以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
第1の実施形態に係るヘアクリップを説明する。図1は本発明であるヘアクリップの第1実施形態の概略斜視図である。
本発明の第1の実施形態であるヘアクリップは、図1に示す概略斜視図のように上側挟持舌片11と、下側挟持舌片12と、バネ機構13と、髪係止体30を有して構成される。
図1の本発明の第1実施に係るヘアクリップの概略斜視図および図2の同ヘアクリップの閉じた状態を表す概略側面図を参照して説明すると、上側挟持舌片11は、長手方向に延び、その中央部で穏やかに湾曲する上側挟持部11a及び上側操作端部11bを有し、上側挟持部11aには開口14が形成されている。上側挟持舌片11はプラスチック樹脂によって形成され、上側操作端部11bは、上側挟持部11aの末端側に上向きに屈曲して形成されている。上側操作端部11bの両側面には、バネ機構13を格納し、上下側挟持舌片11、12を軸20で軸支するため軸孔15が穿孔されている。
下側挟持舌片12は、例えば、アルミニウムによって形成され、上側挟持舌片11、下側挟持舌片12が閉じている状態で、図2に示す概略側面図のように下側挟持舌片12は、上側挟持舌片11の上側挟持部11aに沿って穏やかに上方に湾曲する下側挟持部12aを有する。また、下側挟持舌片12は、末端側に下方向に屈曲して形成される下側操作端部12bを有する。下側操作端部12bには軸受部18が形成されている。軸受部18は、下側操作端部12bの側面から上方に鉛直した扇状の片18a、18bにより構成され、これら片18a、18bは、上側操作端部11bの両側面間に挿入される。片18a、18bには、上側操作端部11bの両側面の軸孔15に対応する位置に孔が穿孔され、軸20を軸支している。バネ機構13は、これら上側操作端部11b、下側操作端部12b間に形成される。
また、下側操作端部12bの先端部分から末端方向に中央部付近まで、下側挟持部12aと一体に髪係止体30が形成されており、その一部は、開口14より上側挟持部11aから上方に突出している。バネ機構13は、ねじりコイルバネ21を有している。
図3は、本発明の第1形態に係るヘアクリップのバネ機構を説明するため図2を矢印Xの方向から見たヘアクリップの後方側面図で、バネ機構13のねじりコイルバネ21は、上側操作端部11bの両側面に穿孔された軸孔15、下側操作端部12bの片18a、18bに形成される孔に軸支される軸20に挿入される。軸20は、上側操作端部11bの両側面、下側操作端部12bの軸受部18に軸支されている。このねじりコイルバネ21の両端部21a、21bは、それぞれ反対方向、弾かれる方向に付勢される。また、コイルバネ21の両端部21a、21bがそれぞれ上側操作端部11b、下側操作端部12bと係止する。このため、ねじりコイルバネ21は、上側操作端部11bを上側に、下側操作端部12bを下側に押圧するように付勢する。
図4の上側挟持舌片の概略長手方向断面側面図に示すように上側挟持部11a及び上側操作端部11bの間にはバネ機構13のコイルバネ21の上側挟持部11a側の面を覆うように、障壁16が形成されている。また、開口14より末端側には、上側挟持部11aの幅方向の断面形状が略「コ」の字を90度左に回転させた形状に形成されている。
また、図5の本実施の第1の実施形態に係るヘアクリップを開いた状態を表す概略側面図に示すように、下側挟持部12aの先端部分から下側挟持部12aの中央部分に架けて、髪係止体30が配置される。そして、下側挟持部12aの先端部分には、髪係止体30と一体に突起部17が形成されている。この突起部17は、図2に示すように上側挟持舌片11、下側挟持舌片12の先端が閉じた状態で、上側挟持部11aの先端部分に覆われ、この図2の概略側面図に示すように側面外部からは視認できない。図4に示す上側挟持部11aの先端部分は、下側挟持部12aの突起部17の全部または一部を覆うように形成されている。
図6(a)は、本発明の第1の実施形態のへアクリップの概略平面図で、髪係止体30は、上側挟持部11aの開口14より突出している。図7は、本発明の第1の実施形態のへアクリップの概略底面図で、上側挟持部11aの先端部分が下側挟持部12aの突起部17より長手方向に延び、図2に示すように突起部17は、上側挟持舌片11、下側挟持舌片12の先端が閉じた状態で、上側挟持部11aの先端部分に覆われている。
図5に示す下側挟持部12aは、平板ではなく、強度を維持するため、図8(a)に示すように、断面が緩やかな凹字状で幅方向中央部に窪み22が形成されている。図8(a)は、図5の下側挟持部12aを矢印Aで示す線で切った切断部端面図である。
