JP2017185541A - はんだペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】高いチクソトロピー性を維持した上でチクソトロピック剤としてのアマイドとはんだ合金粉末との反応が抑制されるので、粘度や反応性などの経時的な変化が少ないはんだペーストを提供する。【解決手段】80質量%以上95質量%以下のはんだ合金粉末と0.2質量%以上1.2質量%以下のチクソトロピック剤とを含有し、チクソトロピック剤は、少なくとも水添ヒマシ油およびアマイドを含み、水添ヒマシ油とアマイドとの質量比は、1:1以上4:1以下の範囲内である。【選択図】なし
Description
本発明は、はんだ接合に用いるはんだペーストに関する。
プリント回路基板に回路素子を実装する方法としては、はんだ浴にプリント基板の下面を浸すフロー法や、プリント回路基板上に、はんだペースト(はんだ合金粉末にはんだ用フラックスを加えて適当な粘度に調整したもの)を印刷し、その上に回路素子を載置した後、はんだを加熱溶融するリフロー法などが挙げられる。いずれの方法においても、母材表面の酸化膜を除去するとともに、母材およびはんだの酸化を防止し、かつ、はんだ表面の濡れ性を確保するために、はんだ用フラックスの使用が必須とされている。
基板実装に用いられるはんだペーストとしては、はんだ合金粉の他に、主として、ロジン、変性ロジン、合成樹脂などを主成分として用いた樹脂系フラックスが用いられるが、主成分のみでは印刷時に必要なチクソトロピー性が弱いため、通常はんだペーストには、チクソトロピック剤が添加される。また、はんだペーストには、その用途に応じて、活性剤および活性剤用の溶剤、分散安定剤などが添加される場合もある。
特許文献1では、チクソトロピック剤としてはんだペースト用フラックスに添加される高級脂肪酸アマイド(高級脂肪酸アミドと称することもある)は、粘性調整剤としての流動性改善特性に優れ、加熱時に分解して無残渣となる効果があることが開示されている。
しかしながら、特許文献1では、チクソトロピック剤としてはんだペースト用フラックスに添加される高級脂肪酸アマイドの化学構造内にある窒素を含む官能基が、はんだ合金粉の表面に吸着する。その結果、高級脂肪酸アマイドは、はんだペースト用フラックスの経時粘度安定性が低下する要因となる。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、チクソトロピー性を改善し、かつ粘度安定性に優れる、はんだペーストを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るはんだペーストは、80質量%以上95質量%以下のはんだ合金粉末と0.2質量%以上1.2質量%以下のチクソトロピック剤とを含有し、前記チクソトロピック剤は、少なくとも下記化学式(1)で示す水添ヒマシ油および下記化学式(2)で示すアマイドを含み、前記水添ヒマシ油と前記アマイドとの質量比は、1:1以上4:1以下の範囲内であることを特徴とする。
本発明の一態様では、前記アマイドが、アマイドラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイドのいずれかであることが好ましい。
本発明の一態様では、JIS Z 3284に準拠したはんだペースト評価手法によって求められる、チクソトロピーインデックスが0.4以上0.8以下であり、粘度非回復率が0%以上5%以下であることが好ましい。
本発明の一態様では、下記数式1により変化率αは、0%以上10%以下であることが好ましい。
本発明の一態様では、前記はんだ合金粉末が、ビスマス、亜鉛、銀、アルミニウム、鉛およびスズの群から選択される少なくとも2種であることが好ましい。
本発明の一態様では、前記はんだ合金粉末が、脂肪酸で被覆されていることが好ましい。
本発明の一態様では、前記脂肪酸が、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、N−ラウロイルサルコシン、N−オレオイルサルコシンのいずれかであることが好ましい。
本発明によれば、高いチクソトロピー性を維持した上でこのチクソトロピック剤としてのアマイドとはんだ合金粉末との反応が抑制されるので、粘度や反応性などの経時的な変化が少ないはんだペーストを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
