JP2017195028A - 非水電解液電池およびその製造方法 - Google Patents

非水電解液電池およびその製造方法 Download PDF

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詠子 石井
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Abstract

【課題】 繰り返しの充電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性が良好な非水電解液電池と、その製造方法とを提供する。【解決手段】 本発明の非水電解液電池は、正極と負極とがセパレータを介して重ねられた平板状の電極体と、非水電解液とを有する非水電解液電池であって、前記負極は、Liと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層に接合されたAl活性層とを含有する積層体であり、前記Al活性層の少なくとも前記正極と対向する面側にはLi−Al合金が生成しており、前記積層体における前記Al活性層は、Liと合金化しない金属基材層にAl金属層が接合されており、かつ前記Al金属層側で測定されるビッカース硬さが35(Hv)以上の積層金属箔の、前記Al金属層の少なくとも前記正極と対向する面側にLi−Al合金が生成することで形成されていることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、貯蔵特性が良好な非水電解液電池と、その製造方法に関するものである。
非水電解液電池は、高容量、高電圧などの特性を生かして、種々の用途に利用されている。特に近年では電気自動車の実用化などに伴い、車載用の非水電解液電池の需要が伸びている。
非水電解液電池の車載用途としては、電気自動車のモーターの駆動電源への適用が主である一方で、それ以外への適用も進められている。例えば、現在、車両が事故などに遭遇した際に、それを関係各所へ通報するための緊急通報システムの開発が進行中であるが、その電源として、非水電解液電池の適用が検討されている。
そのようなシステムは、実際に作動する機会が限られているものの、緊急時に確実に作動することが必要とされる。そのため、電源となる電池には、長期にわたって貯蔵しても、その特性を良好に維持できる信頼性が要求される。そこで、こうした用途には、電子機器の電源として汎用されている非水電解液二次電池よりも貯蔵特性が良好で、数年以上の長期にわたって貯蔵しても、容量低下がほとんどない非水電解液一次電池が利用されている。
前記非水電解液一次電池の負極活物質には、金属リチウムや、Li−Al(リチウム−アルミニウム)合金などのリチウム合金が用いられているが、例えば特許文献1に記載されているように、非水電解液二次電池においても、負極活物質としてリチウム合金を用いることができる。
なお、特許文献1では、Li−Al合金負極におけるLi−Al合金化に使用するアルミニウムに、特定のビッカース硬度のものを使用する技術を提案しており、これにより、リチウム二次電池(非水電解液二次電池)の充放電に伴う負極の反りの防止を可能としている。
また、特許文献2には、リチウムを吸蔵、放出可能な金属とリチウムの吸蔵、放出能力のない異種金属とのクラッド材を用いて負極を構成することにより、Li−Al合金を負極に有する有機電解液二次電池の特性の安定化を実現することも提案されている。
一方、前記の緊急通報システム用の電源のような用途においても、種々の事情から、繰り返しの充電が可能な電池が求められる場合もあるが、例えば前記のようなクラッド材を用いたとしても、必ずしも非水電解液二次電池の特性の安定化が実現できるわけではない。
他方、特許文献3には、リチウムを吸蔵、放出可能な金属と、リチウムの吸蔵、放出能力のない異種金属とのクラッド材であって、前記異種金属として特定種の金属を使用したり、異種金属の層の両面にリチウムを吸蔵、放出可能な金属の層を有するクラッド材と使用したりすることで、特性の安定化を達成し得た非水電解液電池(非水電解液二次電池)が提案されている。
特開平7−320723号公報 特開平8−293302号公報 国際公開第2016/039323号
特許文献3に記載の技術は、繰り返しの充電が可能な非水電解液電池の特性向上には有効なものであるが、車載用途のように高温下に置かれる可能性が高い用途が今後も更に増えることが想定される下では、非水電解液電池の高温貯蔵特性を高める技術の開発は、未だ重要であるといえる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、繰り返しの充電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性が良好な非水電解液電池と、その製造方法とを提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の非水電解液電池は、正極と負極とがセパレータを介して重ねられた平板状の電極体と、非水電解液とを有しており、前記負極は、Liと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層に接合されたAl活性層とを含有する積層体であり、前記Al活性層の少なくとも前記正極と対向する面側にはLi−Al合金が生成しており、前記積層体における前記Al活性層は、Liと合金化しない金属基材層にAl金属層が接合されており、かつ前記Al金属層側で測定されるビッカース硬さが35(Hv)以上の積層金属箔の、前記Al金属層の少なくとも前記正極と対向する面側にLi−Al合金が生成することで形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の非水電解液電池の製造方法は、正極と負極とがセパレータを介して重ねられた平板状の電極体と、非水電解液とを有する非水電解液電池を製造する方法であって、Liと合金化しない金属基材層にAl金属層が接合されてなる積層金属箔の前記Al金属層側と、正極とを、セパレータを介して対向させて平板状の電極体前駆体を形成する工程と、前記電極体前駆体と前記非水電解液とを外装体内に収容する工程と、前記積層金属箔の前記Al金属層の少なくとも前記正極と対向する面側にLi−Al合金を生成させて前記負極を形成することで、前記電極体前駆体を前記電極体とする工程とを有しており、前記積層金属箔として、Al金属層用シートとLiと合金化しない金属基材層用シートとを圧接した圧接材を焼鈍した後に冷間加工することで、前記Al金属層側で測定されるビッカース硬さを35(Hv)以上に調整した箔を使用することを特徴とする。
