JP2017194024A - エンジンの水供給装置 - Google Patents

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Yosuke Ota
陽介 太田
西本 隆司
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Abstract

【課題】より容易にエンジンに設置可能なエンジンの水供給装置を提供する。【解決手段】エンジン本体を通って冷却液を循環させる高温側冷却液回路、エンジン本体を通らずに冷却液を循環させる低温側冷却液回路、吸気中に再循環されるEGRガスの流量を調整するEGRバルブ42を備えるエンジンにおいて、EGRクーラに導入される冷却液を、高温側冷却液回路を流れる高温冷却液と、低温側冷却液回路を流れる低温冷却液とで切り換える第1電磁弁57,第2電磁弁68を設けるとともに、エンジンの高負荷運転時に、第1電磁弁57及び第2電磁弁68により、EGRクーラに導入される冷却液を高温冷却液から低温冷却液に切り換えるとともに、EGRバルブ42によるEGRガスの流量の調整を通じて、EGRクーラでのEGRガスの冷却により発生する凝縮水の量を制御する凝縮水発生制御部70を設けるようにした。【選択図】図3

Description

本発明は、EGRクーラでのEGRガスの冷却により発生した凝縮水を燃焼室に供給するエンジンの水供給装置に関する。
周知のように、エンジンの燃焼室に水を供給し、その供給した水と共に燃料を燃焼することで、燃焼状態やエミッションの改善を図ることがある。こうした燃焼室への水供給を行う水供給装置には、エンジンの運転状況に応じて水の供給量を調整する仕組みが必要である。
従来、エンジンの水供給装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。同文献に記載の水供給装置は、水タンクと水添加弁とを備えている。水タンクは、吸気中に再循環される排気(EGRガス)を冷却するEGRクーラで発生する凝縮水を貯めるタンクであり、エンジン本体の外部に設置されている。水添加弁は、水タンク内の凝縮水を吸気中に添加する弁であり、エンジンの吸気ポートに設置されている。そして、同水供給装置では、水添加弁による吸気への凝縮水の添加量をエンジン負荷に応じて制御することで、エンジンの運転状況に応じた凝縮水の供給量を調整している。
特開2015−096713号公報
ところで、新規のエンジン設計は、多くの場合、既存のエンジンの設計をある程度流用して行われる。しかしながら、上記従来の水供給装置を既存のエンジンに追加しようとすると、エンジンの設計を大きく変更しなければならなくなる。例えば、上記従来の水供給装置が備える水タンクには、一定の容積が必要であり、その設置スペースを確保するため、エンジン周りの部品配置の大幅な変更を要することがある。また、上記従来の水供給装置の場合、EGRガスから凝縮水を分離する機構をEGRクーラに設けなれければならず、既存のエンジンのEGRクーラをそのまま流用できなくなる。さらに、上記従来の水供給装置では、水添加弁を吸気ポートに設置しているため、エンジン本体の構造も、既存のエンジンのものから変更しなければならなくなる。
このように従来の水供給装置を備えるエンジンは、既存のエンジンからの大幅な設計の変更を必要とし、またその結果、多くの新規部品を必要とするものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、より容易にエンジンに設置可能なエンジンの水供給装置を提供することにある。
上記課題を解決するエンジンの水供給装置は、冷却液を循環させる冷却液回路として、エンジン本体を通って冷却液を循環させる高温側冷却液回路と、エンジン本体を通らずに冷却液を循環させる低温側冷却液回路と、を備えるとともに、吸気中に再循環される排気であるEGRガスの流量を調整するEGRバルブと、外部から導入された冷却液により前記EGRガスを冷却するEGRクーラとを備えるエンジンに設置されており、EGRクーラでのEGRガスの冷却により発生する凝縮水をEGRガスと共にエンジンの燃焼室に供給する。そして、同水供給装置は、EGRクーラに導入される冷却液を、高温側冷却液回路を流れる冷却液と、低温側冷却液回路を流れる冷却液とで切り換える冷却液切換部と、エンジンの高負荷運転時に、同冷却液切換部によってEGRクーラに導入される冷却液を、高温側冷却液回路を流れる冷却液から低温側冷却液回路を流れる冷却液へと切り換えるとともに、EGRバルブによるEGRガスの流量の調整を通じて、上記EGRクーラでのEGRガスの冷却により発生する凝縮水の量を制御する凝縮水発生制御部と、を備えている。
