JP2017183230A - 蓄電デバイス用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、電極との密着性に優れる蓄電デバイス用セパレータを提供することを目的とする。【解決手段】蓄電デバイス用セパレータが、ポリオレフィン微多孔膜と、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面の少なくとも一部に塗工されている熱可塑性ポリマーとを含み、熱可塑性ポリマーは、膨潤状態の25℃での引張弾性率が300MPa以上3000MPa以下であり、かつ熱可塑性ポリマーは、スルホニル基を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータ及びそれを用いたリチウムイオン電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池を中心とした非水電解液電池の開発が活発に行われている。通常、非水電解液電池には、微多孔膜(セパレータ)が正負極間に設けられている。セパレータは、正負極間の物理的な接触を防ぎ、微多孔膜中に保持した電解液を通じイオンを透過させる機能を有する。
また、近年、ポータブル機器の小型化及び薄型化により、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスにも小型化及び薄型化が求められている。一方で、機器を長時間携帯することを可能にするために体積エネルギー密度を向上させることによる高容量化も図られている。
ここで、セパレータには、異常加熱した場合には速やかに電池反応が停止される特性(ヒューズ特性)又は高温になっても形状を維持して正極物質と負極物質が直接反応する危険な事態を防止する性能(ショート特性)等、従来から求められている安全性に関する性能に加え、充放電電流の均一化及びリチウムデンドライト抑制の観点から、電極との密着性の向上が求められている。
セパレータと電池電極との密接性を良くすることにより、充放電電流の不均一化が起こり難くなり、また、リチウムデンドライトが析出し難くなるため、結果として充放電サイクル寿命を長くすることが可能となる。
このような事情のもと、セパレータに接着性を持たせる試みとして、ポリオレフィン微多孔膜に、接着性のポリマーを塗工する試みが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1では、放電特性及び安全性に優れた二次電池を提供することを目的として、多孔質膜上に反応性ポリマーを塗布、乾燥することにより接着剤を担持させた多孔質フィルムが提案されている。特許文献2では、高温貯蔵特性、充放電サイクル特性、負荷特性及び生産性の観点から、セパレータ基材の少なくとも片面に、加熱により接着性が発現する樹脂を配置することが提案されている。
特開2007−59271号公報 特開2011−54502号公報
しかしながら、特許文献1に記述されているセパレータは、反応性ポリマーと多孔質膜との密着性が十分ではなく、そのため、電極との接着が十分ではないという問題点がある。特許文献2に記述されているセパレータも電極との密着性について未だに改善の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、電極との密着性に優れる蓄電デバイス用セパレータを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的達成のため鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面の少なくとも一部に、特定の熱可塑性ポリマーを配することで、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面の少なくとも一部に、膨潤状態の25℃での引張弾性率が300MPa以上3000MPa以下であり、かつスルホニル基を有する熱可塑性ポリマーが塗工されている、蓄電デバイス用セパレータ。
[2]
前記ポリマーは、ポリフェニルスルホンである、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[3]
前記ポリマーは、微多孔膜状又はドット状に形成されている、[1]又は[2]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4]
前記ポリマーを含む樹脂層の塗工目付が、0.05g/m以上5.0g/m以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[5]
前記ポリオレフィン微多孔膜と前記樹脂層の合計厚みが、5μm以上25μm以下である、[4]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6]
透気度が40秒/100cc以上1000秒/100cc以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータを含むリチウムイオン電池。
本発明によれば、セパレータと電極の密着性を向上させ、それにより蓄電デバイスのサイクル特性も向上させ得る。