本発明によれば、繰り返しの充電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性が良好な非水電解液電池と、その製造方法とを提供することができる。
本発明の非水電解液電池に使用される負極(負極前駆体)の一例を模式的に表す断面図である。 本発明の非水電解液電池の一例を模式的に表す平面図である。 図2のI−I線断面図である。
Li(金属Li)や、Li−Al合金(LiとAlとの合金)は、炭素材料に比べてLi(Liイオン)の受け入れ性が低く、これを負極活物質に用いた非水電解液二次電池では、充放電を繰り返した際に、早期に容量が低下しやすい。こうしたことから、充放電を繰り返し行って使用することが想定されている非水電解液二次電池では、黒鉛などの炭素材料が負極活物質として汎用されている。
その一方で、炭素材料を負極活物質に用いた非水電解液二次電池では、自己放電が起きやすく、充電状態で貯蔵すると容量低下が生じやすい。
こうしたことから、車両緊急通報システムのように、実際に作動する機会が限られているものの、必要な際には確実に作動することが求められる装置の電源用の電池には、非水電解液二次電池よりも貯蔵特性が良好で、数年以上の長期にわたって貯蔵しても、容量低下がほとんどない非水電解液一次電池が適用されている。
その一方で、こうした用途においても、メンテナンスの容易さなどの理由から、通常の二次電池のように充放電を多数繰り返すことは求めないまでも、数回〜数十回程度の回数で充電が可能な電池の適用要請がある。
そこで、本発明の非水電解液電池では、特に車載用など高温環境下で使用される場合にあっても、高い貯蔵特性と高容量化とを実現することができ、また、ある程度の回数の充電が可能となるように、Li−Al合金を負極活物質として使用することにした。
また、本発明の非水電解液電池では、その貯蔵特性を高めるために、放電時に負極の形状を安定にし、次回の充電を可能にする目的で集電体を使用する。
負極活物質にLi−Al合金を使用する電池では、Li箔(特に断らない限り、Li合金箔を含む。以下同じ。)とAl箔(特に断らない限り、Al合金箔を含む。以下同じ。)とを貼り合わせて電池内に導入し、非水電解液の共存下でLiとAlとを反応させてLi−Al合金を形成させることが行われている。ところが、更に集電体となる金属箔〔Cu(銅)箔やCu合金箔など〕を、Li箔とAl箔との積層体に単に重ねただけで電池内に挿入すると、貯蔵後(特に高温環境下での貯蔵後)に電池の内部抵抗が増大して、貯蔵特性が十分に向上しない。
これは、電池内において、Li箔とAl箔との積層体でLi−Al合金が形成される際に体積変化が生じたり、Li−Al合金が形成されて微粉化が生じることで負極が非水電解液を吸収しやすくなって体積変化が生じたりして、Li−Al合金の層(Al箔)と集電体との密着性が確保できなくなるためであることが明らかとなった。
そこで、本発明では、Li−Al合金を形成するためのAl金属層(Al箔など)と、集電体として作用するLiと合金化しない金属基材層(Cu箔など)とをあらかじめ接合して用い、更に、その金属層の表面にLi層(Li箔など)を積層させ、前記Li層のLiと前記Al金属層のAlとを反応させる方法、または前記Al金属層と前記金属基材層との接合体をそのまま電池の組み立てに用い、組み立て後の充電によって、前記Al金属層のAlを非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応させる方法などにより、前記Al金属層の少なくとも表面側をLi−Al合金とし、前記金属基材層の表面にAl活性層が接合された負極とすることで、貯蔵時の内部抵抗の増大を抑え得ることを可能とした。
また、負極を形成するための積層金属箔、すなわち、金属基材層と、この金属基材層に接合されたAl金属層とを有する積層金属箔に、Al金属層側で測定されるビッカース硬さが特定値以上に調整された箔を使用し、そのAl金属層の少なくとも前記正極と対向する面側にLi−Al合金を生成させることで、金属基材層の表面にAl活性層が接合された積層体を有する負極とした場合には、理由は定かではないが、電池を高温下で貯蔵した後の放電特性を、より良好に維持できることが判明した。
なお、特許文献1では、Li−Al合金を有する負極において使用するアルミニウムのビッカース硬さを特定範囲とすることで、Li−Al合金化の際の負極の反りをあまり大きくすることなく、電池の充電時に生じ得る負極の反りを防止できることで、良好な充放電特性を確保できることを指摘している。
ところが、本発明においては、負極の金属基材層を特定種の金属で構成することや、金属基材層の両面にAl金属層が接合した積層金属箔を使用することで金属基材層の両面にAl活性層が接合した負極とすることといった、電池の充電時に生じ得る負極の反りを抑制する構成(詳細は後述する)を採用した場合においても、Al金属層側で測定されるビッカース硬さが特定値以上に調整された積層金属箔を使用した場合と、前記ビッカース硬さが前記特定値を満たさない積層金属箔を使用した場合とで、電池の高温貯蔵特性に差が生じ、前者の方がより優れた高温貯蔵特性を示すことを確認している(これについては、後記の実施例で説明する)。よって、本発明において前記効果が奏されるメカニズムは、特許文献1において指摘されているメカニズムとは全く異なっていると推測される。
負極の形成に使用する積層金属箔は、Al基材層の片面または両面にAl金属層が接合されたもの(例えば、クラッド材)である。
また、前記積層金属箔には、Al金属層側で測定されるビッカース硬さが35(Hv)以上の箔、より具体的には、Al金属層用シートとLiと合金化しない金属基材層用シートとを圧接した圧接材を拡散焼鈍(例えば150〜550℃程度)した後に冷間加工することで、前記Al金属層側で測定されるビッカース硬さを35(Hv)以上に調整した箔(クラッド材)を使用する。
