JP2017187721A - 現像部材、電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速・高耐久の条件下での使用によっても、表面層の剥がれを生じて寿命を損なうことのない、高耐久で安定した画像形成が可能な現像部材を提供する。
【解決手段】軸芯体と弾性層と表面層とを有する現像部材であって、表面層はウレタン樹脂とフィラーを含み、ウレタン樹脂は隣接する2つのウレタン結合の間に、式(1)で示される構造と、式(2)と(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有し、且つ、2つのウレタン結合の間に、式(4)で示される構造を有し、フィラーが疎水性無機粒子を含有する。

【選択図】図2

Description

本発明は電子写真画像形成装置に用いられる現像部材、電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置において、現像部材は、電子写真感光体の静電潜像に対して現像剤を供給する役割を担っている。特許文献1は、軸芯体、付加硬化型ジメチルシリコーンゴムの硬化物を含む弾性層および該弾性層の表面を被覆している表面層を有し、該表面層が特定の構造を有するウレタン樹脂を含む現像ローラを開示している。また、特許文献2は、導電性の基体、該基体上の弾性層及び該弾性層の表面を被覆している表面層を有し、該表面層が特定の構造を有する変性アクリルウレタン樹脂を含む現像剤担持体を開示している。
特開2012−150453号公報 特開2016−12130号公報
本発明者らは、特許文献1に係る現像ローラは、弾性層からの表面層のはく離が有効に抑制されていること、また、特許文献2に係る現像部材は、苛酷環境下でも高品位な画像を形成し得ることを確認した。しかしながら、近年の電子写真画像形成装置の高速化および長寿命化の要求の下で、本発明者らは、現像部材について、より一層の高耐久化が必要であるとの認識を得るに至った。
本発明は、より一層の高耐久化が図られた現像部材の提供に向けたものである。また、本発明は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資するプロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様は、導電性の基体と、該基体上の弾性層と、該弾性層の表面を被覆する表面層と、を有する現像部材であって、該表面層は、ウレタン樹脂およびフィラーを含み、該ウレタン樹脂は、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(1)で示される構造と、下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造と、を有し、且つ、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(4)で示される構造を有するものであり、該フィラーは、疎水性無機粒子を含有する、ことを特徴とする現像部材である。
構造式(4)中Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基を表す。
また、本発明は、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に装着される電子写真プロセスカートリッジであって、該電子写真プロセスカートリッジは、少なくとも現像部材と、現像ブレードと、トナー容器とを有し、かつ該現像部材が本発明に係る現像部材であることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジである。
さらに、本発明は、感光体と、該感光体に当接して配置される現像部材とを有する電子写真画像形成装置であって、該現像部材が本発明に係る現像部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置である。
本発明によれば、表面層の剥がれを抑制し、高耐久で長期間に亘って安定した画像性能を発揮できる現像部材を提供することができる。また、本発明によれば、高耐久で安定した画像形成が可能な電子写真プロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明の現像部材の一例を示す図であり、図(a)は、長手方向に平行な断面、の概略図であり、図(b)は、長手方向に垂直な断面の概略図である。 本発明に係るウレタン樹脂が有する構造の一例を示す説明図である。 本発明に係る電子写真プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 本発明に係る電子写真画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明に係る現像部材を、適宜、一実施形態であるローラ形状の現像部材(現像ローラ)によって説明するが、現像部材は現像ローラに限定されない。
本発明者らは、前述のとおり、特定の構造を有するウレタン樹脂と疎水性無機粒子を含有するフィラーを含む表面層を有する現像ローラを使用することにより、表面層の剥がれ抑制をできることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明者らは、その理由を以下のように推察している。
現像ローラに担持されるトナーは、主に現像ブレードとの摺擦により帯電されて所望の電荷量を獲得する。一方、現像ローラに担持されたトナーの電荷は、現像ローラと当接する現像ブレードや感光体との間に印加されるバイアス電圧による電界を受け、現像ローラの基体方向への電荷漏洩を生じる場合がある。その結果、現像ローラに担持されたトナーの電荷量が低下して感光体への現像が行われると、本来トナー像が形成されない感光体上のベタ白部にトナーが現像され、さらにこのトナーが紙上のベタ白部に転写されることで「かぶり」と呼ばれる画像品質の低下が発生することがあった。そこで、現像ローラの表面層の電気抵抗値を増大化して、トナー電荷の漏洩を抑制し、感光体への現像時に所望のトナー帯電量とすることが必要となる。
そこで、本発明者らは、前記構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造を有するポリエーテル構造と、前記構造式(4)の構造を有するエステル構造との共重合構造のウレタン樹脂から成るバインダーを、表面層を構成する材料として採用することで、現像ローラの表面層の電気抵抗値を増大化することができ、トナー電荷の漏洩を抑制できることを見出した。
