JP2017178826A - フェノールの製造方法 - Google Patents

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佳典 脇田
Yoshinori Wakita
佳典 脇田
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Abstract

【課題】 フェノール製造時の蒸留時のHE発生量を減少させる。
【解決手段】 クメンを酸化させ、クメンヒドロペルオキシドを製造し、該クメンヒドロペルオキシドを酸分解することにより、少なくともフェノールとアセトンを含む混合物を得て、この混合物を蒸留してフェノールを得るフェノールの製造方法であって、蒸留前の混合物を、10倍量のメタノールで希釈して測定したpHが4.3以上であることを特徴と
するフェノールの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、クメン法によるフェノールの製造方法に関し、特に好ましくは、複製する重質分が少ない、フェノールの製造方法に関する。
クメン法は、フェノールを製造する際に、一般的な方法である。例えば最近の公開特許では特許文献1に記載されている、その具体的な手順は、クメンを酸化し、クメンヒドロペルオキシド(CHP)を製造し、これを硫酸存在下に置くことにより、分解反応が起こり、フェノールとアセトンが製造される。また副生物としてαメチルスチレン等が得られ、これも回収されている。フェノールには他に、アセトンを同時に製造したくない場合に用いられる二段酸化法や二窒化酸素を用いる製法、あるいは特許文献2に記載されている
ようにモノクロルベンゼンを用いる方法等もあるが、工業的にはその大半がクメン法により製造されている。
特開2015−178476公報 特開2010−275208公報
しかしながら、クメン法で製造されたフェノールなどには、フェノール、アセトン、αメチルスチレン以外のもの、例えばフェノールのダイマーなどの重質分(以下ヘビーエン
ドの意味で「HE」という。)が副生し、生産効率が低下することがあった。特にクメン
ヒドロペルオキシドに硫酸を加え分解する工程の最適化を繰り返し、得られた組成から反応の最適点を求めても、実プラントで成分に分離すると、なぜかHEが多く存在していることがあった。フェノールの生産量は数万t単位であるため、このHEの増加の割合はわずかであっても、絶対量としては無視しえない量になるため、このHE発生の抑制は重要な課題である。
そこで本発明者は、鋭意検討の結果、かかるHEが、フェノールが反応により生成する工程ではなく、その後の蒸留塔での分離の際に発生していることを見出し、さらにこの発生を防ぐ条件として、通常油等が混合しているため、正確に測定できない、蒸留塔に供給されるフェノール、アセトン、αメチルスチレン、その他副生物の混合物のpHを特定の方法で測定し、この値を臨界点以上とすることにより、HEの増加を防ぐことが出来ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、以下に存する。
(1)クメンを酸化させ、クメンヒドロペルオキシドを製造し、該クメンヒドロペルオキシドを酸分解することにより、少なくともフェノールとアセトンを含む混合物を得て、この混合物を蒸留してフェノールを得るフェノールの製造方法であって、蒸留前の混合物を、10倍量のメタノールで希釈して測定したpHが4.3以上であることを特徴とするフェ
ノールの製造方法、
(2)蒸留前の混合物中に10wt%以上のαメチルスチレンを含有する(1)記載の製
造方法、
(3)蒸留前の混合物に窒素を含まないアルカリでpH調整をする(1)又は(2)に記
載の製造方法。
本発明により、重質分の含有量が少なく、安定した生産が可能となるフェノールの製造方法を提供することができる。
図1は、実施例、比較例において、クメン法により得られたフェノール、アセトン、αメチルスチレンの混合物のpHを変えて蒸留塔に供給した場合の蒸留塔下から出てくるHEの量の変化を図にしたものである。 図2は、本発明の実施例で用いた蒸留装置の説明図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
本発明はクメン法に基づくフェノールの製造方法である。その手順を順に説明する。
(クメンの酸化)
クメンの酸化に基いられるクメンは、通常、蒸留により99.5重量%以上に生成され
たものを使用することが好ましい。これに、酸化して得られたCHPの濃縮工程から回収されたクメンや、フェノール合成後のフェノール、アセトン等の混合物から蒸留塔で分離されたαメチルスチレンを水素化してクメンにしたものなどを混合してもかまわない。
このクメンを、酸化反応させる。酸化は90℃以上130℃以下で、常圧型1Mpaの雰囲気下、空気を吹き込み事により行われる。このクメンの酸化は通常2から5つの反応槽を直列につなぐ多段式にすることが、反応速度やCHP選択率を最適化するうえで好ましい。尚、αメチルスチレンを目的物の一つとする場合には、この酸化反応時に、ジメチルベンジルアルコールが所望量発生するようにそのフ゜ラントに適した条件を選べばよい。
