JP2017191856A - サーミスタ素子及びその製造方法 - Google Patents

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朋紀 山口
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洋史 渡邊
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康之 沖村
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Abstract

【課題】焼成後のサーミスタ素子の抵抗値を調整することができるサーミスタ素子及びその製造方法を提供すること。【解決手段】サーミスタ材料からなる焼結体であるサーミスタ部49と、サーミスタ部49に埋設されると共に、少なくとも一端部がサーミスタ部49の外側に突出した一対の電極線25と、を有するサーミスタ素子3の製造方法において、サーミスタ部49の一部を除去する除去加工を行うことによって、サーミスタ素子3の抵抗値を調整する。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば温度センサに用いられるサーミスタ素子及びその製造方法に関する。
従来、抵抗値が温度によって変化する導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ部に、一対の電極線の一端部が埋設されたサーミスタ素子が知られている(特許文献1参照)。
このサーミスタ素子の用途として、例えば、自動車の排ガス温度測定用の温度センサがある。この用途では、例えば、−40℃から1000℃までの広い温度範囲において、精度良く温度を検出することが望まれている。
また、前記サーミスタ素子は、金型を用いたプレス成形によって成形体を作製し、その成形体を焼成することによって製造される。そのため、製造が容易であり、且つ、製造コストも安価となるため、広く用いられている。
特許第5053563号公報
しかしながら、前記サーミスタ素子は、サーミスタ部を所定形状に成形し、その後に焼成して焼結体とするので、サーミスタ素子ごとの抵抗値のバラツキが大きいという問題があった。
また、サーミスタ素子を焼成して製造した後に、その抵抗値を調整する方法がないので、抵抗値を調整する技術の開発が望まれていた。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、焼成後のサーミスタ素子の抵抗値を調整することができるサーミスタ素子及びその製造方法を提供するものである。
(1)本発明の第1局面は、サーミスタ材料からなる焼結体であるサーミスタ部と、サーミスタ部に埋設されると共に、少なくとも一端部がサーミスタ部の外側に突出した一対の電極線と、を有するサーミスタ素子の製造方法に関するものである。
本第1局面では、焼結体であるサーミスタ部の一部を除去する除去加工を行うことによって、サーミスタ素子の抵抗値を調整する。そのため、サーミスタ素子ごとの抵抗値がバラツクような場合でもあっても、容易に目標とする抵抗値に近づけることができる(例えば目標値とする抵抗値にすることも可能である)。
前記除去加工によって抵抗値を調整できる理由は、焼結体の一部が除去されることによって、一対の電極線間の導通経路が変化するためである。また、この抵抗値の変化は、導通経路の変化によって生じるため、B定数(温度勾配係数)は変化しない。これにより、サーミスタ素子のB定数を変化させることなく、所望の抵抗値を得ることができるという利点がある。
このように、本第1局面では、焼成後のサーミスタ素子の抵抗値の調整が可能であるので、抵抗値バラツキを大幅に低減できる。よって、広い温度範囲を精度よく検知可能なサーミスタ素子を提供することができるという顕著な効果を奏する。
(2)本発明の第2局面では、除去加工によって除去される部分の範囲とサーミスタ素子の調整前後の抵抗値の変化との相関関係を予め求めておき、その相関関係に基づいて、除去加工を行うことによって、サーミスタ素子の抵抗値を目標抵抗値に調整する。
本発明者等の研究によれば、除去加工によって除去される部分の範囲とサーミスタ素子の調整前後の抵抗値の変化との間に、相関関係があることが分かっている。よって、予めその相関関係を求めておいて、その相関関係に基づいて除去する部分を設定して、除去加工を行うことによって、サーミスタ素子の抵抗値を目標抵抗値に容易に調整することができる。
例えば調整前の抵抗値を測定し、その抵抗値を所定値だけ変化させたい場合には、前記相関関係に基づいて除去する部分の範囲が分かるので、その範囲を除去することにより、目標とする抵抗値に近づけることができる。
(3)本発明の第3局面は、サーミスタ素子の抵抗値を測定する第1工程と、第1工程で測定したサーミスタ素子の抵抗値と目標抵抗値との差(即ち前記調整前後の抵抗値の変化)に基づいて、抵抗値の調整前後の変化を示す指標を算出する第2工程と、第2工程で算出した指標と、上述した相関関係から得られる前記除去加工によって除去される部分の範囲と前記抵抗値の調整前後の変化を示す指標との相関関係とに基づいて、サーミスタ部の除去する範囲を決定する第3工程と、第3工程における決定に基づいて、サーミスタ部の除去加工を行う第4工程と、を有する。
本第3局面は、サーミスタ素子の抵抗値を調整する好ましい手順を例示したものである。
上述したように、除去加工によって除去される部分の範囲とサーミスタ素子の調整前後の抵抗値の変化との間には、相関関係がある。従って、除去加工によって除去される部分の範囲と抵抗値の調整前後の変化を示す指標(例えば後述する抵抗変化率)との間にも、同様な相関関係がある。よって、上述した工程によって、除去する範囲を決定して、容易に除去加工を行うことができる。
(4)本発明の第4局面では、サーミスタ素子の抵抗値を測定する場合には、一対の電極線と絶縁材が充填された筒状のシース部材に貫挿された一対の芯線とをそれぞれ電気的に接続し、一対の芯線の電極線とは反対側の端部の間の抵抗値を測定する。
