JP2017193621A - 合成石英ガラス基板用研磨剤及び合成石英ガラス基板の研磨方法 - Google Patents
合成石英ガラス基板用研磨剤及び合成石英ガラス基板の研磨方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高い研磨速度を有するとともに、研磨による欠陥の発生を十分に低減することができる合成石英ガラス基板用研磨剤を提供する。【解決手段】研磨粒子及び水から成る合成石英ガラス基板用研磨剤であって、研磨粒子が、セリア粒子を母体粒子とし、母体粒子の表面に、セリウムと、セリウム以外の他の3価の希土類元素から選ばれる少なくとも1種の希土類元素との複合酸化物粒子が担持されたものであることを特徴とする合成石英ガラス基板用研磨剤。【選択図】 図2
Description
本発明は、合成石英ガラス基板用研磨剤及び合成石英ガラス基板の研磨方法に関する。
近年、光リソグラフィーによるパターンの微細化により、合成石英ガラス基板の欠陥密度や欠陥サイズ、面粗さ、平坦度等の品質に関して、一層厳しいものが要求されている。中でも基板上の欠陥に関しては、集積回路の高精細化、磁気メディアの高容量化に伴い、更なる高品質化が要求されている。
このような観点から、合成ガラス基板用研磨剤に対しては、研磨後の石英ガラス基板の品質向上のために、研磨後の石英ガラス基板の表面粗さが小さいことや、研磨後の石英ガラス基板表面にスクラッチ等の表面欠陥が少ないことが強く要求されている。また、生産性向上の観点から、石英ガラス基板の研磨速度が高いことも要求されている。
従来、合成石英ガラスを研磨するための研磨剤として、シリカ系の研磨剤が一般的に検討されている。シリカ系のスラリーは、シリカ粒子を四塩化ケイ素の熱分解により粒成長させ、アンモニア等のアルカリ金属を含まないアルカリ溶液でpH調整を行って製造している。例えば、特許文献1では、高純度のコロイダルシリカを中性付近で使用し欠陥を低減できることが記載されている。しかし、コロイダルシリカの等電点を考慮すると、中性付近においてコロイダルシリカは不安定であり、研磨中コロイダルシリカ砥粒の粒度分布が変動し安定的に使用できなくなる問題が懸念され、研磨剤を循環及び繰り返し使用することが困難であり、掛け流しで使用するため経済的に好ましくない問題がある。また、特許文献2では、平均一次粒子径が60nm以下のコロイダルシリカと酸を含有した研磨剤を使用することで、欠陥を低減できることが記載されている。しかしながら、これらの研磨剤は現状の要求を満足させるには不十分であり、改良が必要とされる。
一方で、セリア(CeO2)粒子は、シリカ粒子やアルミナ粒子に比べ硬度が低いため、研磨後の合成石英ガラス基板の表面にスクラッチ等の欠陥が発生し難い。従って、セリア粒子を研磨砥粒として使用した研磨剤は、欠陥の低減のために有効である。また、セリア粒子は強酸化剤として知られており、化学的に活性な性質を有している。
一般に、セリア系の研磨剤では、乾式セリア粒子が使用され、乾式セリア粒子は、不定形な結晶形状により、研磨剤に適用すると、石英ガラス基板表面にスクラッチ等の欠陥が発生しやすい問題がある。一方、湿式セリア粒子は多面体構造を有しており、乾式セリア粒子に比べてスクラッチ等の欠陥を大幅に改善することができ有用である。
また、セリアのCe(IV)とCe(III)間のレドックスは、ガラス等の無機絶縁体の研磨速度向上に効果があるとされ、4価のセリアの一部を3価の他の金属元素と置換して酸素欠陥を導入することで、ガラス等の無機絶縁体との反応性を高めることができるとされている。
合成石英ガラス基板の研磨剤として、湿式セリア粒子を単独で使用した場合、スクラッチ等の欠陥は低減されるものの、研磨速度は現在要求されている研磨速度を満たすには至らない。特許文献3では、コロイダルシリカを使用した研磨剤に、アクリル酸/スルホン酸共重合体のようなスルホン酸基を有する重合体を含有した研磨剤を使用することで、研磨速度を高くできることが記載されている。しかしながら、このような、重合体をセリア系の研磨剤に添加しても、現在要求されている研磨速度を満たすには至らず、研磨速度をより向上させることが必要とされている。
また、特許文献4では、セリウムとランタニド及びイットリウムから成る群より選ばれる希土類元素のうち1種以上を0.5から60質量%含有した研磨剤を使用することで、研磨速度を高くできることが記載されている。しかし、特許文献4で得られる酸化物粒子の平均粒径は0.5から1.7μmであり、粒子サイズが大きく研磨後の合成石英ガラス基板の表面精度に問題がある。
以上のように、従来の技術では、研磨欠陥の発生の低減と研磨速度の十分な向上とを両立することが困難であるという問題があった。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、高い研磨速度を有するとともに、研磨による欠陥の発生を十分に低減することができる合成石英ガラス基板用研磨剤を提供することを目的とする。また、本発明は高い研磨速度を有し、欠陥の生成を十分に低減できる合成石英ガラス基板の研磨方法を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、研磨粒子及び水から成る合成石英ガラス基板用研磨剤であって、前記研磨粒子が、セリア粒子を母体粒子とし、該母体粒子の表面に、セリウムと、セリウム以外の他の3価の希土類元素から選ばれる少なくとも1種の希土類元素との複合酸化物粒子が担持されたものであることを特徴とする合成石英ガラス基板用研磨剤を提供する。