図1は、実施例1で得られたセパレータの表面SEM像を示す。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」と略記する)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る蓄電デバイス用セパレータ(以下、単に「セパレータ」と略記する)は、ポリオレフィン微多孔膜と、該ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面の少なくとも一部に、電解液に浸漬され膨潤した膨潤状態の室温引張弾性率が300MPa以上3000MPa以下であり、かつスルホニル基を有する熱可塑性ポリマーが塗工されている。
電極との密着性及び蓄電デバイスのサイクル特性を向上させることができる本実施形態に係るセパレータの構成は、ポリオレフィン微多孔膜上に配置された熱可塑性ポリマーの膨潤状態での300MPa〜3000MPaの引張弾性率及びスルホニル基により特定される。
<膨潤状態>
本実施形態において、熱可塑性ポリマーが蓄電デバイスの電解液に浸漬され膨潤した状態を以下、「膨潤状態」と略記する。蓄電デバイスの電解液(以下「電解液」と略記する)としては、特に限定されるものではないが、電解質を有機溶媒に溶解した非水電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が、電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩が挙げられる。また、上記電解液には微量の添加剤が含まれていてもよく、添加剤としては、例えばビニレンカーボネートが挙げられる。
本実施形態の膨潤状態とは、本実施形態のポリマーが前記の電解液中に浸漬され、電池製造工程で、接着力発現の為に加えられる或る熱履歴を経て、形状変化がそれ以上起こらなくなった状態を指すが、例えば後述するポリフェニルスルホンの無孔膜を、25℃の電解液中に24時間以上浸漬された状態を指す。
<熱可塑性ポリマー>
本実施形態の熱可塑性ポリマーは、スルホニル基を有する。スルホニル基はリチウムイオン電池の活物質と相互作用の強い極性官能基であるため、電極と熱可塑性ポリマー層の界面の接着強度が高い。加えて本実施形態の熱可塑性ポリマーは、膨潤状態で300MPa〜3000MPaの高い引張弾性率を有するため、ポリマー層の凝集破壊を防ぐ事ができる。これにより、電極に対する高い接着剥離強度を実現することができる。
上記の観点から、膨潤状態の熱可塑性ポリマーの室温での引張弾性率は、好ましくは400MPa〜2900MPa、より好ましくは800MPa〜2800MPaである。前記引張弾性率及び接着剥離強度の求め方は後述の実施例で説明する。
前記熱可塑性ポリマーとしては、ポリスルホン系樹脂が好ましく、下記式:
で表されるポリフェニルスルホンがより好ましい。
熱可塑性ポリマーの分子量は、特に限定されるものではないが、ポリマー溶媒への溶解性及び成膜性の観点から、重量平均分子量が10万以上100万以下であることが好ましい。前記分子量は、後述の実施例に示された方法で測定することができる。
<ポリオレフィン微多孔膜>
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜について説明する。本実施形態のポリオレフィン微多孔膜としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂組成物から構成される多孔膜が挙げられ、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔膜であることが好ましい。本実施形態では、ポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン樹脂の含有量について特に限定されないが、蓄電デバイス用セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能などの点から、多孔膜を構成する全成分の質量分率の50%以上100%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物から成る多孔膜であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂が占める割合は60%以上100%以下がより好ましく、70%以上100%以下であることが更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂とは、特に限定されないが、通常の押出、射出、インフレーション、ブロー成形等に使用するポリオレフィン樹脂をいい、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のホモポリマー及びコポリマー、並びに多段ポリマーを使用することができる。また、これらのホモポリマー及びコポリマー、並びに多段ポリマーから成る群から選ばれるポリオレフィンを単独で、又は混合して使用することもできる。
ポリオレフィン樹脂の代表例としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
本実施形態に係るセパレータを電池セパレータとして使用する場合には、低融点であり、かつ高強度であることから、特に高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂を使用することが好ましい。
また、多孔膜の耐熱性向上の観点から、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物から成る多孔膜を用いることがより好ましい。
