JP2017193492A - ペースト状歯科用陶材 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成前後の色差(ΔE*ab)を抑制することができるペースト状歯科用陶材を提供する。【解決手段】焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材。【選択図】なし

Description

本発明は、人工歯等の補綴修復に使用され、歯科技工士による手作業による陶材築盛時において、焼成後の色調を把握できるペースト状歯科用陶材に関する。
セラミックは天然歯に似た透明感と色調を持つため、審美性が必要とされる歯冠作製には欠かせない材料となっている。
この歯冠作製工程には、一般的に陶材と水、有機溶剤等からなる歯科用練和液もしくは、予め水、有機溶剤等とセラミックを混合しペースト状にした陶材を用い、支台歯を被覆するフレーム(例えば、金属フレーム、セラミックスフレーム)に対して築盛し焼成する操作を繰り返すことにより歯冠が作製されている。
初心者がフレームに陶材を築盛する際に直面する大きな問題は、陶材の色調が築盛時(焼成前)と焼成後で相違するため、焼成後の色調を予測し、陶材築盛時の色調を調整することである。この作業は、熟練技術が必要となっている。
陶材の色調が築盛時と焼成後で相違する現象は、陶材の屈折率(1.5前後)に対して、練和液の屈折率(水:1.33、1,3−ブタンジオール:1.4390〜1.4410)が違っていることが原因である。即ち、焼成前の状態では各粒子が光を反射し、反射された光が練和液により屈折されて拡散されるので陶材が白っぽく見え、焼成後の色調と異なってくる。
上記課題に対して、例えば、特許文献1、2は、陶材を築盛する際の練和液の屈折率を陶材の屈折率に極力近づけるように、練和液を選定する。具体的には、特許文献1では、屈折率が陶材の屈折率と同程度のフタル酸エステル類(屈折率:1.4926〜1.5158)を練和液として使用し、特許文献2では、2−フェノキシエタノール(屈折率:1.5360〜1.5400)等を練和液として使用することによって、色調調整が容易になることを見出している。
しかしながら、原因は定かではないが、陶材結晶粒の屈折率と等しい有機溶剤を用いるだけでは、陶材の色調が築盛時と焼成後で相違する現象を完全に解消できていない。
特開昭63‐208504号公報 特開2013−56103号公報
そこで、本発明は、焼成前後の色差(ΔE*ab)を抑制することができるペースト状歯科用陶材を提供することを目的とする。また、本発明は、ステイニング時に未ステイニング部との判別が容易になる歯科用陶材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、焼成の際に脱色して、着色成分とならない着色剤を加えることで、陶材築盛時に焼成後の色調を調整できることを見い出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材に関する。
本発明のペースト状歯科用陶材は、焼成後に有機物が残留せず変色することがないため、焼成後の色調を把握でき、陶材築盛時(焼成前)においても焼成後の色調を正確に調整することが可能になる。これによって、熟練技術に頼らなくても陶材の色調調整が容易である。また、本発明のペースト状歯科用陶材を用いることにより、ステイニング時に未ステイニング部との判別が容易になる。
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
本発明のペースト状歯科用陶材は、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する。
本発明のペースト状歯科用陶材は、焼成後の審美性が良好であり、焼成することで燃え抜けの状態になる。詳細には、(1)焼成後の色調が、残留カーボンによって黒ずんでいない、(2)焼成後に大きな気泡を含んでいない、等である。
無機顔料は焼成後に発色するのに対して、焼成して脱色する着色成分は焼成後の歯科用補綴物には色が残らない。そのため、焼成して脱色する着色成分を含まず、無機顔料のみを含む歯科用陶材を使用して、使用者の長年の勘と経験に基づいて焼成後の色調を予測しながら築盛を繰り返し、着色していく方法が技術常識であった。このような状況にあったにもかかわらず、本発明のペースト状歯科用陶材は、焼成して着色することを目的としながら、焼成して脱色する着色剤(A)を用いることによって、焼成前後の色差(ΔE*ab)を、顕著に抑えることができる。その結果、焼成後の色調の正確な予測が可能になり、陶材を築盛する際の色調の調整が容易になり、陶材の使用者が初心者であっても使用できる。また、無機顔料は焼成後に発色するため、焼成前の築盛時には、無機顔料を含む歯科用陶材を塗布した部分(ステイニング部)と塗布していない部分(未ステイニング部)の判別が難しかった。そのため、歯科用陶材を塗布する度に焼成して色調を確認して未ステイニング部とステイニング部を判別する必要があり、焼成回数が増える一因となっていた。これに対して、本発明のペースト状歯科用陶材は、有機溶剤(B)に着色剤(A)が溶解しており、液成分が発色しているため、未ステイニング部とステイニング部との判別が容易になる。