このような研磨粒子を含む合成石英ガラス基板用研磨剤であれば、セリア粒子を単独で使用した場合に比べ、スクラッチ等の欠陥発生を十分に抑制したまま、高い研磨速度を得ることができる。セリア粒子表面に担持させる複合酸化物粒子を、4価であるセリアとセリウム以外の3価の希土類元素との複合酸化物にすることで、担持された複合酸化物粒子には酸素欠陥が導入される。その結果、複合酸化物粒子中のセリアの価数変化が起こり易くなることで活性が向上し、合成石英ガラス基板表面との反応性が向上することで、研磨速度が向上する。また、セリア粒子表面に複合酸化物粒子を担持させることで、例えば、湿式セリア粒子などの多面体結晶構造の鋭い結晶面が減少し、研磨による合成石英ガラス基板への欠陥発生を抑制することが可能となる。なお、以下では、「母体粒子」を「セリア母体粒子」、「セリウムと、セリウム以外の他の3価の希土類元素から選ばれる少なくとも1種の希土類元素との複合酸化物粒子」を「セリア複合酸化物粒子」と呼称する場合がある。
このとき、前記母体粒子が湿式セリア粒子からなり、該湿式セリア粒子の平均1次粒子サイズが40nm以上100nm以下であることが好ましい。
湿式セリアは多面体結晶構造であるため、乾式セリアと比べると元々スクラッチが発生し難いうえに、本発明では多面体結晶構造の鋭い結晶面が複合酸化物粒子により減少するため、スクラッチをより低減できる。また、湿式セリア粒子から成る母体粒子の平均1次粒子サイズが40nm以上であれば、合成石英ガラス基板に対する研磨速度を向上できる。また、平均1次粒子サイズが100nm以下であれば、スクラッチ等の研磨傷の発生を特に抑制できる。
また、前記複合酸化物粒子が、セリウムランタン複合酸化物であって、セリウム/ランタンのモル比が1.0から4.0であることが好ましい。
複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンのモル比が1.0から4.0の範囲内であれば、複合酸化物粒子と合成石英ガラス基板表面との反応性が一層向上し、研磨速度がより向上する。
また、前記複合酸化物粒子の粒径が、1nm以上50nm以下であることが好ましい。
複合酸化物粒子の粒径が1nm以上の大きさであれば、合成石英ガラス基板に対する研磨速度を十分に確保できる。また、粒径が50nm以下であれば、母体粒子に担持できる複合酸化物粒子数が増加し、合成石英ガラス基板に対する研磨速度がより向上する。
また、前記研磨粒子の濃度が、前記合成石英ガラス基板用研磨剤100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下のものであることが好ましい。
研磨粒子の濃度が、合成石英ガラス基板用研磨剤100質量部に対して、5質量部以上あれば、好適な研磨速度が得られ、また、20質量部以下であれば、研磨剤の保存安定性をより高くできる。
また、本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤が、さらに、添加剤を含み、該添加剤の濃度が、前記研磨粒子100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
合成石英ガラス基板用研磨剤が添加剤を含有することで、研磨粒子が研磨剤中で分散しやすいため、粒径の大きな二次粒子が生成されにくく、研磨傷の発生をより一層抑制できる。また、添加剤の濃度が研磨粒子100質量部に対して0.1質量部以上であれば、研磨剤中で研磨粒子がより安定して分散し、粒径の大きな凝集粒子が形成され難くなり、5質量部以下であれば、添加剤が研磨を阻害することがなく、研磨速度の低下を防止することができる。
また、本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤が、pHが、3.0以上8.0以下のものであることが好ましい。
pHが3.0以上であれば研磨剤中の研磨粒子がより安定して分散する。pHが8.0以下であれば、研磨速度をより向上させることが可能である。
また、本発明は、粗研磨工程と該粗研磨工程後の仕上げ研磨工程とを有する合成石英ガラス基板の研磨方法であって、前記仕上げ研磨工程において、上記の本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤を使用して仕上げ研磨を行うことを特徴とする合成石英ガラス基板の研磨方法を提供する。
このような本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤を用いた研磨方法であれば、研磨速度を高くすることができ、かつ、研磨による欠陥の発生を抑制できる。
本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤及びこれを用いた研磨方法であれば、合成石英ガラス基板の研磨において、十分な研磨速度を得られ、かつ、合成石英ガラス基板の表面の欠陥発生を十分に抑制することが可能となる。その結果、合成石英ガラス基板の製造における、生産性及び歩留りを向上できる。また、特に、合成石英ガラス基板の製造工程における仕上げ研磨工程で、本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤を使用することで、半導体デバイスの高精細化につながる。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上述のように、本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤(以下、単に「研磨剤」とも称する。)は、研磨粒子がセリア粒子を母体粒子として、セリア母体粒子の表面に、セリウムと、セリウム以外の他の3価の希土類元素から選ばれる少なくとも1種の希土類元素との複合酸化物粒子が担持されているものである。
