JP2017193947A - 建物用衝突防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】免震装置の免震効果を損なわずに建物の擁壁等への接触を防止できる建物用衝突防止装置の提供である。【解決手段】本発明の建物用衝突防止装置Bは、横置き型のシリンダ1と、当該シリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン2と、シリンダ1内に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるピストンロッド3と、シリンダ1内にピストン2で区画された伸側室R1と圧側室R2と、シリンダ1の外周に設けたタンクTと、シリンダ1に非減速区間FSを設定する圧抜通路4,5と、シリンダ1の非減速区間FSに隣接する伸圧両側に設定される伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSに設けたオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3とを備えて構成される。【選択図】図1

Description

この発明は、建物用衝突防止装置に関する。
免震装置は、地盤と建物との間に介装されるボールアイソレータやゴムといった支承装置を備え、建物を地盤に対して変位可能に支持しており、地震動の建物への伝達を絶縁するようになっている。このような免震装置には、上記のような支承装置の他に、地盤と建物との間に介装される緩衝器を備えるものがあり、建物の振動を緩衝器が発生する減衰力で減衰させて建物の振動を抑制するようになっている。
免震装置は、地震が発生した場合に緩衝器の減衰力が小さければ小さいほど、地盤の振動の建物へ伝達しにくくなり、高い振動絶縁性を確保できるが、長周期地震動の場合、建物が地盤に対して大きな振幅で変位する場合がある。
このような長周期地震動が発生した場合、緩衝器の減衰力が小さいと建物の移動を抑制できずに支承装置から構造物が脱落してしまう可能性があるほか、建物と建物の下部を囲って支承装置を収容する擁壁とが衝突する可能性もある。これに対応するため、擁壁の内法にゴムを取り付けて建物が擁壁に衝突する際のクッションとする方法が採用されているが、建物と擁壁との衝突は回避できない。
そこで、免震装置に使用される緩衝器では、たとえば、ピストンがシリンダの両端近傍まで変位すると減衰力が高くなる、つまり、ピストンの変位に依存した減衰力を発揮できるものが望ましい。このような変位依存型の緩衝器にあっては、たとえば、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されて当該シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダ内に挿入されて一端がピストンに連結されるピストンロッドと、リザーバとを備え、シリンダにリザーバに通じる複数のオリフィス孔を軸方向に並べて設けているものがある。ピストンがシリンダに対して中央に配置されている状態から緩衝器が伸長作動することを考えると、ピストンがシリンダに対して中央に配置されている場合には、多数のオリフィス孔が伸側室に面しており、多数のオリフィス孔が伸側室とリザーバとを連通して流路として有効に機能しているが、緩衝器が伸長作動するとピストンがオリフィス孔を乗り越えるか、或は、遮蔽して伸側室を圧縮する方向へ変位するため、伸側室とリザーバとを連通するオリフィス孔の数が減少する。つまり、緩衝器が伸長作動してシリンダに対してピストンが変位すると、伸側室とリザーバとを連通するオリフィス孔の数が減少して流路面積が減少するため、伸側室からリザーバへ向かう作動油の流れに対する抵抗が大きくなって、緩衝器が発生する減衰力が大きくなるようになっている。
(たとえば、特許文献1参照)。
特開平01−220733号公報
前記緩衝器では、ピストンのシリンダに対する変位が大きくなると減衰力を大きくすることができるため、一見すると免震装置に向くようにも考えられる。しかしながら、このような緩衝器では、常に減衰力が発揮されてしまうために、建物が擁壁等へ接触しない範囲で振幅している場合に地面側から緩衝器を通じて地震動が建物に伝達してしまい、折角の免震装置の免震効果を減殺してしまう問題がある。
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的は、免震装置の免震効果を損なわずに建物の擁壁等への接触を防止できる建物用衝突防止装置の提供である。