焼成して脱色する着色剤(A)の「脱色」は、有機溶剤(B)と陶材粉末(C)とを含む陶材(I)と、着色剤(A)と有機溶剤(B)と陶材粉末(C)とを含む陶材(II)とを700℃以上で焼成した場合に、陶材(I)と陶材(II)との色差ΔE*abを求め、ほぼ0(好ましくは、0.50未満)であることを意味する。焼成温度以外の焼成の条件、及び色差ΔE*abの測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明に用いる着色剤(A)は、焼成後の色調に影響を及ぼさない程度に脱色する必要があり、焼成の際に有機溶剤(B)と一緒に燃え抜けることができる点から、着色剤(A)としては、沸点が400℃以下の着色剤が好ましく、350℃以下の着色剤がより好ましく、300℃以下の着色剤がさらに好ましい。また、着色剤(A)としては、液成分が着色され、ステイニング時に未ステイニング部とステイニング部との判別が容易になる点から、有機溶剤(B)に溶解する有機色素が好ましい。ここで、「有機溶剤(B)に溶解する」とは、25℃において有機溶剤(B)10mlに、1g添加した際に目視で白濁が見られないことを意味する。着色剤(A)としては、陶材粉末(C)の屈折率との差の絶対値が0.10未満である有機溶剤(B)に溶解する有機色素がより好ましい。
有機色素としては、発色団を有し、かつ有機溶剤(B)に溶解する有機色素である限り特に限定されないが、芳香族系有機色素(置換されていてもよい芳香族基を1個以上含有する有機色素)が好ましく、沸点が400℃以下の芳香族系有機色素がより好ましい。このような有機色素としては、発色団に加えて、助色団を有する芳香族系有機色素がさらに好ましい。発色団としては、芳香環に結合して発色の原因となる原子団であれば、特に限定されない。前記原子団としては、ニトロ基、アゾ基、ケチミド基(>C=N−)、カルボニル基、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素多重結合、チオカルボニル基、ニトロソ基、アゾキシ基等が挙げられる。有機色素は、これらの原子団を、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて含んでいてもよい。助色団としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ハロゲン原子等が挙げられる。有機色素は、これらの助色団を、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて含んでいてもよい。
さらに、着色剤(A)としては、人体に対して有害、有毒なものは使用できないため、食用色素が好ましく、沸点が400℃以下であって、有機溶剤(B)に溶解する食用色素がより好ましい。このような食用色素の具体例としては、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、赤色102号(ニューコクシン)等の芳香族基を2個以上含有し、発色団としてケチミド基又はアゾ基を有し、助色団としてスルホン基を含有する有機色素;アシッドレッド289、ブロモピロガロールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン6GP、ローダミン3GO、ローダミン123、エオシン、エオシンB、エオシンY、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート等のキサンテンを母核とする縮合芳香族基を含有する有機機色素(キサンテン系色素);コチニール色素(カルミン酸色素)等が挙げられる。これらの着色剤(A)は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、これらの着色剤(A)は、pHによって発色強度が異なり、pHによっては化合物の形が異なる場合があるが、陶材を築盛した際に未ステイニング部とステイニング部との判別が容易となる限りpHは特に限定されず、着色剤の種類に応じて、適切な発色強度を示すpHを採用して使用することができる。
着色剤(A)の含有量は、有機溶剤(B)に溶解して液成分を着色できる限り特に限定されないが、有機溶剤(B)に対して、重量比で、(B):(A)=100:0.1〜100:15.0程度が好ましく、100:0.5〜100:10.0程度がより好ましく、100:1.0〜100:8.0程度がさらに好ましい。着色剤(A)の含有量は、液成分を着色できる限り特に限定されないが、歯科用陶材全体に対して、0.02〜6.0質量%が好ましく、0.10〜5.0質量%がより好ましく、0.30〜4.0質量%がさらに好ましい。