本発明の合成石英ガラス基板用研磨剤は、このようなセリア粒子の表面にセリア複合酸化物粒子を担持した粒子を研磨粒子として使用することで、研磨による傷等の欠陥の発生を抑制し、高い研磨速度で研磨することが可能である。
担持されるセリア複合酸化物粒子は、母体となるセリア粒子と異なり結晶構造に酸素欠陥を有している。そのため安定な単結晶構造を有するセリア粒子に比べ、より高い活性面を有している。そのため、研磨過程において上記セリア複合酸化物粒子と合成石英ガラス基板表面での化学反応が起こり易く、その結果、合成石英ガラス表面が改質されることで研磨が促進されるものと推測される。
以下、各成分及び任意に添加できる成分、及び本発明の研磨剤による合成石英ガラス基板の研磨についてより詳細に説明する。
本発明の研磨剤には、上記のように、セリア粒子を母体粒子とし、母体粒子表面にセリウムとセリウム以外の他の3価の希土類元素から選ばれる少なくとも1種の希土類元素との複合酸化物粒子を担持した研磨粒子が含まれる。
本発明では、母体粒子が湿式セリア粒子であることが好ましい。この湿式セリア粒子は、セリウム塩を前駆体物質として、塩基性溶液と混合・加熱処理する湿式化学沈殿法により生成できる。湿式セリア粒子は、その結晶構造が多面体結晶構造であるため、不定形な結晶構造を有する乾式セリア粒子を用いるよりもスクラッチなどの研磨傷の発生を低減できる。
本発明の母体粒子を湿式セリア粒子とした場合の、母体粒子の平均粒径は、5nm以上200nm以下の範囲で使用されることが好ましく、20nm以上150nm以下の範囲で使用されることがより好ましい。また、40nm以上100nm以下の範囲で使用されることが更に好ましい。この時、湿式セリア粒子から成る母体粒子の平均粒径が5nm以上であれば、合成石英ガラス基板に対する研磨速度が向上し、200nm以下であれば、スクラッチ等の研磨傷の発生をより低減できる。
また、母体粒子が担持するセリア複合酸化物粒子は、セリウムとセリウム以外の他の3価の希土類元素からなる複合酸化物であり、セリウム以外の3価の希土類元素としては、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Tb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられ、中でも原料が入手しやすいランタンが好適に使用できる。
セリア複合酸化物粒子中に含有される3価の希土類元素の量としては、10モル%から60モル%が好ましく、20モル%から50モル%がより好ましい。3価の希土類元素の含有量が10モル%以上であれば、合成石英ガラス基板に対する研磨速度向上効果がより高くなり、かつ、含有量が60モル%であれば、石英ガラス基板に対する研磨速度が一層向上する。
また、特に、複合酸化物粒子が、セリウムランタン複合酸化物であることが好ましく、セリウム/ランタンのモル比が1.0から4.0であることが好ましい。複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンのモル比が1.0から4.0の範囲内であれば、複合酸化物粒子と合成石英ガラス基板表面との反応性が一層向上し、研磨速度がより向上する。
また、母体粒子に担持される複合酸化物粒子の粒径としては、1nm以上50nm以下の範囲であることが好ましく、3nm以上30nm以下の範囲であることがより好ましく、5nm以上20nm以下の範囲であることが更に好ましい。複合酸化物粒子の粒径が1nm以上の大きさであれば、合成石英ガラス基板に対する研磨速度を十分に確保できる。また、粒径が50nm以下であれば、母体粒子に担持できる複合酸化物粒子数が増加し、合成石英ガラス基板に対する研磨速度がより向上する。
本発明で使用される母体粒子及び複合酸化物粒子から成る研磨粒子の濃度には、特に制限はないが、好適な合成石英ガラス基板に対する研磨速度が得られる点から、研磨剤100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。また、研磨粒子の上限濃度としては、研磨剤の保存安定性をより高くできる観点から、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。
上記の湿式セリア母体粒子の製造方法としては、特に限定されることは無いが、以下の方法を使用できる。まず、前駆体であるセリウム塩を超純水と混合してセリウム水溶液を製造する。セリウム塩と超純水は、例えば、2:1〜4:1の割合で混合することが出来る。ここでセリウム塩としては、Ce(III)塩、及びCe(IV)塩の少なくともいずれかを利用することができる。つまり、少なくとも一つのCe(III)塩を超純水と混合するか、または、少なくとも一つのCe(IV)塩を超純水と混合するか、または、少なくとも一つのCe(III)塩と少なくとも一つのCe(IV)塩を超純水と混合することができる。Ce(III)塩としては、塩化セリウム、フッ化セリウム、硫酸セリウム、硝酸セリウム、炭酸セリウム、過塩素酸セリウム、臭化セリウム、硫化セリウム、ヨウ化セリウム、シュウ酸セリウム、酢酸セリウムなどを混合することができ、Ce(IV)塩としては、硫酸セリウム、硝酸アンモニウムセリウム、水酸化セリウムなどを混合することができる。なかでも、Ce(III)塩としては硝酸セリウムが、Ce(IV)塩として硝酸アンモニウムセリウムが使いやすさの面で好適に使用される。