しかしながら、一方で、ポリエステル構造を含むウレタン樹脂から成るバインダーを、表面層を構成する材料として採用することで表面層が高硬度となる傾向が見られた。高速・高耐久機の使用においては、トナーに掛かる負荷が増大することによるトナー劣化が課題となるため、現像ローラの硬度が制限される。そのため、ポリエステル構造を含むウレタン樹脂のような高硬度なバインダーを採用する場合、フィラーによる表面層の補強性能を最大限に発揮して、特に高速・高耐久機での使用において表面層の膜強度不足に起因して発生する表面層の剥がれを抑制する必要がある。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、側鎖メチル基を持つポリエーテル構造と、ポリエステル構造との共重合構造のウレタン樹脂と疎水性無機粒子を含有するフィラーを含む表面層を有する現像ローラを使用することで、フィラーの含有量を増やさなくとも、フィラーによる表面層の補強性能を十分に得ることができ、表面層の剥がれを抑制できることを見出した。本発明者らは、ウレタン樹脂中のポリエーテル構造に側鎖メチル基を導入すること、および、フィラーとして疎水性無機粒子を用いることで、側鎖メチル基とフィラーとの間の分子間相互作用により、ウレタン樹脂中におけるフィラーの均一分散性が高まり、且つ、ウレタン樹脂とフィラーの接着力が高まることによりフィラーによる補強性能が効果的に発現したためと推測している。
また、本発明者らは、本発明の電子写真プロセスカートリッジにより、高耐久で安定した画像形成が可能なことを見出した。これは、高速・高耐久機の使用において、トナー帯電量の低下を抑制することで長期間に亘って安定した画像形成を可能とするとともに、表面層の剥がれを抑制することで長寿命での使用が可能となったためである。
また、本発明者らは、本発明の電子写真画像形成装置により、高耐久で安定した画像形成が可能なことを見出した。これも、高速・高耐久機の使用において、トナー帯電量の低下を抑制することで長期間に亘って安定した画像形成を可能とするとともに、表面層の剥がれを抑制することで長寿命での使用が可能となったためである。
<現像部材>
本発明の現像部材は、図1に示すように、円柱状または中空円筒状の導電性の基体11の外周面に弾性層12が固定され、弾性層12の外周面に表面層13が積層された導電性部材から構成される。
〔導電性の基体〕
導電性の基体は、現像部材の電極および支持部材として機能するものであり、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロム、またはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。なお、導電性の基体の表面には、基体と、弾性層との接着性の向上を図るため、プライマーを塗布してもよい。プライマーの例としては、シランカップリング剤系プライマー、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系またはエポキシ系の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。
〔弾性層〕
弾性層は、感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを過不足なく供給することができるように、適切なニップ幅とニップ圧をもって感光体に押圧可能な硬度や弾性を現像部材に付与するために設けられる。
弾性層用の材料としては、種々のゴム材を用いることができる。ゴム材に使用するゴムとしては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらのシロキサンの共重合体が挙げられる。
弾性層中には、導電性付与剤、非導電性充填剤、触媒の如き各種添加剤が適宜配合される。導電性付与剤としてはアルミニウム、銅の如き導電性金属の微粒子、または酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子、またはカーボンブラックを用いることができる。このうち、カーボンブラックは比較的容易に入手でき、良好な導電性が得られるので特に好ましい。導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合は、弾性層中のゴム100質量部に対してカーボンブラック3〜80質量部が配合される。非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛または炭酸カルシウムが挙げられる。
弾性層の厚さは0.5〜5.0mmの範囲内にあることが好ましく、2.0〜4.0mmの範囲内にあることがより好ましい。
〔表面層〕
本発明に係る表面層としては、ウレタン樹脂およびフィラーを含む表面層が用いられる。
〔ウレタン樹脂〕
本発明に係るウレタン樹脂としては、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(1)で示される構造と、下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有し、且つ、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(4)で示される構造を有するウレタン樹脂が用いられる。
構造式(4)中、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基を表す。当該アルキレン基は、直鎖状であってもよく、また、分岐を有していてもよい。
本発明に係るウレタン樹脂は、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造(以下、これらの組み合わせを「構造123」という場合がある)と、構造式(4)で示される構造の両方を、隣接する2つのウレタン結合の間に有していても良く、別々の隣接する2つのウレタン結合の間に「構造123」と構造式(4)で示される構造の一方を有していても良い。
本発明に係るウレタン樹脂は、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造と、構造式(4)で示される構造がランダムに共重合されてなるものが好ましい。その理由は、表面層の電気抵抗値の増大化とフィラーによる補強性能の向上の両立を安定して達成することができるためである。
本発明に係るウレタン樹脂の、構造式(4)で示される構造におけるRが炭素数1以上8以下の直鎖または分岐を有するアルキレン基であることが好ましい。炭素数1〜8のアルキレン基であるとウレタン樹脂の破断強度が向上し、表面層の耐剥がれ性能が非常に良好である。
本発明に係るウレタン樹脂の、構造式(4)で示される構造におけるRが下記構造式(5)で示される構造であることが好ましい。Rが構造式(5)で示される構造であることによりフィラーによる表面層の補強効果を高めることができ、表面層の耐剥がれ性能が非常に良好となる。
さらには、本発明に係るウレタン樹脂は、構造式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構造の総数に対する、構造式(4)で示される構造の総数の比率を20%以上60%以下の範囲内であることが好ましく、30%以上55%以下の範囲内がより好ましい。各構造の総数の比率をこの範囲内とすることで、表面層の電気抵抗値の増大化の達成とフィラーによる補強性能の向上をより高いレベルで両立できる。
また、本発明に係るウレタン樹脂においては、構造式(1)で示される構造の総数と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造の総数との比は80:20から 20:80であることが好ましい。各ポリエーテル構造の総数の比をこの範囲内とすることで、フィラーによる表面層の補強効果をより高めることができ、表面層の耐剥がれ性能が良好となる。
