JP2017177683A - 撥水性被膜付基材およびその製造方法 - Google Patents

撥水性被膜付基材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた撥水性を長期間保ち耐摩耗性を有し、被膜中の粒子相互および被膜と基材の密着強度に優れた撥水性被膜付基材とその製造方法を提供する。【解決手段】基材表面に撥水性の被膜を有し、前記被膜が無機酸化物粒子を含み、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に接着材が介在する粒子層と、該粒子層を覆う撥水性のオーバーコート層とを有し、前記無機酸化物粒子の上部が前記接着材から露出した凹凸形状をなし、該凹凸形状を保つように前記オーバーコート層によって覆われた凹凸構造を前記被膜表面に有することを特徴とし、無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が混合し分散している粒子層形成用塗布液を基材に塗布して前記無機酸化物粒子相互の間隙に前記樹脂エマルジョン粒子を介在させ、該樹脂エマルジョン粒子を崩壊させて前記粒子層を形成し、該粒子層表面にオーバーコート層を塗布して撥水性被膜付基材を製造する。【選択図】図4

Description

本発明は撥水性に優れた被膜付基材およびその製造方法に関し、より詳しくは、優れた撥水性、密着性、耐久性を有し、防水性能、耐薬品性能等を必要とする繊維、建材、ガラス、プラスチック基材、自動車や各種電子デバイス等、および水処理用、その他の用途に好適に使用することができる撥水性被膜付基材と、その製造方法に関する。
水の付着や浸透を防ぐために各種基材や製品の表面に撥水性被膜を表面に設けることが従来から広く行われており、また撥水性被膜は電気回路や半導体素子などの防水膜としても利用されている。このような撥水性被膜について従来から種々のものが知られている。
特許文献1(特開2005−343016号公報)には、基材表面に撥水性被膜を被覆した撥水性被膜被覆物品において、撥水性被膜が微粒子集合体からなる突起体及び撥水性膜を備えた、被膜の被覆領域において、突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、突起体が存在する部分の被膜表面に突起体による凹凸が形成されている撥水性被膜被覆物品が開示されている。
特許文献2(WO2003/039856号公報)には、基体と、基体の表面に形成された微小凹凸を有する下地膜と、下地膜の微小凹凸上に形成された撥水性皮膜とを含む撥水性基体であって、撥水性被膜の表面形状が、粒子状突起物と、粒子状突起物よりも基板の表面から測定した高さが高い柱状突起物とにより構成された撥水性基体が開示されている。
特許文献3(特開2004−137137号公報)には、表面に微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする被覆を有する物品であって、微小凹凸は、微小突起および柱状突起により構成されていることを特徴とする被覆物品が開示されている。その製造方法として、クロルシリル基含有化合物を、シリコン油を主成分とする溶媒に溶解した塗布溶液を塗布することによって微小凹凸構造を有する被膜を形成できることが開示されている。
特許文献4(特開平8−40748号公報)には、ガラス基板と、基板の表面に、表面処理することなく成膜した状態でマイクロピット状表層、凹凸状表層、凸状表層のうち少なくとも1種以上の表層形状を呈している酸化物薄膜あるいは混合酸化物薄膜からなる下地層と、該下地層の上に、少なくともフルオロアルキルシランと、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫の粒子と、シリコーン化合物と、水と、有機溶媒からなる混合溶液に、酸をフルオロアルキルシラン1モルに対して5×10モル 〜2×10モルになるよう添加した撥水撥油液を塗布成膜した撥水層を有する撥水性ガラスが開示されている。
特許文献5(特開2007−144916号公報)には、基体と、前記基体の表面に形成された微小凹凸を有する下地膜と、前記下地膜の表面に形成された撥水性被膜とからなる超撥水性基体であって、蒸留水の超撥水性基体表面に対する接触角が140°以上であり、純エタノールの超撥水性基体表面に対する接触角が30°以下であることを特徴とする撥水性基体が開示されている。
特許文献6(特開2015−116731号公報)には、基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、該撥水性被膜が、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆された金属酸化物粒子からなる粒子層と該金属酸化物粒子層上のオーバーコート層とからなり、該撥水性被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(T)が50〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅:W)が20〜1000nmの範囲にあり、前記基材が繊維または布であり、水との接触角が100〜180°の範囲にあることを特徴とする撥水性被膜付基材が開示されている。
特許文献7(特開2015−110285号公報)には、基材、および該基材表面の撥水性透明被膜からなり、該撥水性透明被膜が平均粒子径(D)10〜150nmの範囲の異形金属酸化物粒子を含む金属酸化物粒子層と、該金属酸化物粒子層上のオーバーコート層とからなり、該撥水性透明被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(T)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(W)が20〜1000nmの範囲にあり、前記基材が繊維または布であり、水との接触角が100〜180°の範囲にあることを特徴とする撥水性被膜付基材が開示されている。
特開2005−343016号公報 WO2003/039856号公報 特開2004−137137号公報 特開平8−40748号公報 特開2007−144916号公報 特開2015−116731号公報 特開2015−110285号公報
(イ) 特許文献1の撥水性物品は、珪素酸化物微粒子が不均一に積層した被膜が形成され、表面に形成される凹凸が比較的大きく、被膜の基材への密着性、強度が不充分となり、撥水性の再現性が十分得られない場合があった。(ロ) 特許文献2の撥水性基体は、下地膜形成成分、撥水処理剤の加水分解、重縮合が不十分となるためか、被膜の強度、硬度が充分得られない場合があり、撥水性も初期値は高いものの、摩耗等により大きく低下する場合があった。
(ハ) 特許文献3の撥水性物品は、初期の接触角は超撥水性を示すものの、乾布を用いた耐摩耗試験後の接触角は大きく低下する問題があった。(ニ) 特許文献4の撥水性ガラスは、自動車用ワイパーを用いた耐摩耗性試後の水に対する接触角の低下は小さいものの、初期接触角も耐摩耗性試後の接触角、耐候性試験後の接触角も約110〜100程度と接触角が150℃以上の超撥水性は得られていない。(ホ) 特許文献5の撥水性基体は、基体と被膜の接着性が弱く、耐久性に劣る問題がある。
(ヘ) 特許文献6および特許文献7の撥水性被膜は、従来のフラクタル構造とは規則性が低く、凸部がさらに微細な凹凸を有する点で相違し、基材との密着性、透明性、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、ヘーズ等に優れた利点を有している。一方、これらの撥水性被膜付基材では、金属酸化物粒子層の表面に接着材を兼ねたオーバーコート層が設けられており、接着効果を高めるためにオーバーコート層を厚くすると粒子層の凹凸構造の高低差が該オーバーコート層によって小さくなるため凹凸構造の効果が低減される傾向があった。また、基材に対する粒子層の接着性を高めるために、基材と粒子層の間に接着材を設けると製造工程が多くなり手間がかかるようになる。
本発明の撥水性被膜付基材は、従来の撥水性被膜に見られた前記(イ)〜(ホ)の問題を解消し、一方、特許文献6および特許文献7の撥水性被膜について、粒子層の凹凸構造の高低差を大きく維持して該凹凸構造による効果を十分に発揮できるようにし、さらに基材表面に予め接着材を設けて該接着材の上に粒子層を設ける必要が無く、製造工程を簡略化しながら基材に対する被膜の接合強度を高めたものであり、本発明によれば、優れた撥水性を長期間保ち、基材に対して十分な接合強度と良好な耐摩耗性を有する撥水性被膜付基材とその製造方法が提供される。
本発明の撥水性被膜付基材は以下の構成を有する。
〔1〕基材表面に撥水性の被膜を有する撥水性基材であって、前記被膜が無機酸化物粒子を含み、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に接着材が介在する粒子層と、該粒子層を覆う撥水性のオーバーコート層とを有し、前記無機酸化物粒子の上部が前記接着材から露出した凹凸形状をなし、該凹凸形状を保つように前記オーバーコート層によって覆われた凹凸構造を前記被膜表面に有することを特徴とする撥水性被膜付基材。
〔2〕無機酸化物粒子の平均粒子径(D)が20〜600nmであって、接着材の膜厚(U)が6〜400nmであり、該無機酸化物粒子の平均粒子径(D)に対する接着材の膜厚(U)の比(U/D)が1/3〜2/3であって、該無機酸化物粒子の平均粒子径(D )の1/3〜2/3が接着材から露出していることを特徴とする前記[1]に記載する撥水性被膜付基材。
〔3〕撥水性被膜の膜厚が30nm〜700nmであることを特徴とする前記[1]または前記[2]の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
〔4〕撥水性被膜表面の凹凸構造の凸部平均高さ(T)が10〜300nmの範囲であり、凸部間の平均距離(ビッチ幅)(W)が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする前記[1]〜前記[3]の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
〔5〕 無機酸化物粒子は、形状が球状、板状、金平糖状、塊状またはヒマワリ状の何れかであるか、または形状が球状、板状、金平糖状、塊状またはヒマワリ状の何れかであって多孔質であることを特徴とする前記[1]〜前記[4]の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
〔6〕前記ヒマワリ状の粒子は、無機酸化物からなる基体粒子と、該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子からなり、該ヒマワリ状の粒子表面が該微細粒子による微細凹凸を有することを特徴とする前記[5]に記載する撥水性被膜付基材。
〔7〕前記ヒマワリ状の粒子は、撥水性被膜の凹凸構造の表面に微細な凹凸を有し、該微細凹凸の凸部平均高さ(TFF)が0.5〜10nmの範囲であり、該微細凹凸の凸部間の平均距離(ビッチ幅)(WFF)が1〜30nmの範囲であることを特徴とする前記[6]に記載する撥水性被膜付基材。
〔8〕水との接触角が130°以上であることを特徴とする前記[1]〜前記[7]の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
〔9〕無機酸化物粒子がSiO、Al、Sb、ZrO、TiO、Fe、CeO、AgO、CuO、CuO、ZnOおよびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]〜前記[8]の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
〔10〕接着材が、エマルジョン樹脂であって、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]〜前記[9]の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