さらに、超純水と混合して製造されたセリウム水溶液の安定化のために酸性溶液を混合することができる。ここで、酸性溶液とセリウム溶液は、1:1〜1:100の割合で混合することができる。ここで使用できる酸溶液としては、過酸化水素、硝酸、酢酸、塩酸、硫酸などがあげられる。酸溶液と混合されたセリウム溶液は、pHを例えば0.01に調整することができる。
セリウム溶液とは別に塩基性溶液を製造する。塩基性溶液としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することができ、超純水と混合して適切な濃度に希釈して使用される。希釈する割合としては、塩基性物質と超純水を1:1〜1:100の割合で希釈することができる。希釈された塩基性溶液は、pHをたとえば11〜13に調整することができる。
次に、希釈された塩基性溶液を反応容器に移した後、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で、例えば5時間以下攪拌を行う。そして、希釈された塩基性溶液にセリウム水溶液を、例えば毎秒0.1リットル以上の速度で混合する。引き続き、所定の温度で熱処理を行う。この時の熱処理温度は、100℃以下、例えば60℃以上100℃以下の温度で加熱処理をすることができ、熱処理時間は、2時間以上、例えば2時間〜10時間行うことができる。また、常温から熱処理温度までの昇温速度は、毎分0.2℃〜1℃、好ましくは毎分0.5℃の速度で昇温することができる。
次に、熱処理を実施した混合溶液を、室温まで冷却する。このような過程を経て、1次粒径、例えば100nm以下の湿式セリア粒子が生成された混合液が製造される。このようにして生成された湿式セリア粒子の一例を図1に示す。図1に示す写真から、湿式化学沈殿法にて生成された湿式セリア粒子が多面体結晶構造をとっていることが分かる。
上記のように、湿式セリア粒子は、セリウム塩の前駆体水溶液と希釈された塩基性溶液の混合液を、適切な昇温速度で昇温して、適切な範囲の熱処理温度で加熱すると、昇温過程で混合液内のセリウム塩が反応して、セリア(CeO2)の微細核が生成され、これらの微細核を中心に結晶が成長してでき、5nm〜100nmの結晶粒子で製造される。
次に、製造された湿式セリア母体粒子へのセリア複合酸化物粒子の担持方法の一例を以下に説明するが、複合酸化物粒子の担持方法はこれに限定されることは無い。まず、不活性ガス雰囲気を維持した状態で上記方法により製造されたセリア母体粒子が混合されている混合液に、塩基性溶液を更に投入した後、撹拌を行う。塩基性溶液としては、アンモニア水が好適に使用できる。次に、セリウム塩と3価の希土類元素からなる塩を超純水と2:1から4:1の割合で混合して調整した溶液を母体粒子が混合された混合液に混合した後、100℃以下、例えば60℃以上100℃以下の温度で加熱して24時間以下の熱処理を行う。ここで3価の希土類元素からなる塩としては、硝酸塩が好適に使用される。
この時の昇温速度としては、0.5℃/分以上の昇温速度で熱処理温度まで昇温させることができる。このようにして例えば24時間以下の熱処理を行った混合液を冷却する。このような処理によってセリア母体粒子の表面にセリアと他の3価の希土類元素からなる複数のセリア複合酸化物粒子が担持された研磨粒子を形成できる。
また、熱処理時間によってセリア母体粒子とセリア複合酸化物粒子との結合力を調節することができる。熱処理時間を長くすることでセリア母体粒子とセリア複合酸化物粒子との結合力を強くでき、熱処理時間を短くすることでセリア母体粒子とセリア複合酸化物粒子との結合力を弱くできる。熱処理時間としては1時間から24時間が好ましく、2時間から12時間がより好ましい。熱処理時間を1時間以上と充分に取れば、セリア母体粒子と担持されたセリア複合酸化物粒子との結合力が強くなり、研磨工程中のセリア母体粒子からのセリア複合酸化物粒子の脱離を防止できる。また、熱処理時間を24時間以下とすれば、生産性を向上できる。
また、熱処理温度によって、担持されるセリア複合酸化物粒子の粒子径を調節することができる。熱処理温度を60℃から100℃、より好ましくは70℃から90℃の温度として熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度が高ければ同じ熱処理時間における複合酸化物粒子の粒子径が大きくなる傾向にある。60℃以上の温度であれば、セリア複合酸化物粒子の粒子径が所望の研磨に必要な所望の粒子径まで確実に成長できる。また、60℃以上の温度においては温度上昇に伴い粒子径は大きくなる。また、熱処理温度を100℃以下とすれば、セリア複合酸化物粒子の粒子径が大きくなりすぎることが無く、セリア母体粒子にセリア複合酸化物粒子が確実に担持される。以上のようにして、本発明の研磨剤に含まれる研磨粒子を製造できる。図2にセリア複合酸化物粒子を表面に担持したセリア母体粒子から成る研磨粒子の写真を示す。母体粒子の多面体結晶構造の鋭い結晶面が、複合酸化物粒子により減少していることが確認できる。