本発明者らは、特許文献1に記載されている、チクソトロピック剤としてアマイドを用いたはんだペーストを中心に、はんだペーストのチクソトロピーインデックス(TI値)、粘度非回復率、保存安定性に関する試験研究を繰り返し行った。この結果、はんだペーストにおける粘度の経時変化にはチクソトロピック剤であるアマイドの配合比率が大きく関係しているとの知見を得た。
本発明者らは、この点についてさらに研究を重ねた結果、チクソトロピック剤として、水添ヒマシ油とアマイドを特定の配合比で混合・配合し、はんだペーストのチクソトロピーインデックス(TI値)と粘度非回復率を特定の範囲に制御し、上述の問題を解決できるとの知見を得た。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
以下、本発明について、はんだペーストの各成分に分けて説明する。本発明のはんだペーストは、はんだ用フラックスとはんだ合金粉末とを含有し、はんだフラックスは、a)フラックス主成分、b)チクソトロピック剤、c)チクソトロピーを溶解するための溶剤、d)有機溶剤、e)その他の添加剤とを含む。
[1.はんだ用フラックス]
まず、本実施の一形態に係るはんだペーストに含まれるはんだ用フラックスの主成分について説明する。フラックス主成分としては、70℃〜170℃の軟化点および150mgKOH/g〜240mgKOH/gの酸価を有するロジン類を用いることができる。
まず、本実施の一形態に係るはんだペーストに含まれるはんだ用フラックスの主成分について説明する。フラックス主成分としては、70℃〜170℃の軟化点および150mgKOH/g〜240mgKOH/gの酸価を有するロジン類を用いることができる。
フラックス主成分の軟化点および酸価が上記の範囲にある場合には、はんだ用ペーストの濡れ広がり性などのはんだ付け性を犠牲にすることなく、フラックス残渣の発生量を抑制することが可能となる。また、発生した微量のフラックスについては、絶縁被膜として有効に利用することが可能となる。これに対して、軟化点が70℃未満または酸価が150mgKOH/g未満では、接合時にはんだ合金粉末の表面に形成された酸化被膜を除去しきれない場合がある。一方、軟化点が170℃を超えると、または、酸価が240mgKOH/gを超えると、はんだ合金粉末とフラックス主成分との反応により、はんだペーストの粘度を含めた特性が経時的に劣化する場合がある。
ロジン類としては、公知の材料を広く適用することができるが、耐熱性と酸化膜除去という理由から、ロジン、変性ロジン、ロジンの主成分であるアビエチン酸、および、これを変性した変性アビエチン酸の群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
フラックス主成分として、軟化点が70℃〜170℃の範囲にあり、かつ、酸価が150mgKOH/g〜240mgKOH/gの範囲にあるロジン類を用いるのは、はんだ接合温度およびフラックス全体の酸価調整のためである。フラックス主成分の軟化点は、70℃〜170℃であることが好ましく、80℃〜170℃であることがさらに好ましい。また、フラックス主成分の酸価は、150mgKOH/g〜240mgKOH/gであることが好ましい。なお、フラックス主成分の酸価についても、はんだ用フラックス全体の酸価と同様に、フラックス主成分1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)の質量(mg)を意味し、はんだ付用フラックス試験方法(JIS Z 3197準拠)に基づいて求められる。
このようなフラックス主成分としては、具体的に、天然ロジン(軟化点:76℃〜85℃、酸価:167mgKOH/g〜175mgKOH/g)、重合ロジン(軟化点:96℃〜99℃、酸価:159mgKOH/g〜163mgKOH/g)、水素添加ロジン(軟化点:74℃〜75℃、酸価:160mgKOH/g〜170mgKOH/g)、アビエチン酸(軟化点:129℃〜137℃、酸価:179mgKOH/g〜182mgKOH/g)、ジヒドロアビエチン酸(軟化点:150℃〜155℃、酸価:154mgKOH/g〜158mgKOH/g)、デヒドロアビエチン酸(軟化点:160℃〜168℃、酸価:174mgKOH/g〜178mgKOH/g)などが使用可能である。
なお、フラックス主成分の含有量は、フラックスを100質量%として、35質量%以上70質量%未満、好ましくは45質量%以上60質量%以下の範囲とすることが好ましい。フラックス主成分の含有量が35質量%未満では、得られるはんだペーストの活性が不足し、電子部品および配線基板の間の導電性を十分に確保することができない場合がある。一方、フラックス主成分の含有量が70質量%以上になると、接合後におけるフラックス残渣が増加し、母材や導体が腐食するおそれがある。
