インプラント可能なワイヤレスセンサは、多くの疾病の診断および治療を支援する上で役立つ。ワイヤレスセンサ・リーダの例は、「ワイヤレスセンサ・リーダ」と題する米国特許出願第12/737,306号明細書に開示され、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ワイヤレスセンサ用デリバリーシステムは、「圧力センサ、芯出しアンカー、デリバリーシステムおよび方法」と題する国際特許出願第PCT/US2011/45583号パンフレットに開示されており、その開示内容もまた、参照によって本明細書に組み込まれる。特に、患者の体内深くの血管内部から圧力を測定することは臨床的に重要であり、これに関しては多くの応用がある。例えば、心臓の肺動脈の中で圧力を測定することは、鬱血性心不全の治療を最適化する上で有益である。この種の応用では、センサは、皮膚の表面下10cmから20cmに埋め込まれる必要があり得る。
通信および/または電力のために無線周波数(RF)エネルギーを使用するワイヤレスセンサは、医療応用において特に役立つことが分かってきた。しかしながら、これらのインプラント可能なワイヤレスセンサを首尾よく商業化することにおける重要な課題は、インプラント物のサイズと「リンク距離」との間の設計上のトレードオフであり、この「リンク距離」とは、インプラント物と、インプラント物と通信する外部デバイスとの間の物理的距離である。医療的見地からは、インプラント物としては、可能な限り小さいことが望ましく、これによって、小さな切り口からのカテーテルに基づくデリバリー、望ましい位置でのインプラント、およびインプラントに続いて起こる血栓症のリスクを低くすることが可能である。しかしながら、ワイヤレス通信の見地からは、インプラント物が小さければ小さいほど、リンク距離がより短くなる。この距離制限は、与えられた全体的なインプラント物のサイズに対して実現され得るアンテナのサイズによって、主に決定される。大きなアンテナは、小さなアンテナよりも、RFエネルギーをより良く吸収し、かつRFエネルギーをより良く送信することができる。例えば、誘導結合によるワイヤレス通信の場合、典型的なインプラントアンテナは、ワイヤのコイルの形態を有する。コイルの「軸」は、巻き線の平面と直交して伸びる線であり、すなわち、軸はワイヤの長さに対して垂直である。コイルによって取り囲まれる領域が増加するにつれ、コイルを通過する磁束の量は一般に増加し、かつより多くのRFエネルギーが、インプラント物にデリバリーされ、またはインプラント物から受領される。インプラントアンテナを通る磁束のこの増加は、リンク距離の増加をもたらし得る。したがって、与えられたインプラント物のサイズに対して最大のリンク距離を達成するためには、インプラントアンテナのサイズは最大であるべきである。
アンテナのサイズが重要である一方で、他のインプラント構造は、他の内部構成要素のサイズを最大化することから、恩恵を受ける可能性がある。電池のようなエネルギー蓄積デバイスを含むインプラント物は、例えばより大きな電池を有することで、より長い電池寿命を享受するであろう。別の例においては、薬剤溶出性のインプラント物は、より多くの量の薬剤を保持することができるであろう。他の例は、当業者にとっては明らかであろう。
インプラント可能なワイヤレスセンサを商業化することにおける別の課題は、敏感なセンサ電子装置を、潜在的に腐食性または損傷を与える体液から保護する必要性である。多くのインプラント応用に対して、センサは、7年から10年を超える期間の間、正確な測定値を記録する必要があるかもしれない。この時間期間にわたるインプラント物の電気的、化学的、または機械的特性における小さな変化が、不正確な測定をもたらし得る。不正確な測定を防止する目的で、液体および気体が人体環境から移動してくることからセンサの敏感な電子装置を保護するために、気密性エンクロージャが要求されてもよい。
インプラント物用の気密性エンクロージャは通常、金属、ガラス、または他のセラミックから構築される。金属は可鍛性があり、かつ機械加工可能であることから、ペースメーカのチタンエンクロージャのような薄い壁の気密性エンクロージャに構築することが可能である。残念ながら、気密性エンクロージャに金属を使用すると、特に低い無線周波数での通信が望ましい場合に、外部デバイスと無線で通信するセンサの能力に悪影響を与える可能性がある。セラミックとガラスはワイヤレスRF通信に対応する一方で、セラミックを薄い壁の気密性エンクロージャに機械加工することは困難である。セラミックのもろさは、セラミック材料から薄い壁の気密性エンクロージャを構築することを妨げる。
