JP2017193682A - エラストマー組成物 - Google Patents

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八木 啓介
Keisuke Yagi
啓介 八木
丈裕 巨勢
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丈裕 巨勢
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Mitsuru Seki
満 関
智子 安田
Tomoko Yasuda
智子 安田
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Abstract

【課題】架橋反応性が高く、耐熱性、圧縮永久歪特性および耐アルカリ性に優れた架橋物が得られるエラストマー組成物を提供する。【解決手段】ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、水素原子の含有量が0.1質量%以下のパーフルオロエラストマー(b)とを含有し、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エラストマー組成物に関する。
含フッ素弾性共重合体は、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性等の特性に優れることから、炭化水素系重合体が耐えられないような過酷な環境下での使用に適している。
含フッ素弾性共重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FKM)、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体(FEPM)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(FFKM)等が知られている。
含フッ素弾性共重合体の機械的物性(強度、伸度、圧縮永久歪特性等)を向上させるため、含フッ素弾性共重合体を架橋させ、架橋物とすることが行われている。
しかし、一般に含フッ素弾性共重合体は架橋反応性に乏しく、特にテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体等のパーフルオロエラストマーの架橋反応性は低い。また、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体の架橋物は、耐アルカリ性が充分ではない。テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体は、耐熱性、低温特性が充分ではない。
特許文献1には、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体と、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体等のパーフルオロエラストマーとを含む含フッ素エラストマー組成物が提案されている。該含フッ素エラストマー組成物は架橋反応性に優れ、その架橋物の耐熱性、圧縮永久歪特性等が優れるとされている。
特許文献2〜3には、ヨウ素原子を有する特定の連鎖移動剤の存在下で重合を行い、分子鎖末端にヨウ素原子を含有させたテトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体が提案されている。該テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体は、架橋反応性に優れ、その架橋物の耐熱性、耐薬品性、圧縮永久歪特性等が優れるとされている。
国際公開第2007/119834号 国際公開第2009/119202号 国際公開第2010/053056号
特許文献1の技術では、耐アルカリ性、特に高温条件下での耐アルカリ性は充分ではない。
特許文献2の技術では、低温特性は依然として充分ではない。
よって本発明の第一の目的は、架橋反応性が高く、耐熱性、圧縮永久歪特性および耐アルカリ性に優れた架橋物が得られるエラストマー組成物を提供することにある。
本発明の第二の目的は、低温特性および耐アルカリ性に優れた架橋物が得られるエラストマー組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、水素原子の含有量が0.1質量%以下のパーフルオロエラストマー(b)とを含有し、
前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。
[2]前記パーフルオロエラストマー(b)が、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびCF=CF−O−R(式中、Rはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基である。)に基づく構成単位を有する[1]に記載のエラストマー組成物。
[3]ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、ヘキサフルオロプロピレンに基づく構成単位およびフッ化ビニリデンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(c)(ただし含フッ素弾性共重合体(a)を除く)とを含有し、
前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との質量比[(a)/(c)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。
[4]前記含フッ素弾性共重合体(a)が、下記式(I)、(II)または(III)で表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に基づく構成単位をさらに有する[1]〜[3]のいずれかに記載のエラストマー組成物。
CR=CR−R−CR=CR ・・・(I)
CR=CR10−OCO−R11−COO−CR12=CR1314・・・(II)
CR1516=CR17COOCH=CH ・・・(III)
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14およびR17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、RおよびR11はそれぞれ独立に、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のフルオロアルキレン基を示し、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
前記[1]のエラストマー組成物によれば、架橋反応性が高く、耐熱性、圧縮永久歪特性および耐アルカリ性に優れた架橋物が得られるエラストマー組成物を提供できる。
前記[3]のエラストマー組成物によれば、低温特性および耐アルカリ性に優れた架橋物が得られるエラストマー組成物を提供できる。
本明細書における下記の用語の意味は以下のとおりである。
「単量体」とは、重合性不飽和結合を有する化合物を意味する。重合性不飽和結合としては、炭素原子間の二重結合(C=C)、三重結合(C≡C)等が挙げられ、二重結合が好ましい。
「構成単位」とは、単量体が重合することによって形成された当該単量体に由来する単位を意味する。構成単位は、単量体の重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって当該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「重合体」とは、単独重合体と共重合体とを含む概念であり、単独重合体であっても共重合体であってもよい。
「含フッ素弾性共重合体」は、フッ素ゴムまたは含フッ素エラストマーとも称される、融点を持たない含フッ素共重合体である。
以下においては、テトラフルオロエチレンをTFE、ヘキサフルオロプロピレンをHFP、フッ化ビニリデンをVdF、クロロトリフルオロエチレンをCTFE、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)をPAVE、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)をPMVE、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)をPPVE、エチレンをE、プロピレンをP、と記す。
必須の構成単位としてTFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とを有し、必要に応じて他の構成単位をさらに有していてもよい共重合体を「TFE/P系共重合体」とも記す。必須の構成単位が異なる他の共重合体についても同様である。
TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とからなる共重合体を「TFE/P共重合体」とも記す。必須の構成単位が異なる他の共重合体についても同様である。
≪第一の態様のエラストマー組成物≫
本発明の第一の態様のエラストマー組成物(以下、「エラストマー組成物(1)」とも記す)は、以下の含フッ素弾性共重合体(a)とパーフルオロエラストマー(b)とを含有する。
<含フッ素弾性共重合体(a)>
含フッ素弾性共重合体(a)は、ヨウ素原子を有すると共に、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体である。