ここで、ポリプロピレンの立体構造に限定はなく、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン及びアタクティックポリプロピレンのいずれでもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物中の総ポリオレフィンに対するポリプロピレンの割合は、特に限定されないが、耐熱性と良好なシャットダウン機能の両立の観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは4〜10質量%である。
この場合、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂に限定はなく、例えば、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン炭化水素のホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。具体的には、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等が挙げられる。
微多孔膜の孔が熱溶融により閉塞するシャットダウン特性の点から、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂として、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレンを用いることが好ましい。これらの中でも、強度の観点から、JIS K 7112に従って測定した密度が0.93g/cm以上であるポリエチレンを使用することがより好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量は、特に限定されないが、3万以上1200万以下であることが好ましく、より好ましくは5万以上200万未満、さらに好ましくは10万以上100万未満である。粘度平均分子量が3万以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、ポリマー同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。一方、粘度平均分子量が1200万以下であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。さらに、粘度平均分子量が100万未満であると、温度上昇時に孔を閉塞し易く、良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。なお、例えば、粘度平均分子量100万未満のポリオレフィンを単独で使用する代わりに、粘度平均分子量200万のポリオレフィンと粘度平均分子量27万のポリオレフィンの混合物であって、その粘度平均分子量が100万未満の混合物を用いてもよい。
本実施形態で使用されるポリオレフィン微多孔膜は、任意の添加剤を含有することができる。添加剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン以外のポリマー;無機粒子;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、0.001質量部以上、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
<塗工層>
本実施形態の熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン微多孔膜上に塗工され、微多孔膜状又はドット状の樹脂層が形成されている。微多孔膜状又はドット状の樹脂層が形成されることで、適度な透気度を確保しつつ、高い接着剥離強度を実現することができる。それらの観点から、塗工目付量は、0.05g/m以上5.0g/m以下であることが好ましく、ポリオレフィン微多孔膜と樹脂層の合計厚みは5μm以上25μm以下であることが好ましい。
蓄電デバイス用セパレータの適度な透気度は、リチウムイオン電池内でイオン伝導性を確保するために重要であるが、40(秒/100cc)以上1000(秒/100cc)以下の範囲にあることが好ましい。透気度は、後述の実施例に示された方法で測定することができる。
本実施例の塗工層は、有機物及び/又は無機物で構成されるフィラーを含んでいてもよい。
<ポリマー溶解方法>
本実施形態では、熱可塑性ポリマーは、塗工に先立ち溶媒に溶解される。溶解方法は、特に限定されないが、ポリフェニルスルホンのポリマー溶液を作製する場合、ポリマーと溶媒を所定の容器に入れ、撹拌しながら溶解する。ポリマーが常温で溶解しない場合、ポリマーを加熱することにより溶解させる。
溶媒の種類は、熱可塑性ポリマーが可溶である溶媒であれば特に限定されるものではないが、例えばポリマーがポリフェニルスルホンの場合は、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略記する)等のN−アルキルピロリドン類;及びN,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」と略記する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と略記する)等の鎖状アミド系溶媒の中から選ばれる少なくとも一種の溶媒が挙げられる。中でも、溶解性と工業的ハンドリング性の観点から、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