通常のクラッド材の製造では、2種以上の金属シートを重ねて圧接(圧延)し、得られた圧接材を拡散焼鈍してから冷間加工して薄く延ばす方法が採用されている。ここで、得られたクラッド材が充放電による電極の反りを抑制することが可能な場合は、正極と負極とがセパレータを介して重ねられた平板状の電極体を形成する際に、電極とセパレータとの密着性をより高めるために、柔軟性が高いことが好ましい。そのような要求に対しては、クラッド材の製造において、冷間加工後に更に熱処理が施すことが一般的に行われる。そのため、通常、このような製法により得られたクラッド材は柔らかく、金属シートの1つにAl金属シートを使用して得られたクラッド材の場合、このAl金属シート由来のAl金属層側で測定されるビッカース硬さは、35(Hv)より低くなる。
ところが、冷間加工後に熱処理を施さないようにすることで、Al金属層側で測定されるビッカース硬さが35(Hv)以上となるように製造した積層金属箔を、負極の形成に用いた場合には、前記の通り、理由は定かではないが、電池の高温貯蔵特性が向上する。
負極の形成に使用する積層金属箔は、Al金属層側で測定されるビッカース硬さが、35(Hv)以上であればよく、37(Hv)以上であることが好ましく、また、90(Hv)以下であることが好ましく、50(Hv)以下であることが更に好ましい。すなわち、前記製法によって得られる積層金属箔においては、Al金属層側で測定されるビッカース硬さが、35(Hv)以上〔好ましくは37(Hv)以上で、90(Hv)以下〕となるように製造条件を選択して製造されたものであればよい。
本明細書でいう積層金属箔のビッカース硬さは、積層金属箔のAl金属層側において、JIS Z 2244の規定に従って測定した値である。なお、金属基材層の両面にAl金属層が接合している積層金属箔の場合には、前記の製法により製造していれば、2つのAl金属層のうちのいずれか一方のビッカース硬さが前記特定値を満たすときには、他方のビッカース硬さも前記特定値を満たす。
本発明の非水電解液電池では、前記ビッカース硬さを満たす積層金属箔を使用し、そのAl金属層の少なくとも表面にLi−Al合金を生成させることでAl活性層を形成して負極とする。Al金属層にLi−Al合金を生成させるには、以下の第1、第2のいずれの方法を採用してもよい。
本発明の非水電解液電池に係る負極の形成の第1の方法には、Liと合金化しない金属基材層(以下、単に「基材層」という)とAl金属層(以下、単に「Al層」という)とを接合して形成した積層金属箔の、Al層の表面に、Li箔を貼り合わせるなどの方法によりLi層が形成された積層体を使用する。
前記基材層は、Cu、Ni、Ti、Feなどの金属、またはそれら元素と他の元素との合金(ただし、ステンレス鋼などの、Liと反応しない合金)により構成することができるが、基材層を薄くしても充電時の負極の膨張(および、それに伴う反りなどの負極の変形)を充分に抑制してするためには、基材層を、ニッケル、チタンおよび鉄より選択される金属またはその合金のように、引っ張り強さが高い材料で構成すればよく、室温での引っ張り強さが400N/mm以上の材料で構成することが好ましい。
すなわち、電極の面積が比較的小さいコイン形電池などでは、Cu(引っ張り強さ:220N/mm)のように引っ張り強さが低い材料により基材層を構成しても、負極の膨張による影響が小さいため、例えば、基材層を封口板に抵抗溶接することにより、所定の特性の電池を構成することができるが、電極の面積が大きくなった場合、または複数の負極が積層された場合などでは、負極の膨張によって生じる反りなどの負極の変形のために引き起こされる電池の特性低下が大きくなってしまう。一方、Ni(490N/mm)、Ti(410N/mm)、SUS304(600N/mm)など、Ni、TiおよびFeより選択される金属か、またはその合金で基材層を構成することにより、薄くても優れた膨張抑制の効果(負極の変形抑制効果)を得ることができ、特に、Al活性層の面積(複数ある場合は、総面積)が、10cm以上となる場合には、前記材料とすることによる効果がより顕著となる。
一方、負極のインピーダンスを低くするためには、室温での体積固有抵抗が低い材料で基材層を構成するのがよく、体積固有抵抗が80×10−6Ω・cm以下の材料であることが好ましく、体積固有抵抗が30×10−6Ω・cm以下の材料であることがより好ましく、体積固有抵抗が15×10−6Ω・cm以下の材料であることが特に好ましい。
前記材料の体積固有抵抗は、それぞれNi:6.8×10−6Ω・cm、Ti:55×10−6Ω・cm、SUS304:72×10−6Ω・cmであり、体積固有抵抗の点からは、Niまたはその合金によって基材層を構成することが特に好ましい。
前記Al層は、純Al、または、強度の向上などを目的とする添加元素を有するAl合金により構成することができる。
前記Li層の形成には、前記Al層の表面にLi箔を貼り合わせる方法や、蒸着膜を形成する方法などを用いることができる。
図1に、本発明の非水電解液電池に使用される負極を形成するための積層体(負極前駆体)の一例を模式的に表す断面図を示している。図1の負極前駆体100は、基材層101aの両面にAl層101b、101bを接合して構成した積層金属箔101の、Al層101b、101bの表面に、Li箔102、102が貼り合わされて形成された積層体である。
前記の負極前駆体を用いて負極を形成する非水電解液電池では、非水電解液の共存下でLi箔のLiとAl層のAlとが反応し、Al層のLi箔が貼り合わされた側(セパレータ側)の表面にLi−Al合金が生成して、Al活性層に変化する。すなわち、前記負極のAl活性層の少なくとも表面側(Li箔側)には、非水電解液電池内で形成されたLi−Al合金が存在する。
負極前駆体では、基材層とAl層とを接合して形成した積層金属箔において、基材層の片面にAl層を接合していてもよく、また、図1に示すように基材層の両面にAl層を接合していてもよい。なお、基材層の両面にAl層が接合された積層金属箔を用いた場合には、電池の充電に伴って負極の膨張が生じても、負極の反りなどの変形の発生を抑えることができるため、充放電サイクル特性などの電池特性がより向上する。