(CHP濃縮)
上述のクメンの酸化反応により得られるのは、通常CHPを15~20wt%含んでい
るクメン溶液になる。ここからCHPを濃縮し、65wt%以上に濃縮する。より好ましくは80%以上、最も好ましくは80wt%以上90wt%以下である。CHPは、温度
が高い状態や、触媒の存在下では激しく開裂反応を起こすため、安全の面から90wt%
以下であることが好ましい。濃縮する方法は特に限定されないが、減圧により濃縮することが好ましい。又濃縮することにより、酸化反応時に吹き込んだ空気などを脱ガスすることもできる。濃縮したCHPは、アセトンにより希釈され、次の開裂工程に進む。
(CHPの酸分解)
上述の濃縮工程後、触媒をもちいてCHPの酸分解を行う。具体的にはCHPの開裂反応を起し、フェノール、アセトン、そして前述のジメチルベンジルアルコールに起因するαメチルスチレンその他の副生物の混合物を得る。ここで用いられる触媒は酸触媒が好ましく、最も好ましくは硫酸である。
反応温度は通常60℃以上90℃以下で行われる。しかし、開裂反応は激烈であり、反応時の発熱が激しいため、除熱を行う。CHPはほぼ100%開裂してフェノールとアセトンになるが、それにフェノールのダイマーやクミルフェノール等の重質油分(HE)の混合物となって得られる。
(中和水洗工程)
こうして酸分解工程で得られたフェノールとアセトンとαメチルスチレン、HEの混合物は、好ましくは中和水洗工程を通してから蒸留により、各成分に分離することが好ましい。
中和水洗工程では、まず酸分解時に使用した硫酸等の酸触媒を中和する。中和の際にはアルカリ水溶液を使用することが好ましい。アルカリ水溶液による中和に用いる中和剤としては、アンモニアの水溶液や、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する塩基性化合物の水溶液や陰イオン交換樹脂などを用いることができる。これらのうち、ナトリウムフェノラート、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウムを含有する塩基性化合物の水溶液が好適に用いられる。中和は、ラインミキサー等の混合装置と静置分離槽のような油水分離装置を使いて行うことができる。CHPの酸分解は前述のように硫酸を用いて行うことが好ましく、酸分解で用いた硫酸は、中和により芒硝(硫酸ナトリウムの10水和物)に変換される。そして、油水分離装置を使いて、水相と有機相とに分離され、水相を除去することにより有機相が得られる。ただし、単にアルカリにより中和した場合には、フェノールの一部がアルカリ金属との塩(ナトリウムフェネート等)となり、水相側にフェノールが流出してしまい、フェノールの収率が下がってしまうため、実際には水相に更に硫酸を加えてフェノールが有機相側に残るようにすることが一般的である。更に好ましくは、有機相には、上述の通り芒硝などの中和塩が含まれるため、これを除去するために水洗を行う。水洗は、中和に用いた装置と同様にラインミキサー等の混合装置と静置分離槽のような油水分離装置を用いて行っても良いし、コアレッサー等の抽出分離装置を用いて行っても良い。
本発明においては、蒸留前の混合物のpHを、大きくすることによって、蒸留時のHEの発生を防いでいる。中和水洗工程では、先に述べたようにフェノールが水側に流出しないように、硫酸等を加えて酸性にして油水分離している。よってこのまま蒸留を行うと、pHは小さい状態で蒸留され、HEが増えてしまう。そこで中和洗浄後、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を添加したり、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、あるいは両者を併用たりして、pHを調整する。
(混合物からのフェノールとアセトンの分離と重質分の除去)
酸分解工程で得られた、あるいはより好ましくは中和水洗工程後の、有機相側のフェノールとアセトンとαメチルスチレンとHEを含む混合物は、蒸留によりそれぞれの成分に分離される。本発明者らは、この蒸留工程でHEが増えていることがあることに気づき、その現象が起こるのはどのような場合であるかを検討した結果、この蒸留前と後で、HEの絶対量が増加していることを見つけた。つまり蒸留に際し、混合物の状態によっては、HEが増加してしまうことが判った。本発明者らはその原因について検討したところ、混合物のpHによって、HEが蒸留中に増加するか否かが判れることが判った。尚、この混合物は、中和水洗工程を行えば有機相であるし、そうでなくても通常フェノールやHEのようなものが混合しているため、水溶液のようにpHを測定することが出来ない。本発明では、メタノールを用い、蒸留前の混合物を10倍に希釈し、それによりpHを測定する。