最先端技術のセラミック機械加工は、およそ0.5mmから0.7mm厚さの壁を生産することを可能にする。長さ、幅および高さの寸法が典型的にミリメートルの寸法であるインプラント物にとって、この厚さは、アンテナのような構成要素のために利用可能な内部体積において、著しい減少を意味すると言える。
当技術分野で知られた気密性エンクロージャ、特にセラミックおよび/またはガラス材料から構成されるものは、限られたスペースでの効率的な使用に役立たない。当技術分野で知られた非金属気密性エンクロージャは通常、低温同時焼成セラミックプロセス、レーザー機械加工、超音波機械加工、電子放電機械加工(EDM)、または微小電気機械システム(MEMS)製造技術のような平面加工技術によって製造される。これらの技術は、特徴分解能を厳しく制御することによって、セラミックおよびガラスを加工することができる。しかしながら、これらの技術で作られるインプラントパッケージの側壁では、インプラントパッケージを残りの基板から分離するために、ダイシングソーまたはレーザーを使用することがしばしば要求される。製造の制約および機械的強度に対する必要性によって、これらの方法で作られるインプラントパッケージの側壁は通常、0.3mmから0.5mmの厚さである。セラミックの成形または機械加工のような代替的製造の取り組みは通常、0.5mmから0.7mm厚さの最小側壁に制限される。
従来技術の気密性インプラントパッケージ10の例が、図1に示されている。インプラントパッケージ10は、この場合はインプラントアンテナ14である内部構成要素のために利用可能なスペースを制限する厚い側壁12を含む。例えば、わずかに0.5mm厚の側壁を有する4mm幅のインプラントパッケージは、インプラントアンテナのために利用可能な最大で3mmの幅を有する。図1は、パッケージの頂部にある開口部からインプラントパッケージの中に配置されたアンテナ14を示す。インプラントパッケージを完成させるためには、図2Aに示されるように、頂部層16が、インプラントパッケージに接続されるか、または接合され、かつ封止される。当技術分野で知られた圧力感知インプラントパッケージのためには、頂部層は通常、容量性圧力センサ自体、すなわち、直接的に感知電子回路の一部である薄いメンブレンであるか、または周囲からの圧力を非圧縮性液体またはゲルによってインプラントパッケージの内側に伝達する薄いメンブレンのいずれかである。当技術分野で知られた製造技術では、メンブレンを常に0.025mmから0.1mmの厚さに加工することが可能である。図1、図2の構造の多くの変形例が従来技術には存在し、それらは、コイルの頂部上に薄い壁を作成するために、ハウジングの半分に空洞をエッチングで彫り、かつその後、2つのハウジングの半分を垂直に接合する方法を含む。これは図2Bの見取図に描かれており、この図で上部ハウジングの半分999は、薄いメンブレンを作成するために、その中にエッチングで彫られた空洞を有する。
他の従来技術は、図1および図2に示されたタイプのワイヤレスインプラント構造を例示し、これらの図では、薄い感圧メンブレンが、コイルの軸に垂直である平面内にある。米国特許第7574792号明細書(O’Brien)、米国特許第6939299号明細書(Petersen)、および米国特許第4026276号明細書(Chubbuck)のすべては、コイルアンテナと、少なくとも1つの変形可能な感圧壁を有する気密性ハウジングとを有するインプラント可能な圧力センサを教示している。これらのすべての場合において、ハウジングの感圧壁は、コイル軸に垂直であり、かつコイル周囲の外側に位置する壁は、堅固であり、構造的であり、かつ比較的厚い。これらの構造では、コイル領域の全体は、コイル周囲の外側の比較的厚い構造的な壁が必要であることによって制限される。
インプラント可能なワイヤレスセンサを改善するためには、コイルアンテナ周囲の外側に薄い壁を有する気密性エンクロージャを有することが望ましく、したがって、アンテナのサイズを最も制約する内部寸法を最大にすることが望ましい。
発明の実施形態には詳細な参照が行われるが、それらの実施例が添付図面に例示されている。他の実施形態が利用されてもよく、かつ本発明のそれぞれの範囲から外れずに、構造的かつ機能的な変更がなされてもよいことを理解されたい。
