JP2017178484A - 媒体搬送装置及び印刷装置 - Google Patents

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孝 松木
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Abstract

【課題】ローラー対により媒体を挟持した状態で媒体をニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内する媒体搬送装置であって、媒体の搬送を円滑にする媒体搬送装置、及びその媒体搬送装置を有する印刷装置を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、中間ローラー30(駆動ローラー)と、中間ローラー30とともに媒体を挟持する第2従動ローラー32と、搬送経路においてローラー対69(両ローラー30,32)による媒体のニップ箇所よりも下流側に配置される案内部材55とを備える。案内部材55は、媒体を挟持した状態でローラー対69が回転することによりニップ箇所よりも下流側に搬送される媒体を、ニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内するものであり、各ローラーの回転軸に沿う方向においてニップ箇所と対向する箇所には、ローラー対の回転に伴い搬送される媒体が接触しない非接触部73を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置及びその媒体搬送装置を有する印刷装置に関する。
従来から、ローラー対に挟持されている媒体をそのニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内する媒体搬送装置が知られている(特許文献1の図1参照)。特許文献1の技術では、ローラー対を構成する大径ローラー(同文献では反転ローラー)と小径ローラー(同文献では中間ローラー)とにより挟持された媒体は、ガイド部材により水平方向に対して斜め下方に案内される。この場合、ガイド部材は、媒体を大径ローラーと小径ローラーとのニップ箇所における接線方向からずれた方向に案内する。
特開2010−253754号公報
ところで、このような媒体搬送装置においては、ローラー対が媒体を挟持した状態で回転することで、当該媒体をニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内するとき、媒体搬送に支障が生じることがある。例えば、媒体の搬送経路におけるローラー対の近くで、ガイド部材が媒体をローラー対のニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内するとき、このような支障が生じ易い。
本発明は、ローラー対により媒体を挟持した状態で媒体をニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内する媒体搬送装置において媒体の搬送を円滑にすることを目的とする。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する媒体搬送装置は、駆動ローラーと、前記駆動ローラーとともに媒体を挟持する従動ローラーと、前記媒体の搬送経路において前記両ローラーによる前記媒体のニップ箇所よりも下流側に配置される案内部材とを備え、前記案内部材は、前記媒体を挟持した状態で前記両ローラーが回転することにより前記ニップ箇所よりも下流側に搬送される前記媒体を、前記ニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内するものであり、前記各ローラーの回転軸に沿う方向において前記ニップ箇所と対向する箇所には、前記両ローラーの回転に伴い搬送される前記媒体が接触しない非接触部を有する。
通常、媒体が駆動ローラーと従動ローラーとに挟持された状態で両ローラーが回転することにより搬送されるとき、媒体において両ローラーに挟持されていた部分(挟持対応部)には、搬送方向下流側への推進力(媒体を押す力)が作用する。このため、媒体において両ローラーに挟持されていた部分よりも前端側の部分が案内部材に接触している状態において、その前端側の部分と案内部材との間の摩擦力が大きくなるときには、媒体の円滑な搬送が妨げられるようになる。
この点、上記構成によれば、各ローラーの回転軸に沿う方向において案内部材におけるニップ箇所に対向する箇所には媒体が接触しない非接触部があり、媒体において両ローラーに挟持されていた部分(挟持対応部)は案内部材に接触しないことから、媒体の円滑な搬送が妨げられるといった状況が発生し難くなる。
上記媒体搬送装置において、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとは、前記ニップ箇所における接線方向が前記媒体の搬送方向下流側に向けて下り勾配となるように前記媒体を挟持する構成とされ、前記案内部材は、前記両ローラーの回転に伴い下流側に搬送される前記媒体が接触する接触面と、凹部または貫通孔で構成された前記非接触部とを有し、前記接触面上を前記媒体が搬送方向下流側に摺動して通過するフラップとして構成され、前記接触面は、前記ニップ箇所における接線方向に沿う面に対して交差するように構成されることが好ましい。
この構成によれば、搬送される媒体が接触面に摺動状態で接触するフラップには、媒体が接触する接触面ばかりでなく、そのときに媒体が接触しない非接触部も設けられている。そのため、搬送される媒体において両ローラーに挟持されていた部分(挟持対応部)は、フラップにおける非接触部が設けられた位置を通過し、接触面には接触しないことから、媒体が円滑に搬送される。
上記媒体搬送装置において、前記案内部材において前記駆動ローラーの回転軸に沿う方向における前記非接触部の両側には、前記搬送経路に沿って延びるリブが設けられていることが好ましい。
この構成によれば、搬送される媒体において両ローラーによるニップ箇所から非接触部に進む部分(すなわち挟持対応部)の両側がリブにより持ち上げられるようになって媒体が湾曲し、搬送方向における媒体の剛性(曲がり難さ)を高めることができる。
上記媒体搬送装置において、前記案内部材は、前記リブとしての一対の第1リブと、前記一対の第1リブよりも前記回転軸に沿う方向における外側に配置される一対の第2リブとを備え、前記第1リブと前記第2リブとの間の間隔距離は、前記一対の第1リブ間の間隔距離よりも長いことが好ましい。
この構成によれば、媒体は、回転軸に沿う方向において、第1リブを支点として、第1リブよりも外側部分が垂れ下がり、第1リブよりも内側部分が上がる。これにより、媒体は、回転軸に沿う方向において複数箇所が湾曲し、搬送方向における剛性(曲がり難さ)を高めることができる。
上記媒体搬送装置において、前記リブの頂部は、前記媒体の搬送方向下流側から見た場合の断面形状が上に凸の円弧状をなしていることが好ましい。
この構成によれば、搬送方向下流側に搬送される媒体はリブの頂部に摺動した場合の搬送負荷が、リブの頂部が媒体の一面と面接触可能なフラットな形状である場合よりも低減される。
上記媒体搬送装置において、前記接触面は滑面に構成されていることが好ましい。
この構成によれば、搬送方向下流側に搬送される媒体は接触面に摺動状態で接触した場合の搬送負荷が、接触面が非滑面である場合よりも低減される。
また、上記課題を解決する印刷装置は、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置により搬送される前記媒体に対して印刷を行う印刷部とを有する。この構成によれば、媒体に印刷を行う印刷装置において上記の媒体搬送装置の場合と同様の作用効果を享受できる。
複合機の斜視図。 複合機の断面図。 複合機の拡大断面図。 印刷装置の模式断面図。 実施形態に係る媒体搬送装置の斜視図。 フラップの模式断面図。 比較に係る媒体搬送装置の斜視図。 比較に係る媒体搬送装置により搬送される媒体の動作を示す、図7のA−A線に沿う模式断面図。 実施形態に係る媒体搬送装置の斜視図。 実施形態に係る媒体搬送装置により搬送される媒体の動作を示す、図9のB−B線に沿う模式断面図。 印刷装置における制御ブロック図。 媒体の重ね搬送動作を示す模式図。 媒体の重ね搬送動作を示す模式図。 媒体の重ね搬送動作を示す模式図。 媒体の重ね搬送動作を示す模式図。 媒体の重ね搬送動作を示す模式図。 印刷装置の動作のタイミングチャート。 案内部材の他の例の斜視図。 他の実施形態に係る媒体搬送装置の斜視図。
以下、印刷装置を含む複合機について図面を参照して説明する。なお、以下では、印刷部が印刷時に移動する方向を「走査方向X(幅方向X)」、媒体が印刷部と対向する箇所で搬送される方向を「搬送方向Y」、そして鉛直方向の下側に向く方向を「重力方向Z」とする。なお、搬送経路において印刷部と対向する箇所以外の場所における媒体の搬送方向は、符号「Y」を付けずに単に「搬送方向」とする。図3には、媒体の搬送経路が一点鎖線で示されている。