本発明の建物用衝突防止装置は、横置き型のシリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダ内に移動自在に挿入されてピストンに連結されるピストンロッドと、シリンダ内にピストンで区画された伸側室と圧側室と、シリンダの外周に設けたタンクと、シリンダの両端に非減速区間を設定する圧抜通路と、シリンダにおける非減速区間に隣接する伸側および圧側に設定される伸側減速区間および圧側減速区間に設けたオリフィスとを備えて構成されている。このように建物用衝突防止装置を構成すれば非減速区間では、ピストンはシリンダに対して殆ど妨げられずに移動できる。また、地盤に対する建物の振幅が大きく、ピストンが伸側減速区間或いは圧側減速区間に達する場合には、建物用衝突防止装置は大きな減衰力を発揮する。
また、建物用衝突防止装置における圧抜通路を軸方向に間隔を空けて設けてもよい。このように建物用衝突防止装置を構成すると、シリンダ強度の確保が容易となる利点がある。
さらに、建物用衝突防止装置における伸側減速区間および圧側減速区間を免震支承される建物の小地震時想定変位を超える範囲に設定してもよい。このように建物用衝突防止装置を構成すると、建物が大地震によって地盤に対して大きく振幅して擁壁等に衝突するような変位に対しては、建物用衝突防止装置は減衰力を発揮し、小地震の際には減衰力を発揮しないようにできる。
また、伸側室から圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する第一リリーフ弁と、圧側室から伸側室へ向かう液体の流れのみを許容する第二リリーフ弁とを備えて建物用衝突防止装置を構成してもよい。このように構成された建物用衝突防止装置では、減衰力が過剰となるのを防いで、過大な減衰力の発揮による建物へ過剰な負荷がかかるのを阻止できる。
さらに、圧側室からタンクへ向かう液体の流れのみを許容する第三リリーフ弁を備えて建物用衝突防止装置を構成してもよい。このように構成された建物用衝突防止装置では、圧側室が圧縮される際に流路面積を確保でき、圧側減衰力が過剰となるのを確実に防げ、過大な減衰力の発揮による建物へ過剰な負荷がかかるのを阻止できる。
よって、本発明の建物用衝突防止装置によれば、免震装置の免震効果を損なわずに建物の擁壁等への接触を防止できる。
第一の実施の形態における建物用衝突防止装置の概略断面図である。 第一の実施の形態における建物用衝突防止装置を建物と地盤との間に介装した使用状態を示す図である。 第一の実施の形態における建物用衝突防止装置の減衰特性図である。 第二の実施の形態における建物用衝突防止装置の概略断面図である。 第二の実施の形態の一変形例における建物用衝突防止装置を建物と地盤との間に介装した使用状態を示す図である。 第三の実施の形態における建物用衝突防止装置の概略断面図である。
<第一の実施の形態>
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。第一の実施の形態における建物用衝突防止装置B1は、図1に示すように、横置き型のシリンダ1と、当該シリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン2と、シリンダ1内に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるピストンロッド3と、シリンダ1内にピストン2で区画された伸側室R1と圧側室R2と、シリンダ1の外周に設けたタンクTと、シリンダ1に非減速区間FSを設定する圧抜通路4,5と、シリンダ1の非減速区間FSの伸圧両側に設定される伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSに設けたオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3とを備えて構成されている。
なお、伸側室R1と圧側室R2には、液体として、たとえば、作動油が充填されるとともに、タンクTには、作動油のほかに気体が充填されている。液体は、作動油以外にも、水や水溶液なども使用することも可能である。なお、タンクT内は、特に、気体を圧縮して充填することによって加圧状態とする必要は無いが、加圧状態としてもよい。
また、建物用衝突防止装置B1は、図2に示すように、免震装置Mによって支承された建物STと地盤Gとの間に水平横置きに介装されており、同じく、建物STと地盤Gとの間に介装される緩衝器Dに並列して設けられている。免震装置Mは、たとえば、建物STと地盤Gとの間に設けたボールアイソレータや積層ゴム等といった弾性体で構成されており、地盤Gから建物STへの地震動の伝達を絶縁している。なお、建物STの下端は、建物STに対して所定の間隔を空けて設けられる擁壁Wによって取り囲まれている。