含フッ素弾性共重合体(a)中のヨウ素原子は、当該共重合体(高分子鎖)の末端にあってもよく、側基にあってもよく、それらの両方にあってもよい。架橋反応性の点で、少なくとも高分子鎖の末端にあることが好ましい。ここで、高分子鎖の末端とは、主鎖の末端及び分岐鎖の末端の両方を含む概念とする。
含フッ素弾性共重合体(a)中のヨウ素原子の含有量は、含フッ素弾性共重合体(a)の全質量に対し、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜2.0質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量%が最も好ましい。ヨウ素原子の含有量が前記範囲にあると、架橋反応性がより一層優れ、架橋物の機械的物性がより一層優れる。
含フッ素弾性共重合体(a)において、TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とのモル比[TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位]は、30/70〜99/1が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。この範囲にあると、架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性がより優れる。
TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位との合計量は、含フッ素弾性共重合体(a)を構成する全構成単位の合計に対し、99モル%以上が好ましい。
含フッ素弾性共重合体(a)は、必要に応じて、TFEおよびP以外の他の単量体に基づく構成単位をさらに有していてもよい。他の単量体としては、例えば、以下に示す単量体(m1)、単量体(m2)等が挙げられる。
単量体(m1)は、下記式(I)、(II)または(III)で表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体である。
単量体(m1)をTFEおよびPと共重合させると、重合中に単量体(m1)の両末端にある重合性二重結合が反応し、分岐鎖を有する含フッ素弾性共重合体が得られる。
含フッ素弾性共重合体(a)が単量体(m1)に基づく構成単位をさらに有するものであれば、架橋反応性、架橋物の引張強さ及び高温下での圧縮永久歪特性等の機械的物性がより優れる。
CR=CR−R−CR=CR ・・・(I)
CR=CR10−OCO−R11−COO−CR12=CR1314 ・・・(II)
CR1516=CR17COOCH=CH ・・・(III)
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14およびR17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、RおよびR11はそれぞれ独立に、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のフルオロアルキレン基を示し、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
前記式(I)で表される単量体としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基またはフルオロアルキレン基の両末端の各々に、エーテル性酸素を介在して、または介さずに、ビニル基、アリル基及びブテニル基から独立して選ばれる基が結合した化合物が挙げられる。エーテル性酸素が介在する場合の例として、ジビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ブテニルビニルエーテル、フルオロ(ジビニルエーテル)、フルオロ(アリルビニルエーテル)、フルオロ(ブテニルビニルエーテル)等が挙げられる。
前記式(I)においては、架橋反応性および耐熱性を高める観点から、R、R、R、R、RおよびRがそれぞれ独立にフッ素原子又は水素原子であることが好ましく、R、R、R、R、RおよびRの全てがフッ素原子であることがより好ましい。
のアルキレン基またはフルオロアルキレン基は、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよく、直鎖であることが好ましい。Rの炭素原子数は、2〜8が好ましく、3〜7がより好ましく、3〜6がさらに好ましく、3〜5が特に好ましい。Rにおけるエーテル性酸素原子の数は、0〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。これらの好適なRであると、架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性等の機械的物性がより優れる。
としては、耐熱性、ポリマー着色抑制の点から、フルオロアルキレン基が好ましく、パーフルオロアルキレン基が特に好ましい。
前記式(I)で表される単量体の好適な具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CH=CH(CFCH=CH等が挙げられる。
前記式(II)で表される単量体としては、ジビニルエステル、アリルビニルエステル、ブテニルビニルエステル等が挙げられる。
前記式(II)においては、R、R、R10、R12、R13およびR14が水素原子であることが好ましい。
11としては、Rと同様のものが挙げられる。炭素原子数の好ましい範囲も同様である。R11におけるエーテル性酸素原子の数は、0〜1個が好ましく、0個がより好ましい。
前記式(II)で表される単量体の好適な具体例としては、アジピン酸ジビニルが挙げられる。
前記式(III)においては、R16およびR17が水素原子であることが好ましい。
前記式(III)の好適な具体例としては、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニル等が挙げられ、クロトン酸ビニルが特に好ましい。
単量体(m1)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体(a)が単量体(m1)に基づく構成単位を有する場合、単量体(m1)に基づく構成単位の含有量は、含フッ素弾性共重合体(a)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、0.01〜2モル%が好ましく、0.01〜1モル%がより好ましく、0.01〜0.5モル%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると、架橋反応性が優れ、架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪等の機械的物性がより一層優れる。前記範囲の上限値以下であると、架橋物の上記優れた物性を維持しつつ、高温下で折り曲げ等の応力が加えられた場合の割れを確実に防ぐ又はより一層低減することができる。
単量体(m2)は、TFE、Pおよび単量体(m1)以外の単量体である。
単量体(m2)としては、TFEおよびPと共重合可能なものであればよく、例えばHFP、VdF、CTFE、PAVE、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロシクロブテン、(パーフルオロアルキル)エチレン類(例えばCH=CHCF、CH=CHCFCF、CH=CHCFCFCF、CH=CHCFCFCFCF、CH=CHCFCFCFCFCF等)等の含フッ素系単量体;E、イソブチレン、ペンテン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステル類等の非フッ素系単量体;等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、PAVEが好ましい。
PAVEとしては、例えばCF=CF−O−R(式中、Rはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基である。)が挙げられる。
のパーフルオロアルキル基は、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。パーフルオロアルキル基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい。
パーフルオロアルキル基がエーテル性酸素原子を有する場合、パーフルオロアルキル基が有するエーテル性酸素原子の数は1つでもよく2つ以上でもよい。エーテル性酸素原子とは、炭素原子−炭素原子間に存在する酸素原子(−O−)である。したがって、Rのパーフルオロアルキル基がエーテル性酸素原子を有する場合、前記のRの炭素原子数の各範囲の下限は2となる。
PAVEの具体例としては、PMVE、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、PPVE、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−1−ヘプテン)、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−1−オクテン)、パーフルオロ(5−メチル−3,6−ジオキサ−1−ノネン)等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記の中でもPMVEが好ましい。
単量体(m2)として、ヨウ素原子を有する単量体を使用してもよい。ヨウ素原子を有する単量体を共重合させると、含フッ素弾性共重合体(a)の側基にヨウ素原子が導入される。