通常時、バネ機構13のねじりコイルバネ21により下側挟持舌片12の下側挟持部12aは、上側挟持舌片11の上側挟持部11aと一定の挟持力を持って当接する。これは、図2のようにヘアクリップが閉じた状態である。
また、上側操作端部11b、下側操作端部12bをヘアスタイリストが指で握り、上側挟持舌片11の上側挟持部11aと下側挟持舌片12の下側挟持部12aとを非接触とする状態は、図5のようにヘアクリップが開いた状態である。
通常、上下側操作端部11b、12bがバネ21によって付勢されているため、下側挟持舌片12の下側挟持部12aは、上側挟持舌片11に沿って上側挟持部11aに大部分が当接している。ヘアスタイリストが、上下側操作端部11b、12bを握ると、バネ機構13は、圧縮方向に稼働し、上下側挟持部11a、12aを開く。ヘアスタイリストがヘアクリップを美容理容施術のため開く場合、その開度は一般的には15度から45度の場合が多い。コイルバネ21の強度によってヘアクリップの毛髪の挟持力は、調整できるが、本実施形態のヘアクリップでは、開度30度の状態で長手方向の長さが12cmの上側挟持部11aを有しており、上下側挟持部11a、12aの先端で130gから180gの閉じる方向の圧縮力を有する(バネばかりにて測定)ようバネ機構が調整されている。
なお、本実施形態では、軸20付近の上側操作端部11bの幅方向の長さは15mmほどで、上側挟持部11aの先端部分の幅方向の長さは8mmほどに製作されている。また、障壁16は、上側挟持舌片11の強度向上を主な目的として設けられたもので、毛髪がコイルバネに絡むことを防ぐ役割も有している。
図5に示すように下側挟持部12aには、髪係止体30が長手方向に連続して形成されている。この髪係止体30は、上側挟持部11aの開口14から突出するように幅方向の中央部の窪み22から垂設して、下側挟持部12aの長手方向に連続して形成されている。この髪係止体30は、本実施形態では下側挟持部12aと一体に形成されているが、髪係止体30を別に製作して下側挟持部12aに植立させてもよい。髪係止体30は、図1、図2、図5に示すように連続した波状の形状で、この実施態様では、下側挟持部12aから10mmほどの高さに設定され、下側挟持部12a先端部分の突起部17から一体に垂設されている。髪係止体30は、突起部17から立ち上がり、末端方向に連続して形成され、その後徐々にその高さを低下させている。髪係止体30の各変曲点(高さが高まる方向から低くなる方向またはその逆)は角が取れた円弧状、丸状に穏やかに変化するように形成され、上側から下側に下降し、下側から上側に上昇するように変化する変曲点に間隙が形成されている。
図2、図5に示すこの実施形態の髪係止体30は、下側挟持舌片12を水平な面に配置したとき、高い方の変曲点から低い方の変曲点へ略鉛直に下降して形成されている。また、髪係止体30の厚さは上部で1mmほどの厚さで、図6(a)に示すヘアクリップの平面図のように開口14の幅方向の略中央部に位置して突出している。髪係止体30の一方の側面から開口14の一方の周囲面までは1mmほどで、開口の一方の周囲面から上側挟持部11aの一方の縁面までは2.5mmほどに設定されている。
下側挟持部12aの先端部分に形成される突起部17は、図7に示すヘアクリップの底面図のように幅方向左右に湾曲する湾曲面17a、17bを有する。この実施形態では、下側挟持部12aに垂設される髪係止体30は、図5に示すように突起部17に一体に形成されている。髪係止体30は、突起部17から立ち上がり、末端方向に連続して垂設されている。
図9は、上下側挟持部11a、12aの先端部分の概略側面部分断面図である。より正確に言うと、図6(a)を矢印Bの面で切って矢印方向に見る際、上側挟持部11a先端部分および下側挟持部12aの突起部17周囲を断面とする概略側面部分断面図である。髪係止体30の先端部分は、先端突起部分30aを形成しており、この先端突起部分30aは、下側挟持部12aの突起部17と一体となって、突起部17の先端から立ち上がっている。突起部17の全部または一部は、上側挟持部11aの先端部分に覆われ、上側挟持部11a先端部分の裏面と突起部17の表面、上側挟持部11a先端部分の裏面と髪係止体30の先端突起部分30aが接している。
なお、先端突起部分30aはこの実施例では突起部17と一体に形成されているが、別体に形成してもよく、髪係止体30を下側挟持部12aと別体に製作して突起部17に植立してもよい。