以下、各部について説明する。シリンダ1は筒状であって、その図1中右端はボトムキャップ11によって閉塞され、図1中左端には環状のロッドガイド10が取り付けられている。また、上記ロッドガイド10の内周には、シリンダ1内に移動自在に挿入されるピストンロッド3が摺動自在に挿入されている。このピストンロッド3は、本実施の形態では、一端をシリンダ1内に摺動自在に挿入してピストン2に連結してあり、他端をシリンダ1外へ突出させており、シリンダ1に対して移動自在とされている。なお、ピストンロッド3は、この場合、伸側室R1のみを貫通して、建物用衝突防止装置B1をいわゆる片ロッド型としているが、伸側室R1および圧側室R2の双方を貫通してシリンダ1から両端がシリンダ1外へ突出するいわゆる両ロッド型としてもよい。
そして、シリンダ1は、外筒6内に収容されており、シリンダ1と外筒6との間には、タンクTが形成されている。また、外筒6は、図1中右端がボトムキャップ11によって閉塞されていて、図1中左端は、ロッドガイド10が取り付けられて閉塞されている。
ピストンロッド3の図1中左端と、ボトムキャップ11には、この建物用衝突防止装置B1を建物STと地盤Gとの間の設置箇所へ取り付けることができるようにブラケット12,13が設けられる。
シリンダ1内に摺動自在に挿入されたピストン2は、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画している。また、シリンダ1のタンクT内の液面より下方には、つまり、横置きに設定されるシリンダ1の図1中の軸線より下方には、タンクTとシリンダ1内を連通する圧抜通路4,5と、オリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3とが設けられている。
圧抜通路4,5は、シリンダ1に対して軸方向にずれた位置に設けられてシリンダ1とタンクTとを連通しており、圧抜通路4,5の開口面積は、シリンダ1とタンクTを行き交う作動油の流れに殆ど抵抗を与えない大きさとされている。また、圧抜通路4,5は、ピストン2の軸方向長さである図1中左右長さ以上の間隔を空けて軸方向にずらして配置されており、ピストン2によって同時に圧抜通路4,5の全部が閉塞されないようになっている。
ここで、ピストン2がシリンダ1内の図1中左側の圧抜通路4の図1中左端から図1中右側の圧抜通路5の図1中右端までの間で移動する場合を考える。ピストン2が図1中左方へ移動する伸行程時には、圧縮される伸側室R1から左側の圧抜通路4を抜けてタンクTへ作動油が移動する一方、拡大される圧側室R2には右側の圧抜通路5を介してタンクTから作動油が供給される。反対に、ピストン2が図1中右方へ移動する圧行程時には、圧縮される圧側室R2から右側の圧抜通路5を抜けてタンクTへ作動油が移動する一方、拡大される伸側室R1には左側の圧抜通路4を介してタンクTから作動油が供給される。よって、ピストン2がシリンダ1内の図1中左側の圧抜通路4の図1中左端から図1中右側の圧抜通路5の図1中右端までの間で移動する場合、建物用衝突防止装置B1が発生する減衰力が最小となり、ピストン2はほとんど抵抗なくシリンダ1内を移動できる。
よって、シリンダ1内の図1中左側の圧抜通路4の図1中左端から図1中右側の圧抜通路5の図1中右端までの間は、建物用衝突防止装置B1が発生する減衰力は最小となって、ピストン2がシリンダ1に対して移動しても移動が妨げられない非減速区間FSとなっている。厳密には、ピストン2がシリンダ1の中央側から圧抜通路4の図1中左端近傍まで移動すると伸側室R1に面する圧抜通路4の有効面積が小さくなるので、作動油が圧抜通路4を通過する際に圧力損失が発生する。同様に、ピストン2がシリンダ1の中央側から圧抜通路5の図1中右端近傍まで移動すると圧側室R2に面する圧抜通路5の有効面積が小さくなるので、作動油が圧抜通路5を通過する際に圧力損失が発生する。よって、図3のピストン変位に対する減衰力の特性を示す減衰力特性図のように、圧抜通路4の伸側室R1に面する有効面積と圧抜通路5の圧側室R2に面する有効面積が十分に確保される範囲では減衰力は最小となり、非減速区間FSの両終端では減衰力が徐々に大きくなる特性となる。
シリンダ1内の図1中左側の圧抜通路4の図1中左端から図1中左方側となる伸側には、ピストン2の図1中左方となる伸側への移動を抑制する減衰力を発揮する伸側減速区間ESがシリンダ1に対して設定されている。また、シリンダ1内の図1中右側の圧抜通路5の図1中右端から図1中右方側となる圧側には、ピストン2の図1中右方となる圧側への移動を抑制する減衰力を発揮する圧側減速区間CSがシリンダ1に対して設定されている。そして、本例では、伸側減速区間ESには、複数のオリフィスOe1,Oe2,Oe3が設けられ、圧側減速区間CSには、複数のオリフィスOc1,Oc2,Oc3が設けられている。