本第4局面は、サーミスタ素子の抵抗値を調整する好ましい手順を例示したものである。このように、シース部材から伸びる一対の芯線の(サーミスタ部とは反対側の)端部の間の抵抗値を測定することにより、抵抗値を調整する作業を効率良く行うことができる。
(5)本発明の第5局面では、前記指標は、調整前の抵抗値(Rs)に対する調整前の抵抗値(Rs)と目標抵抗値(Rt)との差(Rt−Rs)の割合を示す抵抗変化率((Rt−Rs)/Rs)であり、前記相関関係は、除去加工によって除去される部分の範囲と抵抗変化率との相関関係を示すものである。
本第5局面は、指標として好ましい例を挙げたものである。本発明者等の研究によれば、除去加工によって除去される部分の範囲と抵抗変化率((Rt−Rs)/Rs)との間に、相関関係があることが分かっている。従って、この相関関係を用いることにより、上述のようにして、容易に抵抗値を調整することができる。
(6)本発明の第6局面では、除去加工によって除去する量及び除去する位置を調節することにより、サーミスタ素子の抵抗値を調整する。
本第6局面は、除去加工として好ましい方法を例示したものである。つまり、除去加工によって除去する量や除去する位置を調節することにより、容易に抵抗値を調整できる。
(7)本発明の第7局面では、除去加工において、加工位置、加工形状、加工深さのうち少なくとも1種を調節することにより、サーミスタ素子の抵抗値を調整する。
本第7局面は、除去加工として好ましい方法を例示したものである。つまり、除去加工の際に、加工位置(サーミスタ部のどの部分を加工するか)や、加工形状(サーミスタ部を加工する際の形状(除去する部分の形状)をどのようにするか)や、加工深さ(サーミスタ部の表面を除去する場合に、表面からどの程度の深さまで除去するか)を調節することにより、容易に抵抗値を調整できる。
(8)本発明の第8局面では、サーミスタ部が平面を有する場合に、平面に対して除去加工を行う。
本第8局面は、除去加工として好ましい方法を例示したものである。つまり、サーミスタ部に平面がある場合には、その平面に除去加工を行うことにより、容易に抵抗値を調整できる。
(9)本発明の第9局面では、サーミスタ部の板状である場合に、板厚方向の少なくとも一方の主面に凹部を形成する除去加工を行う。
本第9局面は、除去加工として好ましい方法を例示したものである。つまり、サーミスタ部の板状である場合には、その主面に凹部を形成することにより、容易に抵抗値を調整できる。
(10)本発明の第10局面では、除去加工として、サーミスタ部の端部を削除する加工を行って、抵抗値を調整する。
本第10局面は、除去加工として好ましい方法を例示したものである。つまり、サーミスタ部の端部を削除することによって、容易に抵抗値を調整できる。
(11)本発明の第11局面では、除去加工が、サンドブラスト加工、レーザー加工、切削加工のうち少なくとも1種である。
本第11局面は、除去加工として好ましい方法を例示したものである。
(12)本発明の第12局面は、サーミスタ材料からなる焼結体であるサーミスタ部と、サーミスタ部に埋設されると共に、少なくとも一端部がサーミスタ部の外側に突出した一対の電極線と、を有するサーミスタ素子に関するものである。
本第12局面では、サーミスタ部の表面は、焼肌面と(焼肌面とは異なる表面粗さを有する抵抗値調整用の)加工面とを有する。つまり、焼成後のサーミスタ部の表面は、焼結の際に形成される焼肌面と、例えば抵抗値を調節するための除去加工によって形成された抵抗値調整用の加工面とを有している。
このような加工面を有するサーミスタ素子は、例えば除去加工によって抵抗値が調節されているので、所望の抵抗値(例えば目標とする抵抗値又は目標とする値に近い抵抗値)を有している。
また、サーミスタ素子は、サーミスタ部の焼結後に抵抗値が調整されたものであるので、所望の抵抗値を有するサーミスタ素子の製造(量産)に適した構成である。
(13)本発明の第13局面は、サーミスタ部と一対の電極線との界面と加工面との距離が、5μm以上である。
本第13局面では、界面と加工面との距離が十分に離れているので、電極線の周囲のサーミスタ部の強度の低下を抑制できる。これにより、熱衝撃や振動等によってサーミスタ素子が破損して、抵抗値を正常に測定できなくなる等の不具合の発生を抑制できる。
(14)本発明の第14局面は、サーミスタ部は平面を有しており、その平面に加工面を有する凹部が形成されている。
このような構成のサーミスタ素子は、抵抗値の調整が容易であるので、所望の抵抗値を有している。また、サーミスタ素子の製造(量産)により適した構成である。
(15)本発明の第15局面では、凹部は、平面に設けられた溝又は平面の外周部の切り欠き部分である。
このような構成のサーミスタ素子は、抵抗値の調整が容易であるので、所望の抵抗値を有する。また、サーミスタ素子の製造(量産)により適した構成である。
(16)本発明の第16局面では、サーミスタ部は板状であり、板厚方向の少なくとも一方の主面に加工面を有する凹部が形成されている。
このような構成のサーミスタ素子は、抵抗値の調整が容易であるので、所望の抵抗値を有する。また、サーミスタ素子の製造(量産)により適した構成である。
(17)本発明の第17局面では、サーミスタ部は、所定の同じ範囲の導電性を有する単一相からなる。
サーミスタ部が複数相からなる場合には、例えば除去加工の際の熱によって、例えば第1相と第2相との間で元素の移動が生じて、除去加工の前後でB定数が変化する恐れがある。よって、サーミスタ部が単一相からなる場合には、B定数の変化が無いので、抵抗値の調整を精度良く行うことができる。
まお、ここで、「相」とは、結晶相のことを意味する。よって、単一相とは、同一の結晶構造及び組成を有する結晶相のことである。
<以下、本発明の各構成について説明する>
・サーミスタ部とは、温度が変化すると電気的特性(抵抗値)が変化する周知のサーミスタ焼結体であり、このサーミスタ部の材料であるサーミスタ材料としては、例えばペロブスカイト型酸化物、スピネル型酸化物、ガーネット型酸化物等を採用することができる。