本実施の一形態に係るはんだペーストに配合されるチクソトロピック剤には、少なくとも下記化学式(1)で示す水添ヒマシ油および下記化学式(2)で示すアマイドを含んでいる。
本実施形態に用いるアマイドとしては、特に限定はされないが、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイドなどが挙げられる。
なお、このチクソトロピック剤には、水添ヒマシ油およびアマイドの他に、植物油系重合油、酸化ポリエチレン、界面活性剤、アラビアガム、カルポマー、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、シクロデキストリン、キサンタンガム、グァーガム、ピクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギナン、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウレア変性ウレタンなどを含めることができる。
本実施の一形態に係るはんだペーストでは、チクソトロピック剤として化学式(1)に示す水添ヒマシ油と、化学式(2)に示すアマイドを、水添ヒマシ油とアマイドとの質量比で1:1以上4:1以下の範囲内で配合することが重要であり、従来法の課題であった、アマイドとはんだ合金粉との反応が抑制され、はんだペーストとしての保存安定性が維持されるという効果を奏する。
はんだペースト全体に対するチクソトロピック剤の配合量は、0.2質量%以上1.2質量%以下であることが重要である。チクソトロピック剤の配合量が0.2質量%未満では、はんだペーストとしてのチクソトロピー性が不足してしまう。一方、チクソトロピック剤の配合量が1.2質量%を超えると、アマイドが過剰となり、粘度安定性が低下し、さらには流動性も低下するため、はんだペーストを印刷する際に、カスレが発生し印刷不良となるおそれがあるため好ましくない。
また、本実施の一形態に係るはんだペーストに配合されるチクソトロピック剤としての水添ヒマシ油とアマイドとの質量比は、1:1以上4:1以下の範囲内とする。水添ヒマシ油とアマイドとの質量比が1:1よりも低い場合は特に高い粘度非回復率を示す傾向があり、水添ヒマシ油とアマイドとの質量比が4:1より多い場合はチクソトロピーインデックス(TI値)が低くなり好ましくない。
本実施の一形態に係るはんだペーストは、チクソトロピック剤を溶解する目的で、チクソトロピック剤用の溶剤を含む。このような溶剤としては、特に制限されることはなく、無機系または有機系のいずれも用いることができるが、溶解性の観点から有機系のものを用いることが好ましい。具体的には、2−フェノキシエタノール(沸点:244〜246℃)が好適に使用できる。
チクソトロピック剤を溶解するための溶剤の配合量は、チクソトロピック剤に対する質量比で10〜20倍量であることが好ましい。
本実施の一形態に係るはんだペーストは有機溶剤を含む。このような有機溶剤は、特に制限されることなく、公知のものを使用することができる。ただし、はんだ接合時において、はんだ用フラックスとはんだ合金粉末を混合することにより得られるはんだペーストの粘度が好適な範囲となるように、沸点が200℃〜300℃であるものを使用することが好ましく、220℃〜300℃であるものを使用することがより好ましく、230℃〜280℃であるものを使用することがさらに好ましい。
このような有機溶剤としては、具体的に、2−フェノキシエタノール(沸点:244℃〜246℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点:243℃〜244℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点:261℃〜265℃)およびジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:230.4℃)などを使用することができる。
なお、有機溶剤の配合量は、フラックスを100質量%として、好ましくは50質量%未満、より好ましくは20質量%以上50質量%未満、さらに好ましくは25質量%以上45質量%以下とする。有機溶剤の含有量が50質量%以上では、フラックスを塗布した際にダレなどが発生しやすくなる。