そして、ピストン2がシリンダ1内の図1中左側の圧抜通路4の図1中左端を超えてシリンダ1の左端側へ移動する場合、拡大される圧側室R2には圧抜通路4,5を介してタンクTから作動油が供給される。しかしながら、この場合、圧縮される伸側室R1内の作動油はオリフィスOe1,Oe2,Oe3のうちピストン2よりも左側に位置するオリフィスのみを通過してタンクTへ移動する。オリフィスOe1,Oe2,Oe3は、通過する作動油の流れに抵抗を与えるため、伸側室R1内の圧力が上昇して、ピストン2の図1中左側への移動を妨げる減衰力を発揮する。つまり、ピストン2がシリンダ1内の図1中左側の圧抜通路4の図1中左端を超えてシリンダ1の左端側へ移動する場合には、建物用衝突防止装置B1はピストン2の移動を抑制する減衰力を発揮する。伸側減速区間ESでは、ピストン2の移動が進むに従って、オリフィスOe1,Oe2,Oe3を順に乗り越えて伸側室R1に通じるオリフィス数を順次減らしていき、一番左方に設置されているオリフィスOe3をピストン2が閉塞すると、伸側室R1はタンクTとの連通を絶たれるので油圧ロックされて、ピストン2はそれ以上シリンダ1に対して左方へ移動しない。よって、シリンダ1の圧抜通路4の図1中左端から左方の範囲では、減衰力の発揮によって建物用衝突防止装置B1の伸長が抑制される伸側減速区間ESとされ、この伸側減速区間ESは圧抜通路4によって非減速区間FSとの境界が設定される。伸側減速区間ESは、免震支承される建物STの小地震時に想定される変位(地震時想定変位)を超える範囲に設定される。
また、ピストン2がシリンダ1内の図1中右側の圧抜通路5の図1中右端を超えてシリンダ1の右端側へ移動する場合、拡大される伸側室R1には圧抜通路4,5を介してタンクTから作動油が供給される。しかしながら、この場合、圧縮される圧側室R2内の作動油はオリフィスOc1,Oc2,Oc3のうちピストン2よりも右側に位置するオリフィスのみを通過してタンクTへ移動する。オリフィスOc1,Oc2,Oc3は、通過する作動油の流れに抵抗を与えるため、圧側室R2内の圧力が上昇して、ピストン2の図1中右側への移動を妨げる減衰力を発揮する。つまり、ピストン2がシリンダ1内の図1中右側の圧抜通路5の図1中右端を超えてシリンダ1の右端側へ移動する場合には、建物用衝突防止装置B1はピストン2の移動を抑制する減衰力を発揮する。圧側減速区間CSでは、ピストン2の移動が進むに従って、オリフィスOc1,Oc2,Oc3を順に乗り越えて圧側室R2に通じるオリフィス数を順次減らしていき、一番右方に設置されているオリフィスOc3をピストン2が閉塞すると、圧側室R2はタンクTとの連通を絶たれるので油圧ロックされて、ピストン2はそれ以上シリンダ1に対して右方へ移動しない。よって、シリンダ1の圧抜通路5の図1中右端から右方の範囲では、減衰力の発揮によって建物用衝突防止装置B1の圧縮が抑制される圧側減速区間CSとされ、圧側減速区間CSは圧抜通路5によって非減速区間FSとの境界が設定される。圧側減速区間CSは、免震支承される建物STの小地震時に想定される変位(小地震時想定変位)を超える範囲に設定される。よって、建物STが大地震によって地盤Gに対して大きく振幅して擁壁W等に衝突するような変位に対しては、建物用衝突防止装置B1は減衰力を発揮するようになっている。
なお、ピストン2がシリンダ1に対してストロークエンドに達すると丁度ピストン2に閉塞されるようなオリフィスを設けるようにすれば、油圧ロックが設けられず、ピストン2はシリンダ1内をフルにストロークできるようになる。
なお、圧抜通路4,5は、本例では二つ設けられているが、シリンダ1に対して伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSとの間の非減速区間FSの軸方向全長に亘ってピストン2の軸方向長さよりも長い長孔を設け、この長孔を圧抜通路としてもよい。このように圧抜通路を設けても、ピストン2によって一度に全部が塞がれないために、非減速区間FS内ではピストン2の移動が妨げられない。なお、圧抜通路は、シリンダ1内にピストン2の移動が妨げられない非減速区間FSを設けて、シリンダ1内にピストン2の移動を妨げる区間である伸側減速区間ESと圧側減速区間CSを設定できればよいので、三つ以上設けてもよい。
伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSには、本例では、それぞれ、三つずつオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3がシリンダ1に対してシリンダ1の軸方向にずらして設けられている。オリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3の直径および伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CS内で設置位置は、本例では、以下のようにして決定されている。
