JP2017189934A - 積層シートの製造方法、積層シート、積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】PVCシートを備えカード化した場合に層間の接着強度を向上できる積層シートの製造方法、積層シート、積層体を提供する【解決手段】積層シートは、前工程において、上シートと下シート16との間にICチップ12a等を配置した状態で、熱プレス板51間に配置し加熱及び加圧する熱プレス工程によって製造され、前工程を繰り返すことにより複数製造され、前工程を繰り返す過程において、熱プレス工程によってPVCシート材から熱プレス板51に堆積したスズ化合物の除去工程を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、PVCシートを備える積層シートの製造方法、積層シート、積層体に関するものである。
従来、複数の樹脂シートを重ねて、熱プレスすることにより層間が熱溶着されたカードがあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来のカードは、樹脂シートとしてPVCシートを用い、PVCシートを重ねて熱溶着すると、層間の接着強度が十分ではない場合があった。
特開2004−334681号公報
本発明の課題は、PVCシートを備えカード化した場合に層間の接着強度を向上できる積層シートの製造方法、積層シート、積層体を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
・第1の発明は、積層体(1)に積層される積層シート(10)の製造方法であって、前記積層体は、上層部(20)と下層部(30)との間に前記積層シートを配置した状態で加熱及び加圧する本工程によって製造され、前記積層シートは、前記本工程前の前工程において、最上層である上シート(15)と最下層である下シート(16)との間に電子部品(12a,13)を配置した状態で、熱プレス板(51)間に配置し加熱及び加圧する熱プレス工程によって製造され、前記前工程を繰り返すことにより、複数製造され、前記上シート及び前記下シートの少なくとも1つは、熱安定剤としてスズ化合物を含有するPVCシート材であり、前記前工程を繰り返す過程において、熱プレス工程によって前記PVCシート材から前記熱プレス板に堆積したスズ化合物(80)の除去工程を備えること、を特徴とする積層シートの製造方法である。
・第2の発明は、第1の発明の積層シートの製造方法において、前記スズ化合物の除去工程は、前記前工程後のPVCシート材(15,16)の表面のスズ原子組成百分率が1.5atomic%以下であるように、熱プレス板に付着したスズ化合物を除去すること、を特徴とする積層シートの製造方法である。
・第3の発明は、第1又は第2の発明の積層シートの製造方法において、前記スズ化合物の除去工程は、キシレン系の溶剤を用いて、スズ化合物(80)を除去すること、を特徴とする積層シートの製造方法である。
・第4の発明は、積層体(1)に積層される積層シート(10)であって、前記積層体は、上層部(20)と下層部(30)との間に前記積層シートを配置した状態で加熱及び加圧する本工程によって製造され、前記積層シートは、前記本工程前の前工程において、最上層である上シート(15)と最下層である下シート(16)との間に電子部品(12a,13)を配置した状態で、熱プレス板(51)間に配置し加熱及び加圧する熱プレス工程によって製造され、前記前工程を繰り返すことにより、複数製造され、前記上シート及び前記下シートの少なくとも1つは、熱安定剤としてスズ化合物を含有するPVCシート材であり、前記前工程後の前記PVCシート材の表面のスズ原子組成百分率が1.5atomic%以下であること、を特徴とする積層シートである。
・第5の発明は、第4の発明の積層シート(10)と、前記前工程後の本工程において、前記積層シートの上面に熱溶着により接着された上層部(20)と、前記本工程において、前記積層シートの下面に熱溶着により接着された下層部(30)と、を備える積層体である。
本発明によれば、PVCシートを備えカード化した場合に層間の接着強度を向上できる積層シートの製造方法、積層シート、積層体を提供できる。