本発明に用いる有機溶剤(B)は、陶材粉末の焼成後色調に影響を及ぼさない程度により十分に燃え抜ける必要があるため、沸点が350℃以下の有機溶剤が好ましい。また、沸点が100℃未満の有機溶剤を用いると、室温でも有機溶剤が揮発してペーストの乾燥が進んでしまい、ペーストの性状を安定に保持し難くなるおそれがあるため、沸点が100℃以上の有機溶剤が好ましい。有機溶剤(B)としては、沸点が100℃以上350℃以下の有機溶剤がより好ましい。また、本発明に用いる有機溶剤(B)は、陶材(C)の屈折率に近いもの(屈折率の差が小さいもの)が好ましい。有機溶剤(B)としては、沸点が100℃以上350℃以下であって、陶材粉末(C)の屈折率に近いものがより好ましい。陶材粉末(C)の屈折率に応じて、有機溶剤(B)は適宜選択できる。有機溶剤(B)の屈折率と陶材粉末(C)の屈折率との差(絶対値)としては、0.100未満が好ましく、0.075未満がより好ましく、0.070未満がさらに好ましく、0.055未満が特に好ましい。
このような有機溶剤(B)としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等のエステル系溶媒;1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜600)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールモノエーテル系溶媒;2−フェノキシエタノール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール溶媒;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系重合性単量体等が挙げられる。これらの有機溶剤のうち、多価アルコール系溶媒、多価アルコールモノエーテル系溶媒、芳香族アルコール溶媒が好ましく、フタル酸ジメチル(沸点:約284℃、屈折率:1.5130〜1.5170)、フタル酸ジエチル(沸点:約296℃、屈折率:1.4990〜1.5040)、フタル酸ジブチル(沸点:約340℃、屈折率:1.4900〜1.4950)、1,3−ブタンジオール(沸点:約207℃、屈折率:1.4390〜1.4410)、グリセリン(沸点:約290℃、屈折率:1.4746)、プロピレングリコール(沸点:約189℃、屈折率:1.4290〜1.4340)、ポリエチレングリコール(分子量200)(沸点:250℃以上、屈折率:1.469)、ポリエチレングリコール(分子量300)(沸点:250℃以上、屈折率:1.4630〜1.4660)、2−フェノキシエタノール(沸点:約240℃、屈折率:1.5360〜1.5400)、ベンジルアルコール(沸点:約205℃、屈折率:1.5380〜1.5430)がより好ましく、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、1,3−ブタンジオール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200)、2−フェノキシエタノールがさらに好ましい。これらの有機溶剤(B)は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる陶材粉末(C)、即ち、無機陶材粉末の陶材は、歯科用陶材として使用できるものであれば特に限定されず、結晶を含んでいてもよい。陶材粉末の材料としては、例えば、SiO2を主成分(含有量が一番多い材料)とするガラス又は結晶化ガラスが挙げられる。このようなガラスは、SiO2以外に、Al23、B23、ZnO、K2O、Na2O、Li2O、ZrO2、CaO、MgO等を含んでいてもよい。具体的には、アモルファスタイプのカリアルミノシリケートガラス(4SiO2・Al23・K2O)、リューサイト結晶タイプのカリアルミノシリケートガラス、フルオロアパタイトガラス、リチウムシリケートガラスのうち少なくとも1種を使用することができる。このうち、特にリューサイト結晶タイプのカリアルミノシリケートガラスが好ましい。また、前記結晶としては、例えば、リューサイト、カリ長石、フッ素金雲母、ディオプサイド、マイカ、β−スポジュメン(LiAlSi26)、β−メタリン酸カルシウム、アパタイト、チタン酸マグネシウム、β−ユークリプタイト、アルミナ等が挙げられる。また、金属焼き付け用陶材、オールセラミックス、ラミネートベニア等の用途に応じて、これらの結晶は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
前記ガラスは、公知の方法で、粉砕され、分級し、粒度の調整された粉末とされる。粉砕装置としては、例えば、ジョークラッシャー、コーンクラッシャー等の圧縮粉砕機;振動ボールミル、遊星ミル等のボールミル類;塔式粉砕機、撹拌槽型粉砕機、アニュラー型粉砕機等の媒体撹拌型粉砕機;ピンミル、ディスクミル等の高速回転式衝撃粉砕機;その他ロールミル、ジェット粉砕機、自生粉砕機等が挙げられる。また、分級装置としては、例えば、振動ふるい、シフター等のふるい分級機、サイクロン等の遠心式分級機、沈降分級機等の湿式分級機等が挙げられる。なお、これら粉砕装置もしくは分級装置において、金属不純物の混入を避けるため、樹脂もしくはガラス等でコーティングされた装置を用いるのが好ましい。