図1に示すように、複合機11は、印刷機能を有する印刷装置12と、画像読取機能を有する画像読取装置13と、画像読取装置13へ原稿を給送する自動原稿給送装置14とを備える。印刷装置12は、直方体状の本体15と、本体15の不図示の上面開口に対して開閉可能に配置された本体蓋部151とを有している。画像読取装置13は、本体蓋部151に読取機構が内蔵されて構成されるスキャナー本体131と、スキャナー本体131の上面部を構成する原稿台132(図2参照)に対して開閉可能に回動する蓋部133とを有している。自動原稿給送装置14は、蓋部133上に組み付けられており、蓋部133と共に開閉方向に回動可能となっている。蓋部133は、自動原稿給送装置14と共に、原稿台132を覆う閉位置と、原稿台132が原稿を載置可能な状態に露出する開位置とに移動可能となっている。
また、本体蓋部151の側面前側(搬送方向Yの下流側)には、凹状の把持部152が設けられている。把持部152をユーザーが把持して上方へ持ち上げて、本体蓋部151を画像読取装置13および自動原稿給送装置14と共に開方向へ回動させることにより、図1に示す閉位置から、本体15の上部が開けられた不図示の開位置に配置される。本体蓋部151が開位置にある状態では、本体15を構成する筐体153内の印刷機構が露出し、ユーザーによるインクカートリッジ等のインク収容体39(図3参照)の交換作業および媒体ジャムの除去作業等を含むメンテナンス作業が可能となっている。
図1に示す自動原稿給送装置14は、原稿を複数枚セット可能な原稿載置台141と、原稿載置台141上にセットされた原稿を幅方向に位置決めする際に操作される一対の原稿エッジガイド142と、原稿載置台141からはみ出る原稿の部分を支持可能な原稿サポート143とを有する。
原稿載置台141の下側には、自動原稿給送装置14により給送された原稿が画像読取装置13にスキャンされたのちに排出される原稿排出部144が設けられている。自動原稿給送装置14は、原稿載置台141を原稿の搬送方向と交差する方向に挟んだ両側に配置された一対の壁部145と、原稿排出部144の排出口と対向して配置された側板146とを有する。このため、原稿排出部144は、一対の壁部145と、原稿載置台141と、側板146とに囲まれている。側板146には、原稿排出部144に排出された原稿をユーザーが確認するための凹部147が設けられている。このため、凹部147を通して原稿排出部144に排出された原稿を確認できるうえ、排出された原稿を凹部147からつまみ出すことも可能である。なお、原稿サポート143は、透明色の部材としてもよい。透明色の部材とすることで、自動原稿給送装置14を用いて小さなサイズの原稿(例えばA6判)をスキャンした場合でも、その小さなサイズの原稿を、原稿サポート143を透かして原稿排出部144に排出されていることを確認できるので、原稿の取り忘れが防止可能である。
図1に示すように、印刷装置12の前面上部には、電源ボタン17およびタッチパネル方式の表示部18を有する矩形板状の操作パネル16が設けられている。操作パネル16には、その他に、操作ボタン161、電源LED162、FAX受信LED163、印刷ジョブ受信LED164およびエラー報知LED165が設けられている。操作ボタン161は、印刷実行中はキャンセルボタンとして機能し、印刷待機中はコピーボタンとして機能する。操作ボタン161がコピーボタンとして操作された場合、原稿載置台141に原稿が載置されていることを不図示のセンサーが検知すれば、自動原稿給送装置14が駆動されて給送された原稿がスキャンされる。一方、そのセンサーが非検知状態で原稿載置台141に原稿が載置されていない場合は、原稿台132上に載置された原稿がスキャンされる。なお、本体15には、操作パネル16の側方に不図示のUSBスロットの蓋部154が設けられている。
また、印刷装置12における操作パネル16の下側には、印刷済みの媒体Pを排出する排出口19と、排出口19から排出された媒体Pを受けるスライド式の排出スタッカー20とが設けられている。排出スタッカー20は、手動操作により、図1に示す収納位置と、図2に示す展開位置との間をスライドさせることが可能となっている。また、本体15の筐体153における排出スタッカー20の下側には、前面が開口し奥方へ延びる収容空間からなるカセット収容部155が設けられている。カセット収容部155には、複数枚の媒体Pを収容可能な上下2段のカセット21,22が挿抜可能な状態で装着されている。なお、本体15の両側面の底部には、複合機11をユーザーが持ち上げるときに把持可能な凹状の手掛け部156(但し図1では一方のみ図示)が設けられている。
次に図2および図3を参照して、複合機11における特に印刷装置12の内部構成を説明する。図2に示すように、筐体153内には、媒体Pを搬送する搬送機構24と、搬送された媒体Pに印刷する印刷部25とが収容されている。搬送機構24は、カセット21,22内の媒体Pを1枚ずつ印刷部25へ給送する給送機構26を備える。給送機構26は、本体15内における各カセット21,22の挿着部分と対応する箇所に基端部を中心に回動可能に支持されたアーム部材27と、アーム部材27の先端部に設けられた給送ローラー28(ピックアップローラー)とを備える。なお、以下では、給送ローラー28を第1カセット21側と第2カセット22側とで区別する場合は、第1カセット21側の給送ローラー28を符号281で示し、第2カセット22側の給送ローラー28を符号282で示す。
また、カセット21,22は、載置(セット)された媒体Pの幅方向両側の側端に当てて媒体Pを幅方向に位置決め可能な側端エッジガイド211,221と、媒体Pの給送方向の上流側の端部(後端)に当てて後端を位置決め可能な後端エッジガイド212,222と、媒体Pの給送方向の下流側の端部(先端)に当てて先端を位置決め可能な不図示の爪部とを有している。カセット21,22にセットされた媒体Pはその先端が爪部に当たることでカセット21,22に保持される。なお、爪部は、カセット21,22を挿着する過程で給送ローラー28と接触しない位置に配置されている。
アーム部材27は図2における時計方向へ不図示のばねにより付勢されている。カセット21,22をカセット収容部155に挿着する過程でアーム部材27が反時計方向へ一旦回動した後にその付勢力により戻り、給送ローラー28がカセット22内の複数枚の媒体Pのうち最上位の1枚の媒体Pに所定の付勢力で接触する。
図2に示すように、本体15におけるカセット収容部155の奥方(同図における右方)には、カセット21,22の給送方向(図2では右方向)の端部と対向する位置に斜状の分離板157,158(分離壁部)がそれぞれ配置されている。給送ローラー28により仮に複数枚の媒体Pが送り出されても分離板157,158の面に摺動することで、最上位の1枚のみが分離されて給送方向の下流側へ給送される。このように本実施形態では、媒体Pを1枚に分離する分離方式として壁分離方式を採用している。なお、壁分離方式に替え、媒体Pを一対の分離用のローラー対の間を通すことにより1枚に分離するローラー分離方式を採用してもよい。
さらに図2に示すように、給送機構26は、各カセット21,22から送り出された媒体Pが分離板157,158を経由して搬送される搬送通路261,262を有する。2つの搬送通路261,262は、上段のカセット21側の分離板157の上方位置で合流している。なお、以下では、上段(1段目)のカセット21を「第1カセット21」、下段(2段目)のカセット22を「第2カセット22」ともいう。
図2に示すように、上段の第1カセット21の下側に位置する下段の第2カセット22からの媒体Pが搬送される搬送通路262は、第1カセット21を回避するために奥行き方向(同図における右方向)にオフセットしている。第1カセット21と第2カセット22とでは、取出し側の正面端部213,223は面一であるが、第2カセット22に対応する後端エッジガイド222、給送ローラー282および分離板158は、第1カセット21に対応する後端エッジガイド212、給送ローラー281および分離板157よりも、それぞれ奥行き方向にオフセットしている。
また、図2に示すように、給送機構26は、2つの搬送通路261,262の合流部263(図3参照)の斜め上方位置に配置された大径の中間ローラー30(駆動ローラー)と、中間ローラー30の外周面に当接する小径の第1従動ローラー31および第2従動ローラー32とを備える。カセット21,22のうち選択された一方から送り出された媒体Pは、搬送通路261,262のうち対応する一方を通って合流部263へ至り、合流部263から中間ローラー30の回転により中間ローラー30と2つの従動ローラー31,32との間にニップ(挟持)された状態で、中間ローラー30の外周に沿った経路で搬送される。そして、媒体Pは、中間ローラー30と第2従動ローラー32とのニップ箇所から搬送ローラー対33に向かって送り出される。