本発明は以下の構成からなる撥水性被膜形成用塗布液を含む。
〔11〕無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散している粒子層形成用塗布液と、撥水性のオーバーコート層形成用塗布液とからなることを特徴とする撥水性被膜形成用塗布液。
〔12〕樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D)が、無機酸化物粒子の平均粒子径(D )と同等か小さい(D≦D)ことを特徴とする前記[11]に記載する撥水性被膜形成用塗布液。
〔13〕無機酸化物粒子の体積量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の体積量(M)との体積量比(G/[G+M])が0.25〜0.9の範囲であることを特徴とする前記[11]または前記[12]に記載する撥水性被膜形成用塗布液。
〔14〕粒子層形成用塗布液が、無機酸化物粒子が極性溶媒に分散した分散液と、樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒に懸濁した懸濁液とからなり、前記分散液と前記懸濁液の混合によって無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散した粒子層形成用塗布液になる前記[11]〜前記[13]の何れかに記載する撥水性被膜形成用塗布液。
〔15〕オーバーコート層形成用塗布液が、フッ素含有化合物、アルキル基含有化合物またはシリコーン系化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする前記[11]〜前記[14]の何れかに記載する撥水性被膜形成用塗布液。
本発明は以下の構成からなる撥水性被膜付基材の製造方法を含む。
〔16〕無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に単分散し懸濁している粒子層形成用塗布液を基材に塗布して前記無機酸化物粒子相互の間隙に前記樹脂エマルジョン粒子を介在させ、塗布後、該樹脂エマルジョン粒子を崩壊させて前記無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材との間隙に樹脂を入り込ませて接着材を介在させると共に該無機酸化物粒子の上部が該接着材から露出した凹凸形状を有する粒子層を形成し、次いで、該粒子層の無機酸化物粒子が露出した凹凸形状表面に、該凹凸形状を保つようにオーバーコート層形成用塗布液を塗布して、該オーバーコート層によって覆われた凹凸構造を有する撥水性被膜を基材表面に形成することを特徴とする撥水性被膜付基材の製造方法。
〔17〕無機酸化物粒子の分散液と樹脂エマルジョン粒子の懸濁液を混合して、無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に混在して単分散した粒子層形成用塗布液を調製し、該塗布液を基材に塗布する前記[16]に記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
〔18〕粒子層形成用塗布液に含まれる樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D)が無機酸化物粒子の平均粒子径(D)と同等か小さい(D≦D)ことを特徴とする前記[16]または前記[17]に記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
〔19〕粒子層形成用塗布液に含まれる無機酸化物粒子の体積量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の体積量(M)との体積量比(G/[G+M])が0.25〜0.9の範囲であることを特徴とする前記[16]〜前記[18]の何れかに記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
〔20〕エマルジョン樹脂として、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂からなる樹脂エマルジョン粒子を極性溶媒に懸濁させた樹脂エマルジョン粒子懸濁液と、無機酸化物粒子を極性溶媒に分散させた無機酸化物粒子分散液を混合して粒子層形成用塗布液を調製することを特徴とする前記[16]〜前記[19]の何れかに記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
〔21〕前記樹脂エマルジョン粒子の崩壊を、加熱乾燥、電子線の照射または紫外線(UV)の照射の何れかにより行うことを特徴とする前記[16]〜前記[20]の何れかに記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
本発明の撥水性被膜付基材は、該撥水性被膜が、無機酸化物粒子を含み、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に接着材が介在する粒子層を有し、該無機酸化物粒子の上部が前記接着材から露出して高低差の大きな凹凸形状が形成されており、該凹凸形状を保つように前記オーバーコート層によって覆われた高低差の大きな凹凸構造が該撥水性被膜表面に形成されている。このように、無機酸化物粒子が接着材から露出する部分の凹凸形状がマトリックス成分(接着材)によって埋もれることがないので、水滴が該被膜表面に接触したときに、オーバーコート層の撥水性によって水滴が被膜表面に付着し難く、水滴が被膜表面から浮いた状態になる。さらに被膜表面の高低差の大きな凹凸構造の凹部に空気が入り込んで空気溜りになるので、いっそう水滴が被膜表面に付着し難くなる。具体的には、例えば、凸部平均高さ(T)が10〜300nmであって凸部間の平均距離(ピッチ幅)(W)が1〜1000nmの凹凸構造が被膜表面に形成されていることによって、水との接触角が130°以上の撥水性を有することができ、好ましくは150°以上の超撥水性を有することができる。
さらに、本発明の撥水性被膜付基材は、無機酸化物粒子の表面に微細凹凸が形成されている場合、無機酸化物粒子自体の存在による大きな凹凸構造と、該無機酸化物粒子の表面の微細凹凸との二つのフラクタル様構造をとることにより、さらに高い撥水性を有していると考えられる。特にヒマワリ状粒子は、粒子径の揃った基体粒子上に粒子径の揃った微細粒子が配置されているので、上記のフラクタル様構造を取り易く、そのため他の無機酸化物粒子に比べ、より超撥水性を発現しやすいと考えている。さらに詳細は良くわかっていないが、これら二つのフラクタル様構造によって超撥水性と撥油性の両機能を得ることができるものと考えられる。
本発明の撥水性被膜付基材は、無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に接着材が介在しているので、無機酸化物粒子相互および該無機酸化物粒子と前記基材との接合強度が大きく、撥水性被膜を長期間維持することができ、また耐摩耗性に優れている。
本発明の撥水性被膜は透明であるので、ガラスやプラスチックなどの透明基材上に該被膜を形成したものは、建物や自動車あるいは観測装置の窓やメータの表示部分の透明材料として好適に用いることができる。
また、本発明の撥水性被膜付基材は水処理用の分離膜などにも好適に用いることができる。一般に水処理用として、濾過膜や浸透膜などの用途に応じた細孔を有する親水性や疎水性の分離膜が用いられる。水処理用の細孔を有するポリスルホンやポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の不織布基材表面に本発明の撥水性被膜を形成したものは、水処理用基材として好適である。さらに、基体上に形成された撥水層が薄いため、繊維に用いた時には風合いや意匠性を損なうことがない。
さらに本発明の撥水性被膜付基材は、ナイロンやポリエステル、綿等の繊維上や外装建材、屋根瓦などを基材として撥水性被膜を形成することによって、汚れを流水で流れ落とす防汚材としても好適に用いることができる。また、ナイロンやポリエステル、外装建材などは防藻や抗菌性も必要な場合があり、このような場合は、無機酸化物粒子にAg、Cu、Zn等の金属を担持させてなる無機酸化物粒子(または複合酸化物粒子)と、防藻性や抗菌性を示す有機系化合物または有機珪素系化合物で修飾された無機酸化物粒子(または複合酸化物粒子)の何れかあるいは両方を併用することによって、本発明の撥水性被膜付基材は、撥水性と共に防藻性や抗菌性の複数の機能を有することができる。
本発明の粒子層形成用塗布液は、無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子とが混在して分散した状態で使用することによって、被膜形成時に粒子が凝集することなく単分散状態で配列し、フラクタル様構造の形成を意図しており、接着材から無機酸化物粒子が露出した粒子層を容易に基板上に形成することができる。また、該塗布液には接着材を形成する樹脂エマルジョン粒子が無機酸化物粒子と共に含まれているので、別途、接着材を基材表面に塗布する必要がなく、作業工程を簡略化することができる。
本発明の撥水性被膜付基材の製造方法は、無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が混在して単分散した粒子層形成用塗布液を用いるので、接着材は樹脂エマルジョン粒子の状態で無機酸化物粒子と共に塗布されるので、塗布作業が少なく、撥水性被膜を容易に形成することができる。
本発明の撥水性被膜付基材の製造方法は、無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材との間隙に樹脂エマルジョン粒子を介在させ、この樹脂エマルジョン粒子を塗布形成後、加熱乾燥させることによって崩壊させ、前記間隙に樹脂を入り込ませて接着材を介在させるので、無機酸化物粒子相互および該無機酸化物粒子と前記基材とが強固に接合されるため、接合強度の大きな撥水性被膜を形成することができる。さらに無機酸化物粒子が一層に配列した形態であるので、透明性が高く、風合いを損なわない基材が得られる。
本発明の撥水性被膜付基材の製造方法では、樹脂エマルジョン粒子は無機酸化物粒子相互の間隙に介在し、無機酸化物粒子が樹脂エマルジョン粒子によって覆われないので、無機酸化物粒子の上部が接着材から露出した高低差の大きな凹凸構造を形成することができる。例えば、無機酸化物粒子の平均粒子径(D)と同等か小さい(D≦D)平均粒子径(D)の樹脂エマルジョン粒子が分散した塗布液を用いれば、乾燥時に平均粒子径の大きな無機酸化物粒子と基材との間のメニスカスに存在する溶媒の張力によって、樹脂エマルジョン粒子がメニスカスに引き込まれ、確実に無機酸化物粒子が樹脂エマルジョン粒子によって覆われないようにすることができ、例えば、無機酸化物粒子の平均粒子半径の1/3〜2/3が露出した被膜を形成することができる。
本発明の撥水性被膜付基材の模式断面図。 本発明の撥水性被膜付基材の水との接触角を示す説明図。 ひまわり状無機酸化物粒子の模式断面図。 ヒマワリ状粒子を用いた撥水性被膜付基材の模式断面図。 本発明の撥水性被膜付基材の製造工程を示す説明図。
〔撥水性被膜付基材〕
本発明の撥水性被膜付基材は、基材表面に撥水性の被膜を有する撥水性基材であって、前記被膜が無機酸化物粒子を含み、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に接着材が介在する粒子層と、該粒子層を覆う撥水性のオーバーコート層とを有し、前記無機酸化物粒子の上部が前記接着材から露出した凹凸形状をなし、該凹凸形状を保つように前記オーバーコート層によって覆われた凹凸構造を前記被膜表面に有することを特徴とする撥水性被膜付基材である。