ヨウ素原子を有する単量体としては、例えばヨードエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−ビニロキシエタン、2−ヨードエチルビニルエーテル、アリルヨージド、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニロキシ)プロパン、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、2−ヨードパーフルオロ(エチルビニルエーテル)等が挙げられる。
単量体(m2)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体(a)が単量体(m2)に基づく構成単位を有する場合、単量体(m2)に基づく構成単位の含有量は、含フッ素弾性共重合体(a)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、0.001〜2.0モル%が好ましく、0.01〜1.0モル%がより好ましく、0.01〜0.5モル%が特に好ましい。
含フッ素弾性共重合体(a)としては、下記(X1)〜(X8)のいずれかの組み合わせの構成単位からなる共重合体が好ましい。これらの共重合体はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体(a)の架橋反応性が優れ、さらに架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性がより優れることから、(X1)、(X2)、(X4)、(X5)、(X6)、(X8)がより好ましく、(X1)、(X5)がさらに好ましく、(X8)が特に好ましい。
(X1):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位との組み合わせ。
(X2):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、VdFに基づく構成単位との組み合わせ。
(X3):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、PPVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X4):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、PMVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X5):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位の組み合わせ。
(X6):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位と、VdFに基づく構成単位との組み合わせ。
(X7):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位と、PPVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X8):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位と、PMVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X1)〜(X8)における共重合組成は下記のモル比であることが好ましい。下記のモル比であると、共重合体の架橋反応性がより一層優れ、さらに架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性が優れる。
(X1):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位=40/60〜60/40(モル比)。
(X2):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位=40〜59/59〜40/1〜10(モル比)。
(X3):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/PPVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/10〜40(モル比)。
(X4):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/PMVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/10〜40(モル比)。
(X5):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3(モル比)。
(X6):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3/1〜10(モル比)。
(X7):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位/PPVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3/10〜40(モル比)。
(X8):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位/PMVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3/10〜40(モル比)。
含フッ素弾性共重合体(a)のムーニー粘度は、10〜200が好ましく、20〜180がより好ましく、30〜170がさらに好ましい。ムーニー粘度は、分子量の目安であり、大きいと分子量が大きく、小さいと分子量が小さいことを示す。ムーニー粘度が前記範囲にあれば、含フッ素弾性共重合体の加工性および架橋物の機械的物性が良好となる。
ムーニー粘度は、JIS K6300−1:2013に準じて測定される値である。
含フッ素弾性共重合体(a)の貯蔵せん断弾性率G’は、100kPa〜600kPaが好ましく、200kPa〜500kPaがより好ましく、200kPa〜400kPaがさらに好ましい。貯蔵せん断弾性率G’が大きい方が、重合体の分子量が大きく、分子鎖の絡み合いの密度も高いことを示す。
貯蔵せん断弾性率G’は、ASTM D5289およびD6204に従い、温度100℃、振幅0.5度、振動数50回/分で測定される値である。
含フッ素弾性共重合体(a)のガラス転移温度(以下、Tgという。)は、5℃以下が好ましく、−10〜5℃がより好ましく、−10〜0℃がさらに好ましい。Tgが前記上限値以下であれば、低温特性がより優れる。
Tgは、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
含フッ素弾性共重合体(a)は、例えば、ラジカル重合開始剤および式RI(式中、Rは炭素原子数3以上のアルキレン基又はパーフルオロアルキレン基である。)で表されるヨード化合物の存在下、TFEと、Pと、必要に応じて単量体(m1)および単量体(m2)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを共重合する製造方法により製造できる。
前記ヨード化合物は、連鎖移動剤として機能するため、前記ヨード化合物の存在下で各単量体を共重合させると、含フッ素弾性共重合体の主鎖末端にヨウ素原子を結合させることができる。また、単量体(m1)を共重合させる場合、分岐鎖を有する含フッ素弾性共重合体が得られるが、この分岐鎖末端にも同様にヨウ素原子を結合させることができる。したがって、ヨウ素原子を有する高分子鎖末端は、主鎖末端であってもよいし、分岐鎖末端であってもよい。
上記製造方法による含フッ素弾性共重合体(a)の製造は、国際公開第2009/119202号、国際公開第2010/053056号等に開示されている方法を利用して行うことができる。
<パーフルオロエラストマー(b)>
パーフルオロエラストマー(b)は、水素原子の含有量が0.1質量%以下のパーフルオロエラストマーである。
パーフルオロエラストマー(b)としては、例えば、TFEに基づく構成単位およびPAVEに基づく構成単位を有する弾性共重合体(以下、「パーフルオロエラストマー(b1)」とも記す。)が挙げられる。
PAVEとしては、架橋物の機械的特性、耐熱性の点で、CF=CF−O−R(式中、Rはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基である。)が好ましい。すなわちパーフルオロエラストマー(b1)としては、TFEに基づく構成単位およびCF=CF−O−Rに基づく構成単位を有する弾性共重合体が好ましい。
CF=CF−O−Rとしては、前記単量体(m2)で挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
パーフルオロエラストマー(b1)において、TFEに基づく構成単位とPAVEに基づく構成単位とのモル比[TFEに基づく構成単位/PAVEに基づく構成単位]は、40/60〜90/10が好ましく、50/50〜80/20がより好ましい。該モル比がこの範囲にあると、パーフルオロエラストマー(b1)が充分な弾性を有するものとなる。
TFEに基づく構成単位とPAVEに基づく構成単位との合計量は、パーフルオロエラストマー(b1)を構成する全構成単位の合計に対し、99モル%以上が好ましい。
パーフルオロエラストマー(b1)は、必要に応じて、TFEおよびPAVE以外の他の単量体に基づく構成単位をさらに有していてもよい。他の単量体としては、例えば、以下の単量体(m3)、単量体(m4)等が挙げられる。