実施形態のカード1を示す図である。 実施形態の前工程における積層シート10の熱プレス工程を説明する断面図である。 実施形態の本工程における上層部20、積層シート10、下層部30の熱プレス工程を説明する断面図である。 実施形態の本工程において多面付けされたカード部材1Aの配置を示す図である。 実施形態の検証におけるサンプル表面の原子濃度(原子組成百分率)を説明する表である。 実施形態の検証における前工程のプレス回数及び剥離強度の関係、熱プレス板51の洗浄後の剥離強度を示す表である。
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態のカード1を示す図である。
図1(A)は、カード1を上面から見た図である。
図1(B)は、カード1の層構成を説明する断面図(図1(A)のB−B断面図)である。
実施形態、図面では、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。図1に示すように、この座標系は、カード上面を観察した状態におけるカード1の長手方向が左右方向X(左側X1,右側X2)、短手方向が縦方向Y(下側Y1,上側Y2)、観察方向が厚さ方向Z(下側Z1,上側Z2)である。なお、各図面において、厚さ方向Z等の構成等は、明確に図示するために、適宜大きさを誇張する。
[カード1の構成]
カード1(積層体)は、リーダライタ等の外部装置との間で、非接触で通信可能なICカードである。
カード1は、積層シート10、上層部20、下層部30を備える。積層シート10の上側Z2には、上層部20が積層され、また、積層シート10の下側Z1には、下層部30が積層されている。
なお、説明は省略するが、カード1は、必要に応じて、磁気リーダで読み取り可能な磁気ストライプ、外部装置との間で電気的に接続して通信するための外部接触端子等を備える。
積層シート10は、アンテナシート11、ICモジュール12(電子部品)、アンテナ13(電子部品)、スペーサ層14、上シート15、下シート16を備える。積層シート10は、これらの部材を重ねた状態で熱プレスし、シート状に加工したものである。
アンテナシート11、スペーサ層14、上シート15、下シート16は、PVC(ポリ塩化ビニル)シート材である。
アンテナシート11、スペーサ層14、上シート15、下シート16の外形は、カード外形と同等である。アンテナシート11は、上シート15及び下シート16の間に積層される。すなわち、スペーサ層14、上シート15は、アンテナシート11の上面に下側Z1から上側Z2に向けてこの順番で積層されている。下シート16は、アンテナシート11の下面に積層されている。
アンテナシート11は、ICモジュール12、アンテナ13が実装される。アンテナシート11は、ICモジュール12を配置するための孔を備える。
ICモジュール12は、非接触通信可能なICチップ12aが、電気基板12bに実装された部材である。ICチップ12aは、樹脂12c等によって封止されている。
アンテナ13は、電磁誘導方式で非接触通信するためのループコイルアンテナである。アンテナ13は、例えば、被覆付導線をコイル状に巻いたものである(図1(A)参照)。アンテナ13の両端は、電気基板12bを介して、ICチップ12aに電気的に接続されている。
なお、ICチップ12aは、アンテナシート11上に直接実装し、また、アンテナ13は、導体(アルミニウム、銅等)をエッチグング等でアンテナシート11上に設けてもよい。
スペーサ層14は、ICチップ12aの厚さ分を調整するために、アンテナシート11及び上シート15間に積層される。スペーサ層14は、ICモジュール12を配置するための孔を備える。
上シート15は、積層シート10の最上層に積層される。
下シート16は、積層シート10の最下層に積層される。
上層部20は、下側Z1から上側Z2に向けて上基材21、透明シート22、印刷層23が積層されている。
上基材21、透明シート22は、PVCシート材である。上基材21、透明シート22の外形は、カード外形と同等である。
上基材21は、カード1のコア部材である。
透明シート22は、カード1の上面を保護するカバー層である。
印刷層23は、クレジットカードの会社名等の文字や、記号、模様等がオフセット印刷等によって設けられた層である。
下層部30は、上側Z2から下側Z1に向けて下基材31、透明シート32が積層されている。
下基材31、透明シート32は、PVCシート材である。下基材31、透明シート32の外形は、カード外形と同等である。
下基材31は、上基材21と同様に、カード1のコア部材である。