図10(a)は、図9をC1−C1線で切って、矢印方向に見た上下側挟持部の先端部分の幅方向の断面を主に示した概略断面図、図10(b)は図9をC2−C2の面で切って、矢印方向に見た先端部分の幅方向の断面を主に示した概略断面図である。開口14は、幅方向の長さが上部より下部の方が長い形状で、上側挟持部11aの開口の存在する部分の幅方向の断面は「ハ」の字状に形成され、開口14の表面側すなわち高さ方向上部の幅は、開口14の裏面側すなわち下部の幅より狭く形成されている。また、髪係止体30は、高さ方向、上部より下部の下側挟持部12aに接する部分の幅が広く形成されている。つまり、髪係止体の幅方向断面において、高さ方向上部より下部が幅広く構成されている。また、髪係止体30の先端突起部分30aは、上側挟持部11aの先端部分に覆われ、ヘアクリップを閉じた状態のとき上側挟持部11aの先端部分に覆われる。
図11(a)は、図9に示す下側挟持部12aの先端部分の平面図であり、下側挟持部12aの先端部分に形成される突起部17と髪係止体30の先端突起部分30aとは、一体として形成されている。突起部17は、幅方向左右に湾曲する湾曲面17a、17bを有している。破線は、上側挟持部11aが下側挟持部12aを覆った場合の上側挟持部11aと下側挟持部12aの長さ関係を示すために仮想的に記載されたもので、上側挟持部12aの先端部分を表すものである。上側挟持部12aの先端部分は、突起部17および先端突起部分30aを覆うため、長手方向に長く伸びて形成されている。
なお、図11(a)ではD1−D1線が、図9のC1−C1線の位置に相当し、図11(a)のD2−D2線は、図9のC2−C2線に相当する。
ヘアクリップは、通常時、バネ機構13のねじりコイルバネ21の両端部21a、21bはそれぞれ反対方向、弾かれる方向に付勢し、それぞれが係止する上側操作端部11b、下側操作端部12bを反対方向に押圧して上側操作端部11bを上側に、下側操作端部12bを下側に押圧するよう付勢する。したがって、通常時、図2のように上下側挟持舌片は軸20に軸支されているため、ヘアクリップは閉じた状態にある。
ヘアスタイリストが上下側操作端部11b、12bを押圧してヘアクリップを開いた状態にして、開度15度から45度の状態で下側挟持舌片12を顧客の毛髪の所望の位置に挿入し、突起部17によって毛髪をかき分け、髪全体、もしくは髪束を所定の位置にかき分ける。下側挟持舌片12を顧客の毛髪の所望の位置に挿入する際、髪係止体30の先端突起部分30a、幅方向に左右に湾曲して形成された湾曲部17a、17bが毛髪を湾曲面に沿って分離、梳き、かき分けることができるので、毛髪を絡むこと、引っ張ることなく円滑に毛髪に下側挟持舌片12を挿入できる。そして、毛髪をかき分け、髪係止体30で梳き、毛髪の予定の位置にヘアクリップを装着することができる。
そして、上下側操作端部11b、12bの押圧を解除して、髪係止体30が開口14内に突出して毛髪、髪束を保持固定する。このとき、図10(a)のように開口14が「ハ」の字状の断面開口を有し、髪係止体30がこれを楔のように閉塞するので、顧客の毛髪、髪束は、髪係止体30の上部、髪係止体30の図10(a)に示す左側面と開口14の左側周面間、髪係止体30の図10(a)に示す右側面と開口14の右側周面間で捉えられる。
また、下側挟持部12aの表面部分と上側挟持部11aの裏面部分でも捉えることができる。
したがって、下側挟持部12aと上側挟持部11a間の挟持力によって確実に毛髪、髪束を髪係止体30の上部、髪係止体30と開口14の間、下側挟持部12aと上側挟持部11aによって挟むことができ、捉えることができる。
図12は、本実施形態の髪係止体の形状を下側挟持舌片の曲率とともに説明する説明図である。上下側挟持舌片の曲率は当初略同様に設計され、配置されている。しかし、ヘアクリップを開いた状態では両舌片の間隔は軸支する部分周辺では狭く、先端部分では大きく開いている。このため、従来ではヘアクリップを開いた状態での両舌片の間隔は均一ではなかった。本実施形態では、図12に示す髪係止体の各変曲点K1、K2、K3〜を円弧とする最小二乗法による円の半径(曲率半径)が上側挟持部の曲率半径の近傍、つまり±10%以内となるように構成されている。
そして、主に使用されるヘアクリップの開度30度の状態で、上側挟持部の円弧が構成する円の中心点O2と髪係止体の各変曲点を円弧Lとする最小二乗法による円の中心点O3の距離(O2−O3距離)は、開度30度の状態で上側挟持部の円弧が構成する円の中心点O2と下側挟持部の円弧が構成する円の中心点O1との距離(O2−O1距離)に比べて小さく、開度30度の状態で上側挟持部の円弧が構成する円の中心点O2と下側挟持部の円弧が構成する円の中心点O1との距離(O2−O1距離)の±10%以内である。(これを同心度が10%以内とよぶ)。