また、本発明の研磨剤は、研磨特性を調整する目的で、添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、研磨粒子の表面電位をマイナスに転換することができるアニオン性界面活性剤、またはアミノ酸を含むことができる。セリア粒子の表面電位をマイナスにすれば、研磨剤中で分散しやすいため、粒径の大きな二次粒子が生成されにくく、研磨傷の発生をより一層抑制できる。
このような添加剤としてのアニオン性界面活性剤には、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩、ラウリル硫酸塩、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等があげられる。アミノ酸には、例えばアルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、セリン、トリプトファン、トレオニン、グリシン、アラニン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン等があげられる。
これらの添加剤を使用する場合の濃度は、研磨粒子1質量部に対して0.001質量部以上0.05質量部以下、即ち、研磨粒子100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。含有量が研磨粒子100質量部に対して0.1質量部以上であれば、研磨剤中で研磨粒子がより安定して分散し、粒径の大きな凝集粒子が形成され難くなる。また、含有量が研磨粒子100質量部に対して5質量部以下であれば、添加剤が研磨を阻害することがなく、研磨速度の低下を防止することができる。従って、上記範囲で添加剤を含めば、研磨剤の分散安定性をより向上させたうえに、研磨速度の低下を防止することができる。
本発明の研磨剤のpHは、研磨剤の保存安定性や、研磨速度に優れる点で、3.0以上8.0以下の範囲にあることが好ましい。pHが3.0以上であれば研磨剤中の研磨粒子がより安定して分散する。pHが8.0以下であれば、研磨速度をより向上させることが可能である。また、pHの好ましい範囲の下限は4.0以上であることがより好ましく、6.0以上であることが特に好ましい。また、pHの好ましい範囲の上限は、8.0以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましい。また、研磨剤のpHは、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などを添加することよって調整可能である。
次に、本発明の研磨剤を使用した合成石英ガラス基板の研磨方法について説明する。本発明の研磨剤は特に粗研磨工程後の仕上げ研磨工程で使用することが好ましいため、仕上げ研磨工程において片面研磨を行う場合を例に説明する。しかしながら、もちろんこれに限定されることはなく、本発明の研磨剤は粗研磨にも用いることができる。また、本発明の研磨剤は片面研磨だけではなく両面研磨などにも用いることができる。
本発明の研磨方法に用いることができる片面研磨装置は、例えば、図3に示すように、研磨パッド4が貼り付けられた定盤3と、研磨剤供給機構5と、研磨ヘッド2等から構成された片面研磨装置10とすることができる。また、図3に示すように、研磨ヘッド2は、研磨対象の合成石英ガラス基板Wを保持することができ、また、自転することができる。また、定盤3も自転することができる。研磨パッド4としては、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質樹脂等が使用できる。また、研磨を実施している間は、常に研磨パッド4の表面が研磨剤1で覆われていることが好ましいため、研磨剤供給機構5にポンプ等を配設することで連続的に研磨剤1を供給することが好ましい。このような片面研磨装置10では、研磨ヘッド2で合成石英ガラス基板Wを保持し、研磨剤供給機構5から研磨パッド4上に本発明の研磨剤1を供給する。そして、定盤3と研磨ヘッド2をそれぞれ回転させて合成石英ガラス基板Wの表面を研磨パッド4に摺接させることにより研磨を行う。このような本発明の研磨剤を用いた研磨方法であれば、研磨速度を高くすることができ、かつ、研磨による欠陥の発生を抑制できる。そして、本発明の研磨方法は、大幅に欠陥の少ない合成石英ガラス基板を得ることができるので仕上げ研磨に好適に使用できる。
特に、本発明の研磨方法により仕上げ研磨を実施した合成石英ガラス基板は、半導体関連の電子材料に用いることができ、フォトマスク用、ナノインプリント用、磁気デバイス用として好適に使用することができる。なお、仕上げ研磨前の合成石英ガラス基板は、例えば、以下のような工程により準備することができる。まず、合成石英ガラスインゴットを成形し、その後、合成石英ガラスインゴットをアニールし、続いて、合成石英ガラスインゴットをウェーハ状にスライスする。続いて、スライスしたウェーハを面取りし、その後、ラッピングし、続いて、ウェーハの表面を鏡面化するための研磨を行う。そしてこのようにして準備した合成石英ガラス基板に対して、本発明の研磨方法により仕上げ研磨を実施することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(湿式セリアから成る母体粒子の合成)
