以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1〜図4を参照して第1実施形態を説明する。まず図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る車両用空調システム10の構成について説明する。車両用空調システム10は、車両1に搭載され、車両1の車室2内の空調を制御する。車両用空調システム10は、空調装置20と、輻射ヒータ50(補助暖房装置)と、エアコンECU40(制御装置)とを備える。
空調装置20は、温度調節された空調風を車両1の車室2内に送出する。空調装置20は、図1に示すように、車両1の車室2内の座席3の前方に配置されたインストルメントパネル4の内部に配置されている。
図2に示すように、空調装置20は、外殻を構成する空調ケース21を有する。この空調ケース21は、空調対象空間である車室内へ空気を導く空気通路を構成している。空調ケース21の空気流れ最上流部には、車室内空気(内気)を吸入する内気吸入口22と車室外空気(外気)を吸入する外気吸入口23とが形成されると共に、各吸入口22、23を選択的に開閉する吸入口開閉ドア24が設けられている。これら内気吸入口22、外気吸入口23、および吸入口開閉ドア24は、空調ケース21内への吸入空気を内気および外気に切り替える内外気切替手段を構成している。なお、吸入口開閉ドア24は、エアコンECU40から出力される制御信号により、その作動が制御される。吸入口開閉ドア24の空気流れ下流側には、車室内へ空気を送風する送風手段としての送風機25が配置されている。
送風機25の空気流れ下流側には、送風機25により送風された空調風を冷却する蒸発器26が配置されている。蒸発器26は、その内部を流通する冷媒と空調風とを熱交換させる熱交換器であり、図示しない圧縮機、凝縮器、膨張弁等と共に蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成するものである。蒸発器26は、エバポレータとも表現することができる。
蒸発器26の空気流れ下流側には、蒸発器26にて冷却された空気を加熱するヒータコア27が配置されている。ヒータコア27は、例えば、車両1のエンジンの冷却水を熱源として空気を加熱する熱交換器である。また、蒸発器26の空気流れ下流側には、蒸発器26通過後の空気を、ヒータコア27を迂回して流す冷風バイパス通路28が形成されている。
ここで、ヒータコア27および冷風バイパス通路28の空気流れ下流側にて混合される空調風の温度は、ヒータコア27を通過する空調風および冷風バイパス通路28を通過する空調風の風量割合によって変化する。
このため、蒸発器26の空気流れ下流側であって、ヒータコア27および冷風バイパス通路28の入口側には、エアミックスドア29が配置されている。このエアミックスドア29は、ヒータコア27および冷風バイパス通路28へ流入する冷風の風量割合を連続的に変化させるもので、蒸発器26およびヒータコア27と共に温度調整手段として機能する。エアミックスドア29は、エアコンECU40から出力される制御信号によってその作動が制御される。
空調ケース21の空調風流れ最下流部には、デフロスタ吹出口30、フェイス吹出口31およびフット吹出口32が設けられている。デフロスタ吹出口30は、例えばインストルメントパネル4の上面に開口され、車両1のフロントガラス5に向けて空調風を吹き出す。フェイス吹出口31は、例えばインストルメントパネル4の前面に開口され、座席3に着座している乗員6の主に上半身に向けて空調風を吹き出す。フット吹出口32は、例えばインストルメントパネル4の下方の面に開口され、座席3に着座している乗員6の主に下半身や足元に空調風を吹き出す。
上記各吹出口30,31,32の空気流れ上流側には、デフロスタ吹出口30を開閉するデフロスタドア33、フェイス吹出口31を開閉するフェイスドア34、フット吹出口32を開閉するフットドア35が配置されている。デフロスタドア33、フェイスドア34およびフットドア35は、車室2内への空気の吹出状態を切り替える吹出モードドアであり、エアコンECU40から出力される制御信号によってその作動が制御される。
輻射ヒータ50は、車両1の乗員6に対して輻射熱を放射することができる発熱装置である。輻射ヒータ50は、座席3に着座している乗員6の足元に輻射熱を放射するように車室2内に設置されている。輻射ヒータ50は、車室2内の壁面に設置することができ、例えば車両1の前側の座席3の場合には、座席3の前方に配置されるインストルメントパネル4の下面に、乗員6に対向するように設置することができる。輻射ヒータ50は、エアコンECU40から出力される制御信号によって動作が制御される。
本実施形態の輻射ヒータ50は、車室2内の乗員6の主に下半身を輻射熱により直接的に加温して、空調装置20による車室2内の空調を補助する補助暖房装置として機能するものである。