本実施の一形態に係るはんだ用フラックスには、上述した成分のほかに、必要に応じて、表面保護剤や仮止め接着性を向上させる成分を配合することができる。具体的には、表面保護剤としては、シランカップリング剤、界面活性剤を、仮止め接着性を向上させる成分としては、リン酸系(メタ)アクリルモノマー、トリアジンジチオール系モノマーを配合することができる。
また、本実施の一形態に係るはんだ用フラックスでは、ヒートサイクルでの耐割れ性を向上させる観点から、ロジン成分に添加または一部代替する材料として、熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、ポリアミド、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリル酸もしくはそのエステル、メタクリル酸もしくはそのエステル、エチレンなどの重合体、または、これらの2種以上からなる共重合体を使用することもできる。
なお、これらの添加剤の配合量は、フラックスを100質量%として、合計で好ましくは1質量%以上10質量%以下、より好ましくは1質量%以上7質量%以下とすることができる。これらの添加剤の配合量が上記範囲にあれば、はんだ用フラックスの特性を確保しつつ、仮止め接着性や耐割れ性などの特性を向上させることができる。
[1−1.はんだ用フラックスの製造方法]
次に、本実施の一形態に係るはんだ用フラックスの製造方法について説明をする。本実施の一形態に係るはんだ用フラックスは、上記の各構成成分を、上述した配合量となるように秤量し、均一に混合することにより得ることができる。この混合手段は、特に制限されることはないが、自公転ミキサー、ホモジナイザー、ヘイシェルミキサーなどを用いて混合することが好ましい。なお、構成成分を均一に混合する観点から、最初に固体成分のみを混合した後、有機溶剤を加えて、さらに混合することが好ましい。
次に、本実施の一形態に係るはんだ用フラックスの製造方法について説明をする。本実施の一形態に係るはんだ用フラックスは、上記の各構成成分を、上述した配合量となるように秤量し、均一に混合することにより得ることができる。この混合手段は、特に制限されることはないが、自公転ミキサー、ホモジナイザー、ヘイシェルミキサーなどを用いて混合することが好ましい。なお、構成成分を均一に混合する観点から、最初に固体成分のみを混合した後、有機溶剤を加えて、さらに混合することが好ましい。
[2.はんだ合金粉末]
本実施の一形態に係るはんだ用ペーストに含まれるはんだ用フラックスと混合するはんだ合金粉末は、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)および錫(Sn)の群から選択される少なくとも2種を含む合金からなるものを好適に使用することができる。例えば、Pb−Sn系合金はんだ、Bi−Zn系合金はんだ、Sn−Ag系合金はんだなどのPbフリーはんだ、または、これらのはんだ合金にCu、Bi、In、Alなどを添加したものを使用することができる。
本実施の一形態に係るはんだ用ペーストに含まれるはんだ用フラックスと混合するはんだ合金粉末は、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)および錫(Sn)の群から選択される少なくとも2種を含む合金からなるものを好適に使用することができる。例えば、Pb−Sn系合金はんだ、Bi−Zn系合金はんだ、Sn−Ag系合金はんだなどのPbフリーはんだ、または、これらのはんだ合金にCu、Bi、In、Alなどを添加したものを使用することができる。
はんだ合金粉末の平均粒径は、1μm以上100μm以下の範囲にあることが好ましく、1μm以上50μm以下のものがより好ましい。はんだ合金粉末の平均粒径が1μm未満では、はんだペースト中で、はんだ合金粉末が凝集する問題が生じるおそれがある。一方、はんだ合金粉末の平均粒径が100μmを超えると、接合時に被接合材料間に樹脂を含んだ新たな導電層が形成されてしまうため、導電性が低下するおそれがある。なお、本実施形態において、平均粒径とは、積算値50%の粒度を意味し、たとえば、SALD−7000(株式会社島津製作所)などの粒度分布測定装置により測定することができる。
さらに、はんだ合金粉末は、脂肪酸で被覆されていることが好ましい。すなわち、はんだ合金粉末の表面は、脂肪酸からなる被膜層が形成されている。脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、N−ラウロイルサルコシン、N−オレオイルサルコシンの群から選ばれる少なくとも1種類以上使用することができる。これらの脂肪酸の薄膜を直接はんだ合金粉体の表面に存在させることにより、悪条件下において、はんだペーストを長期に保存する場合であっても、濡れ性や酸化防止の効果を維持できる。