本発明の撥水性被膜付基材の一例を図1に示す。図示するように、撥水性被膜付基材10は、基材1と、該基材1の表面に形成された撥水性の被膜2を有している。該被膜2は粒子層3とオーバーコート層7によって形成されている。
前記粒子層3は、多数の無機酸化物粒子5が基材表面に並んだ層であり、基本的には単層に形成されており、前記無機酸化物粒子5の相互の間隙および該無機酸化物粒子5と前記基材1の間隙に介在している接着材4を含む層である。好ましくは、該接着材4は前記無機酸化物粒子5の相互の間隙および該無機酸化物粒子5と前記基材1の間隙に介在した樹脂エマルジョン粒子の崩壊によって形成される。前記無機酸化物粒子5の上部は前記接着材4の表面から露出しており、無機酸化物粒子5の上部が露出していることによって粒子層3の表面には高低差の大きな凹凸形状が形成されている。この中の粒子層3は基本的には単層で形成しており、必要に応じて2〜3層に形成してもよい。4層以上形成すると、繊維に使用する場合は、風合いの低下や粒子が脱落することがあり目的の強度・密着性が得られない場合がある。これらを2〜3層形成するには、撥水性被膜形成用塗布液の濃度を最適な濃度に調整することで形成可能である。
無機酸化物粒子5の平均粒子径(D)は20〜600nmの範囲が好ましい。該無機酸化物粒子5の平均粒子径(D)が20nm未満では、接着材4の膜厚(U)が下記膜厚範囲の上限値に近いときに、該無機酸化物粒子5の大部分が接着材4に取り込まれ、接着材4から露出する高さが小さくなり、高低差の大きな凹凸形状が得られない。また、該無機酸化物粒子の平均粒子径(D)が600nmを上回ると、凹凸形状の凸部の平均高さが所望の範囲外になる場合があり、目的の凹凸形状が得られない。なお、無機酸化物粒子の平均粒子径(D)は粒子層3の層厚になる。
接着材4の層厚(U)は6〜400nmの範囲が好ましい。接着材4の膜厚(U)が6nm未満では、無機酸化物粒子5の平均粒子径(D )が前記粒径範囲の上限に近いときに、該無機酸化物粒子5の該接着材4に埋まる深さが少なくなり、接着強度が十分に得られない。接着材4の膜厚(U)が400nmを上回ると、無機酸化物粒子5の平均粒子径(D)が前記粒径範囲の下限に近いときに、該無機酸化物粒子5が該接着材4から露出する高さが小さくなり、高低差の大きな凹凸形状が得られない。
該無機酸化物粒子5の平均粒子径(D)に対する接着材の層厚(U)の比(U/D)は1/3〜2/3が好ましく、従って、該無機酸化物粒子5の平均粒子径(D)の1/3〜2/3が接着材4から露出しているのが好ましい。このように無機酸化物粒子5の平均粒子径(D)の1/3〜2/3が接着材4から露出していることによって、被膜2の表面に高低差の大きな凹凸形状が形成されることになり、被膜2が高い撥水性を有するようになる。
本発明の撥水性被膜付基材は、例えば、無機酸化物粒子の平均粒子径(D)が60〜100nmのとき、接着材の膜厚(U)が10〜70nmであって、該無機酸化物粒子の平均粒子径(D )に対する接着材の層厚(U)の比(U/D)が1/3〜2/3であり、従って、無機酸化物粒子の平均粒子径(D )の1/3〜2/3が接着材から露出している。
前記オーバーコート層7は該粒子層3の表面を覆う撥水性の薄い表面層であり、フッ素含有化合物、アルキル基含有化合物またはシリコーン系化合物の少なくとも1種を含むものが好ましい。フッ素含有化合物として、は含フッ素シラン誘導体、含フッ素ホスホン酸誘導体などが挙げられる。アルキル基含有化合物として、はカルボキシデシルホスホン酸、ヒドロキシウンデシルホスホン酸、これらの誘導体などが挙げられる。シリコーン系化合物としては変性反応性シリコーンなどが挙げられる。該変性反応性シリコーンは官能基としてアクリル基、アクリロキシ基、エポキシ基、シラノール基、フェノール基、カルボキシル基などを含むものが好ましい。なかでも、式:R−SiX4−n(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)で表されるメトキシシランやエトキシシランなどの加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が好ましく用いられる。
オーバーコート層7の膜厚(O)は0.5〜10nmが好ましい。オーバーコート層7の膜厚(O)が0.5nm未満ではオーバーコート層7の撥水性が不十分であり、また耐久性が乏しい。一方、オーバーコート層7の膜厚(O)が10nmより大きいと、無機酸化物粒子5によって形成された凹凸形状がオーバーコート層7によって埋められ、高低差の大きな凹凸構造が得られ難くなる。
オーバーコート層7を含む撥水性被膜2の膜厚は20nm〜700nmの範囲が好ましく、40〜600nmの範囲がさらに好ましい。該膜厚が20nmより薄いと耐久性が低下し、また表面に十分な凹凸構造を形成することが難しい。一方、該膜厚が700nmより大きくても撥水性の効果はあまり変わらない。また、最外層に凹凸構造が形成されている限り、撥水性の効果はあまり変わらない。
本発明の撥水性被膜付基材は、例えば、無機酸化物粒子の平均粒子径(D )が60〜100nmのとき、接着材の膜厚(U)が10〜70nmであって、該無機酸化物粒子の平均粒子径(D )に対する接着材の層厚(U)の比(U/D)が1/3〜2/3であり、撥水性被膜2の膜厚が25〜160nmである。
撥水性被膜2の表面の凹凸構造は、凸部平均高さ(T)は10〜300nmの範囲が好ましく、凸部間の平均距離(ビッチ幅)(W)は1〜1000nmの範囲が好ましい。凸部平均高さ(T)が10nm未満では、該凹凸構造の高低差が小さくなり被膜の撥水性を高めるのが難しくなる。一方、凸部平均高さ(T)が300nmより大きくても撥水性はあまり変わらなくなる。また、前記凸部間のピッチ幅(W)が1nm未満では、凹部が狭くなり、該凸部間のピッチ幅(W)が1000nmを上回る場合には凹部が広すぎるので何れの場合も凹凸構造の効果が不十分になり、被膜の撥水性を高めるのが難しくなる。
〔基材〕
基材1の材質は制限されない。例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等、繊維等、不織布等やモルタル材、スレート材、コンクリート等を用いることができる。接着材4はエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、スチレン樹脂、および、これらの共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種によって形成することができる。
〔無機酸化物粒子〕
無機酸化物粒子5は、例えば、SiO、Al、Sb、ZrO、TiO、Fe、CeO、AgO、CuO、CuO、ZnOおよびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの粒子は所望の粒子径の球状粒子を容易に得ることができ、化学的にも安定であるので好ましい。
無機酸化物粒子5の形状は、前記凹凸構造を形成できる形状であればよく、制限されない。例えば、球状粒子、板状粒子、金平糖状粒子、塊状粒子、ヒマワリ状粒子の何れの形状でも用いることができる。これらの球状粒子、板状粒子金平糖状粒子、塊状粒子ヒマワリ状粒子などは多孔質構造であっても良い。球状粒子は平均粒子径(D )の1/3〜2/3が接着材4から露出した状態にすることが容易であり、被膜表面に高低差の大きな凹凸構造を形成することができる。これらの粒子は単一粒子が好ましいが、2〜3個連続した構造でも良い。なお、連続した構造が4個以上になると基材と粒子間に空隙が存在し、図1のような膜が得られない場合がある。また、ヒマワリ状粒子は粒子上部が接着材から露出することによって高低差の大きな凹凸形状が形成され、さらにヒマワリ状粒子表面に微細な凹凸を有するので、これらの凹凸のフラクタル効果によって、撥水性に優れた被膜を得ることができる。なお、これらの粒子の平均粒子径は長軸の長さを基準にして定められる。このように、複数の凹凸構造を有するため、同時に撥油効果を持たせることもできる。
なお、本願において、前記無機酸化物粒子の形状が球状の場合、球状粒子または球状無機酸化物粒子と称する。以下、同様に板状の場合を板状粒子または板状無機酸化物粒子、金平糖状の場合を金平糖状粒子または金平糖状無機酸化物粒子、塊状の場を塊状粒子または塊状無機酸化物粒子と称する。また、前記無機酸化物粒子の形状がヒマワリ状の場合、ヒマワリ状の粒子、ヒマワリ状粒子またはヒマワリ状無機酸化物粒子と称する。
先述のとおり、無機酸化物粒子の形状は、球状粒子、板状粒子、金平糖状粒子、塊状粒子またはヒマワリ状粒子の何れの形状であっても構わない。また、該無機酸化物粒子は、これらの各形状の粒子であって、更に多孔質であっても構わない。無機酸化物粒子が多孔質である場合、その形状が相当し平均粒子径が同程度の無機酸化物粒子に比べて相対的に大きな比表面積の値を示す。一般に無機酸化物粒子の比表面積は、その無機酸化物粒子またはその無機酸化物粒子を含有した被膜の撥水性向上に寄与する。
金平糖状無機酸化物粒子
金平糖状無機酸化物粒子は、その粒子表面に多数の疣状突起を有する球状の粒子で疣状突起と粒子表面のメニスカスの曲率半径が負となるものであり、その構造は概ね金平糖に類似したものである。後述するヒマワリ状粒子は基体粒子に微細粒子を接合して凹凸を有しているが、微細粒子と基体粒子のメニスカスの曲率半径は正となるものである。金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(D)は10〜150nm、さらには10〜130nmの範囲にあることが好ましい。金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(D)が10nm未満では、疣状突起を有する粒子としては得ることが困難であり、所望の微細凹凸が形成することが難しい。また、金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(D)が150nmを超えると撥水性被膜の強度、硬度、基材との密着性が不十分となる場合がある。
金平糖状無機酸化物粒子の疣状突起の平均高さ(H)は0.3〜45nmの範囲が好ましく、0.5〜40nmの範囲がさらに好ましい。疣状突起の平均高さ(H)が0.3nm未満では撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合がある。疣状突起の平均高さ(H)が45nmを超えると疣状突起が大き過ぎ、粒子表面の疣状突起の個数が少なくなるので微細凹凸の個数が減少し、撥水性の発現に有効な外表面積の低下を招く。
金平糖状無機酸化物粒子の疣状突起の平均高さ(H)と金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(D)との比(H)/(D)は0.03〜0.30の範囲が好ましく、0.05〜0.27の範囲がさらに好ましい。該比(H)/(D)が0.03未満の場合は撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合がある。一方、該比(H)/(D)が0.30を超えると、疣状突起が大き過ぎ、粒子表面の疣状突起の数が少なくなるので微細凹凸の数が減少する。
金平糖状無機酸化物粒子の疣状突起によって形成される表面粗度は下記式(1)によって示すことができる。なお、(SA)はBET法により測定される比表面積であり、(SA)は下記式(2)で表される等価球換算式で計算される比表面積であり、dは金平糖状無機酸化物粒子の密度であり、6000は換算係数である。(D)はTEM像で求めた任意に選んだ100個の平均粒子径である。
金平糖状無機酸化物粒子の表面粗度=(SA)/(SA) ・・・(1)
(SA)=6000/(D)×d・・・・・・(2)
ここで比表面積は単位質量当りの表面積を示すから、表面粗度(SA)/(SA)の値については、粒子が球状であって、粒子表面の疣状突起が多いほど、(SA)/(SA)の値は大きくなり、一方、粒子表面の疣状突起が少なく、平滑であるほど、(SA)/(SA)の値は小さくなり、その値は1に近くなる。