建物用衝突防止装置B1では、ピストン2がシリンダ1に対して図1中左方へ移動して伸側減速区間ES内に侵入し、さらに、左方へ移動する場合、減衰特性は、図3に示すように、フラットな特性となることが理想的である。同様に、ピストン2がシリンダ1に対して図1中右方へ移動して圧側減速区間CS内に侵入し、さらに、右方へ移動する場合、減衰特性は、図3に示すように、フラットな特性となることが理想的である。
ここで、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSの軸方向長さをSとし、ピストン2のシリンダ1の中央側から伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSへ移動した際の伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CS内でのストローク量をXexpとし、ピストン2がシリンダ1の中央側から伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSへ侵入する際の初期速度をVとし、ピストン2の伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CS内での速度をVexpとすると、ピストン2が伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSを移動するうちにピストン2の速度を0とするのに、以下の式(1)を満たすようにピストン2の速度が推移すると、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSでフラットな減衰特性が得られる。初期速度Vは、想定される地震動によって決定される値である。伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSの軸方向長さSは、建物用衝突防止装置B1の仕様によって決定される値である。
Figure 2017193947
オリフィスの有効面積(伸側減速区間ESにあってはピストン2の左方にあって伸側室R1に連通されているオリフィス全部の有効面積であり、圧側減速区間CSにあってはピストン2の右方にあって圧側室R2に連通されているオリフィス全部の有効面積であり、)をaexpとし、作動油の密度をρとし、ピストン2の受圧面積をAとし、流量係数をCdとし、目標力をFとすると、オリフィスの有効面積aexpを以下の式(2)で求められる。
Figure 2017193947
目標力Fは、建物STの質量と建物用衝突防止装置B1が建物STの移動を抑制する際に建物STに作用させる加速度から決まる値である。建物STの質量をmとし、建物STに作用させる加速度をαとすると、F=mαが成り立つ。建物用衝突防止装置B1は、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSにて一定の加速度αを建物STに作用させるので、建物STの最終速度をVendとすると、以下の式(3)が成り立つ。
Figure 2017193947
建物用衝突防止装置B1は、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSにて最終的に建物STの速度を0とするので、Vendに0を代入すると、以下の式(4)が得られる。
Figure 2017193947
すると、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSの軸方向長さSを決定すれば、式(4)の演算によって、初期速度Vが得られる。初期速度Vが得られれば、式(1)の演算によって、ピストン2の伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CS内でのストローク量をXexpに対するピストン2の速度Vexpが得られる。ピストン2の速度Vexpが得られれば、式(2)の演算によって、オリフィスの有効面積aexpを求められ、求めた有効面積aexpに従ってオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3の直径および伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CS内で設置位置を決定すれば、図3の減衰特性が得られる。なお、オリフィスの設置数は有効面積を確保できればよいので任意である。また、オリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3は、シリンダ1の軸方向に延びる長孔によって形成されてもよい。また、本例では、オリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3は、軸方向にずれた位置に設けられているが、有効面積の設定により、シリンダ1の周方向で複数のオリフィスが重なる位置に設けられてもよい。