つまり、開度30度の状態でも同心度を略10%に保つことができ、この開度30度の状態でも上側挟持部と下側挟持部の間隔の平行度を実質的に高めることができる。すなわち、髪係止体の各変曲点に基づく最小二乗法による近似円の円弧の中心点O3が上下側挟持部の開度15度から開度45度の間で上側挟持部の形成する円弧の中心点O2の近傍である同心度が10%の範囲に形成されている。したがって、同心度の高く、実質的に上側挟持部と下側挟持部の曲率半径が近似するため、付勢するバネの力を強化しなくても毛髪、髪束を捕捉することが容易となるヘアクリップの提供が可能となる。
この図12に示した本実施の形態では、髪係止体が連続して複数の穏やかに上下に変化する変曲点を有して上側挟持部の末端方向に徐々に高さが低下する波状に形成され、変曲点K2からK3、変曲点K4からK5、変曲点K6からK7、変曲点K8からK9、変曲点K10からK11、変曲点K12からK13、変曲点K14から下側挟持部へは鉛直に高さを下降させている。そして、形状を連続して波状としているため、変曲点K3、K5、K7、K9、K11、K13に間隙を形成している。
本実施の形態では、下側挟持舌片の下側挟持部に配置される髪係止体の各変曲点の形成する円弧の曲率半径は、上側挟持部の曲率半径の±10%以内に構成されている。
図13は、図13(a)(b)(c)(d)それぞれが髪係止体の本実施の他の実施形態を表すもので、髪係止体を側面から見た構造図である。いずれも長手方向に連続した波状の形状であり、下側挟持部から垂設して連続して形成され、上側から下側から下降し、下側から上側に上昇するように変化する変曲点に間隙を形成されている。図13(a)に示す髪係止体は、隣接する変曲点間の角度が鈍角で、例えば変曲点K2が変曲点K1、K3と作る角度は鈍角である。つまり、上昇してから下降する変曲点K2に隣接する二つの変曲点K1、K3と、上昇してから下降する変曲点K2が成す角度が鈍角である。図13(b)は隣接する変曲点間の角度が鋭角で、例えば変曲点K2が変曲点K1、K3と作る角度は鋭角である。つまり、上昇してから下降する変曲点K2に隣接する二つの変曲点K1、K3と、上昇してから下降する変曲点K2が成す角度が鋭角である。また、図13(c)は、変曲点K1から立ち上がった後、変曲点K2からなだらにK3に向け、下降す例を示している。図13(d)は、変曲点K1からなだらかに立ち上がった後、変曲点K2に達し、その後なだらに変曲点K3に向け、下降する波状の形状を変曲点K3から変曲点K5、変曲点K5から変曲点K7まで略相似形で有する例を示している。
なお、図13(a)(b)共に、三つの山ごとに相似形で小さく構成されている。すなわち、図13(a)(b)において、変曲点K2乃至K7と相似形で小さな波状の形状が末端側に形成されている。
図13(a)に示す髪係止体では、髪係止体の広域で毛髪を捉えることができ、より均一な挟持力で押圧することができる。また、図13(b)に示す髪係止体では間隙に返しがついており、装着時に末端から押されてきた髪束をしっかりと固定することが出る。さらに、図13(c)に示す髪係止体は、よりなだらかな形状となっているで、スライスを取るとき毛髪のつれを防止することができる。図13(d)に示す髪係止体は、よりなだらかで同様な形状となっているで、均等に力をかけることができる。
また、髪係止体のさらに他の実施形態として、図10(a)における髪係止体30より髪係止体の幅方向の長さをさらに広く形成することもできる。例えば、髪係止体30の高さ方向上部より下部の下側挟持部12aに接する部分の幅をさらに広く形成し、髪係止体の幅方向断面において、上部より下部の幅をさらに長く構成することもできる。この場合、開口14は、図10(a)に示すより、上側挟持部11aの開口14の幅方向の長さが、開口14の表面側より裏面側の方がより長くなる。いわば、上側挟持部11aの開口の存在する部分の幅方向の断面は「ハ」の字のそれぞれの線がさらに内側に寝た感じの字状に形成される。
開口の幅方向の長さに関わらず、髪係止体30が幅方向に上部から下部に広がるよう形成されるヘアクリップのため、開口14と髪係止体30によって顧客の毛髪、髪束を的確に捉えることができ、バネ機構の押圧力により毛髪、髪束を上側挟持部と下側挟持部によって挟持し、固定保持することができる。
