JP2017194431A - アミン化合物検知マーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】アミン化合物を簡便、且つ高感度に検知できるアミン化合物検知マーカーを提供する。
【解決手段】本実施形態に係るアミン化合物検知マーカーは、アミン化合物と共存することにより凝集して蛍光特性が変化する凝集蛍光体及び溶媒を含む組成物を保持媒体に具備する検知体を有してなり、上記保持媒体はガラス繊維を加工してなることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本実施形態は、アミン化合物を簡便、且つ高感度に検知できる検知マーカーに関する。
我々の生活している自然環境の中では、人工的あるいは自然発生的に人体の健康面に影響を与える化合物がさまざまに存在する。人工的なものは、工業製品の製造過程で発生する場合や製品そのものの中に含まれる場合があり、また自然発生的なものは、動植物そのものから発生する場合や細菌などの菌類、微生物などの増殖過程において発生する場合がある。当然、これらに対して量的な制限を設ける措置が取られる。
このような人体の健康面に影響を与える化合物にアミン化合物がある。例えばゴム製品におけるN−ニトロソアミン類は、ゴム製造時に添加される加硫促進剤が分解して生成する第二級アミンの一部が環境中、生体中あるいは製造時に使用される亜硝酸塩などの窒素酸化物と反応することにより生成する。N−ニトロソアミン類は、発がん性物質に含まれるものがあり、欧州では哺乳用乳首およびおしゃぶりからのN−ニトロソアミン類溶出量を規定している。
また、樹脂製品におけるメラミンは、メラミン樹脂の原料であり、欧州では樹脂製品からのメラミン溶出量を規定している。また、トリエチルアミンおよびトリブチルアミンは、ポリカーボネート製造時に使用される触媒であり、食品衛生法ではポリカーボネート製品中のアミン類含有量を規定している。これらの他にも例えば水質の汚染に関係する無機窒素NH3-N(アンモニア性窒素)、NO2-N(亜硝酸性窒素)、NO3-N(硝酸性窒素)、あるいは有機窒素、タンパク質、アミノ酸、ポリペプチドなどの動物性組織成分とそれらの分解過程に含まれる尿素窒素などや染料などの色素成分から分解されて生じる発がん性のある芳香族アミンなどもある。
アミン化合物は、様々な場面で分析対象となり得る化合物であり、その中でも食品中に発生するアミン化合物は、食品の鮮度指標になり得る可能性があり、簡便な検出方法が望まれる化合物でもある。
このような食品中に発生するアミン化合物を簡易的、且つ迅速に検出する方法としては、テトラフェニルエテン類蛍光体を用いる方法が知られている。この方法は、テトラフェニルエテン類蛍光体とアミン化合物を溶液中で接触させ、これらの相互作用による蛍光強度の増大をもってアミン化合物を検出するというものである。
特開2012-51816号公報(特許請求の範囲)
Chem. Eur. J. 2011, 17, 5344-5349.