溶解温度は、使用する溶媒の種類又はポリマーの比率によって異なるが、通常は10℃以上100℃以下、好ましくは20℃以上30℃以下である。
溶解時間は、溶媒の種類、ポリマーの比率、又は溶解温度によって異なるが、通常、1時間〜24時間の範囲である。
<塗工方法>
本実施形態では、熱可塑性ポリマーをポリオレフィン微多孔膜に塗工する方法に関して、本実施形態において好ましい目付量、厚み、及び/又は透気度を実現できる方法であれば特に限定はない。塗工方法としては、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、スプレーコーター塗布法、インクジェット塗布が挙げられる。これらのうち、熱可塑性ポリマーの塗工形状の自由度が高く、好ましい面積割合を容易に得られる点でグラビアコーター法又はスプレー塗布法が好ましい。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はないが、塗布膜を熱可塑性ポリマーの貧溶媒中に浸漬し、熱可塑性ポリマーを凝固させると同時に溶媒を抽出する方法が挙げられる。
<貧溶媒>
貧溶媒は、ポリマー溶液に使用される溶媒の種類又はポリマーの種類によって異なるが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;水などであり、中でも工業的ハンドリング性の観点から、水が好ましい。
また、凝固後の塗膜の均一性の観点から、貧溶媒はポリマー溶液の溶媒と均一に混ざり合う溶媒であることが好ましい。ここで「均一に混ざり合う」とは、2つ以上の溶媒を混合して1日静置しても界面が現れないことをいう。例えば、NMPに対しては、水が均一に混ざり合う溶媒として挙げることができる。
また、貧溶媒は、ポリマー溶解で使用する溶媒と均一に混ざり合うならば、単一の溶媒を用いてもよいし、2種類以上の溶媒を混合して用いてもよいが、凝固後の塗膜の均一性の観点から、水又は水とNMPの混合溶媒を用いるのが好ましい。
上記で説明された方法により製造された本実施形態に係るセパレータは、電極との密着性とハンドリング性に優れ、蓄電デバイス用セパレータとして好適に使用できる。
<剥離強度>
本実施形態に係るセパレータは、電解液の存在下で電極と積層され、所定の温度と圧力を加えることで、電極との接着力を発現する。温度100℃及び圧力10MPaでセパレータを正極及び負極と2分間加圧した後の90°剥離強度は、それぞれ3gf/cm以上が好ましい。また、90°剥離試験後のセパレータ表面に電極活物質が転写し、面積割合に換算して10%以上付着することが好ましい。90°剥離強度は、実施例の記載の方法により測定することができる。
剥離強度が上記の範囲にあるセパレータは、後述の蓄電デバイスへ適用する際に、電極とセパレータとの密着性に優れる点で好ましい。
<塗工目付>
蓄電デバイス用セパレータの樹脂層の目付量は、接着剥離強度とイオン伝導度の観点から、好ましくは0.05g/m以上5.0g/m以下、より好ましくは0.1g/m以上2.0g/m以下、さらに好ましくは0.5g/m以上1.5g/m以下である。
<膜厚>
蓄電デバイス用のセパレータの膜厚は、膜強度確保とイオン伝導度の観点から、好ましくは5μm以上25μm以下、より好ましくは8μm以上20μm以下、さらに好ましくは10μm以上15μm以下である。この膜厚は、セパレータが、上記で説明されたポリオレフィン微多孔膜と上記で説明された樹脂層から成る場合にはオレフィン微多孔膜の最大厚と樹脂層の最大厚の合計値でよく、セパレータがポリオレフィン微多孔膜及び樹脂層以外の層を含む場合には、セパレータの最大厚でよい。
<透気度>
蓄電デバイス用セパレータの透気度は、イオン伝導度の観点から、好ましくは1000(秒/100cc)以下である。透気度の下限値は、特に限定されるものではないが、最低限の膜強度を確保する膜厚の観点から、40(秒/100cc)以上が好ましい。透気度は、より好ましくは40(秒/100cc)以上300(秒/100cc)以下であり、さらに好ましくは40(秒/100cc)以上250(秒/100cc)以下である。
<積層体>
本実施形態に係る積層体は、前記セパレータと電極とが積層したものである。本実施形態に係るセパレータは、電極と接着することにより積層体として用いることができる。ここで、「接着」とは、セパレータと電極との90℃剥離強度が3gf/cm以上であることを言う。
積層体は、捲回時のハンドリング性及び蓄電デバイスのレート特性が優れ、さらには、熱可塑性ポリマーとポリオレフィン微多孔膜との接着性及び透過性にも優れる。そのため、積層体の用途としては、特に限定されないが、例えば、非水電解液二次電池等の電池、又はコンデンサー、キャパシタ等の蓄電デバイス等に好適に使用できる。
本実施形態に係る積層体に用いられる電極としては、後述の蓄電デバイスの項目に記載される電極を用いることができる。
本実施形態に係るセパレータを用いて積層体を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態に係るセパレータと電極とを重ね、必要に応じて加熱及び加圧して、製造することができる。また、電極とセパレータとを重ねた後に、円又は扁平な渦巻き状に捲回して得られる捲回体に対して加熱及び加圧を行うことで製造することもできる。
また、積層体は、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順に平板状に積層し、必要に応じて加熱及び/又はプレスして製造することもできる。