陶材粉末(C)の線熱膨張係数(50〜500℃)は、支台歯の材質もしくはフレームの材質等に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、4.0×10-6/℃〜6.0×10-6/℃程度であってもよく、6.1×10-6/℃〜13.5×10-6/℃程度であってもよく、6.3×10-6/℃〜12.5×10-6/℃程度であってもよい。例えば、ジルコニアを主成分とするフレーム用に歯科用陶材を用いる場合には、9.0×10-6/℃〜11.0×10-6/℃程度のものが好ましい。アルミナを主成分とするフレーム用に歯科用陶材を用いる場合には、6.1×10-6/℃〜8.8×10-6/℃程度のものが好ましい。線熱膨張係数は、試料を熱分析装置TMA120(セイコー電子社製、昇温速度5℃/分)にて室温から500℃まで加熱し、測定することができる。線熱膨張係数の調整は、公知の方法で行うことができ、例えば、K2Oの含有量によって調整できる。
陶材粉末(C)の屈折率としては、1.51前後であれば特に限定されないが、例えば、1.500〜1.520程度が好ましく、1.505〜1.515程度がより好ましい。屈折率とは、25℃における粉体の屈折率を意味し、プリズムと試料を透過する光の偏角から屈折率を求める方法(Vブロック法)によって測定することができる。
陶材粉末(C)は無機顔料を含有する。また、陶材粉末(C)は乳濁材を含んでいてもよい。
陶材粉末(C)に含まれる無機顔料としては、例えば、酸化プラセオジム、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化セリウム、酸化スズ、バナジウム黄、コバルト青、クロムピンク、鉄クロム茶、チタン白、ジルコニア白等が挙げられる。また、乳濁材としては、例えば、ケイ酸ジルコニウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは、所望する色調に応じて適宜含有される。
陶材粉末(C)は、表面処理剤によって、表面処理されたものであってもよい。表面処理剤としては、シランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
陶材粉末(C)としては、市販品を使用することができる。市販品としては、無機顔料を含むものであってもよい。無機顔料を含まない市販品を陶材粉末(C)として使用する場合、前記市販品に、無機顔料を加えて使用することができる。無機顔料を含む陶材粉末(C)として使用できる市販品としては、セラビアンZR(商品名、屈折率:1.51、クラレノリタケデンタル社製)、セラビアンZRプレス(商品名、屈折率:1.51、クラレノリタケデンタル社製)等が挙げられる。また、セラビアンZR、セラビアンZRプレスは、いずれも3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(製品名;KBM-403、信越化学工業製)で表面処理されたものである。他の市販品としては、「ヴィンテージ AL」及び「ヴィンテージ ZR」(商品名、株式会社松風製)、「ノーベルロンド」(商品名、ノーベルバイオケア社製)、「セルコンセラムS」(商品名、デンツプライ三金株式会社製)等が挙げられる。
陶材粉末(C)の含有量は、特に限定されないが、歯科用陶材全体に対して、50〜90質量%が好ましく、52〜88質量%がより好ましく、54〜84質量%がさらに好ましい。含有量が90質量%を越えると、陶材粉末(C)と有機溶剤(B)の混練性が低下し、ペースト化しにくい。一方、前記陶材粉末の含有量が50質量%未満では、陶材粉末と有機溶剤の混練性の粘性が低下し、陶材築盛時の操作性が悪くなる。なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、適宜組み合わせ可能である。
陶材粉末(C)の粒径は、使用部位に応じて設定することができ、特に限定されないが、1.0〜10μmが好ましい。例えば、オペーク用陶材粉末の平均粒子径は3.0〜10μmが好ましい。ステイン用粉末陶材の平均粒子径は、1.0〜7.0μmが好ましい。
陶材粉末(C)の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を用いた測定により求めることができる。レーザー回折散乱法は、具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
本発明の歯科用陶材は、着色剤(A)と陶材粉末(C)に含まれる無機顔料が同色系であってもよい。ここで、「同色系」とは、比較する2つの色について、例えば、L*a*b*表色系(JIS Z 8781−4:2013)における、a*の差の絶対値が10以下(好ましくは5以下)であり、かつ、b*の差の絶対値が10以下(好ましくは5以下)であるものとする。