エアコンECU40は、空調装置20及び輻射ヒータ50の動作を制御することにより、車室2内の空調を制御する制御装置である。エアコンECU40は、日射量センサ51、外気温度センサ52、内気温度センサ53、空調装置20、輻射ヒータ50と電気的に接続されている。エアコンECU40は、日射量センサ51、外気温度センサ52、内気温度センサ53、その他車両1内の各種センサから入力される各種情報に基づき、空調装置20及び輻射ヒータ50の出力を制御する。
本実施形態では、エアコンECU40は、乗員6の感じる温感レベルに応じて空調装置20の動作を制御する自動空調制御(以下では「オートエアコン制御」ともいう)を行うと共に、輻射ヒータ50を用いて、自動空調制御による乗員6の下半身の温度変化を補正する補正制御を行うことができるよう構成されている。自動空調制御や補正制御の詳細は、図3〜図5を参照して後述する。
エアコンECU40は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random A ccess Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有するコンピュータである。図3〜図5を参照して後述するエアコンECU40の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
次に、図3及び図4を参照して、第1実施形態に係る車両用空調システム10の動作について説明する。以下、図3のフローチャートに沿って、車両用空調システム10の空調装置20を用いる自動空調制御と、輻射ヒータ50を用いる補正制御について説明する。図3に示す処理は、エアコンECU40によって例えば所定周期ごとに実行される。
ステップS101では、オートエアコン制御が開始されているか否かが判定される。オートエアコン制御が開始されている場合(ステップS101のYES)にはステップS102に進み、オートエアコン制御が開始されていない場合(ステップS101のNO)にはステップS109に進む。
ステップS102では、車両1の内外の各種情報が取得される。エアコンECU40には、車両1の車室2内外の状態、および空調装置20の運転状態を示す各種の情報が入力される。エアコンECU40が取得する情報は、例えば日射量センサ51により検出される日射量、外気温度センサ52により検出される外気温度、内気温度センサ53により検出された車室内温度を含む。ステップS102の処理が完了するとステップS103に進む。
ステップS103では、ステップS102にて取得された各種情報を用いて必要吹出温度TAOが算出され、算出した必要吹出温度TAOに基づき空調装置20の動作が制御される。本ステップの制御が上述のオートエアコン制御に相当する。
エアコンECU40は、例えば下記の(1)式を用いて必要吹出温度TAOを算出することができる。
TAO=(Kset×Tset)−(Kr×Tr)−(Kam×Tam)
−(Ks×Ts)+C ・・・(1)
ここで、Ksetは温度設定定数、Tsetは温度設定値、Krは内気温度定数、
Trは内気温度センサ53の感知値、Kamは外気温度定数、Tamは外気温度センサ52の感知値、Ksは日射定数、Tsは日射量センサ51の感知値、Cは補正定数である。(1)式の右辺の第1項(Kset×Tset)は、空調装置20の設定温度に基づく基準温度である。第2項(Kr×Tr)は、内気温度に基づく補正項であり、内気温度が高いほど必要吹出温度が大きく低減するよう補正される。第3項(Kam×Tam)は、外気温度に基づく補正項であり、外気温度が高いほど必要吹出温度が大きく低減するよう補正される。第4項(Ks×Ts)は、日射量に基づく補正項であり、日射量が強いほど必要吹出温度が大きく低減するよう補正される。なお、以降の説明では、第4項の補正項による必要吹出温度の補正を「日射補正」と表現する。
また、エアコンECU40は、上記の(1)式で算出した必要吹出温度TAOの値に基づき、空調装置20の内外気吸込モード、送風量、吹出モード、エアミックスドア開度(吹出温度)を決定し、空調装置20を運転する。ステップS103の処理が完了するとステップS104に進む。
ステップS104では、ステップS103にて、下半身,足元への吹出がある吹出モードが選択されたか否かが判定される。本実施形態では、空調装置20の吹出モードは、「FACE」、「B/L」、「FOOT」、「F/D」、「DEF」の5つのモードを含む(図7、図8参照)。この場合、B/LまたはFOOTが選択されているときに、下半身,足元への吹出がある吹出モードが選択されていることになる。ステップS104の判定の結果、下半身,足元への吹出がある吹出モードが選択されている場合(ステップS104のYES)にはステップS105に進み、下半身,足元への吹出がある吹出モードが選択されていない場合(ステップS104のNO)にはステップS109に進む。
ステップS105では、ステップS102にて取得された各種情報を用いて、上記(1)式から日射補正(第4項)を除外した場合の必要吹出温度TAO_eが算出される。この必要吹出温度TAO_eは、上記(1)式において、日射量Ts=0(日射なし)と仮定した場合の必要吹出温度である。ステップS105の処理が完了するとステップS106に進む。