本願はインプラントパッケージに関し、かつ特に、薄い側壁を有するインプラント可能なセンサエンクロージャに関する。与えられたインプラント物のサイズに対して最大リンク距離を容易にするために、エンクロージャは、依然として十分な保護を提供しながら、アンテナコイル領域を最大化するように構築されるべきである。
固定された外部サイズのインプラントパッケージの内部で利用可能なスペースを増加させるために、インプラントパッケージは、ガラス、水晶、サファイア、溶融石英、アルミナ、チタン、ダイアモンド、または当技術分野で知られた他の材料のような薄いメンブレン材料を利用してもよい。図1または図2におけるように、従来技術のインプラントパッケージでは、薄いメンブレンがインプラントパッケージの頂部に接合されるのに対し、薄い1つのメンブレンまたは複数のメンブレンが、インプラントパッケージの側面に接合されてもよく、その結果、図3におけるように、メンブレンは、コイルの軸とほぼ平行な平面の中にある。
図3Aから図3Cは、ワイヤレスインプラントパッケージ20のための基本的な組み立てステップを示すが、このワイヤレスインプラントパッケージ20は、その壁配置によってコイル領域を最大化する。原理は任意の幾何形状に当てはまるが、図におけるインプラント物は、典型的な心血管のインプラント物の長く、狭い、矩形形状を有する。図3Aは、側面図(長寸法)および正面図(短寸法)破断図における基本的なハウジング300を例示する。一実施形態において、ハウジング300の寸法は、一般に立方体であり、かつその中の体積を規定するものであってもよい。ハウジングの側壁は、特定の寸法であり、かつ互いに比例したものであってもよい。例えば、ハウジングは、4つの壁(「頂部」、「底部」、「前部」、「後部」)を有してもよいが、しかし、図3Aの側面図においてハウジングを通して紙面を見ることができるように、長い側面のうちの2つは開放されていてもよい。本明細書で説明されるように、ハウジング側壁の長さは、開放壁の長い方の寸法を指す(また、図3Aの側面図に例示されるように、ハウジングの頂部壁および底部壁の長い方の寸法に対応する)。ハウジングの高さおよび幅は、図3Aの正面図に例示されるように、残りの側壁の寸法または頂部壁と底部壁の寸法を指す。以下に提供される寸法としては、(長さ×幅×高さ)の順序でハウジングの寸法を列挙している。ハウジングの長さは、幅および高さの寸法よりも、少なくとも2倍は大きくてもよい。非限定的な例として、ハウジングの寸法は、0.5mm厚の壁について、およそ25×3.75×2.25mmであってもよい。ハウジング300は、セラミックのような、気密性で、強く、かつ生体適合性の材料製であってもよい。そのようなハウジングは、ミクロ機械加工、超音波機械加工、ウェットエッチング、プラズマエッチング、またはレーザー機械加工を含む、当技術分野で知られたプロセスで製造される。例として立方体のハウジングが挙げられるが、円筒状ハウジング、プリズム形状ハウジング、八角形状または六角形状断面のハウジングなど、他の形状および構成が使用されてもよいことが理解されるであろう。
他の実施形態において、インプラントハウジングの長さは、5、10、15、20、25、または30mm長の値を有してもよい。断面は、5×3mm、4.5×2.25mm、3.25×2.25mm、2.5×1.75mm、または2×1mmの幅×高さの値を有してもよい。
図3Bにおいて、やはり破断図で示されているアンテナコイル14は、長い側面上の開放壁を介してハウジング300の中に配置される。1つ以上の圧力センサを含み得る超小型電子装置301が、ハウジング300の内部で、コイル14によって取り囲まれた区域の内側か、またはこの区域の外側に、さらに配置されてもよい。
図3Cは最終ステップを図示しており、この中で薄い壁302はハウジング300に接合されるが、それは気密に接合されるようになされる。薄い壁302が任意の適切な方法で封止されるか、または接合されてもよいことが、理解されるであろう。本明細書での概念がまた、鋭形のインプラント物のような非気密性のハウジングの応用に当てはめられてもよいことが、理解されるであろう。これらの場合、当技術分野で知られた非気密性材料および接合方法が使用されてもよい。本明細書の実施例で例示され、かつ説明されるように、薄い壁302はハウジングの残りの壁よりも実質的に薄くてもよいか、または実質的により薄い部分を含んでもよい。ハウジング壁および薄い壁302の壁厚さの非限定的な例は、以下に提供される。薄い壁302がコイル14の軸303と平行であるように方向付けることによって、短寸法(正面図において左から右)におけるコイル14の幅が最大化される。このようにして、インプラントパッケージは、短寸法に課された幅の制約内で最大の可能なコイルループ領域を達成することができる。図3に示されるように、コイル軸303が、一般に螺旋状に巻かれたコイル14の中心軸を指すことが、理解されるであろう。螺旋状に巻かれたコイル14は、円形、矩形、または他の任意の形状のような、適切な任意の形状であってもよい。