本発明の建物用衝突防止装置B1は、横置き型のシリンダ1と、当該シリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン2と、シリンダ1内に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるピストンロッド3と、シリンダ1内にピストン2で区画された伸側室R1と圧側室R2と、シリンダ1の外周に設けたタンクTと、シリンダ1に非減速区間FSを設定する圧抜通路4,5と、シリンダ1の非減速区間FSに隣接する伸圧両側に設定される伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSに設けたオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3とを備えて構成されている。
このように建物用衝突防止装置B1を構成すれば、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSの間の非減速区間FSでは、ピストン2はシリンダ1に対して殆ど妨げられずに移動でき、地盤Gに対する建物STの振幅が小さい小地震発生時には免震装置Mの免震効果を減殺しない。また、地盤Gに対する建物STの振幅が大きく、ピストン2が伸側減速区間ES或いは圧側減速区間CSに達する場合には、建物用衝突防止装置B1は大きな減衰力を発揮して建物STが擁壁Wに衝突するのを防止できる。よって、本発明の建物用衝突防止装置Bによれば、免震装置Mの免震効果を損なわずに建物STの擁壁W等への接触を防止できる。
また、圧側減速区間CS内でピストン2が圧方向へ移動している状況でしかピストンロッド3に大きな圧縮方向の軸力が作用しないので、ピストンロッド3の座屈の心配が少ないため、その分、ピストンロッド3を細くでき、建物用衝突防止装置B1の重量を低減できる。
さらに、圧抜通路4,5およびオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3がシリンダ1の下方に設けられるので、タンクT内から気体がシリンダ1内へ吸い込まれるのも防止され、建物用衝突防止装置B1は、減衰力を発揮できなくなる事態も生じない。なお、確実に気体の吸込を防止するには、圧抜通路4,5およびオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3をシリンダ1に対してタンクT内で最も液位が低い状態の液面よりも下方に設ければよい。タンクT内で最も液位が低くなるのは、建物用衝突防止装置B1が最伸長してピストンロッド3がシリンダ1から最も退出する際であるので、その際の液位を基準として圧抜通路4,5およびオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3を設ければよい。液位によっては、シリンダ1の横側面に圧抜通路4,5およびオリフィスOe1,Oe2,Oe3,Oc1,Oc2,Oc3を設けてもよい。なお、本例では、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSで発生される減衰特性を理想的にするオリフィスの有効面積の設定について説明したが、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSにおける減衰特性を前述以外の減衰特性に設定するのも可能である。
また、本例の建物用衝突防止装置B1にあっては、圧抜通路4,5がピストン2の位置によらずピストン2により一度に全部が閉塞されないようになっている。このように建物用衝突防止装置B1を構成すると、タンクTからシリンダ1へ液体を供給するための吸込通路を別途設ける必要無く、シリンダ1内でのピストン2の移動を円滑に保てる。なお、ロッドガイド10およびボトムキャップ11に、タンクTからシリンダ1内へ向かう作動油の流れを許容する吸込通路を設けて、伸側減速区間ES内から非減速区間FSへ、および、圧側減速区間CS内から非減速区間FSへのピストン2の移動をより円滑にできるようにしてもよい。吸込通路は、タンクTとシリンダ1とを連通する通路と、この通路にタンクTからシリンダ1へ向かう作動油の流れを許容する逆止弁で構成すればよい。
また、本例の建物用衝突防止装置B1では、圧抜通路4,5がシリンダ1の軸方向に間隔を空けて設けられるので、シリンダ1に非減速区間FSの全長に亘って長孔を設けて圧抜通路とするよりもシリンダ1の強度確保が容易となり、強度上の利点を享受できる。
さらに、本例の建物用衝突防止装置B1にあっては、伸側減速区間ESおよび圧側減速区間CSは、免震支承される建物STの小地震時想定変位を超える範囲に設定されている。このように建物用衝突防止装置B1を構成すると、建物STが大地震によって地盤Gに対して大きく振幅して擁壁W等に衝突するような変位に対しては、建物用衝突防止装置B1は減衰力を発揮し、小地震の際には減衰力を発揮しないようにできる。よって、本例の建物用衝突防止装置B1では、小地震時には免震装置Mの免震効果を損なわず、大地震時には建物STの擁壁W等への接触を防止できる。