透明シート32は、カード1の下面を保護するカバー層である。透明シート32の上面又は下面には、カード1の使用方法の説明等が印刷された印刷層(図示せず)を備える。
なお、詳細な説明は省略するが、各層間には、内部構造の隠蔽の目的、層間の熱溶着性の向上の目的等のために、シルク印刷層等を設けてもよい。
[カード製造方法]
カード1の製造工程について説明する。
図2は、実施形態の前工程における積層シート10の熱プレス工程を説明する断面図である。
図3は、実施形態の本工程における上層部20、積層シート10、下層部30の熱プレス工程を説明する断面図である。
図4は、実施形態の本工程において多面付けされたカード部材1Aの配置を示す図である。
図4(A)は、図4(B)のA−A部矢視図である。
図4(B)は、断面図である。
カード1の製造は、図2に示す前工程で、予め積層シート10を製造し、次に、図3に示す本工程で、上層部20、積層シート10、下層部30を積層することによりカードの最終形態に加工、つまりカード化する。前工程と、本工程とは、異なる工場で行ってもよい。
なお、図4に示すように、カード製造は、実際には、複数枚分のカード部材1Aが多面付けされたシート材(複数枚分のカード1の部材をXY平面方向に複数配置したシート材)を熱プレス後に、個片にする手法により行われる。図4は、本工程の状態を示すが、前工程でも、複数枚分の積層シート10が多面付けされたシート材(複数枚分の積層シート10の部材をXY平面方向に複数配置したシート材)を用いる。実施形態では、適宜、簡略して1枚分のカード1を製造する例を図示する。
(前工程:積層シート10の製造)
(1)図2に示すように、アンテナシート11の上側Z2に、スペーサ層14、上シート15を配置し、アンテナシート11の下側Z1に、下シート16を配置した状態で、上下の熱プレス板51の間に配置する。
(2)上記(1)のように配置した状態で、熱プレス板51で、熱プレス(加熱及び加圧)する。これにより、各層間(上シート15及びスペーサ層14の層間、スペーサ層14及びアンテナシート11の層間、アンテナシート11及び下シート16の層間)がそれぞれ熱溶着により接着される。
以上の工程により、積層シート10を製造できる。
積層シート10は、上記(1)、(2)の工程を繰り返すことにより、複数製造される。
なお、前工程の繰り返す過程において、スズ化合物80の除去工程を備える。スズ化合物80の除去工程の詳細は、後述する。
(本工程:カード化)
(3)図3に示すように、積層シート10の上側Z2に、上シート15を配置し、積層シート10の下側Z1に、下シート16を配置した状態で、上下の熱プレス板61の間に配置する。
(4)上記(3)のように配置した状態で、熱プレス板61で、熱プレス(加熱及び加圧)する。これにより、各層間(透明シート22及び上基材21の層間、上基材21及び積層シート10の上シート15の層間、積層シート10の下シート16及び下基材31の層間、下基材31及び透明シート32の層間)がそれぞれ熱溶着により接着される。
なお、印刷層23は、フィルム23a上に形成されており、熱プレスによって、透明シート22に転写される。フィルム23aは、熱プレス後に剥離される。
その後、多面付けされた状態のカード1を、プレス加工等によって個片にする(図示は省略する)。
これにより、カード1を製造できる。
(スズ(Sn)系化合物の除去工程)
ここで、図1(B)に示すように、カード1は、積層シート10の上シート15及び上層部20の上基材21の層41間の剥離、積層シート10の下シート16及び下層部30の下基材31の層間42の剥離が発生してしまうことがある。この層間剥離の原因を解明できたので、説明する。
PVCシート材である上シート15、下シート16には、通常、熱安定剤としてスズ化合物が含まれている。このスズ化合物は、前加工の熱プレスにおいて、熱プレス板51に付着する。その理由は、上シート15、下シート16に含まれるスズ化合物80の一部がにじみ出てくる現象(ブリードともいう)等によると考えられる。
図2に示すように、このため、前加工の熱プレスを複数回行うと、多量のスズ化合物80が熱プレス板51の加圧面に堆積した状態になる。この状態で、新たに積層シート10を製造するために、前工程の熱プレスをすると、熱プレス板51に堆積したスズ化合物80は、上シート15の上面、下シート16の下面に付着してしまう(図2に示す矢印81参照)。このようにスズ化合物80が付着した積層シート10と、上シート15、下シート16とを、本工程で熱プレスすると(図3参照)、熱溶着面にスズ化合物80が存在してしまうために(図1(B)参照)、熱溶着による接着強度が低下する。
