JP2017190619A - 架構体及び建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】損傷を抑制するとともに構造性能をより一層向上させることができる架構体及び建物を提供する。
【解決手段】左右の柱C1,C2の一方の上端部または下端部から他方の柱Cの中間部に延びる第一〜第四の斜材11,12,13,14と、第一〜第四の斜材11,12,13,14の他端部と柱C1,C2の中間部とを接続する第一〜第四の接続部材21,22,23,24と、を備え、第一〜第四の接続部材21,22,23,24は、各々が接続する斜材の他端と柱C1,C2との相対移動によって減衰力を発揮する減衰手段を有して構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、架構体及び建物に係り、詳しくは、左右一対の鉛直部材と上側の水平部材及び下側の水平部材とで囲まれた矩形枠内部に設けられる架構体、及び該架構体を備えた建物に関するものである。
従来、建物の骨組み(一対の鉛直部材と一対の水平部材とで囲まれた矩形状の枠組み)内部に設けられる架構体として、一対の鉛直部材のうちの一方の上端部から他方の下端部まで延びる主斜材と、他方の鉛直部材の上端部から斜め下方に延びて主斜材まで延びる上側斜材と、一方の鉛直部材の下端部から斜め上方に延びて主斜材まで延びる下側斜材と、を備えたものが本件出願人によって提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の架構体では、上側斜材と下側斜材とが主斜材の中央から上下に偏心して接続されているので、建物に水平力が作用した場合には、主斜材と上側斜材及び下側斜材とがそれぞれ筋交いとして軸力を負担し、水平力に抵抗するとともに、上側斜材及び下側斜材が負担する軸力によって主斜材に曲げモーメントとせん断力とが生じることとなる。このように主斜材が軸力材と同時に曲げ材として機能することで、X型の筋交いを用いた軸力構造と比較して、架構体の水平剛性を抑制しつつ、曲げ変形による靱性を高めることができるようになっている。
特開2014−214512号公報
ところで、従来の架構体ように、一対の鉛直部材に亘って設けられた主斜材が筋交いとして機能する構造では、架構体の初期剛性が高くなる傾向にあることから、鉛直部材の上下端部の定着部や、鉛直部材と水平部材の接合部、主斜材と鉛直部材の接続部等の部位に応力が集中しやすくなる。このため、特定部位に応力が集中することを抑制して特定部位の損傷を抑制するとともに、架構体や骨組みの構造性能を高めることができる構造が望まれている。
したがって、本発明は、損傷を抑制するとともに構造性能をより一層向上させることができる架構体及び建物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の架構体は、左右一対の鉛直部材と上側の水平部材及び下側の水平部材とで囲まれた矩形枠内部に設けられる架構体であって、前記一対の鉛直部材のうちの一方の上端部に一端が接続されて他端側が他方の鉛直部材に向かって斜め下方に延びる第一斜材と、前記一対の鉛直部材のうちの他方の上端部に一端が接続されて他端側が一方の鉛直部材に向かって斜め下方に延びる第二斜材と、前記一対の鉛直部材のうちの一方の下端部に一端が接続されて他端側が他方の鉛直部材に向かって斜め上方に延びる第三斜材と、前記一対の鉛直部材のうちの他方の下端部に一端が接続されて他端が一方の鉛直部材に向かって斜め上方に延びる第四斜材と、前記他方の鉛直部材における長手方向中央よりも下側の中間位置に設けられて該他方の鉛直部材に前記第一斜材の他端を接続する第一接続部材と、前記一方の鉛直部材における長手方向中央よりも下側の中間位置に設けられて該一方の鉛直部材に前記第二斜材の他端を接続する第二接続部材と、前記他方の鉛直部材における長手方向中央よりも上側の中間位置に設けられて該他方の鉛直部材に前記第三斜材の他端を接続する第三接続部材と、前記一方の鉛直部材における長手方向中央よりも上側の中間位置に設けられて該一方の鉛直部材に前記第四斜材の他端を接続する第四接続部材と、を備え、前記第一接続部材、前記第二接続部材、前記第三接続部材、及び前記第四接続部材は、各々が接続する斜材の他端と鉛直部材との相対移動によって減衰力を発揮する減衰手段を有して構成されていることを特徴とする。