図9、図10の実施態様において開口14、髪係止体30共に表面側か上部が狭い例を示しているが、これは開口14、髪係止体30のいずれか一方の表面側、上部が狭いものであってもよい。この場合、楔のように毛髪を閉塞して挟持する程度に差が出るだけあって、毛髪をしっかりと固定保持することができることになんら変わりはない。
図11(b)は、下側挟持部の突起部の形状をより鋭利とした本発明のさらに他の実施形態を説明するものであり、突起部171全体が図11(a)と同様に上側挟持部で覆われる。すなわち、湾曲部171a、171bが図11(a)の湾曲部17a、17bより長手方向下側操作端12b側に形成されており、突起部の先端が鋭利な形状となっている。このため、突起部の先端で毛髪をかき分けることが更に容易となる。破線は、上側挟持部11aが下側挟持部12aを覆った場合の上側挟持部11aと下側挟持部12aの長さ関係を示すために仮想的に描かれたもので、上側挟持部12aの先端部分を表すものである。
図14(a)は、本発明のへアクリップの突起部のさらに他の実施形態を説明する概略断面図で、突起部172がその先端172dを上側挟持部11aの先端より外部へ突出させた形態で構成されている。図14(b)は、この本発明のへアクリップの突起部のさらに他の実施形態を説明する概略平面図で、この突起部172を有する下側挟持部12aの平面図である。湾曲部172a、172bから先端172dが上側挟持部11aの先端より外部へ突出している。したがって、突起部172は一部が上側挟持部の先端部分によって覆われている。
この実施態様では、毛髪のかき分けをさらに容易に行うことができ、また、図9の実施態様と同様に下側挟持舌片12を顧客の毛髪の所望の位置に挿入する際、髪係止体の先端突起部分30a、突起部172の幅方向に左右に湾曲して形成された湾曲部172a、172bが毛髪を先端突起、湾曲面に沿って分離、梳き、かき分けることができる。このため、毛髪を絡むこと、引っ張ることなく円滑に毛髪をかき分け、ヘアクリップの下側挟持片12を挿入することができる。破線は、上側挟持部11aが下側挟持部12aを覆った場合の上側挟持部11aと下側挟持部12aの長さ関係を示すために、仮想的に描かれたもので上側挟持部12aの先端部分を表すものである。
なお、髪係止体30は、突起部先端から直接立ち上がる必要はなく、突起部の所望の部分から末端方向に垂設されていればよく、さらに先端突起部分30aを他の髪係止体と別体として形成して全体として髪係止体30を形成しても良い。
本発明の各実施態様において、スタイリストがヘアクリップを使用する際、図1、図2、図5に示す上下側操作端部11b、12bを押圧してバネの付勢力を弱め、下側挟持部12aを毛髪、髪束内に挿入して、上下側操作端部11b、12bの押圧を緩め、バネの付勢力を復元すると、髪係止体30が開口14内に突出して毛髪、髪束を保持固定する。このとき、開口14が「ハ」の字状の断面開口を有し、髪係止体30がこれを楔のように閉塞するので、顧客の毛髪、髪束は、髪係止体30の上部、髪係止体30の一方側面と開口14の一方周面間、髪係止体30の他方側面と開口14の他方周面間、上側挟持部11aの裏面と下側挟持部12aの表面で捉えることができる。
また、本発明の幾つかの実施態様では、突起部は、幅方向に湾曲して突出する湾曲部を有しており、先端に突出する突起部およびこれと一体となっている髪係止体の先端突起部分によって毛髪を左右上下に円滑かつ容易にかき分け取ることすなわちスライスを縦、横、斜めに容易に取ることができる。
さらに、髪係止体によって髪束の毛髪への挿入脱着が容易で、髪係止体によって毛髪を確実に保持固定できるのでヘアクリップの脱落、落下を防止することができる。
また、ヘアクリップを的確に挿入できることより、カラーリング等の理容・美容作業をヘアクリップの着脱回数を少なくして施術でき、作業効率、作業スピードを上げ、髪をかき分けって毛染め、カット、ブロー等を短時間で行うことができ、顧客およびヘアスタイリストの負担を低減させることができる。
即ち、従来、毛髪のかき分けには櫛もしくは櫛に連設されたブラシの髪かき分け用の棒部を別に使用して毛髪のかき分けを行わなくてはならなかったが、ヘアクリップ装着前に毛髪内で装着位置の微調整をヘアクリップの突起部を使用して毛髪のかき分けによって容易に行うことができる。また、髪係止体を下側挟持部に一体として垂設しているので、これを用いてヘアクリップによる毛髪固定の前の髪梳き作業が行うことができる。