上記した方法は、アミン化合物を簡易的、且つ迅速に検出できる方法ではあるものの、例えば水分などのアミン化合物以外の成分が蛍光強度などに影響を与えてしまう場合があり、使用する環境によってはアミン化合物の検出感度が低下してしまうという虞がある。
本発明は、上記課題に鑑み為されたものであり、水分の影響を受けることなくアミン化合物を簡便かつ高感度に検知できるアミン化合物検知マーカーを提供することを目的とする。
本実施形態に係るアミン化合物検知マーカーは、アミン化合物と共存することにより凝集して蛍光特性が変化する凝集蛍光体及び溶媒を含む組成物を保持媒体に具備する検知体を有してなり、上記保持媒体は、ガラス繊維を加工してなることを特徴とする。
図1は、実施形態1に係る検知マーカーの一例および使用例を示す図である。 図2は、実施形態2に係る検知マーカーによるアミン化合物検知プロセスの一例を示す図である。 図3は、グリコール系溶媒と生体アミンの疎水性パラメータLog P値の関係を示す図である。 図4は、実施例に係る評価サンプルの作製方法を説明する図である。 図5は、比較例に係る評価サンプルの作製方法を説明する図である。 図6は、評価サンプルの評価方法を説明する図である。 図7は、試料に食材および純水を使用した場合の比較例に係る評価サンプルの経時観察における蛍光状態を示す画像である。 図8は、試料に食材および純水を使用した場合の実施例に係る評価サンプルの経時観察における蛍光状態を示す画像である。 図9は、試料に食材を使用した場合の実施例に係る評価サンプルの経時観察における蛍光状態を示す画像である。 図10は、試料に純水を使用した場合の実施例に係る評価サンプルの経時観察における蛍光状態を示す画像である。
以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[実施形態1]
本実施形態に係るアミン化合物検知マーカー(以下、単に「検知マーカー」とも称する。)は、アミン化合物と共存することによって凝集し蛍光特性が変化する凝集蛍光体、この凝集蛍光体を溶解する溶媒、および上記凝集蛍光体と上記溶媒とを保持する、ガラス繊維を加工してなる保持媒体から構成される検知体を有してなるラベル形態が基本となる。ここで、検知体とは凝集蛍光体が溶解した溶液を保持媒体に担持(保持)した一つの領域をいう。
本実施形態に係るアミン化合物検知マーカーによれば、水分による蛍光特性の変化がなく湿度の高い環境下においても高感度にアミン化合物を検知することができる。このため、例えば密閉容器内に食品と共に設置して、食品腐敗により発生するアミン(以下、「生体アミン」とも称する。)を検知することで食品の鮮度或いは食品の腐敗状態を確認(判定)するマーカーとして有用である。
(生体アミン)
一般に、食品を放置しておくと、時間の経過とともに、匂い、外観、テクスチャー、味などに何らかの変化を生じ、ついには食用に適さなくなる。このような食品の悪変を劣化、変敗、あるいは変質と称し、通俗的には“たべものが腐る”という。食品の劣化は、微生物原因のほか、昆虫、自己消化、化学的原因(脂質の酸化、褐変)あるいは物理的原因(傷、つぶれなどの損傷)によっても起こるが、微生物(腐敗細菌)の増殖によって変質し、食べられなくなる場合が多く、これを広義の腐敗という。
食品の蛋白質が微生物の作用を受けて分解されて有害物質や悪臭を生じる過程を腐敗、これに対して炭水化物や油脂が微生物の作用を受けて分解して、風味が悪くなり食用に適さない状態を変敗もしくは変質と区別することもある。そして、腐敗臭の成分の主なものはアンモニア、トリメチルアミン等の各種の生体アミンと呼ばれるアミン成分である。
このため、肉や魚のような蛋白質に富んだ食品の腐敗の程度を知るために、この生体アミン成分を定量することは有用である。生体アミンの定量分析方法としては、液体高速クロマトグラフィーなどによる検出が一般的であるが、試料の複雑な前処理や測定時間など判定に時間を要し、コストもかかる。
また、食品中の窒素化合物は、主に蛋白質であり、微生物の酵素や食品の酵素によって加水分解されてポリペプチド、簡単なペプチドあるいはアミノ酸になる。そして、アミノ酸が、脱アミノ反応、トランスアミネーション、脱炭酸反応などにより分解されて、生体アミンが生成する。
アミノ酸から生成する生体アミンとしては、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、スペルミジン、スペルミン、ヒスタミン、トリプタミンなどが挙げられる。
(凝集蛍光体)