・電極線は導電性を有する線材であり、この電極線としては、Pt又はPt−Rh合金、Pt−Ir合金、Pt又はPt−Rh合金にアルカリ土類金属元素(例えばSr)を微量添加した材質からなる線材が挙げられる。
・芯線は導電性を有する線材であり、この芯線としては、ステンレス合金からなる線材等を用いることができる。
・シース部材とは、筒状の部材であり、例えばステンレス合金からなる金属製のチューブ等を採用できる。
・主面とは、サーミスタ部の厚み方向における表面である。
なお、本発明の他の局面として、一対の電極線の中心線を含む平面に対して垂直で、且つ、一対の電極線の中心線間を2分する平面にて、サーミスタ部を前記凹部の少なくとも一部を含むようにして破断したサーミスタ素子の断面の面積S2と、凹部が無いとした場合のサーミスタ素子の断面の面積S1との比(S2/S1)を、前記中心線間を2分可能な領域にわたって求めたときの最小値が、0.10以上としてもよい。
この構成により、サーミスタ部の表面のうち、一対の電極線の中心線間に対応する位置に前記凹部の少なくとも一部が設けられる場合であっても、サーミスタ部のうちの一対の電極線の中心線間に位置する部位の強度の低下を抑制できる。これにより、熱衝撃や振動等によってサーミスタ素子が破損することを抑制できる。
なお、サーミスタ素子の断面の面積S1、S2とは、各断面が電極線の断面を含む場合には、サーミスタ部と電極線(但しサーミスタ部に埋設されている部分の電極線)とを含む面積である。
第1実施形態における温度センサを軸線方向に沿って一部破断して示す断面図である。 温度センサの先端側を軸線方向に沿って一部破断し拡大して示す断面図である。 (a)第1実施形態のサーミスタ素子を示す平面図、(b)はサーミスタ素子を示す斜視図である。 第1実施形態のサーミスタ素子の加工深さとRc(900)との関係を示すグラフである。 第1実施形態の変形例のサーミスタ素子を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 第2実施形態のサーミスタ素子を示す平面図である。 第2実施形態のサーミスタ素子の加工深さとRc(900)との関係を示すグラフである。 第3実施形態のサーミスタ素子を示す平面図である。 実施例14〜18、21のサーミスタ素子を示す平面図である。 実施例23のサーミスタ素子を示す平面図である。 断面積S2を有するサーミスタ素子を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。 断面積S1を有するサーミスタ素子を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。 実施例8〜11及び実施例14〜17について、加工深さとRc(900)との関係を示すグラフである。 第5実施形態のサーミスタ素子を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のD−D断面図である。 第5実施形態のサーミスタ素子の加工深さとRc(900)との関係を示すグラフである。
[1.第1実施形態]
まず、本第1実施形態のサーミスタ素子を備えた温度センサについて説明する。
[1−1.温度センサの全体構成]
図1に示すように、温度センサ1は、感温素子であるサーミスタ素子3と、一対の金属製のシース芯線5をシース管7の内側にて絶縁保持したシース部材9と、先端側が閉塞し軸線O方向に延びる筒状の金属チューブ11と、金属チューブ11を支持する取付部材13と、六角ナット部15及びネジ部17を有するナット部材19と、取付部材13の後端側に内嵌する外筒21とを備えている。
なお、軸線O方向とは、温度センサ1の長手方向(軸線Oの延びる方向)であり、図1においては上下方向に相当する。また、温度センサ1における先端側は図1における下側であり、後端側は図1における上側である(以下同様)。
前記温度センサ1は、金属チューブ11の先端側の内部に、温度を測定するために前記サーミスタ素子3を収納したセンサである。この温度センサ1は、例えば内燃機関の排気管などの流通管に装着され、温度センサ1の先端側が、測定対象ガス(排ガス)が流れる流通管内に配置されることにより、測定対象ガスの温度を検出する。
以下、各構成について詳細に説明する。
シース部材9は、金属製(例えばステンレス合金製)のシース管7と、導電性金属(例えばステンレス合金:例えばSUS310S)からなる一対のシース芯線5と、シース管7と2本のシース芯線5との間を電気的に絶縁してシース芯線5を保持するシリカ等の絶縁粉末23とから構成される。
シース芯線5は、その先端側が例えばレーザー溶接によりサーミスタ素子3から後端側に延びる電極線25と接続されており、後端側が例えば抵抗溶接により加締め端子27と接続されている。これにより、シース芯線5は、自身の後端側が加締め端子27を介して外部回路(例えば、車両の電子制御装置(ECU)等)接続用のリード線29と接続されている。
なお、一対のシース芯線5および一対の加締め端子27は、絶縁チューブ31により互いに絶縁され、リード線29は、導線を絶縁性の被覆材にて被覆され耐熱ゴム製の補助リング33の内部を貫通する状態で配置される。
取付部材13は、径方向外側に突出する円筒状の突出部35と、突出部35から後端側に延びる円筒状の後端側鞘部37とを有している。後端側鞘部37は、後端側に延びる円筒状のスリーブ39を有しており、このスリーブ39に金属チューブ11が接合されている。つまり、この取付部材13は、金属チューブ11の後端側の外周面を取り囲んで金属チューブ11を支持する。
金属チューブ11は、耐腐食性金属(例えば、耐熱性金属でもあるSUS310Sなどのステンレス合金)からなる。この金属チューブ11は、鋼板の深絞り加工によりチューブ先端側が閉塞した軸線O方向に延びる筒状をなし、筒状のチューブ後端側が開放した形態である。
図2に拡大して示す様に、金属チューブ11は、径が小さく設定された先端側の小径部41と、径が小径部41よりも大きく設定された後端側の大径部43と、小径部41と大径部43との間の段差部45とを備えている。