単量体(m3)は、重合性不飽和結合を2つ以上有する多官能のパーフルオロ単量体である。単量体(m3)をTFEおよびPAVEとともにラジカル共重合させると、単量体(m3)の2個以上の重合性不飽和結合がそれぞれ反応することで、高分子鎖中に複数の分岐点が形成される。
単量体(m3)中、重合性不飽和結合の数は、2〜6個が好ましく、2または3個がより好ましく、2個が最も好ましい。
単量体(m3)に含まれる2個以上の重合性不飽和結合は、いずれも、ラジカル共重合における反応性が同等であることが好ましい。これにより、TFEおよびPAVEとともに単量体(m3)をラジカル共重合させる際、単量体(m3)に含まれる各重合性不飽和結合が良好に反応し、最終的に得られるパーフルオロエラストマー中における重合性不飽和結合の残留量が少なくなる。該残留量が少ないほど、本発明の効果に優れる。
ラジカル共重合における反応性が同等であるかどうかはその構造から判断でき、例えばその構造(不飽和結合を構成する炭素原子に結合している他の原子または基、分子末端から当該不飽和結合までの距離等)が同じであれば、同等の反応性を有するといえる。
単量体(m3)は、前記重合性不飽和結合を末端に含む基を2個以上有することが好ましい。該重合性不飽和結合を末端に含む基としては、CF=CF−O−、CF=CF−が好ましく、特に、ラジカル共重合における反応性に優れることから、CF=CF−O−が好ましい。
単量体(m3)の好ましい例として、式Rf1((O)CF=CF(式中、aは0または1を示し、bは2〜6の整数を示し、Rf1は、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素原子数1〜25のb価のパーフルオロ飽和炭化水素基を示す。)で表される化合物が挙げられる。
式中、aは1であることが好ましい。
bは2または3であることが好ましく、2が最も好ましい。
f1におけるパーフルオロ飽和炭化水素基としては、炭素原子数1〜25のパーフルオロアルカンからb個のフッ素原子を除いた基が挙げられ、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。その炭素原子数は2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
前記パーフルオロ飽和炭化水素基は、エーテル性酸素原子を有していてもよい。この場合、該パーフルオロ飽和炭化水素基中に含まれるエーテル性酸素原子の数は1であってもよく2以上であってもよい。
単量体(m3)としては、前記式中のaが1であり、bが2である化合物が好ましい。すなわち、CF=CFORf1OCF=CFが好ましい。
CF=CFORf1OCF=CFとしては、CF=CFO(CFOCF=CF(式中、cは1〜10の整数を示す。)、CF=CFO[(CFO](CFXCFO)CF=CF(式中、dは1〜10の整数、fは0〜5の整数、eは1〜5の整数を示し、XはFまたはCFを示す。)、およびCF=CFO(CFCFXO)[(CFO](CFXCFO)CF=CF(式中、gは0〜5の整数、hは0〜10の整数、kは0または1(hが0の場合はkも0)、iは1〜5の整数を示し、XおよびXはそれぞれ独立にFまたはCFを示す。)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
CF=CFO(CFOCF=CFの具体例としては、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF等が挙げられる。
CF=CFO[(CFO](CFXCFO)CF=CFの具体例としては、CF=CFO(CFOCF(CF)CFOCF=CF、CF=CFO(CFO(CF(CF)CFO)CF=CF、CF=CFOCFO(CFCFO)CF=CF、CF=CFO(CFO)O(CF(CF)CFO)CF=CF等が挙げられる。
CF=CFO(CFCFXO)[(CFO](CFXCFO)CF=CFの具体例としては、CF=CFOCFCF(CF)O(CFOCF(CF)CFOCF=CF、CF=CFOCFCFO(CFO)CFCFOCF=CFが挙げられる。
これらの中でも、CF=CFO(CFOCF=CFが好ましく、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CFが特に好ましい。
単量体(m3)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
パーフルオロエラストマー(b1)が単量体(m3)に基づく構成単位を有する場合、単量体(m3)の含有量は、TFEに基づく構成単位およびPAVEに基づく構成単位の合計(100モル%)に対し、0.01〜1モル%が好ましく、0.05〜0.5モル%が好ましく、0.05〜0.3モル%がより好ましい。この含有量が前記範囲内であると、架橋反応性がより高まる。また、得られる架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性等も良好である。
単量体(m4)は、TFE、PAVEおよび単量体(m3)以外の他の単量体である。
単量体(m4)としては、例えば、重合性不飽和結合を1つ有する単官能のパーフルオロ単量体(ただしTFEおよびPAVEを除く)、ヨウ素原子および/または臭素原子を有する単量体、水素原子を有する単量体(ただしヨウ素原子および/または臭素原子を有する単量体を除く)等が挙げられる。
前記単官能のパーフルオロ単量体としては、前記重合性不飽和結合を末端に含む基を有するものが好ましい。前記重合性不飽和結合を末端に含む基としては、CF=CF−O−、CF=CF−が好ましく、特に、ラジカル共重合における反応性に優れることから、CF=CF−O−が好ましい。
前記単官能のパーフルオロ単量体の好ましい具体例としては、CF=CF−Rf2(式中、Rf2は、エーテル性酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるパーフルオロアルケンが挙げられる。
f2におけるパーフルオロアルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜3が最も好ましい。該パーフルオロアルキル基がエーテル性酸素原子を有している場合、該パーフルオロアルキル基中に含まれるエーテル性酸素原子の数は1であってもよく2以上であってもよい。
エーテル性酸素原子を有するパーフルオロアルキル基としては、例えば、−(CFCFXO)f3(式中、XはFまたはCFを示し、yは1〜5の整数を示し、Rf3は炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基を示す。)が挙げられる。
前記ヨウ素原子および/または臭素原子を有する単量体としては、例えば、CF=CFBr、CH=CHCFCFBr、CF=CF−O−CFCF−I、CF=CF−O−CFCF−Br、CF=CF−O−CFCFCH−I、CF=CF−O−CFCFCH−Br、CF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFCH−I、CF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFCH−Br等が挙げられる。
前記水素原子を有する単量体としては、例えば、CF=CF−O−CHCF、CF=CF−O−CHCFCFCF、CF=CF−O−CH(CFCFH等の部分フッ素化単量体が挙げられる。
ただし、前記水素原子を有する単量体に基づく構成単位の含有量は、パーフルオロエラストマー(b)中の水素原子が0.1質量%以下となる範囲内である。
パーフルオロエラストマー(b)中の水素原子の含有量は、パーフルオロエラストマー(b)の全質量に対し、0.1質量%以下であり、0.07質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましい。水素原子の含有量が前記上限値よりも多くなると、耐熱性、耐薬品性等のパーフルオロエラストマーの性能が低下する。
パーフルオロエラストマー(b)が水素原子を有する場合、パーフルオロエラストマー(b)中の水素原子は、高分子鎖の末端にあってもよく、側基にあってもよく、それらの両方にあってもよい。
高分子鎖の末端に水素原子を有するパーフルオロエラストマーは、例えば、TFE、PAVE等の単量体を共重合する際に、水素原子を含む連鎖移動剤を用いることで得られる。高分子鎖の側基に水素原子を有するパーフルオロエラストマーは、例えば、前述の水素原子を有する単量体を共重合することで得られる。
水素原子を含む連鎖移動剤としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の鎖状または環状の飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等のメルカプタン類等が挙げられる。
パーフルオロエラストマー(b)は、ヨウ素原子および/または臭素原子を有することが好ましく、ヨウ素原子を有することが特に好ましい。
パーフルオロエラストマー(b)中のヨウ素原子および/または臭素原子の含有量は、特に限定されないが、パーフルオロエラストマー(b)の全質量に対し、0.1〜1.5質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましく、0.2〜1.0質量%が特に好ましい。この範囲にあると、ゴム物性と圧縮永久歪み特性に優れた架橋物を与えるエラストマー組成物が得られる。