本発明は蒸留する直前、つまり中和水洗後、最初に蒸留される前、すなわち工業的な生産であれば中和水洗後の最初に入る蒸留塔に入る直前での混合物のpHを4.3以上、より
好ましくは4.5以上にすることにより、蒸留でのHEの増加が生じないことを見出したも
のである。
混合物のpHは、上述の中和水洗工程で制御することが出来る。
蒸留に関しては、例えば前述の特許文献1である特開2015−178476号に記載
の条件など、公知の方法が使用できる。
蒸留の回数や、何回目の蒸留でどの成分を取り出すかに関しては、任意に設定すればよいが、通常は最初の蒸留で、軽質分、特にアセトンをターゲットに水や未反応のクメンなどを留去させ、2回目の蒸留でフェノールやαメチルスチレンを留去させ、残ったものをヘビーエンド(HE)とし、留去分に3回目の蒸留を行ってフェノールとαメチルスチレンを分離しても良いし、あるいは最初の蒸留で、アセトンとαメチルスチレンをターゲットに水や未反応のクメンなどを留去させ、2回目の蒸留でフェノールとHEを分離する。そしてもちろんそれとは別に最初の蒸留で得られたアセトンとαメチルスチレンを分離してもよい。いずれにしても目的物の数以上の蒸留が必要になり、更に純度を向上させるために、蒸留の回数を増やすことも行われる。また必要に応じ適当な溶媒を添加しながら蒸留を行う抽出蒸留を行っても良い。
蒸留後、所望の純度に達したフェノールを製品とする。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
クメンを酸化することにより、クメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得た。この反応液を脱ガスしてから減圧下で濃縮した。濃縮した液に硫酸を添加して、クメンハイドロペルオキサイドを熱分解し、フェノールとアセトン、αメチルスチレンの混合物を得た。その後、水と油相をラインミキサーで混合し、その後、静置分離槽、コアレッサーを用いて油水分離し、これをできる限り硫酸の使用量を押さえて中和水洗を行い、油相をプロセス試料(蒸留前混合物に相当)として回収した。
得られたプロセス試料(蒸留前混合物)の一部を取り、メタノールで10倍(重量)に希釈し、pHを測定した。またガスクロマトグラフィー(GC)分析により、HEの含有量を求めた。尚、ここでは総HE量に加え、クメルフェノール(CuPL)、αメチルスチレンダイマー(AMSD)、トリメチルインダン(TMID)の各量も測定した。
次いで図2に示す実験装置を用い、試料を100℃において7分間、加熱蒸留し、その後今
度は試料を120℃において7分間、加熱蒸留し、最後に試料を200℃において18分間、加熱
蒸留した。
この加熱蒸留後のボトム試料のGC分析を実施し、HEの量を求めた。蒸留前のGC分析結果と、蒸留後のボトム試料のGC分析結果より、(蒸留後HE量−蒸留前HE量)/(蒸留前HE量)×100として、蒸留前後のHE増加率を求めた。この結果を表1に示す。
[比較例1−2]
プロセス試料(蒸留前混合物)を中和洗浄後、それぞれ0.7ppm、1.4ppm添加した以外は実施例1と同様の実験を行った。その結果を表1に示す。
[実施例2〜8、比較例3〜7]
フェノールとアセトン、αメチルスチレンの混合物を中和洗浄後、それぞれ表1に示すように硫酸添加、KOH添加、イオン交換樹脂通液等による硫酸除去を実施し、pHを調整した以外は実施例1同様の実験を行った。尚、プロセス試料(蒸留前混合物)のロット
が違うため、中和洗浄後のpHが変動しており、サンプル処理時のpH調整のために添加した薬品の量とpHの相関は必ずしも取れてはいない。
Figure 2017178826
表1に示した蒸留前の混合物のpHと、HE増加率の関係を図1に示す。pH4程度か
ら、HE増加率が小さくなり、pH4.3以上であると増加率が1割以下になり、pH4
.5以上であると、ほぼ増加率がゼロになることが判る。

Claims (3)

  1. クメンを酸化させ、クメンヒドロペルオキシドを製造し、該クメンヒドロペルオキシドを酸分解することにより、少なくともフェノールとアセトンを含む混合物を得て、この混合物を蒸留してフェノールを得るフェノールの製造方法であって、蒸留前の混合物を、10倍量のメタノールで希釈して測定したpHが4.3以上であることを特徴とするフェノー
    ルの製造方法。
  2. 蒸留前の混合物中に10wt%以上のαメチルスチレンを含有する1記載の製造方法。
  3. 蒸留前の混合物に、窒素を含まないアルカリでpH調整をする請求項1又は2に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023073796A (ja) * 2021-11-16 2023-05-26 三菱ケミカル株式会社 フェノールの製造方法
JP2023103003A (ja) * 2022-01-13 2023-07-26 三菱ケミカル株式会社 フェノールの製造方法及びフェノール組成物

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