ステップS106では、日射補正項による温度補正量ΔTAOが算出される。具体的には、エアコンECU40は、ステップS103にて算出された必要吹出温度TAOと、ステップS105にて算出された、日射補正を除外した場合の必要吹き出し温度TAO_eとの偏差を、日射補正項による温度補正量ΔTAOとして算出する。この計算は下記の(2)式で表すことができる。
ΔTAO=TAO−TAO_e ・・・(2)
ステップS107では、ステップS106にて算出した日射補正項による温度補正量ΔTAOが負の値であるか否かが判定される。温度補正量ΔTAOが負の値である場合(ΔTAO<0)にはステップS108に進み、そうでない場合にはステップS109に進む。
ステップS108では、ステップS107の判定の結果、日射補正項による温度補正量ΔTAOが負の値であり、オートエアコン制御において日射補正が実施されている状態であるので、温度補正量ΔTAOに基づき輻射ヒータ50の動作が制御される。つまり、エアコンECU40は、輻射ヒータ50を用いて、オートエアコン制御による乗員6の下半身の温度変化を補正する補正制御を実行する。具体的には、エアコンECU40は、ΔTAOの値に基づき輻射ヒータ50の出力を決定して、輻射ヒータ50を作動させる。エアコンECU40は、例えば図4に示すような温度補正量ΔTAOと輻射ヒータ出力とを関連付けた特性マップを予め保持しており、このマップを参照して輻射ヒータの出力を決定できる。図4の横軸はΔTAOを示し、図4の縦軸は輻射ヒータ出力を示す。上述のとおり、日射補正が行われている場合には、ΔTAOは0または負の値であるので、図4の例ではΔTAOが0以下の領域において輻射ヒータ出力が発生するよう設定されている。図4の例では、日射補正による吹出温度の補正量ΔTAOが負方向に増大するほど、輻射ヒータ50の出力をステップ状に増やしてゆき、補正量ΔTAOが所定値を超えると輻射ヒータ出力を最大値Pmaxに維持するように設定されている。またヒステリシスを考慮して、補正量ΔTAOが負方向に増大するときに輻射ヒータ出力がステップ状に増大するタイミングと、これと反対にΔTAOが正方向に増大するときに輻射ヒータ出力がステップ状に減少するタイミングとがずれるように、ΔTAOと輻射ヒータ出力との間の特性が設定されている。
なお、図4に示す特性マップは、「日射補正による吹出温度の補正量ΔTAOが大きいほど、輻射ヒータ50の出力を増やす」ように設定されていればよく、図4のようにステップ状に増減する特性の他にも、直線状や曲線状の特性とすることもできるし、所定の閾値を越えたときに所定の出力を発生させる構成とすることもできる。ステップS108の処理が完了するとステップS109に進む。
ステップS109では、引き続きオートエアコン制御が継続されるか否かが判定される。オートエアコン制御が継続される場合(ステップS109のYES)には、ステップS101に戻り引き続きオートエアコン制御が実施され、また、必要に応じて輻射ヒータ50による補正制御が実施される。オートエアコン制御が継続されない場合(ステップS109のNO)には、本制御フローを終了する。
次に、第1実施形態に係る車両用空調システム10の効果について説明する。第1実施形態の車両用空調システム10は、温度調節された空調風を車両1の車室2内に送出する空調装置20と、車室2内の乗員6の主に下半身を輻射熱により直接的に加温して、空調装置20による車室2内の空調を補助する輻射ヒータ50と、乗員6の感じる温感レベルに応じて空調装置20の動作を制御するオートエアコン制御(自動空調制御)を行うと共に、輻射ヒータ50を用いて、オートエアコン制御による乗員6の下半身の温度変化を補正する補正制御を行うエアコンECU40と、を備える。
図1,2を参照して説明したように、一般に、空調装置20は、座席3に着座する乗員6の上半身側及び下半身側に別の吹出口(例えば図2に示すフェイス吹出口31及びフット吹出口32)から空調風を出力する構成をとる。このため、乗員6の上半身側と下半身側で室温や日射量などの各種環境条件が異なる条件下でオートエアコン制御を実施すると、乗員6の上半身と下半身との間で温感に齟齬を生じる場合がある。例えば、乗員6の上半身が直射日光を受ける一方で、下半身が日影にある状況を考える。この場合、主に乗員6の上半身側を基準としてオートエアコン制御を行うと、空調風の温度が下がり上半身側を快適な温感にできる一方で、下半身側では空調風の温度が低くなり過ぎ、温感が悪化するという状況が起こり得る。
このような問題に対して、第1実施形態の車両用空調システム10は、上記構成により、輻射ヒータ50を用いた補正制御を行うことにより、オートエアコン制御による乗員6の下半身の温度変化を補正することができるので、乗員の上半身と下半身との間で温感に齟齬を生じることを抑制できる。これにより、乗員6の全身に亘って、乗員6の温感を適切に一定に保つことが可能となる。
また、第1実施形態の車両用空調システム10において、エアコンECU40のオートエアコン制御は、日射量が大きいほど空調風の吹出温度を下げる日射補正を含む。エアコンECU40は、日射補正の作動によって乗員6の下半身または足元に暖房感の不足が生じたとき、補正制御を実行する。