尚、本発明に係るウレタン樹脂が、隣接する2つのウレタン結合の間に、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有し、且つ、隣接する2つのウレタン結合の間に、構造式(4)で示される構造とを有することは、例えばNMR、熱分解GC/MS、FT−IRによる分析により確認することが可能である。
本発明に係るウレタン樹脂は、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有するポリエーテルジオール、および、構造式(4)で示される構造とを有するポリエステルジオールを、任意のイソシアネートと反応させることにより得ることができる。該ポリエーテルジオールは、テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの開環重合により得ることができる。また、該ポリエステルジオールは、ε−カプロラクトンにネオペンチルグリコールを重合開始剤とした開環重合により得ることができる。
イソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートの如き脂環式イソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族イソシアネート;およびこれらの共重合物やイソシアヌレート体、TMPアダクト体、ビウレット体、そのブロック体。この中でもトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族イソシアネートがより好適に用いられる。
ポリエーテルジオールおよびポリエステルジオール(以下、これらを合わせて「ポリオール成分」という)と反応させるイソシアネート化合物およびポリオール成分の混合比(モル比率)は、ポリオールの水酸基1.0モルに対してイソシアネート基が1.3〜8.0モルの範囲内であることが好ましく、さらには1.8〜4.0モルの範囲内であることが好ましい。
前記ポリエーテルジオールおよび前記ポリエステルジオールの数平均分子量は1000以上5000以下であることが好ましく、1000以上3000以下であることがより好ましい。数平均分子量1000以上3000以下のポリエーテルジオールを用いて調製した水酸基末端プレポリマー(ポリオール成分)およびイソシアネート基末端プレポリマー(イソシアネート成分)を用いると、ウレタン樹脂中におけるフィラーの均一分散性が高まり、フィラーによる補強性能を効果的に高めることができる。
なお、数平均分子量の測定に用いる装置および条件は以下の通りである。
・測定機器:HLC−8120GPC(東ソ−社製)
・カラム:TSKgel SuperHZMM(東ソ−社製)×2本
・溶媒:THF(20mmol/L トリエチルアミン添加)
・温度:40℃
・THFの流速:0.6ml/min。
測定サンプルとしては0.1質量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液を用いる。更に検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いる。検量線作成用の標準試料として、TSK標準ポリスチレンA−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−128(東ソ−社製)を用いて、検量線を作成する。これを基に得られた測定サンプルの保持時間から数平均分子量(Mn)を求める。
前記ポリエーテルジオールおよび前記ポリエステルジオールは一般的に極性の低い材料である。そのため、極性の高いイソシアネート成分との相溶性が低く、系内にポリオール成分の比率の高い部分と、イソシアネート成分の比率が高い部分に微視的に相分離しやすい。その結果、ポリオール成分の比率の高い部分は未反応成分が残存しやすく、表面層の補強性能を損なう原因となる場合が生じうる。そこで、前記ポリエーテルジオールおよび前記ポリエステルジオールの少なくとも一方を、水酸基末端プレポリマー或いはイソシアネート基末端プレポリマーとして用いることで、ポリオール成分とイソシアネート成分との極性差を小さくして相溶性を向上させ、表面層の補強性能を効果的に高めることができる。
従って、本発明に係るウレタン樹脂中には、「構造123」を有するポリエーテルジオールと芳香族イソシアネートを反応させた水酸基末端プレポリマーまたはイソシアネート基末端プレポリマーを用いて、「構造123」を有するポリエーテル構造を導入しても良い。
また、本発明に係るウレタン樹脂中には、構造式(4)で示される構造を有するポリエステルと芳香族イソシアネートを反応させた水酸基末端プレポリマーまたはイソシアネート基末端プレポリマーを用いて、構造式(4)で示される構造を有するポリエステル構造を導入しても良い。
前記ポリエーテルジオールおよび前記ポリエステルジオールを、それぞれイソシアネートと反応させた水酸基末端プレポリマーとして使用する場合、プレポリマーの数平均分子量としては10000以上15000以下が好ましい。
また、前記ポリエーテルジオールおよび前記ポリエステルジオールを、イソシアネート基末端プレポリマーとして使用する際は、プレポリマーのイソシアネート基含有量が1.0〜7.0質量%の範囲内にあることが好ましく、3.0〜4.0質量%の範囲内にあることがより好ましい。
水酸基末端プレポリマーの数平均分子量、またはイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量がこの範囲内にあると、生成するウレタン樹脂中の未反応成分の残留を低く抑えることができ、表面層の剥がれを効果的に抑制することができる。
隣接する2つのウレタン結合の間には、「構造式123」、または、構造式(4)で示される構造以外に、本発明の効果が損なわれない程度に必要に応じてポリプロピレングリコール、構造式(4)以外の脂肪族ポリエステルの構造を含有してもよい。構造式(4)以外の構造を有する脂肪族ポリエステルとしては、特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。1,4−ブタンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ルの如きジオ−ル成分;トリメチロ−ルプロパンの如きトリオ−ル成分と、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸等のジカルボン酸との縮合反応により得られる脂肪族ポリエステルポリオ−ル。
図2に本発明に係るウレタン樹脂が有する特徴的な構造の一例を示す。図2においては、隣接しているウレタン結合A1とA2とによって、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とが任意の順序で挟まれている。さらに、別の隣接するウレタン結合B1とB2とによって、構造式(4)で示される構造が任意の順序で挟まれている。p、q及びrは、それぞれ1以上の整数を示す。