本発明の歯科用陶材は、本発明の効果を妨げない限り、着色剤(A)、有機溶剤(B)及び陶材粉末(C)以外の成分は、必須ではないが、これらの必須成分以外の他の成分(任意の成分)を含んでもよい。このような他の成分としては、酸化剤(例えば、硫酸アンモニウム)、pH調整剤等が挙げられる。他の成分の含有量は、特に限定されないが、3.0重量%未満であることが好ましく、2.0重量%未満であることがより好ましく、0.5重量%未満であることがさらに好ましい。また、本発明の歯科用陶材は、有機溶剤(B)以外の有機溶剤は、色調調整の観点から、実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、有機溶剤(B)以外の有機溶剤の含有量が、歯科用陶材全体に対して、3.0重量%未満であることが好ましく、2.0重量%未満であることがより好ましく、0.5重量%未満であることがさらに好ましい。
また、本発明の好適な実施形態は、焼成前後の色差(ΔE*ab)が1.5未満、すなわち、焼成前のペースト状歯科用陶材と焼成後の焼成体との色差(ΔE*ab)が1.5未満である歯科用陶材である。前記色差(ΔE*ab)としては、1.4以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。色差(ΔE*ab)の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明の歯科用陶材は、セラミックス製のインレー、アンレー、ラミネートベニア、及びクラウン等の歯科用補綴物の作製に用いることができる。
本発明の歯科用陶材を築盛する対象となるフレームとしては、特に限定されず、金属フレーム、セラミックスフレーム(例えば、ジルコニアフレーム)等が挙げられる。
本発明の歯科用陶材は、特に限定されず、ボディー陶材(デンチン色陶材);サービカル陶材;インサイザル陶材(エナメル色陶材);トランスルーセント陶材;オペーク陶材;ステインパウダー等として使用することができる。
歯科用補綴物の作製するためには、本発明の歯科用陶材を築盛した後に、焼成する。焼成温度(焼成最高温度)は、陶材の種類、使用形態等に応じて適宜変更できるため、無機顔料が発色でき、着色剤(A)が脱色できる限り特に限定されないが、700℃以上が好ましく、720℃以上がより好ましく、730℃以上がさらに好ましい。焼成温度の上限は、特に限定されないが、1050℃以下が好ましく、1000℃以下がより好ましく、980℃以下がさらに好ましい。焼成時の昇温温度は、陶材の種類に応じて適宜変更でき、特に限定されないが、10〜70℃/分程度が好ましく、20〜60℃/分程度がより好ましい。
本発明のペースト状歯科用陶材の好適な実施形態としては、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有し、前記着色剤(A)が有機溶剤(B)に溶解する有機色素であり、前記有機溶剤(B)が、沸点が100〜350℃の有機溶剤である、ペースト状歯科用陶材が挙げられる。
他の好適な実施形態としては、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有し、前記着色剤(A)が有機溶剤(B)に溶解する沸点が400℃以下の芳香族系有機色素であり、前記有機溶剤(B)が、有機溶剤(B)の屈折率と陶材粉末(C)の屈折率との差の絶対値が0.10未満の有機溶剤である、ペースト状歯科用陶材が挙げられる。
他の好適な実施形態としては、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有し、前記着色剤(A)が、沸点が400℃以下であって、かつ有機溶剤(B)に溶解する有機色素であり、前記有機溶剤(B)が、沸点が100〜350℃であって、かつ有機溶剤(B)の屈折率と陶材粉末(C)の屈折率との差の絶対値が0.10未満の有機溶剤である、ペースト状歯科用陶材が挙げられる。
他の好適な実施形態としては、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有し、前記着色剤(A)が、沸点が400℃以下であって、かつ有機溶剤(B)に溶解する食用色素であり、前記有機溶剤(B)が、沸点が100〜350℃の有機溶剤である、ペースト状歯科用陶材が挙げられる。
他の好適な実施形態としては、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有し、前記着色剤(A)が、沸点が400℃以下であって、かつ有機溶剤(B)に溶解する食用色素であり、前記有機溶剤(B)が、沸点が100〜350℃であって、かつ有機溶剤(B)の屈折率と陶材粉末(C)の屈折率との差の絶対値が0.10未満の有機溶剤である、ペースト状歯科用陶材が挙げられる。