オートエアコン制御に日射補正が組み込まれる場合、日射補正によって上半身の感じる暑さを軽減すべく空調装置20の吹出温度が下げられると、空調装置20による乗員6の下半身や足元への吹出温度が下がり過ぎ、乗員の下半身の温感はむしろ寒めになる場合がある。そこで、第1実施形態の車両用空調システム10は、日射補正の作動時には輻射ヒータ50による補正制御を実行することにより、乗員6の下半身または足元の暖房感の不足を補填することが可能となり、乗員6の温感を適切に一定に保つことができる。
また、第1実施形態の車両用空調システム10において、エアコンECU40の補正制御は、オートエアコン制御の日射補正が作動したとき(ΔTAO<0))に、日射補正による吹出温度の補正量ΔTAOが大きいほど輻射ヒータ50の出力を増やすように設定される。
この構成により、日射補正による吹出温度の補正量ΔTAOと連動して輻射ヒータ50の出力を調整できるので、乗員6の下半身または足元の暖房感の不足をより適切に補填できる。
[第1実施形態の変形例]
図5を参照して第1実施形態の変形例について説明する。上記第1実施形態では、図3のステップS108において、輻射ヒータ50の補正制御のための輻射ヒータ出力を決定するための情報として、オートエアコン制御における日射補正による温度補正量ΔTAOを用いる構成を例示したが、日射量の強弱に応じて輻射ヒータの出力を変動させることができる情報であれば他の情報に基づく構成とすることもできる。例えば図5に示すように、日射量センサ51により検出された日射量Tsを用いて輻射ヒータ出力を求めることもできる。
エアコンECU40は、例えば図5に示すような日射量Tsと輻射ヒータ出力とを関連付けた特性マップを予め保持しており、このマップを参照して輻射ヒータの出力を決定できる。図5の横軸は日射量Tsを示し、図5の縦軸は輻射ヒータ出力を示す。日射補正が行われている場合には当然ながら日射量Tsが日射量センサ51により検出されており、日射量Tsは正の値であるので、図5の例では日射量Tsが0以上の領域において輻射ヒータ出力が発生するよう設定されている。図5の例では、日射量Tsが増大するほど、輻射ヒータ50の出力をステップ状に増やしてゆき、日射量Tsが所定値を超えると輻射ヒータ出力を最大値Pmaxに維持するように設定されている。また、図4と同様にヒステリシスを考慮して、日射量Tsが増大するときに輻射ヒータ出力がステップ状に増大するタイミングと、これと反対に日射量Tsが減少するときに輻射ヒータ出力がステップ状に減少するタイミングとがずれるように、日射量Tsと輻射ヒータ出力との間の特性が設定されている。また、図5の特性マップは、図4と同様に、ステップ状に増減する特性の他にも、直線状や曲線状の特性とすることもできるし、所定の閾値を越えたときに所定の出力を発生させる構成とすることもできる。
このように、エアコンECU40の補正制御において、日射補正が作動したときに、日射量Tsが大きいほど輻射ヒータ50の出力を増やすように設定しても、日射量と連動して輻射ヒータ50の出力を調整できるので、乗員6の下半身または足元の暖房感の不足をより適切に補填できる。
[第2実施形態]
図6〜図9を参照して第2実施形態を説明する。第2実施形態の構成は、図1及び図2に示す第1実施形態の車両用空調システム10と同様である。第2実施形態は、輻射ヒータ50を用いる補正制御の手法が第1実施形態と異なるものである。第2実施形態では、エアコンECU40は、オートエアコン制御により空調装置20の吹出モードが切り替えられるときの乗員6の下半身または足元への空調風の風量減少によって、乗員6の下半身または足元に暖房感不足が生じたときに、補正制御を実行するよう構成される。
以下、図6のフローチャートに沿って、第2実施形態における車両用空調システム10の空調装置20を用いる自動空調制御と、輻射ヒータ50を用いる補正制御について説明する。図6に示す処理は、エアコンECU40によって例えば所定周期ごとに実行される。
ステップS201,S202の各処理は、図3のステップS101,S102と同様であるので説明を省略する。
ステップS203では、ステップS202にて取得された各種情報を用いて必要吹出温度TAOが算出され、算出した必要吹出温度TAOに基づき空調装置20の動作が制御される。必要吹出温度TAOの算出過程は、図3のステップS103の処理と同様であるので説明を省略する。また、ステップS103と同様に、エアコンECU40は、算出した必要吹出温度TAOの値に基づき、空調装置20の内外気吸込モード、送風量、吹出モード、エアミックスドア開度(吹出温度)を決定し、空調装置20を運転する。
