JP2017192350A - マイコプラズマニューモニエの溶菌方法及び検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、生体試料から特殊な装置を用いなくても、簡単、短時間に阻害物質の溶出を防ぎながらマイコプラズマニューモニエを溶菌し、核酸鎖を損ねることなく放出させる方法を提供する。【解決手段】 喀痰中に含まれるマイコプラズマニューモニエにイオン性界面活性剤(好ましくはラウリル硫酸ナトリウム)を共存させて、マイコプラズマニューモニエを溶菌し、次いでマイコプラズマニューモニエのRNAを精製し、精製されたマイコプラズマニューモニエのRNAを増幅し検出する。【選択図】 なし

Description

本発明は、マイコプラズマニューモニエの溶菌方法およびそれを用いた検査方法に関する。
マイコプラズマニューモニエは、世界的に蔓延する細菌性疾患であり、その治療方法のみならず診断方法は極めて重要である。マイコプラズマニューモニエは人に感染すると気管支炎と肺炎(以下マイコプラズマ肺炎)といった疾患を引き起こす。異形肺炎の多くがマイコプラズマ肺炎であり、市中肺炎としての頻度も高い。日本では晩秋から早春にかけて報告数が多くなり、罹患年齢は幼児期、学童期、青年期が中心である。
マイコプラズマニューモニエのもっと確定的な診断法は培養法であるが、マイコプラズマニューモニエの増殖速度は極めて遅く、診断の遅れ、ひいては二次感染の拡大および発生につながりかねない。そこで、時間のかかる培養法と並行して、迅速に結果が得られる検査法が開発されている。なかでも注目されているのは、マイコプラズマニューモニエに特異的な核酸鎖の増幅・検出法である。この方法は、検査の対象とする菌の核酸(DNAやRNAなど)に特異的なプライマーを用い、菌の核酸鎖を増幅して検出することにより、 菌の有無を判定する方法である。
前記核酸増幅法を適用した診断法では、その前処理としてマイコプラズマニューモニエを溶菌して核酸鎖を抽出する必要がある。従来の溶菌方法としては、例えば、有機溶媒等や界面活性剤を用いた化学的方法(特許文献1)、酵素を用いる生物学的方法、および、超音波処理もしくは微粒子存在下での超音波破砕、凍結・融解の繰り返すといった物理的方法等がある。しかし、従来の方法は時間がかかり、またマイコプラズマニューモニエの含まれる生体試料が過度に分解され、生体試料由来成分によりその後の反応を阻害するなどの問題があった。
特開2014−97051号公報
本発明は、生体試料から特殊な装置を用いなくても、簡単、短時間に阻害物質の溶出を防ぎながらマイコプラズマニューモニエを溶菌する方法を提供し、さらには核酸鎖、特にRNAを損ねることを最小限として放出させる方法を提供することを、その目的とする。
前記目的を達成するために、本発明者は鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は以下のとおりである。
(1)マイコプラズマニューモニエにイオン性界面活性剤を共存させることを特徴とする、マイコプラズマニューモニエの溶菌方法。
(2)前記イオン性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである(1)に記載の方法。
(3)喀痰中に含まれるマイコプラズマニューモニエである(1)又は(2)に記載の方法。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の方法によってマイコプラズマニューモニエを溶菌し、次いでマイコプラズマニューモニエのRNAを精製することを特徴とする、マイコプラズマニューモニエのRNAの精製方法。
(5)(4)に記載の方法によってマイコプラズマニューモニエのRNAを精製し、次いで精製されたマイコプラズマニューモニエのRNAを増幅し検出することを特徴とするマイコプラズマニューモニエの検出方法。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明はマイコプラズマニューモニエにイオン性界面活性剤を共存させ、溶菌させる。本発明においてマイコプラズマニューモニエの存在形態としては特に限定されるものではなく、例えば生体試料中に含まれるものがあげられる。前記生体試料としては、喀痰、咽頭拭い液、鼻咽頭拭い液、培養液があげられるが、本発明の一態様として、前記生体試料としては喀痰が想定される。本発明の方法は喀痰中の阻害成分をあまり可溶化せず、喀痰中のマイコプラズマニューモニエを溶菌し、かつ核酸の分解を防止することができる。