そして、基材層とAl層とを接合して形成した積層金属箔と、Li箔とが貼り合わされて形成された積層体においては、基材層の両面のAl層の表面(基材層と接合していない面)にLi箔を貼り合わせる。
以下では、基材層がCu(Cu箔)である場合、および基材層がNi(Ni箔)である場合を例示して説明するが、基材層がCuやNi以外の材料である場合も同様である。
Cu層とAl層とを接合して形成した積層金属箔に係るCu層としては、Cu(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてZr、Cr、Zn、Ni、Si、Pなどを含み、残部がCuおよび不可避不純物であるCu合金(前記合金成分の含有量は、例えば、合計で10質量%以下、好ましくは1質量%以下)からなる層などが挙げられる。
Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔に係るNi層としては、Ni(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてZr、Cr、Zn、Cu、Fe、Si、Pなどを含み、残部がNiおよび不可避不純物であるNi合金(前記合金成分の含有量は、例えば、合計で20質量%以下)からなる層などが挙げられる。
更に、Cu層とAl層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl層とを接合して形成した積層金属箔に係るAl層としては、Al(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてFe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどを含み、残部がAlおよび不可避不純物であるAl合金(前記合金成分の含有量は、例えば、合計で50質量%以下)からなる層などが挙げられる。
Cu層とAl層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl層とを接合して形成した積層金属箔においては、負極活物質となるLi−Al合金の割合を一定以上とするために、基材層であるCu層やNi層の厚みを100としたときに、Al層の厚み(ただし、基材層であるCu層やNi層の両面にAl層を接合させた場合には、片面あたりの厚み。以下同じ。)は、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましく、70以上であることが特に好ましい。また、集電効果を高め、Li−Al合金を十分に保持するためには、Cu層とAl層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl層とを接合して形成した積層金属箔において、基材層であるCu層やNi層の厚みを100としたときに、Al層の厚みは、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、200以下であることが特に好ましく、180以下であることが最も好ましい。
なお、基材層であるCu層やNi層の厚みは、10〜50μmであることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。また、Al層の厚み(ただし、基材層であるCu層やNi層の両面にAl層を接合させた場合には、片面あたりの厚み)は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましく、また、150μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。
Cu層とAl層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl層とを接合して形成した積層金属箔の厚みは、負極の容量を一定以上とするために、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、また、正極活物質との容量比を適切な範囲とするために、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが特に好ましい。
負極前駆体に使用するLi箔としては、Ll(および不可避不純物)からなる箔や、合金成分としてFe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどを合計で40質量%以下の量で含み、残部がLiおよび不可避不純物であるLi合金からなる箔などが挙げられる。
また、積層金属箔の表面にLi箔が貼り合わされて形成された前記の積層体を負極前駆体として用いて負極のAl活性層を形成する方法以外に、第2の方法として、前記積層金属箔をそのまま負極前駆体として使用して電池を組み立て、組み立て後の電池を充電する方法によっても、負極を構成するAl活性層を形成することができる。
すなわち、前記積層金属箔のAl金属層の少なくとも表面側のAlを、電池の充電によって非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応させることにより、少なくとも表面側にLi−Al合金が生成したAl活性層とすることも可能である。
Li箔が貼り合わされていない前記積層金属箔を負極前駆体として用いる第2の方法によれば、電池の製造工程を簡略化することができる。ただし、負極前駆体を用いてAl活性層を形成することにより、Li−Al合金の不可逆容量を、負極前駆体のLi層のLiが相殺することになることから、高容量化のためには、第1の方法で負極を形成(負極のAl活性層を形成)することが好ましく、また、第1の方法に係る負極前駆体を用いて電池を組み立て、更に充電を行って負極を形成(負極のAl活性層を形成)してもよい。