また、金属チューブ11の内部に、サーミスタ素子3およびセメント47が収納されており、セメント47は、サーミスタ素子3の周囲に充填されることで、サーミスタ素子3の揺動を防止している。なお、セメント47は、非晶質のシリカにアルミナ骨材を含有した絶縁材よりなる。
[1−2.サーミスタ素子の構成]
次に、サーミスタ素子3について、詳しく説明する。
図2に示すように、サーミスタ素子3は、温度によって電気的特性(電気抵抗値)が変化するサーミスタ部49と、このサーミスタ部49の電気的特性の変化を取り出すための一対の電極線25とから構成される。なお、サーミスタ部49は、厚み方向から見た平面視が六角形の板状である。
一対の電極線25は、例えばPt−Rh合金製の円柱状の線材である。この一対の電極線25は、平行に配置されており、例えばレーザー溶接によって、それぞれ一対のシース芯線5に接合されている。
なお、サーミスタ素子3の各寸法は、例えば、サーミスタ部49の正六角形の一辺1.25mm、厚み0.92mmである。また、電極線25は、例えば、直径φ0.30mm、2つの電極線25間の中心間距離0.70mm(ギャップ0.40mm)、電極挿入量(即ちサーミスタ部49内における長さ)1.05mmである。
サーミスタ部49は、導電性を有するセラミック焼結体であり、例えば、(Sr、Y)(Al、Mn、Fe)Oをベース組成としたペロブスカイト型酸化物で形成されている。つまり、このサーミスタ部49は、同一(単一)組成からなるペロブスカイト構造を有するペロブスカイト相(単一相)を有する。
前記ペロブスカイト相としては、例えば組成式M1aM2bMncAldCreOfの値a、b、c、d、e、fが、下記の条件式(1)〜(7)を満たす導電性のペロブスカイト相を挙げることができる。
0.600≦a<1.000 ・・・(1)
0<b≦0.400 ・・・(2)
0≦c<0.150 ・・・(3)
0.400≦d<0.950 ・・・(4)
0.050<e≦0.600 ・・・(5)
0.50<e/(c+e)≦1.00 ・・・(6)
2.80≦f≦3.30 ・・・(7)
前記組成式において、M1はペロブスカイト相のAサイトに位置する、Laを除く第3族元素のうち少なくとも1種の元素を示す。M2はペロブスカイト相のAサイトに位置する第2族元素のうち少なくとも1種の元素を示す。なお、M1はNd、M2はCaから構成される方が好ましい。
上記条件(1)〜(7)を満たすサーミスタ部49を有するサーミスタ素子3は、例えば−40℃から1000℃までの温度領域において温度を検知することができる。
図3に示すように、本第1実施形態では、サーミスタ部49は、後述する除去加工により形成された被加工部51を有する。
具体的には、サーミスタ部49の一方の主面(第1主面)49aには、その中央に沿って、即ち図3(a)の左右方向の中央において一対の電極線25と平行に(図3(a)の上下方向に)、凹部(詳しくは溝)である被加工部51が形成されている。
なお、被加工部51は四角柱状の切り欠き部分であり、その寸法は、例えば縦1.500mm×横0.300mm×深さ0.100mmである。
サーミスタ部49の表面のうち、この被加工部51の表面が加工面53であり、この加工面53以外の表面は、サーミスタ部49を焼結させる際に形成された焼肌面(図3の灰色部分)55のままである。なお、焼肌面55の表面粗さRaは加工面53の表面粗さRaより小さい。
[1−3.サーミスタ素子の製造方法]
次に、サーミスタ素子3の製造方法について説明する。
ここでは、下記表1の組成(1)の組成から成るサーミスタ部49を有するサーミスタ素子3の製造方法について説明する。なお、この製造方法は、下記表1における実施例1〜6のサーミスタ素子の製造方法である。
まず、サーミスタ材料の仮焼粉末を、以下のようにして得る。即ち、原料粉末として、Nd(OH)、CaCO、MnO、Al、Cr(全て純度99%以上の市販品)を用いて、元素Nd、Ca、Mn、Al、Crが、下記表1に示すモル数となるように、それぞれ秤量した。
次に、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、サーミスタ材料の原料粉末混合物を調整した。
次に、この原料粉末混合物を、大気雰囲気下1400℃で2時間仮焼成し、平均粒径1〜2μmのサーミスタ材料の仮焼粉末を作製した。
次に、サーミスタ合成粉末を、以下のようにして得る。
即ち、前記仮焼粉末を秤量し、樹脂ポットと高純度Al球石とを用い、エタノールを分散媒として、湿式混合粉砕を行った。そして、得られたスラリーを80℃で2時間乾燥し、サーミスタ合成粉末を作製した。
次に、サーミスタ合成粉末100重量部に対し、ポリビニルブチラールを主成分とするバインダーを20重量部添加して混合、乾燥した。そして、250μmメッシュの篩を通して造粒し、造粒粉末を作製した。
次に、上述の造粒粉末を用いて、金型成形法にてプレス成型(プレス圧:4500kg/cm)して、図3に示すように、Pt−Rh合金製の一対の電極線25の一端側が埋設された六角形板状(厚み:1.06mm)の未焼成成形体を作製した。
その後、大気雰囲気下1500〜1600℃で4時間焼成し、電極線25が付与された(抵抗値の調整前の)サーミスタ素子3を作製した。
その後、後述するように抵抗値の調整を行うことにより、前記図3に示すサーミスタ素子3が完成した。
なお、ここでは、前記表1の組成(1)のサーミスタ部49を備えたサーミスタ素子3以外に、表1の組成(2)、組成(3)、組成(4)の組成から成る各サーミスタ部49を有するサーミスタ素子3も作製した。
組成(2)は、元素M1をY、元素M2をSrにそれぞれ変え、またモル比a〜eが異なる点で、組成(1)と異なる。
組成(3)は、元素M1をY、元素M2をSr、元素M3をFeにそれぞれ変え、またモル比a〜eが異なる点で、組成(1)と異なる。
組成(4)は、第2相であるSrAlが含まれている点で、組成(2)と異なる。
[1−4.サーミスタ素子の抵抗値の調整方法]
次に、サーミスタ素子3の抵抗値の調整方法(トリミング法)について説明する。
なお、ここでは、前記表1の組成(1)のサーミスタ部49(即ち下記表2の実施例1〜6)と、前記表1の組成(4)のサーミスタ部49(即ち下記表2の実施例7)とに対してトリミングを実施する例について説明する。