ここで、図7を参照して吹出モードの決定手法についてさらに説明する。空調装置20は、空調風の車室2内への吹出態様が異なる複数の吹出モードを備え、エアコンECU40のオートエアコン制御は、これらの複数の吹出モードのうちの1つを適宜選択して空調装置20に実施させるよう構成される。エアコンECU40は、例えば図7に示すような必要吹出温度TAOと吹出モードとを関連付けた特性マップを予め保持しており、このマップを参照して吹出モードを決定できる。図7の横軸はTAOを示す。図7の縦軸は吹出モードを示し、ここでは吹出モードとして「FACE」「B/L」、「FOOT」、「F/D」、「DEF」の5種類のモードが用意されている。FACEモードは、空調装置20のフェイス吹出口31から、座席3に着座している乗員6の主に上半身に向けて空調風を吹き出すモードである。FOOTモードは、空調装置20のフット吹出口32から、座席3に着座している乗員6の主に下半身や足元に空調風を吹き出すモードである。DEFモードは、空調装置20のデフロスタ吹出口30から車両1のフロントガラス5に向けて空調風を吹き出すモードである。B/L(バイレベル)モードは、空調装置20のフェイス吹出口31及びフット吹出口32から、乗員6の上半身及び足元に空調風を吹き出すモードである。F/Dモードは、空調装置20のフット吹出口32及びデフロスタ吹出口30から、乗員6の足元及びフロントガラス5に空調風を吹き出すモードである。
図7の例では、必要吹出温度TAOが増大するのに伴い、FACEモード→B/Lモード→FOOTモード→F/Dモード→DEFモードの順番で吹出モードが選択されるように設定されている。例えば、必要吹出温度TAOが低下してゆき、所定の温度TAO2を通過するときに、吹出モードはFOOTモードからB/Lモードに切り替わる。温度TAO2からTAO1までの間はB/Lモードが維持され、TAO2より低い温度TAO1を通過するときに、吹出モードはB/LモードからFACEモードに切り替わる。なお、図7に示す特性マップも、図3のものと同様に、ヒステリシスを考慮して必要吹出温度TAOが増大するときに吹出モードが切り替わるタイミングと、これと反対にTAOが減少するときに吹出モードが切り替わるタイミングとがずれるように、TAOと吹出モードとの間の特性が設定されている。ステップS203の処理が完了するとステップS204に進む。
ステップS204では、ステップS203にて吹出モードの変更が発生し、この吹出モード変更により乗員6の下半身,足元への吹出風量が減少したか否かが判定される。一般に、各吹出モードと空調装置20の各吹出口30,31,32からの吹出割合は図8のようになっている。図8の横軸は各吹出モードを示し、縦軸は各モードにおける各吹出口からの空調風の送出量の割合(吹出割合)を示す。また、図8では、各吹出モードにおけるフェイス吹出口31の吹出割合の推移が実線のグラフ(図8中に「FACE吹出口」と表示)で表され、フット吹出口32の吹出割合が点線のグラフ(図8中に「FOOT吹出口」と表示)で表され、デフロスタ吹出口30の吹出割合が一点鎖線のグラフ(図8中に「DEF吹出口」と表示)で表されている。
図8に示すように、FOOTモードからB/Lモードに切り替わると、乗員6の足元あるいは下半身に送風するフット吹出口32の吹出割合が減少する。同様に、B/LモードからFACEモードに切り替わるとき、FOOTモードからF/Dモードに切り替わるとき、F/DモードからDEFモードに切り替わるときも、乗員6の足元あるいは下半身に送風するフット吹出口32の吹出割合が減少する。つまり、ステップS203にて上記の吹出モードの切り替えが生じたときに、本ステップでは乗員6の下半身,足元への吹出風量が減少したものと判定され(ステップS204のYES)、ステップS205に進む。一方、ステップS203にて上記の吹出モードの切り替えが生じていない場合には、本ステップでは乗員6の下半身,足元への吹出風量は減少していないと判定され(ステップS204のNO)、ステップS206に進む。
ステップS205では、ステップS204の判定の結果、ステップS203における吹出モード変更に伴い乗員6の下半身,足元への吹出風量が減少している状態であるので、必要吹出温度TAOに基づき輻射ヒータ50の動作が制御される。つまり、エアコンECU40は、輻射ヒータ50を用いて、オートエアコン制御による乗員6の下半身の温度変化を補正する補正制御を実行する。具体的には、エアコンECU40は、必要吹出温度TAOに応じて輻射ヒータ50の出力を決定して、輻射ヒータ50を作動させ、輻射ヒータ50の輻射熱によって乗員6の下半身を加温する。
エアコンECU40は、例えば図9に示すような必要吹出温度TAOと輻射ヒータ出力とを関連付けた特性マップを予め保持しており、このマップを参照して輻射ヒータの出力を決定できる。図9の横軸は必要吹出温度TAOを示し、図9の縦軸は輻射ヒータ出力を示す。本実施形態では、図7を参照して説明したように、各吹出モードは必要吹出温度TAOと紐づけられている。このため、図9に示す特性マップでも、吹出モード変更によって空調装置20のフット吹出口32からの風量の減少が発生する温度を通過したときに、輻射ヒータ出力が最大値Pmaxとなり、その後は温度推移に伴い輻射ヒータ50の出力がステップ状に減少するよう設定されている。例えば図9に示すように、必要吹出温度TAOが低下してゆき、所定の温度TAO2を通過するときに、吹出モードがFOOTモードからB/Lモードに切り替わるが、このときに輻射ヒータ出力が最大値Pmaxとなる。