本発明に用いられるイオン性界面活性剤としては、マイコプラズマニューモニエを溶菌できるものなら特に限定されず、陽イオン性界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤のいずれでもよい。例えばラウリル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなどが使用でき、好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムであり、更に好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。イオン性界面活性剤の濃度には特に限定はないが、好ましくは1〜20w/v%、更に好ましくは2.5〜10w/v%である。
本発明はこのようにして溶菌した後、さらにRNAの精製工程を含んでもよい。精製の方法としては特に限定しないが、一般的に核酸増幅に適用できるもの好ましく、たとえば、AGPC法(Chomczynski,P.,et al.(1987)Anal. Biochem.,162,156−159.)、BOOM法(特許2680462号公報)、などの方法があげられる。BOOM法の好ましい態様として検体を少なくともグアニジン塩酸塩、2−プロパノールを含む溶液に添加し、シリカを含有する固相と接触させ、シリカを含有する固相に核酸を吸着させたのち、核酸がシリカを含有する固相から解離しにくい条件下で洗浄し、グアニジン非存在下で核酸を溶出させる方法があげられる。精製されるマイコプラズマニューモニエのRNAとしては特に限定はされないが、好ましくはリボソームRNA(rRNA)をあげることができる。
本発明ではこのように精製されたRNAに対して、当業者が適宜核酸増幅法を選択して、マイコプラズマニューモニエの検出が可能である。前記核酸増幅法としては特に限定されないが、PCR法、NASBA法、TMA法があげられ、好適には一定温度・一段階・リアルタイムにRNAを増幅かつ測定可能なTRC法(例えば特開2000−14400号公報、特開2001−37500号公報、特開2001−353000号公報、Ishiguro,T.,et al.(2003)Anal. Biochem.,314,1247−1252.)が使用できる。
本発明により、操作者は簡単に、短時間に、マイコプラズマニューモニエを溶菌し、RNAを含む核酸を精製・抽出でき、諸検査に適用できる。
[実施例1]インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドの調製
下記(A)に示す、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(以下、INAFプローブと記載する)を特開2000−316587号公報で開示の方法に基づき作製した。
(A)配列番号1(GenBank No.NR_077056.1の2095番目から2112番目までの塩基配列)からなるオリゴヌクレオチドの5’末端から15番目のチミンと16番目のアデニンとの間に、リンカーを介してチアゾールオレンジを標識したもの。
[実施例2](イオン性界面活性剤による溶菌効率、阻害の検討)
各種イオン性界面活性剤を用いた場合のマイコプラズマニューモニエ溶菌効率、核酸増幅工程での反応阻害を検討した。終濃度1w/v%のラウリル硫酸ナトリウム、終濃度0.5w/v%コール酸ナトリウムそれぞれ350μLに対し、喀痰50μL又は水50μL、マイコプラズマニューモニエ培養液5μLを加え、15秒激しく撹拌した。撹拌後10000g、5分間の遠心分離を行い、その上清100μLを2.4M グアニジンチオシアネート、15mM クエン酸ナトリウム、60% 2−プロパノール、からなる変性試薬に添加した。その後、変性試薬をガラスフィルターと接触させ、核酸をガラスフィルターに捕捉し、ガラスフィルターを200mM 塩化カリウム、40% 2−プロパノールからなる洗浄液1で洗浄した。次に70%エタノールからなる洗浄液2でガラスフィルターを洗浄した。最後にガラスフィルターを乾燥させたのち、10mM 2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1mM エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物、0.01% アジ化ナトリウムからなる溶出試薬50μLとガラスフィルターとを接触させ溶出液50μLを得た。得られた溶出液(以下、RNA試料とする)を下記の方法で測定した。
(1)以下の組成からなる反応液を蒸発乾燥用チューブに分注し、蒸発乾燥させた。