(1)第1工程
まず、サーミスタ素子3について、以下のようにして初期抵抗値を測定した。
即ち、まず、サーミスタ素子3を絶対温度T(900)=1173K(=900℃)の環境下に放置し、その状態でのサーミスタ初期抵抗値Rs(900)を、マルチメーターを用いて測定した。この結果を下記表2に示す。
ついで、サーミスタ素子3について、以下のようにして、初期B定数(温度勾配係数)を測定した。
即ち、まず、サーミスタ素子3を絶対温度T(−40)=233K(=−40℃)の環境下に放置し、その状態でのサーミスタ初期抵抗値Rs(−40)を測定した。そして、トリミング前の−40℃〜900℃における初期B定数:Bs(−40〜900)を、以下の式(8)に従って算出した。
Bs(−40〜900)=
ln[Rs(900)/Rs(-40)]/[1/T(900)−1/T(-40)]・・(8)
(2)第2工程
ついで、サーミスタ素子3の初期抵抗値Rs(900)と900℃における目標抵抗値Rt(900)との差から、所望の抵抗変化率Rc(900)(%)を下記式(9)より算出した。この結果を下記表2に示す。
Rc(900)(%)=(Rt(900)−Rs(900))/Rs(900)×100・・(9)
(3)第3工程
ついで、加工深さ(即ち主面からの深さ)と抵抗変化率Rc(900)との相関関係から、加工深さを算出した。この結果を下記表2に示す。
つまり、加工位置(図3(a)の左右の中心)及び加工形状(図3(a)の縦横の寸法)は、図3に示すものと同一とした場合において、その加工位置及び加工形状における加工深さ(即ち被加工部51である溝の深さと抵抗変化率Rc(900)とは、図4に示すような相関関係がある。従って、この相関関係に基づいて、抵抗変化率Rc(900)から加工深さを求めた。
(4)第4工程
ついで、サーミスタ部49の表面に対し、前記第3工程の決定(即ち加工深さ)に従って、サンドブラスト加工を施して、被加工部51を形成した。
つまり、目標抵抗値Rtとなるような抵抗変化率Rcを求め、この抵抗変化率Rcに対応する加工深さを決定し、この加工深さの被加工部51となるように、サンドブラストによる除去加工を行った。これにより、前記被加工部51を有するサーミスタ素子3を得た。
次に、得られたサーミスタ素子3に対し、上述と同様に加工後の抵抗値Rp(900)を測定した。この結果を下記表2に示す。
また、サーミスタ素子3に対し、上述と同様に加工後のB定数:Bp(−40〜900)を求めた。その上で、初期B定数:Bs(−40〜900)と加工後のB定数;Bp(−40〜900)との差から、加工によるB定数変化率Bc(−40〜900)(%)を下記式(10)より算出した。
Bc(−40〜900)(%)=
(Bp(-40〜900)−Bs(-40〜900))/Bs(-40〜900))×100 ・・(10)
これらの結果を下記表2に示す。
なお、表2において、実施例2〜6は、それぞれRs(900)が実施例1と異なる。また、実施例7は、サーミスタ部49が、表1の組成(4)である点、及びRs(900)、Rt(900)が実施例1と異なる。
この表2から明らかなように、実施例1〜6によれば、上述の抵抗値のトリミングを実施することで、加工後の抵抗値Rp(900)は目標抵抗値Rt(900)に近くなり、抵抗値のバラツキを大きく低減できることが分かる。
また、B定数変化率Bc(−40〜900)は、±0.1%以内となり、加工前後でB定数がほとんど変化していないことが分かる。つまり、上述したトリミングによって、B定数を変えることなく、抵抗値のみを所望の値に変化させることが可能であることが分かる。
また、サーミスタ部49の組成が、組成(2)及び組成(4)である場合でも、前記第1〜第4工程のトリミングを実施したところ、同様の結果が得られた。
つまり、上述の抵抗値のトリミングを実施することで、加工後抵抗値Rp(900)は目標抵抗値Rt(900)に近くなり、抵抗値バラツキを大きく低減できることが分かった。
なお、サーミスタ部49の組成が組成(4)である実施例7の場合、Bc(−40〜900)は、−1.55%となり、実施例1〜6と比較し、加工前後でB定数の変化は大きい。これは、第4工程におけるサンドブラスト加工を施した際に生じた熱によって、第1相と第2相の間で元素の移動が生じたためであると考えられる。よって、サーミスタ部49は単一相から成るほうが好ましいことが分かる。
[1−5.効果]
本第1実施形態では、焼結体であるサーミスタ部49の一部を除去する除去加工を行うことによって、サーミスタ素子3の抵抗値を調整する。そのため、サーミスタ素子3ごとの抵抗値がバラツクような場合でもあっても、容易に目標とする抵抗値に近づけることができる。
具体的には、除去加工によって除去する量及び除去する位置を調節することにより、例えば、加工位置、加工形状、加工深さのうち少なくとも1種を調節することにより、サーミスタ素子3の抵抗値を調整することができる。
具体的には、抵抗値を調整する場合には、除去加工によって除去される部分の範囲とサーミスタ素子3の調整前後の抵抗値の変化との間に、相関関係があることが分かっているので、予めその相関関係を求めておく。そして、その相関関係に基づいて除去する部分を設定して、除去加工を行うことによって、サーミスタ素子3の抵抗値を目標抵抗値に容易に調整することができる。
詳しくは、除去加工によって除去される部分の範囲と抵抗変化率((Rt−Rs)/Rs)との間に、相関関係があることが分かっているので、この相関関係を用いることにより、容易に抵抗値を調整することができる。
また、サーミスタ部49は板状であるので、その平面(主面49a)に凹部を形成するような除去加工を行うことにより、容易に抵抗値を調整できる。
このように、焼成後のサーミスタ素子3の抵抗値の調整が可能であるので、抵抗値のバラツキを大幅に低減できる。よって、広い温度範囲を精度よく検知可能なサーミスタ素子3を提供することができるという顕著な効果を奏する。
[1−6.変形例]
本第1実施形態の変形例として、図5に示すサーミスタ素子1が挙げられる。