このような本発明の架構体によれば、第一〜第四の斜材の他端がそれぞれ鉛直部材に対して第一〜第四の接続部材によって接続され、第一〜第四の接続部材が鉛直部材の中間位置に設けられていることで、従来の架構体における主斜材ように第一〜第四の斜材が筋交いとして機能することがなく、この架構体の初期剛性を抑制することができる。さらに、第一接続部材(第一斜材の他端)と第三接続部材(第三斜材の他端)とが他方の鉛直部材の長手方向中央を挟んで上下に離隔して設けられ、第二接続部材(第二斜材の他端)と第四接続部材(第四斜材の他端)とが一方の鉛直部材の長手方向中央を挟んで上下に離隔して設けられているので、第一〜第四の斜材が負担する軸力が鉛直部材の異なる位置に伝達され、特定部位への応力の集中を抑制することができる。
また、第一〜第四の斜材からの軸力が中間位置に作用することによって鉛直部材に曲げモーメントが生じることとなるが、この曲げ変形は、作用する外力によって骨組みに生じる応力とは逆向きになることから、骨組みの変形が抑制され、すなわち骨組みの見かけの剛性を高めることができる。さらに、第一〜第四の接続部材が減衰手段を有し、第一〜第四の斜材と鉛直部材との相対移動によって減衰手段が減衰力を発揮することで、そのエネルギー吸収によって架構体及び骨組みの損傷を抑制することができる。従って、架構体の初期剛性を抑制したことによって外力の加速度入力を低下させつつ、骨組みの見かけの剛性向上によって変形を抑制して復元力を維持し、減衰手段のエネルギー吸収によって損傷を抑制することができるので、骨組み全体としての構造性能を向上させることができる。
請求項2に記載の架構体は、請求項1に記載された架構体において、前記第一斜材と前記第二斜材との交差部、前記第一斜材と前記第三斜材との交差部、第二斜材と前記第四斜材との交差部、及び前記第三斜材と前記第四斜材との交差部、のうち少なくとも一の交差部には、交差する斜材同士を接続する交差接続部が設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、第一〜第四の斜材の交差部のうち少なくとも1箇所において、斜材同士が交差接続部によって接続されていることで、斜材が圧縮材となる際の座屈強度を高めることができ、斜材の断面寸法を縮小して材料コストを抑制することができる。また、交差接続部を設ける箇所やその設置数を適宜に設定することで、架構体の水平剛性を調節することができ、耐震、耐風設計の自由度を向上させることができる。
請求項3に記載の架構体は、請求項1又は2に記載された架構体において、前記第一接続部材、前記第二接続部材、前記第三接続部材、及び前記第四接続部材は、前記鉛直部材に固定されるベース部材と、前記第一斜材、前記第二斜材、前記第三斜材、又は前記第四斜材の他端に固定されて前記ベース部材と相対移動自在な移動部材と、前記ベース部材と前記移動部材との相対移動によって減衰力を発揮する前記減衰手段である粘弾性体と、を備えて構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、ベース部材と移動部材との相対移動によって粘弾性体が減衰力を発揮することで、エネルギー吸収性能を高めて構造性能をより一層向上させることができる。また、粘弾性体を有した各接続部材によって第一〜第四の斜材の他端が鉛直部材に接続されることで、架構体の水平剛性をさらに抑制することができ、骨組みに入力する外力の加速度を低減させることができる。
請求項4に記載の架構体は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の架構体において、前記第一斜材、前記第二斜材、前記第三斜材、及び前記第四斜材は、それぞれ木製、竹製、金属製、又は樹脂製であるか、あるいは該素材のうちから複数の素材を複合した複合材料製であることが好ましい。
このような構成によれば、建物の構造種別や規模に応じて適切な素材を選択し、素材の強度や変形性能に応じた構造性能の架構体を構成することができる。ここで、例えば、木造住宅等の比較的小規模な建物においては、第一〜第四の斜材を木製又は竹製とすることで、比較的安価に架構体を構成することができる。一方、鉄骨造のビル等の場合には、第一〜第四の斜材を鋼製やその他金属製とすることで、強度を高めて大きな水平力を負担させることができる。
請求項5に記載の建物は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の架構体を骨組み内に備えたことを特徴とする。