こうした水供給装置が適用されるエンジンにおいて、高温側冷却液回路を循環する冷却液は、燃焼が行われるエンジン本体の熱を受けるため、低温側冷却液回路を循環する冷却液よりも高温となる傾向がある。一方、EGRクーラでの冷却により、EGRガス中の水分が凝縮することがあり、これにより発生した凝縮水はEGRガスと共にエンジンの燃焼室に導入される。
ここで、冷却液切換部が、EGRクーラに導入する冷却液を、高温側冷却液回路を流れる、より高温の冷却液から、低温側冷却液回路を流れる、より低温の冷却液回路に切り替えると、EGRクーラでのEGRガスがより低温まで冷却されるようになり、凝縮水が発生しやすくなる。一方、EGRクーラでの凝縮水の発生量は、同EGRクーラを通過するEGRガスの流量に相関する。そのため、EGRバルブによりEGRガスの流量を調整することで、このときのEGRクーラでのEGRガスの冷却により発生する凝縮水の量を、ひいてはEGRガスと共に燃焼室に供給される凝縮水の量を制御することができる。
上記エンジンの水供給装置において、凝縮水発生制御部は、燃焼温度が高くなりやすい高負荷運転時には、冷却液切換部によって、EGRクーラに導入される冷却液を、高温側冷却液回路を流れる冷却液から低温側冷却液回路を流れる冷却液へと切り換えて、EGRクーラで凝縮水が発生しやすくしている。さらに、このときの凝縮水発生制御部は、EGRバルブによるEGRガスの流量を調整することで、EGRクーラでのEGRガスの冷却により発生する凝縮水の量を制御している。そのため、適量の凝縮水を燃焼室に導入して、同凝縮水の気化熱で燃焼温度を下げることができる。しかも、上記2つの冷却液回路、EGRバルブ、EGRクーラを備えるエンジンであれば、エンジン本体やEGRクーラの構成は殆ど変更することなく、上記2つの冷却液回路に対して、配管の取り回しを変更したり、冷却液切換部を構成する弁機構などを追加したりするだけで、こうした水供給装置を追加することができる。したがって、上記エンジンの水供給装置によれば、EGRクーラでのEGRガスの冷却により発生する凝縮水を燃焼室に供給するとともに、その凝縮水の供給量を制御可能な水供給装置を、より容易にエンジンに設置できるようになる。
水供給装置の一実施形態が設けられたエンジンの吸排気系の構成を模式的に示す図。 同実施形態の水供給装置が設けられたエンジンの冷却系の構成を模式的に示す図。 同実施形態の水供給装置の制御構造を示すブロック図。 同水供給装置が適用されるエンジンでの、EGR流量、EGRクーラに流入する冷却水の温度とEGR出口ガス温との関係を示すグラフ。 同水供給装置において実行される凝縮水発生制御ルーチンのフローチャート。
以下、エンジンの水供給装置の一実施形態を、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の水供給装置が設けられたエンジンEは、各気筒の燃焼室11が設けられたエンジン本体10(シリンダヘッド、シリンダブロック)を備える。また、エンジンEには、各気筒の燃焼室11に流入する吸気が流れる吸気通路20と、各気筒の燃焼室11から排出された排気が流れる排気通路30とが設けられている。さらに、エンジンEには、排気通路30を流れる排気の一部を、吸気通路20を流れる吸気中に再循環するためのEGR通路40も設けられている。なお、同図は、エンジンEが直列4気筒のエンジンである場合を示しており、エンジン本体10に4つの燃焼室11が設けられている。
エンジン本体10には、エンジンEの回転に応じてパルス状のクランク信号を出力するクランク角センサ12が設けられている。エンジン回転数NEは、こうしたクランク角センサ12のクランク信号を用いて検出されている。