上記したいずれの実施形態においても、上述の説明に基づいて、各成分の種類、含有量、沸点等を適宜変更でき、任意の成分について、追加、削除等の変更をすることができる。また、上記したいずれの実施形態においても、各ペースト状歯科用陶材の組成と特性(焼成前後の色差等)の値を適宜変更して組み合わせることもできる。
本発明のペースト状歯科用陶材は、混練してペースト状にして築盛できればよいため、他の実施形態としては、例えば、焼成の際に脱色する着色剤(A)及び有機溶剤(B)を含む液成分(第1剤)と、陶材粉末(C)を含む粉成分(第2剤)とからなる歯科用陶材キットが挙げられる。このようなキットの形態において、上述の説明に基づいて、各成分(A)、(B)、(C)の種類、含有量、沸点等を適宜変更でき、任意の成分について、追加、削除等の変更をすることができる。例えば、第1剤に含まれる有機溶剤(B)の屈折率と、第2剤に含まれる陶材粉末(C)の屈折率との差(絶対値)が、小さいことが好ましい。具体的には、有機溶剤(B)の屈折率と陶材粉末(C)の屈折率との差(絶対値)としては、0.100未満が好ましく、0.075未満がより好ましく、0.070未満がさらに好ましく、0.055未満が特に好ましい。
本発明の他の実施形態としては、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を混合する工程を有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材の製造方法が挙げられる。混合の条件は、特に限定されない。混合の順番は、特に限定されないが、例えば、(i)着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を一括混合してもよく、(ii)着色剤(A)と有機溶剤(B)を混合して液成分を得て、前記液成分と陶材粉末(C)を混合してもよい。
本発明の他の実施形態としては、歯を治療する(例えば、審美歯科治療;欠損歯治療;人工歯等の補綴修復治療;う蝕治療等)ための、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材の使用が挙げられる。
また、本発明の他の実施形態としては、焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材を焼成する工程を有する、歯科用陶材の使用方法が挙げられる。
上記したいずれの実施形態においても、上述の説明に基づいて、各成分の種類、含有量、沸点等を適宜変更でき、任意の成分について、追加、削除等の変更をすることができる。また、上記したいずれの実施形態においても、各ペースト状歯科用陶材の組成と特性(焼成前後の色差等)の値を適宜変更して組み合わせることもできる。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。なお、実施例中に示した焼成前と焼成後の色差 (ΔE*ab)の評価方法、は次の通りである。
(1)焼成前と焼成後の色差評価
色差計(コニカミノルタ社製CM−3610A、光源F11)を用いて、焼成前の着色ペースト状陶材と焼成後の焼成体を測定し、下式から、焼成前と焼成後の色調差を色差ΔE*abで表した。
ΔE*ab={(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
ΔE*abは、色差計にて測定したCIE 1976表色系(L***表示系)による色差であり、ΔL*、Δa*、Δb*は、JIS Z 8781−4:2013に規定する方法から求めた。
*、a*、b*は、L***表色系での色度(L*、a*、b*)を表す値である。ΔL*は焼成前と焼成後の明度指数L*の差、Δa*は焼成前と焼成後の色座標a*の差、Δb*は焼成前と焼成後の色座標b*の差である。なお、色差ΔE*abは小さいほど良く、焼成後の色差ΔE*abに対して、以下のようにNIST(米国標準局)で分類されている。
ΔE*ab=0以上0.5未満:かすかに感じられる (Trace)
ΔE*ab=0.5以上1.5未満:わずかに感じられる (Slight)
ΔE*ab=1.5以上3.0未満:かなり感じられる (Noticeable)
ΔE*ab=3.0以上6.0未満:めだって感じられる (Appreciable)
ΔE*ab=6.0以上12未満:大きい (Much)
ΔE*ab=12以上:非常に大きい (Very Much)
(実施例1)
フタル酸ジエチル98.5重量部に、食用青色1号(共立食品株式会社製)1.5重量部を室温下で徐々に加えた液成分を得た。得られた液成分40重量部と陶材成分(セラビアンZR エスクターナルステイン Blue:クラレノリタケデンタル製、屈折率:1.51)60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前の着色ペースト状陶材を得た。得られた着色ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(実施例2)