このようなウレタン樹脂は、構造式(1)で示される構造を有するポリエーテル成分の存在により、柔軟性に優れている。また、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造を有するポリエーテル成分の存在により、特に低温域でのウレタン樹脂の結晶化を抑制することができ、ウレタン樹脂は柔軟性に優れている。
また、構造式(4)で示される構造を有するポリエステル成分の存在によりウレタン樹脂の電気抵抗値を増大化することができるとともに、ウレタン樹脂とフィラーとの間の分子間相互作用により、ウレタン樹脂中におけるフィラーの分散均一性が高まり、フィラーによる補強性能を高めることができる。
また、構造式(4)で示されるポリエステル構造におけるRを構造式(5)で示される構造とすることにより、エーテル構造の場合と同様にして、ウレタン樹脂とフィラーとの間の分子間相互作用により、ウレタン樹脂中におけるフィラーの分散均一性がさらに高まり、フィラーによる補強性能をより高めることができる。
〔フィラー〕
本発明に係る表面層においては、表面層の補強効果を高める目的で、疎水性無機粒子を含有するフィラーが含まれる。
[疎水性無機粒子]
フィラーとしては例えば以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、石英微粉末、シリカ粒子、ケイソウ土、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤。これらのフィラーは、その表面を有機珪素化合物、例えば、ポリジオルガノシロキサン等を用いて疎水化処理し、疎水性無機粒子とすることができる。
疎水化処理の処理剤としては、例えば以下のものが挙げられる。未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの処理剤は1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、疎水性無機粒子の表面特性については、疎水化度は45%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。また、表面層中における疎水性無機粒子の含有量は、表面層を形成する樹脂成分100質量部に対して5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
疎水性無機粒子を含有するフィラーが好ましい理由は、表面層のウレタン樹脂が有する側鎖メチル基が低極性を示すことにより、側鎖メチル基と疎水性無機粒子との間の分子間相互作用がより高まり、フィラーによる補強性能を高めることができるためと考えられる。
なお、疎水性無機粒子の疎水化度は、粉体濡れ性試験機「WET―100P(レスカ社製)」を使用して、以下の方法で測定される。250mlのトールビーカーに純水70mlを入れ、測定する粒子0.03gを水面上に浮かべる。スターラーにより300rpmで攪拌しながら、定量ポンプでメタノールを2.6ml/minで滴下し、この溶液の透過率を測定する。この溶液の透過率が最小となった時点のメタノール濃度が、「疎水化度」とされる。
本発明に係る表面層に含まれる疎水性無機粒子としては、表面層内の均一分散性が良好であり、粒子による補強性が高いことから、粒子表面を疎水化処理したシリカ粒子が特に好適に用いられる。これは、シリカ粒子が他のフィラーよりも比表面積が大きい為、表面層のウレタン樹脂が有する側鎖メチル基と疎水性シリカとの間の分子間相互作用がより高まり、フィラーによる補強性能を高めることができるためと考えられる。
表面層の補強性能および導電性を考慮すると、シリカ粒子の一次粒子径は、個数平均一次粒径が10nm以上120nm以下の範囲内にあることが好ましく、15nm以上80nm以下の範囲内にあることがより好ましく、15nm以上40nm以下の範囲内にあることがさらに好ましい。なお、本発明において、個数平均一次粒径は、次のようにして測定される。走査電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の長径と短径の平均値を粒子径とし、視野中の100個の粒子の粒子径を測定してその相加平均値を個数平均一次粒径とする。
シリカ粒子の中でも、シリコーンオイルにより処理されたシリカ粒子が好ましい。より好ましくは、シリカ粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時、或いは疎水化処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理シリカ粒子が、表面層内の均一分散性の観点でより好ましい。
シリカ粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、および水ガラスから製造される湿式シリカの両者の微粉体が含まれる。該シリカとしては、表面およびシリカの内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の製造残滓の少ない乾式シリカが好ましい。また乾式シリカは、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体として得ることも可能である。シリカ粒子としてはそれらの複合微粉体も含まれる。
[導電性フィラー]
本発明に係る表面層の電気抵抗値と補強効果を制御する目的で、表面層は更に導電性フィラーを含有することができる。導電性フィラーとしては例えば以下のものが挙げられる。カーボンブラック、グラファイト等の炭素系物質;アルミニウム、銀、金、錫−鉛合金、銅―ニッケル合金等の金属或いは合金;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化銀等の金属酸化物;各種フィラーに銅、ニッケル、銀等の導電性金属めっきを施した物質。導電性フィラーとしては、導電性の制御が容易であり、また安価であるという理由から、カーボンブラックが特に好適に用いられる。
中でも、表面層内での均一分散性が良好であることから、比較的一次粒子径が小さく、疎水性傾向を維持しているものが特に好適に用いられる。これは、表面層のウレタン樹脂が有する側鎖メチル基が低極性を示すことにより、疎水性傾向を維持しているカーボンブラックを用いることで、側鎖メチル基とカーボンブラックとの間の分子間相互作用がより高まり、フィラーによる補強性能を高めることができるためと考えられる。表面層の補強性能および導電性を考慮すると、カーボンブラックの一次粒子径は、個数平均一次粒径が20nm以上60nm以下の範囲内にあることが好ましい。
カーボンブラックの表面特性については、pHが3.0以上8.0以下のものが好ましい。また、表面層中におけるカーボンブラックの含有量は、表面層を形成する樹脂成分100質量部に対して5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
[イオン導電剤]
本発明に係る表面層の電気抵抗値を制御する目的で、表面層は更にイオン導電剤を含有することができる。イオン導電剤を用いることで、カーボンブラックの含有量を減らしても表面層を所望の導電性に制御することが容易となり、表面層を柔軟化することができる。