そこで、実施形態では、前工程を繰り返す過程において、スズ化合物80の除去工程を設けた。
スズ化合物80の除去工程は、熱プレス板51に堆積したスズ化合物80を除去する工程である。
スズ化合物80の除去工程は、前工程を複数回行う毎に、実施すればよい。つまり、前工程を繰り返す過程において、例えば、規定数毎に1回行えばよい。
すなわち、スズ化合物80が上記層間剥離の要因になる程度まで熱プレス板51に堆積した場合に、熱プレス板51の加圧面を洗浄すればよい。熱プレス板51の洗浄は、有機溶剤(有機溶媒)を含ませた布等でスズ化合物80を拭き取ったり、スズ化合物80を有機溶剤で洗い流せばよい。
(層間剥離の原因の検証実験)
層間剥離の原因の検証実験について説明する。
図5は、実施形態の検証におけるサンプル表面の原子濃度(原子組成百分率)を説明する表である。
層間剥離の検証実験のサンプルは、全て同一の層構成であり、材料は、以下の通りである。
・上層部20
・透明シート22:厚さ50μm
・上基材21:150μm
・積層シート10
・上シート15:厚さ50μm
・スペーサ層14:厚さ220μm
・アンテナシート11:厚さ100μm
・下シート16:厚さ50μm
・下層部30
・下基材31:150μm
・透明シート32:厚さ50μm
これらの層は、全て、PVCシート材である。
検証実験では、サンプル表面の原子濃度を、X線光電子分光分析法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)で測定した。原子濃度は、原子組成百分率(atomic%)で示す。
カード1、積層シート10のサンプルは、以下の通りである。
・サンプル♯01は、実際に剥離を起こしたカード1である。測定部分は、剥離界面である下シート16下面、下基材31上面である。
・サンプル♯02は、剥離を起こした積層シート10と同様な条件で製造された積層シート10である。つまり、サンプル♯02は、カード化後に剥離を起こした積層シート10のロットと同一のロットのカード化前(本工程前)の積層シート10である。測定部分は、積層シート10の上面(上シート15上面)、積層シート10の下面(下シート16下面)である。
・サンプル♯03は、剥離を起こさない積層シート10と同様な条件で製造された積層シート10である。つまり、サンプル♯03は、カード化後に剥離を起こさなかった積層シート10のロットと同一のロットのカード化前(本工程前)の積層シート10である。測定部分は、積層シート10の上面(上シート15上面)、積層シート10の下面(下シート16下面)である。
・サンプル♯04は、上基材21、下基材31のプレス前のシート材(つまり未加工品)である。
・サンプル♯05は、積層シート10の上シート15、下シート16のプレス前のシート材(つまり未加工品)である。
測定条件:測定に使用した装置、設定は、以下の通りである、
・装置:PHI5600(ULVAC−PHI社製XPS装置)
・入射X線:ALKα線(非単色光源、hν=1486.6ev)
・X線出力:300W(12kV・25mA)
・測定面積:800μmφ
・光電子取込角:45°
図5に示すように、剥離を起こすサンプル♯02のスズ濃度(上シート15:2.0atomic%、下シート16:2.1atomic%)は、サンプル♯03のスズ濃度(上シート15:0.1atomic%、下シート16:0.1atomic%)、サンプル♯04のスズ濃度(上基材21び下基材31:0.2atomic%)、サンプル♯05のスズ濃度(上シート15及び下シート16:0.3atomic%)よりも、著しく高かった。また、実際に剥離を起こした界面のサンプル♯01のスズ濃度(下シート16:0.7atomic%、下基材:0.7atomic%)も、サンプル♯03,♯04,♯05のスズ濃度よりも高かった。
このため、層間剥離の原因は、積層シート10の上シート15上面、下シート16下面に付着したスズ化合物80が原因であると推測できる。
また、剥離しないサンプル♯03の上シート15上面、上シート15下面のスズ濃度は、0.1atomic%である。このため、本プレス前の積層シート10の状態において、上シート15上面、上シート15下面のスズ濃度が0.1atomic%以下であれば、本プレス後(カード化)においても、層間剥離を起こさない程度の接着強度を得られることを確認できた。