吸気通路20には、吸気流量GAを検出するエアフローメータ21が設けられている。吸気通路20におけるエアフローメータ21よりも下流側の部分には、吸気を圧縮するコンプレッサ22が設けられ、更にそのコンプレッサ22よりも下流側の部分には、コンプレッサ22での圧縮により高温となった吸気を、外部から導入された冷却液により冷却するインタークーラ23が設けられている。吸気通路20におけるインタークーラ23よりも下流側の部分には、スロットルバルブ24が設けられている。そして、吸気通路20は、スロットルバルブ24よりも下流側の部分において、各気筒の燃焼室11に向けて分岐されている。さらに吸気通路20には、コンプレッサ22による圧縮後の吸気の圧力(吸気圧PA)を検出する吸気圧センサ25、及び同圧縮後の吸気の温度(吸気温THA)を検出する吸気温センサ26が設けられている。
排気通路30には、同排気通路30を流れる排気の流れを利用してコンプレッサ22を駆動するタービン31が設けられている。排気通路30におけるタービン31よりも下流側の部分には、排気中の有害成分を浄化する触媒32が設けられている。
EGR通路40は、排気通路30におけるタービン31よりも上流側の部分と、吸気通路20におけるスロットルバルブ24よりも下流側で、各燃焼室11への分岐位置よりも上流側の部分とを繋ぐように設けられている。EGR通路40には、同EGR通路40を通って吸気中に再循環される排気(以下、EGRガスと記載する)を、外部から導入された冷却液により冷却するEGRクーラ41が設けられている。さらに、EGR通路40におけるEGRクーラ41よりも下流側の部分には、開度の変更を通じてEGRガスの流量を調整するEGRバルブ42が設けられている。
なお、このエンジンEの各気筒の燃焼室11にはそれぞれ、点火プラグ11aが設けられている。そして、各点火プラグ11aは、ノックコントロールシステム(以下、KCS11bと記載する)により制御されている。KCS11bは、エンジンEでのノッキングの発生を監視しつつ、点火時期を徐々に進角し、ノッキングの発生が確認されると、ノッキングが発生しなくなるまで点火時期を遅角する。これにより、KCS11bは、ノッキングを回避可能な限界まで点火時期を進角して、エンジンEの熱機関としての効率を高めている。
図2に、本実施形態の水供給装置が設けられたエンジンEの冷却系の構成を示す。同エンジンEの冷却系には、冷却液を循環させる冷却液回路として、エンジン本体10を通って冷却液を循環させる高温側冷却液回路50と、エンジン本体10を通らずに冷却液を循環させる低温側冷却液回路60と、が設けられている。
高温側冷却液回路50には、エンジンEの動力により動作して、冷却液を吸引して吐出する機械式のポンプである主ポンプ51が設けられている。主ポンプ51の吐出側にはアウトレット通路52が接続され、同主ポンプ51の吸引側にはインレット通路53が接続されている。アウトレット通路52は、途中で分岐しており、分岐した一方の先は、エンジン本体10に、もう一方の先は、空気との熱交換により冷却液を冷却する副ラジエータ61に、それぞれ接続されている。
高温側冷却液回路50は、主ポンプ51からアウトレット通路52に吐出された冷却液のうち、同アウトレット通路52の分岐点でエンジン本体10側に向かった冷却液を、エンジン本体10の内部を通った後、インレット通路53を通じて主ポンプ51に戻すように設けられている。こうした高温側冷却液回路50には、エンジン本体10を通過した直後の冷却液の温度(以下、エンジン出口液温THWと記載する)を検出する第1液温センサ59が設けられている。
なお、高温側冷却液回路50は、エンジン本体10よりも下流側の部分において、ラジエータ通路54とバイパス通路55との2つの通路に分岐されている。ラジエータ通路54は、エンジン本体10を通過した冷却液を、空気との熱交換により冷却液を冷却する主ラジエータ56を通ってインレット通路53に流すように設けられている。一方、バイパス通路55は、エンジン本体10を通過した冷却液を、主ラジエータ56を迂回してインレット通路53に流すように設けられている。