ここで、本発明の建物としては、その用途(住宅、店舗、商業ビル、工場、倉庫など)や、規模(建築面積、容積、階数など)、構造種別(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)は、いずれも限定されず、各種の建物に対して本発明の架構体を適用することができる。また、本発明において、鉛直部材とは、柱等の鉛直方向に延びて設けられる部材を意味し、水平部材とは、梁や基礎、土台等の水平方向に延びて設けられる部材を意味するが、ここでの鉛直方向や水平方向としては、多少の傾きを有した方向をも含むものである。
以上の本発明によれば、架構体の水平剛性を抑制して骨組みや建物への入力加速度を低減させるとともに、鉛直部材の逆方向曲げ変形による見かけの剛性向上によって骨組みの復元力を高め、さらに、減衰手段のエネルギー吸収によって応答を抑制することができるので、骨組み全体としての構造性能を向上させることができる。
本発明の第一実施形態に係る架構体を適用した骨組みを示す正面図である。 前記架構体の一部を拡大して示す正面図である。 本発明の第二実施形態に係る架構体を適用した骨組みを示す正面図である。 前記架構体の一部を拡大して示す正面図である。
以下、本発明の第一実施形態に係る架構体を適用した建物の骨組みを、図1、図2に基づいて説明する。本実施形態の架構体10を用いた建物の骨組み1は、例えば、戸建て住宅やアパート等の建物であって、木造軸組み構造かつ2階〜3階建ての比較的小規模な建物に適用されるものである。
骨組み1は、複数の鉛直部材としての柱C1,C2と、これらの柱C1,C2の上端部を連結して水平方向に延びる上側の水平部材としての梁G1と、柱C1,C2の下端部を連結して水平方向に延びる下側の水平部材としての基礎梁G2と、を有して構成されている。基礎梁G2は、鉄筋コンクリート製の基礎Fの上部に固定されている。なお、下側の水平部材は、基礎梁に限らず、一般の梁であってもよい。そして、架構体10は、左右一対の柱C1,C2と上下の梁G1及び基礎梁G2とで囲まれた矩形枠Wの内部に設けられ、建物に作用する水平力(地震荷重や風荷重)を主に負担するものであって、建物の骨組み1における複数個所にバランスよく設けられている。
柱C1,C2は、角形断面を有した杉の集成材等の木材で構成され、例えば、105mmx105mmの断面寸法を有して形成されている。梁G1は、角形断面を有した杉の集成材等の木材で構成され、例えば、105mmx180mmの断面寸法を有して形成されている。基礎梁G2は、角形断面を有した杉の集成材等の木材で構成され、例えば、105mmx105mmの断面寸法を有して形成されている。柱C1,C2の下端部は、基礎Fから基礎梁G2を貫通して設けられる定着部材B1によって基礎梁G2に接合されている。柱C1,C2の上端部は、梁G1に固定されるか又は梁G1を貫通して上階の柱(不図示)に固定される定着部材B2によって梁G1に接合されている。これらの定着部材B1,B2は、例えば、30mmの径寸法を有したホールダウン金物やアンカーボルト等が利用可能である。
架構体10は、左右一対の柱C1,C2のうち、一方(図1の左側)の柱C1の上端部から他方(図1の右側)の柱C2の中間部まで延びる第一斜材11と、他方の柱C2の上端部から一方の柱C1の中間部まで延びる第二斜材12と、一方の柱C1の下端部から他方の柱C2の中間部まで延びる第三斜材13と、他方の柱C2の下端部から一方の柱C1の中間部まで延びる第四斜材14と、を備えている。第一斜材11の一端部11Aは、接合金物15によって柱C1の上端部に接続され、第二斜材12の一端部12Aは、接合金物16によって柱C2の上端部に接続され、第三斜材13の一端部13Aは、接合金物17によって柱C1の下端部に接続され、第四斜材14の一端部14Aは、接合金物18によって柱C2の下端部に接続されている。
第一斜材11、第二斜材12、第三斜材13、及び第四斜材14は、それぞれ角形断面を有した杉の集成材等の木材で構成され、例えば、105mmx45mmの断面寸法を有して形成されている。すなわち、第一〜第四斜材11,12,13,14は、矩形枠Wの面内方向の幅寸法(見付寸法)が105mm、矩形枠Wの面直交方向(図1の紙面直交方向)の幅寸法(見込寸法)が45mmの断面寸法を有している。第一〜第四の斜材11,12,13,14と、接合金物15,16,17,18とは、それぞれボルト及びナットからなる接合部材15A,16A,17A,18Aによって互いにピン接合されている。