また、図2および図3に示すように、中間ローラー30と第2従動ローラー32とのニップ箇所よりも搬送方向の直ぐ下流側の位置には、そのニップ箇所から送り出された媒体Pを案内してその送り出し方向を目標方向へ変更させる案内部材55が配置されている。媒体Pの給送時に、中間ローラー30と第2従動ローラー32とのニップ箇所から送り出された媒体Pは、案内部材55の上面に沿って略水平方向の下流側へ案内され、斜状の天井壁部56に達したのち天井壁部56の斜状の面に沿って上限高さを保ちつつ斜め下方へ向かう経路で搬送される。また、中間ローラー30と搬送ローラー対33との間には、給送された媒体Pが案内部材55から垂れ下がった状態にあるときにその垂れ下がり部分を支持したり、案内部材55から落下した後の媒体Pの後端部を支持したりする支持部材57が配置されている。
図3に示すように、支持部材57は、媒体Pを支持する上面における搬送方向の上流側部分が下流側ほど低くなる凹曲面を有し、その凹曲面の部分よりも搬送方向の下流側の部分が略水平に延びた平坦面となっている。また、支持部材57は、その搬送方向の下流側端部に突端部57Eを有する。支持部材57の突端部57Eは、カセット21,22から給送された媒体Pを搬送ローラー対33へ導く下経路を形成する給送路と、一方の面(片面)に印刷された後に搬送ローラー対33から逆搬送された両面印刷の対象となる媒体Pを中間ローラー30へ導く反転通路40との分岐箇所となっている。
図2および図3に示すように、搬送機構24は、給送機構26から給送された媒体Pを、印刷部25が印刷可能な印刷領域を通る経路で搬送する搬送ローラー対33と、印刷部25が印刷した媒体Pを排出する排出ローラー対34とを備える。搬送ローラー対33よりも搬送方向Yの少し上流側の位置には、長尺状の揺動部材58が同図における反時計方向に不図示のばねにより付勢された状態で同図に示す斜めに傾く待機姿勢の状態で配置されている。揺動部材58は、下方に突出する押さえリブ581とフラップ部582とを有している。押さえリブ581は、媒体Pの後端部を下向きに付勢し、媒体Pの後端部の浮き上がりを押さえる機能を有している。
ここで、押さえリブ581において媒体Pと接触可能な突端部は、搬送ローラー対33のニップ位置と、支持部材57の突端部57Eとを結んだ仮想線よりも下方向(重力方向Z)にオフセットして位置している。押さえリブ581の突端部が、上記仮想線上に位置するのが理想ではあるが、製造上の公差を考慮し、上記仮想線よりも上方向にずれた場合の不都合を回避するべく、揺動部材58のばね荷重で押さえリブ581を下方へ付勢する状態で押さえリブ581の突端部を上記仮想線よりも下方向にオフセットさせている。
また、図2および図3に示すように、搬送方向Yにおける搬送ローラー対33と排出ローラー対34との間の位置には、搬送経路に沿って搬送される媒体Pを支持可能な支持台35が配置されている。搬送ローラー対33は、搬送駆動ローラー33Aと、搬送駆動ローラー33Aの回転に従動して回転可能な搬送従動ローラー33Bとからなる。また、排出ローラー対34は、排出駆動ローラー34Aと、排出駆動ローラー34Aの回転に従動して回転可能な排出従動ローラー34Bとからなる。また、搬送方向Yにおける排出ローラー対34と支持台35との間の位置には、排出ローラー対34にニップされる前の媒体Pの先端部を上側から押さえてその浮き上がりを防止する押さえローラー34Cが設けられている。
図2および図3に示すように、印刷部25は、ガイドレール部37に案内されて走査方向Xに往復動可能な状態で支持台35の上方位置に保持されたキャリッジ36と、キャリッジ36の支持台35と対向する面側に取着された印刷ヘッド38とを備える。キャリッジ36は、例えば上下一対のガイドレール部37により2箇所で支持され、搬送方向Yと重力方向Zに位置決めされた状態で走査方向Xに移動可能な状態で案内される。キャリッジ36の上部にはインク色と同数の複数のインク収容体39が装着されている。印刷ヘッド38は、キャリッジ36の上部に装着されたインク収容体39から供給されたインクを、走査方向Xに移動する過程で媒体Pに向かって吐出する。このため、印刷中に間欠的に搬送される媒体Pが停止する度に、印刷ヘッド38により1行ずつ印刷される。印刷後の媒体Pは、排出ローラー対34等の回転により排出口19から排出され、排出スタッカー20上に積載される。排出スタッカー20は、図1に示す収納位置からユーザーが搬送方向にスライドさせて突出させたのち、先端部分を回動させることで、図2に示す使用時の状態に展開される。なお、本実施形態のインク収容体39は、インクカートリッジにより構成されるが、本体15の内側または外側に取り付けられたインクタンクからインクチューブ(いずれも図示せず)を通じてインクの供給を受けてインクを一時貯留可能なアダプターでもよい。
また、本例の印刷装置12は両面印刷機能を備えている。本体15内には、搬送方向Yへ搬送されて印刷部25が一方の面(片面)に印刷した媒体Pを、搬送方向Yと反対側へ逆搬送して合流部263へ導く反転通路40(スイッチバック通路)が設けられている。反転通路40は、支持部材57の下側を通る経路で延び、各搬送通路261,262の合流部263と合流している。一方の面(表面)の印刷を終えた媒体Pは、反転通路40を通る搬送経路F3に沿って逆搬送されることで合流部263へ至り、合流部263から中間ローラー30と第1従動ローラー31とのニップ箇所へ導入される。詳しくは、媒体Pが反転通路40を通るとき、フラップ部582がスイッチバック時の媒体Pを下側へ案内して反転通路40へ導く。媒体Pの先端がフラップ部582に対して上流側から下流側へ向けて触れると、フラップ部582が搬送方向Yの下流側に向けて回動することにより媒体Pは規制されない。一方、他方の面(裏面)に印刷するために媒体Pがスイッチバックする際に、媒体Pの先端がフラップ部582に下流側から上流側へ向けて触れても回動せず、スイッチバックした媒体Pを反転通路40に案内する。
そして、媒体Pは、中間ローラー30の外周に沿って搬送される過程でその表裏が反転され、搬送ローラー対33を通って他方の面が印刷ヘッド38と対向する向きになった状態で印刷部25へ搬送される。そして、媒体Pの他方の面(裏面)に印刷部25による印刷がなされることにより、媒体Pに両面印刷がなされる。両面印刷を終えた媒体Pは排出スタッカー20上に積載される。
さらに図2に示すように、画像読取装置13は、フラットベッド型のスキャナー装置であり、原稿載置ガラス板134を備えた原稿台132と、原稿載置ガラス板134の下方位置を走査方向Xに沿って往復移動可能なスキャナーキャリッジ135とを備える。また、図2および図3に示すように、本体15内には、搬送経路よりも上方位置に、電源ユニット59が設けられている。電源ユニット59は、例えば商用交流電源からの電力を直流に変換し、印刷装置12、画像読取装置13および自動原稿給送装置14に駆動に必要な電力を供給する。
図3に示すように、本体15内において支持台35よりも搬送方向Yの下流側の位置には、インク収容体39のインク残量を検出する残量センサー201が設けられている。残量センサー201は、走査方向Xに所定位置に1つ配置されている。キャリッジ36には、残量センサー201と対向可能な位置に複数の被検出用の孔361が走査方向Xに一列に並んだ状態で開口している。各インク収容体39からのインクは被検出用の孔361の上側を経由して印刷ヘッド38へ供給される。キャリッジ36の走査方向Xへの移動に伴い孔361が残量センサー201の上方に位置するときに、残量センサー201は、孔361を通して孔361に対応するインク収容体39からのインクを検出し、インクが有れば非検知状態になり、インクが無くなれば検知状態になる。複数の孔361は、残量センサー201に検出されるためには走査方向Xに沿って一列に配列されている必要がある。キャリッジ36には、図3に示す調整用ダイヤル202が設けられ、調整用ダイヤル202を操作することによりキャリッジ36を重力方向Zの軸線周りに回動させてその姿勢角を調整することが可能になっている。キャリッジ36の姿勢角の調整により、複数の孔361の全てを残量センサー201による検出が可能な走査方向Xに沿った一列に配列することが可能になっている。
本実施形態の印刷装置12では、印刷ジョブに基づく印刷条件に応じて複数種の給送方式のうちから1つが選択される。印刷装置12は、普通紙かつバンド印刷かつ片面印刷の印刷ジョブを受信した場合に、先行の媒体Pと後続の媒体Pとを一部重ねた状態を維持しつつ後続の媒体Pの印刷開始位置まで一緒に搬送する重ね連送を伴う重ね給送方式を選択する。印刷装置12は、その他の印刷条件の印刷ジョブを受信した場合は、先行の媒体Pと後続の媒体Pとを間隔を開けた状態で後続の媒体Pを印刷開始位置まで搬送する通常給送方式を選択する。重ね給送方式が選択された場合、先に搬送された媒体Pである先行媒体の後端部に対して、先行媒体の次に搬送された媒体Pである後続媒体の先端部を重ねる重ね動作が行われ、その後、先行媒体の印刷を終了すると、先行媒体と後続媒体とをそのときの重ね状態を維持したまま後続媒体の印刷開始位置まで一緒に搬送する重ね連送が行われる。また、重ね動作の後かつ重ね連送の前には、後続媒体の先端を搬送ローラー対33に突き当ててそのスキュー(斜行)を矯正するスキュー取り動作が行われる。なお、重ね給送方式が選択された場合でも、先行媒体と後続媒体とに関する後述する重ね可能条件が成立した場合に限り、重ね連送が行われる。
