JP2017190380A - プリプレグの製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明の目的は、優れた靭性を発現する繊維強化複合材料を得られるプリプレグの製造方法を提供することにある。【解決手段】少なくとも、繊維強化材シートと、硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂粒子からなるプリプレグの製造方法であって、熱可塑性樹脂粒子表面に、硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物を付与する工程と、熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程とを含むプリプレグの製造方法である。熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程において、熱可塑性樹脂粒子の融点以下の温度で加熱処理を行うことが好ましい。また、硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物が、官能基として、エポキシ基、アミド基、アミノ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、カルボキシル基のいずれか1又は2以上を有する有機物であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた層間靭性を有する繊維強化複合材料を得ることができるプリプレグの製造方法に関する。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いる繊維強化複合材料(以下、複合材料と称する)は、その比強度・比弾性率の高さから、航空機や自動車の構造材料を始めとする航空宇宙・産業用途、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿などのスポーツ・レジャー用途に広く利用されている。複合材料の製造には、各種の方法が用いられているが、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間基材であるプリプレグを用いる方法が広く用いられている。この方法では、通常、プリプレグを複数枚積層した後、加熱することによって複合材料の成形物が得られる。
複合材料に用いられるマトリクス樹脂として、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂がともに使用されるが、耐熱性や生産性の観点から硬化性樹脂が多く用いられている。一般に、硬化性樹脂は耐熱性、強化繊維との接着性、寸法安定性、耐薬品性に優れる一方で、硬くて脆い性質を有する。このため、硬化性樹脂をマトリクス樹脂として用いる場合、複合材料は、寸法安定および、強度や剛性といった機械物性に優れるが、その一方で、硬化性樹脂由来の靱性の低さも反映される。
マトリクス樹脂として用いられる硬化性樹脂の靱性や耐衝撃性を向上させるため、硬化性樹脂中に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ゴム材料、無機材料などの微粒子を分散させる方法がしばしば用いられている。(例えば、特許文献1)これらの微粒子を用いる場合、硬化性樹脂の靱性や耐衝撃性の改善効果は、用いる微粒子の性質の他に、微粒子と硬化性樹脂の接着性にも影響される。微粒子と硬化性樹脂の接着性が不十分であると、微粒子と硬化性樹脂の剥離が生じ、微粒子による、硬化性樹脂の靱性や耐衝撃性の改善効果が十分発揮されない。
そのため、微粒子と硬化性樹脂の接着性を改善するために、例えば特許文献2では、硬化性樹脂と反応する官能基を有するカップリング剤で表面処理した無機粒子を用いることが提案されている。しかし、この方法では硬化性樹脂とカップリング剤の間には化学結合による強固な結合が得られるものの、カップリング剤と無機粒子の間には化学結合が得られないため、微粒子と硬化性樹脂の接着性は不十分であった。
特許文献3には、硬化性樹脂との接着性に優れた微粒子として、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂を混合し反応させ、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂の架橋高分子が網目構造を形成した微粒子を用いる方法が開示されている。しかし、この方法では、微粒子とマトリクス樹脂である硬化性樹脂との接着性は、微粒子に含まれる硬化性樹脂成分と、マトリクス樹脂の硬化性樹脂の分子間の親和力によるものでしかなく、微粒子と硬化性樹脂の接着性は不十分であった。
また、硬化性樹脂の靱性や耐衝撃性を向上させるための微粒子として、硬化性樹脂の硬化物で表面がコーティングされた熱可塑性樹脂微粒子を用いることも提案されている(例えば、特許文献4、5)が、これらは熱可塑性樹脂の耐熱性の改善を目的としたものであり、微粒子とマトリクス樹脂である硬化性樹脂との接着性は、微粒子とマトリクス樹脂の分子間の親和力によるものでしかなく、微粒子とマトリクス樹脂の接着性は不十分であった。
そのため、微粒子と硬化性樹脂の接着性を改善し、優れた靭性を発現する複合材料を得られるプリプレグの製造方法が求められている。
特開昭64−26651号公報 特開平8−157620号公報 特開平1−104624号公報 特開2010−116484号公報 国際公開第2015/097283号
本発明の目的は、優れた靭性を発現する繊維強化複合材料を得られるプリプレグの製造方法を提供することにある。
本発明のプリプレグの製造方法は、少なくとも、繊維強化材シートと、硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂粒子からなるプリプレグの製造方法であって、前記熱可塑性樹脂粒子表面に、前記硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物を付与する工程と、前記熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程とを含むプリプレグの製造方法である。前記熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程において、熱可塑性樹脂粒子の融点以下の温度で加熱処理を行うことが好ましい。