本発明においては、表面層の電気抵抗値と補強効果および柔軟性を制御する目的から、表面層が導電剤としてカーボンブラックとイオン導電剤との両方を含有することがより好ましい。カーボンブラックとイオン導電剤との両方を含有することで、現像ローラに高電圧を印加した際の電気抵抗値の低下を抑制することが容易となり、トナー帯電量の低下を抑制することができる。
イオン導電剤の材料としては、例えば以下のものが挙げられる。KCFSO、LiCFSO、LiN(CFSO、NaClO、LiClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN、NaClの如き周期律表第1族金属の塩;NHCl、(NHSO、NHNOの如きアンモニウム塩、Ca(ClO、Ba(ClOの如き周期律表第2族金属の塩;これらの塩と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き多価アルコールやそれらの誘導体との錯体;これらの塩とエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルの如きモノオールとの錯体;第4級アンモニウム塩の如き陽イオン性界面活性剤;脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩の如き陰イオン性界面活性剤;ベタインの如き両性界面活性剤。中でも、表面層の電気抵抗値の均一性および安定性が良好であることから、KCFSO、LiCFSO、LiN(CFSOが特に好適に用いられる。
表面層中におけるイオン導電剤の含有量は、表面層の電気抵抗値の均一性および安定性の観点で、表面層を形成する樹脂成分100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
[粗さ制御用微粒子]
現像ローラとして表面粗度が必要な場合は、表面層中に粗さ制御のための微粒子を含有させてもよい。粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒径が3〜20μmであることが好ましい。該微粒子の含有量は、表面層の樹脂成分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。粗さ制御用微粒子としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエ−テル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、フェノ−ル樹脂等の微粒子を用いることができる。
表面層の厚さは、1〜50μmの範囲内にあることが好ましい。さらには、3〜30μmの範囲内にあることがより好ましい。表面層の厚さを1μm以上さらには3μm以上にすることで、表面層の剥がれを効果的に抑制することができる。また、表面層の厚さを50μm以下さらには30μm以下にすることで、トナーの劣化を抑制することができ、長期間に亘って安定した画像形成が可能となる。本発明における表面層の厚さは、例えば、キーエンス株式会社製のデジタルマイクロスコープVHX−600を用いて表面層の厚み方向の断面を観察し、表面層と弾性層の界面から表面層の表面の平坦部までの距離を測定することによって求めることができる。この測定を任意の5つの断面について行い、それら5点の測定値の相加平均値が表面層の厚みとされる。
表面層の形成方法は特に限定されないが、塗料によるスプレー、浸漬塗工、またはロールコートによる方法が挙げられる。浸漬塗工は、特開昭57−5047号公報に記載されているように、弾性層を形成した軸芯体を、塗料を入れた浸漬槽中に浸漬し、浸漬槽の上端から塗料をオーバーフローさせる方法が、表面層を形成する方法として簡便で生産安定性に優れている。
<電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置>
本発明に係る電子写真プロセスカートリッジは、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に装着される電子写真プロセスカートリッジであって、少なくとも現像ローラと、現像ブレードと、トナー容器とを有し、かつ該現像ローラが、本発明に係る現像ローラであることを特徴とする。本発明に係る電子写真画像形成装置は、感光体と、該感光体に当接して配置される現像ローラとを有し該現像ローラが本発明に係る現像ローラであることを特徴とする。
[電子写真プロセスカートリッジ]
図3は、本発明の電子写真プロセスカートリッジの概略構成の一例を示している。現像方法としては、非磁性一成分トナーを用いた接触現像方式等が採用される。
電子写真プロセスカートリッジ1には、トナー2を収容したトナー容器4と、トナー容器の開口を閉塞するように、矢印A方向に回転駆動する現像ローラ10が設けられる。また、現像ローラ10上のトナーを摩擦帯電すると同時に、トナー量を制御して薄層状のトナー層を形成するための現像ブレード(トナー規制部材)3が、現像ローラ10に当接して設けられる。また、現像ローラ10の両端部からのトナー漏れを防止するため、現像ローラ10の両端部に当接して端部シール部材(不図示)がトナー容器4に設けられる。
トナー容器4内には、現像ローラ10にトナー2を供給すると同時に、現像後現像ローラ10上に使用されずに残留するトナー2を掻き取るために、矢印B方向に回転駆動するトナー供給ローラ5が、現像ローラ10に当接して設けられる。また、トナー2を攪拌してトナー供給ローラ5に供給するために、矢印C方向に回転駆動する羽根状のトナー攪拌部材6が設けられる。現像ブレード(トナー規制部材)3は、SUSで作製される板ばねであり、弾性範囲内で曲がった状態で所定の当接圧にて現像ローラ10と当接して配置される。トナー供給ローラ5は、導電性スポンジからなる弾性ローラであり、現像ローラ10に対して侵入させて配置される。
この電子写真プロセスカートリッジは、上記の構成に帯電部材および感光ドラムを加えた構成であっても良い。
[電子写真画像形成装置]
図4は、本発明に係る電子写真プロセスカートリッジを搭載する電子写真画像形成装置の一例を示している。
電子写真画像形成装置100は、転写方式電子写真プロセス、接触帯電方式、一成分接触現像方式、を用いたカラーレーザープリンタとされる。電子写真画像形成装置100は、通信可能に接続された外部ホスト装置(不図示)からの画像情報に応じて記録媒体としての転写材101、例えば、用紙、OHPシートなどにフルカラーの画像を形成し、出力することができる。
また、電子写真画像形成装置100は、フルカラープリント画像を得る4連ドラム方式(インライン方式)の画像形成装置とされる。即ち、電子写真画像形成装置100は、像形成手段たる複数の、即ち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する画像形成部を有している。各画像形成部により形成された画像は、一旦、中間転写体としての中間転写ベルト102上に多重転写され、その後、紙などの記録媒体としての転写材101上に一括転写される。中間転写ベルト102は、駆動ローラおよび支持ローラによって懸架され、矢印D方向に駆動される。