本実施形態に係る凝集蛍光体は、アミン化合物の存在下で凝集或いは結晶析出することにより蛍光スペクトル、励起スペクトルの形状や強度、蛍光寿命などの蛍光特性が変化する蛍光体をいう。このような凝集蛍光体としては、例えば特開2012-51816号公報に記載されている凝集誘起型発光性分子を挙げることができる。凝集誘起型発光性分子は、溶媒に溶解した状態では励起光を照射しても蛍光を発しないが凝集することで蛍光を発する。具体的な例としては、下記一般式(I)で表されるテトラアリールエテン誘導体である。
(式中、R1、R2、R3、R4は、互いに独立して、−COOM1、−(CH2)m−COOM2、−X−(CH2)n−COOM3、−Y−(CH2)o−Z−(CH2)p−COOM4(ここで、M1、M2、M3、M4は、互いに独立して、水素原子又はカチオンを表し、X、Y、Zは、互いに独立して、−O−、−NH−、又は−S−を表し、m、n、o、pは、互いに独立して、1〜6の整数を表す)、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルバモイル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数2〜6アルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、炭素数2〜6のアシル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜10のアリール基、及び炭素数5〜10のヘテロアリール基からなる群から選択され、かつ、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも2つは、互いに独立して、−COOM1、−(CH2)m−COOM2、−X−(CH2)n−COOM3、及び−Y−(CH2)o−Z−(CH2)p−COOM4(ここで、M1、M2、M3、M4、X、Y、Z、m、n、o、及びpは、上記の通りである)からなる群から選択される。)
なお、上記式中の「カチオン」は、特に限定されず、有機性のカチオンでもよく、無機性のカチオンでもよい。このようなカチオンとしては、例えばアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ピリジニウム等を挙げることができる。また、カチオンが1分子内に2個以上ある場合には、それぞれ異なるカチオンであってもよい。
上記一般式(I)で表されるテトラアリールエテン誘導体は、分子内のカルボキシル基がアミン化合物との水素結合や静電相互作用(以下、「反応」とも称する。)によって溶液中での溶解性が低下し凝集する。この凝集した状態のテトラアリールエテン誘導体に紫外線等の励起光を照射すると蛍光を発すようになる。本実施形態では、保持媒体に保持される凝集蛍光体と溶媒を含む組成物(混合液)は、未反応の凝集蛍光体が凝集、析出しない濃度、即ち、飽和にならない濃度となるよう調製される。
(溶媒)
本実施形態に係る溶媒は、上記凝集蛍光体を溶解することができ、且つ、雰囲気下において、ある一定期間中に揮発減量しない溶媒であることが好ましい。また、本実施形態のように、検知マーカーを食品に対して使用する場合には、食品に添付あるいは近傍に設置されるため、人体に対して安全性が高い溶媒を選択することが好ましい。また、本実施形態に係る溶媒は、2種以上を混合して混合溶媒として使用してもよい。
このような溶媒としては、沸点が高く毒性の少ないグリコール系溶媒を挙げることができる。具体的には、例えばポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル等のエチレングリコール系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶媒などを挙げることができる。
(保持媒体)
本実施形態に係る保持媒体は、上記凝集蛍光体及び溶媒を含む組成物(混合液)を保持するものであり、組成物(混合液)の保持性を考慮すると、空隙率が一定以上あるものである。本実施形態では、保持媒体にガラス繊維で加工されてなるフィルタ媒体を使用する。保持媒体にガラス繊維で加工されてなるフィルタ媒体を使用することで、水分の影響による蛍光特性の変化を防止することができる。
このようなガラス繊維で加工されてなるフィルタ媒体は、ガラス繊維の線径、親水疎水処理の違いやバインダーの有無など、さまざまな種類が使用可能であり、その中でも有機バインダーとしてアクリル樹脂を含むガラス繊維濾紙が好ましい。
保持媒体に含侵させる組成物(混合液)の量は、保持媒体の空隙量と概ね同じにすることが望ましい。アミン化合物と凝集蛍光体の反応量は、アミン化合物量が増加するにつれて増加し、同時に凝集蛍光体の凝集量も大きくなるため蛍光強度の増大など蛍光特性が変化する。即ち、アミン化合物の発生量と蛍光特性は相関を有する。このため、空隙内に含浸させる組成物(混合液)の量を規定しておくことによって、凝集蛍光体と反応するアミン量に相関する蛍光量がより正確になる。