なお、本発明の幾つかの実施態様では、下側挟持部12aの断面形状を図8(a)のように緩やかに凹の字状で窪みを形成したが、本発明の他の実施形態では図8(b)のように下側挟持部12a2の断面を緩やかな凸の字状に形成してもよい。この場合、上側挟持部11aの裏面と下側挟持部12a2の表面とで毛髪を掴むことが容易となる。図8(a)の場合、毛髪と下側挟持部12aとはどちらかといえば下側挟持部12aの外周縁部分の押圧力により固定保持されるが、図8(b)の場合には、毛髪と下側挟持部12a2とはどちらかといえば上側挟持部11aの裏面と下側挟持部12a2の表面との押圧力により固定保持される。
下側挟持部12aの断面形状を平らに形成してもよく、この場合でも上側挟持部との押圧力はもちろん維持される。
図15、図16は、本発明のさらに他の実施形態を説明する図で、上側挟持舌片に毛髪を格納する格納部を設けた例を説明する図である。図15は、本発明の他の実施形態に係るヘアクリップの閉じた状態を表す概略側面図で、図16は本発明のさらに他の実施形態に係るヘアクリップの閉じた状態を表す概略側面図である。髪係止体30によって、押し出され一部の毛髪が上側、下側挟持舌片の両側操作端部方向に逃げてきた際、この毛髪を保持し、毛髪の格納するため、へアクリップの保持固定力をより向上させるように施された格納部を設けたものである。
図15に示すヘアクリップにおいて、格納部40は、開口より長手方向末端側に、上側挟持舌片11の上側挟持部11aの両側面に形成されており、上側挟持部11aの裏面から徐々に上側に削られ、上側挟持部11aの厚さの略半分ほどで下側に削られた歯を歯40−1から40−nまで複数形成したものである。図16に示すヘアクリップにおいて、格納部41は、上側挟持舌片11の上側挟持部11aの両側面に形成されており、上側挟持部11aの裏面から上側挟持部11aの厚さの略半分ほどまで削り、その後、徐々に下側に削られ歯を歯41−1から41−nまで複数形成したものである。これら外枠の曲線の交点は、円弧もしくは丸状に形成されている。
さらにこれら格納部40、41を設ける場合には上側挟持部の構造を変えることもできる。図4の上側挟持舌片の上側挟持部11aは、上側挟持部11aの開口14より後部は幅方向の断面が略「コ」の字を90度左に回転させた形状に形成されている。しかし、格納部を設ける場合には、上側挟持部11aの開口14より上側操作端部11bまでの部分を断面四角形の直方体の棒とすることもできる。そして、開口14より上側操作端部側に上側挟持部11aの裏面から徐々に表面上側に削り、上側挟持部11aの厚さの略半分ほどで下側に一挙に削られた歯41−1から41−nを複数形成することも可能である。いずれの加工によって製作された格納部40、41でも髪係止体によって押し出された一部の毛髪を格納し掴み取り、ヘアクリップの保持固定力をより向上させている。
さらに図15に示す実施態様の格納部40において、上側挟持部11の先端に近い40−1は大きさが小さく、相似形に徐々に大きくして上側操作端11bに近い40−nが一番大きく歯を構成してもよい。さらに逆に40−1が一番大きく、40−nが小さくなるように構成してもよい。これは図16に示す実施態様の格納部41においても同様である。また、格納部40、41の各頂点は鋭利ではなく円形、丸状に構成してもよい。
図17は格納部を示す一部拡大側面図で、左上から右下に直線l1、l2、l3、l4がそれぞれ平行に定められ、この各直線の左側に形成された円弧にしたがって格納部を形成する外枠が設けられる。また直線lよりも右側に、さらに左側に倒れた感じで直線mが、各々平行に直線m1、m2、m3、m4として設けられている。これら各直線mの左側に形成された円弧に従って格納部の外枠が形成される。これら外枠の曲線の交点は、顧客の不快感を除くため、円弧もしくは丸状に形成されている。
さらに格納部を上側挟持部の側面に形成するため、強度維持の観点から、格納部が存在する部分の上側挟持部の側面上部に長手方向に棒材を挿入して上側挟持部の材料であるプラスチックでモールドしてもよい。棒材としてアルミニウム等の金属を使用することができ、強化された他のプラスチック樹脂を使用してもよい。
これら図15、図16に示す格納部を有するヘアクリップでは、ヘアクリップで髪を止める時、ヘアクリップが軸支している部分の方から閉じていくが、この実施の態様では、先端側に徐々に高い構造で、かつ間隙の部分の返しが付いていることより、毛髪、髪束が先端に逃げにくくなり、しっかりと髪係止体が毛髪、髪束を保持固定することができる。