より具体的には、本実施形態に係るセパレータを幅10mm〜500mm(好ましくは80mm〜500mm)、長さ200m〜4000m(好ましくは1000m〜4000m)の縦長形状のセパレータとして調製し、調製されたセパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ね、必要に応じて加熱及び加圧して製造することができる。
積層体又は捲回体の加熱温度は40℃〜120℃であることが好ましい。積層体又は捲回体の加熱時間は5秒〜30分であることが好ましい。積層体又は捲回体の加圧圧力は1MPa〜30MPaであることが好ましい。積層体又は捲回体の加圧時間は5秒〜30分であることが好ましい。
<蓄電デバイス>
本実施形態に係るセパレータは、電池、コンデンサー、キャパシタ等におけるセパレータ、又は物質の分離に用いることができる。特に、セパレータを非水電解液電池のために用いた場合に、電極への密着性と優れた電池性能を付与することが可能である。
以下、蓄電デバイスが非水電解液二次電池である場合についての好適な態様を説明する。
本実施形態に係るセパレータを用いて非水電解液二次電池を製造する場合、正極、負極、及び非水電解液に限定はなく、公知のものを用いることができる。
<電極>
非水電解液二次電池の正極材料は、特に限定されないが、例えば、LiCoO、LiNiO、スピネル型LiMnO、オリビン型LiFePO等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる。
負極材料は、特に限定されないが、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料等が挙げられる。
非水電解液は、特に限定されないが、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が、電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩が挙げられる。
本実施形態に係るセパレータを用いて蓄電デバイスを製造する方法は、特に限定されないが、蓄電デバイスが二次電池の場合、例えば、本実施形態に係るセパレータを幅10mm〜500mm(好ましくは80mm〜500mm)、長さ200m〜4000m(好ましくは1000m〜4000m)の縦長形状のセパレータとして調製し、調製されたセパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ね、円又は扁平な渦巻状に捲回して捲回体を得て、得られた捲回体を電池缶内に収納し、更に電解液を注入することで製造することができる。この際、捲回体に対して加熱及び加圧を行うことで上述の積層体を形成してもよい。また、上記捲回体として上述の積層体を円又は扁平な渦巻き状に捲回したものを用いて製造することもできる。また、蓄電デバイスは、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順に平板状に積層したもの、又は上述の積層体を袋状のフィルムでラミネートし、電解液を注入する工程と、場合によって加熱及び/又はプレスを行う工程を経て製造することもできる。上記の加熱及び/又はプレスを行う工程は、前記電解液を注入する工程の前及び/又は後に行うことができる。
なお、上述した各種パラメータの測定値については、特に断りの無い限り、後述する実施例における測定法に準じて測定される値である。
以下、実施例及び比較例について説明する。なお、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定するものではない。
なお、実施例中の物性は以下の方法により測定した。
(1)粘度平均分子量(Mv)
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶剤における135℃での極限粘度[η]を求め、ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10−4×Mv0.67
ポリプロピレンのMvは次式より算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
(2)重量平均分子量(Mw)
熱可塑性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記の条件により測定した。
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)に対して、測定直前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)、及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたもの
検量線:スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成
カラム:TSK−GEL SUPER HM−H
流速:0.5ml/分
カラム温度:40℃
ポンプ: PU−2080(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)及びUV−2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
(3)膜厚(μm)