この変形例のサーミスタ素子1では、サーミスタ部49の主面49aに、第1実施形態と同様な図5の上下方向に長い溝状の被加工部51が設けられているが、この被加工部51は、図5の上下の両端に達していない。
なお、この変形例の被加工部51は、周知の加工方法(例えばサンドブラスト)によって形成することができる。
この変形例によっても、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、被加工部51が両端に達していないので、一層破損し難いという利点がある。
[1−7.特許請求の範囲と実施形態との対応関係]
本第1実施形態の、サーミスタ素子3、シース芯線5、シース部材9、絶縁粉末23、電極線25、サーミスタ部49、主面49a、被加工部51、加工面53、焼肌面55が、それぞれ、特許請求の範囲の、サーミスタ素子、芯線、シース部材、絶縁材、電極線、サーミスタ部、主面、被加工部、加工面、焼肌面の一例に相当する。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略又は簡略化する。なお、第1実施形態と同様な構成には同じ番号を付す。
図6に示すように、本第2実施形態のサーミスタ素子61は、第1実施形態と同様に、サーミスタ部63及び一対の電極線25とを備えている。
このサーミスタ部63は、平面視が六角形状であるが、その被加工部65の形状が、第1実施形態とは異なっている。
つまり、サーミスタ部63の一方の主面(表面)の中央に、直径φ1.000mm×深さ0.100mmの平面視で円形の被加工部65が形成されている。なお、平面視で、サーミスタ部63の重心と被加工部65の中心とは一致している。
第2実施形態のサーミスタ素子61も、第1実施形態と同様な方法によって製造することができる。
この第2実施形態では、加工深さと抵抗変化率Rc(900)とは、下記表3及び図7に示す相関関係を有している。
第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略又は簡略化する。なお、第1実施形態と同様な構成には同じ番号を付す。
図8に示すように、本第3実施形態のサーミスタ素子71は、第1実施形態と同様に、サーミスタ部73及び一対の電極線25とを備えている。
このサーミスタ部73は、平面視が六角形状であるが、その被加工部75の形状が、第1実施形態とは異なっている。
つまり、サーミスタ部73の一方の主面(表面)の中央から先端側(図8の上側)に、深さ0.100mmの平面視で台形の被加工部75が形成されている。なお、ここで中央とは、サーミスタ部73を図8の上側と下側とが線対称となるように2等分する位置である。
第3実施形態のサーミスタ素子71も、第1実施形態と同様な方法によって製造することができる。
この第3実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
[4.第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略又は簡略化する。なお、第1実施形態と同様な構成には同じ番号を付す。
本第4実施形態では、前記図3に示すように、第1実施形態と同様な構成のサーミスタ部49及び一対の電極線25を備えたサーミスタ素子3を例に挙げて説明する。
なお、サーミスタ部49は、前記表1の組成(1)であり、サーミスタ部49の被加工部51は、縦1.500mm×横0.300mm×深さ0.100mmである。
そして、このようなサーミスタ素子3について、下記表4に示すような条件でトリミングを実施し、表4に示す内容を調べた。
具体的には、下記表4の実施例8〜23について、加工方法、加工位置、加工形状、加工深さを変更し、電極線界面と被加工部との距離、S2/S1、Bc(−40〜900)、Rc(−40)、Rc(900)、冷熱サイクル試験後の破損発生率、被加工部の表面粗さRaを調べた。
なお、実施例8〜13、19、20、22については、サーミスタ素子3は、前記図3に示す形状である。また、実施例14〜18、21については、サーミスタ素子3は、図9に示す形状であり、平面視で被加工部51と一方の電極線25とは重なっている。さらに、実施例23については、サーミスタ素子3は、図10に示す形状であり、平面視で、被加工部51の左側の端部が左側の電極線25の右側の端部と重なる位置から極僅かだけ右側に位置している。
ここで、下記表4の上段の各項目の内容について説明する。
・「加工方法」とは、被加工部51を形成する方法であり、周知の、サンドブラスト加工、レーザー加工、ダイサーによる切削加工のいずれかを示している。
・「加工位置形状」とは、図3、図9、図10のいずれかのように、どの位置にどの形状の被加工部51を形成したかを示している。なお、図9、図10の被加工部51は、表4に示すように、周知の加工方法(例えばサンドブラスト加工)によって形成できる。
・「加工面と電極線との距離」とは、サーミスタ部49のセラミック部分と電極線25との界面と被加工部51(即ち加工面53)との最短距離を示している。
・S2とは、図11に示すように、一対の電極線25の中心線を含む平面に対して垂直で、且つ、一対の電極線25の中心線間を2分する平面にて、サーミスタ部49を溝状の被加工部51の少なくとも一部を含むようにして破断したサーミスタ素子3の断面の面積である。なお、中心線とは電極線の軸中心を示している。
また、S1は、図12に示すように、被加工部51が無いとした場合の前記サーミスタ素子3の断面(S2を測定した部分)の面積である。
なお、前記サーミスタ素子3の断面の面積S1、S2とは、各断面が電極線25の断面を含む場合には、サーミスタ部49とサーミスタ部49に埋設されている部分の電極線25とを含む面積である。
・前記各面積S2、S1の比(S2/S1)とは、前記中心線間を2分可能な領域にわたって求めたときの最小値である。
・「Bc(−40〜900)(%)」は、B定数変化率であり、前記第1実施形態と同様である。
・「Rc(−40)(%)」は、下記式(11)により求めたものであり、加工前の抵抗値Rs(−40)と加工後の抵抗値Rp(−40)との差の割合を示す抵抗変化率である。
Rc(−40)(%)