1000gの硝酸セリウム(III)六水和物(Ce(NO3)3・6H2O)を純水250gに溶解した溶液に、硝酸100gを混合してセリウム(III)溶液を得た。次いで、1gの硝酸二アンモニウムセリウム((NH4)2Ce(NO3)3)を純水500gに溶解してセリウム(IV)溶液を得た。引き続きセリウム(III)溶液とセリウム(IV)溶液を混合してセリウム混合液を得た。
(湿式セリアから成る母体粒子の合成)
1000gの硝酸セリウム(III)六水和物(Ce(NO3)3・6H2O)を純水250gに溶解した溶液に、硝酸100gを混合してセリウム(III)溶液を得た。次いで、1gの硝酸二アンモニウムセリウム((NH4)2Ce(NO3)3)を純水500gに溶解してセリウム(IV)溶液を得た。引き続きセリウム(III)溶液とセリウム(IV)溶液を混合してセリウム混合液を得た。
反応容器に純水4000gを窒素ガス雰囲気下で滴下し、続いて1000gのアンモニア水を反応容器に滴下し、攪拌して塩基性溶液を得た。
次に、セリウム混合液を反応容器に滴下し攪拌して、窒素ガス雰囲気下で80℃まで加熱した。8時間熱処理を行い、湿式セリア粒子(母体粒子)を含有した混合溶液を得た。
また、セリウム(III)溶液とセリウム(IV)溶液の混合比を調整することで、最終的に得られる湿式セリア粒子(母体粒子)の平均粒子径を調整した。
(母体粒子への複合酸化物粒子の担持)
上記セリア母体粒子を含有した混合液に、1000gのアンモニア水を反応容器に滴下し、攪拌した。
上記セリア母体粒子を含有した混合液に、1000gのアンモニア水を反応容器に滴下し、攪拌した。
次に、セリウムとランタンとのモル比が80/20=4.0となるように1000gの硝酸セリウム六水和物、1gの硝酸二アンモニウムセリウム、300gの硝酸ランタン六水和物を純水に溶解し、セリウムランタン混合溶液を得た。
引き続き、セリウムランタン混合液を反応容器に滴下し攪拌して、窒素ガス雰囲気下で80℃まで加熱した。8時間熱処理を行い、セリウムランタン複合酸化物粒子が表面に担持された湿式セリア粒子を含有した混合溶液を得た。
セリウムランタン複合酸化物粒子が表面に担持された湿式セリア粒子を含有した混合液を室温まで冷却後、混合液中の湿式セリア粒子を沈殿させた。その後、純水により数回洗浄及び遠心分離を繰り返し洗浄し、最終的にセリウムランタン複合酸化物粒子が表面に担持された湿式セリア粒子から成る研磨粒子を得た。また、加熱温度を調整することで、最終的に得られるセリウムランタン複合酸化物粒子の平均粒子径を調整した。
(合成石英ガラス基板用研磨剤の作成)
上記の方法で合成した、セリウム/ランタンの含有比(モル比)が80/20(モル%)=4.0の複合酸化物粒子が表面に担持された研磨粒子500g、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)5g、純水5000gを混合し、攪拌しながら超音波分散を60分行った後、得られたスラリーを0.5ミクロンフィルターでろ過し、研磨粒子濃度10質量%、ポリアクリル酸ナトリウム0.1質量%を含有する合成石英ガラス基板研磨用研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.5で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
上記の方法で合成した、セリウム/ランタンの含有比(モル比)が80/20(モル%)=4.0の複合酸化物粒子が表面に担持された研磨粒子500g、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)5g、純水5000gを混合し、攪拌しながら超音波分散を60分行った後、得られたスラリーを0.5ミクロンフィルターでろ過し、研磨粒子濃度10質量%、ポリアクリル酸ナトリウム0.1質量%を含有する合成石英ガラス基板研磨用研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.5で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
(合成石英ガラス基板研磨)
研磨パッド(軟質スェード製/FILWEL製)を貼り付けた定盤に、基板の取り付けが可能なヘッドに、粗研磨を行った後の直径4インチ(100mm)の合成石英ガラス基板をセットし、研磨荷重60gf/cm2、定盤及びヘッドの回転速度を50rpm、上記合成石英ガラス基板研磨用研磨剤を毎分100mlで供給しながら、粗研磨工程で発生した欠陥を除去するのに十分な量として2μm以上研磨した。研磨後合成石英ガラス基板をヘッドから取り外し、純水で洗浄後さらに超音波洗浄を行った後、80℃で乾燥器で乾燥させた。反射分光膜厚計(SF−3 大塚電子(株)製)により、研磨前後の合成石英ガラス基板厚変化を測定することで研磨速度を算出した。また、レーザー顕微鏡により、100nm以上の研磨後の合成ガラス基板表面に発生した欠陥の個数を求めた。
研磨パッド(軟質スェード製/FILWEL製)を貼り付けた定盤に、基板の取り付けが可能なヘッドに、粗研磨を行った後の直径4インチ(100mm)の合成石英ガラス基板をセットし、研磨荷重60gf/cm2、定盤及びヘッドの回転速度を50rpm、上記合成石英ガラス基板研磨用研磨剤を毎分100mlで供給しながら、粗研磨工程で発生した欠陥を除去するのに十分な量として2μm以上研磨した。研磨後合成石英ガラス基板をヘッドから取り外し、純水で洗浄後さらに超音波洗浄を行った後、80℃で乾燥器で乾燥させた。反射分光膜厚計(SF−3 大塚電子(株)製)により、研磨前後の合成石英ガラス基板厚変化を測定することで研磨速度を算出した。また、レーザー顕微鏡により、100nm以上の研磨後の合成ガラス基板表面に発生した欠陥の個数を求めた。