なお、剥離を起こしたサンプル♯02は、本プレス前の積層シート10の状態において、上シート15上面のスズ濃度が2.0atomic%である。このため、本プレス前の積層シート10の状態において、上シート15上面又は下シート16のスズ濃度がこれよりも小さければ、層間剥離を起こさない程度の接着強度を得られる可能性がある。上記スズ濃度が、例えば1.5atomic%以下であれば、このような接着強度を期待できる。
また、上記スズ濃度が1.0atomic%以下であれば、サンプル♯02及びサンプル♯03の中間値以下であるので、スズ化合物が溶着に影響しない可能性が大きい。
さらに、上記スズ濃度が0.5atomic%以下であれば、スズ原子組成百分率がさらに小さいので、スズ化合物が溶着に影響しない可能性がさらに大きい。また、このような微小な量であれば、溶着への影響が殆んどないとも推測できる。
(スズ化合物80の除去工程による剥離強度向上の検証実験)
図6は、実施形態の検証における前工程のプレス回数及び剥離強度の関係、熱プレス板51の洗浄後の剥離強度を示す表である。
検証実験は、最初に、スズ化合物80の堆積量の異なる熱プレス板51を用いて積層シート10を製造し、さらに、この積層シート10を用いてカード1を製造した。そして、下シート16及び下基材31間の剥離強度(つまり層間接着力)を確認した。
図4に示すように、剥離強度は、1組の熱プレス板61当たり、熱プレス機のスライド駆動部62から伝わる圧力の大きさが異なる位置P1,P2,P7,P8の4枚と、位置P3,P4,P5,P6の4枚との2種類のカード1を測定した。多数付けされたカード1のうち、位置P1,P2,P7,P8のカード1は、スライド駆動部62の加圧範囲62aから最も離れているので、熱プレス板61から圧力がかかりにくい。一方、位置P3,P4,P5,P6のカード1は、スライド駆動部62の加圧範囲62aの近傍であるので、熱プレス板61から圧力がかかりやすい。
前工程の熱プレス板51のサンプルは、以下の通りである。
サンプル♯10:初期状態(プレス0回又はこれに同等)の熱プレス板51である。
サンプル♯11〜♯13:プレス300回後の熱プレス板51である。
サンプル♯14〜♯16:プレス500回後の熱プレス板51である。
図6に示すように、剥離強度は、初期状態では「サンプル♯10:平均36.1N/cm」であったのが、プレス300回後では「サンプル♯11〜♯13:平均23.6〜24.4N/cm」、プレス500回後では「サンプル♯14〜♯16:平均15.9〜18.8N/cm」へと低下した。これにより、プレス回数が増えるに従って、つまり複数の積層シート10の製造にともなって、剥離強度が低下していく傾向があることを確認できた。
次に、サンプル♯14〜♯16の熱プレス板51を洗浄後に、上記と同様に、積層シート10、カード1を製造して、剥離強度を確認した。
検証では、洗浄の有機溶剤として、「サンプル♯14:MEK(メチルエチルケトン)」、「サンプル♯15:エタノール」、「サンプル♯16:キシレン系溶剤」を用いた。
図6に示すように、サンプル♯14,♯15の熱プレス板51で製造した積層シート10を備えるカード1は、洗浄前及び洗浄後の剥離強度が、殆んど変化しなかった。このため、MEK、エタノールは、PVCシート材に含まるスズ化合物80の溶剤として、有効ではないと考えられる。
一方、サンプル♯16の熱プレス板51で製造した積層シート10を備えるカード1は、洗浄後の剥離強度が、初期状態の剥離強度近くまで向上した。これにより、キシレン系溶剤は、PVCシート材に含まるスズ化合物80の溶剤として有効であることを確認できた。
このように、キシレン系溶剤を用いて、熱プレス板51に付着したスズ化合物80を除去することにより、低下した剥離強度を、向上できることを確認できた。すなわち、前工程において、スズ化合物80の除去工程を設けることにより、層間剥離を抑制できることを確認できた。
なお、熱プレス板51を洗浄する頻度は、実施形態では100回の前工程(熱プレス)毎に1回としたが、これに限定されず、例えば、熱プレスの条件(温度、圧量等)によって異なる。
以上説明したように、本実施形態では、積層シート10の上シート15上面、上シート15下面のスズ濃度を0.1atomic%以下にすることにより、接着強度を向上できるため、カード化後の層間剥離を抑制できることを確認できた。また、スズ化合物80の除去工程を設けることにより、層間剥離を抑制できることを確認できた。
