価されたものを〇、1つが△と評価されたものを△、1つでも×と評価されたものを×とした。
表1より、第一層がない第1比較例は、曲げ剛性及び滑性が×と評価されている。しかし、第1実施例から第7実施例によれば、第一層を1μmでもつけることで、曲げ剛性及び滑性が〇と評価されていることが分かる。また、表1の第2比較例から第4比較例によれば、第一層が5μm以上になると、低温ヒートシール性が悪化して×と評価されることが分かる。
また、表1より、第二層の厚さが10μm以上の第1実施例から第3実施例及び第5実施例から第7実施例の低温ヒートシール性が〇と評価されている。また、表1によれば、第二層の厚さが5μmの第4実施例の低温ヒートシール性が△と評価されている。さらに、表1によれば、第二層の厚さが30μmの実施例7では、低温ヒートシール性が〇と評価されているものの、曲げ剛性が△と評価されている。以上のことから、第二層2の厚さは、10μm以上、20μm以下がより好ましいことが分かった。
2 第二層
3 第三層
4 包装材用フィルム
5 追加層
6 機能層
7 基材層
8 包装材
9 包装体
88 溶着部
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂を主樹脂とする第一層を最表面に備え、前記第一層に続いて第二層及び第三層をこの順に備える包装材用フィルムであって、
前記第一層は、厚さが1μm以上、3μm以下であり、
前記第二層は、前記第一層の一方の面に形成され、樹脂密度が前記第一層及び第三層よりも低く、
前記第三層は、前記第二層の前記第一層に向かう面の裏面に形成されることを特徴とする包装材用フィルム。 - 前記第二層の厚さは、10μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装材用フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂はオレフィン系樹脂であり、ポリエチレン及びその誘導体のうちの少なくとも1種類以上を含むことを特徴とした請求項1または請求項2に記載の包装材用フィルム。
- 前記第一層の樹脂密度は、0.924g/cm3以上、0.938g/cm3以下であり、前記第二層の樹脂密度は、0.903g/cm3以上、0.924g/cm3以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装材用フィルム。
- 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の包装材用フィルムを含み、前記包装材用フィルムの前記第一層と反対の面に基材層が積層させていることを特徴とする包装材。
- 請求項5に記載の包装材を用いたことを特徴とする包装体。
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