また、重ね動作における重ね方には、後続媒体の先端部を先行媒体の後端部の上側に重ねる上重ねと、後続媒体の先端部を先行媒体の後端部の下側に重ねる下重ねとがある。本実施形態の重ね動作は上重ねで行われる。そのため、後続媒体の先端部を先行媒体の後端部の上側に重ねる必要がある。そこで、案内部材55は、重ね動作で先行媒体と後続媒体とが正しい重ね順で重なるように、中間ローラー30の第2従動ローラー32とのニップ箇所から送り出される媒体Pの送り出し方向を上重ねし易い上側寄りの案内方向へ変更する。中間ローラー30の最終ニップから所定の給送速度で送り出された媒体Pを、案内部材55の上面に沿わせることでその送り出し方向をより上側の略水平方向へ変更し、略水平方向へ送り出されたのちの媒体Pを天井壁部56の斜状の面に沿って上限位置を保ちつつ搬送ローラー対33へ向かって搬送させるようにしている。これにより後続媒体を先行媒体に対して上側(印刷面側)から重ねる上重ねがより高い頻度で成功する。
また、図3に示す押さえリブ581の突端部を、搬送ローラー対33のニップ位置と支持部材57の突端部57Eとを結んだ仮想線よりも下方向へオフセットしている理由は、以下のとおりである。
押さえリブ581の突端部が上記仮想線よりも高い位置にあった場合、先行媒体の後端部が浮き上がってしまい、後続媒体の先端部を先行媒体の後端部に重ねる際に支障を来たす(理由1)。また、押さえリブ581の突端部が上記仮想線よりも低い位置にあった場合、先行媒体が押さえリブ581の突端部により上記仮想線よりも下方へ押さえられるため、先行媒体のその押さえ箇所よりも少し上流側の部分が支持部材57の突端部57Eに押さえ付けられ、その結果、先行媒体において突端部57Eよりも上流側に位置する部分が浮き上がってしまう。この場合も、後続媒体の先端部を先行媒体の後端部に重ねる際に支障を来たす(理由2)。
さらに押さえリブ581の突端部が上記仮想線よりも低い位置にあった場合、押さえリブ581の突端部により下方へ押さえられた媒体Pの先端が、搬送ローラー対33のうち、アルミナ等の粉末を塗付するなどで滑り止め処理がされている一方の搬送駆動ローラー33Aに突き当たってしまい、その突き当たった箇所の滑り止め作用によって、搬送ローラー対33のニップ箇所への媒体Pの先端の摺動が規制されてしまい、想定するスキュー取り動作を行うことができなくなる(理由3)。
押さえリブ581の突端部が上記仮想線上に位置するように理想の形で設計してしまうと、上述した不都合な状況に陥ってしまう虞がある。そこで、押さえリブ581の突端部が上記仮想線よりも低く位置するように設計することで、上記理由1による問題を解消している。また、押さえリブ581は、ばね荷重で下方に付勢され、媒体Pのコシにより上方に動作可能にしている。これにより、上記理由2および理由3による問題も解消している。
また、媒体Pのスキューを矯正するスキュー取り動作は、媒体Pの姿勢が以下に示す状態1〜状態5を順に遷移して行われる。まず、媒体Pは、案内部材55により天井壁部56に沿わされながら、下流に向けて搬送される(状態1)。次に媒体Pの先端が、停止している搬送ローラー対33に突き当てられ、突き当たった後も、中間ローラー30により媒体Pは下流への搬送力を与えられる(状態2)。さらに、止まっている媒体Pの一部が天井壁部56に当たった状態で、中間ローラー30からの搬送力を与えられるので、上記当たった位置から下流部分が、下方向に向けて媒体Pが撓む(状態3)。媒体Pの撓みが成長するに従って、天井壁部56に当たっている位置が徐々に上流側に移動しながら、撓みが下方向に更に成長する(状態4、図12A参照)。そして、出来上がった撓みの力により、媒体Pの先端の端辺が搬送ローラー対33に沿わされることで、媒体Pのスキューが矯正される(状態5)。スキューが矯正された媒体Pは、搬送ローラー対33で搬送されることで、媒体Pにスキューが矯正された状態で印刷される。
ここで、重ね給送方式が選択された場合に、印刷装置12において判断される重ね可能条件について説明する。重ね連送は、重ね可能条件が成立した場合に許可される。重ね可能条件には、先行媒体の後端余白長(ボトムマージン)と後続媒体の先端余白長(トップマージン)との重ね連送可能な条件で示される余白条件が含まれる。余白条件は、先行媒体の後端余白長が約30mm〜約80mmの範囲にあること、後続媒体の先端余白長が約15mm以上であることのいずれをも満たす場合に、重ね連送を許可する。
余白条件は、先行媒体の後端余白長と、後続媒体の先端余白長とのいずれもが、下記の条件を満たす場合に、重ね連送を許可する。ここで、図3に示すように、搬送ローラー対33のニップ位置と案内部材55の下流端位置との距離をLU、搬送ローラー対33のニップ位置と最上流ノズル♯Qとの距離をLn、最下流ノズル♯1と押さえローラー34Cとの距離をLrとする。1つ目の条件として、先行媒体の後端余白長が、「距離Ln+α〜距離LU」の間に収まっていることである。ここで、距離Ln+αのうちα部分に後続媒体の先端部が重なる。2つ目の条件は、後続媒体の先端余白長が、距離Lr以上であることである。図3における距離Lr又はLUを短くすることで、重ね連送に必要な余白量を小さくすることができる。なお、距離Ln+αを、簡易的に距離Lnの2倍の値2・Lnとしてもよい。
先行媒体の後端余白長が少なくとも30mm必要な理由は、下記のとおりである。すなわち、印刷ヘッド38の最上流ノズル♯Qから搬送ローラー対33のニップ位置までの距離Lnは、一例として約13mmあり、更に、後続媒体の先端部が重なる領域として、搬送ローラー対33のニップ位置から搬送方向Yの上流に向けて約15mmを要するので、合計約28mmとなる。さらに媒体P自体の搬送方向Yにおける長さの製造誤差を幾らか考慮し、先行媒体の後端余白長に、少なくとも合計約30mmを必要とする。
また、先行媒体の後端余白長が80mm以下である理由は、下記のとおりである。すなわち、搬送ローラー対33のニップ位置から、案内部材55の搬送方向Yの下流端までの距離LUが約80mmある。そのため、80mmを越えると先行媒体の後端が案内部材55に到達してしまい、後続媒体の先端を重ね合わせることができない。
さらに後続媒体の先端余白長が約15mm必要な理由は、下記のとおりである。すなわち、印刷ヘッド38の最下流ノズル♯1から押さえローラー34Cまでの距離Lrは約14mmあり、製造公差を幾らか考慮して、約15mmを必要としている。また、後続媒体に約15mmの先端余白長を必要とする理由は下記のとおりである。すなわち、後続媒体に対する印刷(インク吐出)が開始される前に、後続媒体の先端を押さえておかないと、インク吐出時に媒体Pが印刷ヘッド38側にカールしてしまい、印刷ヘッド38に対する媒体Pの擦れが発生してしまう。そこで、印刷ヘッド38の最下流ノズル♯1から押さえローラー34Cまでにあたる媒体Pの先端部は余白にしている。ちなみに、先行媒体と後続媒体の重ね量は、先行媒体の後端余白長により変化する。すなわち、先行媒体の後端余白長が最小の30mmである場合は、印刷ヘッド38の最上流ノズル♯Qから搬送ローラー対33のニップ位置までの距離である約13mmを減じた、約17mmが先行媒体と後続媒体との重ね量となる。
また、先行媒体の後端余白長が最大の80mmである場合は、印刷ヘッド38の最上流ノズル♯Qから搬送ローラー対33のニップ位置までの距離である約13mmを減じた、約67mmが先行媒体と後続媒体との重ね量である。このように先行媒体と後続媒体との重ね量は、先行媒体の後端余白長に応じて、約17mm〜約67mmの範囲で変化する。
図4を参照して、搬送機構24における、給送ローラー28から印刷部25までの区間の構造(以下、この区間の搬送構造を含む装置を「媒体搬送装置100」という。)を説明する。
媒体搬送装置100は、媒体Pを挟持した状態で回転する少なくとも1つのローラー対を有し、更に、ローラー対のニップ箇所における接線方向DXに沿う方向と交差する方向に媒体Pを案内する。
本実施形態では、媒体搬送装置100は、中間ローラー30と、中間ローラー30との間に媒体Pを挟持して従動回転する2つの従動ローラー31,32と、案内部材55とを備える。
中間ローラー30は、回転軸方向(回転軸30aに沿う方向。すなわち搬送経路の幅方向)において略中間のところに配置される。中間ローラー30の回転軸方向における両側には、複数のガイド68が配置されている。ガイド68は、中間ローラー30の上側に搬送された媒体Pを下方から支持して、媒体Pが案内部材55に向かって進行するように媒体Pを案内する。
中間ローラー30の周りには、上述したように、中間ローラー30よりも小径の第1従動ローラー31及び第2従動ローラー32が配置される。第1従動ローラー31は、搬送経路において給送ローラー28側に配置される。第2従動ローラー32は、搬送経路において第1従動ローラー31よりも下流側であって、中間ローラー30の回転軸30aよりも上方かつ搬送経路(中間ローラー30に沿う上側の円弧状の搬送経路)において最上位PXよりも下流側の位置に配置される。すなわち、中間ローラー30と第2従動ローラー32とは、ニップ箇所における接線方向DXが媒体Pの搬送方向下流側に向けて下り勾配となるように媒体Pを挟持する構成とされる。