パーフルオロエラストマー(b)がヨウ素原子および/または臭素原子を有する場合、パーフルオロエラストマー(b)中のヨウ素原子および/または臭素原子は、高分子鎖の末端にあってもよく、側基にあってもよく、それらの両方にあってもよい。架橋反応性の点で、少なくとも高分子鎖の末端にあることが好ましい。
高分子鎖の末端にヨウ素原子および/または臭素原子を有するパーフルオロエラストマーは、例えば、TFE、PAVE等の単量体を共重合する際に、ヨウ素原子および/または臭素原子を含む連鎖移動剤を用いることで得られる。高分子鎖の側基に水素原子を有するパーフルオロエラストマーは、例えば、前述のヨウ素原子および/または臭素原子を有する単量体を共重合することで得られる。
ヨウ素原子および/または臭素原子を含む連鎖移動剤としては、例えば前記の式RI(式中、Rは炭素原子数3以上のアルキレン基又はパーフルオロアルキレン基である。)で表されるヨード化合物が挙げられる。
パーフルオロエラストマー(b)としては、TFEに基づく構成単位およびCF=CF−O−Rに基づく構成単位を有する弾性共重合体が好ましく、下記(Y1)〜(Y2)のいずれかの組み合わせの構成単位からなる共重合体がより好ましい。
(Y1):TFEに基づく構成単位と、CF=CF−O−Rに基づく構成単位との組み合わせ。
(Y2):TFEに基づく構成単位と、CF=CF−O−Rに基づく構成単位と、CF=CFORf1OCF=CFに基づく構成単位との組み合わせ。
(Y1)〜(Y2)における共重合組成は下記のモル比であることが好ましい。
(Y1):TFEに基づく構成単位/CF=CF−O−Rに基づく構成単位=40/60〜80/20(モル比)。
(Y2):TFEに基づく構成単位/CF=CF−O−Rに基づく構成単位/CF=CFORf1OCF=CFに基づく構成単位=40〜80/20〜60/20〜60(モル比)。
パーフルオロエラストマー(b)のムーニー粘度は、1〜100が好ましく、5〜90がより好ましく、5〜80がさらに好ましく、5以上70未満が特に好ましい。ムーニー粘度がこの範囲にあると、加工性、架橋物の機械的物性等が良好である。
パーフルオロエラストマー(b)の貯蔵せん断弾性率G’は、50〜700kPaであることが好ましく、100〜650kPaであることがより好ましい。貯蔵せん断弾性率G’がこの範囲内であると、加工性、架橋物の機械的物性等が良好である。
パーフルオロエラストマー(b)のTgは、15℃以下が好ましく、−50〜10℃がより好ましく、−50〜0℃がさらに好ましく、−50〜−3℃が特に好ましい。Tgが前記上限値以下であれば、低温特性がより優れる。
パーフルオロエラストマー(b)は、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、TFEと、PAVEと、必要に応じて単量体(m3)および単量体(m4)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを共重合する製造方法により製造できる。
共重合は、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。連鎖移動剤としては、ヨウ素原子および/または臭素原子を有するものが好ましい。
上記製造方法によるパーフルオロエラストマー(b)の製造は、国際公開第2007/119834号、国際公開第2010/082633号等に開示されている方法を利用して行うことができる。
<他の成分>
エラストマー組成物(1)は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記含フッ素弾性共重合体(a)および前記パーフルオロエラストマー(b)以外の他の成分をさらに含有してもよい。
他の成分としては、例えば、前記含フッ素弾性共重合体(a)および前記パーフルオロエラストマー(b)以外の他のエラストマー、添加剤等が挙げられる。
他のエラストマーとしては、例えば、TFEに基づく構成単位およびP基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有しない含フッ素弾性共重合体、HFPに基づく構成単位およびVdFに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(後述する含フッ素弾性共重合体(c)等が挙げられる。
添加剤としては、公知の添加剤を用いることができ、例えば有機過酸化物、架橋助剤、金属酸化物、着色顔料、充填剤、補強剤等が挙げられる。
有機過酸化物は、エラストマー組成物(1)を架橋物とするために用いられる。
有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシソプロピルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、ジアルキルパーオキシド類が好ましい。
ジアルキルパーオキシド類としては、例えば、ジtert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
架橋助剤は、エラストマー組成物(1)を有機過酸化物で架橋して架橋物とする際の架橋反応性をさらに高めるために用いられる。
架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリアリルトリメリテート、m−フェニレンジアミンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラアリルテレフタールアミド、ビニル基含有シロキサンオリゴマー(ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン等)等が挙げられる。これらのうち、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレートがより好ましい。
金属酸化物は、架橋反応促進のために用いられる。
金属酸化物としては、2価金属の酸化物が好ましい。2価金属の酸化物としては、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等が挙げられる。
充填剤または補強剤としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン、二酸化珪素、クレー、タルク、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、四フッ化エチレン/エチレン共重合体、四フッ化エチレン/フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
<配合比>
エラストマー組成物(1)において、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との質量比[(a)/(b)]は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、70/30〜30/70がより好ましい。含フッ素弾性共重合体(a)の配合比が前記範囲の下限値以上であれば、架橋反応性、架橋物の圧縮永久歪特性および耐アルカリ性が優れる。パーフルオロエラストマー(b)の配合比が前記範囲の下限値以上であれば、架橋物の耐熱性が優れる。
他のエラストマーの含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との合計100質量部に対して、0〜50質量部が好ましい。
エラストマー組成物(1)が有機過酸化物を含有する場合、有機過酸化物の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との合計100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。有機過酸化物の含有量が上記範囲にあると、架橋速度が適切で、得られた架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性がより優れる。
エラストマー組成物(1)が架橋助剤を含有する場合、架橋助剤の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との合計100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。架橋助剤の含有量が上記範囲にあると、架橋速度が適切で、得られた架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性がより優れる。
エラストマー組成物(1)が金属酸化物を含有する場合、金属酸化物の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
<製造方法>
エラストマー組成物(1)は、含フッ素弾性共重合体(a)と、パーフルオロエラストマー(b)と、必要に応じて他の成分を混合することにより製造できる。
各成分の混合は、例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機等の公知の混練装置を用いて行うことができる。
<用途>
エラストマー組成物(1)は、架橋させて架橋物とすることができる。
エラストマー組成物(1)の架橋方法としては、例えばエラストマー組成物(1)を加熱する方法、エラストマー組成物(1)に放射線を照射する方法等が挙げられる。加熱により架橋させる方法の具体例としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋等が挙げられる。照射する放射線としては、電子線、紫外線等が挙げられる。電子線照射における照射量は、0.1〜30Mradが好ましく、1〜20Mradがより好ましい。架橋方法は、架橋物の形状や用途を考慮して適宜選択すればよい。