(基材)
本実施形態に係るアミン化合物検知マーカーは、必要に応じて、保持媒体を支持する基材を使用してもよい。使用される基材は、凝集蛍光体を溶解する溶媒に対する耐溶剤性を有するものであり、また、基材自体が蛍光を発しないものを選択することが好ましく、凝集蛍光体が蛍光を発する際の蛍光波長と近似しない材質のものであれば特に限定されない。
このような基材としては、例えばテフロン(登録商標)シート、ポリイミドシート、ポリエステルフィルム、ポリアセタールシート、ナイロンシート、ポリカーボネートシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンシート、PETフィルム、塩化ビニルシートなどのプラスチックシート、ガラスプレート等を挙げることができる。
(判定方法)
本実施形態では、一定期間に亘り実施形態1に係るアミン化合物検知マーカーを食品などの試料と共存させた後、この検知マーカーに対して紫外線光源部による紫外光(UV光)を照射し、検知マーカーが発した蛍光を発光検出部により確認することで、食品鮮度など試料の状態を判定する。ここで発光検出部とは、肉眼による目視、デジタルカメラなどの画像化デバイスを言う。
本実施形態では、発光検出部として肉眼による目視で判定する場合は、できるだけ可視光下を避けた暗闇中の方が好ましい。また、蛍光光度計を用いることで、より精度の高い判定が可能となる。さらに、デジタルカメラなどのCCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーを介して画像化されたもの(画像パターン)を確認することで、より精度の高い判定が可能となる。
このようなデジタルカメラなどの電子処理された画像は、微弱な蛍光画像をより大きなコントラストを持った画像に変換することが可能で、微妙な蛍光強度の差などを判別したい場合、すなわちアミン化合物量の僅かな違いを判別する場合に、より有効な方法となる。さらに、カメラ付きのスマートフォン等に画像処理による比色機能を持たせることで、自動判別機能を付加した鮮度判定が可能になる。
次に、本実施形態に係る検知マーカーの使用例について説明する。図1(a)は、実施形態1に係る検知マーカーの一例を示し、図1(b)は、その使用例を示す図である。
図1(a)に示すように、実施形態1に係る検知マーカー10は、シート状の基材1と、基材1上に支持されたガラス繊維で加工されてなるフィルタ媒体2(保持媒体)を備え、フィルタ媒体2には、凝集蛍光体が溶媒に溶解した凝集蛍光体混合液が含浸されている。言い換えると、実施形態1に係る検知マーカー10は、凝集蛍光体混合液を保持した保持媒体層と、この保持媒体層を支持する基材層を備える。
実施形態1に係る検知マーカー10は、図1(b)に示すように、食品Pと共に食品トレイTに載せられ、食品トレイTごとラップフィルム等で密閉される。食品Pの腐敗が進行し、生体アミンが産出され始めると、食品トレイT内に拡散した生体アミンが検知マーカー10の保持媒体2に保持されている凝集蛍光体と反応し、凝集蛍光体が凝集し始める。この検知マーカー10にUV光を照射すると、凝集蛍光体が凝集した部分が蛍光を発するようになり、食品の腐敗状態をユーザーが認識できるようになる。
[実施形態2]
実施形態2に係る検知マーカーは、アミン化合物と共存することによって凝集し蛍光特性が変化する凝集蛍光体、この凝集蛍光体を溶解する溶媒、および上記凝集蛍光体と上記溶媒とを保持する、ガラス繊維を加工してなる保持媒体から構成される検知体を有し、この検知体が二以上に分画され、この分画された検知体毎に疎水性の異なる溶媒が保持されたものである。
検知対象となるアミン化合物はそれぞれ疎水性が異なるため、上記実施形態1に係る検知マーカーでは、使用した溶媒に適合するアミン化合物は検知される一方、これとは疎水性が大きく異なるアミン化合物は、その使用した溶媒に溶け込むことができず検知されない。このため、実施形態1に係る検知マーカーでは、検知できるアミン化合物に制限がかかる。これに対し、実施形態2に係る検知マーカーでは、複数の検知体毎に疎水性の異なる溶媒が保持されているため、より多くの種類のアミン化合物を検知することができる。
図2は、実施形態2に係る検知マーカーによるアミン化合物検知プロセスの一例を示す図である。図2(a)に示すように、本実施形態2に係る検知マーカー20は、基材1上に分画された検知体として保持媒体2a、2b、及び2cがそれぞれ支持されており、保持媒体2a、2b、及び2cには凝集蛍光体3と、それぞれ疎水性の異なる溶媒4a、4b、及び4cが保持されている。