セパレータから10cm×10cmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚を微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃で測定した。9箇所の測定値の平均値をセパレータの膜厚(μm)とした。
(4)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117準拠の王研式透気抵抗度計EGO2(旭精工(株)社製)にて測定した。
(5)90°剥離強度(gf/mm)
a.正極の作成
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)を92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、及びバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、正極の活物質塗布量は250g/m、活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにした。
b.負極の作成
負極活物質として人造グラファイト96.9質量%、及びバインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、負極の活物質塗布量は106g/m、活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにした。
c.90°剥離強度(gf/mm)測定
上記正極及び負極を幅20mm、長さ40mmにカットする。この電極上にエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の比率(体積比)にて混合し、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解した電解液を電極が浸る程度にたらし、この上にセパレータを重ねた。この積層体をアルミジップに入れ、100℃及び10MPaの条件下で、2分間プレスを行うことで試験用サンプルを得た。得られたサンプルの90°剥離強度を、イマダ(株)製の縦型電動計測スタンドMX−500Nを用いて、JIS Z 0237に準じて引張速度10mm/分で測定した。正極及び負極のそれぞれに対して、前記セパレータの剥離強度を下記評価基準で評価した。
○(良好):剥離強度が、3gf/mm以上
△(許容):剥離強度が、1gf/mm以上3gf/mm未満
×(不良):剥離強度が、1gf/mm未満
(6)密着性試験
上記で説明された90°剥離強度(gf/mm)測定方法において、電極から剥した後のセパレータについて、セパレータ表面に転写している電極活物質の付着面積割合より、密着性を評価した。
○(良好):セパレータの30%以上に電極活物質が付着した場合。
△(許容):セパレータの10%以上30%未満に電極活物質が付着した場合。
×(不良):セパレータの10%未満に電極活物質が付着した場合。
(7)引張弾性率
熱可塑性ポリマーの塗工ポリマー溶液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗工し、乾燥及び減圧乾燥させることにより、溶媒を除去し、厚み0.03mmの熱可塑性ポリマー無孔膜を得た。尚、ポリマー溶液は後述する各々の熱可塑性ポリマーのセパレータ製造例に記載する方法で調製することができる。
前記熱可塑性ポリマー無孔膜を100℃の電解液に2分間浸漬した後、電解液に浸漬させた状態で25℃に冷却し24時間浸漬し、電解液に膨潤させた。ここで浸漬時の樹脂無孔膜と電解液の比率は、無孔膜が10質量部、電解液が90質量部とした。膨潤状態の膜を、幅10mm、長さ80mmにカットし、測定用サンプルを得た。尚、電解液は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の比率(体積比)にて混合した溶媒に、LiPFを1mol/L溶解した物を用いた。
測定用サンプルの引張弾性率を、イマダ(株)製の縦型電動計測スタンドMX−500Nを用いて測定した。サンプルはチャック間を30mmとし、測定は温度25℃、引張速度30mm/分で行った。
引張弾性率(MPa)は、応力−歪曲線において、伸度が1〜4%間の近似直線の傾きを求め、試験前のサンプルの断面積で除することで求めた。ここで伸度(%)は、伸び量をチャック間距離で除して、100を乗じる事で求めた。
<実施例1>
粘度平均分子量25万、融点137℃の高密度ポリエチレン1を14.25質量部、粘度平均分子量70万、融点137℃の高密度ポリエチレン2を14.25質量部、粘度平均分子量40万、融点163℃のポリプロピレン1.5質量部、及び酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.2質量部配合し原料配合物を調製した。
各配合物は口径25mmL/D=48の二軸押出機フィーダーを介して投入した。さらに、流動パラフィン68質量部をサイドフィードでそれぞれの押出機に注入し、押出量が1時間当たり16kgとなるように調整し、200℃及び200rpmの条件下で混練した後、Tダイから200℃の条件で押出した。ただちに、40℃に調温したキャストロールで押出物を冷却固化させ、所望の厚みのシートを成形した。このシートを同時二軸延伸機にて123℃で7×7倍に延伸した。その後、延伸シートを塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去した後に乾燥し、テンター延伸機により横方向に127℃で1.4倍に延伸した。その後、この延伸シートを幅方向に緩和して熱処理を行い、ポリオレフィン微多孔膜を得た。その際、緩和率は13%とした。