なかでも、生産性、作業性の観点から、ステアリン酸が特に好ましく、ステアリン酸ではんだ合金粉末の表面を被覆することで、適度に凝集した粉末形態のはんだ合金粉末を得ることができる。
[3.はんだペースト]
次に、本実施の一形態に係るはんだペーストについて説明する。本実施の一形態に係るはんだペーストは、5質量%以上20質量%以下、好ましくは10質量%以上15質量%以下のはんだ用フラックスと、80質量%以上95質量%以下、好ましくは85質量%以上90質量%以下のはんだ合金粉末とから構成されている。はんだ用フラックスおよびはんだ合金粉末の質量比を、このような範囲に制御することにより、得られるはんだペーストの接合時における濡れ広がり性を優れたものとすることができる。また、フラックス残渣を、絶縁被膜として利用することができるため、母材の腐食を効果的に防止することができる。
次に、本実施の一形態に係るはんだペーストについて説明する。本実施の一形態に係るはんだペーストは、5質量%以上20質量%以下、好ましくは10質量%以上15質量%以下のはんだ用フラックスと、80質量%以上95質量%以下、好ましくは85質量%以上90質量%以下のはんだ合金粉末とから構成されている。はんだ用フラックスおよびはんだ合金粉末の質量比を、このような範囲に制御することにより、得られるはんだペーストの接合時における濡れ広がり性を優れたものとすることができる。また、フラックス残渣を、絶縁被膜として利用することができるため、母材の腐食を効果的に防止することができる。
なお、はんだ用フラックスとはんだ合金粉末の混合方法は、特に制限されることなく、公知の方法を採用することができ、たとえば、自公転ミキサー、ホモジナイザー、ヘイシェルミキサーなどにより混合することができる。
[3−1.はんだペーストの特性]
本実施の一形態に係るはんだペーストは、粘度や反応性などの経時的な変化が少なく、長期間の保存安定性に優れる。また、はんだ接合時には、はんだ合金粉末表面の酸化被膜を効果的に除去することができるため、優れた濡れ広がり性を有する。さらに、はんだ接合時におけるフラックス残渣の発生を抑制することができ、かつ、フラックス残渣が発生した場合であっても、それを絶縁被膜として利用することできる。
本実施の一形態に係るはんだペーストは、粘度や反応性などの経時的な変化が少なく、長期間の保存安定性に優れる。また、はんだ接合時には、はんだ合金粉末表面の酸化被膜を効果的に除去することができるため、優れた濡れ広がり性を有する。さらに、はんだ接合時におけるフラックス残渣の発生を抑制することができ、かつ、フラックス残渣が発生した場合であっても、それを絶縁被膜として利用することできる。
[3−2.経時的な粘度変化]
本実施の一形態に係るはんだペーストでは、はんだペーストの作製直後の25℃、10rpmにおける粘度をη10rpm-ini、2週間経過時における粘度をη10rpm-2wとした場合において、下記数式1に示す変化率αは0%以上10%以下であり、好ましくは5%未満とすることができる。なお、はんだペーストの粘度は、たとえば、スパイラル型粘度計によって測定することができる。
本実施の一形態に係るはんだペーストでは、はんだペーストの作製直後の25℃、10rpmにおける粘度をη10rpm-ini、2週間経過時における粘度をη10rpm-2wとした場合において、下記数式1に示す変化率αは0%以上10%以下であり、好ましくは5%未満とすることができる。なお、はんだペーストの粘度は、たとえば、スパイラル型粘度計によって測定することができる。
本実施の一形態に係るはんだペーストは、80質量%以上95質量%以下のはんだ合金粉末と0.2質量%以上1.2質量%以下のチクソトロピック剤とを含有し、チクソトロピック剤は、少なくとも水添ヒマシ油およびアマイドを含み、水添ヒマシ油とアマイドとの質量比は、質量比で1:1以上4:1以下の範囲内であることを特徴とするものである。
このように、高いチクソトロピー性を維持した上でチクソトロピック剤としてのアマイドとはんだ合金粉末との反応が抑制されるので、粘度や反応性などの経時的な変化が少ない。例えば、チクソトロピー性を改善し、かつ粘度安定性に優れる、はんだペーストを、基板実装に用いることができるので、工業的価値が極めて大きい。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例および比較例に限定されるものではない。