また、硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物が、官能基として、エポキシ基、アミド基、アミノ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、カルボキシル基のいずれか1又は2以上を有する有機物であることが好ましい。
本発明のプリプレグの製造方法によれば、耐衝撃性・層間破壊靭性強度に優れた繊維強化複合材料を与えるプリプレグを得ることができる。
本発明のプリプレグの製造方法は、少なくとも、繊維強化材シートと、硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂粒子からなるプリプレグの製造方法であって、前記熱可塑性樹脂粒子表面に、前記硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物を付与する工程と、前記熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程とを含むプリプレグの製造方法である。
熱可塑性樹脂粒子の表面に、官能基を2つ以上有する有機物を付与し、次いで加熱処理することで、熱可塑性樹脂粒子の表面に硬化性樹脂と反応する官能基を付与することができる。硬化性樹脂と反応する官能基が表面に付与された熱可塑性樹脂粒子は、マトリクス樹脂である硬化性樹脂との接着性に優れ、複合材料とした際に優れた層間靭性を与えることができる。そのため、本発明のプリプレグの製造方法を用いると、耐衝撃性・層間破壊靭性強度に優れた複合材料を与えるプリプレグを得ることができる。
本発明において、熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程の加熱処理は、熱可塑性樹脂粒子の融点(Tm)以下の温度で行うことが好ましく、Tm以下Tm−30℃以上の温度で熱処理することがより好ましい。加熱処理を熱可塑性樹脂粒子の融点以下の温度で行うことで、加熱処理による粒子の変形を抑制することができる。さらに、加熱処理を熱可塑性樹脂粒子の融点付近で行うと、粒子表面が溶融するため、有機物の官能基と、粒子表面の熱可塑性樹脂が共有結合的に結合を形成しやすくなり、マトリクス樹脂との接着性がより高くなりやすい。
また、硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物が、官能基として、エポキシ基、アミド基、アミノ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、カルボキシル基のいずれか1又は2以上を有する有機物であることが好ましい。
上記のような本発明のプリプレグの製造方法によれば、耐衝撃性・層間破壊靭性強度に優れた複合材料を与えるプリプレグを得ることができる。
以下、本発明のプリプレグの製造方法をより詳しく説明する。
(1)繊維強化材シート
本発明で用いる繊維強化材としては、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維などが挙げられる。これらは、単独又は、二種以上を併用することができる。複合材料の機械的性質を向上させるためには、引張強度に優れる炭素繊維を用いることが好ましい。また、繊維強化材の形態は、織物、多軸織物、一方向引き揃え物等のシート状のものが好ましい。
(2)硬化性樹脂
本発明で用いられる硬化性樹脂として好ましいものを以下に挙げる。これらの硬化性樹脂は、適宜選択して1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。好ましい硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、シアネートエステル樹脂などを挙げることができる。特に好ましくは、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
エポキシ樹脂は、公知のエポキシ樹脂をいずれも用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などの2官能エポキシ樹脂を挙げることができる。
ビスフェノール型に代表される2官能エポキシ樹脂は、分子量の違いにより液状から固形まで種々のグレードがあり、適宜混合して粘度調整を行う目的の成分とされる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、ビスフェノールS型樹脂等を挙げることができる。その具体的な商品名としては、ジャパンエポキシレジン社製jER815(商品名)、jER828(商品名)、jER834(商品名)、jER1001(商品名)、jER807(商品名)、三井石油化学製エポミックR−710(商品名)、大日本インキ化学工業製EXA1514(商品名)等を例示することができる。脂環型エポキシ樹脂の具体的な商品名としては、ハンツマン社製アラルダイトCY−179(商品名)、CY−178(商品名)、CY−182(商品名)、CY−183(商品名)等を例示することができる。他のエポキシ樹脂の例として、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂や、ノボラック型エポキシ樹脂であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、フェノール型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂等を挙げることができる。
ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂などの各種変性エポキシ樹脂を使用することもできる。ウレタン変性ビスフェノールAエポキシ樹脂の具体的な商品名としては、旭電化製アデカレジンEPU−6(商品名)、EPU−4(商品名)等を例示することができる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂の具体的な商品名としては、ジャパンエポキシレジン社製jER152(商品名)、jER154(商品名)、ダウケミカル社製DEN431(商品名)、DEN485(商品名)、DEN438(商品名)、DIC社製エピクロンN740(商品名)等を例示することができる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の具体的な商品名としては、ハンツマン社製アラルダイトECN1235(商品名)、ECN1273(商品名)、ECN1280(商品名)、日本化薬製EOCN102(商品名)、EOCN103(商品名)、EOCN104(商品名)等を例示することができる。
(3)熱可塑性樹脂粒子
本発明で用いる熱可塑性樹脂粒子としては、硬化性樹脂可溶性熱可塑性樹脂粒子と硬化性樹脂不溶性熱可塑性樹脂粒子とが挙げられ、硬化性樹脂不溶性熱可塑性樹脂粒子であることが好ましい。硬化性樹脂可溶性熱可塑性樹脂粒子とは、硬化性樹脂に一部又は全部が加熱等により溶解し得る熱可塑性樹脂である。一方、硬化性樹脂不溶性熱可塑性樹脂とは、FRPを成形する温度又はそれ以下の温度において、硬化性樹脂に実質的に溶解しない熱可塑性樹脂をいう。即ち、FRPを成形する温度において、樹脂粒子を硬化性樹脂中に投入して攪拌した際に、粒子の大きさが変化しない熱可塑性樹脂をいう。なお、一般的に、FRPを成形する温度は100〜190℃である。
硬化性樹脂不溶性熱可塑性樹脂としては、例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾールが例示される。これらの中でも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドは、靭性及び耐熱性が高いため好ましい。ポリアミドやポリイミドは、FRPに対する靭性向上効果が特に優れている。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。また、これらの共重合体を用いることもできる。
特に、非晶性ポリイミドや、ナイロン6(登録商標)(カプロラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ナイロン12(ラウリルラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、非晶性のナイロン(透明ナイロンとも呼ばれ、ポリマーの結晶化が起こらないか、ポリマーの結晶化速度が極めて遅いナイロン)のようなポリアミドを使用することにより、得られるFRPの耐熱性を特に向上させることができる。
硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂不溶性熱可塑性樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の粘度に応じて適宜調整される。プリプレグの加工性の観点から、硬化性樹脂100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、15〜40質量部であることがより好ましい。
(4)硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物
本発明で用いる硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物は、特に制限はないが、官能基として、エポキシ基、アミド基、アミノ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、カルボキシル基のいずれか1又は2以上を有する有機物であることが好ましい。
エポキシ基を有する有機物としては、例えば上記のエポキシ樹脂化合物が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、1,7−オクタジエンジエポキシド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどが好ましく用いられる。
アミノ基を有する有機物としては、例えば、テトラメチレンジアミン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,6−ジアミノヘキサンなどが挙げられる。イソシアネート基を有する有機物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどを用いることができる。
(5)その他の成分
(5−1)硬化剤
硬化性樹脂を硬化させる硬化剤としては、公知の硬化剤を使用できる。硬化剤の具体的な例としては、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタンなどが挙げられる。
(5−2)添加剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した熱可塑性樹脂粒子と硬化性樹脂を必須とするものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、適宜、上述の成分以外の硬化促進剤、反応性希釈剤、充填剤、老化防止剤、難燃剤、顔料等の各種添加剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、酸無水物、ルイス酸、ジシアンジアミドやイミダゾール類の如く塩基性硬化剤、尿素化合物、有機金属塩等が挙げられる。より具体的には、酸無水物としては、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、無水ピロメリット酸等が例示される。ルイス酸としては、三フッ化ホウ素塩類が例示され、更に詳細には、BFモノエチルアミン、BFベンジルアミン等が例示される。イミダゾール類としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールが例示される。また、尿素化合物である3−[3,4−ジクロロフェニル]−1,1−ジメチル尿素等や、有機金属塩であるCo[III]アセチルアセトネート等を例示することができる。反応性希釈剤としては、例えば、ポリプロピレンジグリコール・ジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等の反応性希釈剤が例示される。