本発明に用いる金平糖状無機酸化物粒子の表面粗度(SA)/(SA)は1.7〜5.0の範囲が好ましい。表面粗度が1.7未満の場合、疣状突起の割合が少ないか、あるいは疣状突起自体が金平糖状無機酸化物粒子の粒子径に比べて極めて小さくなり、球状粒子に近くなる。一方、表面粗度の値が5.0を超える場合は、調製が困難である。表面粗度の範囲は1.8〜4.5の範囲がさらに好ましい。
金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(D)および疣状突起の平均高さ(H)は走査型電子顕微鏡写真(SEM)の画像解析により測定することができる。具体的には、走査型電子顕微鏡によって撮影した投影図の、例えば、任意の50個の粒子について、その最大径を測定して平均値を平均粒子径(D)とすればよい。また、任意の疣状突起の頂点から疣状突起と球状粒子部分との接点までの距離を3箇所ずつ測定し、その平均値を疣状突起の平均高さ(H)とすればよい。
塊状粒子(塊状無機酸化物粒子)
塊状粒子は、粒子が不規則に固まっている粒子である。これを構成する粒子は、異形や不定形状等のものでも良く、複数の形状のものから構成されていてもよい。塊状になると粒子表面に不規則な凹凸が形成されるため撥水被膜を得た場合により高い撥水性が得られる。
ヒマワリ状粒子(ヒマワリ状無機酸化物粒子)
ヒマワリ状粒子20は、図3の断面図に示すように、無機酸化物の基体粒子21と、該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子22を有し、粒子全体の断面がヒマワリ状の粒子である。図示する基体粒子21は模式的に球状を示しているが、異形、板状、多面体状であってもよい。微細粒子22は概ね球状粒子である。ヒマワリ状粒子20は基体粒子21の表面が前記微細粒子22による微細な凹凸を有しているので、優れた撥水性が得られ、密着性が強く、親水被膜によるファウリングや劣化が効果的に抑制され、防汚性を有し、長期にわたって高い撥水性を維持することができる。
該微細凹凸の凸部平均高さ0.5〜10nmの範囲が好ましい。該凸部平均高さが前記範囲よりも小さいと十分な凹凸が形成され難く、前記範囲を超えるものは微細粒子22の粒子径が大きいので、基体粒子21の表面を覆う微細粒子22の数が限られるようになり、基体粒子表面に十分な微細凹凸が形成され難くなる。
該微細凹凸の凸部間の平均距離(ビッチ幅)は1〜30nmの範囲が好ましい。該平均距離(ビッチ幅)が1nm未満では凹部が狭くなり、凸部間のピッチ幅が30nmを上回る場合には凹部が広すぎるので、何れの場合も微細凹凸による十分な効果が得られ難くなる。
ヒマワリ状粒子の基体粒子21の平均粒子径(DC1)は40〜600nmの範囲が好ましく、50〜500nmの範囲がさらに好ましい。この平均粒子径(DC1)が小さいと、基材上に塗布した際に凸部の高さ、凸部間距離(ピッチ幅)が小さくなりすぎる場合があり、高い撥水性が得られ難い。一方、該平均粒子径(DC1)が大きすぎても、凸部の高さおよび凸部間距離(ピッチ幅)が大きくなり過ぎるため高い撥水性被膜が得られ難い。
なお、基体用粒子11の平均粒子径(DC1)および微細粒子22の平均粒子径(DC2)は下記式(3)で表される等価球換算式で求められる平均粒子径である。なお、式(3)のDは平均粒子径(nm)、SAはBET法で測定された比表面積(m/g)、dは粒子の密度(g/cm)、6000は換算係数である。また、該平均粒子径Dは動的光散乱法(日機装社製品:マイクロトラックUPA)を用いて測定することができる。通常の比表面積の実測値はBET法で測定される。
D=6000/SA×d・・・・(3)
微細粒子22の平均粒子径(DC2)は4〜60nmの範囲が好ましく、5〜40nmの範囲がさらに好ましい。該平均粒子径(DC2)が小さいと、安定に単分散したヒマワリ状無機酸化物粒子を得ることが難しい。該平均粒子径(DC2)が大きすぎても、微細凹凸が大きくなり、ヒマワリ状無機酸化物粒子の比表面積も低くなるので、充分な撥水性が得られ難くなる。
基体粒子21の平均粒子径(DC1)と微細粒子22の平均粒子径(DC2)との比(DC2)/(DC1)は0.007〜0.5の範囲が好ましく、0.008〜0.4の範囲がさらに好ましい。該比(DC2)/(DC1)が前記範囲よりも小さいと微細凹凸が小さくなり、充分な撥水性が得られ難い。該比(DC2)/(DC1)が前記範囲を超える微細凹凸が大きくなり、充分な撥水性が得られ難い。
基体粒子21の微細粒子22による被覆率は下記式(4)によって表される。該被覆率は30〜100%の範囲が好ましく、50〜100%の範囲がさらに好ましい。該被覆率が小さいと、微細凹凸が充分に形成できない。基体粒子21の表面に微細粒子22が被覆したヒマワリ状粒子の平均粒子径は、被覆率によっても異なるが、概ね48〜720nmの範囲である。
被覆率(%)={[ヒマワリ状無機酸化物粒子の実測の比表面積(SC1)−基体用無機酸化物粒子の実測の比表面積(S)]/[100%被覆したとした場合のヒマワリ状無機酸化物粒子の計算上の比表面積(S )−基体用無機酸化物粒子の実測の比表面積(S)]}×100・・・・・・・(4)
基体粒子の表面を微細粒子で100%被覆したとした場合のヒマワリ状無機酸化物粒子の計算上の比表面積(S)は、次の算定方法で求めた。
微細粒子の1個当たりの表面積=4π( (DC2)/2)
基体粒子の1個当たりの表面積=4π( (DC1)/2)
ヒマワリ状無機酸化物粒子1個あたりの微細粒子の個数(n)=4π(DC1/2+DC2/2)(R/(π(DC2/2))) 〔ここで、Rは最密充填時の充填率を表す。〕
1個当たりの微細粒子の重量=(4/3π)(DC2/2)(dC2
1個当たりの基体粒子の重量=(4/3π)(DC1/2)(dC1
〔ここで、dC1は基体粒子の粒子密度(g/ml)を、dC2は微細粒子の粒子密度(g/ml)を表す。〕
ヒマワリ状無機酸化物粒子1個当たりの重量=[微細粒子の個数(n)]×[微細粒子1個当たりの重量]+[基体粒子1個の重量]
これらより、ヒマワリ状無機酸化物粒子の1個あたりの表面積=[基体粒子の1個当たりの表面積]+[微細粒子の1個当たりの表面積]×[ヒマワリ状無機酸化物粒子1個あたりの微細粒子の個数(n)] となる。
従って、ヒマワリ状無機酸化物粒子の計算上の比表面積(S)(m/g)は、
比表面積(S)=[ヒマワリ状無機酸化物粒子の1個あたりの表面積]/[ヒマワリ状無機酸化物粒子1個当たりの重量] となる。
なお、シリカの粒子密度は2.2g/mlであり、基体粒子や微細粒子としてシリカを使用した場合はこの値を使用した。
基体粒子21および微細粒子22の成分は同一であっても異なっていてもよく、SiO、Al、Sb、ZrO、TiO、Fe、CeO、AgO、CuO、CuO、ZnOおよびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの成分の粒子は粒子径が前記範囲にある球状粒子を容易に得ることができ、化学的にも安定であるので好適に用いることができる。なかでも、SiO粒子は、粒子径の大小に拘わらず均一な粒子径を有する球状粒子が得られ、化学的に安定であるので好ましい。
ヒマワリ状粒子は、正または負の表面電位を有する基体粒子の水分散液と、これと反対の表面電気を有する微細粒子の水分散液を混合してpHを弱酸性に調整し、該混合液をイオン交換樹脂に通液して陰イオンを除去し、pHをほぼ中性の範囲に調整し、乾燥することによって得ることができる。もしくは、基体粒子の表面電位と微細粒子の表面電位が同符号の時は、その積は400mV以下が好ましい。
無機酸化物粒子5としてヒマワリ状粒子20を用いた撥水性被膜付基材の断面図を図4に示す。基材1の表面に形成された撥水性の被膜2は粒子層3とオーバーコート層7によって形成されている。該粒子層3は、基体1の表面に並んだ多数のヒマワリ状粒子20を含み、該ヒマワリ状粒子20は基体粒子21と該基体粒子表面の微細粒子22によって形成されている。該粒子層3は多数の該ヒマワリ状粒子20と、該ヒマワリ状粒子20の相互の間隙および該ヒマワリ状粒子20と前記基材1の間隙に介在している接着材4によって形成されている。
該ヒマワリ状粒子20の上部は前記接着材4の表面から露出しており、ヒマワリ状粒子20の上部が露出していることによって高低差の大きな凹凸形状が形成されている。さらに、該ヒマワリ状粒子20は基体粒子表面の微細粒子22よって形成された微細凹凸を表面に有している。
前記オーバーコート層7は撥水性の表面層であり、好ましくは、フッ素含有化合物、アルキル基含有化合物またはシリコーン系化合物の少なくとも1種を含む層である。該オーバーコート層7のこれらの化合物は図1に示す撥水性被膜付基材1のオーバーコート層7含まるものと同じで良い。
オーバーコート層7によって粒子層3の表面が覆われている。該オーバーコート層7の膜厚は、ヒマワリ状粒子20によって形成された凹凸形状、および該ヒマワリ状粒子表面の微細凹凸が保たれる薄い膜厚であり、例えば、図1に示す撥水性被膜付基材1のオーバーコート層7と同様の膜厚であればよい。
なお、無機酸化物粒子の粒子層の表面に、金属アルコキシドの部分加水分解物や有機樹脂のモノマーやポリマーの分子状のマトリックス成分(接着材)をコートして粒子と基材を接着させる場合、あるいは、無機酸化物粒子より大きなエマルジョン樹脂粒子と無機酸化物粒子とを混合したマトリックス成分を含む塗布液を用いて粒子層を形成する場合、前記マトリックス成分が微細凹凸を埋めた状態になると撥水性の高い被膜が得られない。あるいは基体とヒマワリ状粒子間に均等にエマルジョン粒子が侵入しないため、ヒマワリ状粒子を基体に固着できない。また、このようなマトリックス成分を使用するときに、無機酸化物粒子をクラスター状にして被膜を形成することが知られているが、被膜の密着性が不十分であったり、繊維に被膜を形成すると繊維の風合いを損ねたり、透明被膜を得たいときに透明性の低い膜になる場合がある。
一方、本発明の撥水性被膜は、無機酸化物粒子5によって形成された高低差の大きな凹凸形状、および該ヒマワリ状粒子20では該粒子表面の微細凹凸がオーバーコート層7によって埋められず、粒子層3の表面を覆うオーバーコート層7の膜厚は、前記凹凸形状および微細凹凸を保つ薄い膜厚であるので、被膜表面の凹凸構造による効果が十分に発揮され、高い撥水性を有する。また、被膜の密着性に優れており、繊維上に被膜を形成しても繊維の風合いが損なわれず、また透明性の高い被膜を得ることができる。
〔撥水性被膜形成用塗布液〕
本発明の撥水性被膜付基材を製造する被膜形成用塗布液は、無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散している粒子層形成用塗布液と、撥水性のオーバーコート層形成用塗布液とからなる。
粒子層形成用塗布液
粒子層形成用塗布液は無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散している液である。該塗布液において、樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D)は無機酸化物粒子の平均粒子径(D)と同等か小さい(D≦D)ことが好ましい。樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D)が無機酸化物粒子の平均粒子径(D)と同等か小さい(D≦D)ことによって、無機酸化物粒子が樹脂エマルジョン粒子によって覆われ難くすることができる。樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D)が無機酸化物粒子の平均粒子径(D)より大きいと、樹脂エマルジョン粒子が崩壊したときに、無機酸化物粒子が崩壊した樹脂によって被覆される場合がある。
粒子層形成用塗布液において、無機酸化物粒子の体積量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の体積量(M)との体積量比(G/[G+M])は0.25以上(無機酸化物粒子の体積量Gが25%以上)の範囲が好ましく、0.29〜0.9の範囲がさらに好ましい。該量比(G/[G+M])が前記範囲より小さいと被膜中の無機酸化物粒子の数が少なくなり、被膜の撥水性および耐久性が不十分になる懸念がある。一方、該量比(G/[G+M])が前記範囲より大きいと相対的に樹脂量が少なくなり、接着強度が低下する懸念がある。