<第二の実施の形態>
第二の実施の形態の建物用衝突防止装置B2の説明において、第一の実施の形態の建物用衝突防止装置B1と同様の部材については説明が重複するので、同一の符号を付すのみとして、詳しい説明を省略する。よって、以下に第二の実施の形態の建物用衝突防止装置B2の構造のうち、第一の実施の形態の建物用衝突防止装置B1と異なる構造について説明する。
第二の実施の形態の建物用衝突防止装置B2は、図4に示すように、第一の実施の形態の建物用衝突防止装置B1の構成に加えて、伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する第一リリーフ弁RV1と、圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する第二リリーフ弁RV2とを備えて構成されている。
第一リリーフ弁RV1および第二リリーフ弁RV2は、図示したところでは、ピストン2に設けられた伸側室R1と圧側室R2とを連通する通路P1,P2にそれぞれ設けられている。別途、両端がストロークエンドまではピストン2によって閉塞されない位置に開口して伸側室R1と圧側室R2とを連通する通路を設ける場合、ピストン2ではなく前記通路に並列に第一リリーフ弁RV1および第二リリーフ弁RV2を設けてもよい。
第一リリーフ弁RV1は、ピストン2が非減速区間FSから図4中左側へ移動して伸側減速区間ESに到達したのち、伸側室R1の圧力が第一設定圧以上になると開弁して、伸側室R1から圧側室R2へ作動油を逃がす。つまり、第一リリーフ弁RV1の設置により、ピストン2が伸側減速区間ESで伸側室R1を圧縮する方向へ変位する際に、伸側室R1内の圧力が過剰となるのを防止できる。なお、第一リリーフ弁RV1の開弁圧は、すなわち、前記第一設定圧は、建物用衝突防止装置B2が発生する減衰力が建物STに甚大な過負荷を与えないよう、建物STの構造や仕様に応じて決定すればよい。
第二リリーフ弁RV2は、ピストン2が非減速区間FSから図4中右側へ移動して圧側減速区間CSに到達したのち、圧側室R2の圧力が第二設定圧以上になると開弁して、圧側室R2から伸側室R1へ作動油を逃がす。つまり、第二リリーフ弁RV2の設置により、ピストン2が圧側減速区間CSで圧側室R2を圧縮する方向へ変位する際に、圧側室R2内の圧力が過剰となるのを防止できる。なお、第二リリーフ弁RV2の開弁圧は、すなわち、前記第二設定圧は、建物用衝突防止装置B2が発生する減衰力が建物STに甚大な過負荷を与えないよう、建物STの構造や仕様に応じて決定すればよい。本例の建物用衝突防止装置B2の場合、片ロッド型に設定されているので、ピストン2の断面積と第二設定圧との積の値を、ピストン2とピストンロッド3の断面積差と第一設定圧との積の値を等しくすれば、伸圧両側での最大減衰力を等しくできる。
以上のように構成された建物用衝突防止装置B2では、第一の実施の形態の建物用衝突防止装置B1と同様の作用効果を奏するだけでなく、減衰力が過剰となるのを防いで、過大な減衰力の発揮による建物STへ過剰な負荷がかかるのを阻止できる。なお、第一リリーフ弁RV1および第二リリーフ弁RV2の設置数は、任意であり仕様によって設置数を適宜変更できる。
なお、図5の第二の実施の形態の一変形例における建物用衝突防止装置B2’のように、第一リリーフ弁RV1の代わりに、ロッドガイド10に設けた伸側室R1とタンクTとを連通する通路10aの途中に伸側室R1からタンクTへ向かう作動油(液体)の流れのみを許容するリリーフ弁RV1aを設けてもよい。このようにしても、伸側室R1内の圧力が第一設定圧以上となるとリリーフ弁RV1aが開弁して伸側室R1の作動油をタンクTへ逃がすので、伸側減衰力が過剰となるのを防いで、過大な減衰力の発揮による建物STへ過剰な負荷がかかるのを阻止できる。
また、図5の建物用衝突防止装置B2’のように、第二リリーフ弁RV2の代わりに、ボトムキャップ11に設けた圧側室R2とタンクTとを連通する通路11aの途中に圧側室R2からタンクTへ向かう作動油(液体)の流れのみを許容するリリーフ弁RV2aを設けてもよい。このようにしても、圧側室R2内の圧力が第二設定圧以上となるとリリーフ弁RV2aが開弁して圧側室R2の作動油をタンクTへ逃がすので、圧側減衰力が過剰となるのを防いで、過大な減衰力の発揮による建物STへ過剰な負荷がかかるのを阻止できる。
<第三の実施の形態>