フタル酸ジメチル97.0重量部に、食用黄色4号(共立食品株式会社製)3.0重量部を室温下で徐々に加えた液成分を得た。得られた液成分40重量部と陶材成分(セラビアンZR エスクターナルステイン Orange2:クラレノリタケデンタル製、屈折率:1.51)60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前の着色ペースト状陶材を得た。得られた着色ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(実施例3)
フタル酸ジブチル97.0重量部に、食用赤色102号(共立食品株式会社製)3.0重量部を室温下で徐々に加えた液成分を得た。得られた液成分40重量部と陶材成分(セラビアンZR エスクターナルステイン Red:クラレノリタケデンタル製、屈折率:1.51)60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前の着色ペースト状陶材を得た。得られた着色ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(実施例4)
有機溶剤(B)として、フタル酸ジエチル98.5重量部の代わりに、1,3−ブタンジオール97.0重量部を使用し、食用青色1号の配合量を3.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、焼成体を得た。
(実施例5)
有機溶剤(B)として、フタル酸ジメチルの代わりに、1,3−ブタンジオールを使用した以外は、実施例2と同様にして、焼成体を得た。
(実施例6)
有機溶剤(B)として、フタル酸ジブチルの代わりに、1,3−ブタンジオールを使用した以外は、実施例3と同様にして、焼成体を得た。
(実施例7)
有機溶剤(B)として、フタル酸ジエチル98.5重量部の代わりに、グリセリン97.0重量部を使用し、食用青色1号の配合量を3.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、焼成体を得た。
(実施例8)
有機溶剤(B)として、フタル酸ジメチルの代わりに、グリセリンを使用した以外は、実施例2と同様にして、焼成体を得た。
(実施例9〜12)
有機溶剤(B)として、フタル酸ジブチルの代わりに、表1に記載の各種有機溶剤を使用した以外は、実施例3と同様にして、各焼成体を得た。
(実施例13)
フタル酸ジエチル97.0重量部に、食用青色1号(共立食品株式会社製)3.0重量部を室温下で徐々に加えた液成分を得た。得られた液成分:40重量部と陶材成分(セラビアンZRプレス LF エスクターナルステイン Blue:クラレノリタケデンタル製、屈折率:1.51)60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前の着色ペースト状陶材を得た。得られた着色ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(実施例14)
陶材成分をセラビアンZR エスクターナルステイン Orange2から、セラビアンZRプレス LF エスクターナルステイン Orange2(クラレノリタケデンタル製、屈折率:1.51)に変更した以外は、実施例2と同様にして、焼成前の着色ペースト状陶材を得た。得られた着色ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(実施例15)
陶材成分をセラビアンZR エスクターナルステイン Redから、セラビアンZRプレス LF エスクターナルステイン Red(クラレノリタケデンタル製、屈折率:1.51)に変更した以外は、実施例3と同様にして、焼成前の着色ペースト状陶材を得た。得られた着色ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(実施例16〜20)
有機溶剤(B)を表1に記載の各種有機溶剤(B)に変更した以外は、実施例15と同様にして、各焼成体を得た。
(比較例1)
フタル酸ジエチル40重量部と実施例1と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られたペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例2)
フタル酸ジメチル40重量部と実施例2と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られたペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例3)
フタル酸ジブチル40重量部と実施例3と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られたペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例4〜6)