[実施例2]
複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を50/50(モル%)=1.0とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.3で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を50/50(モル%)=1.0とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.3で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
[実施例3]
担持する複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を60/40(モル%)=1.5とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.3で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
担持する複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を60/40(モル%)=1.5とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.3で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
[実施例4]
湿式セリア母体粒子への複合酸化物粒子の担持処理において、加熱温度を60℃とし、複合酸化物粒子の粒径を小さくしたこと以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.8であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は61nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は1nmであった。
湿式セリア母体粒子への複合酸化物粒子の担持処理において、加熱温度を60℃とし、複合酸化物粒子の粒径を小さくしたこと以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.8であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は61nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は1nmであった。
[実施例5]
湿式セリア母体粒子への複合酸化物担持処理において、加熱温度を90℃とし、複合酸化物粒子の粒径を大きくしたこと以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.8であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は80nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は20nmであった。
湿式セリア母体粒子への複合酸化物担持処理において、加熱温度を90℃とし、複合酸化物粒子の粒径を大きくしたこと以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.8であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は80nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は20nmであった。
[実施例6]
複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を90/10(モル%)=9.0とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.5で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を90/10(モル%)=9.0とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.5で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
[比較例1]
母体粒子が担持する粒子の組成を100%セリアとした以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.6であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、母体粒子が担持した粒子の平均粒径は10nmであった。
母体粒子が担持する粒子の組成を100%セリアとした以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.6であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、母体粒子が担持した粒子の平均粒径は10nmであった。
[実施例7]