また、第一斜材11及び第四斜材14は、矩形枠Wの面直交方向一方側(図1の紙面手前側)に設けられ、第二斜材12及び第三斜材13は、矩形枠Wの面直交方向他方側(図1の紙面奥側)に設けられ、第一斜材11と第二斜材12とは交差部19Aで交差し、第一斜材11と第三斜材13とは交差部19Bで交差し、第二斜材12と第四斜材14とは交差部19Cで交差し、第三斜材13と第四斜材14とは交差部19Dで交差して設けられている。各交差部19A,19B,19C,19Dにおいて、斜材11,12,13,14同士は互いに接続されておらず、応力が伝達されないようになっている。
また、架構体10は、第一斜材11の他端部11Bを他方の柱C2の中間部に接続する第一接続部材21と、第二斜材12の他端部12Bを一方の柱C1の中間部に接続する第二接続部材22と、第三斜材13の他端部13Bを他方の柱C2の中間部に接続する第三接続部材23と、第四斜材14の他端部14Bを一方の柱C1の中間部に接続する第四接続部材24と、を備えている。第一接続部材21は、他方の柱C2における長手方向中央よりも下側の中間位置に設けられ、第二接続部材22は、一方の柱C1における長手方向中央よりも下側の中間位置に設けられ、第三接続部材23は、他方の柱C2における長手方向中央よりも上側の中間位置に設けられ、第四接続部材24は、一方の柱C1における長手方向中央よりも上側の中間位置に設けられている。
すなわち、第一接続部材21と第三接続部材23とは、他方の柱C2における長手方向中央を挟んで上下に離隔して設けられており、これらの第一接続部材21と第三接続部材23との離隔距離は、柱C2の長さ寸法の略1/3に設定されている。従って、柱C2の下端部における接合金物18から第一接続部材21までの距離、第一接続部材21と第三接続部材23との離隔距離、及び、柱C2の上端部における接合金物16から第三接続部材23までの距離は、それぞれ略等距離に設定されている。また、第二接続部材22と第四接続部材24とは、一方の柱C1における長手方向中央を挟んで上下に離隔して設けられており、これらの第二接続部材22と第四接続部材24との離隔距離は、柱C1の長さ寸法の略1/3に設定されている。従って、柱C1の下端部における接合金物17から第二接続部材22までの距離、第二接続部材22と第四接続部材24との離隔距離、及び、柱C1の上端部における接合金物15から第四接続部材24までの距離は、それぞれ略等距離に設定されている。
第一接続部材21、第二接続部材22、第三接続部材23、及び第四接続部材24は、それぞれ同一形状、同一機能を有した部材であるため、以下では図2に示す第四接続部材24に基づいて説明する。第四接続部材24は、柱C1に固定されるベース部材31と、第四斜材14の他端部14Bに固定されてベース部材31と相対移動自在な移動部材32と、ベース部材31と移動部材32との相対移動によって減衰力を発揮する粘弾性体(減衰手段)33と、を備えて構成されている。
ベース部材31は、柱C1の側面に沿って固定される平板状の第一ベース板31Aと、この第一ベース板31Aを覆って固定される側面凹字状の第二ベース板31Bと、これらを柱C1に固定するビス31Cと、を有して構成されている。移動部材32は、底面部32Aと、この底面部32Aの両端縁から立ち上がる一対の側面部32Bと、を有して断面コ字形に形成され、複数のビス32Cによって第四斜材14に固定されている。この移動部材32は、底面部32Aが第一ベース板31Aと第二ベース板31Bとの間に挿通されることで、ベース部材31に対して柱C1の長手方向(上下方向)に沿って相対移動自在に設けられている。
粘弾性体33は、第一ベース板31Aと底面部32Aとの間、及び第二ベース板31Bの対向面部31Dと底面部32Aとの間、即ち底面部32Aの表裏に一対で設けられている。この粘弾性体33は、ベース部材31と移動部材32との相対移動によってせん断変形し、この変形によって減衰力を発揮可能に構成されている。また、第二ベース板31Bは、移動部材32の底面部32Aを挿通させる隙間の端部を構成する上下の段部31Eを有し、この段部31Eと底面部32Aとの間に、移動部材32が移動可能なクリアランスが設けられている。従って、移動部材32は、上方及び下方に向かってそれぞれクリアランスの距離だけ移動可能に構成されており、その距離を移動したら段部31Eに当接することで、それ以上の移動が規制されている。即ち、段部31Eによって、移動部材32の移動を所定範囲内に規制する移動規制部が構成されている。