図2(b)及び(c)に示すように、例えば食品の腐敗によりアミン化合物5a、5b、及び5cが発生すると、本実施形態2に係る検知マーカー20において、アミン化合物5a、5b、及び5cは、それぞれ溶け込みやすい溶媒4a、4b、及び4cが保持された保持媒体2a、2b、及び2cにて凝集蛍光体3と反応し、凝集体6a、6b、及び6cを形成する。
実施形態2に係る検知マーカーにおける溶媒は、アミン化合物との疎水性の関係を考慮して適宜選択される。疎水性の指標としては、疎水性パラメータLog P値を挙げることができる。ここで、疎水性パラメータLog P値とは、水と1−オクタノール中における物質の分配係数を指す。
溶媒とアミン化合物の疎水性パラメータLog P値が近いほど、アミン化合物は溶媒に溶け込みやすく、溶媒とアミン化合物の疎水性パラメータLog P値が離れているほどアミン化合物は溶媒に溶け込み難い。即ち、疎水性パラメータLog P値が近い物質同士は相溶性が大きい。溶媒とアミン化合物の疎水性パラメータLog P値が近いことは、溶媒とアミン化合物が均一に混ざりあい易いことを意味する。
図3に、溶媒としてグリコール系溶媒の疎水性パラメータLog P値との相関、及びアミン化合物として生体アミンの疎水性パラメータLog P値との照合の一例を示す。なお、疎水性パラメータLog P値は、Norgwyn Montgomery Software社のソフトウェア「Molecular modeling Pro.Plus version 7.0.4」を用いて算出した値である。
図3に示すように、グリコール系溶媒の疎水性パラメータLog P値は、末端置換基とグリコールユニットの繰り返し単位数に大きく依存する。具体的には、疎水性パラメータLog P値は、末端置換基の炭素数の合計数が増加するに従って高くなり、グリコールユニットの繰り返し単位数が増加するに従って小さくなる。
図3に例示されているグリコール系溶媒の場合は、生体アミンの疎水性パラメータLog P値との関係から、例えば、以下のような検知体を順番に配列するのが好ましい。
(1)溶媒が、モノエチレングリコール系、ジエチレングリコール系において末端置換基の炭素数の合計数が2、またはトリエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が2から3、またはテトラエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が2から5である検知体(図中A)、
(2)溶媒が、モノエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が3から4、またはジエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が3から6、トリエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が3から6、またはテトラエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が3から7である検知体(図中B)、
(3)溶媒が、モノエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が5から8、またはジエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が6から8、トリエチレングリコール系の末端置換基の炭素数の合計数が7から8、またはテトラエチレングリコール類の末端置換基の炭素数の合計数が7から8である検知体(図中C)。
これにより、検知体Aでは1,3−プロパンジアミン(no.42)、ヒスタミン(no.43)及び1,4−ブタンジアミン(no.44)が、検知体Bではスペルミジン(no.45)、1,5−ペンタンジアミン(no.46)、スペルミン(no.47)及び1,6−ヘキサンジアミン(no.48)が、検知体Cではトリプトファン(no.49)及びフェネチルアミン(no.50)が検知されやすくなる。実施形態2に係る検知マーカーによれば、より多くの種類のアミン化合物を検知対象とすることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例]
(蛍光液(組成物)の調製)
凝集蛍光体には、上記一般式(I)において、R1及びR3がカルボキシル基であり、かつR2およびR4が水素原子である化合物(1)を用い、以下の溶媒に0.02重量%液となるように溶解させて蛍光液Aとした。
蛍光液A
ポリエチレングリコールジメチルエーテル 99.98wt%
(ハイソルブMPM、東邦化学工業製)
化合物(1) 0.02wt%
(評価サンプルの作製)
実施例1に係る評価サンプル100;
図4は、実施例1に係る評価サンプルの作製方法を説明する図である。