=(Rp(-40)−Rs(-40))/Rs(-40))×100 ・・(11)
・「Rc(900)(%)」は、下記式(12)により求めたものであり、加工前の抵抗値Rs(900)と加工後の抵抗値Rp(900)との差の割合を示す抵抗変化率である。
Rc(900)(%)
=(Rp(900)−Rs(900))/Rs(900))×100 ・・(12)
・「破損発生率」とは、冷熱サイクル試験後の破損発生率を示し、試料10個に対して、破損が発生した割合を求めたものである。
この冷熱サイクル試験とは、まず、室温(25℃)から850℃環境下にサーミスタ素子3を投入し、850℃環境下に5分間放置する。ついで、再び、室温環境下に戻す。この操作を5000サイクル繰り返し、その後サーミスタ素子3の破損の有無を確認したものである。
・「被加工部のRa」とは、被加工部49の表面粗さRaを示しており、JIS B0601:2013年の規定により求めたものである。なお、焼肌面55の表面粗さRaは、1.4μmであった。
これらの結果を下記表4及び図13に示す。
なお、図13
は、実施例8〜11及び実施例14〜17について、加工深さを横軸に、抵抗変化率Rc(900)を縦軸にとったグラフである。
この表4及び図13に示すように、実施例8〜13(被加工部51が図3の形状)と実施例14〜18(被加工部51が図9の形状)とから、被加工部51の加工深さに応じた抵抗変化率Rc(900)を得られていることが分かる。よって、被加工部51の深さを調整することで、所望の抵抗値を容易に得ることができることが分かる。
実施例8〜13と実施例14〜18を比較すると、被加工部51の位置が異なる場合には、加工深さと抵抗変化率Rc(900)の相関関係は異なるが、被加工部51の加工深さに応じた抵抗変化率Rc(900)が得られることに変わりはない。よって、被加工部分51の位置はサーミスタ部49表面のどこでも良いが、被加工部51の位置を固定することで、より精度よく所望の抵抗変化率Rc(900)を得ることができることが分かる。
また、実施例8と実施例19、20を比較すると、サーミスタ部49の加工方法が異なる場合でも、被加工部51の加工位置、加工形状及び加工深さが同じであった場合、ほぼ同じ抵抗変化率Rc(900)が得られていることが分かる。よって、加工方法に関わらず、被加工部51の加工位置、加工形状及び加工深さによって、抵抗変化率Rc(900)を決定できることが分かる。
さらに、サーミスタ部49の電極線25の界面と被加工部51との最短の距離が4μm以下である実施例21の場合、冷熱サイクル試験による破損発生率が30%と大きい。それに対して、前記距離が6μm以上の実施例8〜20では、冷熱サイクル試験による破損発生率は0%である。従って、前記距離は5μmを上回ることが好ましいことが分かる。
また、前記面積S2と前記面積S1との比S2/S1が0.08である実施例22の場合、冷熱サイクル試験による破損発生率が10%とやや大きい。それに対して、S2/S1が0.1以上である実施例8〜20では、冷熱サイクル試験による破損発生率は0%である。従って、前記S2/S1は0.1以上であることが好ましいことが分かる。
なお、実施例23は、前記距離が4μm以下で且つ前記S2/S1が0.08であるので、冷熱サイクル試験による破損発生率が50%であると考えられる。
しかも、実施例8〜23によると、Bc(−40〜900)は±0.1%以内となり、加工前後でB定数がほとんど変化していないことが分かる。よって、この点からも、B定数を変えることなく、抵抗値のみを所望の値に変化させることが可能であることが分かる。
[5.第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略又は簡略化する。なお、第1実施形態と同様な構成には同じ番号を付す。
図14に示すように、本第5実施形態のサーミスタ素子81は、第1実施形態と同様に、サーミスタ部83及び一対の電極線25とを備えている。
第5実施形態では、サーミスタ部83の形状が、第1実施形態とは異なっている。
つまり、サーミスタ部83は、除去加工前の平面視で正六角形の形状の一方の端部(図14の上方の端部)が、図14の上下方向の寸法の1/5切り取られた形状を有している。なお、ここで被加工部85とは、サーミスタ部83の図15の上方の端面(加工面87)である。
第5実施形態のサーミスタ素子81のサーミスタ部83は、例えば、元の六角形の焼結対の一端を、例えばダイサーにより切削して除去することにより形成することができる。
この第2実施形態では、加工深さ(d)と抵抗変化率Rc(900)とは、下記表5及び図15に示す相関関係を有している。なお、本第5実施形態で加工深さ(d)とは、図15の上方の端面から切り取った部分の長さである。
第5実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
[6.他の実施形態]
尚、本発明は前記実施形態や実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば、トリミングの際にサーミスタ部の一部を除去する方法として、レーザー加工や切削加工を採用した場合も、サンドブラスト加工と同様の効果が得られる。
(2)また、除去加工において、加工位置、加工形状、加工深さのうち少なくとも1種を調節してもよい。つまり、上述したように、除去加工の内容とそれによって抵抗値がどのように変化するかという相関関係を予め求めておく。そして、目標抵抗値とするために、どの程度抵抗値を変化させれば良いかが決まるので、前記相関関係に基づいて、変化させる抵抗値に対応した除去加工の内容を決めて除去加工(即ちトリミング)を実施することにより、サーミスタ素子の抵抗値を目標抵抗値に近づけることができる。
(3)サーミスタ素子の抵抗値を測定する場合には、一対の電極線に抵抗値の測定器を接続してもよいが、一対の電極線をシース部材の一対のシース芯線に接合して接続し、電極線を接続した側と反対側のシース芯線の間に、測定器を接続して抵抗値を測定してもよい。