なお、図9に示す特性マップも、図3などと同様に、ヒステリシスを考慮して必要吹出温度TAOが増大するときに輻射ヒータ出力がステップ状に増減するタイミングと、これと反対にTAOが減少するときに輻射ヒータ出力がステップ状に増減するタイミングとがずれるように、TAOと輻射ヒータ出力との間の特性が設定されている。ステップS205の処理が完了するとステップS206に進む。
ステップS206では、引き続きオートエアコン制御が継続されるか否かが判定される。オートエアコン制御が継続される場合(ステップS206のYES)には、ステップS202に戻り引き続きオートエアコン制御が実施され、また、必要に応じて輻射ヒータ50による補正制御が実施される。オートエアコン制御が継続されない場合(ステップS206のNO)には、本制御フローを終了する。
このように、第2実施形態の車両用空調システム10において、エアコンECU40のオートエアコン制御は、複数の吹出モードのうちの1つを適宜選択して空調装置20に実施させる。エアコンECU40は、オートエアコン制御により吹出モードが切り替えられるときの乗員6の下半身または足元への空調風の風量減少によって、乗員6の下半身または足元に暖房感不足が生じたときに、補正制御を実行する。
吹出モードの変化による乗員の下半身または足元への吹出風の風量が減少すると、乗員の下半身の暖房感が不足する場合がある。上記構成により、吹出モードの変化時に輻射ヒータ50による補正制御を実行することにより、乗員6の下半身または足元の暖房感の不足を好適に補填できる。これにより、乗員6の温感を適切に一定に保つことができる。
また、第2実施形態の車両用空調システム10において、エアコンECU40の補正制御は、空調風の風量が減少する吹出モードの切り替えが生じるときに輻射ヒータ50の出力を最大に設定する。この構成により、風量が切り替わり乗員が温感の悪化を最も感じやすいタイミングで輻射ヒータ50の出力を最大にして温感の変化を好適に緩和できる。
[第3実施形態]
図10〜図12を参照して第3実施形態を説明する。図10に示すように、第3実施形態に係る車両用空調システム10Aは、第1実施形態の空調装置20の代わりに、車室2内の運転席及び助手席に対して個別に空調風を調整して送出できる空調装置20Aを備える点、また、運転席側及び助手席側に2つの輻射ヒータ50A,50Bを備える点で、第1実施形態の車両用空調システム10と異なる。
図10に示すように、空調装置20Aは、空気流れ方向に沿ってヒータコア27までは第1実施形態の空調装置20と同様の構成であるが、これより下流側の構成が異なる。ヒータコア27の下流側は仕切壁127により運転席側空調系128と助手席側空調系228に区画されている。ヒータコア27は、空調ケース21内の空気通路の略中央に配置され、仕切壁127から運転席側空調系128及び助手席側空調系228の両方の空気通路に突出するよう配置されている。
ヒータコア27の上流側には、運転席側空調系128及び助手席側空調系228のそれぞれの空調風の温度を調節する運転席側エアミックスドア129と、助手席側エアミックスドア229が付設されている。また、運転席側空調系128の空調風流れ最下流部には、デフロスタ吹出口30、フェイス吹出口131、およびフット吹出口132が設けられている。フェイス吹出口131は、例えば図10に示すように、主に正面から乗員6の上半身に空調風を吹き出すセンターフェイス吹出口と、主に側方から乗員6の上半身に空調風を吹き出すサイドフェイス吹出口とに分岐される。
同様に、助手席側空調系228の空調風流れ最下流部には、フェイス吹出口231、およびフット吹出口232が設けられている。フェイス吹出口231は、フェイス吹出口131と同様にセンターフェイス吹出口とサイドフェイス吹出口とに分岐されている。
デフロスタ吹出口30の空気流れ上流側にはデフロスタドア33が配置され、フェイス吹出口131,231の上流側にはフェイスドア134,234が配置され、フット吹出口132,232の上流側にはフットドア135,235が配置されている。
エアコンECU40Aは、吸入口開閉ドア24、運転席側エアミックスドア129、助手席側エアミックスドア229、デフロスタドア33、フェイスドア134,234、フットドア135,235などの各要素を制御することによって、空調装置20Aの運転席側空調系128及び助手席側空調系228のそれぞれの動作を独立して制御することができる。すなわち、エアコンECU40Aは、空調装置20Aを制御して、車室2内の運転席及び助手席に対して個別に空調風の吹出温度を調整して送出させることができる。このようなエアコンECU40Aの制御手法を、以下では「独立温度コントロール」とも表記する。
エアコンECU40Aは、第1実施形態のエアコンECU40と同様に、オートエアコン制御と補正制御とを併用できる。エアコンECU40Aは、さらに、オートエアコン制御に上述の独立温度コントロールを含めることができ、運転席側の乗員6、及び、助手席側の乗員6の感じる温感レベルに応じて、空調装置20の運転席側空調系128及び助手席側空調系228の動作を個別に制御できる。