以上の骨組み1及び架構体10において、各部の寸法としては、例えば、左右の柱C1,C2の間隔である柱スパンが910mm、梁G1の下端と基礎梁G2の上端との距離である内法高さが2700mmに設定されている。また、柱C1において接合金物17と第二接続部材22との離隔距離、第二接続部材22と第四接続部材24との離隔距離、及び、接合金物15と第四接続部材24との離隔距離は、例えば730mmの略等距離に設定され、柱C2おいて接合金物18と第一接続部材21との離隔距離、第一接続部材21と第三接続部材23との離隔距離、及び、接合金物16と第三接続部材23との離隔距離は、例えば730mmの略等距離に設定されている。なお、第一接続部材21、第二接続部材22、第三接続部材23、及び第四接続部材24の位置は、後述するように、柱C1,C2に曲げ変形を生じさせる位置であればよく、第二接続部材22と第四接続部材24との離隔距離、及び第一接続部材21と第三接続部材23との離隔距離がそれぞれ内法高さの1/4以上かつ1/2以下程度に設定されていればよい。
次に、架構体10の作用について説明する。建物に地震等の外力が入力した場合、骨組み1をせん断変形させるような水平力が作用する。例えば、図1において、梁G1位置に左から右に向かう水平力が作用した場合には、第一斜材11と第四斜材14に圧縮の軸力が生じ、第二斜材12と第三斜材13とに引張の軸力が生じる。この軸力により、第一接続部材21、第二接続部材22、第三接続部材23、及び第四接続部材24のそれぞれにおいて、ベース部材31に対して移動部材32が相対移動し、粘弾性体33にせん断変形が生じ、これによって粘弾性体33が減衰力を発揮する。このように作用する水平力が微小で、骨組み1のせん断変形が小さい範囲(例えば、層間変形角が1/200程度)では、移動部材32の移動が段部31Eによって規制されず、粘弾性体33による減衰力が発揮されてエネルギー吸収が行われ、建物の振動が抑制できるようになっている。
次に、外力レベルが上がって骨組み1に作用する水平力が大きくなり、骨組み1のせん断変形がある程度まで大きくなった場合(例えば、層間変形角が1/100程度)には、第一接続部材21、第二接続部材22、第三接続部材23、及び第四接続部材24のそれぞれにおいて、移動部材32がクリアランスの距離だけ移動し、ベース部材31の段部31Eに当接することで移動が規制される。従って、第一斜材11、第二斜材12、第三斜材13、及び第四斜材14の軸力が第一接続部材21、第二接続部材22、第三接続部材23、及び第四接続部材24を介して柱C1,C2に直接伝達され、その軸力によって柱C1,C2に曲げモーメントが発生する。このように柱C1,C2に発生する曲げモーメントは、水平力によって骨組み1に発生する応力及び変形とは逆向きとなるため、柱C1,C2がS字形に変形する。すなわち、水平力によって骨組み1に生じる変形と、架構体10によって柱C1,C2に生じる曲げモーメントとは、互いに打ち消し合う方向に作用することとなるため、骨組み1の見かけの剛性が高くなって層間変位が抑制されることとなる。
以上の本実施形態によれば、第一〜第四の斜材11,12,13,14の他端部11A,12A,13A,14Aがそれぞれ柱C1,C2に対して第一〜第四の接続部材21,22,23,24によって接続され、第一〜第四の接続部材21,22,23,24が柱C1,C2の中間位置に設けられていることで、第一〜第四の斜材11,12,13,14が筋交いとして機能することがなく、架構体10の初期剛性を抑制することができる。さらに、第一接続部材21と第三接続部材23とが柱C2の長手方向中央を挟んで上下に離隔して設けられ、第二接続部材22と第四接続部材24とが柱C1の長手方向中央を挟んで上下に離隔して設けられているので、第一〜第四の斜材11,12,13,14が負担する軸力が柱C1,C2の異なる位置に伝達され、特定部位への応力の集中を抑制することができる。