エラストマー組成物(1)を加熱により架橋させる場合、エラストマー組成物(1)は、有機過酸化物を含有することが好ましい。放射線照射により架橋する場合には、エラストマー組成物(1)は有機過酸化物を含有しない組成物であってもよい。
架橋物の製造方法の一例として、エラストマー組成物(1)の成形および一次架橋を行って成形体を得て、次いで二次架橋を行って架橋物を得る方法が挙げられる。二次架橋は必須ではないが、二次架橋を行うことにより、架橋物の機械特性、圧縮永久歪、その他の特性を安定化したり、向上させたりすることができる。
エラストマー組成物(1)の成形方法としては、圧縮成形法、射出成形法、押し出し成形法、カレンダー成形法、又は溶剤に溶かしてディッピング、コーティングして成形する方法等が挙げられる。
エラストマー組成物(1)の一次架橋方法としては、前記で挙げた架橋方法が挙げられる。一次架橋を加熱により行う場合、その加熱条件は、100〜400℃で数秒〜24時間の範囲が好ましい。
エラストマー組成物(1)を成形した後に一次架橋させてもよく、エラストマー組成物(1)を架橋させた後に成形してもよい。エラストマー組成物(1)を加熱プレスする方法によって、エラストマー組成物(1)を成形すると同時に架橋することもできる。
二次架橋方法としては、前記で挙げた架橋方法が挙げられる。二次架橋を加熱により行う場合、その加熱条件は、100〜300℃で30分間〜48時間程度が好ましい。
<作用効果>
エラストマー組成物(1)は、ヨウ素原子を有すると共に、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、水素原子の含有量が0.1質量%以下のパーフルオロエラストマー(b)とを含有し、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であることから、架橋反応性に優れる。また、その架橋物の耐熱性、圧縮永久歪特性および耐アルカリ性が優れる。
また、パーフルオロエラストマー(b)は、性能に優れるものの比較的高価である。含フッ素弾性共重合体(a)を併用することで、パーフルオロエラストマー(b)の優れた特性を保ちつつ、コストを低減できる。
≪第二の態様のエラストマー組成物≫
本発明の第二の態様のエラストマー組成物(以下、「エラストマー組成物(2)」とも記す)は、以下の含フッ素弾性共重合体(a)と含フッ素弾性共重合体(c)とを含有する。
<含フッ素弾性共重合体(a)>
含フッ素弾性共重合体(a)は、エラストマー組成物(1)における含フッ素弾性共重合体(a)と同じであり、好ましい態様も同じである。
<含フッ素弾性共重合体(c)>
含フッ素弾性共重合体(c)は、HFPに基づく構成単位およびVdFに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(ただし含フッ素弾性共重合体(a)を除く)である。
なお、含フッ素弾性共重合体(c)は、典型的には、Pに基づく構成単位を有しておらず、この点で含フッ素弾性共重合体(a)と区別される。
含フッ素弾性共重合体(c)において、HFPに基づく構成単位とVdFに基づく構成単位とのモル比[HFPに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位]は、15/85〜50/50が好ましく、20/80〜60/40がより好ましく、25/75〜65/35がさらに好ましい。この範囲にあると、架橋物の機械的特性がより優れる。
HFPに基づく構成単位とVdFに基づく構成単位との合計量は、含フッ素弾性共重合体(c)を構成する全構成単位の合計に対し、99モル%以上が好ましい。
含フッ素弾性共重合体(c)は、必要に応じて、HFPおよびVdF以外の他の単量体(m5)に基づく構成単位をさらに有していてもよい。
単量体(m5)としては、HFPおよびVdFと共重合可能なものであればよく、例えばTFE、CTFE、PAVE、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロシクロブテン、(パーフルオロアルキル)エチレン類(例えばCH=CHCF、CH=CHCFCF、CH=CHCFCFCF、CH=CHCFCFCFCF、CH=CHCFCFCFCFCF等)等の含フッ素系単量体;E、イソブチレン、ペンテン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステル類等の非フッ素系単量体;等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。PAVEとしては、前記単量体(m2)で挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
単量体(m5)としては、上記のなかでも、TFEが好ましい。
単量体(m5)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体(c)が単量体(m5)に基づく構成単位を有する場合、単量体(m5)に基づく構成単位の含有量は、含フッ素弾性共重合体(c)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、0.01〜10モル%が好ましく、0.01〜5モル%がより好ましく、0.01〜1モル%が特に好ましい。
含フッ素弾性共重合体(c)としては、下記(Z1)〜(Z2)のいずれかの組み合わせの構成単位からなる共重合体が好ましい。
(Z1):HFPに基づく構成単位と、VdFに基づく構成単位との組み合わせ。
(Z2):HFPに基づく構成単位と、VdFに基づく構成単位と、TFEに基づく構成単位との組み合わせ。
(Z1)〜(Z2)における共重合組成は下記のモル比であることが好ましい。
(Z1): HFPに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位=15/85〜50/50(モル比)。
(Z2):HFPに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位/TFEに基づく構成単位=20〜30/50〜70/5〜15(モル比)。
含フッ素弾性共重合体(c)のムーニー粘度は、10〜200が好ましく、20〜180がより好ましく、30〜170がさらに好ましい。ムーニー粘度がこの範囲にあると、加工性、架橋物の機械的物性等が良好である。
含フッ素弾性共重合体(c)の貯蔵せん断弾性率G’は、100〜600kPaが好ましく、100〜500kPaがより好ましく、100〜400kPaがさらに好ましい。貯蔵せん断弾性率G’がこの範囲内であると、加工性、架橋物の機械的物性等が良好である。
含フッ素弾性共重合体(c)のTgは、15℃以下が好ましく、−50〜10℃がより好ましく、−50〜0℃がさらに好ましく、−50〜−3℃が特に好ましい。Tgが前記上限値以下であれば、低温特性がより優れる。
含フッ素弾性共重合体(c)としては、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
含フッ素弾性共重合体(c)は、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、HFPと、VdFと、必要に応じて単量体(m5)とを共重合する製造方法により製造できる。共重合は、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。
<他の成分>
エラストマー組成物(2)は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記含フッ素弾性共重合体(a)および前記含フッ素弾性共重合体(c)以外の他の成分をさらに含有してもよい。
他の成分としては、例えば、前記含フッ素弾性共重合体(a)および前記含フッ素弾性共重合体(c)以外の他のエラストマー、添加剤等が挙げられる。
他のエラストマーとしては、例えば、TFEに基づく構成単位およびP基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有しない含フッ素弾性共重合体、前述のパーフルオロエラストマー(b)等が挙げられる。
添加剤としては、公知の添加剤を用いることができ、例えば有機過酸化物、架橋助剤、金属酸化物、着色顔料、充填剤、補強剤等が挙げられる。これらの添加剤の具体例はエラストマー組成物(1)で挙げたものと同様であり、好ましい態様も同様である。
<配合比>
エラストマー組成物(2)において、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との質量比[(a)/(c)]は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、70/30〜30/70がより好ましい。含フッ素弾性共重合体(a)の配合比が前記範囲の下限値以上であれば、架橋物の耐アルカリ性が優れる。含フッ素弾性共重合体(c)の配合比が前記範囲の下限値以上であれば、架橋物の低温特性が優れる。
他のエラストマーの含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との合計100質量部に対して、0〜50質量部が好ましい。
エラストマー組成物(2)が有機過酸化物を含有する場合、有機過酸化物の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との合計100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。有機過酸化物の含有量が上記範囲にあると、架橋速度が適切で、得られた架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性がより優れる。