この場合は、サーミスタ素子を加熱した場合に、加熱した位置を離れた位置に測定器を接続できるので、抵抗値の測定が容易であるという利点がある。また、シース芯線の固体ばらつきをも含めた形で、サーミスタ素子の抵抗値を目標とする抵抗値に近づけることができる。
(4)なお、上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
3、61、71、81…サーミスタ素子
5…シース芯線
9…シース部材
23…絶縁粉末
25…電極線
49、63、73、83…サーミスタ部
49a…主面
51、65、75、85…被加工部
53、87…加工面
55…焼肌面

Claims (17)

  1. サーミスタ材料からなる焼結体であるサーミスタ部と、前記サーミスタ部に埋設されると共に、少なくとも一端部が前記サーミスタ部の外側に突出した一対の電極線と、を有するサーミスタ素子の製造方法において、
    前記サーミスタ部の一部を除去する除去加工を行うことによって、前記サーミスタ素子の抵抗値を調整することを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
  2. 前記除去加工によって除去される部分の範囲と前記サーミスタ素子の調整前後の抵抗値の変化との相関関係を予め求めておき、前記相関関係に基づいて、前記除去加工を行うことによって、前記サーミスタ素子の抵抗値を目標抵抗値に調整することを特徴とする請求項1に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  3. 前記サーミスタ素子の抵抗値を測定する第1工程と、
    前記第1工程で測定した前記サーミスタ素子の抵抗値と前記目標抵抗値との差に基づいて、前記抵抗値の調整前後の変化を示す指標を算出する第2工程と、
    前記第2工程で算出した前記指標と、前記相関関係から得られる前記除去加工によって除去される部分の範囲と前記抵抗値の調整前後の変化を示す指標との相関関係とに基づいて、前記サーミスタ部の除去する範囲を決定する第3工程と、
    前記第3工程における決定に基づいて、前記サーミスタ部の除去加工を行う第4工程と、
    を有することを特徴とする請求項2に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  4. 前記サーミスタ素子の抵抗値を測定する場合には、前記一対の電極線と絶縁材が充填された筒状のシース部材に貫挿された一対の芯線とをそれぞれ電気的に接続し、前記一対の芯線の前記電極線とは反対側の端部の間の抵抗値を測定することを特徴とする請求項3に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  5. 前記指標は、前記調整前の抵抗値(Rs)に対する前記調整前の抵抗値(Rs)と前記目標抵抗値(Rt)との差(Rt−Rs)の割合を示す抵抗変化率((Rt−Rs)/Rs)であり、
    前記相関関係は、前記除去加工によって除去される部分の範囲と前記抵抗変化率との相関関係を示すものであることを特徴とする請求項3又は4に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  6. 前記除去加工によって除去する量及び除去する位置を調節することにより、前記サーミスタ素子の抵抗値を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  7. 前記除去加工において、加工位置、加工形状、加工深さのうち少なくとも1種を調節することにより、前記サーミスタ素子の抵抗値を調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  8. 前記サーミスタ部が平面を有する場合に、前記平面に対して前記除去加工を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  9. 前記サーミスタ部の板状である場合に、板厚方向の少なくとも一方の主面に凹部を形成する前記除去加工を行うことを特徴とする請求項8に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  10. 前記除去加工として、前記サーミスタ部の端部を削除する加工を行って、前記抵抗値を調整することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  11. 前記除去加工が、サンドブラスト加工、レーザー加工、切削加工のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  12. サーミスタ材料からなる焼結体であるサーミスタ部と、前記サーミスタ部に埋設されると共に、少なくとも一端部が前記サーミスタ部の外側に突出した一対の電極線と、を有するサーミスタ素子において、
    前記サーミスタ部の表面は、焼肌面と該焼肌面とは異なる表面粗さを有する抵抗値調整用の加工面とを有することを特徴とするサーミスタ素子。
  13. 前記サーミスタ部と前記一対の電極線との界面と、前記加工面との距離が、5μm以上であることを特徴とする請求項12に記載のサーミスタ素子。
  14. 前記サーミスタ部は平面を有しており、前記平面に前記加工面を有する凹部が形成されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のサーミスタ素子。
  15. 前記凹部は、前記平面に設けられた溝又は前記平面の外周部の切り欠き部分であることを特徴とする請求項14に記載のサーミスタ素子。
  16. 前記サーミスタ部は板状であり、板厚方向の少なくとも一方の主面に前記加工面を有する凹部が形成されていることを特徴とする請求項14又は15に記載のサーミスタ素子。
  17. 前記サーミスタ部は、所定の同じ範囲の導電性を有する単一相からなることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のサーミスタ素子。
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