また、第一〜第四の斜材11,12,13,14からの軸力が中間位置に作用することによって柱C1,C2に曲げモーメントが生じることで、骨組み1の見かけの剛性を高めて層間変位を抑制することができる。さらに、第一〜第四の接続部材21,22,23,24が減衰手段である粘弾性体33を有し、ベース部材31と移動部材32との相対移動によって粘弾性体33が減衰力を発揮することで、そのエネルギー吸収によって架構体10及び骨組み1の損傷を抑制することができる。従って、架構体10の初期剛性を抑制したことによって外力の加速度入力を低下させつつ、骨組み1の見かけの剛性向上によって変形を抑制して復元力を維持し、粘弾性体33のエネルギー吸収によって損傷を抑制することができるので、骨組み1全体としての構造性能を向上させることができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る架構体10Aについて、図3、図4に基づいて説明する。本実施形態の架構体10Aは、第一〜第四の斜材11,12,13,14及び第一〜第四の接続部材21,22,23,24の構成が前記第一実施形態と相違し、その他の構成は第一実施形態と略同様である。以下、第一実施形態と同一又は同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略するとともに、相違点について詳しく説明する。
本実施形態において、第一斜材11、第二斜材12、第三斜材13、及び第四斜材14は、それぞれ角形中空断面を有した鋼材で構成され、例えば、60mmx30mmの断面寸法及び1.6mmの板厚を有して形成されている。すなわち、第一〜第四斜材11,12,13,14は、矩形枠Wの面内方向の幅寸法(見付寸法)が160mm、矩形枠Wの面直交方向(図3の紙面直交方向)の幅寸法(見込寸法)が30mmの断面寸法を有している。また、第一斜材11と第二斜材12とは交差部19Aで交差し、第一斜材11と第三斜材13とは交差部19Bで交差し、第二斜材12と第四斜材14とは交差部19Cで交差し、第三斜材13と第四斜材14とは交差部19Dで交差して設けられている。各交差部19A,19B,19C,19Dにおいて、斜材11,12,13,14同士はボルト及びナットからなる交差接続部20によって互いにピン接合されている。
第一接続部材21、第二接続部材22、第三接続部材23、及び第四接続部材24は、図4に示すように、ベース部材31と、移動部材32と、粘弾性体(減衰手段)33と、を備えて構成されている。移動部材32の一対の側面部32Bと、第一〜第四の斜材11,12,13,14の他端部とは、ボルト及びナットからなる接合部材32Dによって互いにピン接合されている。このような第一〜第四の接続部材21,22,23,24では、前記第一実施形態と同様に、第一〜第四斜材11,12,13,14の軸力により、ベース部材31に対して移動部材32が相対移動し、粘弾性体33にせん断変形が生じることによって減衰力を発揮し、エネルギー吸収が行われるようになっている。
以上の本実施形態によれば、第一〜第四の斜材11,12,13,14の交差部19A,19B,19C,19Dにおいて、斜材11,12,13,14同士が交差接続部20によって接続されていることで、斜材11,12,13,14が圧縮材となる際の座屈強度を高めることができ、斜材11,12,13,14の断面寸法を縮小して材料コストを抑制することができる。なお、交差接続部20は、4箇所の交差部19A,19B,19C,19Dの全てに設けられるものに限られない。交差接続部20の設置数を適宜に設定することで、架構体10Aの水平剛性を調節することができ、耐震、耐風設計の自由度を向上させることができる。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態では、柱C、梁G1、基礎梁G2が木製の木造建物における骨組み1に対し、第一〜第四の斜材11,12,13,14が集成材等の木材からなる架構体10、または第一〜第四の斜材11,12,13,14が鋼材からなる架構体10Aを設けたが、第一〜第四の斜材11,12,13,14を竹製や樹脂製としてもよいし、木製や竹製と鉄骨製や樹脂製とを混合したものであってもよい。また、本発明の架構体は、2〜3階建ての戸建て住宅等の比較的小規模の建物に設けられるものに限らず、事務所ビルや倉庫、校舎などにも適用可能である。さらに、本発明の架構体は、新築の建物の施工時に骨組みに組み込まれるものに限らず、既存の建物に対して後から取り付けられる耐震補強用の架構体としても利用可能である。