エラストマー組成物(2)が架橋助剤を含有する場合、架橋助剤の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との合計100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。架橋助剤の含有量が上記範囲にあると、架橋速度が適切で、得られた架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性がより優れる。
エラストマー組成物(2)が金属酸化物を含有する場合、金属酸化物の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
<製造方法>
エラストマー組成物(2)は、含フッ素弾性共重合体(a)と、含フッ素弾性共重合体(c)と、必要に応じて他の成分を混合することにより製造できる。
各成分の混合は、例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機等の公知の混練装置を用いて行うことができる。
<用途>
エラストマー組成物(2)は、架橋させて架橋物とすることができる。
エラストマー組成物(2)の架橋方法としては、エラストマー組成物(1)の架橋方法と同様の方法が挙げられ、好ましい態様も同様である。
<作用効果>
エラストマー組成物(2)は、ヨウ素原子を有すると共に、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、HFPに基づく構成単位およびVdFに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(c)とを含有し、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との質量比[(a)/(c)]が1/99〜99/1であることから、その架橋物の低温特性および耐アルカリ性が優れる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されない。下記の方法により含フッ素弾性共重合体の各物性を測定した。
・含フッ素弾性共重合体の共重合組成:
含フッ素弾性共重合体の共重合組成(各構成単位のモル比)は、19F−核磁気共鳴(NMR)分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析により求めた。
・含フッ素弾性共重合体のヨウ素含有量:
含フッ素弾性共重合体中のヨウ素含有量は、ダイアインスツルメンツ社製の自動試料燃焼装置イオンクロマトグラフ用前処理装置AQF−100型とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置で定量した。
・含フッ素弾性共重合体の貯蔵せん断弾性率G’:
Alpha Technologies社製RPA2000を用いて、ASTM D5289およびD6204に従い、温度100℃、振幅0.5度、振動数50回/分で測定した値を貯蔵せん断弾性率G’とした。
・含フッ素弾性共重合体のムーニー粘度:
含フッ素弾性共重合体のムーニー粘度は、JIS K6300−1:2013に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分間、ローター回転時間を4分間に設定して測定した。
・含フッ素弾性共重合体のガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製DSC220型)を用いて、10±0.1mgの含フッ素弾性共重合体を−50℃から10℃/分で150℃まで昇温させ、10℃/分で−50℃まで冷却させた際の吸熱ピーク変化の中心温度をガラス転移温度とした。
後述の各例で用いた含フッ素弾性共重合体を以下に示す。
各含フッ素弾性共重合体における単量体の略称は以下のものを示す。
TFE:テトラフルオロエチレン。
P:プロピレン。
C4DVE:CF=CFO(CFOCF=CF
C3DVE:CF=CFO(CFOCF=CF
HFP:ヘキサフルオロプロピレン。
VdF:フッ化ビニリデン。
(含フッ素弾性共重合体(a))
・含フッ素弾性共重合体A:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/P共重合体。TFE/P=56/44(モル比)、ヨウ素含有量0.3質量%、ムーニー粘度80、Tg−3℃。国際公開第2009/119202号の実施例1に従って合成した合成品。
・含フッ素弾性共重合体B:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/P/C4DVE共重合体。TFE/P/C4DVE=56/43.8/0.2(モル比)、ヨウ素含有量0.5質量%、ムーニー粘度95、Tg−3℃。下記の製造例1で合成した合成品。
・含フッ素弾性共重合体C:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/P/C3DVE共重合体。TFE/P/C3DVE=56/43.8/0.2(モル比)、ヨウ素含有量0.5質量%、ムーニー粘度95、Tg−3℃。下記の製造例2で合成した合成品。
(含フッ素弾性共重合体(c))
・含フッ素弾性共重合体D:
HFP/VdF共重合体。ムーニー粘度66、Tg−20.0℃、フッ素含有率66質量%。
・含フッ素弾性共重合体E:
HFP/VdF/TFE共重合体。ムーニー粘度80、Tg−14.0℃、フッ素含有率69質量%。
(パーフルオロエラストマー(b))
・含フッ素弾性共重合体F:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/PMVE共重合体。TFE/PMVE=69.0/31.0(モル比)、ヨウ素含有量0.2質量%、貯蔵せん断弾性率G’540kPa。国際公開第2010/082633号の比較例1に従って合成した合成品。
・含フッ素弾性共重合体G:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/PMVE/C4DVE共重合体。TFE/PMVE/C4DVE=76.0/24.0/0.1(モル比)、ヨウ素含有量0.3質量%、貯蔵せん断弾性率G’614kPa。国際公開第2010/082633号の実施例1に従って合成した合成品。
(その他)
・含フッ素弾性共重合体H:
ヨウ素原子を有しないTFE/P共重合体。TFE/P=56/44(モル比)。下記の製造例3で合成した合成品。
(製造例1)
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、イオン交換水の1500g、リン酸水素二ナトリウム12水和物の59g、水酸化ナトリウムの0.7g、tert−ブタノールの197g、ラウリル硫酸ナトリウムの9g、1,4−ジヨードパーフルオロブタンの9g、C4DVEの11.2gおよび過硫酸アンモニウムの6gを加えた。さらに、100gのイオン交換水に0.4gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(以下、EDTAと記す。)および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、25℃で、TFE/P=88/12(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した(Gはゲージ圧であることを示す)。アンカー翼を300rpmで回転させ、その後、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットと記す。)の2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット2.5質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
TFE/Pの単量体混合ガスの圧入量の総量が1000gとなった時点で、ロンガリット2.5質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素弾性共重合体Bのラテックスを得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の添加量は68gであった。重合時間は6時間であった。
上記ラテックスに塩化カルシウムの5質量%水溶液を添加して、含フッ素弾性共重合体Bのラテックスを凝集し、含フッ素弾性共重合体Bを析出させた。含フッ素弾性共重合体Bをろ過により回収し、イオン交換水により洗浄して、白色の含フッ素弾性共重合体Bの980gを得た。
(製造例2)
C4DVEを、C3DVEの9.8gに変更した以外は実施例1と同様にして、含フッ素弾性共重合体Cを得た。
(製造例3)
国際公開第2009/119202号の比較例2に従って、ヨウ素原子を有しないTFE/P共重合体(TFE/P=56/44(モル比))を得た。このTFE/P共重合体を、300℃のオーブンを用いて15時間熱処理して含フッ素弾性共重合体Hを得た。
得られた含フッ素弾性共重合体Hについて、特許第5109150号公報に記載の測定方法に従い、赤外吸収スペクトルを測定した。該赤外吸収スペクトルは、1640〜1700cm−1に吸収ピークを有していた。この吸収ピークは、炭素−炭素不飽和結合に帰属される。熱処理前にはこの吸収ピークは観測されず、熱処理により炭素−炭素不飽和結合が形成されたことが確認された。炭素−炭素不飽和結合は、ヨウ素原子と同様に、架橋反応性を高めるものとされている。
(実施例1)