実施例1〜43および比較例1〜5では、はんだ用フラックスとして、表1に記載されるフラックス主成分、チクソトロピック剤、チクソトロピック剤用有機溶剤、有機溶剤、その他の構成成分として、カルボン酸エステル、有機溶剤および活性剤をそれぞれ用意した。
実施例1〜43および比較例1〜5では、各構成成分の質量比を表2〜表4に記載されるように調整し、はんだ用フラックスを作製した。なお、表2〜表4に示すチクソトロピック剤a〜eは、表1に示すチクソトロピック剤a〜eから有機溶剤を差し引いたアマイドの有効成分を質量%として表したものである。
まず、実施例1〜18では、表1に示す平均粒径19μm〜27μmのはんだ合金粉末a〜cをイソプロピルアルコール溶液に10質量%で調整されたステアリン酸を添加して1時間含浸した後、60℃で6時間真空乾燥したことで、脂肪酸(ステアリン酸)で被膜されたはんだ合金粉末a〜cが得られた。また、実施例19〜24では、ステアリン酸ではなくオレイン酸で処理したこと以外実施例1と同様に、表1に示す平均粒径19μm〜27μmのはんだ合金粉末a〜cを脂肪酸(オレイン酸)で被膜されたはんだ合金粉末a〜cが得られた。また、実施例25〜30では、ステアリン酸ではなくリノール酸で処理したこと以外実施例1と同様に、表1に示す平均粒径19μm〜27μmのはんだ合金粉末a〜cを脂肪酸(リノール酸)で被膜されたはんだ合金粉末a〜cが得られた。また、実施例31〜36では、ステアリン酸ではなくN−ラウロイルサルコシンで処理したこと以外実施例1と同様に、表1に示す平均粒径19μm〜27μmのはんだ合金粉末a〜cを脂肪酸(N−ラウロイルサルコシン)で被膜されたはんだ合金粉末a〜cが得られた。また、実施例37〜42では、ステアリン酸ではなくN−オレオイルサルコシンで処理したこと以外実施例1と同様に、表1に示す平均粒径19μm〜27μmのはんだ合金粉末a〜cを脂肪酸(N−オレオイルサルコシン)で被膜されたはんだ合金粉末a〜cが得られた。また、実施例43では、表1に示す平均粒径19μm〜27μmのはんだ合金粉末aをステアリン酸処理しなかった。さらに、比較例1〜5では、実施例1と同様に、表1に示す平均粒径19μm〜27μmのはんだ合金粉末aを脂肪酸(ステアリン酸)で被膜されたはんだ合金粉末aが得られた。
実施例1〜42および比較例1〜5では、これらのはんだ用フラックス12質量%に対して、上述したように、脂肪酸で被膜されたはんだ合金粉末a〜cを88質量%加え、自公転ミキサー(AR−250、シンキー株式会社製)を用いて10分間混合し、はんだペーストを作製した。また、実施例43では、脂肪酸で被膜していないはんだ合金粉末aを88質量%加えたこと以外、実施例1と同様に、はんだペーストを作製した。
このようにして作製したはんだペーストのチクソトロピーインデックス(TI値)および粘度非回復率R、並びに粘度変化率αを、以下のようにしてそれぞれ評価した。実施例1〜43および比較例1〜5で得られたはんだペーストの特性評価の結果は、表5〜7にそれぞれ示す。
はんだペーストのチクソトロピーインデックス(TI値)は、ソルダーペースト(JIS Z 3284準拠)に基づいて測定した。
はんだペーストを25℃の温度で3時間放置した後、スパイラル型粘度計(株式会社マルコム製、PCU−205)を用いて粘度値を測定した(測定温度25℃)。回転速度、ならびに各回転における測定時間は表8に示す通りとした。各測定時間に達した時点での粘度値を読み取り、下記数式2からチクソトロピーインデックス(TI値)を算出した。
さらに、下記数式3から粘度非回復率Rを算出した。
はんだペーストの経時的な粘度変化は、はんだペーストの作製直後の25℃、10rpmにおける粘度η10rpm-iniと2週間保存した後の25℃、10rpmにおける粘度η10rpm-2wとを、スパイラル型粘度計(株式会社マルコム製、PCU−205)を用いて測定し、下記数式1に示す変化率αを求めることにより評価した。具体的には、変化率αが5%未満であったものを「優(◎)」、5%以上10%以下であったものを「良(○)」、10%を超えるものを「不良(×)」として評価した。
実施例1〜43のはんだペーストは、表2〜3および表5〜6より、いずれもチクソトロピーインデックスTIが0.4〜0.8の範囲であり、粘度非回復率Rが5%未満であり、さらには粘度変化率αも5%未満であることが確認された。すなわち、実施例1〜43で得られたはんだペーストは、チクソ性に優れ、経時的な変化が少ない優れたものであるといえる。