本発明の非水電解液電池のように、Liと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層に接合されたAl活性層とを含有する積層体を負極として有する電池においては、負極活物質として作用する物質の結晶構造を良好に保って負極の電位を安定化させて、より優れた貯蔵特性を確保する観点から、第1の方法および第2の方法のいずれの方法によって負極のAl活性層を形成する場合であっても、負極のAl活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、48原子%以下である範囲において電池を使用することが好ましい。すなわち、電池の充電時に、Al活性層のLiの含有量が48原子%を超えない範囲で充電を終止することが好ましく、Liの含有量が、40原子%以下である範囲において充電を終止することがより好ましく、35原子%以下である範囲において充電を終止することが特に好ましい。
前記積層金属箔のAl層は、全体がLiと合金化して活物質として作用してもよいが、Al層のうちの基材層側をLiと合金化させず、Al活性層を、表面側のLi−Al合金層と基材側に残存するAl層との積層構造とすることがより好ましい。
すなわち、前記の状態で充電を終止することにより、前記Al層のセパレータ側(正極側)を、Liと反応させてLi−Al合金(α相とβ相との混合相またはβ相)とし、一方、前記基材層との接合部付近のAl層は、実質的にLiと反応させずに元のAl層のまま残存するか、またはセパレータ側よりもLiの含有量が低くなると推測され、元のAl層と基材層との優れた密着性を維持することができ、セパレータ側に形成されたLi−Al合金を基材層上に保持しやすくなると考えられる。特に、前記Al層のセパレータ側に形成されるLi−Al合金に、α相が混在した状態で充電を終止することがより好ましい。
なお、本明細書では、「実質的にLiと合金化していないAl」は、Al層がLiを含有していない状態のほか、Liを数at%以下の範囲で固溶したα相の状態のものも対象とし、「実質的にLiと反応させない」とは、Liを数at%以下の範囲で固溶した状態も含め、Alがα相の状態のままで維持されることを指すものとする。
また、本発明の非水電解液電池においては、容量および重負荷放電特性をより高める観点から、LiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、15原子%以上となる範囲まで電池を充電することが好ましく、20原子%以上となる範囲まで電池を充電することがより好ましい。
更に、本発明の非水電解液電池に係る負極は、Al金属相(α相)とLi−Al合金相(β相)とが共存する状態で放電を終了することが望ましく、これにより、充放電時の負極の体積変化を抑制し、充放電サイクルでの容量劣化を抑制することができる。負極にLi−Al合金のβ相を残存させるためには、放電終了時の、負極におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量を、およそ3原子%以上とすればよく、5原子%以上とすることが好ましい。一方、放電容量を大きくするためには、放電終了時のLi含有量は、12原子%以下であることが好ましく、10原子%以下であることがより好ましい。
負極におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量は、例えば誘導結合プラズマ(ICP)元素分析によって求めることができる。前記Liの含有量を求める負極を有する電池をArボックス中で分解して負極を取り出し、その正極と対向していた部分を略10mm四方に切り取って酸に溶解させ、これをICPによって元素分析することでAlとLiとの比を求め、その値から前記Liの含有量を算出する。本明細書で後記する実施例において示す値は、この方法により求めた値である。
前記のような電池の使用状況を実現しやすくするために、本発明の非水電解液電池において、第1の方法により負極を形成する場合に使用する負極前駆体においては、電池組み立て時における、Al層の厚みを100としたときの前記Al層に貼り合せるLi層の厚みを、10以上とすることが好ましく、20以上とすることがより好ましく、30以上とすることが更に好ましく、また、80以下とすることが好ましく、70以下とすることがより好ましい。
具体的なLi箔の厚み(前記積層体が両面にLi箔を有している場合は、片面あたりの厚み。)は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましく、また、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。
Li箔と、積層金属箔に係るAl層との貼り合わせは、圧着などの常法により行うことができる。
第1の方法で負極を形成する場合に用いる負極前駆体として使用する前記積層体は、Cu層とAl層とを接合した箔やNi層とAl層とを接合した箔のAl層の表面に、Li箔を貼り合わせる方法で製造することができる。
負極を形成する第1の方法および第2の方法で用いる負極前駆体として使用する前記積層体におけるCu層やNi層には、常法に従って負極リード体を設けることができる。
本発明の非水電解液電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。正極活物質には、リチウム含有複合酸化物(Liイオンを吸蔵および放出可能なリチウム含有複合酸化物)や、リチウム含有複合酸化物以外の正極活物質を使用することができる。ただし、第2の方法で負極を形成する場合には、正極活物質にはリチウム含有複合酸化物などのリチウムを放出可能な化合物を使用する。
正極活物質として使用されるリチウム含有複合酸化物としては、Li1+x(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などが挙げられる。前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoOなどのコバルト酸リチウムやLiNi1−aCoa−bAl(0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)などの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを例示することができる。