案内部材55は、搬送経路において第2従動ローラー32の下流側直後に配置される。案内部材55は、第2従動ローラー32と中間ローラー30と(以下、この2つのローラーを「変更機構前ローラー対69」という。)により搬送される媒体Pの進行方向を変更する。案内部材55は、接触面72上を媒体Pが搬送方向下流側に摺動して通過するように構成される。案内部材55は、例えばフラップ71として構成される。フラップ71は、本実施形態において示されるように、媒体Pの前端を飛翔させるものとして構成され得る。
搬送ローラー対33は、上述したように、印刷部25の直前に配置され、媒体Pを挟持して回転することにより媒体Pを印刷部25に搬送する。
搬送ローラー対33は、第2従動ローラー32よりも下方であって第2従動ローラー32から所定距離だけ離れたところに配置されている。所定距離は、少なくとも、媒体Pの長さ(搬送経路に沿う縦方向の長さ)よりも短い。その理由は、媒体Pのスキューを取るためである。すなわち、スキュー取りは、媒体Pの前端が搬送ローラー対33に突き当てられた状態でかつ変更機構前ローラー対69で挟持された状態で、中間ローラー30の駆動により媒体Pが前方に押し出されることにより行われる。
印刷装置12における媒体Pの搬送経路について説明する。
印刷装置12において、給送ローラー28から印刷部25までの媒体Pの搬送経路は、上下方向に落差のある経路を含む。本実施形態では、第2従動ローラー32と搬送ローラー対33との間に上下方向に落差のある経路が設けられている。この経路は、媒体Pが飛翔する空間(以下、「飛翔空間SP」)として構成される。媒体Pが飛翔するとは、媒体Pの前端(または後端)が支持されずに空中を移動することを示す。このような飛翔により、先行の媒体Pの後部に後続の媒体Pを重ねることが可能となり、先行の媒体Pと後続の媒体Pの一部を重ねて搬送することが可能となる。
飛翔空間SPは、天井壁部56と支持部材57との間の空間として構成される。すなわち、飛翔空間SPは、天井壁部56により媒体Pが上方に移動することが規制され、支持部材57により媒体Pが下方に移動することが規制される。
天井壁部56は、次のような位置に配置される。すなわち、天井壁部56は、搬送ローラー対33のニップ箇所と変更機構前ローラー対69のニップ箇所とを結ぶ線(以下、「仮想線」という。)よりも上方であって、かつ媒体Pが仮想線から大きく上方に移動(または湾曲)することを抑制することができる位置に配置される。この構成により、天井壁部56により、スキュー取りのときに媒体Pに加えられる力の逃げが抑制される。
支持部材57は、中間ローラー30の回転軸30aよりも低い位置で媒体Pを支持する。これにより、媒体Pの上下方向における移動の落差が確保される。この落差の確保は、媒体Pの重ねを確実にするためである。また、好ましくは、支持部材57は、搬送ローラー対33よりも高い位置で媒体Pを支持する。これにより、媒体Pには、搬送ローラー対33による搬送力に加えて重力の分力(搬送方向への分力)が作用するようになるため、媒体Pが円滑に搬送されるようになる。
次に、媒体Pの搬送態様の一例を説明する。
給送ローラー28及び中間ローラー30は第1モータ631(または複数のモーター)により駆動される。搬送ローラー対33の搬送駆動ローラー33A及び排出ローラー対34の排出駆動ローラー34Aは、第2モータ632により駆動される。印刷ヘッド38は、第3モータ633により駆動される。第1モータ631、第2モータ632及び第3モータ633は制御装置600により制御される(図11参照)。
印刷が開始されると、制御装置600は、第1モータ631を駆動し、給送ローラー28(281,282)及び中間ローラー30を回転させる。なお、第2カセット22側の給送ローラー282の回転用に、第1モータ631とは別のモータが用いられ得る。給送ローラー28(281,282)及び中間ローラー30の回転により、媒体Pは、第1カセット21または第2カセット22からピックアップされて、中間ローラー30により搬送される。媒体Pの前端が第1従動ローラー31と第2従動ローラー32とを通過すると、媒体Pの前端がフラップ71に案内されてフラップ71から水平または水平に近い角度で前方に移動する。すなわち、媒体Pは、第2従動ローラー32と搬送ローラー対33との間の飛翔空間SPを飛翔する。そして、媒体Pの前端は徐々に下降し、搬送ローラー対33の上流側の地点に配置される。なお、先行の媒体Pが印刷中であるときは、先行の媒体Pの上に後続の媒体Pが重なる。その後、中間ローラー30が駆動して媒体Pが押し出されると、媒体Pは、搬送ローラー対33に挟持される。媒体Pは、スキュー取り及び頭出しが実行された後、印刷部25により印刷される。
図5を参照して、案内部材55としてのフラップ71の具体例について説明する。
フラップ71は、第2従動ローラー32の下流側の直後に配置される。好ましくは、フラップ71は、その接触面72が中間ローラー30の回転軸30aよりも上方に位置するように、配置される。そして、このフラップ71は、媒体Pが変更機構前ローラー対69に挟持された状態で、その媒体Pの前端を、変更機構前ローラー対69のニップ箇所の接線方向DXからこれに交差する方向(例えば、水平方向、または接線方向DXよりも上に向く方向)に案内する。
フラップ71は接触面72を有する。接触面72は、変更機構前ローラー対69の回転に伴い下流側に搬送される媒体Pが接触するように構成される。接触面72は、例えば、平面または曲面に構成される。更に、接触面72は滑面に構成されていることが好ましい。フラップ71の接触面72は、変更機構前ローラー対69におけるニップ箇所の接線方向DXに沿う面に交差する。また、好ましくは、フラップ71の接触面72は水平にされる。
フラップ71の長さは次のように規定される。すなわち、先行の媒体Pと後続の媒体Pとを重ねることを可能にすることを目的として、フラップ71の前端から搬送ローラー対33までの距離は所定距離以上に設定される。また、フラップ71は、上述したように、媒体Pを、変更機構前ローラー対69のニップ箇所における接線方向DXよりも上方に向く方向に案内する機能を有する。このため、フラップ71は、媒体Pの前端を当該方向に向け得るだけの長さを有するものとして構成される。これらの要件が満たされるように、フラップ71の長さ(搬送経路に沿った長さ)が設定される。
また、フラップ71は、変更機構前ローラー対69のニップ箇所に対向するところに、媒体Pが接触しない非接触部73が設けられている。非接触部73は、例えば、フラップ71を貫通する貫通孔(図5参照)として構成されたり、凹部として構成されたりする。非接触部73の幅長(回転軸30aに沿う方向の長さ)は、例えば、変更機構前ローラー対69のニップ箇所の幅長よりも長い。また、非接触部73は、フラップ71において搬送経路に沿ってフラップ71の前端まで延びている。
この非接触部73の作用を、非接触部73が設けられていない例(図7参照)と比較して説明する。
媒体Pは、変更機構前ローラー対69の回転により前方に押し出される。媒体Pは、その前端がフラップ71に接触することで曲げられて、その進行方向が変えられる。図7に示されるように、非接触部73が設けられていない場合、次のような事象が生じる。すなわち、媒体Pの前端において変更機構前ローラー対69で挟持されていた部分(以下、「挟持対応部PPA」)がフラップ71に接触すると(図7の2点鎖線LX参照)、挟持対応部PPAとフラップ71との摩擦により挟持対応部PPAには進行方向とは反対方向の力が作用する。一方、媒体Pにおいて変更機構前ローラー対69で挟持されている部分(以下、「挟持部PPB」)には、中間ローラー30の回転力に基づく推進力が作用する。したがって、挟持部PPBと挟持対応部PPAとの間には互いに反対方向となる2つの力が作用するようになる。このようなことから、媒体Pの前端の粗さ等により、媒体Pの前端とフラップ71との摩擦が大きくなると、媒体Pが円滑に搬送されなくなる。
この点、本実施形態では、フラップ71には、変更機構前ローラー対69のニップ箇所に対向するところに非接触部73が設けられている。このため、挟持部PPBと挟持対応部PPAとの間の部分に互いに反対方向となる2つの力が作用することがないため、媒体Pが円滑に搬送される。
また、フラップ71は、媒体Pを、媒体Pの搬送経路に垂直かつ上下方向に垂直な方向(すなわち媒体Pの幅方向)において媒体Pは湾曲させるものとして構成され得る。例えば、媒体Pを湾曲させる目的で、フラップ71にリブが設けられる。媒体Pの湾曲により、媒体Pが搬送経路の前方に向かって下方に垂れることが抑制される。また、媒体Pを円滑に搬送するために、リブの頂部は、媒体Pの搬送方向下流側から見た場合の断面形状が上に凸の円弧状をなしていることが好ましい。