図3のプロセスによって生産される最終インプラント物は、医療インプラント物の複雑な要求、すなわち、(i)小さな断面積、(ii)非金属ハウジング、(iii)気密性封止、(iv)生体適合性、および(v)与えられた外部体積に対する最大の内部体積、を満たす。
ワイヤレスインプラント物20が圧力センサを含む場合には、内部電子装置301は、当技術分野で知られた1つ以上の圧力センサを含んでもよく、かつ薄い壁302は、ハウジング300および薄い壁302によって形成される空洞を充填する非圧縮性流体またはゲルによって圧力を内部電子装置301に伝達する柔軟なメンブレンであってもよい。別の実施形態においては、薄い壁302は、感知電子回路の一部であってもよく、したがって圧力を感知回路の電子信号に直接変換する柔軟なメンブレンであってもよい。
薄い壁302以外のハウジングの壁は、0.3mmよりも大きくてもよい。比較すると、一実施形態において、インプラントパッケージ20の薄い側壁302としてメンブレンを使用することにより、各側壁は0.15mm未満の厚さを有してもよい。別の実施形態において、インプラントパッケージ20の薄い側壁302としてメンブレンを使用することにより、各側壁は約0.050mm未満の厚さを有してもよい。別の実施形態において、インプラントパッケージ20の薄い側壁302としてメンブレンを使用することにより、各側壁は約0.025mmの厚さを有してもよい。別の実施形態において、インプラントパッケージ302の側壁としてメンブレンを使用することにより、各側壁は、約0.020mm、約0.015mm、約0.010mm、約0.005mm、約0.001mmおよびこれらの中間にある任意サイズの厚さのような、約0.025mm未満の厚さを有してもよい。したがって、薄い壁302は、ハウジング20の薄くない壁の厚さの1/2以下の厚さを有してもよい。
典型的な実施形態において、薄い壁302は、ガラス、水晶、溶融石英、チタン、シリコン、サファイア、ダイアモンド、またはその他の物のような1つ以上の薄膜材料製であってもよい。薄い壁は、研磨、エッチング、または当技術分野で良く知られた他の方法によって薄くしてもよい。薄壁302は、当技術分野で知られたいくつかの手段によってハウジング300に接合されてもよく、これらの手段は、レーザー溶接、ガラスフリット接合、またはろう付け、ハンダ付けよる圧着、もしくは2つの表面上への金属ろう付けリングの蒸着に続く共晶接合を含む。
金属リングが、各ダイヤフラムの周囲の回りで、ダイヤフラムおよびハウジングの合わせ面の両方の上に、蒸着されることが要求される接合技術に対しては、図3Cの構造は、従来技術に対して更なる利点を提供する。従来技術の図1におけるように、金属リングがアンテナ巻き線と平行である場合、金属リングは、遮蔽および渦電流形成によって、アンテナ14に行く、またはアンテナ14から来るかなりの量のエネルギーを吸収し、かつ散逸させる可能性がある。しかしながら、ダイヤフラム接合リングが、図3Cにおけるようにアンテナ巻き線に対して垂直に配置されている場合、遮蔽および渦電流の効果は、実際上は除去される。
薄い壁のハウジングまたはインプラントパッケージ20は、インプラントパッケージ内部のスペースの有効利用において、従来技術に対してかなりの改善を提供する。非限定的な例として、約4mmの外部幅を有する従来技術のインプラントパッケージに対して、アンテナに対する利用可能な最大幅は、およそ3mmであった。一方、約4mmの外部幅を有する薄い壁のインプラントパッケージ20においては、アンテナに対する利用可能な幅は、およそ3.95mmである。与えられたインプラント物の外部サイズに対するアンテナ幅のそのような増加は、インプラント可能なワイヤレスセンサのワイヤレスリンク距離を劇的に増加させる。薄い壁のインプラントパッケージ20のアンテナ幅におけるこの違いは、従来技術システムに対するものよりも、本発明のために約3Frサイズ小さなカテーテルデリバリーシステムに換算することができる。