これに対して、比較例1のはんだペーストは、表4および表7より、2種類のチクソトロピック剤を0.2質量%未満しか加えなかったことに起因して、チクソトロピーインデックスTIが0.4を超えることはなかった。
また、比較例2〜4のはんだペーストは、表4および表7より、c〜eのチクソトロピック剤のみを加えたことに起因して、チクソトロピーインデックスTIを0.4〜0.8の範囲とし、粘度非回復率Rを5%未満とすることができたが、粘度変化率αが5%を超え、はんだペーストの粘度の経時的な変化を抑制することができなかった。
また、比較例5のはんだペーストは、表4および表7より、1.2質量%を超えてチクソトロピック剤を加えたことに起因して、チクソトロピーインデックスTIが0.8を超え、さらにアマイド添加率が過剰となり、粘度変化率αが5%を超えてしまった。
以上より、本実施の一形態に係るはんだペーストは、チクソトロピック剤としてのアマイドとはんだ合金粉末との反応が抑制されるので、粘度や反応性などの経時的な変化が少ないことが確認された。
Claims (7)
- 前記アマイドは、アマイドラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイドのいずれかである、請求項1に記載のはんだペースト。
- JIS Z 3284に準拠したはんだペースト評価手法によって求められる、チクソトロピーインデックスが0.4以上0.8以下であり、粘度非回復率が0%以上5%以下である、請求項1または2に記載のはんだペースト。
- 前記はんだ合金粉末は、ビスマス、亜鉛、銀、アルミニウム、鉛およびスズの群から選択される少なくとも2種である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記はんだ合金粉末は、脂肪酸で被覆されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記脂肪酸が、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、N−ラウロイルサルコシン、N−オレオイルサルコシンのいずれかである、請求項6記載のはんだペースト。
Applications Claiming Priority (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016025661 | 2016-02-15 | ||
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|---|---|
| JP2017185541A true JP2017185541A (ja) | 2017-10-12 |
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ID=60046036
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2017025607A Pending JP2017185541A (ja) | 2016-02-15 | 2017-02-15 | はんだペースト |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2017185541A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP7333164B2 (ja) | 2018-07-23 | 2023-08-24 | 株式会社レゾナック | 導体形成用組成物、及び導体層を有する物品の製造方法 |
| CN117020471A (zh) * | 2022-05-10 | 2023-11-10 | 千住金属工业株式会社 | 钎料膏 |
| CN117153454A (zh) * | 2023-09-15 | 2023-12-01 | 华北电力大学 | 一种超纯纳米铜基膏体及其制备方法与应用 |
-
2017
- 2017-02-15 JP JP2017025607A patent/JP2017185541A/ja active Pending
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| CN117020471A (zh) * | 2022-05-10 | 2023-11-10 | 千住金属工业株式会社 | 钎料膏 |
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