含フッ素弾性共重合体Aの50質量部、含フッ素弾性共重合体Dの50質量部、カーボンブラックの30質量部、トリアリルイソシアヌレートの5質量部、および1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製、商品名「パーカドックス14」)の1質量部を2本ロールにより、室温下にて10分間混練し、エラストマー組成物を得た。
得られたエラストマー組成物について、以下の手順で耐アルカリ性および低温特性を評価した。結果を表1に示す。
[耐アルカリ性]
上記エラストマー組成物をプレス成型して、評価用のサンプル(13mm×13mm、厚さ1mmの架橋物)を作製した。
上記サンプルを、サンプル瓶中で20%NaOH水溶液に浸漬させ、100℃で180時間保持した後取り出し、体積測定および目視での観察を行った。体積測定結果から、浸漬前後での体積変化率を算出した。これらの結果から、以下の基準で耐アルカリ性を評価した。
◎:体積変化率≦5%。
○:5%<体積変化率≦40%。
×:サンプルに着色、膨潤、及び収縮のいずれかの変化が見られた。
[低温特性]
JIS K6261(2006年)に準じ、上記エラストマー組成物をプレス成型して作製した試験片について、低温弾性回復試験(TR試験)を行い、TR10を求めた。TR10は、収縮率が10%となる温度を示す。
求めたTR10から、以下の基準で低温特性を評価した。
◎:TR10≦−10℃。
○:−10℃<TR10≦−5℃。
×:−5℃<TR10。
(実施例2〜7、比較例1〜4)
配合する含フッ素弾性共重合体の種類および配合量(質量部)を表1〜2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、エラストマー組成物を得た。
得られたエラストマー組成物について、実施例1と同様にして、耐アルカリ性および低温特性を評価した。結果を表1〜2に示す。
Figure 2017193682
Figure 2017193682
上記の通り、実施例1〜7のエラストマー組成物の架橋物は、高温下での耐アルカリ性および低温特性に優れていた。
一方、エラストマーとして含フッ素弾性共重合体(a)を単独で用いた比較例1〜2のエラストマー組成物の架橋物は、低温特性に劣っていた。
エラストマーとして含フッ素弾性共重合体(c)を単独で用いた比較例3〜4のエラストマー組成物の架橋物は、高温下での耐アルカリ性に劣っていた。
(実施例8〜15、比較例5〜7)
配合する含フッ素弾性共重合体の種類および配合量(質量部)を表3〜4に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、エラストマー組成物を得た。
得られたエラストマー組成物について、実施例1と同様にして、耐アルカリ性を評価した。また、以下の手順で架橋特性(M−M、T90)、物性(引張強さ、切断時伸び、C/S)、耐熱性を評価した。結果を表3〜4に示す。
[架橋特性]
得られたエラストマー組成物について、架橋特性測定機(アルファーテクノロジーズ社製、商品名「RPA2000」)を用いて、170℃で12分間、振幅3度の条件にて架橋特性(M−M、T90)を測定した。
はトルクの最大値を示し、Mはトルクの最小値を示し、M−Mは架橋度を示す。M−Mはエラストマー組成物の架橋反応性の指標となり、M−Mの値が大きいほど、架橋反応性が優れることを示す。トルクの単位は、dN・mである。
90は、90%架橋時間であり、架橋特性測定中に示す最大トルクの90%に達するのに要する時間(分)を表す。T90が小さいほど、架橋が速いことを示す。
測定したM−MおよびT90を以下の基準で評価した。
「M−Mの評価基準」
◎:60dN・m≦M−M
○:30dN・m≦M−M<60dN・m。
△:M−M<30dN・m。
「T90の評価基準」
◎:T90<4分。
○:4分≦T90<6分。
△:6分≦T90
[物性]
上記エラストマー組成物を130℃×20分の条件で加熱成形して厚さ1mmのシート状の一次架橋物を得た。次いで、250℃×4時間の条件で二次架橋を実施し架橋物を得た。得られた架橋物を、JIS K6251(2004年)に準じ、4号ダンベル形状に打ち抜いて試験片を得て、上島製作所社製試験機(製品名:クイックリーダー)を用いて、室温で引張試験を行い引張強さおよび切断時の伸びを測定した。
別途、上記エラストマー組成物について、JIS K6262(1997年)に準じ、200℃で72時間の圧縮永久歪試験を行い、圧縮永久歪率(C/S)を測定した。
測定した引張強さ、伸びおよびC/Sを以下の基準で評価した。
「引張強さの評価基準」
◎:18MPa≦引張強さ。
○:10MPa≦引張強さ<18MPa。
△:引張強さ<10MPa。
「伸びの評価基準」
◎:300%≦伸び。
○:150%≦伸び<300%。
△:伸び<150%。
「C/Sの評価基準」
◎:C/S<15%。
○:15%≦C/S<40%。
△:40%≦C/S%。
[耐熱性]
上記物性の評価において作製した試験片に対し、JIS K6257(2003年)に準じ、270℃×168hrの条件で熱老化試験を行った。試験後、各試験片について、前記の手順で物性(引張強さ、切断時伸び、C/S)を測定した。
熱老化試験前後の引張強さ、切断時伸び、C/Sそれぞれの測定値から、各物性の変化率(%)を求めた。
変化率=|熱老化試験後の測定値−熱老化試験前の測定値|/熱老化試験前の測定値×100
測定した各物性の変化率を以下の基準で評価した。
「引張強さ変化率の評価基準」
◎:引張強さ変化率<10%。
○:10%≦引張強さ変化率<30%。
△:30%≦引張強さ変化率。
「伸び変化率の評価基準」
◎:伸び変化率<150。
○:150%≦伸び変化率<300%。
△:300%≦伸び変化率。
「C/S変化率の評価基準」
◎:C/S変化率<60%。
○:60%≦C/S変化率<80%。
△:80%≦C/S変化率。
Figure 2017193682
Figure 2017193682
上記の通り、実施例8〜15のエラストマー組成物は、架橋反応性に優れていた。また、その架橋物は、耐熱性、圧縮永久歪特性および高温下での耐アルカリ性に優れていた。
一方、エラストマーとして含フッ素弾性共重合体(a)を単独で用いた比較例5のエラストマー組成物の架橋物は、低温特性に劣っていた。
パーフルオロエラストマー(b)と、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有しない含フッ素弾性共重合体とを組み合わせた比較例6のエラストマー組成物は、T90が低く、架橋反応性に劣っていた。また、圧縮永久歪特性、引張強さおよびそれらの特性の耐熱性が劣っていた。
パーフルオロエラストマー(b)と含フッ素弾性共重合体(c)とを組み合わせた比較例7のエラストマー組成物は、高温下での耐アルカリ性に劣っていた。

Claims (4)

  1. ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、水素原子の含有量が0.1質量%以下のパーフルオロエラストマー(b)とを含有し、
    前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パーフルオロエラストマー(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。
  2. 前記パーフルオロエラストマー(b)が、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびCF=CF−O−R(式中、Rはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基である。)に基づく構成単位を有する請求項1に記載のエラストマー組成物。
  3. ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、ヘキサフルオロプロピレンに基づく構成単位およびフッ化ビニリデンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(c)(ただし含フッ素弾性共重合体(a)を除く)とを含有し、
    前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(c)との質量比[(a)/(c)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。
  4. 前記含フッ素弾性共重合体(a)が、下記式(I)、(II)または(III)で表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に基づく構成単位をさらに有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラストマー組成物。
    CR=CR−R−CR=CR ・・・(I)
    CR=CR10−OCO−R11−COO−CR12=CR1314・・・(II)
    CR1516=CR17COOCH=CH ・・・(III)
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14およびR17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、RおよびR11はそれぞれ独立に、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のフルオロアルキレン基を示し、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
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