以上のように本発明の各実施態様において、相似形の波状の形状で連続して髪係止体が構成されている場合には、さらに先端側に毛髪が逃げにくくなる。また、髪係止体が波状の形状で連続して形成される場合には、この髪係止体を用いて、綺麗に毛髪を分けることができる。さらに、下側挟持部に髪係止体を垂設しているため、長時間、理容美容施術を行っても、顧客の頭皮に櫛歯、突起を当接させることを回避でき、なだらかな髪係止体により毛髪のつれを防ぐことができる。
さらに、本実施の実施態様の幾つかでは下側挟持部12aの突起部17が顧客の毛髪を左右上下にかき分けるので、スライスすなわちとり分けを綺麗に容易に行うことができる。また、上下側挟持部の先端部分においても髪係止体が毛髪を間隙で挟み、先端に空間が生じることを防止できる。髪係止体を波状にして先端から末端へ徐々に高低差を付け、髪係止体の全体の面で毛髪を捉えようとしているため、毛髪を挟持する力をできるだけ上下側挟持部間で均一化することができる。
さらに、同心度が高く、実質的に上側挟持部と下側挟持部の曲率半径が近似するため、毛髪、髪束を捕捉する際に上側挟持部と下側挟持部の間隔が均一化でき、毛髪を捉えることが容易となるため、付勢するバネの力を強化しなくても容易に毛髪等を保持固定することができ、長時間の作業の際、ヘアスタイリストに与える疲労を削減することができる。
また、下側挟持片を挿入する際、髪係止体によって、仮に毛髪、髪束が逃げたとしても、これら長手方向末端側に逃げた毛髪、髪束は格納部で捕獲することができ、着実に毛髪を固定保持することができる。
本発明の幾つかの実施態様では、下側挟持部より髪係止体を垂設させ、また、髪係止体が変曲点を丸い形状とし波状に形成しているため、毛髪内に下側挟持部を挿入して毛髪を分ける際、髪係止体を用いて髪束を梳くことつまり左右上下に毛髪をコーミングすることができ、毛髪を分けることが効率よく容易となる。すなわち、スライスを取る際、上下左右の髪束、毛髪をコーミングすることができヘアクリップを止めやすくすることができる。
また、髪係止体の高さは自由に選択できるもので、髪束を梳くことつまり左右上下に毛髪をコーミングすることができ、毛髪を分けることできれば自由に必要に応じて変化できるものである。さらに、髪係止体を連続して波状として変曲点間の高さに高低を設け間隙を形成しているので、一旦、突起部を頭髪内に挿入後、毛髪内に下側挟持舌片全体が入り良くなり、変曲点間の高さに高低を設けて間隙を形成しているので捉えた毛髪が抜けにくくなる。
さらに、本発明の幾つかの実施態様では、下側挟持舌片12を顧客の毛髪の所望の位置に挿入して髪を分けることが可能となる。すなわちスライスを取る際、髪係止体30の先端突起部分30a、幅方向湾曲して形成された湾曲部17a、17bが毛髪に絡むこと、引っ張ることなく円滑に毛髪をかき分け、下側挟持舌片12を挿入することができる。これは、湾曲部で髪を幅方向左右に逃げさせ、先端突起部分と突起部裏側によって髪を上下に逃げさせることができるためである。このため、カラーリング、パーマ等の薬剤が付いて髪束が集結して固着し分離しにくい状態、いわゆる重い毛髪でも円滑に下側挟持舌片が毛髪内に入りスライスを容易に取ることができる。
また、図14に示す実施態様では、湾曲部172a、172bから先端172dが上側挟持部11aの先端より外部へ突出しているので、毛髪のかき分けをさらに容易に行うことができる。そして、下側挟持舌片12を顧客の毛髪の所望の位置に円滑に挿入することができ、その後、髪係止体の先端突起30a、幅方向に左右に湾曲して形成された湾曲部172a、172bが毛髪を湾曲面に沿って分離、梳き、かき分けることができるので、毛髪を絡むこと、引っ張ることなく円滑に毛髪をかき分け、ヘアクリップを挿入することができる。
なお、図11(b)に示す実施態様では、髪係止体の先端突起部分30aを、下側挟持部の突起部171の先端から形成しているが、このように突起部171が図11(a)に示す実施態様より長めに形成している場合には、髪係止体の先端突起部分30aを突起部171の幅方向に左右に湾曲して形成された湾曲部171a、171bが存する部分から形成しても良いし、また、突起部の他の部分から形成配置しても良い。いずれにしても髪係止体の先端突起部分30aを突出部先端から直接立ち上げて形成する必要はない。
図14に示す実施例でも髪係止体の先端突起部分30aを、突起部172の幅方向に左右に湾曲して形成された湾曲部172a、172bが存在する部分の前後、図14(b)において水平方向に左右に移動して形成しても良い。