反応液の組成:濃度は後述のようにRNA試料及び開始液を添加後(30μL中)の最終濃度
60mM Tris−HCl緩衝液(pH8.35)
300mM トレハロース
各0.48mM dATP、dCTP、dGTP、dTTP
各1.8mM ATP、CTP、UTP
1.3mM GTP
2.9mM ITP
0.2μM 第一のプライマー:配列番号2(GenBank No.NR_077056.1の2171番目から2297番目までの塩基配列の相補配列の5’末端にT7プロモーターを付加したもの)
0.2μM 第二のプライマー:配列番号3(GenBank No.NR_077056.1の1865番目から1890番目までの塩基配列)
50nM INAFプローブ(実施例1で調製したもの)
0.025mg/mL 牛血清アルブミン
142U T7 RNAポリメラーゼ
6.4U AMV逆転写酵素。
(2)上記の蒸発乾燥後にRNA試料を15μL添加後、46℃で5分間保温し、その後、以下の組成からなる開始液15μLを添加し撹拌した。
開始液の組成:反応時(30μL中)の最終濃度
10.07% ジメチルスルホキシド
21mM 塩化マグネシウム
105mM 塩化カリウム。
(3)引き続き蒸発乾燥用チューブを直接測定可能な温調機能付き蛍光分光光度計を用い、46℃で反応させると同時に反応溶液の蛍光強度を経時的に20分間測定した。開始液を加え撹拌を終えた時点を0分として、反応液の蛍光強度比(所定時間の蛍光強度値をバックグラウンドの蛍光強度比で割った値)が1.2を超えた場合を陽性判定とし、そのときの時間を陽性時間とした。結果を表1に示す。表1の「N.D.」は反応開始後20分後の蛍光強度比が1.2以下(陰性判定)であったことを意味する。
Figure 2017192350
喀痰の代わりに水を加えた場合、ラウリル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウムのいずれも同程度の陽性時間で検出された。一方喀痰を加えた場合、コール酸ナトリウムではマイコプラズマニューモニエが検出されず、ラウリル硫酸ナトリウムのみで検出された。コール酸ナトリウムでは喀痰が過度に分解され、喀痰由来成分が核酸精製、核酸増幅を阻害したと考えられる。
[実施例3](イオン性界面活性剤による溶菌効率の検討)
各種イオン性界面活性剤を用いた場合のマイコプラズマニューモニエ溶菌効率、核酸増幅工程での反応阻害を検討した。終濃度5w/v%のラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムそれぞれ400μLに対し喀痰100μL、マイコプラズマニューモニエ培養液10μLを加え、15秒激しく撹拌した。撹拌後10000g、5分間の遠心分離を行い、その上清100μLについて、実施例2と同様の方法で測定した。
Figure 2017192350
ラウリル硫酸ナトリウムによる溶菌の効率が最も良好であることがわかる。
[実施例4](ラウリル硫酸ナトリウム濃度の検討)
終濃度2.5w/v%、5w/v%、10w/v%のラウリル硫酸ナトリウム400μLに対し喀痰100μL、マイコプラズマニューモニエ培養液10μLを加え、15秒激しく撹拌した。撹拌後10000g、5分間の遠心分離を行い、その上清150μLについて、実施例2と同様の方法で測定した。
Figure 2017192350
どの濃度でもマイコプラズマニューモニエを検出出来ていることがわかる。

Claims (5)

  1. マイコプラズマニューモニエにイオン性界面活性剤を共存させることを特徴とする、マイコプラズマニューモニエの溶菌方法。
  2. 前記イオン性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである請求項1に記載の方法。
  3. 喀痰中に含まれるマイコプラズマニューモニエである請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 請求項1から請求項3いずれかに記載の方法によってマイコプラズマニューモニエを溶菌し、次いでマイコプラズマニューモニエのRNAを精製することを特徴とする、マイコプラズマニューモニエのRNAの精製方法。
  5. 請求項4に記載の方法によってマイコプラズマニューモニエのRNAを精製し、次いで精製されたマイコプラズマニューモニエのRNAを増幅し検出することを特徴とするマイコプラズマニューモニエの検出方法。
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