第三の実施の形態の建物用衝突防止装置B3の説明において、第二の実施の形態の建物用衝突防止装置B2と同様の部材については説明が重複するので、同一の符号を付すのみとして、詳しい説明を省略する。よって、以下に第三の実施の形態の建物用衝突防止装置B3の構造のうち、第二の実施の形態の建物用衝突防止装置B2と異なる構造について説明する。
第三の実施の形態の建物用衝突防止装置B3は、図6に示すように、図4の第二の実施の形態の建物用衝突防止装置B2の構成に加えて、圧側室R2からタンクTへ向かう作動油の流れのみを許容する第三リリーフ弁RV3を備えて構成されている。
第三リリーフ弁RV3は、図示したところでは、ボトムキャップ11に設けられた圧側室R2とタンクTとを連通する通路P3に設けられている。本例では、第三リリーフ弁RV3と通路P3は、大量の作動油の通過を許容できるように、二つ設けられている。なお、第三リリーフ弁RV3と通路P3は、ボトムキャップ11以外に設けられてもよい。
第三リリーフ弁RV3は、ピストン2が非減速区間FSから図6中右側へ移動して圧側減速区間CSに到達したのち、圧側室R2の圧力が第二設定圧以上になると開弁して、圧側室R2から伸側室R1へ作動油を逃がす。本例の建物用衝突防止装置B3では、片ロッド型に設定されているため、圧縮作動時に圧側室R2から押し出される作動油量が大きくなるが、第二リリーフ弁RV2に加えて第三リリーフ弁RV3の設置により、通路P2,P3の開放時における流路面積が大きく確保できる。よって、第三リリーフ弁RV3を設けた建物用衝突防止装置B3によれば、圧行程時において、第二リリーフ弁RV2および第三リリーフ弁RV3の圧損によって圧側室R2内の圧力が第二設定圧を大きく上回る事態を招かない。以上より、第三の実施の形態の建物用衝突防止装置B3によれば、圧側減衰力が過剰となるのをより確実に防いで、過大な減衰力の発揮による建物STへ過剰な負荷がかかるのを阻止できる。なお、第三リリーフ弁RV3の設置数は任意であり、仕様によって設置数を適宜変更できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
1・・・シリンダ、2・・・ピストン、3・・・ピストンロッド、4,5・・・圧抜通路、B1,B2,B2’,B3・・・建物用衝突防止装置、CS・・・圧側減速区間、ES・・・伸側減速区間、Oc1,Oc2,Oc3,Oe1,Oe2,Oe3・・・オリフィス、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、RV1・・・第一リリーフ弁、RV2・・・第二リリーフ弁、RV3・・・第三リリーフ弁、T・・・タンク

Claims (5)

  1. 横置き型のシリンダと、
    前記シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、
    前記シリンダ内に移動自在に挿入されて前記ピストンに連結されるピストンロッドと、
    前記シリンダ内に前記ピストンで区画された伸側室と圧側室と、
    前記シリンダの外周に設けられたタンクと、
    前記シリンダに設けられて前記シリンダ内と前記タンクとを連通するとともに前記ピストンの位置によらず前記ピストンにより全部が閉塞されず、前記ピストンの移動を抑制する減衰力を最小とする非減速区間を前記シリンダに対して設ける圧抜通路と、
    前記シリンダに対して前記非減速区間の伸側に設定される伸側減速区間と前記非減速区間の圧側に設定される圧側減速区間に設けられ、前記シリンダを貫通して前記シリンダ内と前記タンク内とを連通する一つ以上のオリフィスとを備え、
    前記圧抜通路および前記オリフィスは前記シリンダに対して前記タンクの液面より下方に設けられる
    ことを特徴とする建物用衝突防止装置。
  2. 前記圧抜通路は、前記シリンダの軸方向に間隔を空けて設けられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の建物用衝突防止装置。
  3. 前記伸側減速区間および前記圧側減速区間は、免震支承される建物の小地震時想定変位を超える範囲に設定される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の建物用衝突防止装置。
  4. 前記伸側室から前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する第一リリーフ弁と、
    前記圧側室から前記伸側室へ向かう液体の流れのみを許容する第二リリーフ弁とを備えた
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の建物用衝突防止装置。
  5. 前記圧側室から前記タンクへ向かう液体の流れのみを許容する第三リリーフ弁を備えた
    ことを特徴とする請求項4に記載の建物用衝突防止装置。
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