図6を参照して、フラップ71に設けられるリブ74,75の構成例を説明する。
フラップ71には、少なくとも一対の第1リブ74,74が設けられる。一対の第1リブ74,74は、非接触部73の両側に配置される。さらに、好ましくは、フラップ71には、一対の第1リブ74,74を挟むように配置される一対の第2リブ75,75が設けられる。
第2従動ローラー32の一方側(例えば、右側)に配置される第1リブ74と第2リブ75との間の間隔距離LBは、一対の第1リブ74,74との間の間隔距離LAよりも大きい。同様に、第2従動ローラー32の他方側(例えば、左側)に配置される第1リブ74と第2リブ75との間の間隔距離LCは、一対の第1リブ74,74との間の間隔距離LAよりも大きい。
このリブ構成によれば次の作用がある。すなわち、変更機構前ローラー対69から送り出される媒体Pは、一対の第1リブ74,74と一対の第2リブ75,75とにより支持される。このとき、これらのリブ74,75が支点となって媒体Pが撓むようになる。具体的には、第1リブ74,74間の間隔距離LAは、第1リブ74と第2リブ75との間の間隔距離LB,LCよりも小さいことから、第1リブ74を境として、外側部分77が内側部分76よりも長くなって外側部分77が下方に沈み、内側部分76が外側部分77よりも短くなって内側部分76が上がる。このため、媒体Pにおいて一対の第1リブ74,74間の部分は、上方に膨出するように湾曲し、第1リブ74と第2リブ75との間の部分は下方に沈むように湾曲する。以上のように上記構成のリブ配置によれば、媒体Pにおいて第1リブ74,74間に配置される部分を上方に膨出させる。
図7〜図10を参照して、上記構成の媒体搬送装置100を通過する媒体Pの動作を説明する。
図7及び図8は、比較例に係る媒体搬送装置1106を示す図である。図7に示される2点鎖線は、2点鎖線の位置に媒体Pの前端が到達したときの前端の形状を示す。
図7に示されるフラップ1121は、本実施形態に示される非接触部73はなく、かつリブを有しない。このようなフラップ1121を有する搬送経路では、次のように媒体Pが移動する。媒体Pは、変更機構前ローラー対69の回転により前方に押し出される。媒体Pは、その前端がフラップ1121に接触することで曲げられて、その進行方向が変えられる。媒体Pの前端が、フラップ1121の前端を通過すると、図8に示されるように、自重により下方に移動する。すなわち、媒体Pの前端は、フラップ1121の通過の直後から下降する。更に、媒体Pが搬送されると、媒体Pの前部は垂れ下がって湾曲し、媒体Pの前端が支持部材57に接触すると、フラップ1121直後における湾曲とは反対方向に湾曲する。このように媒体PはS字状に湾曲する。このようにS字状に湾曲すると、媒体Pに折れが生じるおそれがある。なお、先行の媒体Pと後続の媒体Pとを重ねて搬送する場合では、先行の媒体Pの後端よりも後方に後続の媒体Pの前端が位置するようになるため、先行の媒体Pと後続の媒体Pとの重なりがないという問題が生じ得る。
図9及び図10は、本実施形態に係るフラップ71及びその周辺の構造を示す図である。図9に示される2点鎖線は、2点鎖線の位置に媒体Pの前端が到達したときの前端の形状を示す。
本実施形態に係る搬送経路では、次のように媒体Pが移動する。媒体Pは、変更機構前ローラー対69の回転により前方に押し出される。挟持対応部PPA(変更機構前ローラー対69で挟持されていた部分)は、非接触部73に進入し、挟持対応部PPAの両側部分は第1リブ74に接触する。このとき、変更機構前ローラー対69の推進力により、挟持対応部PPAは強い力で押し出されているため、挟持対応部PPAは、第1リブ74の上面よりも下方に位置するようになる(図9の2点鎖線LY参照)。そして、更に、媒体Pが前進して、その前端がフラップ71の前端に近づくと、媒体Pの自重により第1リブ74を支点として、第1リブ74よりも外側部分77が下方に、第1リブ74よりも内側部分76が上方に移動する。すなわち、挟持対応部PPAが、第1リブ74の上面よりも上方に位置するようになる(図9の2点鎖線LZ参照)。このとき、第1リブ74よりも外側部分77がフラップ71の接触面72に接触する。第1リブ74よりも外側部分77がフラップ71の接触面72に接触すると、変更機構前ローラー対69による押す力に基づいて、媒体Pには、変更機構前ローラー対69のニップ箇所における接線方向DXと交差する方向(例えば、水平方向)に向かう力が作用するようになり、フラップ71に沿う力が媒体Pに付与される。また、媒体Pは、媒体幅方向に湾曲する形状に構成され、搬送方向における剛性が高まる結果、媒体Pの前端は上下方向における高さ位置を維持した状態で、フラップ71から飛び出すようになる。このようにして、媒体Pの前端は比較例に比べてより遠い位置まで飛翔するようになる。
このような作用によれば、このような飛翔空間SPを有する搬送構造において、媒体Pの折れが発生し難くなる。また、先行の媒体Pと後続の媒体Pとを重ねて搬送する場合では、先行の媒体Pの後部に後続の媒体Pの前部が重ならないといった状況が発生し難くなる。
次に、印刷装置12における、各ローラー及び印刷ヘッド38の駆動機構について説明する。
印刷装置12は、駆動機構として3つのモータ(以下、「第1モータ631」〜「第3モータ633」という。)を有する(図11参照)。
給送ローラー28及び中間ローラー30は、第1モータ631により駆動される。すなわち、給送ローラー28と中間ローラー30とは連動する。給送ローラー28と中間ローラー30との回転比は所定値に設定される。
搬送ローラー対33の搬送駆動ローラー33A及び排出ローラー対34の排出駆動ローラー34Aは、第2モータ632により駆動される。印刷ヘッド38は、第3モータ633により駆動される。第1モータ631、第2モータ632及び第3モータ633は、制御装置600により制御される。
図11を参照して、制御装置600について説明する。
制御装置600は、3個のセンサー(以下、「第1センサー634」〜「第3センサー636」という。)の出力信号に基づいて第1モータ631〜第3モータ633の駆動を制御し、媒体Pの搬送位置を制御する。例えば、制御装置600は、第1モータ631、第2モータ632及び第3モータ633の駆動制御により、先行する媒体Pと後続の媒体Pとを重ね合わせる。
第1センサー634〜第3センサー636は媒体Pの存否を検出する。
第1センサー634は、搬送経路において搬送ローラー対33の直前(上流側)に配置される。第2センサー635は、搬送経路において搬送ローラー対33と第2従動ローラー32との間であって天井壁部56よりも下方に配置される。第3センサー636は、搬送経路において第2従動ローラー32の直前(上流側)に配置される。
例えば、第1センサー634〜第3センサー636は、媒体Pの接触により回転するレバーを有するスイッチとして構成される。このような第1センサー634〜第3センサー636は、媒体Pを検出するとき「ON」状態になり、媒体Pを検出しないときは「OFF」状態になる。制御装置600は、第1センサー634〜第3センサー636が「OFF」から「ON」に切り替わることに基づいて、媒体Pの前端がセンサー付近を通過したと判定する。制御装置600は、第1センサー634〜第3センサー636が「ON」から「OFF」に切り替わることに基づいて、媒体Pの後端がセンサー付近を通過したと判定する。
第1センサー634は、上述の揺動部材58(レバー)を有するスイッチとして構成される。すなわち、揺動部材58は、上述したように、媒体Pの先端がフラップ部582に対して上流側から下流側へ向けて触れると、揺動部材58のフラップ部582が搬送方向Yの下流側に向けて回動する。第1センサー634は、揺動部材58の回動により「ON」状態になるように構成され、「ON」状態のとき制御装置600に所定信号を出力するように構成される。
図12A〜図12E及び図13を参照して、印刷装置12の動作について説明する。なお、ここでは、先行する媒体Pに後続する媒体Pを重ねる重ね搬送動作(重ね連送)について説明する。以下の説明において、先行する媒体Pを「先行媒体PA」といい、先行の媒体Pに後続する媒体Pを「後続媒体PB」という。
印刷が開始されると、制御装置600は、第1モータ631を低速(以下、「第1速度」という。)で駆動し、給送ローラー28(281,282)及び中間ローラー30を回転させる。なお、第2カセット22側の給送ローラー282の回転用に、第1モータ631とは別のモータが用いられ得る。給送ローラー28(281,282)及び中間ローラー30の回転により、先行媒体PAは、第1カセット21(または第2カセット22)からピックアップされて、中間ローラー30により搬送される。先行媒体PAの前端が第1従動ローラー31と第2従動ローラー32とを通過して第1センサー634に到達すると、第1センサー634が先行媒体PAの前端を検出する(すなわち「OFF」から「ON」への切り替わり)。第1センサー634が先行媒体PAの前端を検出すると、この検出に基づいて制御装置600は、第1モータ631を、この検出タイミングから所定量の回転後に停止させる。