また、リチウム含有複合酸化物以外の正極活物質としては、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物などの金属酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの金属硫化物を例示することができる。
正極活物質には、前記例示の化合物のうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、高容量で貯蔵安定性に優れていることから、リチウム含有複合酸化物を使用することが好ましく、コバルト酸リチウムを使用することがより好ましい。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤を、溶剤(NMPなどの有機溶剤や水)に分散させて正極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を調製し、この正極合剤含有組成物を集電体の片面または両面などに塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
また、前記正極合剤を用いて成形体を形成し、この成形体の片面の一部または全部を正極集電体と貼り合わせて正極としてもよい。正極合剤成形体と正極集電体との貼り合わせは、プレス処理などにより行うことができる。
正極の集電体としては、AlやAl合金などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、Al箔が好適に用いられる。正極集電体の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質を80.0〜99.8質量%とし、導電助剤を0.1〜10質量%とし、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、30〜300μmであることが好ましい。
正極の集電体には、常法に従って正極リード体を設けることができる。
前記負極と組み合わせる正極の容量比は、充電終了時の負極におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が15〜48原子%となるように設定すればよく、更に、放電終了時に、負極にLi−Al合金のβ相が残存するように正極の容量比を設定することが望ましい。
本発明の非水電解液電池において、正極と負極とは、セパレータを介して重ねて構成した平板状の電極体(巻回されることなく、電極およびセパレータの平面に対して略平行に重ねられた構造の積層電極体であり、正極および負極のうちの少なくとも一方が1枚のみの場合と、複数枚の正極と複数枚の負極とが交互に積層された場合とを含む)の形態で使用される。ただし、電池組み立て前においては、Li−Al合金が生成していない負極前駆体が使用される。よって、非水電解液電池の製造に際しては、一旦正極と負極前駆体(積層金属箔)とをセパレータを介して形成した電極体前駆体を用いて電池を組み立て、外装体内において前記第1の方法または第2の方法でLi−Al合金を生成させて負極を形成することで、前記電極体前駆体を電極体とする。
セパレータは、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常の非水電解液二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。セパレータの厚みは、例えば、10〜30μmであることが好ましい。
本発明の非水電解液電池は、例えば、平板状の電極体前駆体を外装体内に装填し、更に外装体内に非水電解液を注入して非水電解液中に電極体前駆体を浸漬させた後、外装体の開口部を封止し、電極体前駆体に係る負極前駆体にLi−Al合金を生成させて負極とし、電極体前駆体を電極体とすることで製造される。外装体には、スチール製やアルミニウム製、アルミニウム合金製の外装缶や、金属を蒸着したラミネートフィルムで構成される外装体などを用いることができる。
非水電解液には、下記の非水系溶媒中に、リチウム塩を溶解させることで調製した溶液が使用できる。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。
非水電解液に係るリチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfはフルオロアルキル基]などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.6〜1.8mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.6mol/lとすることがより好ましい。
また、これらの非水電解液に電池の各種特性を更に向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
更に、非水電解液は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
なお、本発明の非水電解液電池は、正極容量規制で構成されるため、充電電気量の制御や、充電電圧の制御などにより、充電終了時期を検出することができることから、あらかじめ充電回路側に充電終了条件を設定しておくことが可能である。
よって、前記態様のいずれかの非水電解液電池と、充電回路とを有する非水電解液電池システムにおいて、前記Al活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、充電終了時に、15〜48原子%となるような充電終了条件を設定しておくことで、非水電解液電池の貯蔵特性を良好に発揮させることができる。
本発明の非水電解液電池は、繰り返しの充電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性が良好であることから、こうした特性を生かして、車両緊急通報システムの電源用途のように、高温環境下で長期にわたって容量を良好に維持できることが求められる用途に好ましく適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