重量平均分子量55万、ガラス転移点220℃のポリフェニルスルホンを10質量部、及びN−メチルピロリドンを90質量部混合し、25℃にて24時間撹拌し、塗工ポリマー溶液を得た。上記(7)に記載の方法によって塗工ポリマー溶液を塗工して得た無孔膜の膨潤状態の引張弾性率を表1に示す。
前記ポリオレフィン微多孔膜上に前記塗工ポリマー溶液をバーコーターを用いて塗布し、水95質量部とN−メチルピロリドン5質量部を混合した凝固液中に浸漬することで、ポリマーを凝固させ、溶媒を抽出した。60℃にて凝固体を乾燥して水を除去した。さらに、乾燥後の凝固体のもう片面にも同様にして塗工液を塗工、凝固、乾燥させた後、60℃及び−0.1MPaの条件下で減圧乾燥させることにより、蓄電デバイス用セパレータを得た。得られたセパレータの物性及び評価結果は表1に示す。
得られたセパレータの表面について、(株)日立ハイテクノロジーズ社製、電界放出形走査電子顕微鏡SU−8220を用いて、加速電圧0.5kVでSEM測定を行った。得られたSEM観察像を図1に示す。セパレータ表面にポリフェニルスルホンの微多孔膜層が形成されていることが確認される。
<比較例1>
重量平均分子量100万、ガラス転移点−34℃のポリフッ化ビニリデン5質量部、及びN−メチルピロリドン95質量部を混合し、25℃にて24時間撹拌して、塗工ポリマー溶液を得た。塗工ポリマー溶液を塗工して得た無孔膜の膨潤状態の引張弾性率を表1に示す。実施例1に記載の方法で得た上記ポリオレフィン微多孔膜上に、比較例1で得られた塗工ポリマー溶液をバーコーターを用いて塗布し、水95質量部とN−メチルピロリドン5質量部を混合した凝固液中に浸漬することで、ポリマーを凝固させ、溶媒を抽出した。60℃にて凝固体を乾燥して水を除去した。さらに、乾燥後の凝固体のもう片面にも同様にして塗工液を塗工、凝固、乾燥させた後、60℃及び−0.1MPaの条件下で減圧乾燥させることにより、蓄電デバイス用セパレータを得た。得られたセパレータの物性及び評価結果は表1に示す。
<比較例2>
重量平均分子量70万、ガラス転移点186℃のポリスルホン10質量部、及びN−メチルピロリドン90質量部混合し、25℃にて24時間撹拌して、塗工ポリマー溶液を得た。塗工ポリマー溶液を塗工して得た無孔膜の膨潤状態の引張弾性率を表1に示す。
実施例1に記載の方法で得た上記ポリオレフィン微多孔膜上に、比較例2で得られた塗工ポリマー溶液をバーコーターを用いて塗布し、水95質量部とN−メチルピロリドン5質量部を混合した凝固液中に浸漬することで、ポリマーを凝固させ、溶媒を抽出した。60℃にて凝固体を乾燥して水を除去した。さらに、乾燥後の凝固体のもう片面にも同様にして塗工液を塗工、凝固、乾燥させた後、60℃及び−0.1MPaの条件下で減圧乾燥させることにより、蓄電デバイス用セパレータを得た。得られたセパレータの物性及び評価結果は表1に示す。
<比較例3>
重量平均分子量15万、ガラス転移点94℃のポリアクリロニトリル10質量部、及びN−メチルピロリドン90質量部を混合し、25℃にて24時間撹拌して、塗工ポリマー溶液を得た。塗工ポリマー溶液を塗工して得た無孔膜の膨潤状態の引張弾性率を表1に示す。
実施例1に記載の方法で得た上記ポリオレフィン微多孔膜上に、比較例3で得られた塗工ポリマー溶液をバーコーターを用いて塗布し、水95質量部とN−メチルピロリドン5質量部を混合した凝固液中に浸漬することで、ポリマーを凝固させ、溶媒を抽出した。60℃にて凝固体を乾燥して水を除去した。さらに、乾燥後の凝固体のもう片面にも同様にして塗布液を塗工、凝固、乾燥させた後、60℃及び−0.1MPaの条件下で減圧乾燥させることにより、蓄電デバイス用セパレータを得た。得られたセパレータの物性及び評価結果は表1に示す。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面の少なくとも一部に、膨潤状態の25℃での引張弾性率が300MPa以上3000MPa以下であり、かつスルホニル基を有する熱可塑性ポリマーが塗工されている、蓄電デバイス用セパレータ。
  2. 前記ポリマーは、ポリフェニルスルホンである、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  3. 前記ポリマーは、微多孔膜状又はドット状に形成されている、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  4. 前記ポリマーを含む樹脂層の塗工目付が、0.05g/m以上5.0g/m以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  5. 前記ポリオレフィン微多孔膜と前記樹脂層の合計厚みが、5μm以上25μm以下である、請求項4に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  6. 透気度が40秒/100cc以上1000秒/100cc以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータを含むリチウムイオン電池。
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