次に、図12Aに示されるように、先行媒体PAのスキュー取りが実行される。具体的には、制御装置600は、第2モータ632を停止し、第1モータ631を駆動する。すなわち、搬送ローラー対33に先行媒体PAが突き付けられた状態で先行媒体PAが中間ローラー30の回転駆動により前方に押し出される。
次に、所定時間の経過後、先行媒体PAの頭出しが実行される。具体的には、制御装置600は、第1モータ631及び第2モータ632を駆動し、先行媒体PAの前端が印刷開始位置に到達するまで、先行媒体PAを搬送する。先行媒体PAが印刷開始位置に到達すると、制御装置600は、第3モータ633を駆動し、印刷部25により印刷を開始する。
その後、印刷進行に応じて、制御装置600は、搬送ローラー対33、排出ローラー対34及び中間ローラー30を間欠駆動させて、先行媒体PAを間欠的に搬送する。なお、搬送が停止している期間に印刷部25が往復移動して印刷が実行される一通りの動作を「1パス」といい、1つの媒体Pにおいて最後のパスを「ラストパス」という。
先行媒体PAの印刷が進むに従って、媒体Pは間欠的に前進する。先行媒体PAの後端が給送ローラー28を通過すると、後続媒体PBが給送ローラー28によりピックアップされる。このとき、給送ローラー28の回転速度は、搬送ローラー対33及び排出ローラー対34の回転速度よりも遅くなるように制御される。これにより、先行媒体PAの後端と後続媒体PBの前端とが離される。
図12Bに示されるように、先行媒体PAの後端が第3センサー636を通過し、第3センサー636が先行媒体PAの後端を検出するとき(すなわち「ON」から「OFF」への切り替わり。図13の時刻t1参照)、この検出に基づいて、第1モータ631の回転速度が上げられる。第1モータ631は所定の高速度(第1速度よりも速い速度)で駆動する。第1モータ631の高速駆動により、中間ローラー30が高速回転して、後続媒体PBの移動が速くなり、後続媒体PBが先行媒体PAに近づく。
先行媒体PAの後端が第3センサー636を通過した後、先行媒体PAの後端は第2従動ローラー32及びフラップ71を通過する。そうすると、先行媒体PAの後端が支持されなくなるため、先行媒体PAの後部は下降する。一方、後続媒体PBは、先行媒体PAの後部の下降前後の期間にわたって、後続媒体PBが先行媒体PAに近づくように高速で搬送されている。このため、後続媒体PBの前端が第2従動ローラー32及びフラップ71を通過すると、高速搬送による勢いが加わって、後続媒体PBの前端は、先行媒体PAの後部の上方を通過する(図12C参照)。このようにして、先行媒体PAの後部と後続媒体PBの前部が重なる。
図12Cに示されるように、先行媒体PAの後部の上方を通過するとき、後続媒体PBの前端は第2センサー635の付近を通過する。制御装置600は、第2センサー635が後続媒体PBの前端を検出することに基づいて(図13の時刻t2参照)、先行媒体PAと後続媒体PBとの重なりが成功したか否かを判定する。
制御装置600は、第3センサー636が先行媒体PAの後端を検出した時点から所定時間後に、第1モータ631の高速駆動を停止する。
これにより、図12Dに示されるように、先行媒体PAの印刷のラストパスの直前のパスが終了するまで、後続媒体PBの搬送が停止される。
図12Eに示されるように、先行媒体PAの印刷のラストパスの直前のパスが終了したとき(図13の時刻t3参照)、制御装置600は、第1モータ631及び第2モータ632を共に駆動する。これにより、搬送ローラー対33により先行媒体PAが搬送されるとともに、搬送ローラー対33及び中間ローラー30により後続媒体PBが搬送される。その後、第1モータ631及び第2モータ632の回転開始から所定時間TA経過後(すなわち時刻t4)に、制御装置600は、第2モータ632だけを停止させる。すなわち、制御装置600は、停止状態の搬送ローラー対33に後続媒体PBの前端を突き当てた状態で、中間ローラー30を駆動して後続媒体PBを前方に押し出す(図13の時刻t4以降の所定時間)。これにより、後続媒体PBのスキュー取りが実行される。スキュー取りの実行後、後続媒体PBの頭出しが実行される。なお、制御上、図12Eに示される後続媒体PBは先行媒体PAとして取り扱われ、頭出し以降の動作が繰り返される。
次に、制御装置600が実行する、重なりの判定について説明する。
先行媒体PAと後続媒体PBとを重ねる上述の搬送処理において、重なりが生じないことも想定され得る。例えば、後続媒体PBの前端がフラップ71を通過するとき、後続媒体PBの前部が垂れることも想定される。この場合、後続媒体PBの前方への搬送に伴い後続媒体PBの前端が先行媒体PAの後端に当接すると、後続媒体PBが先行媒体PAに重ならない。このように先行媒体PAと後続媒体PBとが重ならないことを検出する目的で、上述の第2センサー635が設けられることが好ましい。
図12Cに示されるように、後続媒体PBの前端が、所定高さ位置(支持部材57から上方に所定距離だけ高い所定高さ位置)または所定高さ位置よりも高いところを通過するとき、後続媒体PBの前端が第2センサー635により検出される。一方、後続媒体PBの前端が所定高さ位置よりも低いところ通過するときは、後続媒体PBの前端が第2センサー635により検出されない。制御装置600は、所定のタイミングで、第2センサー635が後続媒体PBの前端を検出することに基づいて(すなわち、「OFF」から「ON」への切り替わり。図13の時刻t2。)、先行媒体PAと後続媒体PBとが重なっていると判定する。また、制御装置600は、所定のタイミングで第2センサー635が後続媒体PBの前端を検出しないことに基づいて(すなわち、「OFF」状態の維持。)、先行媒体PAと後続媒体PBとが重なっていないと判定する。なお、ここで、所定のタイミングとは、後続媒体PBの前端が第3センサー636を通過した時点から所定時間経過後のタイミングを示す。
本実施形態の媒体搬送装置100によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)媒体搬送装置100は、第2従動ローラー32の下流側に配置される案内部材55を備える。案内部材55は、フラップ71として構成される。フラップ71は、媒体Pを挟持した状態で変更機構前ローラー対69(両ローラー30,32)が回転することによりニップ箇所よりも下流側に搬送される媒体Pを、ニップ箇所における接線方向DXと交差する方向に案内する。そして、フラップ71において、中間ローラー30または第2従動ローラー32の回転軸に沿う方向においてニップ箇所に対向する箇所には、変更機構前ローラー対69(両ローラー30,32)の回転に伴い搬送される媒体Pが接触しない非接触部73が設けられている。
通常、媒体Pが中間ローラー30と第2従動ローラー32とに挟持された状態で両ローラーが回転することにより搬送されるとき、媒体Pにおいて両ローラー30,32(変更機構前ローラー対69)に挟持されていた部分(挟持対応部)には、搬送方向下流側への推進力が作用する。このため、媒体Pにおいて両ローラー30,32に挟持されていた部分よりも前端側の部分が案内部材55に接触している状態において、その前端側の部分と案内部材55との間の摩擦力が大きくなるときには、媒体Pの円滑な搬送が妨げられるようになる。
この点、上記構成によれば、各ローラー30,32の回転軸に沿う方向において案内部材55におけるニップ箇所に対向する箇所には媒体Pが接触しない非接触部73がある。このため、媒体Pにおいて両ローラー30,32に挟持されていた部分(挟持対応部)は案内部材に接触しないようになり、媒体Pの円滑な搬送が妨げられるといった状況が発生し難くなる。
(2)案内部材55は、変更機構前ローラー対69の回転に伴い下流側に搬送される媒体Pが接触する接触面72と、凹部または貫通孔で構成された非接触部73とを有し、接触面72上を媒体Pが搬送方向下流側に摺動して通過するフラップ71として構成され得る。そして、接触面72は、ニップ箇所における接線方向DXに沿う面に対して交差するように構成されることが好ましい。
この構成によれば、媒体Pが接触面72に摺動状態で接触するフラップ71には、媒体Pが接触する接触面72ばかりでなく、そのときに媒体Pが接触しない非接触部73も設けられている。そのため、搬送される媒体Pにおいて変更機構前ローラー対69に挟持されていた部分(挟持対応部)は、フラップ71における非接触部73が設けられた位置を通過し、接触面72には接触しないことから、媒体Pが円滑に搬送される。
(3)フラップ71において、中間ローラー30の回転軸30aに沿う方向における非接触部73の両側には、搬送経路に沿って延びる第1リブ74が設けられている。
この構成によれば、媒体Pにおいて変更機構前ローラー対69のニップ箇所から非接触部73に進む部分(すなわち挟持対応部PPA)の両側が第1リブ74により持ち上げられるようになって媒体Pが湾曲し、搬送方向における媒体Pの剛性(曲がり難さ)が高くなる。