1,3−ブタンジオール40重量部と実施例1〜3と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られた各ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例7〜9)
グリセリン40重量部と実施例1〜3と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られた各ペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例10〜12)
有機溶剤(B)を表1に記載の各種有機溶剤に変更した以外は、比較例9と同様にして、焼成体を得た。
(比較例13)
フタル酸ジエチル40重量部と実施例13と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られたペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例14)
フタル酸ジメチル40重量部と実施例14と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られたペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例15)
フタル酸ジブチル40重量部と実施例15と同じ陶材成分60重量部を、約10分間乳鉢中で混和して焼成前のペースト状陶材を得た。得られたペースト状陶材を表1記載の焼成条件で焼成し、焼成体を得た。
(比較例16〜20)
有機溶剤(B)を表1に記載の各種有機溶剤(B)に変更した以外は、比較例15と同様にして、焼成体を得た。
上記のようにして得られた実施例及び比較例の各ペースト状陶材及び各焼成体について、上記の方法により、色差評価を行った。評価の結果を表1に示す。
その結果、比較例1〜20と比較して、実施例1〜20では色差が小さくなっており、着色剤(A)を含めたことにより、焼成前の歯科用陶材の色調は、焼成後の色調にさらに近づいている。
Figure 2017193492
本発明のペースト状歯科用陶材は、焼成前後の色差(ΔE*ab)を顕著に抑制することができることが確認された。また、本発明のペースト状歯科用陶材は、液成分に着色剤を加えることによって、着色剤が有機溶剤に室温(1〜30℃)で溶解し、液成分が着色されるため、ステイニング時に未ステイニング部とステイニング部との判別が容易になる。特に、オールセラミック歯冠の需要が益々増大することに伴い、ステインの使用頻度が増えることが予想されるため、オールセラミック歯冠用として本発明のペースト状歯科用陶材は有用である。

Claims (12)

  1. 焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材。
  2. 焼成前後の色差(ΔE*ab)が1.5未満である、請求項1に記載のペースト状歯科用陶材。
  3. 前記着色剤(A)が、有機溶剤(B)に溶解する有機色素である、請求項1又は2に記載のペースト状歯科用陶材。
  4. 前記有機色素が、芳香族系有機色素である、請求項3に記載のペースト状歯科用陶材。
  5. 前記着色剤(A)が、沸点が400℃以下の着色剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペースト状歯科用陶材。
  6. 前記着色剤(A)が、沸点が400℃以下の食用色素である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のペースト状歯科用陶材。
  7. 前記有機溶剤(B)が、沸点が100〜350℃の有機溶剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のペースト状歯科用陶材。
  8. 前記有機溶剤(B)が、有機溶剤(B)の屈折率と陶材粉末(C)の屈折率との差の絶対値が0.10未満の有機溶剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のペースト状歯科用陶材。
  9. 焼成温度が700℃以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のペースト状歯科用陶材。
  10. 焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を混合する工程を有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材の製造方法。
  11. 焼成の際に脱色する着色剤(A)、有機溶剤(B)、及び陶材粉末(C)を含有し、前記陶材粉末(C)が無機顔料を含有する、ペースト状歯科用陶材を焼成する工程を有する、歯科用陶材の使用方法。
  12. 焼成温度が700℃以上である、請求項11記載の使用方法。
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