基材層(Ni層)用のNiシートの両面にAl層用のAl金属シートを配置して圧延し、焼鈍した後に冷間加工して得られたクラッド材(積層金属箔)を、25mm×40mmのサイズに切断して負極前駆体として用いた。前記クラッド材製造時の冷間加工後には熱処理は行っておらず、Al層側で測定されるビッカース硬さは40(Hv)であった。また、前記クラッド材におけるNi層の厚み、および両Al層の厚みは、いずれも30μmであった。
前記クラッド材の端部に、集電用のCu箔を超音波溶接し、更にそのCu箔の端部に、電池外部との導電接続のためのNiタブを超音波溶接したものを電池の組み立てに用いた。
一方、正極は、以下のようにして作製した。コバルト酸リチウム:97質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部と、バインダであるPVDF:1.5質量部とを、NMPに分散させたスラリーを調製し、これを厚さ12μmのAl箔の片面に塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の片面におよそ23mg/cmの質量の正極合剤層を形成した。なお、スラリーの塗布面の一部には正極合剤層を形成せず、Al箔が露出する箇所を設けた。次いで、前記Al箔集電体を20mm×45mmの大きさに切断し、前記Al箔が露出する箇所に、電池外部との導電接続のためのAlタブを超音波溶接することにより、集電体の片面に20mm×30mmの大きさの正極合剤層を有する正極を作製した。
前記Niタブを溶接した負極前駆体の両側に、厚さ16μmのPE製の微多孔フィルムよりなるセパレータを介して前記正極をそれぞれ積層し、一組の電極体前駆体を作製した。また、プロピレンカーボネート(PC)とメチルエチルカーボネート(MEC)との体積比1:2の混合溶媒に、LiBFを1mol/lの濃度で溶解することにより、非水電解液を調製した。前記電極体前駆体を真空中60℃で15時間乾燥させた後、前記非水電解液とともにラミネートフィルム外装体の中に封入した。その24h後に定電流(6mA)−定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.3mAまで低下した時点で充電を終止し、電池を満充電状態とすることによって負極前駆体における正極と対向する側のAl金属層を、その少なくとも正極と対向する側の面にLi−Al合金を形成してAl活性層として負極を形成し、これにより電極体前駆体を電極体として、定格容量が30mAhで、図2に示す外観を有し、図3に示す断面構造の非水電解液電池を作製した。
ここで、図2および図3について説明すると、図2は非水電解液電池を模式的に表す平面図であり、図3は、図2のI−I線断面図である。非水電解液電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体700内に、正極200と負極100とをセパレータ300を介して積層して構成した積層電極体と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、ラミネートフィルム外装体700は、その外周部において、上下のラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、図3では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体700を構成している各層、並びに正極200および負極100の各層を区別して示していない。
正極200は、電池1内でリード体を介して正極外部端子204と接続しており、また、図示していないが、負極100も、電池1内でリード体を介して負極外部端子104と接続している。そして、正極外部端子204および負極外部端子104は、外部の機器などと接続可能なように、片端側がラミネートフィルム外装体700の外側に引き出されている。
比較例1
負極前駆体として使用するクラッド材(Ni層の両面にAl層が接合された積層金属箔)を、冷間加工後に熱処理を施す製法で得られたものに変更した以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。前記クラッド材は、Al層側で測定されるビッカース硬さは29(Hv)であった。
実施例1および比較例1の非水電解液電池について、組み立てから24時間放置した後に、下記の高温貯蔵特性評価を行った。
<高温貯蔵特性評価>
実施例1および比較例1の各電池について、定電流(6mA)−定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.3mAまで低下した時点で充電を終止した。次いで、6mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて放電容量(初期放電容量)を測定し、更に、前記充電条件で充電を行って電池を満充電状態とした。いずれの電池も初期放電容量は30mAhであった。
満充電状態とした各電池を、85℃で11日間貯蔵した後、室温まで冷却してから、6mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて、残存容量を測定した。更に、前記充電条件での充電と、90mAでの放電(放電終止電圧:2V)を行い、高温貯蔵後の放電容量(回復容量)を測定した。初期放電容量に対する残存容量および回復容量の割合(容量維持率)により、各電池の高温貯蔵特性を評価した。
前記の評価結果を表1に示す。
Figure 2017195028
表1に示す通り、より好適な性状の積層金属箔によって形成された負極を有する実施例1の非水電解液電池は、比較例1の電池に比べて、高温貯蔵特性評価時の残存容量および回復容量の維持率が高く、優れた高温貯蔵特性を有していた。
なお、実施例1および比較例1の非水電解液電池(高温貯蔵特性評価を行ったものとは別の電池)について、組み立てから24時間放置した後に、定電流(6mA)−定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.3mAまで低下した時点で充電を終止し、電池を満充電状態としてからアルゴンガス雰囲気中で分解して負極を取り出し、その変形の程度を目視で確認した。その結果、いずれの負極についても、クラッド材を構成するAl箔の正極合剤層と対向する部分にLi−Al合金が形成されており、周縁部の正極合剤層と対向していない部分は、Liと反応せずAlのままの状態で存在していた。