さらに、高温側冷却液回路50におけるバイパス通路55の途中の部分からは、デバイス通路58が分岐されている。デバイス通路58は、バイパス通路55から分流した冷却液を、上述のEGRクーラ41に送り、同EGRクーラ41を通過した冷却液をインレット通路53に流すように設けられている。なお、デバイス通路58において、EGRクーラ41を通過した冷却液の一部は、さらにスロットルバルブ24を通過してからインレット通路53に流される。
一方、低温側冷却液回路60は、主ポンプ51がアウトレット通路52に吐出した冷却液のうち、アウトレット通路52の分岐点で副ラジエータ61側に向かった冷却液を、上述のインタークーラ23の内部を通った後、インレット通路53を通じて主ポンプ51に戻すように設けられている。こうした低温側冷却液回路60は、高温側冷却液回路50から完全に独立しておらず、インレット通路53、主ポンプ51、及びアウトレット通路52の一部を高温側冷却液回路50と共有している。なお、低温側冷却液回路60における副ラジエータ61よりも下流側で、インタークーラ23よりも上流側の部分には、副ポンプ62が設けられている。副ポンプ62は、給電により駆動する電動式のポンプとして構成されている。そして、副ポンプ62は、駆動に応じて、主ポンプ51がアウトレット通路52に吐出した冷却液を、副ラジエータ61を介して吸引してインタークーラ23に向けて送り出す。この副ポンプ62の冷却液吐出量を調整することで、高温側冷却液回路50及び低温側冷却液回路60の冷却液の流量割合が変更される。なお、低温側冷却液回路60には、インタークーラ23に流入する直前の冷却液の温度(以下、IC入口液温THLと記載する)を検出する第2液温センサ63が設けられている。
また、同冷却系には、サーモ機構が設けられている。サーモ機構は、感温部64と、第1サーモ弁65と、第2サーモ弁66と、を備えている。感温部64は、インレット通路53における主ポンプ51の接続部分に設けられている。また、第1サーモ弁65は、高温側冷却液回路50のラジエータ通路54における主ラジエータ56よりも下流側の部分に設けられている。さらに、第2サーモ弁66は、低温側冷却液回路60における副ラジエータ61よりも下流側で、副ポンプ62よりも上流側の部分に設けられている。感温部64は、同感温部64を通過する冷却液の温度に応じて作動して、第1サーモ弁65及び第2サーモ弁66を駆動する。具体的には、感温部64は、上記冷却液の温度が規定の温度よりも低いときには、第1サーモ弁65及び第2サーモ弁66を閉弁して、主ラジエータ56及び副ラジエータ61を通じた冷却水の流れを止めている。そして、感温部64は、上記冷却液の温度が規定の温度以上となると、第1サーモ弁65及び第2サーモ弁66を閉弁して、主ラジエータ56及び副ラジエータ61を通じた冷却水の流れを許容している。
本実施形態の水供給装置は、高温側冷却液回路50を流れる冷却液と、低温側冷却液回路60を流れる冷却液とで、EGRクーラ41に導入される冷却液を切り換える冷却液切換部を、こうした冷却系に備える。冷却液切換部は、第1電磁弁57、取出通路67、及び第2電磁弁68により構成されている。
第1電磁弁57は、高温側冷却液回路50のバイパス通路55におけるデバイス通路58の分岐部分よりも上流側の部分に設けられている。第1電磁弁57は、通電が停止された状態では、開弁しており、エンジン本体10からバイパス通路55及びデバイス通路58への冷却液の流れを許容する。一方、第1電磁弁57は、通電に応じて閉弁して、エンジン本体10からバイパス通路55及びデバイス通路58への冷却液の流れを禁止する。
取出通路67は、低温側冷却液回路60における副ポンプ62よりも下流側で、インタークーラ23よりも上流側の部分と、EGRクーラ41とを繋ぐように設けられている。第2電磁弁68は、こうした取出通路67に設けられている。第2電磁弁68は、通電が停止された状態では、閉弁しており、同取出通路67を通じた冷却液の流れを遮断している。一方、第2電磁弁68は、通電に応じて開弁して、取出通路67を通じた冷却液の流れを許容する。