先ず、図4(a)に示すように、ガラス板101上にガラスフィルタ102を2つ設置した。次いで、図4(b)に示すように、それぞれのガラスフィルタ102の両端をポリイミドの粘着テープ103で固定した。ガラスフィルタ102には、有機バインダー(アクリル樹脂)を含むガラス濾紙(アドバンテック社製 GS-25 厚さ0.21ml)を使用した。
その後、図4(c)に示すように、ピペット105を用いて蛍光液106(蛍光液A約10μL)をガラスフィルタ102に滴下し、ガラスフィルタ102に含浸させて検知体とし、実施例1に係る評価サンプル100(以下、単に「評価サンプル100」とも言う。)を作製した。
比較例に係る評価サンプル200;
図5は、比較例に係る評価サンプルの作製方法を説明する図である。
先ず、図5(a)に示すように、ガラス板101上にメンブレンフィルタ107(アドバンテック社製CELLULOSE ACETATE C020A 0.125ml)を2つ設置し、次いで、図5(b)に示すように、それぞれのメンブレンフィルタ107の上にスクリーン紗108(ムラカミ社製、糸径:34μm、厚さ:52μm)を被せ、その両端をポリイミドの粘着テープ103で固定した。
その後、図5(c)に示すように、ピペット105を用いて蛍光液106(蛍光液A約10μL)をメンブレンフィルタ107にスクリーン紗108の上から滴下し、メンブレンフィルタ107に含浸させて検知体とし、比較例に係る評価サンプル200(以下、単に「評価サンプル200」とも言う。)を作製した。
(サンプル評価)
図6に示すように、上記方法で作製した実施例1に係る評価サンプル100および比較例に係る評価サンプル200を、それぞれ試料(生の食材P1(かまぼこ)、又は純水0.5mlを含浸させたウェスP2)が入った蓋つきのガラス容器Gに、検知体が試料に接触しないように設置する。評価サンプルを設置した後、蓋を閉めて室温での環境下で保管し、評価サンプル100、200の蛍光状態を経時観察した。
蛍光状態の観察は、評価サンプル100、200をガラス容器Gから取り出し、適当な暗室状態でガラス板101側から紫外線照射を行い、その蛍光状態をデジタルカメラで撮影した画像を元に行った。紫外線照射にはハンディータイプのブラックライトを使用した。
図7は、比較例に係る評価サンプル200を使用した場合の設置前、設置後約1時間、約設置後約5.5時間、設置後5日目及び設置後6日目の蛍光状態を撮影した評価サンプル画像である。
サンプルNo. 200aは、生の食材P1(かまぼこ)入ったガラス容器Gに設置された評価サンプル画像である。サンプルNo. 200bは、純水0.5mlを含浸させたウェスP2が入ったガラス容器Gに設置された評価サンプル画像である。サンプルNo. 200cは、生の食材P1及び純水を含浸させたウェスP2のいずれも投入しない空のガラス容器Gに設置された評価サンプル画像である。
サンプルNo. 200a〜200cに示す画像を比較すると、生の食材P1が入ったガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 200aに示す画像では、設置後1時間から蛍光を発しているものの、純水0.5mlを含浸させたウェスP2が入ったガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 200bに示す画像においても、生の食材P1が入ったガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 200aに示す画像と同様に蛍光を発していることが分かる。
図8は、実施例1に係る評価サンプル100を使用した場合の設置前、設置後約1時間、約設置後約5.5時間、設置後5日目及び設置後6日目の蛍光状態を撮影した評価サンプル画像である。
サンプルNo. 100aは、生の食材P1(かまぼこ)が入ったガラス容器Gに設置された評価サンプル画像である。サンプルNo. 100bは、純水0.5 mlを含浸させたウェスP2が入ったガラス容器Gに設置された評価サンプル画像である。サンプルNo. 100cは、生の食材P1及び純水0.5mlを含浸させたウェスP2のいずれも投入しない空のガラス容器Gに設置された評価サンプル画像である。
サンプルNo. 100a〜100cの画像を比較すると、設置後5日目及び設置後6日目において生の食材P1が入ったガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 100aの画像では蛍光を強く発しているのに対し、純水0.5 mlを含浸させたウェスP2が入ったガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 100b及び空のガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 100cの画像では蛍光を発していないことが分かる。