粒子層形成用塗布液は、無機酸化物粒子が極性溶媒に分散した分散液と、樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒に懸濁した懸濁液とからなり、該分散液と該懸濁液の混合によって無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して分散した状態になるものを用いることができる。前記粒子層形成用塗布液を無機酸化物粒子分散液と樹脂エマルジョン粒子懸濁液の二液にすることによって保存性を高めることができる。
樹脂エマルジョン粒子懸濁液を調製せずに、無機酸化物粒子分散液に樹脂を直接に添加し、撹拌して樹脂エマルジョン粒子を形成させて前記粒子層形成用塗布液を調製してもよい。この場合には使用時に二液を混合する必要が無いので作業性が良い。
無機酸化物粒子分散液と樹脂エマルジョン粒子懸濁液と調製し、これらを混合して粒子層形成用塗布液を調製する工程を以下に示す。
無機酸化物粒子分散液の調製
無機酸化物粒子を極性溶媒に加え、ミキサーなどで撹拌して無機酸化物粒子分散液を調製する。無機酸化物粒子分散液の固形分濃度は0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜15重量%がさらに好ましい。該無機酸化物粒子の平均粒子径(D)は20〜600nmの範囲が好ましい。
前記無機酸化物粒子分散液の極性溶媒は、例えば、以下の溶媒(イ)〜(ト)を用いることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
(イ)メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類。
(ロ)酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類。
(ハ)エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類。
(ニ)ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プルピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類を含む撥水性溶媒。
(ホ)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類。
(ヘ)トルエン等、N−メチルピロリドン等。
(ト)水
樹脂エマルジョン粒子懸濁液の調製
樹脂エマルジョン粒子懸濁液は樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒に懸濁した懸濁液である。エマルジョン樹脂としては、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂が好ましい。被膜形成工程で樹脂エマルジョン粒子を崩壊させて接着材を形成するので、これらの樹脂は接着材の成分になる。
前記樹脂を極性溶媒に加え、ミキサー等で撹拌すれば極性溶媒中で樹脂エマルジョン粒子が形成され、樹脂エマルジョン粒子懸濁液を得ることができる。極性溶媒は無機酸化物粒子分散液と同様のものを使用することができる。界面活性剤やpH調整剤を添加して高速撹拌することによって、樹脂エマルジョン粒子の粒子径を調整することができる。界面活性剤やpH調整剤の添加量、撹拌速度は樹脂および極性溶媒の種類、分散液中の樹脂量などによって樹脂エマルジョン粒子が目的の粒子径になるように調整すればよい。なお、樹脂エマルジョン粒子懸濁液は市販品を用いることができる。
粒子層形成用塗布液の調製
無機酸化物粒子分散液と樹脂エマルジョン粒子懸濁液を混合し、撹拌して無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に混在し単分散した粒子層形成用塗布液を調製する。無機酸化物粒子分散液に珪酸液を添加し、加熱熟成させた後に樹脂エマルジョン粒子懸濁液を混合すると良い。珪酸液を添加すると、無機酸化物粒子としてヒマワリ状粒子を用いたときに、ヒマワリ状粒子の微細粒子が基体粒子に良く固着して脱落しない。
前記塗布液には、架橋材や架橋抑制材などを入れ、エマルション粒子が崩壊・固着する温度を制御してもよい。さらにレベリング剤や分散剤を入れ、塗膜をより綺麗にすることができる。また必要に応じて光重合開始剤や熱硬化促進剤を入れてもよい。
粒子層形成用塗布液において、無機酸化物粒子濃度は0.1〜10重量%の範囲が好ましく、0.5〜8重量%の範囲がさらに好ましい。該濃度が前記範囲より低いと、無機酸化物粒子層の厚みが薄く、所望の凹凸が形成できない場合があり、また、無機酸化物粒子の無い塗布ムラが生じやすいため、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。一方、該濃度が前記範囲より高いと、塗布方法によっても異なるが、塗工性が低下して所望の凹凸を形成できない場合がある。また、無機酸化物粒子層が厚くなり過ぎて透明性が低下し、またヘーズが高くなる場合がある。
粒子層形成用塗布液の樹脂エマルジョンの濃度は0.1〜10重量%の範囲が好ましく、0.5〜8重量%の範囲がさらに好ましい。樹脂エマルジョン濃度が前記範囲より低いと、十分な膜厚の接着材を形成することができず、接着強度も低下する懸念がある。一方、樹脂エマルジョン濃度が前記範囲より高いと、相対的に無機酸化物粒子濃度が低くなり、無機酸化物粒子層の厚みが薄く、所望の凹凸が形成できない場合がある。
前述したように、粒子層形成用塗布液に含まれる樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D )は無機酸化物粒子の平均粒子径(D )と同等か小さい(D ≦D )ことが好ましい。また、無機酸化物粒子の体積量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の体積量(M)との体積量比(G/[G+M])は0.25以上(無機酸化物粒子体積量Gが25重量%以上)の範囲が好ましく、0.29〜0.9の範囲がさらに好ましい。これらの体積を算出するには、樹脂エマルションは比重1.1、シリカの比重は2.2を用いて計算した。
オーバーコート層形成用塗布液の調製
オーバーコート層形成用塗布液は、粒子層表面を覆う撥水性のオーバーコート層を形成する液であり、フッ素含有化合物、アルキル基含有化合物またはシリコーン系化合物の少なくとも1種を含むものが好ましい。
フッ素含有化合物としては、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどの含フッ素シラン誘導体、パーフルオロヘキシルホスホン酸、パーフルオロオクチルホスホン酸、パーフルオロデシルホスホン酸などの含フッ素ホスホン酸誘導体、あるいは市販品ではフロロテクノロジー製のフロロサーフ、NODASCREEN製のINTシリーズなどが挙げられる。
アルキル基含有化合物としては、10−カルボキシデシルホスホン酸、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸、11−(ナフタレン−2−イルオキシ)ウンデシルホスホン酸、11−[2[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ウンデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、11−フタルイミドウンデシルホスホン酸などホスホン酸誘導体が挙げられる。
シリコーン系化合物としては変性反応性シリコーン等が挙げられる。該変性反応性シリコーンは、官能基としてアクリル基(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、シラノール基、フェノール基、カルボキシル基などを含むものが好ましい。なかでも、式:R−SiX4−n(但し、式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物や該加水分解物が加熱処理によって重縮合した加水分解重縮合物が好ましい。
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、へキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3−ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
前記シラン化合物のなかで、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどのフッ素置換炭化水素基を含む加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物は、より撥水性に優れた被膜を得ることができる。
フッ素含有化合物、アルキル基含有化合物またはシリコーン系化合物などのオーバーコート層形成成分を分散媒に分散させてオーバーコート層形成用塗布液を調製する。オーバーコート層形成用塗布液の分散媒としては、前記無機酸化物粒子分散液の分散媒と同様の分散媒を用いることができる。
オーバーコート層形成用塗布液の濃度は固形分としてとして0.05〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%の範囲がさらに好ましい。該塗布液の濃度が低いと、一部オーバーコート層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性が得られない場合がある。オーバーコート層形成用塗布液の濃度が高すぎても、所望の凹凸構造が得られない場合があり、撥水性が向上せず、むしろ低下する場合がある。ただし、オーバーコート層形成用塗布液の濃度は基体との濡れ性で適宜調整することが好ましい。濡れ性の良い基体であれば少なめの調整が、濡れにくい基体であれば、前処理するか固形分としてとして多めに調整することが好ましい。
〔撥水性被膜付基材の製造方法〕
本発明の撥水性被膜付基材は、前記被膜形成用塗布液を用い、該塗布液を基材に塗布して前記無機酸化物粒子相互の間隙に前記樹脂エマルジョン粒子が介在した粒子層を形成し、塗布後、加熱乾燥して該樹脂エマルジョン粒子の崩壊によって前記無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材との間隙に樹脂(接着材)が入り込み、該無機酸化物粒子の上部が該接着材から露出した凹凸形状を有する粒子層を形成し、該粒子層の表面に撥水性のオーバーコート層を形成することによって製造される。
撥水性被膜付基材の製造方法の概略を図5に示す。図示する製造工程は、(I)無機酸化物粒子分散液調製工程、(II)樹脂エマルジョン粒子懸濁液調整工程、(III)前記分散液と前記懸濁液を混合して粒子層形成用塗布液を調製する工程、(IV)塗布工程、(V)粒子層形成工程、(VI)オーバーコート層形成工程を示している。なお、(I)工程〜(III)工程に代えて予め調整した粒子層形成用塗布液を用いてもよい。オーバーコート層形成工程の後に、(VII)基材加熱処理工程を行う。
(I)無機酸化物粒子5が極性溶媒31に分散した分散液30を調整する工程(無機酸化物粒子分散液調製工程)。
(II)樹脂エマルジョン粒子32を極性溶媒33に懸濁させた樹脂エマルジョン粒子懸濁液34を調製する工程(樹脂エマルジョン粒子懸濁液調整工程)。
(III)分散液30と懸濁液34を混合して被膜形成用塗布液35を調製する工程(塗布液調製工程)。
(IV)塗布液35を基材1に塗布し、無機酸化物粒子5の相互の間隙に樹脂エマルジョン粒子32が介在した塗布液の層を形成する工程(塗布工程)。