(6)熱可塑性樹脂粒子の処理工程
(6−1)官能基を2つ以上有する有機物を付与する工程
熱可塑性樹脂粒子の表面に、有機物を付与する方法としては、特に制限はないが、有機物と熱可塑性樹脂粒子を溶媒中で混合する手法が好ましい。この際、後述の加熱処理を同時に行ってもよい。
混合する際用いる溶媒としては、特に制限はないが、熱可塑性樹脂粒子に対して貧溶媒であることが好ましい。また、有機物が液状成分である場合、溶媒非存在下で混合する手法をとってもよい。
(6−2)加熱処理する工程
本発明において、熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程の加熱処理は、熱可塑性樹脂粒子の融点(Tm)以下の温度で行うことが好ましく、Tm以下Tm−30℃以上の温度で熱処理することがより好ましい。加熱処理を熱可塑性樹脂粒子の融点以下の温度で行うことで、加熱処理による粒子の変形を抑制することができる。さらに、加熱処理を熱可塑性樹脂粒子の融点付近で行うと、粒子表面が溶融するため、有機物の官能基と、粒子表面の熱可塑性樹脂が共有結合的に結合を形成しやすくなり、マトリクス樹脂との接着性がより高くなりやすい。加熱処理は、前述の有機物を付与する工程と同時に行っても良い。
加熱方法としては、特に制限はなく、オーブンや蒸気、熱風、マイクロ波、放射線等公知の加熱方法を用いることができる。
(7)硬化性樹脂組成物の製造方法
硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、各成分の混練は、一段で行っても、各成分を逐次添加して多段的に行っても良い。各成分を逐次添加する場合は、任意の順序で添加することができる。例えば、硬化性樹脂に硬化剤と粘度調整用の熱可塑性樹脂を添加する場合、予め、硬化性樹脂に、粘度調整用の熱可塑性樹脂の一部又は全量を混練、溶融せしめて粘度調整した後に、逐次的に熱可塑性樹脂粒子、硬化剤を添加しながら混練する。混練・添加順序は特に限定されないが、樹脂組成物の保存安定性の観点から、硬化剤を最後に添加することが好ましい。
硬化性樹脂組成物製造時の混練温度は、硬化性樹脂や熱可塑性樹脂粒子、硬化剤の種類、反応開始温度などに応じて適宜調整すればよいが、10〜150℃の範囲が好ましい。150℃を超えると部分的な硬化反応が開始し、得られる樹脂組成物の保存安定性が低下する場合がある。10℃より低いと樹脂組成物の粘度が高く、実質的に混練が困難となる場合がある。好ましくは20〜120℃であり、更に好ましくは30〜100℃の範囲である。
硬化性樹脂組成物製造時に用いる混練機械装置としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を供えた混合容器、横型混合槽などを挙げることができる。各成分の混練は、大気中又は不活性ガス雰囲気下にて行うことができる。また、特に大気中で混練が行われる場合は、温度、湿度管理された雰囲気が好ましい。特に限定されるものではないが、例えば、30℃以下にて一定温度に管理された温度や、相対湿度50%RH以下といった低湿度雰囲気にて混練されるのが好ましい。
(8)プリプレグの製造方法
プリプレグの製法は、特に限定されるものではなく、従来公知のいかなる方法を用いて製造することができる。例えば、硬化性樹脂組成物を、離型紙の上に薄いフィルム状に塗布し、剥離して得られた樹脂フィルムを、シート状の繊維強化材に積層成形して硬化性樹脂組成物を含浸させる、いわゆるホットメルト法や、硬化性樹脂組成物を適当な溶媒を用いてワニス状にし、このワニスを繊維強化材シートに含浸させる溶剤法が挙げられる。この中でも、特に本発明のプリプレグは、従来公知の製造方法であるホットメルト法により、好適に製造することができる。
硬化性樹脂組成物を、樹脂フィルム又はシートにする方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いることもできる。より具体的には、ダイ押し出し、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーターなどにより、離型紙、フィルムなどの支持体上に流延、キャストをすることにより得ることが出来る。フィルム又はシート化の際の樹脂温度としては、その樹脂組成・粘度に応じて適宜設定可能であるが、前述の硬化性樹脂組成物の製造方法における混練温度と同じ条件が好適に用いることができる。本発明のプリプレグは、構成する硬化性樹脂組成物含有率(RC)が15〜70重量%であることが好ましい。15重量%より少ないと、得られる複合材料に空隙などが発生し、機械特性を低下させる場合がある。70重量%を超えると強化繊維による補強効果が不十分となり、実質的に重量対比機械特性が低いものとなる場合がある。好ましくは20〜60量%の範囲であり、より好ましくは30〜50重量%の範囲である。ここでいう硬化性樹脂組成物含有率(RC)とは、プリプレグの樹脂を硫酸分解にて分解させた場合における重量変化から算出される割合である。より具体的には、プリプレグを100mm×100mmに切り出して試験片を作成し、その重量を測定し、硫酸中で樹脂分が溶出するまで、浸漬または煮沸を行い、ろ過して残った繊維を水で洗浄し、乾燥してからその質量を測定し、算出することによって得られる値である。
また、特に限定されるものではないが、具体的なプリプレグの好ましい形態としては、例えば、強化繊維及び前記強化繊維間に含浸された樹脂組成物からなる強化繊維層と、前記強化繊維層表面に被覆された樹脂被覆層とからなり、樹脂被覆層の厚みが2〜50μmであるものが例示される。2μm未満の場合、タック性が不十分となり、プリプレグの成形加工性が著しく低下する場合がある。50μmを超えると、プリプレグを均質な厚みでロール状に巻き取ることが困難となり、成形精度が著しく低下する場合がある。より好ましくは、5〜45μmであり、更に好ましくは10〜40μmである。