各色の画像形成部は、同じ構成とされ、矢印方向に回転駆動される静電潜像を担持するための像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)7を備えている。感光ドラム7の回りには、帯電手段としての帯電ローラ(不図示)、および、露光手段としてのレーザービームスキャナ装置8が配置され、感光ドラム7上に静電潜像を形成する。感光ドラム7の回りには、更に現像手段としての電子写真プロセスカートリッジ1が配置され、感光ドラム7上に形成された静電潜像を現像して可視像(トナー像)とする。また、感光ドラム7の回りには、感光ドラム7上の残トナー像をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニング装置(不図示)が配置されている。
各画像形成部を構成する、上記電子写真プロセスカートリッジ1、感光ドラム7、帯電ローラ(不図示)、およびクリーニング装置(不図示)は、一体に構成されてプロセスカートリッジとされる。各プロセスカートリッジは、装着手段(不図示)を介して電子写真画像形成装置100の本体に対して着脱可能とされる。従って、プロセスカートリッジにおける電子写真プロセスカートリッジ1がトナー消費による寿命に達した場合には、その画像形成部、即ち、プロセスカートリッジを交換することが可能となっている。
各画像形成部で帯電装置(不図示)によって感光ドラム7を均一に帯電し、帯電された表面に露光装置8によってコントローラからの入力信号に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーにより現像して電子写真プロセスカートリッジ1においてトナー像として顕像化される。この画像形成プロセスを色毎に行う。各色のトナー像は、転写手段としての一次転写ローラ103が配置された一次転写部において中間転写ベルト102上に転移され、中間転写ベルト102上にカラー画像が形成される。このカラー画像は、二次転写手段としての二次転写ローラ104が配置された二次転写部にて、一括して転写材101上に転写される。転写材101は、搬送ローラ105の搬送手段により、給紙カセットから二次転写ローラ104を備えた二次転写部へと搬送される。
カラー画像が転写された転写材101は、定着装置106に搬送され、定着装置106によってトナー像の定着を受けた後に排出される。一方、転写後の感光ドラム7上に残留する転写残トナーは、クリーニング装置(不図示)によってクリーニングされる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づき詳細に説明する。下記の実施例は、本発明の最良な実施形態の一例であるものの、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。実施例に先立って、ウレタン樹脂の原料となるポリエーテルジオール、イソシアネート基末端プレポリマーおよびポリエステルジオールの製造例を説明する。
[製造例1:ポリエーテルジオールA−1の合成]
反応容器中で、乾燥テトラヒドロフラン144.2g、乾燥3−メチルテトラヒドロフラン172.2g(モル混合比50:50)の混合物を、温度10℃に保持した。テトラヒドロフランは開環重合により下記構造式(1)で示される構造を供し、また、3−メチルテトラヒドロフランは開環重合により下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造を供する原材料である。次に、70%過塩素酸水溶液13.1g、および無水酢酸120gを加え、1.5時間反応を行った。次に、反応混合物を20%水酸化ナトリウム水溶液600g中に注ぎ、精製を行った。さらに、減圧下、残留する水および溶媒成分を除去し、液状のポリエーテルジオールA−1を得た。得られたポリエーテルジオールの数平均分子量Mnは1000であった。
[製造例2〜3:ポリエーテルジオールA−2、A−3の合成]
反応時間を表1に示す条件に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリエーテルジオールA−2およびA−3を得た。得られたポリエ−テルジオールの数平均分子量Mnを表1に示す。
ポリエーテルジオールA−1からA−3は、前記構造式(1)で示される構造と、前記構造式(2)で示される構造および前記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有していた。構造式(1)で示される構造の総数と、構造式(2)および構造式(3)で示される構造の合計総数の比は50:50であった。
[製造例11:イソシアネート基末端プレポリマーB−1の合成]
窒素雰囲気下、反応容器中でコスモネートMDI(商品名、三井化学社製)76.5gに対し、200.0gのポリエーテルジオールA−1を、反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.8質量%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーB−1を得た。
[製造例12〜13:イソシアネート基末端プレポリマーB−2、B−3の合成]
ポリエーテルジオールを表2のように変更した以外は製造例11と同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーB−2およびB−3を得た。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量(質量%)を表2に示す。
イソシアネート基末端プレポリマーB−1、B−2およびB−3は、ポリメリックMDIから成るイソシアネート基末端プレポリマーであり、前記構造式(1)で示される構造と、前記構造式(2)で示される構造および前記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有し、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)および構造式(3)で示される構造のモル比(原料仕込み比)は50:50であった。
[製造例14:イソシアネート基末端プレポリマーB−4の合成]
ポリエーテルジオールをポリテトラメチレングリコールPTMG3000(商品名、三洋化成工業社製)に変更した以外は製造例11と同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーB−4を得た。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量(質量%)、を表2に示す。
イソシアネート基末端プレポリマーB−4は、ポリメリックMDIから成るイソシアネート基末端プレポリマーであり、前記構造式(1)で示される構造を有するが、前記構造式(2)で示される構造および前記構造式(3)で示される構造のいずれも有さず、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)および構造式(3)で示される構造とのモル比(原料仕込み比)は100:0であった。
イソシアネート基末端プレポリマーB−1〜B−4における、構造式(1)で示される構造と構造式(2)および構造式(3)で示される構造とのモル比「M:M23」(原料仕込み比)を表2にまとめて示す。