(V)塗布液を加熱乾燥して樹脂エマルジョン粒子34を崩壊させて無機酸化物粒子5の相互間隙および無機酸化物粒子5と基材1との間隙に樹脂(接着材)を入り込ませて、無機酸化物粒子の上部が接着材から露出した粒子層3を形成する工程(粒子層形成工程)。
(VI)粒子層3の表面にオーバーコート層形成用塗布液を塗布し、乾燥させてオーバーコート層7を形成する工程(オーバーコート層形成工程)。
(VII)オーバーコート層を形成した後に基材を加熱処理する(基材の加熱処理工程)。
前記製造工程(IV)〜(VII)を詳しく説明する。
(IV)塗布工程:塗布液を基材に塗布し、無機酸化物粒子相互の間隙に樹脂エマルジョン粒子が介在した粒子層を形成する。塗布方法は特に制限されず、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法、加圧塗布法等を用いることができる。前記塗布液には無機酸化物粒子と共に樹脂エマルジョン粒子が含まれているので、一度の塗布作業で無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子を基材上に塗布することができる。また、塗布液中で無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子は均一に分散しているので、この塗布作業によって、無機酸化物粒子相互の間隙に樹脂エマルジョン粒子が介在した状態の塗布液の層を形成することができる。
(V)粒子層形成工程:塗布した液を加熱乾燥し、樹脂エマルジョン粒子を崩壊させて無機酸化物粒子の相互間隙および無機酸化物粒子と基材との間隙に樹脂(接着材)を入り込ませて粒子層3を形成する。加熱温度は樹脂エマルジョン粒子が崩壊する温度であれば良い。樹脂の種類によって異なるが、一般には60〜200℃に加熱すれば樹脂エマルジョン粒子が崩壊して樹脂が流れ出す。その後、必要に応じて、UV照射等やアニールを行って硬化を促進させてもよい。樹脂エマルジョン粒子の粒子径は無機酸化物粒子の粒子径と同等か小さいので、樹脂エマルジョン粒子の崩壊によって無機酸化物粒子の上部は樹脂(接着材)に覆われず、無機酸化物粒子が接着材から露出した粒子層が形成される。
(VI)オーバーコート層形成用塗布液を粒子層の表面に塗布する。塗布方法は粒子層表面に均一に塗布できる方法であれば良く、制限されない。例えば、ディッピング法、バーコーター法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法、カーテンコート法などであれば良い。
オーバーコート層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができる。乾燥温度はオーバーコート層形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できる温度であれば良い。概ね50〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
(VII)前記乾燥処理の後に基材を加熱処理する。加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、130〜700℃が好ましく、150〜500℃の範囲がさらに好ましい。基材の乾燥・加熱処理によって、基材と粒子層および粒子層とオーバーコート層の結合が増し、粒子層およびオーバーコート層からなる被膜と基材との密着性、膜の強度、硬度、耐擦傷性等に優れた撥水性被膜を形成することができる。加熱処理温度が低いと前記密着性、膜の強度、硬度、耐擦傷性等が不十分になる場合がある。加熱処理温度が高すぎると基材の種類によっては基材が変質する場合がある。
以上の工程によって製造された撥水性被膜付基材は、無機酸化物粒子が接着材から露出することによって形成されている高低差の大きな凹凸形状、さらには無機酸化物粒子表面の微細凹凸との相乗的な凹凸構造の効果によって高い撥水性を有している。具体的には、水との接触角が130°以上の撥水性、好ましくは150°以上の超撥水性を有することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
〔実施例1〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A1]の調製
(基体粒子の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSI−80P、平均粒子径80nm、表面電位−60mV、SiO濃度20重量%、pH10.2)750gに、陽イオン交換樹脂(ROHMHARS社製:デュオライト)150gを混合し、0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌した後に該陰イオン交換樹脂を分離して、SiO濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。
(基体粒子分散液の調製)
精製シリカゾル750gに、ポリ塩化アルミニウム(多木化学社製:タキバイン#1000、Al濃度23.55重量%)5.1gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈してSiO濃度4.1重量%のシリカからなる基体粒子分散液3658gを調製した。該基体粒子分散液のpHは3.7であった。
(微細粒子の添加)
前記基体粒子分散液(SiO濃度4.1重量%)3658gに、被覆用の微細粒子としてシリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO濃度16.6重量%、pH3.7)294gを混合した。この混合分散液のSiO濃度は5.0重量%、pHは3.5であった。
(ヒマワリ状粒子分散液の調製)
前記混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによってSiO濃度10重量%のシリカからなるヒマワリ状粒子分散液[A1]を調製した。該分散液のHは7.0であった。
(平均粒子径Dの測定)
ヒマワリ状粒子の平均粒子径(D)は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、10個の長径を測定し、その平均値とした。
(被覆率の測定)
ヒマワリ状粒子の分散液を120℃に加熱して乾燥し、該ヒマワリ状粒子の比表面積をBET法で測定し、被覆率を求めた。被覆率は前記式(4)に従って求めた。
粒子層形成用塗布液[C1]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[C1]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径(D)、D/D比、樹脂量、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
オーバーコート層形成用塗布液[D1]の調製
変性アルコール(日本アルコール販売社製品:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)22525gに水1590gと濃度61重量%の硝酸33gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE社製品:TSL8257、固形分濃度98%)464gを添加し、25℃で5分間撹拌した後に、60℃で3時間処理した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)356.9gとジアセトンアルコール(DAA)21391gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度150重量%のフッ素含有シリカ系塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売社製品:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度10%のオーバーコート層形成用塗布液[D1]を調製した。
撥水性被膜付基材[E1]の製造
ナイロン繊維を粒子層形成用塗布液[C1]に1分間ディッピングした後、4mm/secで引き上げた。その後80℃にて30分乾燥した。ついで、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液[D1]に1分間ディッピングした後に4mm/secで引き上げた。その後80℃にて30分乾燥した。さらに、その後150℃にて30分加熱処理し撥水性被膜付基材[E1]を調製した。該撥水性被膜付基材[E1]について、粒子層の膜厚(D )、接着材の膜厚(U)、被膜の凹凸構造の平均凸部高さ(T)、平均凸部間距離(W)、微細凹凸の微細凹凸(TFF)、微細凹凸のピッチ幅(WFF)、撥水性(接触角)、風合い、汚れ落ち性、密着性を測定した。この結果を表2に示す。
被膜の凸部平均高さ(T)、凸部のピッチ幅(W)は撥水性被膜断面の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、10個の凸部の高さ、ピッチ間距離を測定してその平均値とした。無機酸化物粒子層膜厚(D )、接着材膜厚(U)も同様に撥水性被膜断面の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、これらの10個所の厚さを測定しその平均値とし、この平均値を用いて膜厚比(U )を算出した。
被膜表面の微細凹凸(TFF)はAFMを用い500nm範囲を測定し、単粒子上の表面粗さ(Ra)を3点測定して、その平均値を微細凹凸とした。微細凹凸のピッチ幅(WFF)は、走査電子顕微量(SEM)を撮影し、10個の凸部の高さ、ピッチ間距離を測定し、その平均値とした。
被膜の撥水性は、全自動接触角計(協和界面科学社製DM700)を用い、5μL水との接触角及び5μLのオレイン酸との接触角を測定した。
被膜の耐洗濯性は、撥水性透明被膜付基材[E1]を全自動洗濯機に入れ洗剤(花王製アタックを10g)入れ、30分の洗濯・5分の脱水を繰り返し10回行い、風乾燥後の水の接触角を測定し、洗濯前との接触角の変化を表3に示した。
被膜の汚れ落ち性は、撥水性透明被膜付基材[E1]の表面に三菱油性マーカー(細字 ピース赤)を用いて3cm線を書き、その後に流水で3分間流した際のインクの残りを目視で確認して評価した。評価基準を以下に示す。
インクが完全に落ちる :◎ インクがよく見ると残っている:○
インクがやや残っている:△ インクが明らかに残っている :×
被膜の風合いは塗膜前後の手による触感に基づいて評価した。評価基準を以下に示す。
塗布前後で感触が変わらないもの :◎
塗布後に僅かにゴワゴワ感があるもの :○
塗布後に少しゴワゴワ感があるもの :△
塗布後に明らかにゴワゴワ感があるもの:×
〔実施例2〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂少量、アクリル−スチレン〕
粒子層形成用塗布液[C2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を18g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC株式会社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を0.2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[C2]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E2]の製造
粒子層形成用塗布液[C2]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E2]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例3〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂多量、アクリル−スチレン〕