樹脂シートをシート状の繊維強化材シートへ含浸させる際の含浸加圧は、その樹脂組成物の粘度・樹脂フローなどを勘案し、任意の圧力を用いることが出来る。樹脂シートの繊維強化材シートへの含浸温度は、50〜150℃の範囲である。50℃未満の場合、樹脂シートの粘度が高く、繊維強化材シートの中へ十分含浸しない場合がある。150℃以上の場合、樹脂組成物の硬化反応が開始され、プリプレグの保存安定性が低下したり、ドレープ性が低下したりする場合がある。好ましくは、60〜145℃であり、より好ましくは70〜140℃である。また、含浸は1回ではなく、複数回に分けて任意の圧力と温度にて、多段的に行うこともできる。
かかる手段により得られるプリプレグを用いて、積層等の成形並びに硬化せしめて製造される複合材料は、耐衝撃性と層間破壊靭性強度に優れているため、航空宇宙用途、産業用途、スポーツ・レジャー用途など多くの用途に好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、操作条件の評価、各物性の測定は以下の方法で実施した。
[強化繊維基材]
・使用した東邦テナックス社製の炭素繊維ストランド(テナックス IMS65(商品名))の引張強度と弾性率は下記の通りである。
・引張強度:5800MPa
・弾性率:290GPa
[硬化性樹脂組成物]
(硬化性樹脂)
・グリシジルアミン型エポキシ樹脂(3官能基)[ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製アラルダイトMY0600(商品名)](MY0600)
・グリシジルアミン型エポキシ樹脂(4官能基)[ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製アラルダイトMY721(商品名)](MY721)
(エポキシ樹脂硬化剤)
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン[和歌山精化社製の芳香族アミン系硬化剤](3,3’−DDS)
[熱可塑性樹脂]
(硬化性樹脂に不溶な熱可塑性樹脂)
・ポリアミド12[ダイセル・エボニック株式会社製VESTSINT 2158(商品名)](PA12)
平均粒子径:20μm 引張弾性率:1400MPa 融点:184℃ 密度:1.016g/cm
・ポリアミド1010[ダイセル・エボニック株式会社製VESTAMID BS1358(商品名)](PA1010)(エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂)
平均粒子径:20μm 引張弾性率:1500MPa 融点:200℃ 密度:1.040g/cm
・ポリアミド6[アルケマ社製ORGASOL1002D NAT(商品名)](PA6)(エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂)
平均粒子径:20μm 引張弾性率:1500MPa 融点:217℃ 密度:g/cm
(硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂)
ポリエーテルスルホン[住友化学工業(株)製PES−5003P(商品名)](PES)
平均粒子径:20μm
[硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物]
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能)[ジャパンエポキシレジン社製jER828(商品名)](jER828)
・ヘキサメチレンジイソシアネート(2官能)[東京化成工業株式会社製H0324(商品名)](H0324)
[測定方法]
(1)平均粒子径
平均粒子径は、日機装(株)製 レーザー回折・散乱式の粒度分析計(マイクロトラック法)MT3300を用いて、粒度分布の測定を実施し、その50%粒子径(D50)を平均粒子径とした。
(2)複合材料の層間靭性(モードI層間靱性(GIc))
複合材料の層間靭性はJIS K7086に従い層間破壊靭性モードI(GIc)測定を行い評価した。得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを発生させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]20のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃、2時間の温度条件で成形した。得られた成形物を幅20mm×長さ195mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードI(GIc)の試験片を得た。
GIcの試験方法として、双片持ちはり層間破壊靱性試験法(DCB法)を用い、離型シートの先端から2〜5mmの予亀裂(初期クラック)を発生させた後に、さらに亀裂を進展させる試験を行った。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは、亀裂進展が20mmに達するまでは0.5mm/分、20mm到達後は1mm/分とし、n=5で測定を行った。荷重、変位、および、亀裂長さから、GIcを算出した。
(実施例1)
ビーカーに、100質量部のPA12と150質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂を加え、160℃で1時間加熱を行った後、室温まで冷却した。次いで、ビーカーにアセトンを加え、得られた懸濁液をろ過した。ろ別された沈殿物をさらにアセトンで洗浄し、100℃にて2時間乾燥を行い、白色固体状のエポキシ樹脂修飾PA12粒子を得た。