また、電池の充電完了時において、負極のAl活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量は、いずれも31原子%であった。
更に、いずれの電池から取り出した負極も、Al活性層の形成による負極の湾曲(反り)は殆ど認められず、平坦性がほぼ維持されていた。よって、実施例1の非水電解液電池と、比較例1の電池との間で認められた前記の高温貯蔵特性の違いは、電池の充電によって発生し得る負極の反りの防止とは別のメカニズムによって生じていることが判明した。
実施例2
基材層(Cu層)用のCuシートの両面にAl層用のAl金属シートを配置して圧延し、焼鈍した後に冷間加工して得られたクラッド材(積層金属箔)を負極前駆体として用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。なお、前記クラッド材製造の際の冷間加工後には熱処理は行っておらず、Al層側で測定されるビッカース硬さは43(Hv)であった。また、前記クラッド材におけるCu層の厚み、および両Al層の厚みは、いずれも30μmであった。
比較例2
負極前駆体として使用するクラッド材(Cu層の両面にAl層が接合された積層金属箔)を、冷間加工後に熱処理を施す製法で得られたものに変更した以外は、実施例2と同様にして非水電解液電池を作製した。前記クラッド材は、Al層側で測定されるビッカース硬さは32(Hv)であった。
実施例2および比較例2の非水電解液電池について、実施例1の電池などと同じ方法で、高温貯蔵特性評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2017195028
表2に示す通り、より好適な性状の積層金属箔によって形成された負極を有する実施例2の非水電解液電池は、比較例2の電池に比べて、高温貯蔵特性評価時の残存容量および回復容量の維持率が高く、優れた高温貯蔵特性を有していた。
なお、実施例2および比較例2の非水電解液電池(高温貯蔵特性評価を行ったものとは別の電池)について、組み立てから24時間放置した後に、定電流(6mA)−定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.3mAまで低下した時点で充電を終止し、電池を満充電状態としてからアルゴンガス雰囲気中で分解して負極を取り出し、その変形の程度を目視で確認した。その結果、いずれの負極についても、クラッド材を構成するAl箔の正極合剤層と対向する部分にLi−Al合金が形成されており、周縁部の正極合剤層と対向していない部分は、Liと反応せずAlのままの状態で存在していた。
また、電池の充電完了時において、負極のAl活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量は、いずれも31原子%であった。
更に、いずれの電池から取り出した負極も、Al活性層の形成による負極の湾曲(反り)は殆ど認められず、平坦性がほぼ維持されていた。よって、実施例2の非水電解液電池と、比較例2の電池との間で認められた前記の高温貯蔵特性の違いも、実施例1の電池と比較例1の電池との間で認められた高温貯蔵特性の違いと同様に、電池の充電によって発生し得る負極の反りの防止とは別のメカニズムによって生じていることが判明した。
1 非水電解液電池
100 負極、負極前駆体(負極用積層体)
101 積層金属箔
101a 金属基材層
101b Al金属層
102 Li箔
103 Al活性層
200 正極
300 セパレータ
700 ラミネートフィルム外装体

Claims (6)

  1. 正極と負極とがセパレータを介して重ねられた平板状の電極体と、非水電解液とを有する非水電解液電池であって、
    前記負極は、Liと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層に接合されたAl活性層とを含有する積層体であり、前記Al活性層の少なくとも前記正極と対向する面側にはLi−Al合金が生成しており、
    前記積層体における前記Al活性層は、Liと合金化しない金属基材層にAl金属層が接合されており、かつ前記Al金属層側で測定されるビッカース硬さが35(Hv)以上の積層金属箔の、前記Al金属層の少なくとも前記正極と対向する面側にLi−Al合金が生成することで形成されていることを特徴とする非水電解液電池。
  2. 前記積層金属箔がクラッド材である請求項1に記載の非水電解液電池。
  3. 前記Li−Al合金は、充電によって生成したものである請求項1または2に記載の非水電解液電池。
  4. 前記正極は、正極活物質としてリチウム含有複合酸化物を含有している請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液電池。
  5. 正極と負極とがセパレータを介して重ねられた平板状の電極体と、非水電解液とを有する非水電解液電池を製造する方法であって、
    Liと合金化しない金属基材層にAl金属層が接合されてなる積層金属箔の前記Al金属層側と、正極とを、セパレータを介して対向させて平板状の電極体前駆体を形成する工程と、
    前記電極体前駆体と前記非水電解液とを外装体内に収容する工程と、
    前記積層金属箔の前記Al金属層の少なくとも前記正極と対向する面側にLi−Al合金を生成させて前記負極を形成することで、前記電極体前駆体を前記電極体とする工程とを有しており、
    前記積層金属箔として、Al金属層用シートとLiと合金化しない金属基材層用シートとを圧接した圧接材を焼鈍した後に冷間加工することで、前記Al金属層側で測定されるビッカース硬さを35(Hv)以上に調整した箔を使用することを特徴とする非水電解液電池の製造方法。
  6. 前記Li−Al合金を、充電によって生成させる請求項5に記載の非水電解液電池の製造方法。
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