また、第3実施形態は、輻射ヒータ50A,50Bを用いる補正制御の手法が第1,第2実施形態と異なるものである。第3実施形態では、エアコンECU40Aは、独立温度コントロールによって運転席及び助手席の一方の座席で空調風の吹出温度が変更された影響を受けて、運転席及び助手席の他方の座席の乗員の下半身や足元に暖房感の不足が生じたときに、他方の座席の乗員を加温できる輻射ヒータ(輻射ヒータ50A,50Bの一方)を用いて補正制御を実行するよう構成される。第3実施形態の補正制御は、図10に例示する空調装置20Aのように、独立温度コントロールを実行可能な空調装置を備える車両用空調システム10Aにおいて適用することができる。
以下、図11のフローチャートに沿って、第3実施形態における車両用空調システム10Aの空調装置20Aを用いる自動空調制御と、輻射ヒータ50A,50Bを用いる補正制御について説明する。図11に示す処理は、エアコンECU40Aによって例えば所定周期ごとに実行される。
ステップS301,S302,S304の各処理は、図3のステップS101,S102,S104と同様であるので説明を省略する。
ステップS303では、ステップS302にて取得された各種情報を用いて、運転席(Dr席)、助手席(Pa席)のそれぞれの必要吹出温度TAO[Dr],TAO[Pa]が算出され、算出した必要吹出温度TAO[Dr],TAO[Pa]に基づき空調装置20Aの動作が制御される。本ステップの制御が上述のオートエアコン制御に相当する。
エアコンECU40Aは、例えば下記の(3)式及び(4)式を用いて必要吹出温度TAO[Dr],TAO[Pa]を算出することができる。
TAO[Dr]=(Kset×Tset[Dr])−(Kr×Tr)
−(Kam×Tam)−(Ks×Ts)
+(Kd[Dr]×(Tset[Dr]−Tset[Pa]))
+C ・・・(3)
TAO[Pa]=(Kset×Tset[Pa])−(Kr×Tr)
−(Kam×Tam)−(Ks×Ts)
+(Kd[Pa]×(Tset[Pa]−Tset[Dr]))
+C ・・・(4)
ここで、Tset[Pa]は運転席側設定温度、Tset[Pa]は助手席側設定温度、Kd[Dr]は運転席側温度差定数、Kd[Pa]は助手席側温度差定数である。その他のKset、Kr、Tr、Kam、Tam、Ks、Ts、Cの各パラメータは(1)式と同様である。
また、エアコンECU40は、上記の(3)式及び(4)式で算出した必要吹出温度TAO[Dr],TAO[Pa]の値に基づき、空調装置20の内外気吸込モード、送風量、吹出モード、エアミックスドア開度(吹出温度)を決定し、空調装置20を運転する。ステップS303の処理が完了するとステップ304に進む。
ステップS305では、ステップS303の計算に用いた運転席側設定温度Tset[Pa]と、助手席側設定温度Tset[Pa]について、前回の処理フローの設定値に対して、運転席側設定温度Tset[Pa]または助手席側設定温度Tset[Pa]のいずれか一方のみが変更されたか否かが判定される。ステップS305の判定の結果、運転席側設定温度Tset[Pa]または助手席側設定温度Tset[Pa]のいずれか一方のみが変更されている場合(ステップS305のYES)にはステップS306に進み、そうでない場合(ステップS305のNO)には本制御フローを終了する。
ステップS306では、設定温度変更の無い側の席において、設定温度が同一(Tset[Dr]=Tset[Pa])と仮定した場合の必要吹出温度TAO_s[Dr]又はTAO_s[Pa]が算出される。本ステップでは、エアコンECU40Aは、現実の運転席側設定温度Tset[Pa]が助手席側設定温度Tset[Pa]より高い場合(Tset[Dr]−Tset[Pa]>0)には、下記の(5)式を用いて運転席側の仮の必要吹出温度TAO_s[Dr]を算出する。この場合、エアコンECU40Aは、助手席側で設定温度が下げられ、運転席側では設定温度変更が無いものと判断する。
TAO_s[Dr]=(Kset×Tset[Dr])−(Kr×Tr)
−(Kam×Tam)−(Ks×Ts)+C ・・・(5)
一方、エアコンECU40Aは、現実の助手席側設定温度Tset[Pa]が運転席側設定温度Tset[Pa]より高い場合(Tset[Dr]−Tset[Pa]<0)には、下記の(6)式を用いて助手席側の仮の必要吹出温度TAO_s[Pa]を算出する。この場合、エアコンECU40Aは、運転席側で設定温度が下げられ、助手席側では設定温度変更が無いものと判断する。
TAO_s[Pa]=(Kset×Tset[Pa])−(Kr×Tr)
−(Kam×Tam)−(Ks×Ts)+C ・・・(6)
ステップS307では、設定温度変更に伴う温度補正量ΔTAO[Dr]又はΔTAO[Pa]が算出される。エアコンECU40Aは、現実の運転席側設定温度Tset[Pa]が助手席側設定温度Tset[Pa]より高い場合(Tset[Dr]−Tset[Pa]>0)には、下記の(7)式を用いて運転席側の温度補正量ΔTAO[Dr]を算出する。
ΔTAO[Dr]=TAO[Dr]−TAO_s[Dr] ・・・(7)
一方、エアコンECU40Aは、現実の助手席側設定温度Tset[Pa]が運転席側設定温度Tset[Pa]より高い場合(Tset[Dr]−Tset[Pa]<0)には、下記の(8)式を用いて助手席側の温度補正量ΔTAO[Pa]を算出する。