なお、PVCシートに含まれるスズ化合物の種類、含有量等は、通常は、開示されていない。これらは、シートメーカの重要企業秘密であるためである。しかし、PVCシートに含まれる熱安定剤は、その目的から、同様な組成、性質等を持つ。このため、上シート15、下シート16として、上記シート以外のPVCシートを用いた形態であっても、スズ化合物80の除去工程を設けることによる上記作用、効果を十分に期待できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、後述する変形形態等のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
実施形態において、積層シートは、上シート及び下シートの両方がPVCシートである例を示したが、これに限定されない。積層シートは、上シート及び下シートの一方のみがPVCシートであり、他方がPVCシート以外のシート材である形態でもよい。この場合には、他方は、例えば、PET−G(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)等のシート材を用いることができる。この場合には、キシレン系溶剤の除去工程は、一方の層(PVCシート)を加圧する側の熱プレス板のみに、適用してもよい。
1…カード 10…積層シート 11…アンテナシート 12…ICモジュール 12a…ICチップ 12b…電気基板 12c…樹脂 13…アンテナ 14…スペーサ層 15…上シート 16…下シート 20…上層部 21…上基材 22…透明シート 23…印刷層 23a…フィルム 30…下層部 31…下基材 32…透明シート 51…熱プレス板 61…熱プレス板 62…スライド駆動部 80…スズ化合物

Claims (5)

  1. 積層体に積層される積層シートの製造方法であって、
    前記積層体は、上層部と下層部との間に前記積層シートを配置した状態で加熱及び加圧する本工程によって製造され、
    前記積層シートは、
    前記本工程前の前工程において、最上層である上シートと最下層である下シートとの間に電子部品を配置した状態で、熱プレス板間に配置し加熱及び加圧する熱プレス工程によって製造され、
    前記前工程を繰り返すことにより、複数製造され、
    前記上シート及び前記下シートの少なくとも1つは、熱安定剤としてスズ化合物を含有するPVCシート材であり、
    前記前工程を繰り返す過程において、熱プレス工程によって前記PVCシート材から前記熱プレス板に堆積したスズ化合物の除去工程を備えること、
    を特徴とする積層シートの製造方法。
  2. 請求項1に記載の積層シートの製造方法において、
    前記スズ化合物の除去工程は、前記前工程後のPVCシート材の表面のスズ原子組成百分率が1.5atomic%以下であるように、熱プレス板に付着したスズ化合物を除去すること、
    を特徴とする積層シートの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の積層シートの製造方法において、
    前記スズ化合物の除去工程は、キシレン系の溶剤を用いて、スズ化合物を除去すること、
    を特徴とする積層シートの製造方法。
  4. 積層体に積層される積層シートであって、
    前記積層体は、上層部と下層部との間に前記積層シートを配置した状態で加熱及び加圧する本工程によって製造され、
    前記積層シートは、
    前記本工程前の前工程において、最上層である上シートと最下層である下シートとの間に電子部品を配置した状態で、熱プレス板間に配置し加熱及び加圧する熱プレス工程によって製造され、
    前記前工程を繰り返すことにより、複数製造され、
    前記上シート及び前記下シートの少なくとも1つは、熱安定剤としてスズ化合物を含有するPVCシート材であり、
    前記前工程後の前記PVCシート材の表面のスズ原子組成百分率が1.5atomic%以下であること、
    を特徴とする積層シート。
  5. 請求項4に記載の積層シートと、
    前記前工程後の本工程において、前記積層シートの上面に熱溶着により接着された上層部と、
    前記本工程において、前記積層シートの下面に熱溶着により接着された下層部と、
    を備える積層体。
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