ここで、第1電磁弁57を開弁するとともに、第2電磁弁68を閉弁すると、デバイス通路58を通じて、エンジン本体10を通過した高温側冷却液回路50の冷却液(以下、高温冷却液と記載する)がEGRクーラ41に導入される。一方、第1電磁弁57を閉弁するとともに、第2電磁弁68を開弁すると、取出通路67を通じて、副ラジエータ61を通過した低温側冷却液回路60の冷却液(以下、低温冷却液と記載する)がEGRクーラ41に導入される。高温冷却液は、主ポンプ51からの吐出後、エンジン本体10を通過する際にエンジンEの燃焼熱で暖められた冷却液であるのに対し、低温冷却液は、主ポンプ51からの吐出後、副ラジエータ61で冷却された冷却液である。そのため、低温冷却液は、高温冷却液よりも低温となっている。なお、第1液温センサ59により検出されるエンジン出口液温THWは、高温冷却液の温度に対応し、第2液温センサ63により検出されるIC入口液温THLは、低温側冷却液の温度に対応する。
図3に、本実施形態の水供給装置の制御構造を示す。同図に示すように、本実施形態の水供給装置は、凝縮水発生制御部70を備える。凝縮水発生制御部70には、上述のクランク角センサ12、エアフローメータ21、吸気圧センサ25、吸気温センサ26、第1液温センサ59、第2液温センサ63の検出信号が入力されている。凝縮水発生制御部70は、これらの検出信号から、エンジン回転数NE、吸気流量GA、吸気圧PA、吸気温THA、エンジン出口液温THW、及びIC入口液温THLの検出結果を取得する。そして、凝縮水発生制御部70は、それらの検出結果に基づき、EGRバルブ42の開度、第1電磁弁57及び第2電磁弁68の開閉を制御している。
以上のように構成された本実施形態の水供給装置が設けられたエンジンEの高負荷運転時には、コンプレッサ22での吸気の圧縮率が高くなり、吸気温THAが高まることから、燃焼温度が高くなり、ノッキングが生じ易くなる。そこで、高負荷運転時には、EGRガスの大量導入により、燃焼温度を下げて、ノッキングの発生を抑えている。ただし、EGRガスの導入量がある程度を超えると、燃焼が不安定となって、失火が発生してしまう。そのため、EGRガスの導入による燃焼温度の低下には限界があり、KCS11bによる点火時期の遅角がノッキングの抑制に必要となって、エンジンEの効率の悪化を招いてしまうことがある。また、吸気温THAが高くなると、吸気の熱膨張により、燃焼室11に導入可能な吸気の最大質量が減ってしまうため、エンジンEの最大出力が低下するようにもなる。
一方、EGRクーラ41において、EGRガスが露点以下に冷やされると、EGRガス中の水分が凝縮する。こうして発生した凝縮水は、EGRガスと共に、吸気通路20を流れる吸気中に、更には燃焼室11に導入される。燃焼室11に凝縮水が導入されると、同凝縮水の気化熱により、燃焼温度が低下する。そのため、燃焼温度が高温となるやすいエンジンEの高負荷運転時には、EGRクーラ41で凝縮水を発生させるとともに、その発生する凝縮水の量を適宜に調整することで、燃焼温度の高温化を抑えて、ノッキングの抑制や、エンジンEの出力性能の向上を図ることができる。
本実施形態の水供給装置において凝縮水発生制御部70は、燃焼温度が高温化するエンジンEの高負荷運転時には、EGRクーラ41に導入される冷却液を高温冷却液から低温冷却液へと切り換えることで、同EGRクーラ41で凝縮水が発生しやすい状況としている。さらに、凝縮水発生制御部70は、EGRバルブ42による吸気中に導入されるEGRガスの流量(以下、EGRガス流量と記載する)を調整することで、このときのEGRクーラ41でのEGRガスの冷却により発生する凝縮水の量を適度な量に制御している。
図4に、EGRクーラ41に導入される冷却液の温度(クーラ内液温)、及びEGRガス流量と、EGRクーラ41通過後のEGRガスの温度(以下、クーラ出口ガス温と記載する)との関係を示す。同図に示すように、クーラ出口ガス温は、クーラ内液温が低いほど、また、EGRガス流量が少ないほど、低くなる。
EGRガス中の水蒸気量が同EGRガスの飽和水蒸気量を超えると、超えた分の水蒸気が凝縮して水滴となる。そして、EGRガスの飽和水蒸気量は、同EGRガスが低温となるほど少なくなる。よって、クーラ出口ガス温が、EGRガス中の水蒸気量が飽和水蒸気量を超える温度、すなわち露点以下となれば、EGRクーラ41で凝縮水が発生するようになる。EGRガス流量を一定したときの凝縮水の発生量は、クーラ出口ガス温が露点を下回って低下するほど、多くなる。一方、上述のように、クーラ出口ガス温は、クーラ内液温とEGRガス流量とにより変化する。よって、クーラ内液温及びEGRガス流量を調整することで、EGRクーラ41での凝縮水の発生量を制御することができる。