[製造例21:ポリエステルジオールC−1の合成]
反応容器中に、ε−カプロラクトン947.9g、オクチル酸スズ(商品名「スタノクト」、(株)エーピーアイコーポレーション製)0.010g(10ppm)、重合開始剤としてネオペンチルグリコール52.1gを仕込んだ。次いで、温度150℃で、残存するε−カプロラクトンがガスクロマトグラフィー分析にて1質量%以下になるまで反応させて、ポリエステルジオールC−1を得た。得られたポリエステルジオールC−1の数平均分子量Mnは2000であった。
[製造例22〜31:ポリエステルジオールC−2からC−11の合成]
重合開始剤を表3に示すものに変更した以外は製造例21と同様の条件にして、ポリエステルジオールC−2からC−11を得た。得られたポリエステルジオール中の構造式(4)におけるRの構造を表3に示す。
〔実施例1〕
下記の手順によって現像ローラD−1を製造した。
[1.軸芯体の調製]
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼付けて、プライマー層が周面に形成された芯金を用意した。
したものを用意した。
[2.弾性層の形成]
プライマー層を周面に有する芯金を金型内に配置し、下記表4に示す材料を混合した付加硬化型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を温度150℃で15分間加熱して、付加硬化型シリコーンゴム組成物を硬化させた。金型から、周面にシリコーンゴム層が形成された芯金を取り出し、、さらに、温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層を更に硬化させた。こうして、芯金の外周に弾性層を設けた弾性ローラを得た。なお、得られた弾性ローラの、弾性層が形成されている部分の直径は12mmであった。
[3.表面層の形成]
表面層の材料として、下記表5に示す材料を撹拌混合し、表面層用の組成物を調製した。
次に総固形分比20質量%になるように、この組成物をメチルエチルケトン(以下、「MEK」という。)に溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。さらに、ウレタン樹脂粒子(商品名:C600透明、直径10μm、根上工業株式会社製)を10.0質量部加えて均一に分散し、表面層形成用塗料を得た。
次いで、この塗料を粘度が5〜7cpsになるようMEKで希釈した。この希釈液中に前記弾性ローラを浸漬して弾性層上に塗料を塗工した後、乾燥させた。さらに温度150℃にて1時間加熱処理することで、弾性層の外周に膜厚8μmの表面層を形成した。このようにして、現像ローラD−1を製造した。
〔実施例2〜29および比較例1〜20〕
表面層形成用塗料の配合比を表7または表8に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、現像ローラD−2〜D−49を製造した。いずれの場合も、樹脂成分100質量部に対して、無機粒子の使用量は10質量部、カーボンブラックの使用量は10質量部、イオン導電剤の使用量は1質量部である。各実施例において使用したカーボンブラック、無機粒子およびイオン導電剤の詳細を下記表6に示す。
〔現像ローラの評価〕
実施例1〜29および比較例1〜20で得られた現像ローラD−1からD−49について、以下の測定および評価を行った。
[1.ウレタン樹脂の構造の測定]
現像ローラD−1からD−49の各表面層が含むウレタン樹脂を、FT−NMR装置 AVANCE500(商品名、BRUKER社製)を用い、測定核H、13C、(25℃、重クロロホルム中、基準物質としてテトラメチルシランを用いる)で分析した。その結果、現像ローラD−1からD−45、D−48,D−49においては、隣接する2つのウレタン結合の間に、前記構造式(1)で示される構造と、前記構造式(2)で示される構造および前記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有し、且つ、隣接する2つのウレタン結合の間に、前記構造式(4)で示される構造を有することが確認された。
現像ローラD−46においては、隣接する2つのウレタン結合の間に、前記構造式(1)で示される構造と、前記構造式(2)で示される構造および前記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有するが、隣接する2つのウレタン結合の間に、前記構造式(4)で示される構造を有していないことが確認された。現像ローラD−47においては、隣接する2つのウレタン結合の間に、前記構造式(1)で示される構造を有するが、前記構造式(2)で示される構造および前記構造式(3)で示される構造を有しておらず、且つ、隣接する2つのウレタン結合の間に、前記構造式(4)で示される構造を有することが確認された。
さらに、現像ローラD−1からD−49の各表面層が含むウレタン樹脂について、構造式(1)、(2)および(3)で示される構造の総数に対する構造式(2)および(3)で示される構造の総数の比率「100S23/S123」を測定し、また構造式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構造の総数に対する構造式(4)で示される構造の総数の比率「100S/S1234」を測定した。それらの結果を表7および表8に示す。
[2.破断強度測定]
本発明における、表面層の剥がれ抑制効果を表す膜強度の指標として、表面層の破断強度を用いることができる。本発明者らの検討によれば、表面層の破断強度はフィラーによる補強性能と良い相関を示す。
表面層を形成する塗料を用いて厚さ約200μmのシートを作製し、このシートより所望の形状に切り抜いた試験片を用いて、JIS K 6251に従って切断時引張応力を測定した。この切断時引張応力を表面層の破断強度とした。
測定には、引張試験機(「テンシロンRTC−1250A」、オリエンテック社製)を用い、試験片はJIS−3号形ダンベル形状とし、測定環境は温度20±3℃/相対湿度60±10%とする。試験片の両端各10mmをチャックに取り付け、チャック間長さ80mm、測定速度100mm/minで測定を行い、破断時にかかる力を測定する。この破断時の力および破断点の断面積を算出して、単位面積あたりの切断時引張応力σ(MPa)を算出する。この試験を5回繰り返し、σ(MPa)値の相加平均値を算出し、当該試験片(表面層)の破断強度とする。
[3.剥がれ評価]
現像ローラの剥がれ評価は、電子写真画像形成装置を用いて、以下の手順で行った。電子写真画像形成装置には、Hewlett−Packard社製 Color LaserJet CP3520(商品名)を用いた。電子写真プロセスカートリッジには専用のブラック用のものを用い、当該装置の現像ローラを実施例1において作製した現像ローラD−1に交換して準備した。このとき、トナーは100gになるように充填量を調整した。さらに、トナー規制部材が現像ローラに当接する線圧を0.98N/cm(100gf/cm)と、通常の値よりも高く設定した。