(4)さらに、フラップ71は、第1リブ74と、第1リブ74よりも回転軸30aに沿う方向における外側に配置される一対の第2リブ75とを備える。そして、第1リブ74と第2リブ75との間の間隔距離LB,LCは、一対の第1リブ74間の間隔距離LAよりも長い。この構成によれば、媒体Pは、回転軸方向(回転軸30aの軸方向すなわち搬送経路の幅方向)において、第1リブ74を支点として、第1リブ74よりも外側部分77が垂れ下がり、第1リブ74よりも内側部分76が上がる。これにより、媒体Pは、回転軸30aに沿う方向において複数箇所で湾曲し、搬送方向における剛性が高まる。
(5)第1リブ74及び第2リブ75の頂部は、媒体Pの搬送方向下流側から見た場合の断面形状が上に凸の円弧状をなしていることが好ましい。この構成によれば、搬送方向下流側に搬送される媒体Pは第1リブ74及び第2リブ75の頂部に摺動した場合の搬送負荷が、これらリブ74,75の頂部が媒体Pの一面と面接触可能なフラットな形状である場合よりも低減される。
(6)フラップ71の接触面72は滑面に構成されていることが好ましい。この構成によれば、搬送方向下流側に搬送される媒体Pは接触面72に摺動状態で接触した場合の搬送負荷が、接触面72が非滑面である場合よりも低減される。
(7)上記構成の媒体搬送装置100と印刷部25とを有する印刷装置12によれば、上記媒体搬送装置100の場合と同様の作用効果を享受できる。すなわち、このような印刷装置12によれば、ローラー対により媒体Pを挟持した状態で媒体Pをニップ箇所における接線方向DXと交差する方向に案内する搬送経路において、媒体Pの搬送を円滑にすることができる。
<変形例>
・図14を参照して、上述の案内部材55の代替例を説明する。媒体搬送装置1206は、案内部材1220以外の構成について、実施形態と同じ構造を有する。案内部材1220以外の構成については実施形態と同じ符号を付す。
案内部材1220は、中間ローラー30の回転軸方向に沿って配列される複数のポール1221,1222により構成される。
これらのポール1221,1222は、連結部材1224で連結されている。ポール1221,1222は、媒体Pが接触する接触面1221a,1222aを有する。ポール1221,1222の接触面1221a,1222aは、変更機構前ローラー対69のニップ箇所における接線方向DXに沿う面に交差する。
複数のポールのうちの一対のポール(以下、「第1ポール1221」という。)は、変更機構前ローラー対69の前方領域を挟むように配置される。すなわち、一対の第1ポール1221の間の領域は、媒体Pが接触しない非接触部1223として構成される。複数のポールのうち一対の第1ポール1221以外のポール(以下、「第2ポール1222」という。)は、任意の間隔で配置される。一対の第1ポール1221の間の間隔距離は、第1ポール1221と第2ポール1222(第1ポール1221の外側にある第2ポール1222のうち最初の1つめの第2ポール1222)との間の間隔距離よりも小さい。
このような案内部材1220では、媒体Pは、複数のポール1221,1222によって支持されて、変更機構前ローラー対69のニップ箇所における接線方向DXと交差する方向に案内される。そして、案内部材1220には、変更機構前ローラー対69のニップ箇所に対向する箇所に非接触部1223が設けられているため、媒体Pにおいて変更機構前ローラー対69で挟持されていた部分(挟持対応部PPA)は、案内部材1220に接触しなくなる。このようにして、媒体Pの円滑な搬送が妨げられるといった状況が発生し難くなる。
<その他の実施形態>
図15を参照して、媒体搬送装置の他の例を説明する。
媒体搬送装置1306は、上記実施形態と同様に、ローラー対の接線方向に沿う方向と交差する方向に媒体Pを案内する。図15の矢印DPは媒体Pの搬送方向を示す。以下、具体的に説明する。
媒体搬送装置1306は、駆動ローラー1310と、駆動ローラー1310に従動する従動ローラー1311と、媒体Pを案内する案内部材1320とを備える。駆動ローラー1310と従動ローラー1311とは、駆動ローラー1310と従動ローラー1311との接線方向に沿って進入する媒体Pを搬送経路の下流側に搬送する。
案内部材1320は、駆動ローラー1310と従動ローラー1311とにより構成されるローラー対1312の下流側直後に配置され、ローラー対1312により搬送される媒体Pの進行方向を変更する。
案内部材1320は、複数の案内構成部材1321が間隔をあけて一列に配置される配列体として構成される。案内構成部材1321は、媒体Pを沿わせて媒体Pを湾曲させる湾曲面1321aを有する。案内構成部材1321は、ローラー対1312のニップ箇所に対向する領域を空間としてあけて配列される。すなわち、媒体Pが接触しない非接触部1323は、案内構成部材1321の間の空間として構成される。
媒体Pは次のように搬送される。
媒体Pがローラー対1312により搬送されて、媒体Pの前端が、ローラー対1312よりも下流側に移動すると、媒体Pは、案内部材1320に接触して、ローラー対1312のニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内される。案内部材1320には、ローラー対1312のニップ箇所に対向する箇所に非接触部1223が設けられているため、媒体Pが案内部材1320により案内されるとき、媒体Pにおいて変更機構前ローラー対69で挟持されていた部分(挟持対応部PPA)が、案内部材1320に接触しない。このため、媒体Pの円滑な搬送が妨げられるといった状況が発生し難くなる。
なお、案内部材1320は次のように変更され得る。案内部材1320は、複数の案内構成部材1321により構成されるのではなく、非接触部1323としての凹部または貫通孔を有するものとして構成され得る。例えば、図15に示される例では、案内部材1320は、非接触部1323としての凹部または貫通孔が構成されるように、案内構成部材1321が連結部材1340(図15の二点鎖線参照)で連結され得る。
12…印刷装置、25…印刷部、100,1106,1206,1306…媒体搬送装置、30…中間ローラー(駆動ローラー)、30a…回転軸、31…第1従動ローラー、32…第2従動ローラー、57…支持部材、68…ガイド、69…変更機構前ローラー対、55,1220,1320…案内部材、71,1121…フラップ、
72,1221a,1222a…接触面、73,1223,1323…非接触部、74…第1リブ、75…第2リブ,1221…第1ポール、1222…第2ポール、1310…駆動ローラー、1311…従動ローラー、1321…案内構成部材、1321a…湾曲面。

Claims (7)

  1. 駆動ローラーと、前記駆動ローラーとともに媒体を挟持する従動ローラーと、前記媒体の搬送経路において前記両ローラーによる前記媒体のニップ箇所よりも下流側に配置される案内部材とを備え、
    前記案内部材は、前記媒体を挟持した状態で前記両ローラーが回転することにより前記ニップ箇所よりも下流側に搬送される前記媒体を、前記ニップ箇所における接線方向と交差する方向に案内するものであり、前記各ローラーの回転軸に沿う方向において前記ニップ箇所と対向する箇所には、前記両ローラーの回転に伴い搬送される前記媒体が接触しない非接触部を有する
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  2. 前記駆動ローラーと前記従動ローラーとは、前記ニップ箇所における接線方向が前記媒体の搬送方向下流側に向けて下り勾配となるように前記媒体を挟持する構成とされ、
    前記案内部材は、前記両ローラーの回転に伴い下流側に搬送される前記媒体が接触する接触面と、凹部または貫通孔で構成された前記非接触部とを有し、前記接触面上を前記媒体が搬送方向下流側に摺動して通過するフラップとして構成され、
    前記接触面は、前記ニップ箇所における接線方向に沿う面に対して交差するように構成される
    請求項1に記載の媒体搬送装置。
  3. 前記案内部材において前記駆動ローラーの回転軸に沿う方向における前記非接触部の両側には、前記搬送経路に沿って延びるリブが設けられている
    請求項2に記載の媒体搬送装置。
  4. 前記案内部材は、前記リブとしての一対の第1リブと、前記一対の第1リブよりも前記回転軸に沿う方向における外側に配置される一対の第2リブとを備え、
    前記第1リブと前記第2リブとの間の間隔距離は、前記一対の第1リブ間の間隔距離よりも長い
    請求項3に記載の媒体搬送装置。
  5. 前記リブの頂部は、前記媒体の搬送方向下流側から見た場合の断面形状が上に凸の円弧状をなしている
    請求項3または請求項4に記載の媒体搬送装置。
  6. 前記接触面は滑面に構成されている
    請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の媒体搬送装置と、
    前記媒体搬送装置により搬送される前記媒体に対して印刷を行う印刷部と
    を有する印刷装置。
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