複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を30/70(モル%)=0.4とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.5で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
複合酸化物粒子中のセリウム/ランタンの含有比(モル比)を30/70(モル%)=0.4とした以外は、実施例1と同様な手順により研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.5で、電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、複合酸化物粒子の平均粒径は10nmであった。
[比較例2]
母体粒子が担持する粒子の組成を100%ランタンとした以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.8であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、母体粒子が担持した粒子の平均粒径は10nmであった。
母体粒子が担持する粒子の組成を100%ランタンとした以外は、実施例1と同様な手順によりセリア研磨剤を調整した。得られた研磨剤のpHは6.8であった。電子顕微鏡にて測定した研磨粒子の平均粒子径は70nm、母体粒子の平均粒径は60nm、母体粒子が担持した粒子の平均粒径は10nmであった。
実施例、比較例の研磨粒子の物性、研磨速度、及び研磨後の合成石英ガラス基板の表面に存在する100nm以上の欠陥の個数を表1に示す。なお、表中の研磨速度及び欠陥の個数の数値はそれぞれの実施例及び比較例で研磨した合成石英ガラス基板5枚の平均値である。
実施例1〜7の研磨剤、すなわち、研磨砥粒として母体粒子にセリウムとセリウム以外の3価の希土類元素を含む複合酸化物粒子を担持した本発明の研磨剤を使用して合成石英ガラス基板を研磨することで、研磨による欠陥の発生を少なく抑えることができた。さらに、合成石英ガラス基板に対して、高い研磨速度が得られた。一方、比較例1、2のように、母体粒子に粒子を担持させても本発明のような複合酸化物粒子ではない場合、研磨速度が低下した。
また、担持する複合酸化物粒子中のセリウムとランタンのモル比1.0から4.0を満たす実施例1〜5は、上記モル比が4.0より大きい実施例6や、1.0より小さい実施例7に比べると、合成石英ガラス基板に対する研磨速度がより高くなった。
以上のように、本発明の合成石英ガラス基板研磨用研磨剤により合成石英ガラス基板研磨を行うことで、合成石英ガラス基板に対して高い研磨速度が得られ、研磨後の合成石英ガラス基板表面の欠陥発生を少なく研磨することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…研磨剤、 2…研磨ヘッド、 3…定盤、
4…研磨パッド、 5…研磨剤供給機構、
10…片面研磨装置、
W…合成石英ガラス基板。
4…研磨パッド、 5…研磨剤供給機構、
10…片面研磨装置、
W…合成石英ガラス基板。
Claims (8)
- 研磨粒子及び水から成る合成石英ガラス基板用研磨剤であって、
前記研磨粒子が、セリア粒子を母体粒子とし、該母体粒子の表面に、セリウムと、セリウム以外の他の3価の希土類元素から選ばれる少なくとも1種の希土類元素との複合酸化物粒子が担持されたものであることを特徴とする合成石英ガラス基板用研磨剤。 - 前記母体粒子が湿式セリア粒子からなり、該湿式セリア粒子の平均1次粒子サイズが40nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の合成石英ガラス基板用研磨剤。
- 前記複合酸化物粒子が、セリウムランタン複合酸化物であって、セリウム/ランタンのモル比が1.0から4.0であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の合成石英ガラス基板用研磨剤。
- 前記複合酸化物粒子の粒径が、1nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の合成石英ガラス基板用研磨剤。
- 前記研磨粒子の濃度が、前記合成石英ガラス基板用研磨剤100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下のものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の合成石英ガラス基板用研磨剤。
- さらに、添加剤を含み、該添加剤の濃度が、前記研磨粒子100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の合成石英ガラス基板用研磨剤。
- pHが、3.0以上8.0以下のものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の合成石英ガラス基板用研磨剤。
- 粗研磨工程と該粗研磨工程後の仕上げ研磨工程とを有する合成石英ガラス基板の研磨方法であって、前記仕上げ研磨工程において、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の合成石英ガラス基板用研磨剤を使用して仕上げ研磨を行うことを特徴とする合成石英ガラス基板の研磨方法。
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