EGRガス流量は、EGRバルブ42の開度により制御することができる。また、本実施形態の水供給装置では、第1電磁弁57及び第2電磁弁68の開閉により、EGRクーラ41に導入される冷却液を、高温側冷却液回路50を流れる高温冷却液と、低温側冷却液回路60を流れる低温冷却液とで切り換えることで、クーラ内液温を変えることができる。そのため、冷却液切換部(第1電磁弁57、取出通路67、第2電磁弁68)による冷却液の切り換えと、EGRバルブ42によるEGRガス流量の調整とを通じて、EGRクーラ41における凝縮水の発生量を制御することができる。
図5に、本実施形態の水供給装置において、凝縮水発生制御部70が実行する凝縮水発生制御ルーチンの処理手順を示す。凝縮水発生制御部70は、エンジンEの運転中、本ルーチンの処理を、規定の制御周期毎に繰り返し実行する。
本ルーチンが開始されると、まずステップS100において、エンジン回転数NE、吸気圧PA、吸気温THA、エンジン出口液温THW、及びIC入口液温THLの検出値が読み込まれる。そして、続く、ステップS101において、エンジン回転数NE、吸気圧PA、及び吸気温THAなどに基づき、要求水量が演算される。要求水量の演算は、凝縮水発生制御部70に予め記憶されたマップを用いて行われ、その演算値は、ノッキングを抑制可能な温度まで燃焼温度を低下するために必要な、EGRクーラ41での凝縮水の発生量となるように求められている。エンジンEの高負荷運転域以外では、燃焼室11への凝縮水の供給を行わなくても、ノッキングが発生するまで燃焼温度が上がらないため、要求水量の演算値は「0」とされている。
続いて、ステップS102において、要求水量の演算値が「0」よりも大きいか否かが判定される。すなわち、ノッキングを抑制するための燃焼室11への凝縮水の供給が必要か否かの判定が行われる。
ここで、要求水量が「0」の場合(S102:NO)、ステップS120に処理が進められ、そのステップS120において、エンジンEの運転状況に応じたEGR率が得られる開度となるようにEGRバルブ42が制御される。このときのEGR率は、エンジン回転数NE、吸気流量GA、吸気圧PA、エンジン出口液温THWなどから演算され、その演算値は、EGRクーラ41に高温冷却液を導入するとしたときに同EGRクーラ41で凝縮水が発生せず、また失火を回避可能なEGR率の上限値である失火限界を超えない値とされる。そして、ステップS122において、第1電磁弁57が開かれ、且つ第2電磁弁68が閉じられて、EGRクーラ41に高温冷却液が導入される状態とされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
一方、要求水量の演算値が「0」より大きい場合(S102:YES)、ステップS103に処理が進められ、そのステップS103において、EGRクーラ41に低温冷却液を導入するとしたときに、要求水量分の凝縮水の発生に必要なEGRガス流量(以下、必要流量αと記載する)が演算される。ここでの必要流量αの演算は、IC入口液温THLに基づき行われる。そして、続くステップS104において、必要流量αが、失火を回避可能なEGR流量の上限値である失火限界流量以下であるか否かが判定される。失火限界流量の値は、エンジン回転数NEや吸気流量GAなどに応じて求められている。
ここで、必要流量αが失火限界流量を超えていれば(S104:NO)、ステップS121に処理が進められ、EGRバルブ42が全閉となるように制御される。そして、ステップS122において、第1電磁弁57が開かれ、且つ第2電磁弁68が閉じられて、EGRクーラ41に高温冷却液が導入される状態とされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
一方、必要流量αが失火限界流量以下の場合(S104:YES)、ステップS110に処理が進められ、そのステップS110において、必要流量α分のEGRガス流量の確保に必要な開度となるようにEGRバルブ42が制御される。そして、ステップS111において、第1電磁弁57が閉じられ、且つ第2電磁弁68が開かれて、EGRクーラ41に低温冷却液が導入される状態とされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