ΔTAO[Pa]=TAO[Pa]−TAO_s[Pa] ・・・(8)
ここで、温度補正量ΔTAO[Dr],ΔTAO[Pa]は、その値が小さいほど、必要吹出温度TAO[Dr],TAO[Pa]がより低め(寒め)に制御されることを示している。ステップS307の処理が完了するとステップS308に進む。
ステップS308では、ステップS307にて算出された運転席側の温度補正量ΔTAO[Dr]又は助手席側の温度補正量ΔTAO[Pa]に基づき、輻射ヒータ50Aまたは輻射ヒータ50Bの動作が制御される。つまり、エアコンECU40Aは、輻射ヒータ50A,50Bの一方を用いて、オートエアコン制御による乗員6の下半身の温度変化を補正する補正制御を実行する。エアコンECU40Aは、例えば図11に示すような温度補正量ΔTAO[Dr],ΔTAO[Pa]と輻射ヒータ出力とを関連付けた特性マップを予め保持しており、このマップを参照して輻射ヒータの出力を決定できる。図11の特性マップの構成は、図4の特性マップと同様である。
エアコンECU40Aは、現実の運転席側設定温度Tset[Pa]が助手席側設定温度Tset[Pa]より高い場合(Tset[Dr]−Tset[Pa]>0)、すなわち、助手席側で設定温度が下げられ、運転席側では設定温度変更が無い場合には、ステップS307にて算出した、運転席側の温度補正量ΔTAO[Dr]を用いる。エアコンECU40Aは、運転席側の温度補正量ΔTAO[Dr]に基づき図11の特性マップを参照して、運転席側の輻射ヒータ50Aの出力を決定し、輻射ヒータ50Aを作動させる。
一方、エアコンECU40Aは、現実の助手席側設定温度Tset[Pa]が運転席側設定温度Tset[Pa]より高い場合(Tset[Dr]−Tset[Pa]>0)、すなわち、運転席側で設定温度が下げられ、助手席側では設定温度変更が無い場合には、ステップS307にて算出した助手席側の温度補正量ΔTAO[Pa]を用いる。エアコンECU40Aは、助手席側の温度補正量ΔTAO[Pa]に基づき図11の特性マップを参照して、助手席側の輻射ヒータ50Bの出力を決定し、輻射ヒータ50Bを作動させる。ステップS308の処理が完了するとステップS309に進む。
ステップS309では、引き続きオートエアコン制御が継続されるか否かが判定される。オートエアコン制御が継続される場合(ステップS309のYES)には、ステップS302に戻り引き続きオートエアコン制御が実施され、また、必要に応じて輻射ヒータ50A,50Bによる補正制御が実施される。オートエアコン制御が継続されない場合(ステップS309のNO)には、本制御フローを終了する。
このように、第3実施形態の車両用空調システム10Aにおいて、空調装置20Aは、車室2内の運転席及び助手席に対して個別に空調風を調整して送出できるよう構成される。エアコンECU40Aのオートエアコン制御は、運転席側及び助手席側で個別に空調風の吹出温度を制御できる独立温度コントロールを含む。エアコンECU40Aは、独立温度コントロールによって運転席及び助手席の一方の座席で吹出温度が変更された影響を受けて、運転席及び助手席の他方の座席の乗員の下半身や足元に暖房感の不足が生じたときに、輻射ヒータ50A,50Bを用いる補正制御を実行する。
運転席及び助手席の一方側の席で独立温度コントロールによって空調温度を変更されるとき、この温度変更の影響を受けて、他方側の席の乗員の下半身や足元に暖房感の不足が生じる場合がある。第3実施形態の車両用空調システム10Aは、このような場合に輻射ヒータ50A,50Bを用いる補正制御を実行することで、乗員の下半身または足元の暖房感の不足を好適に補填できる。
また、第3実施形態の車両用空調システム10Aにおいて、エアコンECU40Aの補正制御は、オートエアコン制御の独立温度コントロールによって、運転席及び助手席の一方の座席で設定温度(Tset[Dr]またはTset[Pa])が変更されたときに、運転席側の設定温度と助手席側の設定温度との温度差|Tset[Dr]−Tset[Pa]|に基づく吹出温度の補正量(ΔTAO[Dr]またはΔTAO[Pa])が大きいほど、運転席及び助手席の他方の座席に設置される補助暖房装置(運転席側の輻射ヒータ50Aまたは助手席側の輻射ヒータ50B)の出力を増やすように設定される。
この構成により、運転席側の設定温度と助手席側の設定温度との温度差|Tset[Dr]−Tset[Pa]|に基づく吹出温度の補正量と連動して輻射ヒータ50A,50Bの出力を調整できるので、乗員6の下半身または足元の暖房感の不足をより適切に補填できる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
上記実施形態では、輻射ヒータ50,50A,50Bを空調装置20による車室2内の空調を補助する補助暖房装置として適用する構成を例示したが、補助暖房装置は、車室2内の乗員6の主に下半身を輻射熱または熱伝導により直接的に加温することができれば、輻射ヒータ50,50A,50B以外の他の装置を用いることもできる。