また、前記実施形態では、第一〜第四の接続部材21,22,23,24に設けられる減衰手段として、粘弾性体が用いられていたが、減衰手段は粘弾性体に限らず、オイルダンパーや摩擦ダンパー、弾塑性ダンパー等の任意の減衰装置が利用可能である。
また、前記実施形態では、第一〜第四の斜材11,12,13,14を柱C1,C2の上端部または下端部に接合するものとして杓文字状の形状を有した接合金物15,16,17,18を用いたが、接合金物の形状は特に限定されず、矩形状の金物を利用してもよい。さらに、第一〜第四の斜材11,12,13,14を柱C1,C2の中間部に接続する接続部材21,22,23,24の形状も前記実施形態のものに限らず、適宜な減衰手段を組み込み可能な接続部材が利用可能である。
1 骨組み
10,10A 架構体
11 第一斜材
12 第二斜材
13 第三斜材
14 第四斜材
19A,19B,19C,19D 交差部
20 交差接続部
21 第一接続部材
22 第二接続部材
23 第三接続部材
24 第四接続部材
31 ベース部材
32 移動部材
33 粘弾性体(減衰手段)
C1,C2 柱(鉛直部材)
G1 梁(水平部材)
G2 基礎梁(水平部材)
W 矩形枠

Claims (5)

  1. 左右一対の鉛直部材と上側の水平部材及び下側の水平部材とで囲まれた矩形枠内部に設けられる架構体であって、
    前記一対の鉛直部材のうちの一方の上端部に一端が接続されて他端側が他方の鉛直部材に向かって斜め下方に延びる第一斜材と、
    前記一対の鉛直部材のうちの他方の上端部に一端が接続されて他端側が一方の鉛直部材に向かって斜め下方に延びる第二斜材と、
    前記一対の鉛直部材のうちの一方の下端部に一端が接続されて他端側が他方の鉛直部材に向かって斜め上方に延びる第三斜材と、
    前記一対の鉛直部材のうちの他方の下端部に一端が接続されて他端が一方の鉛直部材に向かって斜め上方に延びる第四斜材と、
    前記他方の鉛直部材における長手方向中央よりも下側の中間位置に設けられて該他方の鉛直部材に前記第一斜材の他端を接続する第一接続部材と、
    前記一方の鉛直部材における長手方向中央よりも下側の中間位置に設けられて該一方の鉛直部材に前記第二斜材の他端を接続する第二接続部材と、
    前記他方の鉛直部材における長手方向中央よりも上側の中間位置に設けられて該他方の鉛直部材に前記第三斜材の他端を接続する第三接続部材と、
    前記一方の鉛直部材における長手方向中央よりも上側の中間位置に設けられて該一方の鉛直部材に前記第四斜材の他端を接続する第四接続部材と、
    を備え、
    前記第一接続部材、前記第二接続部材、前記第三接続部材、及び前記第四接続部材は、各々が接続する斜材の他端と鉛直部材との相対移動によって減衰力を発揮する減衰手段を有して構成されていることを特徴とする架構体。
  2. 前記第一斜材と前記第二斜材との交差部、前記第一斜材と前記第三斜材との交差部、第二斜材と前記第四斜材との交差部、及び前記第三斜材と前記第四斜材との交差部、のうち少なくとも一の交差部には、交差する斜材同士を接続する交差接続部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の架構体。
  3. 前記第一接続部材、前記第二接続部材、前記第三接続部材、及び前記第四接続部材は、
    前記鉛直部材に固定されるベース部材と、
    前記第一斜材、前記第二斜材、前記第三斜材、又は前記第四斜材の他端に固定されて前記ベース部材と相対移動自在な移動部材と、
    前記ベース部材と前記移動部材との相対移動によって減衰力を発揮する前記減衰手段である粘弾性体と、
    を備えて構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の架構体。
  4. 前記第一斜材、前記第二斜材、前記第三斜材、及び前記第四斜材は、それぞれ木製、竹製、金属製、又は樹脂製であるか、あるいは該素材のうちから複数の素材を複合した複合材料製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の架構体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の架構体を骨組み内に備えたことを特徴とする建物。
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