被膜形成用塗布液[C3]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を18g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を5g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[C3]を得た。該塗布液のpHは75であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E3]の製造
粒子層形成用塗布液[C3]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例4〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、エマルシ゛ョン粒子径小、アクリル−スチレン〕
エマルション樹脂粒子懸濁液[B2]の調製
樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)100gに1%塩酸と純水を添加してpH4.5の20%希釈液250gを調製した。その後、ホモミキサーを用いて1500rpmで15分撹拌して、エマルション樹脂粒子懸濁液[B2]を調製した。この樹脂エマルション懸濁液[B2]について、TEMを用いて観察したところ、平均粒子径30nmの樹脂エマルションであった。
粒子層形成用塗布液[C4]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を18g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B2]を5g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[C4]を得た。該塗布液のpHは6.0であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E4]の製造
粒子層形成用塗布液[C4]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E4]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例5〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−ウレタン〕
粒子層形成用塗布液[C5]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B3](DIC社製CG-5010EF:粒子サイズ100nm:濃度45重量%、アクリル−ウレタン)を2.22g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[C5]を得た。該塗布液のpHは75であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E5]の製造
粒子層形成用塗布液[C5]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E5]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例6〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−シリコーン〕
粒子層形成用塗布液[C6]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を18g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B4](DIC社製SA−6360:粒子サイズ150nm:濃度50重量%、アクリル−シリコーン)を2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[C6]を得た。該塗布液のpHは8.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E6]の製造
粒子層形成用塗布液[C6]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E6]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例7〕
〔小粒子ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A2]の調製
(基体粒子の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSI−45P、平均粒子径45nm、表面電位−60mV、SiO濃度20重量%、pH10.2)750gに陽イオン交換樹脂(ROHMHARS社製:デュオライト)150gを混合し、30℃で0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。ついで、精製シリカゾル750gにポリ塩化アルミニウム(多木化学社製:タキバイン#1000、Al濃度23.55重量%)9.2gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈したSiO濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子分散液[a−2]3662gを調製した。ついで、この基体用金属酸化物粒子分散液[a-2]3662gに、シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO濃度16.6重量%、pH3.7)595gを混合した。このとき、混合分散液のpHは3.5であった。ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO濃度10重量%のシリカからなる無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A2]を調製した。分散液のpHは6.5であった。
粒子層形成用塗布液[C7]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A2]90gを使用した以外は実施例1と同様にして粒子層形成用塗布液[C7]を得た。該塗布液のpHは75であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E7]の製造
粒子層形成用塗布液[C7]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E7]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例8〕
〔金平糖粒子、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
粒子層形成用塗布液[C8]の調製
金平糖シリカ粒子分散液(日揮触媒化成社製:カタロイドCO−80A、平均粒子径80nm、比表面積43m/g、表面電位−60mV、SiO濃度40重量%、pH102)22.5gを使用した以外は実施例1と同様にして粒子層形成用塗布液[C8]を得た。該塗布液のpHは9.5であった。金平糖粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、金平糖粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔金平糖粒子/(金平糖粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E8]の製造
粒子層形成用塗布液[C8]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E8]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例9〕
〔実施例1の基材変更〕
撥水性被膜付基材[E9]の製造
粒子層形成用塗布液[C1]を、ガラス基板(浜新社製品:FL硝子、厚さ:3mm、屈折率:1.51)にバーコーター法で塗布し、80℃で10分間乾燥し以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[E9]を製造し、耐洗濯性以外は実施例1と同様に膜の物性を測定した。
被膜の密着性は、撥水性透明被膜付基材[E9]の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着して剥離したときに、剥離せず残存している被膜の升目の数を、以下の3段階に分類することによって評価した。評価基準を以下に示す。
残存升目の数100個: ◎ 残存升目の数95〜99個:○
残存升目の数90〜94個:△ 残存升目の数89個以下 :×
測定結果を表1、表2に示す。
〔実施例10〕
〔ヒマワリ状粒子AgO複合化、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A3]の調製
(基体粒子の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSI−80P、平均粒子径80nm、表面電位−60mV、SiO濃度20重量%、pH10.2)750gに、陽イオン交換樹脂(ROHMHARS社製:デュオライト)150gを混合し、0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌した後に該陰イオン交換樹脂を分離して、SiO濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。
(基体粒子分散液の調製)
前記精製シリカゾル750gに、ポリ塩化アルミニウム(多木化学社製:タキバイン#1000、Al濃度23.55重量%)5.1gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈してSiO濃度4.1重量%のシリカからなる基体粒子分散液3658gを調製した。該基体粒子分散液のpHは3.7であった。
(微細粒子の添加)
前記基体粒子分散液(SiO濃度4.1重量%)3658gに、被覆用の微細粒子としてAgO-SiO-Alナノ粒子(日揮触媒化成社製:ATOMY BALL UA平均粒子径10nm、表面電位−20mV、濃度1.5重量%、pH7.0)3253gを混合した。その後ロータリーエバポレーターで濃度5.0重量に濃縮した。
(ヒマワリ状粒子分散液の調製)
前記混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO濃度10重量%のシリカからなるヒマワリ状粒子分散液[A3]を調製した。該分散液のHは7.0であった。
(平均粒子径Dの測定)
前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、10個の長径を測定し、その平均値とした。
(被覆率の測定)
前記ヒマワリ状粒子の分散液を120℃に加熱して乾燥し、該ヒマワリ状粒子の比表面積をBET法で測定し、被覆率を求めた。被覆率は前記式(4)に従って求めた。
粒子層形成用塗布液[C10]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A3]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[C11]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
撥水性被膜付基材[E10]の製造
粒子層形成用塗布液[C10]を使用した以外は実施例10と同様にして撥水性被膜付基材[E10]を製造し、耐洗濯性以外は実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
Figure 2017177683
Figure 2017177683