また、先行特許文献に示すように櫛歯が細かい複雑な構造だと理容美容施術中に毛染め等の薬剤がその隙間に入ってしまい、ヘアクリップを洗うとき薬剤が残りやすいが、髪係止体が、複数の穏やかに上下に変化する変曲点を有して下側挟持部の末端方向に連続して形成され、高さが変動する構造のため、清掃しやすく衛生的なクリップを提供することができる。
加えて、髪係止体と上側挟持部とがヘアスタイリストがシザーケース等の作業ギア格納かばん内の壁、ケース等に挟持することによりヘアスタイリストが容易にヘアクリップを取り出し、格納することができる。ケース内に上側挟持部11aが歯、突起のない状態で挿入され、ケース外部から下側挟持部12aの髪係止体30がケースの壁を介して押圧するので容易にヘアクリップを取り出し、格納することができる。
なお、図3に示す障壁16は、なにも上側操作端部11bに設ける必要はなく、下側操作端部12bより障壁を立ち上がらせて形成し、上側挟持舌片の強度を向上させ、コイルバネに毛髪が巻き込まれることを防いでもよい。
なお、本発明の幾つかの実施態様では、バネ機構はねじれコイルバネを使用したが、他のバネを使用してもよい。例えば、上側操作端部と下側操作端部の間にVの字状の屈曲した平バネを挿入してバネ付勢を行うこともできる。また、上下側挟持舌片の材質は、毛髪を挟持できるものであれば自由に選ぶことができる。図1、図2、図5では髪係止体を下側挟持部の半分程度の位置まで形成したが、これは下側挟持部全域に形成してもよい。また、髪係止体は開口を通して開口より突出しているが、上側挟持舌片の表面側と同じ程度の高さとなるように構成してもよい。
さらに、開口は、上側挟持部の広い領域に形成してもよいし、図6(b)に示す開口141のように髪係止体の存在する部分であれば、上側挟持部の一部分であってもよい。少なくとも髪係止体が上側挟持部から突出することを邪魔することがあってはならず、髪係止体30が存在しないところには開口14を形成しないこともできる。例えば、図6(c)に示す開口142、143、144のように、髪係止体を突出させる必要がある部分のみ、つまり髪係止体の高さが上側挟持部の厚さ以上の所のみ上側挟持部に開口を設けることも可能である。この場合、他の髪係止体の部分に対応する上側挟持部の部分には上側挟持部の裏面側から溝を形成して髪係止を覆う構造とすることができる。
さらに、上側挟持舌片、下側挟持舌片の形状、厚さ、長さ等を図1、図2、図4、図12等に表しているが、これは個々に実施の態様であって、各図に示された以外の形状、厚さ、長さ等としても本発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に構成することはもちろんである。下側挟持舌片の突起部は、上側挟持舌片が閉じた状態で、上側挟持部の先端部分に覆われていなくてもよい。すなわち突起部の先端が上側挟持舌片の先端部分より突出していて、上側挟持舌片に覆われていなくてもよい。なお、上側挟持舌片が突起部分を覆っている方が上側挟持舌片の先端部分の強度を強化する構造となる。
さらに、図7等に示す突起部17は、幅方向に左右に湾曲して形成された湾曲部17a、17bを有しているが、これらの形状は図7、図9、図11の形状に拘束されるものではなく、鋭利な構造としてもよいし、半円棒状としてもよく、要は、毛髪を湾曲面に沿って分離、梳き、かき分けることができる構造であればよい。
なお、上側挟持舌片11はプラスチック樹脂する例を示したが、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボンなどであってももちろんよく、また、なにもプラスチック樹脂に限らず、軽くて成型が容易な金属であってもよい。また、下側挟持舌片12は、アルミニウムによって形成される例を示したがなにもアルミニウムに限らず、プラスチック樹脂でもよく、また、別の軽くて成型が容易な金属であってもよい。
また、以上の実施の形態に示した構成は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらは、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略して構成してもよいことは言うまでもない。すなわち、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。つまり、上記のように本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、ヘアクリップ、髪係止体、格納部の構成、動作も本発明の一実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。