混練装置で、40質量部のMY600と60質量部のMY721に、30質量部のPESを添加し、100℃で30分間攪拌機を用いて撹拌した後、樹脂温度を70℃以下に冷却した。ついで、上記で得られたエポキシ樹脂修飾ポリアミド12粒子45質量部と60質量部の3,3’−DDSを混練して、エポキシ樹脂組成物を調製した。調製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して50g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。
炭素繊維束を一方向に引き揃え、炭素繊維基材(目付:190g/m)を作製した。作成した炭素繊維基材の両面に、エポキシ樹脂フィルムを貼り合わせ、ホットメルト法により、樹脂組成物を炭素繊維基材に含浸させ、プリプレグ(RC:35%)を作製した。
作製したプリプレグを用いて、硬化温度180℃、昇温速度2℃/分の条件で複合材料を成形した。得られた複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
(実施例2)
硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の変わりにヘキサメチレンジイソシアネートを用いた以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
作製したプリプレグを用いて成形した複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
(実施例3)
熱可塑性樹脂粒子としてPA12の変わりにPA1010を用い、硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物を加えたビーカー中での加熱温度を180℃に変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
作製したプリプレグを用いて成形した複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
(実施例4)
熱可塑性樹脂粒子としてPA12の変わりにPA6を用い、硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物を加えたビーカー中での加熱温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
作製したプリプレグを用いて成形した複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
(実施例5)
硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物を加えたビーカー中での加熱温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
作製したプリプレグを用いて成形した複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
(比較例1)
混練装置で、40質量部のMY600と60質量部のMY721に、30質量部のPESを添加し、100℃で30分間攪拌機を用いて撹拌した後、樹脂温度を70℃以下に冷却した。ついで、未処理のPA12粒子45質量部と60質量部の3,3’−DDSを混練して、エポキシ樹脂組成物を調製した。調製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して50g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。
炭素繊維束を一方向に引き揃え、炭素繊維基材(目付:190g/m)を作製した。作成した炭素繊維基材の両面に、エポキシ樹脂フィルムを貼り合わせ、ホットメルト法により、樹脂組成物を炭素繊維基材に含浸させ、プリプレグ(RC:35%)を作製した。
作製したプリプレグを用いて、硬化温度180℃、昇温速度2℃/分の条件で複合材料を成形した。得られた複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
(比較例2)
熱可塑性樹脂粒子としてPA12の変わりにPA1010を用いた以外は比較例1と同様にしてプリプレグを作製した。
作製したプリプレグを用いて成形した複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
(比較例3)
熱可塑性樹脂粒子としてPA12の変わりにPA6を用いた以外は比較例1と同様にしてプリプレグを作製した。
作製したプリプレグを用いて成形した複合材料の層間破壊靱性を測定し、得られた結果を表1に示した。
Figure 2017190380

Claims (3)

  1. 少なくとも、繊維強化材シートと、硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂粒子からなるプリプレグの製造方法であって、
    前記熱可塑性樹脂粒子表面に、前記硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物を付与する工程と、
    前記熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程とを含むことを特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂粒子と有機物とを加熱処理する工程において、熱可塑性樹脂粒子の融点以下の温度で加熱処理を行う請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  3. 硬化性樹脂と反応し得る官能基を2つ以上有する有機物が、官能基として、エポキシ基、アミド基、アミノ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、カルボキシル基のいずれか1つ又は2つ以上を有する有機物である請求項1または2に記載のプリプレグの製造方法。
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