本発明は、したがって、他の軸よりも長い1つの軸を有するワイヤレスインプラント物において特に役立ち、一般にこれが当てはまるのは、血管の中に配置することが意図された、またはカテーテルデバイスを通してデリバリーすることが意図されたインプラント物に対する場合である。仮にそのようなインプラント物の幅に対する長さの割合がxであるとすると、その場合、nミクロンだけコイルの幅寸法を増加させることは、長さ寸法における同じ増加よりも、因子xだけより多くのコイル領域を作り出す。そのようなワイヤレスインプラント物では、図3Cにおけるように、コイル軸に対して平行で、かつ短寸法に対して垂直な方向に最も薄い側壁を配置することによって、コイル領域を一般に最大化することができる。
任意の内部構成要素、物質、またはそれらの組み合わせでのサイズを最大化するために、インプラント構造が使用可能であることが、さらに理解されるであろう。これらは、医薬品、ステロイド剤、電池、励振電極、ペーシング回路類、流量センサ、化学センサ、または他の電子装置を含んでもよく、しかしこれらに限定されない。
例示的な実施形態は矩形コイルを図示してはいるが、コイル14は一般に円形、卵形、矩形であり得ること、または領域を囲む任意の多角形の形態を取り得ることが、さらに理解されるであろう。加えて、矩形ハウジングが例示的な実施形態の図に示されてはいるが、コイル軸303に対して平行に、コイル14の外部周囲上に薄い壁を配設するという概念は、任意の多角形状に一般化され得る。
図3に図示されている開示された発明は、圧力感知インプラント物に対して、更なる恩恵を有する可能性がある。多くの一般に利用可能なチップスケール圧力センサは、ワイヤレスインプラント物での用途に良く適している。しかしながら、そのような圧力センサは一般に、小さく、薄い圧力感知ダイヤフラムを有し、約2mm以下の直径および500nm以下の厚さである。仮にそのようなダイヤフラムが生体組織または血液に露出されれば、数日または数週間の期間後には、細胞の1つ以上の層がその上に通常成長するであろう。このような細胞層は、センサのダイヤフラムを硬化させ、デバイスの感度を低下させることが知られている。図3Cに示された実施形態では、薄い側壁302は柔軟な圧力ダイヤフラムとして役立つ可能性があり、これが、圧力伝達媒体によって、内部電子装置301上のチップスケール圧力センサに圧力を伝達する。薄い側壁302は、チップスケール・センサのダイヤフラムよりも面積がより大きく、かつ一般により硬いので、それらが、チップスケール・センサのより小さなダイヤフラムに比べて、いくつかの細胞成長層によって著しく硬化されることはないであろう。したがって、本発明によって、圧力センサインプラント物の設計者は、細胞成長によるダイヤフラム硬化について心配する必要がなく、多くの利用可能な市販品または注文品のチップスケール圧力センサから選択することができる。
薄い壁のインプラントパッケージ20が、RF医療用インプラント物と共に使用されてもよいのに対し、本明細書で明らかにされた設計は、任意の超小型デバイスまたは構成要素に対して役立ち、この場合には、非金属気密性エンクロージャが要求され、かつ側壁厚さを最小化することが望ましい。例として、センサ、アクチュエータ、または過酷な化学的環境、液体浸漬、(エンジンのような)高温ゾーン、または滅菌が重要となる環境に位置する応答器が含まれるが、しかしこれらに限定されない。他の例としての応用には、内部電子装置が、気密に収容されなければならないが、しかし金属ハウジングまたはろう付けリングによって課された遮蔽または渦電流損に耐えられない場合が含まれる。本明細書で説明された設計および方法は、無線周波数を使用するワイヤレスセンサに関連する多くの課題を克服する。
図3に示される実施形態にはまた、多数の変形がある。例えば、図4Aに示されるように、ハウジングは2つの部品401および402に形成され、各々が、当技術分野で知られたミクロ機械加工プロセスの1つによって形成された空洞を有する。空洞の位置は、側面図では破線で示され、かつ破断図で見ることができる。図4Bに示されるように、コイル14、電子装置301、および他の内部品目は、ハウジング部品401の1つの中に挿入される。図4Cに示されるように、ハウジング部品401および402は共に、以前に開示された方法の1つによって気密に接合される。注目されるのは、図4Aから図4Cにおいて、ハウジング部品401および402は対称であるとして示されるが、しかし非対称な部品もまた使用されてもよいことである。