〔比較例1〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂オリゴマー(非エマルジョン)〕
接着材形成用塗布液[R1]の調製
変性アルコール(日本アルコール販売社製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)72.5gに水10.0gと濃度61重量%の硝酸0.1gを添加し、25℃で10分撹拌した。ついで、テトラエトキシシラン(多摩化学工業社製:正珪酸エチル‐A、SiO濃度28.8重量%)17.4gを添加し、30℃で30分撹拌してテトラエトキシシラン加水分解物(固形分濃度5.0重量%、分子量1000)のシリカからなる接着材形成用塗布液[R1]を調製した。
粒子層形成用塗布液[R2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、粒子層形成用塗布液[R1]を20g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[R2]を得た。該塗布液のpHは3.8であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、ヒマワリ状粒子と樹脂の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表3に示した。
撥水性被膜付基材[R3]の製造
粒子層形成用塗布液[R2]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[R3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表4に示す。
〔比較例2〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂無添加〕
粒子層形成用塗布液[L2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後エタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液[L2]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、ヒマワリ状粒子と樹脂の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表3に示した。
撥水性被膜付基材[L3]の製造
粒子層形成用塗布液[L2]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[L3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表4に示す。
〔比較例3〕
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂過剰量〕
粒子層形成用塗布液[M2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC株式会社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を72g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して粒子層形成用塗布液(R3)を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表3に示した。
撥水性被膜付基材[M3]の製造
粒子層形成用塗布液[M2]を使用した以外は実施例1と同様にして撥水性被膜付基材[M3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表4に示す。
〔比較例4〜6〕
〔基材の物性〕
実施例1〜10に使用した基材(ナイロン、ガラス、スレート)の物性を測定して表4に示した。
Figure 2017177683
Figure 2017177683
1−基材、2−被膜、3−粒子層、4−接着材、5−無機酸化物粒子、6−水滴、7−オーバーコート層、10−撥水性被膜付基材、20−ヒマワリ状粒子、21−基体粒子、22−微細粒子、30−分散液、31−極性溶媒、32−樹脂エマルジョン粒子、33−極性溶媒、34−懸濁液。

Claims (21)

  1. 基材表面に撥水性の被膜を有する撥水性基材であって、前記被膜が無機酸化物粒子を含み、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に接着材が介在する粒子層と、該粒子層を覆う撥水性のオーバーコート層とを有し、前記無機酸化物粒子の上部が前記接着材から露出した凹凸形状をなし、該凹凸形状を保つように前記オーバーコート層によって覆われた凹凸構造を前記被膜表面に有することを特徴とする撥水性被膜付基材。
  2. 無機酸化物粒子の平均粒子径(D)が20〜600nmであって、接着材の膜厚(U)が6〜400nmであり、該無機酸化物粒子の平均粒子径(D)に対する接着材の膜厚(U)の比(U/D)が1/3〜2/3であって、該無機酸化物粒子の平均粒子径(D )の1/3〜2/3が接着材から露出していることを特徴とする請求項1に記載する撥水性被膜付基材。
  3. 撥水性被膜の膜厚が30nm〜700nmであることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
  4. 撥水性被膜表面の凹凸構造の凸部平均高さ(T)が10〜300nmの範囲であり、凸部間の平均距離(ビッチ幅)(W)が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
  5. 無機酸化物粒子は、形状が球状、板状、金平糖状、塊状またはヒマワリ状の何れかであるか、または形状が球状、板状、金平糖状、塊状またはヒマワリ状の何れかであって多孔質であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
  6. 前記ヒマワリ状の粒子は、無機酸化物からなる基体粒子と、該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子からなり、該ヒマワリ状の粒子表面が該微細粒子による微細凹凸を有することを特徴とする請求項5に記載する撥水性被膜付基材。
  7. 前記ヒマワリ状の粒子は、撥水性被膜の凹凸構造の表面に微細な凹凸を有し、該微細凹凸の凸部平均高さ(TFF)が0.5〜10nmの範囲であり、該微細凹凸の凸部間の平均距離(ビッチ幅)(WFF)が1〜30nmの範囲であることを特徴とする請求項6に記載する撥水性被膜付基材。
  8. 水との接触角が130°以上であることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
  9. 無機酸化物粒子がSiO、Al、Sb、ZrO、TiO、Fe、CeO、AgO、CuO、CuO、ZnOおよびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
  10. 接着材が、エマルジョン樹脂であって、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載する撥水性被膜付基材。
  11. 無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散している粒子層形成用塗布液と、撥水性のオーバーコート層形成用塗布液とからなることを特徴とする撥水性被膜形成用塗布液。
  12. 樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D)が、無機酸化物粒子の平均粒子径(D)と同等か小さい(D≦D)ことを特徴とする請求項11に記載する撥水性被膜形成用塗布液。
  13. 無機酸化物粒子の体積量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の体積量(M)との体積量比(G/[G+M])が0.25〜0.9の範囲であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載する撥水性被膜形成用塗布液。
  14. 粒子層形成用塗布液が、無機酸化物粒子が極性溶媒に分散した分散液と、樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒に懸濁した懸濁液とからなり、前記分散液と前記懸濁液の混合によって無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散した粒子層形成用塗布液になる請求項11〜請求項13の何れかに記載する撥水性被膜形成用塗布液。
  15. オーバーコート層形成用塗布液が、フッ素含有化合物、アルキル基含有化合物またはシリコーン系化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項11〜請求項14の何れかに記載する撥水性被膜形成用塗布液。
  16. 無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に単分散し懸濁している粒子層形成用塗布液を基材に塗布して前記無機酸化物粒子相互の間隙に前記樹脂エマルジョン粒子を介在させ、塗布後、該樹脂エマルジョン粒子を崩壊させて前記無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材との間隙に樹脂を入り込ませて接着材を介在させると共に該無機酸化物粒子の上部が該接着材から露出した凹凸形状を有する粒子層を形成し、次いで、該粒子層の無機酸化物粒子が露出した凹凸形状表面に、該凹凸形状を保つようにオーバーコート層形成用塗布液を塗布して、該オーバーコート層によって覆われた凹凸構造を有する撥水性被膜を基材表面に形成することを特徴とする撥水性被膜付基材の製造方法。
  17. 無機酸化物粒子の分散液と樹脂エマルジョン粒子の懸濁液を混合して、無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に混在して単分散した粒子層形成用塗布液を調製し、該塗布液を基材に塗布する請求項16に記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
  18. 粒子層形成用塗布液に含まれる樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(D)が無機酸化物粒子の平均粒子径(D)と同等か小さい(D≦D)ことを特徴とする請求項16または請求項17に記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
  19. 粒子層形成用塗布液に含まれる無機酸化物粒子の体積量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の体積量(M)との体積量比(G/[G+M])が0.25〜0.9の範囲であることを特徴とする請求項16〜請求項18の何れかに記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
  20. エマルジョン樹脂として、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂からなる樹脂エマルジョン粒子を極性溶媒に懸濁させた樹脂エマルジョン粒子懸濁液と、無機酸化物粒子を極性溶媒に分散させた無機酸化物粒子分散液を混合して粒子層形成用塗布液を調製することを特徴とする請求項16〜請求項19の何れかに記載する撥水性被膜付基材の製造方法。
  21. 前記樹脂エマルジョン粒子の崩壊を、加熱乾燥、電子線の照射または紫外線(UV)の照射の何れかにより行うことを特徴とする請求項16〜請求項20の何れかに記載する撥水性被膜付基材の製造方法。

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