続いて、以上のように構成された本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のエンジンEの水供給装置では、高負荷運転域以外の運転域では、凝縮水発生制御部70は、第1電磁弁57を開くとともに第2電磁弁68を閉じて、高温側冷却液回路50を流れる高温冷却液がEGRクーラ41に導入されるようにする。また、このときの凝縮水発生制御部70は、エンジンEの運転状況に応じて、燃費性能や排気性能の向上に適したEGR率が得られるように、EGRバルブ42の開度を制御する。なお、このときのEGR率は、EGRクーラ41で凝縮水が発生しない値とされる。そのため、EGRクーラ41で恒常的に凝縮水が発生して、EGR通路40を構成する配管などが腐食することを防止することができる。
一方、EGRクーラ41に高温冷却液を導入したとする場合に、ノッキングが発生するまで燃焼温度が高まる高負荷運転域では、凝縮水発生制御部70は、第1電磁弁57を閉じるとともに第2電磁弁68を開いて、低温側冷却液回路60を流れる低温冷却液がEGRクーラ41に導入されるようにする。これにより、EGRクーラ41に導入される冷却液の温度が下がって、EGRクーラ41でEGRガスがより低温まで冷却されるようになるため、同EGRクーラ41での凝縮水の発生が促進される。また、このときの凝縮水発生制御部70は、EGRクーラ41で発生する凝縮水の量が、ノッキングが抑えられるまで燃焼温度を下げるために必要な量(要求水量)となるように、EGRバルブ42の開度を制御する。
このときのEGRクーラ41で発生した凝縮水は、EGRガスとともに吸気中に導入され、さらに吸気と共に燃焼室11に送られる。そして、凝縮水の気化熱により、燃焼温度が低下され、ノッキングの発生が抑えられる。また、その結果、ノッキング抑制のためのKCS11bによる点火時期の遅角化が抑えられるため、エンジンEの効率や出力性能が高まるようにもなる。
ただし、要求水量分の凝縮水の発生に必要なEGRガス流量が、失火限界流量を超えてしまう場合、凝縮水発生制御部70は、第1電磁弁57を開くとともに第2電磁弁68を閉じることで、低温側冷却液回路60を流れる低温冷却液のすべてがインタークーラ23を流れるようにしている。また、そうした場合、凝縮水発生制御部70は、EGRバルブ42を全閉として、EGRガスの導入を停止してもいる。
こうした場合、失火を回避可能な限界までEGRクーラ41で凝縮水を発生させても、ノッキングを抑えられず、KCS11bによる点火時期の遅角化は避けられないことになる。一方、インタークーラ23を流れる低温冷却液の流量を増やせば、インタークーラ23において吸気がより低温まで冷却されて、熱膨張による燃焼室11への吸気の充填率の低下が抑えられる。さらに、EGRガスの導入を停止すれば、その分、燃焼室11に導入される新気の量が増える。そのため、点火時期の遅角によるエンジンEの出力低下分が、燃焼室11の新気導入量の増加によって補われるようになる。
以上のような、本実施形態の水供給装置では、EGRクーラ41に導入する冷却液を高温冷却液から低温冷却液へと切り換え、さらにEGRバルブ42によるEGRガス流量の調整を通じてEGRクーラ41の凝縮水発生量を制御することで、エンジンEの高負荷運転時における燃焼室11への水供給を行っている。EGRガスの流量を制御するエンジンであれば、EGRバルブ42は元より設けられている。また、高温側冷却液回路50及び低温側冷却液回路60の2系統の冷却液回路を備えるエンジンであれば、取出通路67を構成する配管と、2つの電磁弁(57,68)を追加するだけで上記冷却液の切換を実現できる。そのため、本実施形態の水供給装置は、上述したような、水タンクや水添加弁を必要とする従来の水供給装置に比べ、より容易に設置することが可能である。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、エンジンEの高負荷運転時にあっても、要求水量分の凝縮水の発生に必要なEGRガス流量が失火限界流量を超える場合には、EGRガスの導入を停止するようにしていたが、このときにも、失火限界流量を超えない範囲で、EGRガスの導入を行うようにしてもよい。こうした場合、要求水量より少ない量であっても、凝縮水が燃焼室11に供給されて、ある程度までは燃焼温度が下げられる。そのため、KCS11bにより点火時期が遅角されるとしても、その遅角量をより少なくして、点火時期の遅角に伴うエンジンEの効率低下を抑えることができる。