このように、実施例1に係る評価サンプル100においては、蛍光強度の変化に水分は影響していないことが分かる。
[実施例2〜4]
(評価サンプルの作製)
実施例1に係る評価サンプル100において、ガラスフィルタ102を以下に示すガラス繊維濾紙に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜4に係る評価サンプル101、102及び103を作製した。
実施例2に係る評価サンプル101;有機バインダーを含んでいないガラス繊維濾紙(アドバンテック社製ガラス繊維濾紙GS-50 厚み0.19ml)
実施例3に係る評価サンプル102;有機バインダー(アクリル樹脂)を含むガラス繊維濾紙(アドバンテック社製ガラス繊維濾紙GC-90 厚み0.30ml)
実施例4に係る評価サンプル103;有機バインダー(アクリル樹脂)を含むガラス繊維濾紙(アドバンテック社製ガラス繊維濾紙DP-70 厚み0.52ml)
(サンプル評価)
実施例2〜4に係る評価サンプル101、102及び103の他、比較として実施例1に係る評価サンプル100の4つの評価サンプルを共に、試料(生の食材P1(かまぼこ)、又は純水0.5mlを含浸させたウェスP2)が入った蓋つきのガラス容器Gに検知体が試料に接触しないように設置し、蓋を閉めて室温での環境下で保管し、評価サンプル100、101、102及び103の蛍光状態を経時観察した。このように一つのガラス容器Gに4つの評価サンプルを設置して評価することで試料間のバラつきは無視できる。
図9及び図10は、評価サンプル100、101、102及び103を使用した場合の設置前、設置後3日目、設置後4日目及び設置後5日目の蛍光状態を撮影した評価サンプル画像である。図9に示すサンプルNo. 100a〜103aは、生の食材P1(かまぼこ)が入ったガラス容器Gに設置された評価サンプル100〜103の画像である。図10に示すサンプルNo. 100b〜103bは、純水0.5 mlを含浸させたウェスP2が入ったガラス容器Gに設置された評価サンプル100〜103の画像である。
食材P1(かまぼこ)が入ったガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 100a〜103aの画像と、純水0.5mlを含浸させたウェスP2が入ったガラス容器Gに設置されたサンプルNo. 100b〜103bの画像をそれぞれ比較すると、サンプルNo. 100a〜103aの画像では蛍光が検出されているのに対し、サンプルNo. 100b〜103bの画像では蛍光が検出されていないことが分かる。このように、実施例2〜4に係る評価サンプル101〜103においても蛍光強度の変化に水分は影響していないことが分かる。
また、実施例1〜4に係る評価サンプル100〜103で比較すると、図 9に示すように、有機バインダーを含むガラス繊維濾紙を用いた実施例1、3及び4に係るサンプルNo. 100a、102 a及び103aは設置後4日目から蛍光を発しているのに対し、有機バインダーを含まないガラス繊維濾紙を用いた実施例2に係るサンプル101aは設置後5日目から蛍光を発し始めており、実施例1,3及び4に係るサンプルが、実施例2に係るサンプルに比較して腐敗成分の検出感度が高いことが分かる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,101 … 基材
2,102 … 保持媒体(検知体)
3 … 凝集蛍光体
4 … 溶媒
5 … アミン化合物
6 … 凝集体
10、20 … 検知マーカー

Claims (5)

  1. アミン化合物と共存することにより凝集して蛍光特性が変化する凝集蛍光体及び溶媒を含む組成物を保持媒体に具備する検知体を有してなり、
    前記保持媒体は、ガラス繊維を加工してなることを特徴とするアミン化合物検知マーカー。
  2. 前記保持媒体は、有機バインダーを含むことを特徴とする請求項1に記載のアミン化合物検知マーカー。
  3. 前記保持媒体は、ガラス繊維濾紙であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアミン化合物検知マーカー。
  4. 前記アミン化合物は、揮発性であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のアミン化合物検知マーカー。
  5. 前記アミン化合物は、食品の腐敗に起因して発生するアミンであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のアミン化合物検知マーカー。
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