図5Aおよび図5Bは一実施形態を図示しており、この中で電子装置501は、当技術分野で知られたプロセスの1つによって薄膜デバイスとして製造され、ここで図5Aは分解立体図であり、かつ図5Bは組み立てられるすべての部品を示す。図5Aおよび図5Bにおいて、ハウジング500は、以前のような開放された長い側面を有するが、しかし今回は、その頂部側面が開放されている。コイル14は、その後、ハウジング500の中に挿入される。薄膜電子装置デバイス501は、ワイヤボンディング、導電性接着剤、または当技術分野で知られた他の手段によってコイル14に接続され、かつ電子装置501は、その後、前述のプロセスの1つを用いて、ハウジング500に気密に接合される。電子装置501は、今はハウジングの頂部表面を形成する。薄い側壁502は、前と同じように、ハウジング500に気密に取り付けられる。仮に薄い電子装置501が圧力センサを含む場合、薄い側壁502は圧力を伝達する必要がないので、ハウジングの内部体積は、非圧縮性流体によって充填される必要がなくてもよい。加えて、電子装置501を接合するステップ、薄い側壁502の各々を接合するステップ、またはコイル14を挿入するステップが、異なる順序で行われてもよいことが、理解されるであろう。電子装置501は、容量性センサのような単一の固体デバイスであってもよく、またはそれは、LTCCのような気密性基板に取り付けられた複数のデバイスであってもよい。
図6は、図5と類似の一実施形態を例示する。電子装置601は、ハウジング600の外部に配置されるが、しかし今回は、短い端部の1つの上に配置される。図6は、電子装置601をコイル14に接続する気密性電気的フィードスルーを図示しているが、しかしまた、図5Aおよび図5Bに図示されたもののような「自由ワイヤ」接続方法が使用されてもよい。図5Aおよび図5Bにおけるように、薄い側壁302は圧力を伝達せず、それゆえ、非圧縮性液体の充填は要求されなくてもよい。
図7は、図6のものに類似の実施形態を例示する。ここで、ハウジングは2つのチャンバを有するが、1つはコイル用であり、かつもう1つは電子装置用である(ここでは「センサ」および「基板」として示される)。コイルおよび電子装置はフィードスルーによって繋がっているが、フィードスルーは気密性であってもよいし、そうでなくてもよい。薄い側壁は、コイルの側面の通常の場所で、かつ再び電子装置を収納するチャンバの上方に配置される。仮に電子装置が圧力センサを含まない場合、電子装置チャンバ上方の側壁は、より厚い壁であってもよいか、またはより硬い材料の薄い壁であってもよい。仮に電子装置が圧力センサを含む場合、かつ仮に電気的フィードスルーが漏洩に対し十分に堅固である場合、その場合にはセンサを含むチャンバのみが、非圧縮性流体で充填される必要がある。
本明細書で開示された発明が特に有利なのは、典型的には心血管のインプラント物の場合のように、ワイヤレスインプラント物が、長くかつ狭いことが要求される場合である。そのような幾何学的形状に関して、短寸法において得られる任意のコイル幅は、コイル領域に、したがってリンク距離に劇的な影響を及ぼす。
本明細書で開示された実施形態の多くは、ハウジング内部の内部圧力が温度と共に変化するのを防ぐために、最終的な側壁が真空環境で取り付けられることから恩恵を受けてもよい。代わりに、内部体積は、内部品目の腐食を制限するために、不活性ガスで充填されてもよい。
本明細書で開示されたインプラントハウジングの実施形態が、すべて厚い壁を用いて作られ、かつその後、コイルの軸と平行である壁の部分を薄くするために、ハウジングを後処理してもよいことが、また理解されるであろう。研削、研磨、エッチング、またはレーザーアブレーションのような最先端の後処理技術が、これを達成するためのいくつかの可能な手段である。
すべての実施形態において、血栓形成を制限するか、細胞成長をコントロールするか、または潤滑性を改善するために、外部ハウジングは、生体適合性の材料で表面処理されてもよい。そのような材料として、ヘパリン、シリコーン樹脂、パリレン、細胞組織単層、または通常の当業者にとって良く知られた他のコーティング材料が含まれてもよい。
主題発明の装置および方法が、好ましい実施形態を参照しながら示され、かつ説明されてきた一方で、主題発明の趣旨および範囲から外れることなく、なおその上に変形および/または修正がなされてもよいことは、当業者であれば容易に理解するであろう。