・上記実施形態の水供給装置は、コンプレッサ22及びタービン31を有した過給機付きのエンジンEに設けられていたが、同実施形態の水供給装置は、自然吸気のエンジンにも同様に設けることができる。
・上記実施形態では、2つの電磁弁(57,68)により、EGRクーラ41に導入する冷却液の切り換えを行うようにしていたが、その切り換えを、三方弁などの他の弁機構を用いて行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、高温側冷却液回路50及び低温側冷却液回路60が、冷却液の循環経路の一部を共用する構成となっていたが、これら2つの冷却液回路を完全に独立した冷却液回路としてもよい。また、上記実施形態では、インタークーラ23に流す冷却液を循環させる冷却液回路を、エンジン本体10を通らずに冷却液を循環させる低温側冷却液回路60として用いていたが、それ以外の冷却液回路を低温側冷却液回路として用いるようにしてもよい。例えばハイブリッド車両には、インバータを冷却するための冷却液回路が、エンジン本体を冷却する冷却液回路とは別に設けられていることがある。多くの場合、こうしたインバータの冷却用の冷却液回路を循環する冷却液は、燃焼が行われるエンジン本体の冷却用の冷却液回路を循環する冷却液よりも温度が低くなる。そのため、EGRクーラに導入する冷却液を、エンジン本体の冷却用の冷却液回路を流れる冷却液から、インバータの冷却用の冷却液回路を流れる冷却液へと切り換えることで、EGRクーラでのEGRガスの冷却を、ひいてはEGRクーラでの凝縮水の発生を促進することが可能となる。そして、その上で、EGRガスの流量を調整することで、EGRクーラでの凝縮水の発生量を制御できるようになる。
E…エンジン、10…エンジン本体、11…燃焼室、41…EGRクーラ、42…EGRバルブ、50…高温側冷却液回路、57…第1電磁弁(冷却液切換部)、60…低温側冷却液回路、67…取出通路(冷却液切換部)、68…第2電磁弁(冷却液切換部)、70…凝縮水発生制御部。

Claims (1)

  1. 冷却液を循環させる冷却液回路として、エンジン本体を通って冷却液を循環させる高温側冷却液回路と、エンジン本体を通らずに冷却液を循環させる低温側冷却液回路と、を備えるとともに、吸気中に再循環される排気であるEGRガスの流量を調整するEGRバルブと、外部から導入された冷却液により前記EGRガスを冷却するEGRクーラとを備えるエンジンに設置されて、前記EGRクーラでの前記EGRガスの冷却により発生する凝縮水を前記EGRガスと共に前記エンジンの燃焼室に供給するエンジンの水供給装置において、
    前記EGRクーラに導入される冷却液を、前記高温側冷却液回路を流れる冷却液と、前記低温側冷却液回路を流れる冷却液とで切り換える冷却液切換部と、
    前記エンジンの高負荷運転時に、前記冷却液切換部によって前記EGRクーラに導入される冷却液を、前記高温側冷却液回路を流れる冷却液から前記低温側冷却液回路を流れる冷却液に切り換えるとともに、前記EGRバルブによる前記EGRガスの流量の調整を通じて、前記EGRクーラでの前記EGRガスの冷却により発生する凝縮水の量を制御する凝縮水発生制御部と、
    を備えることを特徴とするエンジンの水供給装置。
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CN118934356A (zh) * 2024-07-11 2024-11-12 潍柴动力股份有限公司 一种可控制egr废气湿度的冷却系统、发动机及方法

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