準備した電子写真プロセスカートリッジを電子写真画像形成装置の本体に搭載し、温度30℃、相対湿度80%の環境に24時間放置した。その後、同環境下において、レターサイズの紙(商品名:「Business Multipurpose 4200」、XEROX社製)上に、印字率が0.2%となるブラックのみの画像の出力を繰り返した。印字モードは、レターサイズの紙を1枚出力する毎に、電子写真感光体の回転を1度停止させ、5秒毎に1枚の出力を行う間欠モードとした。1000枚の出力毎にベタ白画像の出力を行い、これを20000枚まで繰り返し、以下の方法で剥がれ評価を行った。
20000枚の出力を終えた電子写真プロセスカートリッジを電子写真画像形成装置の本体から取出し、さらに現像ローラを取り外して現像ローラ上のトナーを除去した後、現像ローラの端部における表面層の剥がれのレベルを目視で確認した。なお、現像ローラの表面層の剥がれは、端部シール部材が当接する現像ローラの両端部において発生する場合が多い。これは、現像ローラの両端部においては、端部シール部材によりトナー層が形成されずに、現像ローラが感光ドラムと当接して周速差を持って回転する為、現像ローラの両端部に感光ドラムによる高い摩擦力が働くためである。
評価結果は、以下の基準でA〜Gにランク付けした。
A:剥がれが発生しない。
B:直径0.5mmより小さい軽微な剥がれが発生する。
C:直径0.5mm以上かつ1mmより小さい剥がれが発生する。
D:直径1mm以上かつ3mmより小さい剥がれが発生する。
E:直径3mm以上かつ5mmより小さい剥がれが発生する。
F:直径5mm以上かつ7mmより小さい剥がれが発生する。
G:直径7mm以上の剥がれが発生する。
表9の実施例1〜29の結果より、弾性層の外周面を被覆するウレタン樹脂およびフィラーを含む表面層を有する現像ローラにおいて、ウレタン樹脂として側鎖メチル基を持つポリエーテル構造とポリエステル構造とを有するウレタン樹脂を使用し、かつフィラーとして疎水性無機粒子を使用することで、表面層の剥がれを抑制し、高耐久で長期間に亘渡って安定した画像性能を発揮できることを見出した。
具体的には、比較例1においては、表面層中の無機粒子が疎水化処理されていない現像ローラを使用しているため、剥がれ評価は良好なレベルではない。一方、実施例1においては、表面層のウレタン樹脂が、無機粒子が疎水化処理されている現像ローラを使用しているため、破断強度が高く、剥がれ評価が良好なレベルである。
また、比較例17、比較例18においては、表面層のウレタン樹脂が、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造と、構造式(4)で示される構造のいずれかを有していない現像ローラを使用しているため、剥がれ評価が良好なレベルではない。一方、実施例19は構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造とを有し、且つ、構造式(4)で示される構造を持っているため、破断強度が高く、剥がれ評価がより良好なレベルである。
さらに、表面層のウレタン樹脂中に含まれる、構造式(4)で示される構造におけるRの構造が構造式(5)で以外の構造を持つ現像ローラを使用している実施例18〜26に対して、構造式(4)で示される構造におけるRの構造が構造式(5)で示される構造を持つ現像ローラを使用している実施例17は、破断強度が高く、剥がれ評価がより良好なレベルである。
表面層のウレタン樹脂中に含まれる、構造式(1)から(4)で示される構造の総数に対する、構造式(4)で示される構造の総数の比率が20%以上60%以下の範囲から外れる現像ローラを使用している実施例17に対して、構造式(1)から(4)で示される構造の総数に対する、構造式(4)で示される構造の総数の比率が20%以上60%以下の範囲内である現像ローラを使用している実施例11から13は、破断強度が高く、剥がれ評価が良好なレベルである。
表面層のウレタン樹脂中に含まれる疎水性無機粒子がシリカではない実施例12に対して、表面層のウレタン樹脂中に含まれる疎水性無機粒子がシリカである現像ローラを使用している実施例6から実施例9では、破断強度が高く、剥がれ評価のレベルがより良好である。
表面層が、導電剤としてカーボンブラックとイオン導電材のどちらか一方のみを含有する現像ローラを使用している実施例6に対して、導電剤としてカーボンブラックとイオン導電剤の両方を含有する現像ローラを使用している実施例1から4では、破断強度が高く、剥がれ評価のレベルがより良好である。
1‥‥電子写真プロセスカートリッジ
3‥‥現像ブレード
4‥‥トナー容器
7‥‥感光体(感光ドラム)
10‥‥現像部材(現像ローラ)
11‥‥導電性の基体
12‥‥弾性層
13‥‥表面層
100‥‥電子写真画像形成装置

Claims (7)

  1. 導電性の基体と、該基体上の弾性層と、該弾性層の表面を被覆する表面層と、を有する現像部材であって、
    該表面層は、ウレタン樹脂およびフィラーを含み、
    該ウレタン樹脂は、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(1)で示される構造と、下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造と、を有し、且つ、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(4)で示される構造を有するものであり、
    該フィラーは、疎水性無機粒子を含有する、ことを特徴とする現像部材:
    [構造式(4)中、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基を表す。]。
  2. 前記構造式(4)のRが下記構造式(5)で示される構造である請求項1に記載の現像部材。
  3. 前記ウレタン樹脂において、構造式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構造の総数に対する、構造式(4)で示される構造の総数の比率が20%以上60%以下の範囲内である請求項1または2に記載の現像部材。
  4. 前記疎水性無機粒子がシリカ粒子である請求項1乃至3のいずれかの一項に記載の現像部材。
  5. 前記表面層が導電剤としてカーボンブラックとイオン導電剤の両方を含有してなる請求項1乃至4のいずれかの一項に記載の現像部材。
  6. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に装着される電子写真プロセスカートリッジであって、該電子写真プロセスカートリッジは、少なくとも現像部材と、現像ブレードと、トナー容器とを有し、かつ該現像部材が、請求項1乃至5のいずれかの一項に記載の現像部材であることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
  7. 感光体と、該感光体に当接して配置される現像ローラとを有する電子写真画像形成装置であって、該現像部材が、請求項1乃至5のいずれかの一項に記載の現像部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。

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